(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103730
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】肌刺激装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20230720BHJP
A61H 23/02 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
A61N1/36
A61H23/02 386
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004422
(22)【出願日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】507199665
【氏名又は名称】株式会社I-ne
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 綾子
【テーマコード(参考)】
4C053
4C074
【Fターム(参考)】
4C053JJ06
4C053JJ36
4C074AA05
4C074BB01
4C074DD01
4C074GG01
4C074HH03
(57)【要約】
【課題】ローラーの押圧による刺激と電磁波による刺激とをより効率的に肌へ付与することのできる肌刺激装置を提供する。
【解決手段】顔刺激装置の一例である美容機器1は、第1ローラー21aおよび第2ローラー21bと、施術箇所に電磁波を印加する電極対(例えば、電極対31)とを備えている。第1ローラー21aおよび第2ローラー21bは回転軸を中心に回転する。電極対31の一方のRF電極31aは、第1ローラー21aの回転軸方向の外側に位置し、電極対31の他方のRF電極31bは、第2ローラー21bの回転軸方向の外側に位置している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心に回転する少なくとも一つのローラーと、
前記ローラーに対して、前記回転軸方向の外側に位置し、施術箇所に電磁波を印加する電極対と
を備えている肌刺激装置。
【請求項2】
複数の前記ローラーを備え、
前記電極対の一方の電極は、前記複数のローラーのうちの一つのローラーの前記回転軸方向の外側に位置し、前記電極対の他方の電極は、前記複数のローラーのうちの他の一つのローラーの前記回転軸方向の外側に位置している、
請求項1に記載の肌刺激装置。
【請求項3】
前記電磁波は、ラジオ波である、
請求項1または2に記載の肌刺激装置。
【請求項4】
前記ローラーを温めるヒータをさらに備えている、
請求項1から3の何れか1項に記載の肌刺激装置。
【請求項5】
複数の前記ローラーを備え、
前記ローラーは、前記回転軸方向の外側へ向かって径が大きくなる略円錐台形状となっている、
請求項1から4の何れか1項に記載の肌刺激装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラーを用いて顔などの肌に刺激を与える肌刺激装置に関する。
【背景技術】
【0002】
顔周辺の肌面に対してローラーを回転させて肌に刺激を与える美容機器が知られている。このような美容機器には、ローラーによる刺激に加えて、電磁波よる刺激を肌に与えるものもある(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1には、肌面に回転体を当接して回転させると共に、高周波電流を印加して美容を行う美容ローラーが開示されている。この美容ローラーは、端部近傍に少なくとも2つの回転体の回転軸を軸支する軸支部を備えると共に、長手方向の外周を把持可能に形成した略棒状の本体部と、該本体部の長手方向から所定の開き角度の異なる方向に突設される該回転体の2つの回転軸と、該各回転軸により回動自在であって、肌面と当接する少なくとも一部位に高周波電流を印加する電極部を有する少なくとも2つの回転体と、該電極部と通電し、高周波電流を発生する高周波発生手段とを備える。
【0004】
特許文献2には、ローラーによる押圧刺激と電気刺激によって顔の筋肉を十分にエクササイズし、フェイスラインを引き締めることのできる美容ローラーが開示されている。この美容ローラーは、二股に分岐した一対のアーム部と、該各アーム部の先端側に回転自在に軸支された一対のローラーとを備えており、前記各ローラーは、夫々、当該各ローラーの周囲にEMSの電気刺激を筋肉に付与するためのプラス電極及びマイナス電極を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-124124号公報
【特許文献2】特開2019-193726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来の美容ローラーでは、電磁波を肌などの施術部位へ印加する電極は、ローラーに配置されている。しかし、回転するローラー自体に電極を配置すると、肌への電磁波の印加が不十分となる可能性がある。
【0007】
例えば、ローラーの表面に電極が設けられている構成では、肌への電磁波の付与を確実に行うために、ローラーを肌に対して強く押し付けることが求められる。しかし、ローラーによって肌を強く押圧することは、肌への負担が大きくなるため望ましくない。
【0008】
そこで、本発明では、ローラーの押圧による刺激と電磁波による刺激とをより効率的に肌へ付与することのできる肌刺激装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面にかかる肌刺激装置は、回転軸を中心に回転する少なくとも一つのローラーと、前記ローラーに対して、前記回転軸方向の外側に位置し、施術箇所に電磁波を印加する電極対とを備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一局面にかかる肌刺激装置によれば、ローラーの押圧による刺激と電磁波による刺激とをより効率的に肌へ付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる美容機器の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す美容機器において蓋体を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す美容機器の本体部の側面図である。
【
図4】
図1に示す美容機器の本体部のローラー配置部側を示す平面図である。
【
図5】
図4に示す本体部のA-A線部分の内部構成を示す断面図である。
【
図6】
図3に示す本体部の内部構成を示すブロック図である。
【
図7】
図3に示す本体部のローラー部分を分解した状態で示す側面図である。
【
図8】
図3に示す本体部のローラー部分を分解した状態で示す上方斜視図である。
【
図9】一実施形態にかかる美容機器のローラー部分の形状を説明するための模式図である。
【
図10】一実施形態にかかる美容機器を使用者の肌に当てた状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態では、肌刺激装置の一例として、主として美容目的で使用される美容機器を例に挙げて説明する。本実施形態にかかる美容機器は、主に顔および顔周辺の肌に対して、ローラーによる刺激と電磁波(例えば、RF、EMSなど)による刺激とを与えることによって、ハリの向上やたるみの改善などの肌美容を実現するために用いられる。なお、美容機器を用いて重点的にケアされる場所を施術箇所と呼ぶ。
【0013】
(美容機器の全体構成)
先ず、本実施の形態にかかる美容機器1の全体構成について、
図1および
図2を用いて説明する。
図1は、美容機器1の外観を示す斜視図である。
図2は、美容機器1を構成する本体部10と蓋体(キャップ)70とを分解した状態で示す斜視図である。
【0014】
図1に示すように、美容機器1は、その断面(具体的には、上面1aと略平行な断面)が扁平な略楕円形状を有する柱状体の外形を有している。上面1a以外の美容機器1の外観に関しては様々に変更可能である。美容機器1は、主として、本体部10と、蓋体70とで構成されている。
【0015】
本体部10は、ローラー部20および電極部30などを備えている。蓋体70は、本体部10の一部(具体的には、ローラー部20が配置されている部分)を覆うように設けられている。美容機器1における上下の位置関係は特に限定はされないが、説明の便宜上、美容機器1の蓋体70側の一面を上面1aとし、上面1aとは反対側に位置する本体部10の一面を下面1b(底面1bともいう)とする。
【0016】
美容機器1の下面1bは、平坦な面となっている。これにより、美容機器1は、例えば、机、洗面台、化粧台、棚などの水平面上に、下面1bを下にした状態で自立させることができる。美容機器1を自立可能な構成とすることで、保管および取り扱いのしやすさを向上させることができる。
【0017】
また、美容機器1に蓋体70が設けられていることで、本体部10のローラー部20および電極部30をカバーすることができる。これにより、ローラー部20および電極部30への汚れおよび傷などの付着を防ぐことができる。また、外出時に美容機器1を容易に携帯することができる。
【0018】
本実施形態にかかる美容機器1は、コードレスタイプであり、内部に二次電池(電池部35(
図5参照))を備えている。本体部10の側面(具体的には、背面部11b)には、二次電池に電気を供給するための電源接続部13が設けられている。なお、別の態様では、美容機器1は、取り外し可能な一次電池を有していてもよい。さらに別の実施態様では、美容機器1は、電源コードを有していてもよい。
【0019】
(本体部の外観構成)
続いて、美容機器1の本体部10の外観構成について説明する。
図3は、本体部10の前面部11a側を示す側面図である。
図4には、本体部10のローラーが配置されている側の面を示す。なお、この面は、本体部10の下面1bの反対側に位置しているため、本体部10の上面ということもできる。
【0020】
本体部10の上面は、側面視で略V字状の形状を有している(
図3参照)。本体部10の上面には、ローラー部20および電極部30などが配置されている。
【0021】
本体部10の外形は、主として、筐体11と、カバー部材15と、ローラー収容部材16とで構成されている。筐体11は、本体部10の上面以外の外形を形成している。筐体11は、上方に開口した箱状の形状を有している。筐体11は、美容機器1の上面視(蓋体70側から見た状態)の形状に合わせて上面視で扁平な略楕円形状を有している。筐体11の内部には、電池部35、制御部50、ヒータ部40、高周波発生部60などが収容されている(
図6参照)。
【0022】
筐体11における前後左右の位置関係は特に限定はされないが、説明の便宜上、略楕円形の断面形状を有する筐体11の外周面の各部分を、一側面の前面部11aを基準として、背面部11bおよび側面部11cと呼ぶ。
【0023】
背面部11bは、前面部11aの反対側に、前面部11aと略平行な位置関係で設けられている。前面部11aおよび背面部11bは、概ね平坦な面で構成されている。前面部11aおよび背面部11bの上端(カバー部材15が配置される側)の形状は、カバー部材15の形状に合わせて、側面視で左右方向の中央部が凹んだ略V字状の形状を有している。
【0024】
各側面部11cは、前面部11aと背面部11bとの間に位置している。側面部11cは、前面部11aおよび背面部11bよりも面積が小さく、凸状の曲面形状を有している。
【0025】
背面部11bには、本体部10の内部に設けられている電池部35(
図5参照)へ電気を供給するためのコネクタが接続される電源接続部13が配置されている(
図1参照)。この電源接続部13を介して電池部35への充電が行われる。別の実施態様では、電源接続部13は、筐体11の前面部11a、あるいは、筐体11の下面1bに設けられていてもよい。
【0026】
2つの側面部11cのうちの何れか一方には、操作部12が設けられている。操作部12は、美容機器1の電源スイッチとして機能する。すなわち、使用者が操作部12を操作することで、本体部10内のヒータ部40のON/OFF(加熱の開始よび停止)、高周波発生部60の動作のON/OFFを切り替えることができる。
【0027】
また、美容機器1において、ヒータ部40の温度を調節可能な構成とする場合には、使用者が操作部12を操作することでヒータ部40の温度を調節することができる。同様に、美容機器1において、電極部30へ印加される電磁波の周波数や電力を変更可能な構成とする場合には、使用者が操作部12を操作することで電磁波の周波数や電力を変更することができる。
【0028】
筐体11の外形の寸法は、使用者の手の大きさを考慮して設定することが好ましい。
【0029】
例えば、筐体11の厚さ(前面部11aと背面部11bとの距離)は、使用者が把持しやすい寸法とするのがよい。具体的には、本体部10の厚さ(前後方向の大きさ)は、20mm以上45mm以下とすることが好ましく、30mm以上40mm以下とすることがより好ましい。
【0030】
また、筐体11の縦幅(より具体的には、前面部11aおよび背面部11bの中央部における縦方向の寸法)は、前面部11aまたは背面部11bの全体を手のひらで抱えることができる程度の大きさとするのがよい。例えば、美容機器1の使用者の多くが日本人女性の場合には、本体部10の縦幅は60mm以上70mm以下とすることができる。
【0031】
カバー部材15は、本体部10の上面の大部分の外形を形成している。カバー部材15は、筐体11の上面視の形状に合わせて上面視で扁平な略楕円形状を有している。カバー部材15は、本体部10の上面の形状に合わせて、側面視で長手方向の中央部が凹んだ略V字状の形状を有している。カバー部材15には、4つの開口部15a・15b・15c・15dが形成されている(
図8参照)。これらの開口部の何れかに、ローラーおよびRF電極が嵌め込まれる。
【0032】
カバー部材15には、2つのローラー21aおよび21bが回転可能な状態で取り付けられている。2つのローラー21aおよび21bは、ローラー部20を構成している。
【0033】
ローラー収容部材16は、筐体11とカバー部材15との間に設けられている。具体的には、ローラー収容部材16は、筐体11の開口部に取り付けられている。ローラー収容部材16には、各ローラー21aおよび21bを収容するための凹部16Aが設けられている。また、ローラー収容部材16には、電極部30、およびヒータ部40などが備えられている。
【0034】
(本体部の内部構成)
続いて、本体部10の内部のより詳細な構成について説明する。
図5には、本体部10の内部構成を示す。
図5は、
図4のA-A線部分の断面図である。
図6は、本体部10の内部構成を模式的に示すブロック図である。
図7および
図8には、本体部10のローラー部分(カバー部材15およびローラー部20)を取り外した状態を示す。
【0035】
図6に示すように、本体部10には、ローラー部20、電極部30、ヒータ部40、高周波発生部60、制御部50、操作部12、および電池部35などが備えられている。
【0036】
ローラー部20は、2つのローラー(すなわち、第1ローラー21aおよび第2ローラー21b)を有している。
図5に示すように、第1ローラー21aは回転軸22aを有しており、この回転軸を中心に回転する。また、第2ローラー21bは回転軸22bを有しており、この回転軸を中心に回転する。2つの回転軸22aおよび22bは、上面視で、同一直線上に位置している。また、2つの回転軸22aおよび22bは、側面視で、略V字状に配置されている。すなわち、2つの回転軸22aおよび22bは、本体部10の上面の長手方向の形状に沿って延伸している。
【0037】
上述したように、第1ローラー21aおよび第2ローラー21bは、カバー部材15に取り付けられている。具体的には、カバー部材15の開口部15aに第1ローラー21aが嵌め込まれており、開口部15bに第2ローラー21bが嵌め込まれている。各ローラーの回転軸は、カバー部材15の内側に設けられている軸受け部23aおよび23bに取り付けられている。軸受け部23aおよび23bは、カバー部材15の長手方向の略中央部(すなわち、最も凹んだ部分)に配置されている。具体的には、第1ローラー21aの回転軸22aは、軸受け部23aに取り付けられている。また、第2ローラー21bの回転軸22bは、軸受け部23bに取り付けられている。
【0038】
カバー部材15と、カバー部材15に取り付けられたローラー部20とは、本体部10から取り外し可能に構成されている(
図7および
図8参照)。これにより、美容機器1を使用した後に、カバー部材15などを取り外して洗浄することができる。
【0039】
なお、第1ローラー21aおよび第2ローラー21bが各開口部15aおよび15bに嵌め込まれた状態で、開口部の周縁部とローラーとの間の隙間は、1mm以下となっていることが好ましい。これにより、使用時に、皮膚が隙間に挟まれる可能性を低減することができる。
【0040】
図4に示すように、回転軸22aおよび第1ローラー21aは、カバー部材15の長手方向の中央部から一方の端部側(
図5では、左側の端部側)へ延伸するように配置されている。また、回転軸22bおよび第2ローラー21bは、カバー部材15の長手方向の中央部から他方の端部側(
図5では、右側の端部側)へ延伸するように配置されている。
【0041】
上記の構成によれば、美容機器1の使用者が、本体部10の上面を施術箇所に当てた状態で、回転軸22aおよび22bと直交する方向に本体部10を滑るように移動させることで、施術箇所の表面上でローラーを回転させることができる。これにより、施術箇所をローラーで刺激することができる。
【0042】
各ローラーは、例えば、金属などの熱伝導性の比較的高い材料で形成されていることが好ましい。これにより、ヒータ部40で発生した熱によってローラーを効率的に温めることができる。本実施形態では、第1ローラー21aおよび第2ローラー21bは、ステンレスで形成されている。ローラーがステンレスで形成されていることで、例えば、アレルギーを有する人などがアレルギーになりにくい素材を選択することができる。
【0043】
電極部30は、2つの電極対(すなわち、第1電極対31(RF電極31aおよびRF電極31b)、並びに第2電極対32(RF電極32aおよびRF電極32b))を有している。各電極対は、正電極と負電極とで構成されている。例えば、RF電極31aが正電極の場合は、RF電極31bが負電極となる。また例えば、RF電極31aが正電極の場合は、RF電極31bが負電極となる。但し、電極の正負はこれに限定されない。
【0044】
電極部30を構成する各電極対は、ローラー部20を構成する各ローラーに対して、回転軸方向の外側に位置している。
【0045】
本実施形態では、第1ローラー21aに対して、回転軸22aの軸方向Xaの外側に、第1電極対31の一方のRF電極31aが位置しており、さらにその外側に、第2電極対32の一方のRF電極32aが位置している(
図10参照)。RF電極31aおよびRF電極32aは、カバー部材15の開口部15cに嵌め込まれている。そして、RF電極31aおよびRF電極32aは、側面視で略V字形状のカバー部材15の形状に沿うように配置されている(
図3参照)。
【0046】
また、第2ローラー21bに対して、回転軸22bの軸方向Xbの外側に、第1電極対31の他方のRF電極31bが位置しており、さらにその外側に、第2電極対32の他方のRF電極32bが位置している(
図10参照)。RF電極31bおよびRF電極32bは、カバー部材15の開口部15dに嵌め込まれている。そして、RF電極31bおよびRF電極32bは、側面視で略V字形状のカバー部材15の形状に沿うように配置されている(
図3参照)。
【0047】
図3に示すように、各RF電極31a・31b・32a・32bは、側面視でカバー部材15の表面からやや突出している。これにより、美容機器1の使用時に顔の表面などに本体部10の上面を当てたときに、各RF電極31a・31b・32a・32bの上面がより肌に接触しやすくなる。
【0048】
各ローラーおよび各電極が上記のように配置されていることで、美容機器1の使用時に、顔などの施術箇所に対してローラーの表面を当てたときに、施術箇所におけるローラーの当接部の外側に対して電極からの電流を印加することができる。
【0049】
電極部30の各電極には、高周波発生部60から所定の周波数を有する電磁波が送信される。電極部30の各電極を施術箇所(例えば、使用者の顔の表面)に当てた状態で高周波発生部60から各電極へ電気信号が送信されると、施術箇所(例えば、使用者の肌の表層部)を介して、電極対を構成する各電極間で電流が流れる(
図10参照)。
【0050】
これにより、電流が通過する肌の表層部では交流磁場が形成され、肌内部の水分子を振動させて温めることができる(
図10参照)。
【0051】
高周波発生部60から出力される電磁波は、例えば、ラジオ波(RF:Radio Frequency)である。ラジオ波の周波数は、例えば、1MHz以下とすることができる。また、電極間を流れる電磁波の電圧は、例えば、100V以上150V以下とすることができ、110V以上140V以下とすることが好ましく、125V以上135V以下とすることがより好ましい。電極間を流れる電磁波の電流は、例えば、10mA以上40mA以下とすることができ、15mA以上35mA以下とすることが好ましく、20mA以上30mA以下とすることがより好ましい。
【0052】
なお、高周波発生部60から出力される電磁波の種類および周波数は、上記のものに限定されない。高周波発生部60から出力される電磁波の種類および周波数を適宜変更することで、美容以外の目的(医療用、健康用)にも使用できる。
【0053】
ヒータ部40は、各ローラーの外周面などを温めるために備えられている。ヒータ部40は、主として、伝熱板25、加熱フィルム26、およびリング状部材27で構成されている。
【0054】
伝熱板25は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムなどの比較的高い熱伝導性を有する金属材料で形成された薄板状の部材である。伝熱板25は、その下層に位置する加熱フィルム26によって温められる。伝熱板25は、ローラー部20が収容される凹部16Aの底面を形成している(
図8参照)。ローラー部20が凹部16Aに収容された状態で、第1ローラー21aおよび第2ローラー21bの下方に位置する外周面は、伝熱板25と近接する。これにより、伝熱板25から第1ローラー21aおよび第2ローラー21bへ熱が伝わり、主にローラーの表面部分が温められる。温められたローラーで施術箇所を刺激することで、美容効果をより高めることができる。
【0055】
加熱フィルム26は、伝熱板25の下に配置されている。加熱フィルム26は、例えば、従来公知の電熱フィルムで形成されている。加熱フィルム26は、制御部50からの指示に基づいて通電のON/OFFが行われる。加熱フィルム26に通電が開始されると、加熱フィルム26の温度は上昇する。これにより、加熱フィルム26に重なるように配置されている伝熱板25の温度も上昇する。
【0056】
リング状部材27は、伝熱板25の外周を取り囲むように配置されている。リング状部材27は、例えば、シリカゲルで形成されている。これにより、リング状部材27によってヒータ部40の内部への水の侵入を抑えることができる。また、リング状部材27が設けられていることで、ヒータ部40とその周囲とを断熱することができる。
【0057】
高周波発生部60は、例えば、高周波電子回路を有している。高周波発生部60は、制御部50からの指示に基づいて動作のON/OFFが制御される。高周波発生部60が動作を開始すると、高周波発生部60から電極部30の各電極対31および32に対して電磁波が送信される。
【0058】
制御部50は、操作部12からの指示に基づいてヒータ部40および高周波発生部60のON/OFFを制御する。例えば、使用者が操作部12において、美容機器1の動作の開始を選択した場合には、制御部50は、ヒータ部40の通電、および高周波発生部60の動作を開始する。これにより、ヒータ部40内の加熱フィルム26の温度は上昇し、電極部30に対して高周波信号が送信される。
【0059】
電池部35は、筐体11の内部に設けられており、制御部50、ヒータ部40、および高周波発生部60などに対して電気を供給する(
図5参照)。本実施形態では、電池部35は二次電池で構成されており、電源接続部13を介して充電が行われる。
【0060】
操作部12は、筐体11の側面部11cに設けられている。使用者が操作部12を操作することで、本体部10内のヒータ部40のON/OFF(加熱の開始よび停止)、高周波発生部60の動作のON/OFFなどを切り替えることができる。
【0061】
(ローラーおよび電極の構成)
ここで、第1ローラー21aおよび第2ローラー21bのより詳細な形状について、
図9および
図10などを参照しながら説明する。また、以下では、ローラー部20、電極部30、およびヒータ部40の配置についても説明する。
図9は、本体部10の上面部分における側面視の形状を説明するための図である。
図10は、美容機器1を使用者の顔Fに当てたときの肌内部の様子を模式的に示す図である。
【0062】
本実施形態では、第1ローラー21aおよび第2ローラー21bは、カバー部材15の長手方向の中央部から外側へ向かって径が徐々に大きくなる略円錐台形状となっている。
図9に示すように、第1ローラー21aおよび第2ローラー21bの一部は、側面視でカバー部材15の表面からやや突出している。これにより、美容機器1の使用時に顔の表面などに本体部10の上面を当てたときに、第1ローラー21aおよび第2ローラー21bの上面が優先的に肌と接触することになる。
【0063】
また、第1ローラー21aおよび第2ローラー21bの上面は、側面視で略V字形状のカバー部材15の形状に沿って略V字形状となっている。そして、各ローラーが略円錐台形状となっていることで、2つの回転軸22aおよび22bの角度Aよりも、第1ローラー21aの上面の接線と第2ローラー21bの上面の接線とのなす角度Bは小さくなる(
図9参照)。一例では、角度Aは、約130度とすることができる。
【0064】
各ローラーがこのような構成を有していることで、ある程度の弾力や凹凸を有する肌の表面で第1ローラー21aおよび第2ローラー21bを回転させたときに、各ローラーの表面を肌に対して確実にフィットさせることができる。そのため、使用者がローラーを肌に対して強く当て過ぎることが抑制され、ローラーから適度な押圧力を施術箇所へ伝えることができる。
【0065】
第1ローラー21aおよび第2ローラー21bの回転軸方向に沿った表面は、やや丸みを帯びた曲面形状となっていることが好ましい。これにより、ある程度の弾力性を有する肌などに対するローラーの表面の接触面積を増やすことができる。
【0066】
また、第1ローラー21aおよび第2ローラー21bが円錐台形状となっており、かつ、角度Aよりも角度Bの方が小さくなっていることで、第1ローラー21aの下面の接線と第2ローラー21bの下面の接線とのなす角度C(
図10参照)は、角度Aより大きくなる。例えば、角度Aが約130度の場合、角度Cは180度に近くなる。これにより、第1ローラー21aおよび第2ローラー21bを、その下方に位置する伝熱板25の平坦面に対してより近接させた状態で配置させることができる。これにより、伝熱板25からの熱を各ローラーに対してより効率的に伝えることができる。
【0067】
電極部30の各電極には、高周波発生部60から所定の周波数を有する電磁波(高周波信号)が送信される。電極部30の各電極を施術箇所(例えば、使用者の顔Fの表面)に当てた状態で高周波発生部60から各電極へ高周波信号が送信されると、施術箇所(例えば、使用者の肌の表層部)を介して、電極対を構成する各電極間で電流が流れる。
【0068】
例えば、
図10では、肌内部を流れる電流を破線で示している。高周波発生部60から所定の周波数を有する電磁波が送信されると、一方のRF電極31aから他方のRF電極31bに対して電流が流れる。同様に、高周波発生部60から所定の周波数を有する電磁波が送信されると、一方のRF電極32aから他方のRF電極32bに対して電流が流れる。
【0069】
これにより、電流が通過する肌の表層部では交流磁場が形成され、肌内部の水分子を振動させて温めることができる。例えば、
図10では、交流磁場が形成されている領域に斜線を付している。
【0070】
このように、本実施形態では、2組の電極対31・32が設けられており、各電極対の間に電流が流れる。そのため、1組の電極対を用いて交流磁場を発生させる場合と比較して、より強い交流磁場を形成することができる。なお、本発明では、電極対の数は、2つに限定はされない。高周波発生部60などにおいてより強力な電磁波を生成することができる場合には、電極対は一つであってもよい。また、複数の電極対による相乗効果をより高めたい場合には、3組以上の電極対を備えるようにしてもよい。
【0071】
(美容機器の使用方法)
本実施形態の美容機器1は、例えば、顔および顔周辺(例えば、顔全体、フェイスライン、首筋など)の肌の美容目的で使用される。以下には、美容機器1の使用方法の一例について説明する。
【0072】
美容機器1を使用する場合には、使用者は、片方の手で本体部10を把持する。具体的には、本体部10の操作部12側の側面部11cに親指を配置し、反対側の側面部11cに親指以外の複数の指を配置し、背面部11bを手のひらで覆うようにして本体部10を把持する。
【0073】
このように本体部10を把持した状態で、使用者が操作部12を操作して電源をONにすると、ヒータ部40および高周波発生部60が作動状態となる。その後、本体部10の上面(ローラーが配置されている面)を施術箇所に当てる。この状態で、使用者は、例えば、各ローラーの回転軸22aおよび22bの軸方向と直交する方向に、本体部10を前後に繰り返し移動させる。
【0074】
高周波発生部60が作動状態となることで、各RF電極から施術箇所に対して印加されたラジオ波などの電磁波によって、肌内部に交流磁場が形成される(
図10参照)。これにより、施術箇所周辺の肌内部が温められる。
【0075】
また、ヒータ部40が通電状態となることで、ヒータ部40の温度が上昇し、各ローラー(すなわち、第1ローラー21aおよび第2ローラー21b)が温められる。これにより、ローラーが接触する肌の表面を温めることができる。
【0076】
各RF電極の内側に配置されている2つのローラー(すなわち、第1ローラー21aおよび第2ローラー21b)は、施術箇所の表面を回転しながら回転軸に直交する方向に移動する。これにより、施術箇所が刺激され、肌内部の老廃物や肌内部で滞っていた水分の循環を促進させることができる。これにより、肌の代謝を向上させて、肌のハリや弾力の向上が期待できる。
【0077】
(第1の実施形態のまとめ)
本実施形態にかかる美容機器1は、2つのローラー(具体的には、第1ローラー21aおよび第2ローラー21b)と、施術箇所に電磁波を印加する2つの電極対(具体的には、第1電極対31および第2電極対32)とを備えている。第1ローラー21aは、回転軸22aを中心に回転する。第2ローラー21bは、回転軸22bを中心に回転する。第1電極対31の一方のRF電極31aは、第1ローラー21aの回転軸方向の外側に位置し、第1電極対31の他方のRF電極31bは、第2ローラー21bの回転軸方向の外側に位置している。第2電極対32の一方のRF電極32aは、第1ローラー21aの回転軸方向の外側に位置し、第2電極対32の他方のRF電極32bは、第2ローラー21bの回転軸方向の外側に位置している。
【0078】
上記の構成によれば、施術箇所に電磁波を印加する電極が、回転するローラーではなく、ローラーの回転軸方向の外側に設けられている。これにより、ローラーを施術箇所に対して強く押し付けることなく、電極を施術箇所の表面に当てることができる。これにより、施術箇所に対して過度な負担をかけることなく、施術箇所に対して電磁波を印加することができる。したがって、本実施形態にかかる美容機器1によれば、ローラーの押圧による刺激と電磁波による刺激とをより効率的に肌へ付与することができる。
【0079】
なお、第1ローラー21aおよび第2ローラー21bの回転軸方向の外側に各電極(具体的には、RF電極31a・31b・32a・32b)が配置されていることで、美容機器1の使用時に、顔などの施術箇所に対してローラーの表面を当てたときに、施術箇所におけるローラーの当接部の外側に対して電極からの電流を印加することができる。これにより、施術箇所においてローラーが当接する箇所を含む比較的広範囲に交流磁場を形成することができる。そのため、施術箇所を効率的に温めることができる。
【0080】
また、本実施形態にかかる美容機器1は、使用者にとって持ちやすい形状となっている。そのため、使用者にとってより使い勝手の良い美容機器を提供することができる。
【0081】
本実施形態では、本体部10と蓋体70とで構成される美容機器1を例に挙げているが、別の実施態様では、美容機器1は、本体部10のみで構成されていてもよい。すなわち、美容機器1は、蓋体70を備えていてなくてもよい。
【0082】
なお、本実施形態では、本発明の肌刺激装置の一例として、主として美容目的で使用される美容機器を例に挙げて説明したが、肌刺激装置の用途は美容目的に限定されない。肌刺激装置は、健康目的、医療目的などの美容以外の用途にも使用可能である。
【0083】
肌刺激装置を美容目的以外用途に使用する場合には、高周波発生部60から出力される電磁波の種類および周波数などの出力を用途に応じて変更することが望ましい。肌刺激装置を医療目的および健康目的で使用する場合には、顔以外の体の部位に使用してもよい。ラジオ波以外の電磁波としては、例えば、EMS(Electrical Muscle Stimulation)などが挙げられる。
【0084】
EMSを用いる肌刺激装置は、肌およびその深層の筋肉に刺激を与えて筋肉を鍛えることができる。例えば、家庭用の肌刺激装置の場合、使用するEMSの周波数は、例えば、低周波(0.1Hz~1000Hz)、あるいは、1KHz以上2.5KHz以下などとすることができる。また、電極間を流れる電磁波の電圧は、例えば、7V以上50V以下とすることができ、電流は、例えば、200μA以下とすることができる。
【0085】
医療目的(業務用)で使用される肌刺激装置の場合、使用するEMSの電流値、周波数、および電圧について特に規定はないが、医師がそれぞれの患者の症状に応じて決定することができる。例えば、周波数に関しては、中周波(1,000Hz以上10,000Hz以下)から高周波(10,000Hz以上)の周波数帯域が好適に使用される。
【0086】
(まとめ)
本発明の一局面にかかる肌刺激装置(例えば、美容機器1)は、回転軸(例えば、回転軸22a、22b)を中心に回転する少なくとも一つのローラー(例えば、第1ローラー21a、第2ローラー21b)と、前記ローラーに対して、前記回転軸方向の外側に位置し、施術箇所に電磁波を印加する少なくとも一つの電極対(例えば、第1電極対31、第2電極対32)とを備えている。
【0087】
上記の本発明の一局面にかかる肌刺激装置(例えば、美容機器1)は、複数の前記ローラー(例えば、第1ローラー21aおよび第2ローラー21b)を備え、前記電極対(例えば、第1電極対31、第2電極対32)の一方の電極(例えば、RF電極31a、32a)は、前記複数のローラーのうちの一つのローラー(例えば第1ローラー21a)の前記回転軸方向の外側に位置し、前記電極対の他方の電極(例えば、RF電極31b、32b)は、前記複数のローラーのうちの他の一つのローラー(例えば第2ローラー21b)の前記回転軸方向の外側に位置していてもよい。
【0088】
上記の本発明の一局面にかかる肌刺激装置(例えば、美容機器1)において、前記電磁波は、ラジオ波であってもよい。
【0089】
上記の本発明の一局面にかかる肌刺激装置(例えば、美容機器1)は、前記ローラーを温めるヒータ(例えば、ヒータ部40)をさらに備えていてもよい。
【0090】
上記の本発明の一局面にかかる肌刺激装置(例えば、美容機器1)は、複数の前記ローラー(例えば、第1ローラー21aおよび第2ローラー21b)を備えており、前記ローラーは、前記回転軸方向の外側へ向かって径が大きくなる略円錐台形状となっていてもよい。
【0091】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
1 :美容機器(肌刺激装置)
10 :(美容機器の)本体部(肌刺激装置)
11 :筐体
12 :操作部
20 :ローラー部
21a :第1ローラー21a(ローラー)
21b :第2ローラー21b(ローラー)
22a :回転軸
22b :回転軸
30 :電極部
31 :第1電極対
31a :RF電極
31b :RF電極
32 :第2電極対
32a :RF電極
32b :RF電極
35 :電池部
40 :ヒータ部(ヒータ)
50 :制御部
60 :高周波発生部