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特開2023-103890鞍乗型車両の防水構造及び鞍乗型車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103890
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】鞍乗型車両の防水構造及び鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 9/16 20200101AFI20230720BHJP
   B62J 43/30 20200101ALI20230720BHJP
【FI】
B62J9/16
B62J43/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004678
(22)【出願日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】清水 健太
(72)【発明者】
【氏名】藤原 祐
(57)【要約】
【課題】鞍乗型車両の電装品を好適に防水することができる鞍乗型車両の防水構造を、提供する。
【解決手段】鞍乗型車両の防水構造は、下側カバーと、上側カバーと、を備える。下側カバーは、電装品収納部と、第1壁部と、連結部と、を有する。電装品収納部は、電装品の前方、後方、側方、及び下方を覆う。第1壁部は、電装品収納部の前方、後方、及び側方を取り囲む。連結部は、第1壁部の下端及び電装品収納部を連結する。上側カバーは、蓋部と、第2壁部と、を有する。蓋部は、電装品収納部の上方開口端を覆う。第2壁部は、蓋部から連結部に向けて延びる。第2壁部は、電装品収納部の前方、後方、及び側方を覆う。第2壁部は、電装品収納部及び第1壁部の間において、電装品収納部及び第1壁部と間隔を隔てて配置される。第2壁部の先端及び連結部の間には、隙間が形成される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電装品を搭載する鞍乗型車両の防水構造であって、
前記電装品の前方、後方、側方、及び下方を覆う電装品収納部と、前記電装品収納部の前方、後方、及び側方を取り囲む第1壁部と、前記第1壁部の下端及び前記電装品収納部を連結する連結部と、を有する下側カバーと、
前記電装品収納部の上方開口端を覆う蓋部と、前記蓋部から前記連結部に向けて延び前記電装品収納部の前方、後方、及び側方を覆う第2壁部と、を有する上側カバーと、
を備え、
前記第2壁部は、前記電装品収納部及び前記第1壁部の間において、前記電装品収納部及び前記第1壁部と間隔を隔てて配置され、
前記第2壁部の先端及び前記連結部の間には、隙間が形成される、
鞍乗型車両の防水構造。
【請求項2】
前記第2壁部の前記先端は、前記電装品収納部の底面を基準として前記電装品の高さの1/2の位置より上方に配置される、
請求項1に記載の鞍乗型車両の防水構造。
【請求項3】
前記電装品収納部の前記上方開口端は、前記電装品収納部の底面を基準として前記電装品の高さの1/2の位置より上方に配置される、
請求項1又は2に記載の鞍乗型車両の防水構造。
【請求項4】
前記電装品収納部の前記上方開口端は、前記電装品の上面より上方に配置される、
請求項3に記載の鞍乗型車両の防水構造。
【請求項5】
前記鞍乗型車両は、前記鞍乗型車両の上方視において前記鞍乗型車両の前後方向に延びる中心軸を有し、
前記電装品は、電送線が接続される接続端子を有し、
前記連結部は、前記電送線が通過する孔部を有し、
前記孔部は、前記中心軸を基準として左方及び右方のいずれか一方に配置され、
前記接続端子は、前記左方及び前記右方のいずれか他方に配置される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の鞍乗型車両の防水構造。
【請求項6】
前記下側カバーの前記連結部は、排水孔を有する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の鞍乗型車両の防水構造。
【請求項7】
前記電装品は、バッテリを含む、
請求項1から6のいずれか1項に記載の鞍乗型車両の防水構造。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の防水構造、
を備える鞍乗型車両。
【請求項9】
シートと、
前記シートの前方且つ下方に配置されるフットボードと、
を備え、
前記防水構造は、前記フットボードの下方に配置される、
請求項8に記載の鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両の防水構造、及び防水構造を備える鞍乗型車両に、関する。
【背景技術】
【0002】
従来の鞍乗型車両には、電装品を防水する防水構造を備えるものがある。例えば、特許文献1の自動二輪車の防水構造では、防水容器と、下側カバーと、を備える。防水容器は、電装品の上方、前方、後方、及び側方を覆う。防水容器の側壁は、電装品の側方を取り囲む。下側カバーは、防水容器の下方開口部を覆う。下側カバーの側壁は、防水容器の側方を取り囲む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5650600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の防水構造では、水が防水容器の側壁及び下側カバーの側壁の間に侵入した場合、電装品が濡れるおそれがある。具体的には、水が防水容器の側壁及び下側カバーの側壁の間に侵入した状態において、自動二輪車が走行したり、静止状態の自動二輪車に対して振動が与えられたりした場合、この水には動圧が作用する。この動圧によって、防水容器の側壁及び下側カバーの側壁の間の水が、防水容器の内部に侵入するおそれがある。このように、従来の防水構造では、防水容器の内部の電装品が濡れるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、鞍乗型車両の電装品を好適に防水することができる鞍乗型車両の防水構造を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る鞍乗型車両の防水構造は、電装品を搭載する鞍乗型車両の防水構造である。鞍乗型車両の防水構造は、下側カバーと、上側カバーと、を備える。下側カバーは、電装品収納部と、第1壁部と、連結部と、を有する。電装品収納部は、電装品の前方、後方、側方、及び下方を覆う。第1壁部は、電装品収納部の前方、後方、及び側方を取り囲む。連結部は、第1壁部の下端及び電装品収納部を連結する。
【0007】
上側カバーは、蓋部と、第2壁部と、を有する。蓋部は、電装品収納部の上方開口端を覆う。第2壁部は、蓋部から連結部に向けて延びる。第2壁部は、電装品収納部の前方、後方、及び側方を覆う。第2壁部は、電装品収納部及び第1壁部の間において、電装品収納部及び第1壁部と間隔を隔てて配置される。第2壁部の先端及び連結部の間には、隙間が形成される。
【0008】
本態様に係る鞍乗型車両の防水構造では、上側カバーの第2壁部が、下側カバーの電装品収納部及び下側カバーの第1壁部の間に配置される。上側カバーの第2壁部は、下側カバーの電装品収納部と間隔を隔てて配置される。上側カバーの第2壁部は、下側カバーの第1壁部と間隔を隔てて配置される。
【0009】
この構成では、上側カバーの第2壁部及び下側カバーの第1壁部の間だけでなく、上側カバーの第2壁部及び下側カバーの電装品収納部の間にも、空間が形成される。すなわち、上側カバーの第2壁部及び下側カバーの第1壁部の間の空間と、上側カバーの第2壁部及び下側カバーの電装品収納部の間の空間と、第2壁部の先端及び連結部の間の隙間とによって、ラビリンス構造が形成される。
【0010】
このため、水が上側カバーの第2壁部及び下側カバーの第1壁部の間の空間に侵入したとしても、電装品収納部の内部への水の侵入が、上側カバーの第2壁部及び下側カバーの電装品収納部の間の空間によって、規制される。このように、本鞍乗型車両の防水構造では、従来技術を比較して、電装品を好適に防水することができる。
【0011】
第2壁部の先端は、電装品収納部の底面を基準として電装品の高さの1/2の位置より上方に配置されてもよい。これにより、上側カバーを下側カバーに対して容易に着脱することができる。
【0012】
電装品収納部の上方開口端は、電装品収納部の底面を基準として電装品の高さの1/2の位置より上方に配置されてもよい。これにより、電装品を好適に防水することができる。
【0013】
電装品収納部の上方開口端は、電装品の上面より上方に配置されてもよい。これにより、電装品をより好適に防水することができる。
【0014】
鞍乗型車両は、鞍乗型車両の上方視において鞍乗型車両の前後方向に延びる中心軸を有してもよい。電装品は、電送線が接続される接続端子を有してもよい。連結部は、電送線が通過する孔部を有してもよい。この場合、孔部は、中心軸を基準として左方及び右方のいずれか一方に配置される。接続端子は、左方及び右方のいずれか他方に配置される。
【0015】
例えば、鞍乗型車両がスタンドによって保持される際には、鞍乗型車両の姿勢は直立状態から傾斜状態に変化する。この場合、孔部の高さ位置が上方に移動し、接続端子の高さ位置が下方に移動するように、孔部及び接続端子を連結部及び電装品に各別に設けることによって、接続端子に対する水の付着を好適に防ぐことができる。これにより、接続端子に対する錆の発生を抑えることができ、接続端子における接触不良を好適に防ぐことができる。
下側カバーの連結部は、排水孔を有してもよい。これにより、水が連結部に侵入したとしても、この水を排水孔から排出することができる。
【0016】
電装品は、バッテリを含んでもよい。この場合、上記の構成によって、バッテリを好適に防水することができる。
【0017】
本発明の一態様に係る鞍乗型車両は、上述した防水構造を備える。本態様に係る鞍乗型車両では、上述した防水構造を備えるので、従来技術を比較して、電装品を好適に防水することができる。
【0018】
鞍乗型車両は、シートと、シートの前方且つ下方に配置されるフットボードと、を備えてもよい。この場合、防水構造は、フットボードの下方に配置される。この構成では、防水構造がフットボードの下方に配置された場合において、電装品を好適に防水することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、鞍乗型車両の防水構造によって、鞍乗型車両の電装品を好適に防水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】鞍乗型車両の側面図である。
図2】鞍乗型車両の上面図である。
図3】フットボードを上面図である。
図4】フットボードからメンテナンスカバー及び上側カバーを外した状態の防水構造の上面図である。
図5】防水構造の縦断面図である。
図6】防水構造の水平断面図である。
図7】防水構造の横断面図である。
図8】フットボードからメンテナンスカバーを外した状態の防水構造の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施形態に係る鞍乗型車両1について図面を参照して説明する。図1は、鞍乗型車両1の側面図である。本実施形態において、鞍乗型車両1は、スクータである。図1に示すように、鞍乗型車両1は、車体フレーム2と、ステアリング装置3と、前輪4と、シート5と、パワーユニット6と、後輪7と、車体カバー8とを備える。鞍乗型車両1は、電装品30と、電装品30を防水するための防水構造31を、さらに備える。
【0022】
以下の説明では、前後左右の方向は、シート5に着座した運転者から見たときの方向をいうものとする。例えば、図2に示すように、鞍乗型車両1を上方から見た上方視において、鞍乗型車両1には中心軸X1が定義される。鞍乗型車両1の上方視において、中心軸X1が延びる方向が前後方向である。鞍乗型車両1の上方視において、中心軸X1と直交する方向が左右方向である。左右方向は、側方に対応する文言である。前後方向及び左右方向に直交する方向は、上下方向である。
【0023】
図1に示すように、車体フレーム2は、ヘッドパイプ11と、ダウンフレーム12と、1対のロアフレーム13と、シートフレーム14と、を有する。ヘッドパイプ11は、鞍乗型車両1の左右方向における中央に配置される。例えば、ヘッドパイプ11は、図2に示す中心軸X1上に配置される。ヘッドパイプ11は、前方且つ下方に延びる。
【0024】
ダウンフレーム12は、ヘッドパイプ11から下方に延びる。1対のロアフレーム13は、ダウンフレーム12の下部から後方に延びる。1対のロアフレーム13は、左右方向に互いに間隔を隔てて配置される。シートフレーム14は、ロアフレーム13の後部から、後方且つ上方に延びる。
【0025】
ステアリング装置3は、ヘッドパイプ11に回転可能に支持される。ステアリング装置3は、前輪4を回転可能に支持する。ステアリング装置3は、フロントフォーク15と、ハンドル部材16と、を有する。フロントフォーク15は、ヘッドパイプ11に回転可能に支持される。前輪4は、フロントフォーク15に回転可能に支持される。ハンドル部材16は、フロントフォーク15に接続される。
【0026】
シート5は、ヘッドパイプ11の後方に配置される。シート5は、シートフレーム14の上方に配置される。シート5は、図示しないステーを介して、シートフレーム14に支持される。シート5の前部は、左右方向に延びる軸17によって、回動可能に支持される。シート5が軸17回りに回動することで、シート5の後部が上下方向に移動する。
【0027】
パワーユニット6は、シート5の下方に配置される。パワーユニット6は、エンジンを含む。パワーユニット6は、電動モータを含んでもよい。後輪7は、パワーユニット6に回転可能に支持される。
【0028】
車体カバー8は、フロントカバー21と、レッグシールド22と、フットボード23と、リアカバー24と、を有する。フロントカバー21とレッグシールド22とは、鞍乗型車両1の前部に配置される。フロントカバー21は、ヘッドパイプ11及びダウンフレーム12の前方に配置される。レッグシールド22は、ヘッドパイプ11及びダウンフレーム12の後方に配置される。
【0029】
リアカバー24は、鞍乗型車両1の後部に配置される。リアカバー24は、シート5の下方に配置される。リアカバー24は、パワーユニット6と後輪7の上方に配置される。リアカバー24は、左サイドカバー24aと、右サイドカバー24b(図2を参照)と、を含む。左サイドカバー24a及び右サイドカバー24bは、鞍乗型車両1の側部に配置される。
【0030】
図1に示すように、フットボード23は、レッグシールド22とリアカバー24との間に配置される。フットボード23は、レッグシールド22の下端から後方に延びる。フットボード23は、シート5の前方且つ下方に配置される。図2に示すように、フットボード23は、フットレスト部26と、メンテナンスカバー27と、を有する。フットレスト部26は、運転者のフットレストとして用いられる。
【0031】
図3に示すように、メンテナンスカバー27は、防水構造31を覆う。メンテナンスカバー27は、フットレスト部26に対して着脱可能に取り付けられる。メンテナンスカバー27がフットレスト部26に取り付けられた状態において、メンテナンスカバー27は運転者のフットレストとして用いられる。メンテナンスカバー27がフットレスト部26から取り外された状態において、運転者は防水構造31にアクセスすることができる。
【0032】
なお、メンテナンスカバー27は、防水構造31を構成する部材として解釈されてもよい。この場合、後述する防水構造31は、メンテナンスカバー27を含む。
【0033】
図1に示すように、電装品30は、鞍乗型車両1に搭載される。図3に示すように、電装品30は、フットボード23の下方に配置される。例えば、電装品30は、メンテナンスカバー27の下方に配置される。詳細には、電装品30は、防水構造31によって防水された状態において、メンテナンスカバー27の下方に配置される。
【0034】
電装品30はバッテリを含む。本実施形態では、電装品30がバッテリである場合の例が示される。電装品30は、電気によって機能する部品であれば、バッテリとは異なる部品であってもよい。電装品30は、バッテリ及び電気によって機能する部品の両方を含んでもよい。
【0035】
図4に示すように、電装品30は、電送線32が接続される少なくとも1つの接続端子34を、有する。本実施形態では、電装品30は、バッテリ本体33と、2つの接続端子34と、を有する。2つの接続端子34は、バッテリ本体33の上面33aに設けられる。
【0036】
2つの接続端子34は、中心軸X1を基準として左方及び右方のいずれか一方に配置される。本実施形態では、2つの接続端子34は左方に配置される。2つの接続端子34には、2つの電送線32が各別に接続される。2つの接続端子34は、プラス端子34aと、マイナス端子34bと、を含む。
【0037】
図3に示すように、防水構造31は、フットボード23の下方に配置される。防水構造31は、1対のロアフレーム13の間に配置される。防水構造31は、フットレスト部26に設けられる。
【0038】
図5に示すように、防水構造31は、下側カバー35と、上側カバー36と、を備える。下側カバー35は、メンテナンスカバー27の下方に配置される。下側カバー35は、フットレスト部26と一体に形成される。下側カバー35は、フットレスト部26と別体で形成され、フットレスト部26に取り付けられてもよい。下側カバー35は、電装品収納部37と、第1包囲壁部38(第1壁部の一例)と、連結部39と、を有する。図4に示すように、下側カバー35は、カバー取付部40をさらに有する。
【0039】
図5に示すように、電装品収納部37は、電装品30を収納する。図6に示すように、電装品収納部37は、電装品30の前方、後方、側方、及び下方を覆う。電装品収納部37は、第1前壁37aと、第1後壁37bと、第1左壁37cと、第1右壁37dと、底部37eと、を有する。第1前壁37aは、電装品30の前方を覆う。第1後壁37bは、電装品30の後方を覆う。第1左壁37cは、電装品30の左方を覆う。第1右壁37dは、電装品30の右方を覆う。
【0040】
図5及び図7に示すように、底部37eは、電装品30の下方を覆う。底部37eは、第1前壁37aの下端、第1後壁37bの下端、第1左壁37cの下端、及び第1右壁37dの下端に、接続される。第1前壁37a、第1後壁37b、第1左壁37c、第1右壁37d、及び底部37eは、互いに一体に形成される。
【0041】
図6に示すように、第1前壁37a、第1後壁37b、第1左壁37c、及び第1右壁37dは、電装品収納部37の外壁を形成する。電装品収納部37の外壁37a,37b,37c,37dは、電装品30を取り囲む。
【0042】
図5及び図7に示すように、底部37eは、電装品収納部37の底部を形成する。第1前壁37aの上端部、第1後壁37bの上端部、第1左壁37cの上端部、及び第1右壁37dの上端部は、電装品収納部37の上方開口端37fを形成する。
【0043】
好ましくは、図5及び図7に示すように、電装品収納部37の上方開口端37fは、電装品収納部37の底面37gを基準として電装品30の高さH1の1/2の位置より上方に配置される。より好ましくは、電装品収納部37の上方開口端37fは、電装品収納部37の底面37gを基準として電装品30の高さH1の2/3の位置より上方に配置される。
【0044】
本実施形態では、図7に示すように、電装品収納部37の上方開口端37fは、バッテリ本体33の上面33aより上方に配置される。電装品30の高さH1は、電装品30の最大高さによって定義される。電装品30が複数の部品を含む場合は、電装品30の高さH1は、複数の部品の中で最も高さが高い部品の高さによって、定義される。
【0045】
電装品30の高さH1を定義する際には、接続端子34は除かれるのが好ましい。例えば、電装品30がバッテリの場合、電装品30の高さH1は、バッテリ本体33の下面33b及びバッテリ本体33の上面33aによって定義されることが好ましい。
【0046】
図5に示すように、第1包囲壁部38は、フットレスト部26と一体に形成される。図6に示すように、第1包囲壁部38は、電装品収納部37の前方、後方、左方、及び右方を取り囲む。例えば、第1包囲壁部38は、電装品収納部37の外壁37a,37b,37c,37dを取り囲む。第1包囲壁部38は、第2前壁38aと、第2後壁38bと、第2左壁38cと、第2右壁38dと、を有する。
【0047】
第2前壁38aは、電装品収納部37の前方に配置される。例えば、第2前壁38aは、電装品収納部37の前方において、電装品収納部37の第1前壁37aと間隔を隔てて配置される。第2後壁38bは、電装品収納部37の後方に配置される。例えば、第2後壁38bは、電装品収納部37の後方において、電装品収納部37の第1後壁37bと間隔を隔てて配置される。
【0048】
第2左壁38cは、電装品収納部37の左方に配置される。例えば、第2左壁38cは、電装品収納部37の左方において、電装品収納部37の第1左壁37cと間隔を隔てて配置される。第2右壁38dは、電装品収納部37の右方に配置される。例えば、第2右壁38dは、電装品収納部37の右方において、電装品収納部37の第1右壁37dと間隔を隔てて配置される。
【0049】
図5及び図7に示すように、連結部39は、第1包囲壁部38の下端及び電装品収納部37を連結する。例えば、連結部39は、第1包囲壁部38の下端及び電装品収納部37の外壁37a,37b,37c,37dと一体に形成される。連結部39は、第1包囲壁部38の下端から電装品収納部37の外壁37a,37b,37c,37dに向けて延び、電装品収納部37の外壁37a,37b,37c,37dに接続される。電装品収納部37の外壁37a,37b,37c,37d、第1包囲壁部38、及び連結部39によって、溝部41が電装品30の周りに形成される。
【0050】
図7に示すように、連結部39は、電装品収納部37の底部37eの下面37h(外面)より上方に配置される。例えば、連結部39は、電装品収納部37の底面37gより上方に配置される。好ましくは、連結部39は、電装品収納部37の底面37gを基準として電装品30の高さH1の1/3の位置より上方に配置される。本実施形態では、連結部39は、電装品収納部37の底面37gを基準として電装品30の高さH1の1/2の位置に配置される。連結部39の配置位置は、連結部39の上面によって定義される。
【0051】
図6に示すように、連結部39は、配線孔39a(孔部の一例)と、排水孔39bと、を有する。配線孔39aには電送線32が挿通される。配線孔39aは連結部39を貫通する。すなわち、配線孔39aは溝部41の底部37eを貫通する。配線孔39aは、中心軸X1を基準として左方及び右方のいずれか他方に配置される。本実施形態では、配線孔39aは右方に配置される。
【0052】
排水孔39bは、溝部41に侵入した水を排水する。排水孔39bは溝部41の底部37eを貫通する。すなわち、排水孔39bは連結部39を貫通する。本実施形態では、排水孔39bは、中心軸X1を基準として左方に配置される。
【0053】
図8に示すように、カバー取付部40には、上側カバー36が取り付けられる。カバー取付部40は、第1包囲壁部38及びフットレスト部26の間に設けられる。例えば、カバー取付部40は、第1包囲壁部38の上端及びフットレスト部26を連結する部分27に、設けられる。なお、第1包囲壁部38の上端及びフットレスト部26を連結する部分27は、第1包囲壁部38に含まれると解釈されてもよい。
【0054】
図5及び図7に示すように、上側カバー36はメンテナンスカバー27の下方に配置される。例えば、上側カバー36は、メンテナンスカバー27及び下側カバー35の間に配置される。上側カバー36は、蓋部42と、第2包囲壁部43(第2壁部の一例)と、を有する。図8に示すように、上側カバー36は、取付アーム44をさらに有する。
【0055】
図5及び図7に示すように、蓋部42は、電装品収納部37の上方開口端37fを覆う。蓋部42は、メンテナンスカバー27及び電装品収納部37の上方開口端37fの間に配置される。蓋部42は、電装品収納部37の上方開口端37fと間隔を隔てて配置される。
【0056】
第2包囲壁部43は、電装品収納部37の前方、後方、左方、及び右方を覆う。第2包囲壁部43は蓋部42と一体に形成される。第2包囲壁部43は、蓋部42から連結部39に向けて延びる。第2包囲壁部43の先端43a及び連結部39の間には、隙間Gが形成される。
【0057】
鞍乗型車両1の前方視、後方視、及び/又は側方視において、第2包囲壁部43は電装品収納部37の外壁37a,37b,37c,37dと重複する。例えば、第2包囲壁部43の先端43aは、電装品収納部37の上方開口端37fより下方に配置される。第2包囲壁部43の先端43aは、連結部39より上方に配置される。
【0058】
第2包囲壁部43の先端43aは、電装品収納部37の底面37gより上方に配置される。好ましくは、第2包囲壁部43の先端43aは、電装品収納部37の底面37gを基準として電装品30の高さH1の1/2の位置より上方に配置される。
【0059】
図5図6、及び図7に示すように、第2包囲壁部43は、電装品収納部37及び第1包囲壁部38の間に配置される。例えば、第2包囲壁部43は、電装品収納部37の外壁37a,37b,37c,37d及び第1包囲壁部38の間に配置される。
【0060】
詳細には、第2包囲壁部43は、電装品収納部37の外壁37a,37b,37c,37dと間隔を隔てて配置される。第2包囲壁部43は、第1包囲壁部38と間隔を隔てて配置される。
【0061】
より詳細には、第2包囲壁部43は、上述した溝部41に配置された状態において、電装品収納部37の外壁37a,37b,37c,37d、第1包囲壁部38、及び連結部39と間隔を隔てて配置される。
【0062】
すなわち、第2包囲壁部43及び溝部41(電装品収納部37の外壁37a,37b,37c,37d、第1包囲壁部38、及び連結部39)によって、ラビリンス構造41,43が形成される。このラビリンス構造41,43によって、溝部41に侵入した水が電装品収納部37の内部に入り込むのが規制される。
【0063】
図8に示すように、取付アーム44は蓋部42に設けられる。例えば、取付アーム44は蓋部42と一体に形成される。取付アーム44は、蓋部42と別体で形成され、蓋部42に取り付けられてもよい。取付アーム44は、カバー取付部40に対して着脱可能に取り付けられる。
【0064】
取付アーム44がカバー取付部40に取り付けられた状態において、上側カバー36の内側の空間には、空気層が形成される。この空気層によって、溝部41に侵入した水が電装品収納部37の内部に入り込むのが規制される。
【0065】
本実施形態に係る鞍乗型車両1では、下側カバー35の第1包囲壁部38及び上側カバー36の第2包囲壁部43は、互いに間隔を隔てて配置される。上側カバー36の第2包囲壁部43及び下側カバー35の電装品収納部37の外壁37a,37b,37c,37dは、互いに間隔を隔てて配置される。第2包囲壁部43の先端43a及び連結部39の間には、隙間Gが形成される。
【0066】
すなわち、下側カバー35の第1包囲壁部38及び上側カバー36の第2包囲壁部43の間の空間と、上側カバー36の第2包囲壁部43及び下側カバー35の電装品収納部37の外壁37a,37b,37c,37dの間の空間と、第2包囲壁部43の先端43a及び連結部39の間の隙間Gとによって、ラビリンス構造41,43が形成される。
【0067】
これにより、水が下側カバー35の第1包囲壁部38及び上側カバー36の第2包囲壁部43の間の空間に侵入したとしても、上側カバー36の内側の空気層とラビリンス構造41,43とによって、電装品収納部37の内部への水の侵入を確実に規制することができる。このように、本鞍乗型車両の防水構造31では、従来技術を比較して、電装品30を好適に防水することができる。
【0068】
以上、上記実施形態では、本発明の一実施形態が説明された。本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。鞍乗型車両1は、スクータに限らず、モペッドなどの他の種類の車両であってもよい。
【0069】
防水構造31は、上記の実施形態の構成に限定されず、変更されてもよい。例えば、上記実施形態の構成を満足する範囲において、上下方向における第2包囲壁部43の先端43aの位置、及び/又は、上下方向における連結部39の位置は、変更されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、鞍乗型車両、例えば鞍乗型車両の防水構造に利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 鞍乗型車両
5 シート
23 フットボード
30 電装品
31 防水構造
32 電送線
33a 電装品の上面
34,34a,34b 接続端子
35 下側カバー
36 上側カバー
37 電装品収納部
37f 電装品収納部の上方開口端
37g 電装品収納部の底面
38 第1包囲壁部
39 連結部
39a 配線孔
39b 排水孔
42 蓋部
43 第2包囲壁部
G 隙間
H1 電装品の高さ
X1 鞍乗型車両の中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8