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  • 特開-翼付針 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103775
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】翼付針
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/158 20060101AFI20230720BHJP
【FI】
A61M5/158 500K
A61M5/158 500H
A61M5/158 500P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004491
(22)【出願日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 一樹
(72)【発明者】
【氏名】工藤 辰也
(72)【発明者】
【氏名】川田 晃博
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英美
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066FF01
4C066KK05
4C066KK09
4C066NN06
(57)【要約】
【課題】翼付針を生体に穿刺する際に邪魔にならない安全機構を有する翼付針または翼付針を使用後に針に触れることなく作動させることが可能な安全機構を有する翼付針を提供する。
【解決手段】翼付針10は、ハブ本体部11と、ハブ本体部11の側面から両側に張り出す翼部14と、ハブ本体部11から翼部14の張り出す方向と直交する方向に突出する針16と、ハブ本体部11に回動可能に固定軸に固定され、針16を収容可能な針カバー部19とを備える。針カバー部19は、固定軸から延在し、ハブ本体部11に収納可能である。針カバー部19は、固定軸から延在する針収容部21と、固定軸から針収容部21の反対側に延在する操作部20とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハブ本体部と、
前記ハブ本体部の側面から両側に張り出す翼部と、
前記ハブ本体部から翼部の張り出す方向と直交する方向に突出する針と、
前記ハブ本体部に回動可能に固定軸に固定され、前記針を収容可能な針カバー部と、
を備える翼付針であって、
前記針カバー部は、
前記固定軸から延在し、前記ハブ本体部に収納可能である、
翼付針。
【請求項2】
ハブ本体部と、
前記ハブ本体部の側面から両側に張り出す翼部と、
前記ハブ本体部から翼部の張り出す方向と直交する方向に突出する針と、
前記ハブ本体部に回動可能に固定軸に固定され、前記針を収容可能な針カバー部と、
を備える翼付針であって、
前記針カバー部は、
前記固定軸から延在する針収容部と、
前記固定軸から前記針収容部の反対側に延在する操作部と、を有する、
翼付針。
【請求項3】
前記針カバー部は、前記針を収容した状態で前記針を固定する針ロック機構を有する、
請求項1または2に記載の翼付針。
【請求項4】
前記側面は、前記針カバー部が前記針を収容した状態で前記針カバー部と係合する第1の針カバーロック機構を有する、
請求項1~3の何れか一項に記載の翼付針。
【請求項5】
前記操作部は、前記針収容部の幅よりも大きな幅を有する、
請求項1~4の何れか一項に記載の翼付針。
【請求項6】
前記操作部は、前記翼部が張り出す方向の面に対し、前記針の突出する方向の逆側に傾斜する傾斜部を有する、
請求項1~5の何れか一項に記載の翼付針。
【請求項7】
前記ハブ本体部は、前記針カバー部を収容した状態で、前記針カバー部と係合する第2の針カバーロック機構を有する、
請求項1~6の何れか一項に記載の翼付針。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、安全機構を有する翼付針に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者に薬液等を注射する際、針の基端部のハブに一対の翼が突出形成された翼付針が広く用いられている。翼付針を生体に留置する際には、翼を粘着テープ等で皮膚に貼り付けることにより、翼付針を固定する。
【0003】
使用後の翼付針を廃棄する場合には、作業者等が誤って針先で指等を刺すのを防止するために、針先を覆う必要がある。特許文献1には、安全捕捉装置(安全機構)を備えたフーバー針組立体(翼付針)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6456934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の翼付針は、安全捕捉装置がむき出し状態のため翼付針を生体に穿刺する際に邪魔になる。翼付針を生体に留置する際には、皮膚に安全捕捉装置が触れるため、擦れて不快であり、皮膚を傷つけるおそれがある。
【0006】
翼付針を破棄する場合は、捕捉フードに針先を収める際に、針先側にある捕捉フードを持って行う必要があり、誤って針先で指を刺すおそれがある。また、捕捉フードは針全体を覆っていないので、針に付着した体液等に触れるおそれもある。
【0007】
本開示の目的は、翼付針を生体に穿刺する際に邪魔にならない安全機構を有する翼付針を提供することである。
【0008】
本開示の別の目的は、翼付針を使用後に針に触れることなく作動させることが可能な安全機構を有する翼付針を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る翼付針は、ハブ本体部と、ハブ本体部の側面から両側に張り出す翼部と、ハブ本体部から翼部の張り出す方向と略直交する方向に突出する針と、ハブ本体部に回動可能に固定軸に固定され、針を収容可能な針カバー部とを備え、針カバー部は、固定軸から延在し、ハブ本体部に収納可能であることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、針カバー部がハブ本体部に収納されているので、翼付針を穿刺する際及び生体に貼付けする際に邪魔にならない。
【0011】
本開示に係る翼付針は、ハブ本体部と、ハブ本体部の側面から両側に張り出す翼部と、ハブ本体部から翼部の張り出す方向と略直交する方向に突出する針と、ハブ本体部に回動可能に固定軸に固定され、針を収容可能な針カバー部とを備え、針カバー部は、固定軸から延在する針収容部と、固定軸から針収容部の反対側に延在する操作部とを有することを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、翼付針の針を針カバー部に収容する操作において、針や針付近の針収容部に触れることなく、針収容部と反対側の操作部により針に触れずに針カバー部を空洞部から取出し、針を収容することができる。
【0013】
本開示の一態様における翼付針の針カバー部は、針を収容した状態で針を固定する針ロック機構を有してもよい。
【0014】
上記構成によれば、針を針カバー部でロックするので容易に針カバー部が外れることなく、針で指等をケガすることを防止できる。
【0015】
本開示の一態様における翼付針の側面部は、針カバー部が針を収容した状態で針カバー部と係合する第1の針カバーロック機構を有してもよい。
【0016】
上記構成によれば、針を収容した針カバー部が容易に動かなくなるので、翼付針を破棄する際に、針で事故、ケガをすることが防止できる。
【0017】
本開示の一態様における翼付針の操作部は、針収容部の幅よりも大きな幅を有してもよい。
【0018】
上記構成によれば、操作部により針カバー部を初期状態から回動させる操作が容易になる。
【0019】
本開示の一態様における翼付針の操作部は、翼部が張り出す方向の面に対し、針の突出する方向の逆側に傾斜する傾斜部を有してもよい。
【0020】
上記構成によれば、傾斜を有することによって、操作部が指に係りやすくなり、操作部を上方に引き上げて、針カバー部を回転軸孔を中心に回動させて、針をロックする操作が容易になる。
【0021】
本開示の一態様における翼付針のハブ本体部は、針カバー部を収容した状態で、針カバー部と係合する第2の針カバーロック機構を有してもよい。
【0022】
上記構成によれば、初期状態において、針カバー部が容易に外れることが無く、針カバー部が誤って、針をロックしてしまい、翼付針が使用できなくなることを防止できる。
【発明の効果】
【0023】
本開示に係る翼付針は、生体に穿刺する際に邪魔にならない安全機構を有する、あるいは、使用後に針に触れることなく作動させることが可能な安全機構を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態の針カバー部をハブ本体部に収納した状態の翼付針の概略図であり、(a)は右斜め前方からの斜視図、(b)は右斜め後方からの斜視図である。
図2】実施形態の針カバー部に針を収容した状態の翼付針の概略図である。
図3】実施形態の翼付針の一部分解図である。
図4】実施形態の翼付針の一部分解図であり、右斜め下からの斜視図である。
図5】他の実施形態の翼付針の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、具体的な形状、材料、方向、数値等は、本開示の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができる。また、以下で説明する実施形態および変形例の構成要素を選択的に組み合わせることは当初から想定されている。
【0026】
以下の説明における、上下、前後、左右の方向は、説明のために便宜上使用しているに過ぎず、実施形態に係る翼付針の方向を規定する趣旨ではない。
【0027】
<第1の実施形態>
図1、2を参照して、本実施形態の翼付針10について説明する。図1は本実施形態の翼付針10において、針カバー部19をハブ本体部11に収納した状態の概略図であり、図1(a)は右斜め前方からの斜視図、図1(b)は右斜め後方からの斜視図である。図2は針カバー部19に針16を収容した状態の翼付針10の右斜め前方からの斜視図である。
【0028】
翼付針10は、ハブ本体部11と、ハブ本体部11の側面から左右に張り出す翼部14と、ハブ本体部11から翼部14の張り出す方向と直交する方向に突出する針16と、針16を収容可能な針カバー部19を備える。図1の翼付針10は、針カバー部19をハブ本体部11に収容した状態である。図2の翼付針10は、針カバー部19に針16を収容した状態である。
【0029】
ハブ本体部11は、左右に、下方向に延在する側面部12aを有している。側面部12aは、ハブ本体部11より前後方向に長く、ハブ本体部11の後方で、側面部12aの間は上面部12bによって塞がれている。上面部12bと左右の側面部12aの間は空洞で、空洞部13を形成している。空洞部13には、後述する針カバー部19の一部である針収容部21が収納可能に形成される。ハブ本体部11と側面部12aは一体に形成される。
【0030】
ハブ本体部11は、翼付針10を扱う際に把持される部分である。翼付針10を把持する際に、ハブ本体部11と側面部12aを把持するため、側面部12aは指先で把持できる程度の高さを有している。ハブ本体部11と側面部12aを指で把持して、翼部14とともに押すことで、針16を生体に穿刺して使用される。
【0031】
ハブ本体部11は、針カバー部19を固定する固定軸孔17を有している。図1に示す翼付針10は、固定軸孔17を側面部12aに設けている。後述するように、針カバー部19の突起24が固定軸孔17に嵌り、針カバー部19は、固定軸孔17を中心に回動可能に保持されている。
【0032】
ハブ本体部11の上部から側面部12aの間には、図示しない筒状部を有している。筒状部は、前後方向に延び、後方に向けて中空である。筒状部の後方の端は、チューブ接続孔15に連結している。筒状部の前方側は、下方に針16が接続され、針16は、筒状部と連通している。翼付針10を使用する際には、図示しないチューブをチューブ接続孔15に接続して、薬液を筒状部を介して針16から生体内に注射される。
【0033】
本実施形態の翼付針10において、ハブ本体部11の上部は半円柱状に形成されている。ハブ本体部11の形状は半円柱形状に限定はされないが、翼付針10を生体に穿刺した状態で、粘着テープ等で皮膚に貼り付けるため、上部が曲面である方が好ましい。また穿刺する際に持ちやすい形状である。
【0034】
翼部14は、側面部12aの下端から左右に張り出した形状をしている。翼部14の前方の張り出し幅は、後方の張り出し幅よりも大きく形成されている。この理由は、ハブ本体部11を把持する際に指先が当たる部分のためである。翼部14の前方の幅が大きいことで、穿刺する際に、翼部14を指で押すことができ、穿刺しやすい形状となっている。
【0035】
翼部14は、前後左右に平面状に広がるように形成されている。翼付針10を生体に留置する際には、粘着テープ等で生体に貼り付けるのに都合のよい形状である。また、翼部14は、平面状に広がり凹凸が無い形状をしている。翼付針10を生体に留置中には、翼部14が皮膚に触れるため、不快に感じないためである。また、翼部14の縁は丸みを持つように処理されている。皮膚に触れても不快に感じないためである。但し、翼部14の形状は、平面形状に限定されない。翼部14は操作性を考慮し、リブなどの把持する際に有利となるような構成を設けてもよい。
【0036】
ハブ本体部11と側面部12aと翼部14は、樹脂材料によって一体成形される。例えば、ポリ塩化ビニルで形成されるが、これに限定はされない。また、翼部14のみ別材料としてもよく、例えば、翼部14が、ハブ本体部11と側面部12aより軟質な部材で形成されてもよい。
【0037】
針16は、ハブ本体部11の前方の先端側から下方向に突出している。針16は、ステンレス材料等の金属材料を用いて形成される。針16は、先端を斜めに切断された中空の筒状であり、他端はハブ本体部11の筒状部と接続され、チューブ接続孔15と連通している。針16は、チューブ接続孔15を介して投入された薬液等を生体内に注射する役割を有する。針16の長さは、例えば10mm程度であるが、翼付針10の用途によって種々の長さを取り得る。
【0038】
針カバー部19は、本実施形態の翼付針10の安全機構である。針カバー部19は、図1に示すように一部がハブ本体部11の空洞部13に収納可能な形状である。針カバー部19は、例えばポロプロピレンなどの樹脂材料で形成されている。
【0039】
針カバー部19は、ハブ本体部11に設けた固定軸孔17に固定され、固定軸孔17を中心に回動可能である。
【0040】
針カバー部19は、図1の初期状態(未使用状態)において、後方に位置する針収容部21(図3参照)がハブ本体部11に収納されている。針カバー部19は、初期状態における前方に操作部20を有している。操作部20によって、針カバー部19を固定軸孔17を中心として回動可能である。針収容部21の長さは、針16の全体を収容可能な様に、針16の長さよりも若干長く形成されている。
【0041】
操作部20は、針カバー部19の針収容部21が固定軸孔17から延在する方向は反対側に延在している。操作部20は、初期状態において、翼部14より前方に突出している。更に、操作部20は、針収容部21の左右方向の幅よりも大きな幅を有している。操作部20が、翼部14より前方に突出し、針収容部21の幅より大きいことにより、針カバー部19を初期状態から回動させ、針16を収容する操作が容易となる。
【0042】
尚、本実施形態の翼付針10の操作部20は、図1に示すように略正円形に形成されているが、針カバー部19の操作が容易となる形状であれば円形に限定されず、多角形でもよい。一方、操作部20を指に係る際等に不快感を生じないためには、丸みを帯びた形状が好ましい。
【0043】
針カバー部19の針収容部21は、側面部12aの間隔よりも狭い2つの側板部25と側板部25の間を塞ぐ様に形成された上板部26で構成されている。側板部25の間には、後述する針ロック機構22が設けられている。
【0044】
<針ロック機構>
次に図2を参照して、本実施形態の翼付針10の針ロック機構22について説明する。本実施形態の翼付針10は、針カバー部19に針16を収容した状態でロックする針ロック機構22を有している。図1の状態から針カバー部19を回動させて、図2の状態にすることで、針ロック機構22の後方に針16を収容する。針16は、針収容部21と針ロック機構22によって、直接触れることがないように収容される。
【0045】
針ロック機構22は、針収容部21の側板部25の内向きに延びるL字状の針止部22aで構成されている。図2に示す針ロック機構22は、2つの針止部22aで構成されているが、針止部22aは、2つに限定されない。1つでも、3つでもそれ以上を有していてもよい。
【0046】
図2の例では、一方の針止部22aは、針収容部21の左側の側面に接続され、他方の針止部22aは、針収容部21の右側の側面に接続されている。しかし、針収容部21の左右の側板部25に交互に接続するような形態に限定されることは無く、例えば、複数の針止部22aが一方の側板部25だけに接続されていてもよい。
【0047】
針カバー部19を固定軸孔17を中心に回動して、空洞部13に収納された状態から図2に示す上下方向に立った状態に移動する過程で、L字状の針止部22aが針16で押されて変形して、針16を収容して変形が戻り針16をロックする(図2の状態)。
【0048】
本実施形態の翼付針10は、針カバー部19の針収容部21で、針16を全長に亘って収容するので、針16に直接触れることが無い。よって、針16に体液等が付着していたとしても、指等に触れることが無く、感染抑制効果を有する。
【0049】
<第1の針カバーロック機構>
次に図2を参照しつつ、針カバー部19の針カバーロック機構23について説明する。本実施形態の翼付針10は、図2の針16を収容した状態において、針カバー部19をハブ本体部11に固定する針カバーロック機構23を有している。
【0050】
翼付針10は、穿刺に使用した後は、針16が付いたまま破棄される。針カバーロック機構23を有することで、針16を収容した針カバー部19が容易に動かなくなるので、翼付針10を破棄する際に、針16で指等を刺すことが防止される。
【0051】
本実施形態の針カバーロック機構23は、側面部12aの前方端に爪を有し、針収容部21の対応する部分に凹みを設けた構造である。図2に示すように針カバー部19で針16を収容した状態で、側面部12aの爪が針収容部21の凹みに係止し、針カバー部19が容易に動かないようにロックされる。
【0052】
<回動機構>
次に図3、4を参照して、本実施形態の翼付針10の回動機構について説明する。図3は、翼付針10の一部分解図であり、図3は、ハブ本体部11と針16と、針カバー部19を分解した図である。図4は、図3を下から見た図である。
【0053】
既に述べたように、側面部12aには、固定軸孔17が設けられている。針収容部21の側板部25には、空洞部13に収納された状態で対応する位置に、突起24が設けら、突起24が固定軸孔17に嵌ることで、固定軸孔17を中心に回動可能に保持される。
【0054】
図4に示すように、側面部12aの内側の下端から上方に向けて溝27が設けられ、溝27の上端には、固定軸孔17が位置するように形成されている。両側面部12aの溝27の間隔は側面部12aの下端においては、針カバー部19の2つの突起24の間隔と同じか僅かに大きく形成されている。更に溝27の間隔は、上方に向かうに従って、僅かに狭まるように形成されて、固定軸孔17の位置では溝27は殆ど無くなるように形成されている。
【0055】
針カバー部19を取り付ける際には、針カバー部19の突起24を溝27に沿って、固定軸孔17の方向に突起24を押し込む。突起24の間隔が溝27の間隔より狭くなるが、側面部12aが弾性で左右に広がるように変形することで、突起24を固定軸孔17の位置まで押し込むことができる。突起24が固定軸孔17に嵌るまで針カバー部19を空洞部13に挿入することで、針カバー部19は固定軸孔17を中心に回動可能に保持される。
【0056】
<変形例>
図5に本開示の他の実施形態を示す。第1の実施形態と異なる点は、操作部20が翼部14の張り出す面(前後方向と左右方向に平行な面、本開示では水平面と呼ぶ)から、針16の突出する方向の逆側に傾斜する傾斜部28を有することである。
【0057】
図5に示す翼付針10においては、操作部20は、水平面から角度θだけ上方に傾斜している。傾斜部28を有することによって、操作部20が指に係りやすくなり、操作部20を上方に引き上げて、針カバー部19を固定軸孔17を中心に回動させて、針16をロックする操作が容易になる。
【0058】
角度θは僅かに傾斜する程度に形成している。何故なら、翼付針10を生体に留置した状態で、粘着テープで貼り付けて固定するが、操作部20が水平面から上方へ大きく傾斜していると、生体の皮膚表面からも大きく離れることになるので、指、衣類、チューブ等を引っかけるおそれがあるためである。角度θの値としては、例えば、5度~10度程度が好ましい。この範囲であれば、翼付針10を生体に留置している状態で、指、衣類、チューブ等を引っかけることもない。
【0059】
<第2の針カバーロック機構>
更に翼付針10は、初期状態において針カバー部19が容易に動かないように第2の針カバーロック機構を有してもよい。第2の針カバーロック機構を有することで、針カバー部19が誤って、針16をロックしてしまい、翼付針10が使用できなくなることを防止できる。
【0060】
側面部12aの空洞部13が形成される内側に、針カバー部19を収納した状態で針カバー部19をロックするようにして、第2の針カバーロック機構を形成することができる。例えば、第1の針カバーロック機構23と同様の構造を用いて形成することができる。即ち、側面部12aの下端の内側に爪を形成し、針カバー部19の対応する側板部25には溝を形成して、針カバー部19を空洞部13に収納した状態で爪と溝が係止するようにして第2の針カバーロック機構は形成することができる。但し、ロック機構の構成については、これに限定されない。
【0061】
なお、本発明は上述した実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において種々の変更や改良が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0062】
10 翼付針、11 ハブ本体部、12a 側面部、12b 上面部、13 空洞部、14 翼部、15 チューブ接続孔、16 針、17 固定軸孔、18 安全機構、19 針カバー部、20 操作部、21 針収容部、22 針ロック機構、22a 針止部、23 針カバーロック機構、24 突起、25 側板部、26 上板部、27 溝、28 傾斜部
図1
図2
図3
図4
図5