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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103899
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】容器移送方法および容器移送装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20230720BHJP
【FI】
G01N35/04 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004693
(22)【出願日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】巴山 幸賢
(72)【発明者】
【氏名】大前 勇一郎
(72)【発明者】
【氏名】若宮 裕二
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 知弘
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CB08
2G058CB15
2G058CF18
2G058GC02
2G058GC06
(57)【要約】
【課題】装置の小型化を可能にしながら、接近して保持された複数の容器から対象の容器を円滑に取り出すことできる容器移送方法および容器移送装置を提供する。
【解決手段】開閉動作、垂直方向移動および水平方向移動が可能な把持部640を用いて、複数の容器110を保持可能なバッファラック120から容器110を移動させる容器移送方法において、平面視で容器110が保持されていない位置において、把持部640を容器110の蓋部113より低い位置まで下方向に移動させ、開状態の把持部640をバッファラック120上の対象容器T1に向けて水平方向に移動させ、対象容器T1に対して水平方向に移動した後に対象容器T1に対して把持部640を閉状態にし、閉状態にした把持部640を上方向に移動させる。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉動作、垂直方向移動および水平方向移動が可能な把持部を用いて、複数の容器を保持可能な容器保持部から容器を移動させる容器移送方法であって、
平面視で前記容器が保持されていない位置において、前記把持部を前記容器の頭部より低い位置まで下方向に移動させ、
開状態の前記把持部を前記容器保持部上の対象容器に向けて水平方向に移動させ、
前記対象容器に対して水平方向に移動した後に前記対象容器に対して前記把持部を閉状態にし、
閉状態にした前記把持部を上方向に移動させる、容器移送方法。
【請求項2】
前記容器を把持した前記把持部を前記容器保持部上の保持位置に向けて下方向に移動させ、
前記把持部を開状態にし、
前記開状態の前記把持部を前記容器が保持されていない位置に向けて水平方向に移動させ、
前記把持部を上方向に移動させる、請求項1に記載の容器移送方法。
【請求項3】
前記容器は前記容器保持部上に形成された穴に保持される、請求項1または2に記載の容器移送方法。
【請求項4】
前記容器の取り出し動作において、前記把持部は、前記容器保持部上の隣り合う2つの前記穴の間に向けて下降する、請求項3に記載の容器移送方法。
【請求項5】
前記把持部は、隣り合う2つの前記穴の間の位置のうち、第1間隔より広い第2間隔の位置に下降する、請求項4に記載の容器移送方法。
【請求項6】
前記容器の取り出し動作において、前記把持部は、平面視において前記容器保持部の外側の位置に向けて下降する、請求項3に記載の容器移送方法。
【請求項7】
前記容器の収納動作において、前記容器の収納後、前記把持部は、前記容器保持部上の隣り合う2つの前記穴の間に水平移動し、その後、上昇する、請求項3ないし6の何れか一項に記載の容器移送方法。
【請求項8】
前記把持部は、隣り合う2つの前記穴の間の位置のうち、第1間隔より広い第2間隔の位置から上昇する、請求項7に記載の容器移送方法。
【請求項9】
前記容器の収納動作において、前記容器の収納後、前記把持部は、隣り合う前記穴の間に移動した後、前記容器より高く、且つ、前記穴の深さより小さい距離だけ上昇し、その後、所定距離だけ水平方向に移動し、さらに、上方向に移動する、請求項7または8の何れか一項に記載の容器移送方法。
【請求項10】
前記容器の収納動作において、前記容器の収納後、前記把持部は、平面視において前記容器保持部の外側に水平移動し、その後、上昇する、請求項3に記載の容器移送方法。
【請求項11】
前記把持部が上昇した状態で水平方向に移動する速度は、前記把持部が下降した状態で水平方向に移動する速度よりも速い、請求項1ないし10の何れか一項に記載の容器送方法。
【請求項12】
開閉動作、垂直方向移動および水平方向移動が可能な把持部を用いて、複数の容器を保持可能な容器保持部の保持位置に容器を移動させる容器移送方法であって、
対象容器を把持した前記把持部を前記対象容器が収納される前記容器保持部上の前記保持位置に向けて下方向に移動させ、
前記把持部を開状態にし、
前記開状態の前記把持部を前記容器が保持されていない位置に向けて水平方向に移動させ、
前記把持部を上方向に移動させる、容器移送方法。
【請求項13】
複数の容器を保持可能な容器保持部から容器を移動させる容器移送装置であって、
開閉動作可能な把持部と、
前記把持部を垂直方向および水平方向に移動させる移動機構部と、
前記把持部および前記移動機構部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
平面視で前記容器が保持されていない位置に向けて前記把持部を前記容器の頭部より低い位置まで下方向に移動させ、
開状態の前記把持部を前記容器保持部上の対象容器に向けて水平方向に移動させ、
前記対象容器に対して水平方向に移動した後に前記対象容器に対して前記把持部を閉状態にし、
閉状態にした前記把持部を上方向に移動させるよう、前記把持部および前記移動機構部を制御する、容器移送装置。
【請求項14】
前記制御部は、さらに、
前記容器を把持した前記把持部を前記容器保持部上の保持位置に向けて下方向に移動させ、
前記把持部を開状態にし、
前記開状態の前記把持部を前記容器が保持されていない位置に向けて水平方向に移動させ、
前記把持部を上方向に移動させるよう、前記把持部および前記移動機構部を制御する、請求項13に記載の容器移送装置。
【請求項15】
前記把持部は、対向して配置され互いに近接および離隔可能な2つの把持部材を備える、請求項13または14に記載の容器移送装置。
【請求項16】
前記把持部は、前記容器を把持する状態において、前記容器を3箇所で把持する、請求項15に記載の容器移送装置。
【請求項17】
前記把持部は、一方の前記把持部材が前記容器と1箇所で接し、他方の前記把持部材が前記容器と2箇所で接することにより前記容器を把持する、請求項16に記載の容器移送装置。
【請求項18】
平面視において、他方の前記把持部材の前記容器と接する2つの部位を結ぶ直線を垂直に2等分する直線上に、一方の前記把持部材の前記容器と接する部位が位置づけられている、請求項17に記載の容器移送装置。
【請求項19】
他方の前記把持部材の内側面には、平面視において前記把持部の把持方向に垂直な方向に並ぶ2つの突起部が形成されている、請求項17または18に記載の容器移送装置。
【請求項20】
一方の前記把持部材の内側面には、平面部が形成されている、請求項17ないし19の何れか一項に記載の容器移送装置。
【請求項21】
前記平面部の上端には、外側方向に延びた段部が形成されている、請求項20に記載の容器移送装置。
【請求項22】
前記段部は、側面視において、他方の前記把持部材に形成された2つの突起部の上端および下端の間に位置している、請求項21に記載の容器移送装置。
【請求項23】
前記2つの把持部材の先端部分には、角が切り取られた切欠きが形成されている、請求項15ないし21の何れか一項に記載の容器移送装置。
【請求項24】
前記2つの把持部材は、それぞれ、前記容器を把持する部位よりも上方に、把持方向に貫通する開口を備える、請求項15ないし23の何れか一項に記載の容器移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器移送方法および容器移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検体容器を複数列に並べて保持する装置として、例えば特許文献1に開示された検体移し替え装置が知られている。この検体移し替え装置は、検体容器に収容された検体を測定する測定ユニットと搬送ユニットを介して接続されている。検体移し替え装置は、一時的に検体容器を収容するためのバッファラックを備える。検体移し替え装置は、搬送用の検体ラックから取り出した検体容器をバッファラックに収容し、バッファラックに収容された検体容器を検体ラックに収容することで、検体を並び替えることが可能である。
【0003】
特許文献1の検体移し替え装置は、ラックに収容された検体容器を取り出す場合に、把持部を開状態にした状態で移し替え対象の容器の真上に位置づける。そこから、把持部を下降させ、把持部を閉じることで対象の容器を把持させ、把持部を上昇させる。そして、把持部を他の場所に移送し、下降させ、把持部に容器を開放させ、把持部を上昇させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-087306号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
検査室の限られたスペースをより有効に活用できるよう、検体検査に関連する装置には小型化が求められている。検体移し替え装置を小型化するために、装置内部のラックに保持する検体容器間の間隔を小さくする必要がある。しかしながら、把持部を開いた状態で下降させ、隣接する2つの検体容器の間に把持部を差し込む特許文献1の方法では、把持部を容器に衝突させずに安定した動作を行うためには、検体容器間の間隔を小さくすることには限界がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みて完成されたものであり、装置の小型化を可能にしながら、接近して保持された複数の容器の中から対象の容器を取り出すことができる容器移送方法および容器移送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の容器移送方法は、開閉動作、垂直方向移動および水平方向移動が可能な把持部(640)を用いて、複数の容器(110)を保持可能な容器保持部(22、24、25、100、120、130)から容器(110、T1)を移動させる容器移送方法に関する。本発明の容器移送方法は、平面視で容器(110、T1)が保持されていない位置において、把持部(640)を容器(110、T1)の頭部(113)より低い位置まで下方向に移動させ(S11)、開状態の把持部(640)を容器保持部(22、24、25、100、120、130)上の対象容器(110、T1)に向けて水平方向に移動させ(S12)、対象容器(110、T1)に対して水平方向に移動した後に対象容器(110、T1)に対して把持部(640)を閉状態にし(S13)、閉状態にした把持部(640)を上方向に移動させる(S14)。
【0008】
本発明の容器移送方法によれば、容器保持部から対象容器を取り出す際に、一旦、容器がない位置に向けて把持部が下降される。これにより、把持部の下降時に、把持部が対象容器や他の容器と衝突することを回避できる。また、下降後に開状態の把持部が対象容器に向けて移動されるため、移動経路に他の容器が存在しても、把持部は他の容器の側面をすり抜けて対象容器へと水平移動し、対象容器へと円滑に到達する。その後、把持部が閉状態にされることにより、対象容器が把持部に把持される。さらに、閉状態の把持部が上方向に移動されることにより、対象容器が容器保持部から抜き取られる。よって、小型化のために容器保持部に複数の容器を接近して配置した場合であっても、把持部を対象容器または周辺の容器に衝突させることなく取り出すことができる。
【0009】
本発明の容器移送方法は、開閉動作、垂直方向移動および水平方向移動が可能な把持部(640)を用いて、複数の容器(110)を保持可能な容器保持部(22、24、25、100、120、130)の保持位置に容器(110、T1)を移動させる容器移送方法に関する。本発明の容器移送方法は、対象容器(110、T1)を把持した把持部(640)を対象容器(110、T1)が収納される容器保持部(22、24、25、100、120、130)上の保持位置に向けて下方向に移動させ(S21)、把持部(640)を開状態にし(S22)、開状態の把持部(640)を容器(110)が保持されていない位置に向けて水平方向に移動させ(S23)、把持部(640)を上方向に移動させる(S24)。
【0010】
本発明の容器移送方法によれば、容器を保持位置に収納した後、把持部は、開状態で、容器がない位置に向けて水平方向に移動され、その位置から上方向に移動される。これにより、水平方向の移動経路に他の容器が存在しても、把持部は他の容器の側面をすり抜けて、容器がない位置へと移動する。その後、把持部は、容器がない位置において上方向に移動する。そのため、小型化のために容器保持部に複数の容器を接近して配置した場合であっても、把持部が容器に引っかかることにより容器保持部から意図せず容器が脱落する事態を回避できる。
【0011】
本発明の容器移送装置(20、40、70)は、複数の容器(110)を保持可能な容器保持部(22、24、25、100、120、130)から容器(110、T1)を移動させる容器移送装置に関する。本発明の容器移送装置(20、40、70)は、開閉動作可能な把持部(640)と、把持部(640)を垂直方向および水平方向に移動させる移動機構部(610、620、630)と、把持部(640)および移動機構部(610、620、630)の動作を制御する制御部(801、811、821)と、を備える。制御部(801、811、821)は、平面視で容器(110、T1)が保持されていない位置に向けて把持部(640)を容器(110、T1)の頭部(113)より低い位置まで下方向に移動させ、開状態の把持部(640)を容器保持部(22、24、25、100、120、130)上の対象容器(110、T1)に向けて水平方向に移動させ、対象容器(110、T1)に対して水平方向に移動した後に対象容器(110、T1)に対して把持部(640)を閉状態にし、閉状態にした把持部(640)を上方向に移動させるよう、把持部(640)および移動機構部(610、620、630)を制御する。
【0012】
本発明の容器移送装置によれば、容器保持部に複数の容器を接近して配置した場合であっても、把持部を対象容器または周辺の容器に衝突させることなく取り出すことができる。よって装置の小型化を可能にしながら、接近して保持された複数の容器の中から対象の容器を取り出すことできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、装置の小型化を可能にしながら、接近して保持された複数の容器の中から対象の容器を取り出すことできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態に係る、検体検査システムの構成を模式的に示す図である。
図2図2は、実施形態に係る、ラックおよび容器の構成を示す斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る、供給装置の構成を模式的に示す平面図である。
図4図4は、実施形態に係る、検体並び替え装置の第1階層の構成を模式的に示す平面図である。
図5図5は、実施形態に係る、検体並び替え装置の第2階層の構成を模式的に示す平面図である。
図6図6は、実施形態に係る、検体並び替え装置の外観を模式的に示す斜視図である。
図7図7は、実施形態に係る、検体保管装置の第1階層の構成を模式的に示す平面図である。
図8図8は、実施形態に係る、検体保管装置の第2階層の構成を模式的に示す平面図である。
図9図9は、実施形態に係る、検体保管装置の外観を模式的に示す斜視図である。
図10図10は、実施形態に係る、検体並び替え装置の容器移送機構の構成を模式的に示す平面図である。
図11図11は、実施形態に係る、上下移送部および把持部の構成を模式的に示す側面図である。
図12図12は、実施形態に係る、前方側から見た把持部の構成を示す斜視図である。
図13図13は、実施形態に係る、後方側から見た把持部の構成を示す斜視図である。
図14図14は、実施形態に係る、把持部が容器を把持した状態を模式的に示す平面図である。
図15図15は、実施形態に係る、把持部が容器を把持した状態を模式的に示す側面図である。
図16図16は、実施形態に係る、供給装置の構成を示すブロック図である。
図17図17は、実施形態に係る、検体並び替え装置の構成を示すブロック図である。
図18図18は、実施形態に係る、検体保管装置の構成を示すブロック図である。
図19図19は、実施形態に係る、平面視においてラックの外側の位置に把持部が下降する例を模式的に示す平面図である。
図20図20は、実施形態に係る、平面視においてラックの外側の位置に把持部が下降される例を模式的に示す側面図である。
図21図21は、実施形態に係る、平面視においてラックの外側の位置に把持部が下降される例を模式的に示す側面図である。
図22図22は、実施形態に係る、ラック上の隣り合う2つの穴の間の位置に把持部が下降する例を模式的に示す平面図である。
図23図23は、実施形態に係る、ラック上の隣り合う2つの穴の間の位置のうち広い位置に把持部が下降する例を模式的に示す平面図である。
図24図24は、実施形態に係る、ラック上の容器が保持されていない穴の位置に把持部が下降する例を模式的に示す平面図である。
図25図25は、実施形態に係る、収納時に把持部が階段状に上昇する例を模式的に示す側面図である。
図26図26は、実施形態に係る、収納時に把持部が階段状に上昇する例を模式的に示す側面図である。
図27図27は、実施形態に係る、収納時に把持部が階段状に上昇する例を模式的に示す側面図である。
図28図28は、実施形態に係る、取り出し動作の処理を示すフローチャートである。
図29図29は、実施形態に係る、収納動作の処理を示すフローチャートである。
図30図30は、実施形態に係る、収納動作時に把持部を上方向に移動させる処理を示すフローチャートである。
図31図31は、実施形態に係る、供給装置において、加温部と移し替え位置のラックとの間で行われる容器の移し替え動作を模式的に示す図である。
図32図32は、実施形態に係る、供給装置において、洗浄液ラックおよび精度管理検体ラックに対して行われる容器の移し替え動作を模式的に示す図である。
図33図33は、実施形態に係る、検体並び替え装置において、バッファラックと昇降位置のラックとの間で行われる容器の移し替え動作を模式的に示す図である。
図34図34は、実施形態に係る、検体保管装置において、昇降位置のラックとアーカイブラックとの間で行われる容器の移し替え動作を模式的に示す図である。
図35図35は、実施形態に係る、効果をより詳細に説明するための模式図である。
図36図36は、実施形態に係る、効果をより詳細に説明するための側面図および平面図である。
図37図37は、変更例に係る、把持部の把持方向および把持部が下方で移動する方向が前後左右方向に対して傾いている場合の把持部の動作を模式的に示す平面図である。
図38図38は、変更例に係る、4箇所で容器を把持する把持部の構成を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、検体検査システム1の構成を模式的に示す図である。
【0016】
図1には、検体検査システム1の平面視の構成が示されており、平面視における前後左右の方向が示されている。下流方向および後段方向は左方向であり、上流方向および前段方向は右方向である。オペレータは、検体検査システム1の前方側から検体検査システム1に対してアクセスする。検体検査システム1の前側は、オペレータにとっての手前側に対応する。
【0017】
検体検査システム1は、投入装置11、搬送装置12、回収装置13、供給装置20、検体に含まれる血球を計数する血球計数装置30、検体並び替え装置40、搬送装置51、塗抹標本作製装置52、搬送装置61、CRP、HbA1c、ESRなどの測定項目を測定する分析装置62、検体保管装置70、および搬送制御装置80を備える。血球計数装置30は、1つの搬送装置31と2つの測定装置32とを含む組を2つ備え、1つの制御装置33を備える。
【0018】
制御装置33は、搬送装置31、測定装置32、およびホストコンピュータ2と通信可能に接続されている。塗抹標本作製装置52は、搬送装置51およびホストコンピュータ2と通信可能に接続されている。分析装置62は、搬送装置61およびホストコンピュータ2と通信可能に接続されている。搬送制御装置80は、投入装置11、搬送装置12、回収装置13、供給装置20、搬送装置31、検体並び替え装置40、搬送装置51、61、検体保管装置70、およびホストコンピュータ2と通信可能に接続されている。図1には、装置間で通信を行うための通信ケーブルが、一点鎖線で示されている。
【0019】
検体検査システム1は、検体を自動で測定し、測定データに基づいて分析を行うシステムである。検体は、たとえば、被検者から採取された全血である。検体を含む容器110(図2参照)は、ラック100に保持された状態で搬送され、測定装置32、塗抹標本作製装置52および分析装置62において、容器110から検体が吸引され、検体に対する測定等が行われる。搬送制御装置80は、ラック100が対象の装置に搬送されるよう、上記の搬送制御装置80に接続された各装置を制御する。
【0020】
図2は、ラック100および容器110の構成を示す斜視図である。
【0021】
ラック100は、容器110を保持できる10個の穴101と、バーコードラベル102と、を備える。バーコードラベル102は、ラック100の後方側の面に貼り付けられている。バーコードラベル102には、ラック100を個別に識別可能な識別情報として、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0022】
容器110は、胴部111と、バーコードラベル112と、蓋部113と、を備える。胴部111は、上端が開放された管状容器であり、内部に検体を収容する。バーコードラベル112は、胴部111の側面に貼り付けられている。バーコードラベル112には、内部の検体を個別に識別可能な識別情報として、検体IDを示すバーコードが印刷されている。蓋部113は、胴部111の内部を密封するよう胴部111の上端に設置されている。蓋部113は、測定装置32、塗抹標本作製装置52および分析装置62に設けられたピアサが上下に貫通可能となるよう構成されている。
【0023】
図1に戻り、検体検査システム1において、左方向に、投入装置11、供給装置20、2台の搬送装置31、搬送装置12、検体並び替え装置40、搬送装置51、搬送装置61、検体保管装置70、および回収装置13が、この順で互いに隣接するように一列に並んでいる。隣接した2つの装置において、ラック100が相互に搬送される。
【0024】
投入装置11、供給装置20、搬送装置31、搬送装置12、検体並び替え装置40、搬送装置51、61、検体保管装置70、および回収装置13には、それぞれ、ラック100を搬送するためのラック搬送路1aが設けられている。ラック搬送路1aは、図1において矢印で示されており、この矢印の向きは、ラック搬送路1aにおいてラック100を搬送可能な方向を示している。各装置のラック搬送路1aは、前方位置において互いに接続されている。ラック搬送路1aは、左右方向に移動するコンベアベルトや、上面が水平面に平行な板部材などにより構成される。
【0025】
図1に示す構成の場合、オペレータは、検査対象の検体を収容した容器110をラック100にセットし、ラック100を投入装置11にセットする。これにより、ラック100がラック搬送路1aに沿って搬送され、検体に対して設定された検査項目に応じて、対象となる装置で検体が吸引され、検体に対する検査が行われる。必要な検査が全て終わると、ラック100は回収装置13に回収される。
【0026】
図1を参照して、投入装置11から回収装置13までのラック100の搬送について説明する。
【0027】
投入装置11は、オペレータにより投入されたラック100を供給装置20に搬出する。
【0028】
供給装置20は、投入装置11から搬入されたラック100について、ラックIDおよび検体IDを読み取り、左隣りの搬送装置31に搬出する。また、供給装置20は、精度管理検体を収容した容器110および洗浄液を収容した容器110を保持している。精度管理検体は、既知の成分を既知の濃度で含む検体であり、被検者から採取された検体の測定精度を管理するために用いられる。以下において、単に「検体」と表記する場合、この検体は、被検者から採取された検体を示す。洗浄液は、各装置の所定部位の洗浄に用いられる。精度管理検体を収容する容器110のバーコードラベル112にも、精度管理検体を識別可能なIDを示すバーコードが印刷されており、洗浄液を収容する容器110のバーコードラベル112にも、洗浄液を識別可能なIDを示すバーコードが印刷されている。精度管理検体および洗浄液のIDについても、検体IDと同様に読み取られる。
【0029】
供給装置20は、検体の容器110を保持するラック100と、精度管理検体の容器110を保持するラック100と、洗浄液の容器110を保持するラック100とを、左隣りの搬送装置31に搬出する。
【0030】
搬送装置31は、右隣りの装置から搬入されたラック100を、測定装置32の前方へ搬送する。測定装置32は、搬送されたラック100に保持された容器110から検体および精度管理検体を吸引し、検体および精度管理検体に含まれる血球の粒子を計数する。制御装置33は、各測定装置32で得られた測定データに基づいて、検体および精度管理検体の分析を行う。また、測定装置32は、搬送されたラック100に保持された容器110から洗浄液を吸引し、内部の洗浄を行う。
【0031】
検体を収容した容器110を保持するラック100の場合、測定装置32で必要な測定が終わると、左隣りの装置に搬出される。精度管理検体または洗浄液を収容した容器110を保持するラック100の場合、各測定装置32で必要な処理が終わると、右方向に搬送され、供給装置20に保管される。
【0032】
搬送装置12は、右隣りの搬送装置31から搬入されたラック100を後方に搬送し、後方の位置で検体並び替え装置40に搬出する。
【0033】
検体並び替え装置40は、後段の検体処理装置、すなわち、塗抹標本作製装置52および/または分析装置62で処理が必要な容器110を、搬送装置12から搬入されたラック100から、検体並び替え装置40により保持されている空のラック100に移し替える。検体並び替え装置40は、移し替えられた容器110を保持したラック100を前方に搬送し、前方の位置で左隣りの搬送装置51に搬出する。また検体並び替え装置40は、後段の検体処理装置での処理が必要なく、ラック100に移し替えられなかった容器110を保持したラック100を前方に搬送し、前方の位置で左隣りの搬送装置51に搬出する。全ての容器110が移し替えられて空になったラック100は、検体並び替え装置40により保持される。
【0034】
搬送装置51は、右隣りの検体並び替え装置40から搬入されたラック100のうち、塗抹標本作製装置52で処理を行う必要のある容器110を保持したラック100を、塗抹標本作製装置52の前方へ搬送する。塗抹標本作製装置52は、搬送されたラック100に保持された容器110から検体を吸引し、塗抹標本を作製する。搬送装置51は、塗抹標本作製装置52で処理が終わったラック100を左隣りの搬送装置61に搬出する。また、搬送装置51は、塗抹標本作製装置52で塗抹標本を作製する必要のない容器110のみを保持したラック100を、塗抹標本作製装置52の前方へ搬送せず、左隣りの搬送装置61に搬出する。
【0035】
搬送装置61は、右隣りの搬送装置51から搬入されたラック100のうち、分析装置62で処理を行う必要のある容器110を保持したラック100を、分析装置62の前方へ搬送する。分析装置62は、たとえば、CRP、HbA1c、ESRなどの測定項目を測定可能な装置である。分析装置62は、搬送されたラック100に保持された容器110から検体を吸引し、検体の分析を行う。搬送装置61は、分析装置62で処理が終わったラック100を左隣りの検体保管装置70に搬出する。また、搬送装置51は、分析装置62で分析する必要のない容器110のみを保持したラック100を、分析装置62の前方へ搬送せず、左隣りの検体保管装置70に搬出する。
【0036】
検体保管装置70は、右隣りの搬送装置61から搬入されたラック100を検体保管装置70内の後述する昇降位置P25に搬送し、このラック100に保持された容器110を、検体保管装置70内の後述するアーカイブラック130に移し替える。検体保管装置70は、空になったラック100を、右隣りの搬送装置61または左隣りの回収装置13に搬出する。
【0037】
回収装置13は、右隣りの検体保管装置70から搬入された空のラック100を後方に搬送して貯留する。
【0038】
搬送制御装置80は、ラック100の搬送先を決定し、決定した搬送先にラック100が搬送されるよう、ラック100を搬送する各装置を制御する。
【0039】
図3は、供給装置20の構成を模式的に示す平面図である。
【0040】
供給装置20は、保管部21と、加温部22と、トレイ23と、洗浄液ラック24と、精度管理検体ラック25と、容器移送機構26と、読取ユニット27と、読取器28と、を備える。また、供給装置20は、ラック100を搬送するための構成として、後述するよう搬入路201、ラック貯留部211、搬送路231、ラック貯留部241、及び搬出路251等を備える。
【0041】
精度管理検体を収容する容器110は、保管部21内の熱伝導部材21aに形成された穴21bに保持されている。保管部21は、穴21bに保持された容器110を冷却して保管する。
【0042】
加温部22は、アルミブロックヒータを備え、アルミブロックヒータには、容器110を保持可能な穴22aが前後方向に複数形成されている。加温部22は、穴22aに保持された容器110を、必要に応じて加温する。容器110内の精度管理検体は、容器110が穴22aに保持された状態で常温とされる。
【0043】
トレイ23には、洗浄液ラック24および精度管理検体ラック25が設置されている。洗浄液ラック24には、洗浄液を収容した容器110を保持可能な穴24aが複数形成されている。精度管理検体ラック25には、精度管理検体を収容した容器110を保持可能な穴25aが複数形成されている。トレイ23は、前後方向に移動可能に構成されている。オペレータは、トレイ23を前方に引き出して、洗浄液を収容した容器110を穴24aにセットし、精度管理検体を収容した容器110を穴25aにセットする。
【0044】
容器移送機構26は、容器110を把持して移送するための構成を有する。容器移送機構26は、精度管理検体を収容した容器110を保管部21の穴21bから取り出し、取り出した容器110を加温部22の穴22aに収納する。容器移送機構26は、加温部22の穴22aに保持された容器110を取り出し、取り出した容器110を移し替え位置223に位置づけられたラック100の穴101に収納する。容器移送機構26は、洗浄液を収容した容器110を洗浄液ラック24の穴24aから取り出し、取り出した容器110を移し替え位置223に位置づけられたラック100の穴101に収納する。こうして、精度管理検体または洗浄液を収容した容器110を保持するラック100が、左隣りの搬送装置31に搬出される。
【0045】
また、精度管理検体または洗浄液を収容する容器110を保持したラック100は、後段での処理が終了すると供給装置20に戻され、移し替え位置223に位置づけられる。容器移送機構26は、移し替え位置223に位置づけられたラック100から、精度管理検体を収容する容器110を取り出して保管部21の穴21bに収納し、洗浄液を収容する容器110を取り出して洗浄液ラック24の穴24aに収納する。また、容器移送機構26は、精度管理検体を収容した容器110を精度管理検体ラック25から取り出し、取り出した容器110を保管部21の穴21bに収納する。
【0046】
搬入路201は、投入装置11から搬出されたラック100を左方向に搬送する。搬送機構202は、搬入路201上のラック100をラック貯留部211に搬送する。搬送機構212は、ラック貯留部211上のラック100を搬送路231に搬送する。
【0047】
搬送機構222は、搬送路231の右端にあるラック100をラック貯留部221へと引き込むとともに、ラック貯留部221上のラック100を搬送路231に搬送する。ラック貯留部221の前方の移し替え位置223に位置づけられたラック100に対して、上述したように、精度管理検体または洗浄液を収容した容器110の取り出しおよび収納が行われる。
【0048】
搬送路231は、ラック貯留部211、221から搬送されたラック100を左右方向に搬送する。ラック100が搬送路231の左端に位置づけられると、読取ユニット27は、搬送路231上のラック100から、ラックIDおよび検体IDを読み取る。読取ユニット27は、左右方向に移動する2つの移動部27aを備える。移動部27aは、ラック100に保持された容器110を周方向に回転させる主動ローラ27bと、主動ローラ27bの反対側から容器110を回転可能に押さえる2つの従動ローラ27cと、主動ローラ27bおよび従動ローラ27cにより挟まれた容器110から検体IDを読み取る読取器27dと、を備える。主動ローラ27bにより容器110が穴101内で鉛直方向を回転軸として回転することにより、バーコードが確実に読み取られる。ラックIDは、左側の読取器27dにより読み取られる。読取器27dは、バーコードリーダである。
【0049】
搬送機構232は、搬送路231の左端にあるラック100をラック貯留部241に搬送する。搬送機構242は、ラック貯留部241上のラック100を搬出路251に搬送する。搬出路251は、ラック貯留部241から搬送されたラック100を、左隣りの搬送装置31に搬出する。このとき、読取器28は、搬出されるラック100のラックIDを読み取る。読取器28は、バーコードリーダである。
【0050】
搬送路261は、左隣りの搬送装置31から搬出されたラック100を右方向に搬送する。搬送機構202は、搬送路261の右端にあるラック100を、搬入路201を通過してラック貯留部211に搬送する。
【0051】
図4、5は、検体を並び替えるための検体並び替え装置40の構成を模式的に示す平面図である。図4、5は、それぞれ、検体並び替え装置40の第1階層および第2階層を示す図である。図6は、検体並び替え装置40の外観を模式的に示す斜視図である。図6に示すように、検体並び替え装置40は、2階建ての構造を有している。検体並び替え装置40の内部は、第2階層の底面および第1階層の天井を構成する仕切り版47により上下2つの階層に分けられており、下の階層が第1階層48であり、上の階層が第2階層49である。第1階層48および第2階層49は、平面視において重なっている。仕切り版47には、ラック100を1つ通過させるための開口47aが設けられている。なお、仕切り版47には、開口47a以外にも開口や切り欠き等が設けられてもよい。また、第1階層48および第2階層49は、仕切り版47により構成されるのではなく、第1階層48を構成する筐体の上に第2階層49を構成する筐体が配置されて構成されてもよい。
【0052】
図4を参照して、検体並び替え装置40の第1階層には、読取ユニット41と、昇降機構42と、読取器43と、搬入路301と、センサ302と、搬送機構303と、中間路304と、開口305と、接続部306と、中継部307と、ラック待機領域311と、センサ312~318と、搬送機構319~322と、搬出路331と、センサ332と、搬出路341と、センサ342と、を備える。
【0053】
検体並び替え装置40の右隣りに位置する搬送装置12は、ラック100を後方に搬送して、後方位置でラック100を検体並び替え装置40に搬出する。
【0054】
搬入路301は、左右方向に延び、検体並び替え装置40の後方側に配置されている。搬入路301は、左右方向に移動するコンベアベルトにより構成され、搬送装置12から搬出されたラック100を左方向に搬送する。ラック100は、ラック100の長手方向(左右方向)に搬入路301に搬入される。センサ302は、透過型の光電センサであり、搬入路301上の搬入位置P11に位置づけられたラック100を検出する。読取ユニット41は、搬入位置P11に位置づけられたラック100から、ラックIDおよび検体IDを読み取る。
【0055】
読取ユニット41は、左右方向に移動する2つの移動部41aを備える。移動部41aは、ラック100に保持された容器110を周方向に回転させる主動ローラ41bと、主動ローラ41bの反対側から容器110を回転可能に押さえる2つの従動ローラ41cと、主動ローラ41bおよび従動ローラ41cにより挟まれた容器110から検体IDを読み取る読取器41dと、を備える。主動ローラ41bにより容器110が穴101内で鉛直方向を回転軸として回転することにより、バーコードが確実に読み取られる。ラックIDは、左側の読取器41dにより読み取られる。読取器41dは、バーコードリーダである。
【0056】
搬送機構303は、ラック100の側面を押すための部材を備え、搬入位置P11のラック100を、ラック100の短手方向(前後方向)に搬送し、中間路304を経由して、昇降機構42の昇降位置P12およびラック待機領域311に搬送する。
【0057】
中間路304、接続部306、中継部307およびラック待機領域311は、それぞれ、上面が水平面に平行な板部材により構成される。中間路304およびラック待機領域311は、接続部306を介して互いに繋がっている。中間路304およびラック待機領域311の間には、接続部306、中継部307、および昇降機構42の昇降位置P12が配置されている。
【0058】
中間路304は、搬入位置P11と、第1階層におけるラック100の配置位置である昇降位置P12との間に配置されている。中間路304の前後方向の幅は、1つのラック100の前後方向(短手方向)の幅と略同じである。すなわち、昇降位置P12は、搬入路301に対して、ラック100の前後方向の幅を1つ分程度あけて前方に設けられている。
【0059】
ラック待機領域311は、左隣りの搬送装置51または右隣りの搬送装置12にラック100が滞留していてラック100を搬出位置P13または搬出位置P14から搬出できないときに、ラック100を待機させる領域であるとともに、昇降位置P12から搬出位置P13までラック100を移送するための移送路である。ラック待機領域311は、前後方向が長辺の矩形領域であり、昇降位置P12から前方まで前後方向に延びている。ラック待機領域311は、第1階層におけるラック100の昇降位置P12から、左の装置のラック搬送路1aへの搬出位置P13までの間に、ラック100が短手方向に20個並ぶ長さを有する。
【0060】
なお、ラック待機領域311は、ラック100を待機させるための領域を有すればよいが、検体検査システム1の設置面積を削減する観点から、好ましくは、10以上、より好ましくは15以上、更に好ましくは20以上のラック100を待機させるための領域を有するとよい。また、ラック待機領域311は、検体検査システム1の前後方向の長さを抑える観点から、50を超えない数、好ましくは40を超えない数のラック100を待機させるための領域を有するとよい。
【0061】
昇降機構42は、中間路304およびラック待機領域311の間に設置されている。昇降機構42は、昇降位置P12に位置づけられたラック100を第2階層まで上昇させる。搬送機構303は、搬入路301上のラック100を昇降位置P12に位置づける。センサ312は、反射型の光電センサであり、昇降位置P12に位置づけられたラック100を検出する。
【0062】
中間路304およびラック待機領域311の間には、開口305が形成されている。開口305は、中間路304、接続部306およびラック待機領域311を構成する板部材を上下方向に貫通する孔である。接続部306は、開口305の右側に位置する。中継部307は、開口305内の左端に配置されている。接続部306および中継部307により、昇降位置P12に位置づけられたラック100の下面が支持される。昇降機構42の支持部42aは、平面視において開口305内に収まり、接続部306および中継部307と干渉しない形状である。
【0063】
ラック100を第1階層から第2階層まで上昇させる場合、昇降機構42は、あらかじめラック待機領域311よりも低い位置に支持部42aを位置づける。その後、接続部306および中継部307の上面の位置、すなわち昇降位置P12にラック100が搬送されると、昇降機構42は、支持部42aを上方向に移動させることにより、支持部42aの上面にラック100を乗せ、ラック100を第2階層まで上昇させる。第2階層では、後述するように、ラック100に保持された容器110の並び替えが行われる。容器110の並び替えが終了すると、昇降機構42は、支持部42aを下方向に移動させて、ラック待機領域311よりも低い位置に位置づける。これにより、接続部306および中継部307の上面の位置、すなわち昇降位置P12にラック100が位置づけられる。
【0064】
昇降位置P12のラック100は、ラック100の短手方向(前後方向)に、ラック待機領域311に沿って検体並び替え装置40の前方に向かって搬送される。昇降位置P12に戻されたラック100は、搬送機構303により、昇降位置P12の前方に搬送される。なお、並び替えが必要ないラック100の場合は、昇降位置P12に位置づけられた後、第2階層に移動されることなく、昇降位置P12の前方に搬送される。
【0065】
搬入位置P11のラック100に対する読取ユニット41の読み取りが終了したときに、昇降位置P12にラック100がなく、昇降機構42により第2階層に上昇されているラック100がない場合、搬送機構303は、搬入位置P11のラック100を昇降位置P12に位置づける。また、搬入位置P11のラック100に対する読取ユニット41の読み取りが終了したときに、昇降位置P12に第2階層から戻ったラック100または第2階層に上昇させる必要のないラック100が位置づけられている場合、搬送機構303は、搬入位置P11のラック100を前方に押し出すことにより、搬入位置P11のラック100および昇降位置P12のラック100を合わせて前方に搬送する。これにより、搬入位置P11のラック100が昇降位置P12に位置づけられ、昇降位置P12のラック100が昇降位置P12の前方に搬送される。
【0066】
なお、搬入位置P11のラック100に対する読取ユニット41の読み取りが終了したときに、搬入位置P11のラック100を第2階層に上昇させる必要がなく、且つ、昇降機構42により第2階層にラック100が上昇されている場合、搬送機構303は、搬入位置P11のラック100を、昇降位置P12を通過して昇降位置P12の前方に搬送してもよい。
【0067】
センサ313~318は、ラック待機領域311上のラック100を検出する。センサ318~318の検出信号に基づいて、ラック待機領域311上のラック100の滞留状態が検出される。センサ313、314、318は、反射型の光電センサであり、センサ315~317は、透過型の光電センサである。
【0068】
搬送機構319~322は、搬送機構303により昇降位置P12の前方に搬送されたラック100を、ラック待機領域311に沿ってラック100の短手方向(前後方向)に移動させて、搬出位置P13、P14に搬送する。このとき、搬出位置P13上のラック100は、後段側の処理状況に応じて、適宜、搬出位置P13で待機する。搬出位置P14上のラック100は、前段側の処理状況に応じて、適宜、搬出位置P14で待機する。
【0069】
搬送機構319は、ラック待機領域311の上面から上方に突出してラック100の下部を押すための部材を備え、昇降位置P12の前方に搬送されたラック100をさらに前方に搬送する。搬送機構320は、ラック100の側面を押すための一対の部材を備え、搬送機構319により前方に搬送されたラック100をさらに前方に搬送する。搬送機構321は、搬送機構319と同様の構成を備えており、搬送機構320により前方に搬送されたラック100をさらに前方に搬送する。搬送機構322は、搬送機構320と同様の構成を備えており、搬送機構321により前方に搬送されたラック100を、搬出路331または搬出路341に搬送する。読取器43は、ラック待機領域311の前端付近に位置づけられたラック100のラックIDを読み取る。読取器43は、バーコードリーダである。
【0070】
搬出路331は、左右方向に移動するコンベアベルトにより構成され、ラック待機領域311から搬出されたラック100を、左隣りの搬送装置51に搬出する。センサ332は、透過型の光電センサであり、搬出路331上の搬出位置P13に位置づけられたラック100を検出する。搬出路341は、左右方向に移動するコンベアベルトにより構成され、左隣りの搬送装置51から搬出されたラック100と、搬出路331を通過してラック待機領域311から搬出されたラック100とを、右隣りの搬送装置12に搬出する。センサ342は、透過型の光電センサであり、搬出路341上の搬出位置P14に位置づけられたラック100を検出する。
【0071】
図5を参照して、検体並び替え装置40の第2階層には、読取器44と、容器移送機構45と、センサ351と、搬送機構352と、ラック貯留部361と、ラック設置部362と、センサ363~366と、搬送機構367と、センサ368と、ストッパ369と、バッファラック120と、を備える。
【0072】
昇降機構42は、第1階層の昇降位置P12から上昇させたラック100を、第2階層におけるラック100の配置位置である昇降位置P15に位置づける。センサ351は、透過型の光電センサであり、昇降位置P15に位置づけられたラック100を検出する。読取器44は、昇降位置P15に位置づけられたラック100のラックIDを読み取る。読取器44は、バーコードリーダである。
【0073】
容器移送機構45は、ラック100とバッファラック120との間で容器110を移送可能に構成されている。容器移送機構45は、昇降機構42により第1階層の昇降位置P12から第2階層の昇降位置P15に移送されたラック100から、第2階層に配置されたバッファラック120へと容器110を移送する。容器移送機構45は、ラック100に保持された容器110が、後段の装置(塗抹標本作製装置52および分析装置62)で処理が必要な検体を含む容器110のみとなるよう、または、後段の装置で処理が必要ない検体を含む容器110のみとなるよう、バッファラック120を用いて容器110の並び替えを行う。容器110の並び替えが終了すると、昇降機構42は、昇降位置P15のラック100を第1階層まで下降させ、昇降位置P12に位置づける。
【0074】
搬送機構352は、ラック100の側面を押すための部材を備え、昇降位置P15のラック100をラック貯留部361に搬送する。昇降位置P15に位置づけられたラック100から全ての容器110がバッファラック120に移送された場合、このラック100は容器110を保持しないラック100(以下、「空ラック」と称する)になる。この場合、搬送機構352は、昇降位置P15において空になった空ラックを、ラック貯留部361に搬送する。
【0075】
ラック貯留部361およびラック設置部362は、それぞれ、上面が水平面に平行な板部材の後方側の部分と前方側の部分とにより構成される。ラック貯留部361およびラック設置部362を構成する板部材は後方から前方まで前後方向に延びている。ラック設置部362の上方は、検体並び替え装置40の筐体に設けられた開口を介して外部に開放されている。
【0076】
センサ363、364は、ラック貯留部361上のラック100を検出する。センサ363、364の検出信号に基づいて、ラック貯留部361上の空ラックの貯留状態が検出される。センサ363は、反射型の光電センサであり、センサ364は、透過型の光電センサである。センサ365、366は、ラック設置部362上のラック100を検出する。センサ365、366の検出信号に基づいて、ラック設置部362上の空ラックの設置状態が検出される。センサ365、366は、透過型の光電センサである。
【0077】
搬送機構367は、ラック100の側面を押すための一対の部材を備え、ラック貯留部361およびラック設置部362上のラック100を前後方向に搬送する。センサ368は、透過型の光電センサであり、搬送機構367が原点位置に位置づけられたことを検出する。搬送機構367が、搬送機構367の移送部を最も前方の位置に移動すると、この移送部がセンサ368に位置づけられる。センサ368は、この移送部を検出することで、搬送機構367が原点位置に位置づけられたことを検出する。
【0078】
バッファラック120には、検体を収容した容器110を保持可能な穴121が複数形成されている。図5のバッファラック120には、前後方向に6行、左右方向に10列で、合計60個の穴121が格子状に形成されている。バッファラック120に所定数Nの容器110が保持された場合、または、バッファラック120に最初の検体が収納されてから所定時間Tが経過した場合に、搬送先が同じ容器110のみがラック100に保持されるように、バッファラック120から昇降位置P15のラック100へ容器110の移し替えが行われる。所定数Nは、たとえば、表示入力部813(図17参照)を介して、1本~10本の範囲で設定可能である。所定時間Tは、たとえば、表示入力部813を介して、1分~30分の範囲で設定可能である。
【0079】
バッファラック120からラック100への移し替え時に、移し替えるためのラック100が昇降位置P15にない場合、搬送機構367は、ラック貯留部361およびラック設置部362に貯留された空ラックのうち最も前方側にある空ラックの前面を押して、ラック貯留部361およびラック設置部362に貯留された空ラックのうち最も後方にある空ラックを昇降位置P15に押し出す。このとき、ストッパ369がラック貯留部361の上面から上方向に突出することにより、最も後方の空ラックと、最も後方の空ラックの前方に隣接する空ラックとが分離される。その後、容器移送機構45により、昇降位置P15に位置づけられた空ラックに、バッファラック120の容器110が移し替えられる。
【0080】
昇降位置P15のラック100への容器110の移し替えが終了すると、このラック100は、昇降機構42により第1階層の昇降位置P12に移送され、左隣りの搬送装置51または右隣りの搬送装置12へと搬出される。
【0081】
ラック貯留部361に貯留されている空ラックが所定数以下になると、搬送制御装置80は、検体保管装置70で容器110が全て取り出されて空になったラック100が搬送装置12を介して検体並び替え装置40に搬送されるよう、各装置を制御する。検体並び替え装置40は、搬送装置12から搬入された空ラックを第2階層のラック貯留部361に搬送する。
【0082】
また、オペレータは、表示入力部813(図17参照)に表示される空ラックが不足した通知を参照して、上方が外部に開放されたラック設置部362に対して、空ラックを設置することもできる。搬送機構367は、オペレータによりラック設置部362に設置された空ラックを、適宜、ラック貯留部361および昇降位置P15へと搬送する。
【0083】
ラック貯留部361およびラック設置部362に貯留されている空ラックの数は、搬送機構367が、空ラックを昇降位置P15へ搬送する際に、空ラックを昇降位置P15に位置づけたときの駆動位置から、センサ368により検出される原点位置に復帰するまでのステッピングモータのステップ数で検出される。ステッピングモータのステップ数は、ロータリエンコーダ等によって計数される。
【0084】
図7、8は、検体を保管するための検体保管装置70の構成を模式的に示す平面図である。図7、8は、それぞれ、検体保管装置70の第1階層および第2階層を示す図である。図9は、検体保管装置70の外観を模式的に示す斜視図である。図9に示すように、検体保管装置70は、検体並び替え装置40と同様、2階建ての構造を有している。検体保管装置70の内部は、第2階層の底面および第1階層の天井を構成する仕切り版77により上下2つの階層に分けられており、下の階層が第1階層78であり、上の階層が第2階層79である。第1階層78および第2階層79は、平面視において重なっている。仕切り版77には、ラック100を1つ通過させるための開口77aが設けられている。なお、仕切り版77には、開口77a以外にも開口や切り欠き等が設けられてもよい。また、第1階層78および第2階層79は、仕切り版77により構成されるのではなく、第1階層78を構成する筐体の上に第2階層79を構成する筐体が配置されて構成されてもよい。
【0085】
図7を参照して、検体保管装置70の第1階層には、読取ユニット71と、昇降機構72と、読取器73と、搬入路401と、センサ402と、搬送機構403と、移送路411と、センサ412~416と、搬送機構417、418と、搬入路421と、センサ422と、搬送機構423と、中間路424と、開口425と、接続部426と、中継部427と、ラック待機領域431と、センサ432~438と、搬送機構439~442と、搬出路451と、センサ452と、搬出路461と、センサ462と、を備える。
【0086】
検体並び替え装置40の右隣りに位置する搬送装置61は、前方のラック搬送路1a(図1参照)に沿って、前方位置でラック100を検体保管装置70に搬出する。
【0087】
搬入路401は、左右方向に移動するコンベアベルトにより構成され、搬送装置61から搬出されたラック100を左方向に搬送する。センサ402は、透過型の光電センサであり、搬入路401上の搬入位置P21に位置づけられたラック100を検出する。搬送機構403は、ラック100の側面を押すための部材を備え、搬入位置P21のラック100を移送路411に搬送する。
【0088】
移送路411は、上面が水平面に平行な板部材により構成され、検体保管装置70の前方から後方まで前後方向に延びている。センサ412~416は、移送路411上のラック100を検出する。センサ412~416の検出信号に基づいて、移送路411上のラック100の滞留状態が検出される。センサ412~416は、透過型の光電センサである。
【0089】
搬送機構417、418は、ラック100を、移送路411に沿ってラック100の短手方向(前後方向)に移動させて、搬入路421に搬送する。搬送機構417は、ラック100の側面を押すための一対の部材を備え、移送路411上のラック100をセンサ415の位置まで移送する。搬送機構418は、移送路411の上面から上方に突出してラック100の下部を押すための部材を備え、センサ415の位置のラック100を、搬入路421の右端に搬送する。
【0090】
読取ユニット71は、搬入路421の右端に位置づけられたラック100から、ラックIDおよび検体IDを読み取る。読取ユニット71は、図4の読取ユニット41と同様の構成である。読取ユニット71は、2つの移動部71aを備え、移動部71aは、主動ローラ71bと、2つの従動ローラ71cと、読取器71dと、を備える。読取器71dは、バーコードリーダである。
【0091】
搬入路421は、左右方向に延び、検体保管装置70の後方側に配置されている。搬入路421は、左右方向に移動するコンベアベルトにより構成され、移送路411から搬送されたラック100を左方向に移送する。センサ422は、透過型の光電センサであり、搬入路421の左端に位置づけられたラック100を検出する。搬送機構423は、ラック100の側面を押すための部材を備え、搬入路421の左端のラック100を、中間路424を経由してラック待機領域431に搬送する。
【0092】
中間路424、開口425、接続部426、中継部427、ラック待機領域431、センサ432~438、搬送機構439~442、昇降機構72、および読取器73は、それぞれ、図4の中間路304、開口305、接続部306、中継部307、ラック待機領域311、センサ312~318、搬送機構319~322、昇降機構42、および読取器43と同様の構成である。中間路424の前後方向の幅は、1つのラック100の前後方向(短手方向)の幅と略同じである。
【0093】
ラック待機領域431は、左隣りの回収装置13または右隣りの搬送装置61にラック100が滞留していてラック100を搬出位置P23または搬出位置P24から搬出できないときに、ラック100を待機させる領域であるとともに、昇降位置P22から搬出位置P23までラック100を移送するための移送路である。ラック待機領域431は、前後方向が長辺の矩形領域であり、第1階層におけるラック100の配置位置である昇降位置P22から前方まで前後方向に延びている。ラック待機領域431は、第1階層におけるラック100の昇降位置P22から、左の装置のラック搬送路1aへの搬出位置P23までの間に、ラック100が短手方向に20個並ぶ長さを有する。
【0094】
なお、ラック待機領域431は、ラック100を待機させるための領域を有すればよいが、検体検査システム1の設置面積を削減する観点から、好ましくは、10以上、より好ましくは15以上、更に好ましくは20以上のラック100を待機させるための領域を有するとよい。また、ラック待機領域431は、検体検査システム1の前後方向の長さを抑える観点から、50を超えない数、好ましくは40を超えない数のラック100を待機させるための領域を有するとよい。
【0095】
昇降機構72は、ラック100の下面を支持した支持部72aを上下方向に移動させることにより、ラック100を上下に移動させる。
【0096】
搬入路421から搬出されたラック100は、中間路424を経由して昇降位置P22に位置づけられ、昇降位置P22に位置づけられたラック100は、昇降機構72により第2階層へと移送される。第2階層では、後述するように、ラック100に保持された容器110が、ラック100から取り出され保管される。これにより、第2階層へと移送されたラック100は空ラックとなる。容器110の保管が終了すると、昇降機構72は、第2階層に位置づけていたラック100を第1階層まで下降させ、再び昇降位置P22に位置づける。
【0097】
昇降位置P22のラック100は、ラック100の短手方向(前後方向)に、ラック待機領域431に沿って検体保管装置70の前方に向かって搬送される。昇降位置P22に戻されたラック100は、搬送機構423により、昇降位置P22の前方に搬送される。
【0098】
搬入路421の左端にラック100が到着したときに、昇降位置P22にラック100がなく、昇降機構72により第2階層に上昇されているラック100がない場合、搬送機構423は、搬入路421の左端にあるラック100を昇降位置P22に位置づける。また、搬入路421の左端にラック100が到着したときに、昇降位置P22に第2階層から戻ったラック100または第2階層に上昇させる必要のないラック100が位置づけられている場合、搬送機構423は、搬入路421の左端にあるラック100を前方に押し出すことにより、搬入路421の左端にあるラック100および昇降位置P22のラック100を合わせて前方に搬送する。これにより、搬入路421の左端にあるラック100が昇降位置P22に位置づけられ、昇降位置P22のラック100が昇降位置P22の前方に搬送される。
【0099】
搬送機構439~442は、搬送機構423により昇降位置P22の前方に搬送された空ラックを、ラック待機領域431に沿ってラック100の短手方向(前後方向)に移動させて、搬出位置P23、P24に搬送する。このとき、搬出位置P23上のラック100は、後段側の処理状況に応じて、適宜、搬出位置P23で待機する。搬出位置P24上のラック100は、前段側の処理状況に応じて、適宜、搬出位置P24で待機する。読取器73は、ラック待機領域431の前端付近に位置づけられたラック100からラックIDを読み取る。読取器73は、バーコードリーダである。
【0100】
搬出路451は、左右方向に移動するコンベアベルトにより構成され、ラック待機領域431から搬出されたラック100を、左隣りの回収装置13に搬出する。センサ452は、透過型の光電センサであり、搬出路451上の搬出位置P23に位置づけられたラック100を検出する。搬出路461は、左右方向に移動するコンベアベルトにより構成され、左隣りの回収装置13から搬出されたラック100と、搬出路451を通過してラック待機領域431から搬出されたラック100とを、右隣りの搬送装置61に搬出する。センサ462は、透過型の光電センサであり、搬出路461上の右端の搬出位置P24に位置づけられたラック100を検出する。搬送機構403は、搬出位置P24に位置づけられたラック100を、移送路411に搬送することもできる。
【0101】
図8を参照して、検体保管装置70の第2階層には、容器移送機構74と、トレイ75と、アーカイブラック130と、センサ471と、取り出し部472と、を備える。
【0102】
昇降機構72は、第1階層の昇降位置P22から上昇させたラック100を、第2階層におけるラック100の配置位置である昇降位置P25に位置づける。センサ471は、透過型の光電センサであり、昇降位置P25に位置づけられたラック100を検出する。
【0103】
容器移送機構74は、ラック100とアーカイブラック130との間で、容器110を移送可能に構成されている。容器移送機構74は、昇降機構72により第1階層から第2階層に移送されたラック100から、第2階層に配置されたアーカイブラック130へと容器110を移送する。容器移送機構74は、昇降位置P25に位置づけられたラック100から容器110を全て取り出し、取り出した容器110をアーカイブラック130に収納する。ラック100から全ての容器110が取り出されると、昇降機構72は、空になったラック100を、第1階層の昇降位置P22に移送する。第1階層に戻された空ラックは、回収装置13または検体並び替え装置40へと搬送される。
【0104】
アーカイブラック130は、検体保管装置70の前方に引き出し可能なトレイ75に、取り外し可能にセットされている。アーカイブラック130には、検体を収容した容器110を保持可能な穴131が複数形成されている。図8のアーカイブラック130には、前後方向に10行、左右方向に5列で、合計50個の穴131が格子状に形成されている。また、図8では、5つのトレイ75が左右方向に設けられており、1つのトレイ75は、前後方向に並ぶ3つのアーカイブラック130を保持可能に構成されている。オペレータによりトレイ75の取り出し指示が入力されると、対象のトレイ75のロックが解除される。これにより、オペレータは、対象のトレイ75を前方に引き出し、対象となるアーカイブラック130を取り出すことができる。
【0105】
取り出し部472は、検体保管装置70の前方に引き出し可能に構成されている。取り出し部472には、容器110を保持可能な穴472aが形成されている。容器移送機構74は、アーカイブラック130と取り出し部472との間で、容器110を移送可能に構成されている。オペレータにより表示入力部823(図18参照)を介して所定の容器110の取り出し指示が入力されると、容器移送機構74により対象の容器110がアーカイブラック130から取り出し部472へと移送され、取り出し部472が前方に押し出される。これにより、オペレータは、取り出し部472から対象となる容器110を取り出すことができる。
【0106】
次に、検体並び替え装置40の容器移送機構45の構成について、図10~15を参照して説明する。
【0107】
なお、供給装置20の容器移送機構26および検体保管装置70の容器移送機構74は、検体並び替え装置40の容器移送機構45と同様の構成である。すなわち、容器移送機構26、45、74は、いずれも、図10~15に示す前後移送部610、左右移送部620、上下移送部630および把持部640を備える。以下、便宜上、容器移送機構45の構成についてのみ説明する。
【0108】
図10は、検体並び替え装置40の容器移送機構45の構成を模式的に示す平面図である。図10では、ラック100、容器110およびバッファラック120を除く構成の図示は、便宜上、省略されている。
【0109】
容器移送機構45は、前後移送部610と、左右移送部620と、上下移送部630と、把持部640と、を備える。容器移送機構45は、把持部640を用いて、複数の容器110を保持可能なバッファラック120から1つの容器110を移動させる。
【0110】
前後移送部610は、モータおよび前後方向に延びたレールを備え、左右移送部620を前後方向に移送する。左右移送部620は、モータおよび左右方向に延びたレールを備え、上下移送部630を左右方向に移送する。上下移送部630は、モータおよび上下方向に延びたレールを備え、把持部640を上下方向に移送する。把持部640は、開閉動作が可能であり、前後移送部610、左右移送部620および上下移送部630により垂直方向移動および水平方向移動が可能である。垂直方向は、上下方向および鉛直方向と同義である。また、把持部640は、開閉動作が可能に構成されており、容器110を把持する。
【0111】
図11は、上下移送部630および把持部640の構成を模式的に示す側面図である。
【0112】
上下移送部630は、基板631と、モータ632と、プーリ633、634と、ベルト635と、レール636と、を備える。
【0113】
モータ632は、ステッピングモータにより構成され、基板631に設置されている。プーリ633は、モータ632の前後方向に延びた軸に設置されている。プーリ634は、プーリ633の下方において、基板631に設置されている。ベルト635は、プーリ633、634に接続されており、モータ632の駆動に応じて上下に移動する。レール636は、上下方向に延び、基板631に設置されている。
【0114】
把持部640は、接続部材641と、基板642と、モータ643と、変換機構部644と、一対の把持部材710、720と、を備える。
【0115】
接続部材641の右端は、ベルト635に固定されている。ベルト635が上下方向に移動すると、接続部材641は、レール636に支持されながら上下方向に移動する。接続部材641は、基板642に固定されている。
【0116】
モータ643は、ステッピングモータにより構成され、基板642に設置されている。モータ643の回転軸は、上下方向に延びている。変換機構部644は、基板642に設置されており、変換機構部644に把持部材710、720が設置されている。変換機構部644は、モータ643の回転方向を、把持部材710と把持部材720とが接近する方向および離間する方向に変換するよう構成されている。したがって、モータ643が駆動されると、把持部材710および把持部材710が接近および離間する。これにより、図11に示すように、把持部材710の内側面および把持部材720の内側面により、容器110の胴部111が把持される。
【0117】
図12、13は、把持部材710、720の構成を示す斜視図である。図12は、把持部材710、720を前方側から見た図であり、図13は、把持部材710、720を後方側から見た図である。
【0118】
図12を参照して、把持部材720の下方側には、薄板部721と、開口722と、一対の切欠き723と、一対の突起部724と、凹部725と、が形成されている。
【0119】
薄板部721は、把持部材720の上方側の部位と比較して、左右方向の厚みが小さく構成されている。薄板部721の左右方向の厚みは、たとえば、数ミリ程度である。開口722は、薄板部721を左右方向に貫通するように、薄板部721に形成されている。一対の切欠き723は、把持部材720の下端の前端側面および後端側面に形成されており、下方向に進むにつれて互いに接近するように、上下方向に対して傾斜している。また、図15に示すように、把持部材720の下端の右側面および左側面には、それぞれ、切欠き726、727が形成されており、切欠き726、727は、下方向に進むにつれて互いに接近するように、上下方向に対して傾斜している。
【0120】
一対の突起部724は、開口722の下方に位置し、薄板部721の下端の左側面に形成されている。一対の突起部724は、前後方向に互いに離れており、上下方向に延びる突条形状を有する。すなわち、突起部724の最も左側に突出した部分は、上下方向に平行に延びている。凹部725は、一対の突起部724の間に形成されている。凹部725は、母線が上下方向に延びる円柱の側面と同様の形状を有する。
【0121】
図13を参照して、把持部材710の下方側には、薄板部711と、開口712と、一対の切欠き713と、平面部714と、凹部715と、段部716と、が形成されている。
【0122】
薄板部711は、把持部材710の上方側の部位と比較して、左右方向の厚みが小さく構成されている。薄板部711の左右方向の厚みは、たとえば、数ミリ程度であり、薄板部721と同じ厚みである。開口712は、薄板部711を左右方向に貫通するように、薄板部711に形成されている。一対の切欠き713は、把持部材710の下端の前端側面および後端側面に形成されており、下方向に進むにつれて互いに接近するように、上下方向に対して傾斜している。また、図15に示すように、把持部材710の下端の左側面には、切欠き717が形成されている。切欠き717は、下方向に進むにつれて内側面に接近するように、上下方向に対して傾斜している。
【0123】
平面部714は、開口712の下方に位置し、薄板部711の下端の右側面に形成されている。平面部714は、前後方向および上下方向からなる平面に平行である。凹部715は、開口712と平面部714との間に形成されている。凹部715は、平面部714と平行であり、平面部714よりも左方向にずれた位置にある。段部716は、平面部714と凹部715との間に形成されており、前後方向および左右方向からなる平面(水平面)に平行である。
【0124】
図14は、把持部材710、720が容器110を把持した状態を模式的に示す平面図である。
【0125】
図14には、開口712、722を通る水平面に平行な平面で切断したときの、把持部材710、720の断面が示されている。また、図14には、容器110の胴部111が把持部材710、720と接触する位置を通る水平面に平行な平面で切断したときの、容器110の断面が示されている。また、便宜上、容器110の蓋部113が、破線で示されている。
【0126】
把持部材710、720が容器110を把持する場合、把持部材710、720は、容器110の胴部111の上端近傍を左右から挟み込む。このとき、胴部111の左端が、平面部714と段部716との境界線において点で支持され、胴部111の右端近傍が、突起部724の上下方向に延びる突条形状において線で支持される。
【0127】
また、容器110が保持された状態において、容器110の蓋部113は、開口712、722に収容される。このように、胴部111に比べて径の大きい蓋部113が開口712、722に収容されると、把持部材710の左側面から把持部材720の右側面までの幅を小さくすることができる。
【0128】
図15は、把持部材710、720が容器110を把持した状態を模式的に示す側面図である。
【0129】
図15には、把持部材710、720の前後方向の中央位置を通る上下左右方向に平行な平面で切断したときの、把持部材710、720の断面が示されている。また、図15には、把持部材710、720の前後方向の中央位置を通る上下左右方向に平行な平面で切断したときの、容器110の形状が破線で示されている。
【0130】
図15に示す容器110の胴部111は、下方向に進むにつれて径が僅かに小さくなるよう構成されている。このように下方向に進むにつれて容器110の径が小さくなる場合、上下方向に平行な線や平面だけで容器110を把持しようとすると、容器110を動かないように適正に把持することが難しくなる。これに対し、実施形態では、把持部材710側に、平面部714と凹部715との間に段部716が設けられ、把持部材720側に、上下方向に延びる突条形状の一対の突起部724が設けられている。これにより、容器110の左側が、平面部714と段部716との境界線上の位置P31により支持され、容器110の右側が、突起部724の位置P32により支持される。位置P31は点であり、位置P32は線である。
【0131】
図14に示すように、平面視において、把持部材720の容器110と接する2つの部位(位置P32の部位)を結ぶ直線を垂直に2等分する直線上に、把持部材710の容器110と接する部位(位置P31の部位)が位置づけられている。これにより、安定して容器110を把持できる。
【0132】
図15に示すように、上下方向において、位置P31は、位置P32の上端P32aと下端P32bの間に位置している。これにより、把持部材710、720により把持された容器110が前後方向を中心として回転することを抑制できる。
【0133】
図16は、供給装置20の構成を示すブロック図である。
【0134】
供給装置20は、制御部801と、記憶部802と、表示入力部803と、通信部804と、搬送機構202、212、222、232、242と、他の機構805と、センサ806と、保管部21と、加温部22と、容器移送機構26と、読取ユニット27と、読取器28と、を備える。
【0135】
制御部801は、たとえば、CPUにより構成される。制御部801は、記憶部802に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、供給装置20のハードウェアの各部を制御する。記憶部802は、たとえば、SSD、HDD、RAMなどにより構成される。表示入力部803は、たとえば、タッチパネル式のディスプレイにより構成される。表示入力部803は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示部と、マウスやキーボードなどの入力部とに分かれていてもよい。通信部804は、たとえば、ネットワークカードにより構成され、搬送制御装置80と通信可能に接続される。他の機構805は、供給装置20内のコンベアベルトを駆動するための機構を含む。センサ806は、供給装置20内のラック100を検出するためのセンサを含む。
【0136】
図17は、検体並び替え装置40の構成を示すブロック図である。
【0137】
検体並び替え装置40は、制御部811と、記憶部812と、表示入力部813と、通信部814と、搬送機構303、319~322、352、367と、他の機構815と、センサ302、312~318、332、342、351、363~366、368と、読取ユニット41と、昇降機構42と、読取器43、44と、容器移送機構45と、を備える。
【0138】
制御部811は、たとえば、CPUにより構成される。制御部811は、記憶部812に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、検体並び替え装置40のハードウェアの各部を制御する。記憶部812は、たとえば、SSD、HDD、RAMなどにより構成される。表示入力部813は、たとえば、タッチパネル式のディスプレイにより構成される。表示入力部813は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示部と、マウスやキーボードなどの入力部とに分かれていてもよい。通信部814は、たとえば、ネットワークカードにより構成され、搬送制御装置80と通信可能に接続される。他の機構815は、検体並び替え装置40内のコンベアベルトを駆動するための機構や、ストッパ369を駆動するための機構を含む。
【0139】
図18は、検体保管装置70の構成を示すブロック図である。
【0140】
検体保管装置70は、制御部821と、記憶部822と、表示入力部823と、通信部824と、搬送機構403、417、418、423、439~442と、他の機構825と、センサ402、412~416、422、432~438、452、462、471と、読取ユニット71と、昇降機構72と、読取器73と、容器移送機構74と、を備える。
【0141】
制御部821は、たとえば、CPUにより構成される。制御部821は、記憶部822に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、検体保管装置70のハードウェアの各部を制御する。記憶部822は、たとえば、SSD、HDD、RAMなどにより構成される。表示入力部823は、たとえば、タッチパネル式のディスプレイにより構成される。表示入力部823は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示部と、マウスやキーボードなどの入力部とに分かれていてもよい。通信部824は、たとえば、ネットワークカードにより構成され、搬送制御装置80と通信可能に接続される。他の機構825は、検体保管装置70内のコンベアベルトを駆動するための機構を含む。
【0142】
ところで、検体検査システム1では、径が異なる様々な種類の容器110が用いられ得る。この場合、径が小さい容器110は、ラックに形成された穴に傾いて保持されやすい。このような状態の容器をラックから取り出すために、把持部材710、720が、この容器110の上方から下降すると、把持部材710、720の下端が、この容器110の上部に衝突する惧れがある。これを避けるために、把持部材710、720がより大きく開かれた状態で下降すると、この容器に隣接する他の容器に把持部材710、720の下端が衝突する惧れがある。このような問題は、装置の設置面積を縮小するために、容器110をなるべくラックに密接して保持させる場合に、一層顕著となる。
【0143】
これに対し、実施形態では、把持部材710、720が、開状態で、容器110が保持されていない位置に向けて下降される。「容器110が保持されていない位置」とは、たとえば、平面視においてラックの外側の位置、ラック上の隣り合う2つの穴の間の位置、ラック上の容器110が保持されていない穴の位置、平面視においてラック上の最も外側の穴とラックの外縁との間の位置、ラック上の外縁の位置などである。すなわち、容器110が保持されていない位置とは、容器110が保持されたラック上の位置とは異なる位置のことである。これにより。把持部材710、720の下端はラックに保持された容器110の頭部(蓋部113)より低い位置に位置づけられる。
【0144】
そして、開状態の把持部材710、720が対象の容器110に向けて水平方向に移動される。その後、把持部材710、720が閉状態とされることにより対象の容器110が把持され、さらに、把持部材710、720が上昇することにより対象の容器110が取り出される。これにより、対象の容器110を円滑に取り出すことができる。
【0145】
なお、把持部材710、720が下降する際には、把持部材710、720は、必ずしも開状態でなくてもよい。すなわち、閉状態で把持部材710、720が下降し、その後、把持部材710、720が開状態とされて水平移動してもよい。
【0146】
図19~30を参照して、容器110を取り出す動作および収納させる動作の概要について説明する。図19~30では、便宜上、複数の容器110を保持するラックとして、バッファラック120を例示的に用いて説明を行う。
【0147】
図19は、平面視においてバッファラック120の外側の位置に把持部640が下降する例を模式的に示す平面図である。図20、21は、平面視においてバッファラック120の外側の位置に把持部640が下降される例を模式的に示す側面図である。
【0148】
図19~21において、取り出し対象となる容器110を容器T1とする。平面視における把持部640および把持部材710、720の中心位置を、以下、把持部640および把持部材710、720の位置とする。また、図19において、容器110の取り出し動作時に、把持部640を下方に移動させる位置を下向きの三角形で表し、把持部640を下方で水平方向に移動させる方向を太線の矢印で表し、容器110を把持した把持部640を上方に移動させる位置を上向きの三角形で表すものとする。
【0149】
図19~21に示す例では、まず、把持部640の下端640aが容器T1の上端よりも上方に位置づけられ、さらに、把持部640が、容器T1の中心位置の後方、かつ、平面視においてバッファラック120の外側に位置づけられる。これにより、図19および図20の取り出し動作時の位置M11に示すように、把持部640が位置P101に位置づけられる。続いて、図19および図20の取り出し動作時の位置M12に示すように、位置P101において、把持部640が下方向に移動される。
【0150】
続いて、図19および図21の取り出し動作時の位置M13に示すように、把持部640が前方に水平移動され、容器T1の中心位置に対応する位置P102に位置づけられる。続いて、図19に示すように、位置P102において、把持部材710、720が閉状態とされ、把持部材710、720により容器T1が把持される。そして、図19および図21の取り出し動作時の位置M14に示すように、容器T1の下端640aがバッファラック120に保持された他の容器110の蓋部113よりも高い位置に位置づけられるよう、把持部材710、720が上方に移動される。こうして、容器T1の取り出し動作が完了する。
【0151】
なお、把持部640により把持された容器T1を、バッファラック120の穴121に収納する場合には、上記の取り出し動作と逆の動作が行われる。すなわち、容器T1を把持した把持部640が位置P102の上方に位置づけられる。続いて、把持部640が下降され、把持部640が開状態とされる。これにより、容器T1が穴121に収納される。続いて、開状態の把持部640が平面視においてバッファラック120の外側の位置P101に位置づけられる。そして、把持部640が上方に移動される。こうして、容器T1の収納動作が完了する。
【0152】
図22は、バッファラック120上の隣り合う2つの穴121の間の位置に把持部640が下降する例を模式的に示す平面図である。
【0153】
図22に示すバッファラック120では、前後方向における穴の間隔が、図19と比較して広いため、取り出し動作の際に、図19~21に示したように把持部640がバッファラック120の外側で下降されることに代えて、図22に示すように、バッファラック120上の前後方向に隣り合う2つの穴121の間の位置P111で下降されてもよい。この場合も、以降の取り出し動作は、図19~21の場合と同様である。また、把持部640により容器T1を収納させる場合には、取り出し動作と逆の動作が行われる。
【0154】
なお、取り出し動作時には、バッファラック120上の前後方向に隣り合う2つの穴121間の位置のうち、より広い位置において把持部640が下降されるのが好ましい。
【0155】
図23は、バッファラック120上の隣り合う2つの穴121の間の位置のうち広い位置に把持部640が下降する例を模式的に示す平面図である。
【0156】
容器T2は、容器T1の後方の穴121に保持されており、容器T3は、容器T2の後方の穴121に保持されている。図23に示す例では、容器T1が保持された穴121と容器T2が保持された穴121との間隔は、d1であるのに対し、容器T2が保持された穴121と容器T3が保持された穴121との間隔は、d1よりも大きいd2である。この場合、容器T1の穴121と容器T2の穴121の間の位置P121で把持部640が下降されるのではなく、容器T2の穴121と容器T3の穴121の間の位置P122で把持部640が下降される。これにより、把持部640を円滑に下降させることができる。この場合も、以降の取り出し動作は、図19~21の場合と同様である。また、把持部640により容器T1を収納させる場合には、取り出し動作と逆の動作が行われる。
【0157】
また、取り出し動作時に、把持部材710、720が下降する位置は、バッファラック120上の容器110が保持されていない穴121の位置であってもよい。
【0158】
図24は、バッファラック120上の容器110が保持されていない穴121の位置に把持部640が下降する例を模式的に示す平面図である。
【0159】
図24に示す例では、位置P131の穴121に容器110が保持されておらず、位置P131で把持部640が下降される。この場合、位置P131に容器110がないため、位置P131において把持部640を円滑に下降させることができる。この場合も、以降の取り出し動作は、図19~21の場合と同様である。また、把持部640により容器T1を収納させる場合には、取り出し動作と逆の動作が行われる。
【0160】
また、容器T1の収納動作時に、図22に示すように、位置P102の位置で容器T1が収納された後、開状態の把持部640が位置P111に水平移動され、位置P111で上方向に移動される場合、容器T1の一部が把持部材710、720に引っかかり、容器T1が穴121から意図せず取り出されてしまうことがある。このような場合、開状態の把持部640の上昇動作を以下に示すように変更することで、容器T1の意図しない取り出しを抑制できる。
【0161】
図25~27は、収納時に把持部640が階段状に上昇する例を模式的に示す側面図である。
【0162】
図25~27に示す例では、容器110は、蓋部113にラベル113aが付いているタイプの容器である。図25の収納動作時の位置M21に示すように、容器T1が穴121に収納された後、把持部640が開状態とされる。続いて、図25の収納動作時の位置M22に示すように、把持部640が、隣り合う穴121の間に移動される。そして、図26の収納動作時の位置M23に示すように、把持部640が上方に移動される。このとき、蓋部113のラベル113aが把持部640の開口712、722(図12参照)に引っかかることがある。この状態で、把持部640がさらに上方に移動されると、容器T1が穴121から意図せず抜き取られてしまう。
【0163】
これに対し、実施形態では、まず、図26の収納動作時の位置M23に示すように、容器110より高く、且つ、穴121の深さd12より小さい距離d11だけ上昇される。距離d11は、たとえば、容器110の高さ方向の全長の3分の1程度である。これにより、容器T1のラベル113aが把持部640に引っかかっている場合、容器T1が抜き取られない程度に上方向に持ち上げられる。
【0164】
続いて、図26の収納動作時の位置M24に示すように、把持部640が後方(容器T1から離れる方向)へ僅かに移動される。これにより、点線の矢印で示すように、容器T1が把持部640から外れて、元の穴121へと収納される。その後、図27の収納動作時の位置M25に示すように、把持部640は上方へ移動される。図27には、収納動作時の位置M21~M25における把持部640の下端640aの軌跡が点線で示されている。このように、階段状に把持部640が上昇することにより、容器T1が意図せず取り出されてしまうことを防止できる。
【0165】
図28~30を参照して、取り出し動作の処理および収納動作の処理を説明する。
【0166】
実施形態では、供給装置20の制御部801が、容器110に対する取り出しおよび収納が行われるよう容器移送機構26を制御する。検体並び替え装置40の制御部811が、容器110に対する取り出しおよび収納が行われるよう容器移送機構45を制御する。検体保管装置70の制御部821が、容器110に対する取り出しおよび収納が行われるよう容器移送機構74を制御する。
【0167】
以下では、便宜上、検体並び替え装置40の制御部811が行う処理を説明するが、他の制御部801、821が行う処理も同様である。取り出し対象の容器110および収納対象の容器110を容器T1とする。
【0168】
図28は、取り出し動作の処理を示すフローチャートである。
【0169】
ステップS11において、検体並び替え装置40の制御部811は、平面視で容器110が保持されていない位置において、把持部640が容器110の頭部(蓋部113)より低い位置まで下方向に移動するよう、容器移送機構45を制御する。これにより、たとえば、図19の位置P101、図22の位置P111、図23の位置P122、および図24の位置P131で、把持部640が下方向に移動される。ステップS12において、制御部811は、開状態の把持部640がバッファラック120上の対象となる容器T1に向けて水平移動するよう、容器移送機構45を制御する。これにより、たとえば、図19、22~24の位置P102に把持部640が水平移動される。
【0170】
ステップS13において、制御部811は、対象となる容器T1に対して把持部640が閉状態となるよう、容器移送機構45を制御する。これにより、把持部640が容器T1を把持する。ステップS14において、制御部811は、閉状態で容器T1を把持した把持部640が上方向に移動するよう、容器移送機構45を制御する。こうして、取り出し動作の処理が終了する。
【0171】
図29は、収納動作の処理を示すフローチャートである。
【0172】
ステップS21において、検体並び替え装置40の制御部811は、対象となる容器T1を把持した把持部640が、容器T1が収納されるバッファラック120上の保持位置に向けて下方向に移動するよう、容器移送機構45を制御する。これにより、たとえば、図19、22~24の位置P102で、容器T1を把持した把持部640が下方向に移動される。ステップS12において、制御部811は、把持部640が開状態となるよう、容器移送機構45を制御する。これにより、容器T1が、対象となる穴121に収納される。
【0173】
ステップS23において、制御部811は、容器110が保持されていない位置に向けて開状態の把持部640が水平方向に移動するよう、容器移送機構45を制御する。これにより、たとえば、図19の位置P101、図22の位置P111、図23の位置P122、および図24の位置P131に、把持部640が水平方向に移動される。ステップS24において、制御部811は、把持部640が上方向に移動するよう、容器移送機構45を制御する。こうして、収納動作の処理が終了する。
【0174】
なお、図28、29の動作の前後において、把持部640は上昇した状態で装置内を水平方向に移動するが、把持部640が上昇した状態で水平方向に移動する速度は、取り出し動作時および収納動作時に把持部640が下降した状態で水平方向に移動する速度よりも速くなるよう、把持部640の制御が行われる。
【0175】
また、図25~27を参照して説明したように、収納動作において、把持部640を隣り合う穴121の間から上昇させる際には、階段状に把持部640を上昇させるのが好ましい。この場合の処理について、図30を参照して説明する。
【0176】
図30は、収納動作時に把持部640を上方向に移動させる処理を示すフローチャートである。
【0177】
ステップS101において、検体並び替え装置40の制御部811は、容器T1を収納し開状態となった把持部640が、隣り合う穴121の間に移動するよう、容器移送機構45を制御する。これにより、たとえば、図25の収納動作時の位置M22に示すように、把持部640が水平方向に移動する。ステップS102において、制御部811は、把持部640の下端640aが容器110の上端よりも高く、且つ、穴121の深さd12より小さい距離d11だけ把持部640が上方向に移動するよう、容器移送機構45を制御する。これにより、たとえば、図26の収納動作時の位置M23に示すように、把持部640が上昇する。
【0178】
ステップS103において、制御部811は、把持部640が所定距離だけ水平方向に移動するよう、容器移送機構45を制御する。これにより、たとえば、図26の収納動作時の位置M24に示すように、把持部640が後方(容器T1から離れる方向)に移動する。ステップS104において、制御部811は、把持部640が上方向に移動するよう、容器移送機構45を制御する。これにより、たとえば、図27の収納動作時の位置M25に示すように、把持部640が上方に移動する。
【0179】
次に、図31~34を参照して、供給装置20、検体並び替え装置40および検体保管装置70で実際に行われる把持部640の動作について説明する。
【0180】
図31~34においても、取り出し動作時において、把持部640を下方に移動させる位置は下向きの三角形の位置であり、把持部640を下方で水平方向に移動させる方向は太線の矢印の方向であり、容器110を把持した把持部640を上方に移動させる位置は上向きの三角形の位置である。収納動作において、容器110を把持した把持部640を下方に移動させる位置は上向きの三角形の位置であり、収納後に把持部640を下方で水平方向に移動させる方向は太線の矢印の反対方向であり、把持部640を上方に移動させる位置は下向きの三角形の位置である。
【0181】
取り出し動作は、図28に従って行われる。収納動作は、図29に従って行われる。図30の処理は、検体並び替え装置40の収納動作において実行される。
【0182】
図31は、供給装置20において、加温部22と移し替え位置223のラック100との間で行われる容器110の移し替え動作を模式的に示す図である。
【0183】
加温部22では、加温部22の前後方向の中央位置P201における穴22aの間隔が、穴22aの他の間隔よりも広い。したがって、加温部22に保持された容器110の取り出し動作時には、中央位置P201において、把持部640が下方に移動される。その後、把持部640は、対象の容器110まで水平移動し、容器110を上方向に取り出す。
【0184】
移し替え位置223のラック100に保持された容器110の取り出し動作時には、ラック100の後方の位置P211において把持部640が下方に移動される。その後、把持部640は、対象の容器110まで前方に水平移動し、容器110を上方向に取り出す。
【0185】
図32は、供給装置20において、洗浄液ラック24および精度管理検体ラック25に対して行われる容器110の移し替え動作を模式的に示す図である。
【0186】
洗浄液ラック24では、前後方向の中央位置P221における穴24aの間隔が穴24aの他の間隔よりも広く、洗浄液ラック24の前方位置P222に広い空間がある。したがって、洗浄液ラック24に保持された容器110の取り出し動作時には、対象の容器110が洗浄液ラック24の後方側にある場合、中央位置P221において把持部640が下方に移動され、対象の容器110が洗浄液ラック24の前方側にある場合、前方位置P222において把持部640が下方に移動される。その後、把持部640は、対象の容器110まで水平移動し、容器110を上方向に取り出す。
【0187】
精度管理検体ラック25に保持された容器110の取り出し動作時には、精度管理検体ラック25の後方位置P231において把持部640が下方に移動される。その後、把持部640は、対象の容器110まで前方に水平移動し、容器110を上方向に取り出す。
【0188】
図33は、検体並び替え装置40において、バッファラック120と昇降位置P15のラック100との間で行われる容器110の移し替え動作を模式的に示す図である。
【0189】
穴121が左右方向に並ぶ位置を行と称すると、バッファラック120では、後方から2行目と3行目との間の位置P241、および、前方から2行目と3行目との間の位置P242における穴121の間隔が、穴121の他の間隔よりも広い。したがって、バッファラック120に保持された容器110の取り出し動作時には、対象の容器110がバッファラック120の後方側にある場合、位置P241において把持部640が下方に移動され、対象の容器110がバッファラック120の前方側にある場合、位置P242において把持部640が下方に移動される。その後、把持部640は、対象の容器110まで水平移動し、容器110を上方向に取り出す。
【0190】
昇降位置P15のラック100に保持された容器110の取り出し動作時には、ラック100の後方の位置P251において把持部640が下方に移動される。その後、把持部640は、対象の容器110まで前方に水平移動し、容器110を上方向に取り出す。
【0191】
なお、図33において、バッファラック120への容器110の収納動作時には、容器110を把持した把持部640が、収納位置において下方に移動され、容器110が収納される。その後、図25~27に示したように把持部640の移動が行われる。すなわち、収納位置の後方に位置する穴121の間に把持部640が移動され、把持部640が後方側に階段状に移動される。最後方の行において容器110が収納された場合に限り、把持部640は、前方側に階段状に移動される。このように、ラック周辺に他の機構があり把持部640を移動させにくいような場合には、適宜、把持部640を水平方向に移動させる方向が変更される。
【0192】
図34は、検体保管装置70において、昇降位置P25のラック100とアーカイブラック130との間で行われる容器110の移し替え動作を模式的に示す図である。
【0193】
ラック100に保持された容器110の取り出し動作時には、ラック100の後方の位置P261において、把持部640が下方に移動される。その後、把持部640は、対象の容器110まで前方に水平移動し、容器110を上方向に取り出す。
【0194】
最も後方側のアーカイブラック130に保持された容器110の取り出し動作時には、最も後方のアーカイブラック130の後方位置P271において把持部640が下方に移動される。他のアーカイブラック130に保持された容器110の取り出し動作時には、当該アーカイブラック130と当該アーカイブラックの後方に隣接するアーカイブラック130との間の位置P272において、把持部640が下方に移動される。その後、把持部640は、対象の容器110まで前方に水平移動し、容器110を上方向に取り出す。
【0195】
<実施形態の効果>
以下の効果の説明では、加温部22、洗浄液ラック24、精度管理検体ラック25、ラック100、バッファラック120、およびアーカイブラック130(容器保持部)のうち、バッファラック120を容器保持部の一例として効果の説明を行う。バッファラック120以外の容器保持部についても同様の効果が奏される。
【0196】
図28を参照して説明したように、ステップS11において、平面視で容器110が保持されていない位置において、把持部640が容器110の蓋部113(頭部)より低い位置まで下方向に移動される。ステップS12において、開状態の把持部640がバッファラック120(容器保持部)上の対象となる容器110に向けて水平方向に移動される。ステップS13において、対象となる容器110に対して把持部640が閉状態にされる。ステップS14において、閉状態にされた把持部640が上方向に移動される。
【0197】
この制御によれば、バッファラック120から対象の容器110を取り出す際に、一旦、容器110がない位置に向けて把持部640が下降される。これにより、把持部640の下降時に、把持部640が対象の容器110や他の容器110と衝突することを回避できる。また、下降後に開状態の把持部が対象の容器110に向けて移動されるため、移動経路に他の容器110が存在しても、把持部640は他の容器110の側面をすり抜けて対象の容器110へと移動し、対象の容器110へと円滑に到達する。その後、把持部640が閉状態にされることにより、対象の容器110が把持部640に把持される。さらに、閉状態の把持部640が上方向に移動されることにより、対象の容器110がバッファラック120から抜き取られる。よって、バッファラック120に複数の容器110が接近して配置されている場合も、対象の容器110を円滑に取り出すことできる。
【0198】
図35は、実施形態の効果をより詳細に説明するための模式図である。図35は、穴121に容器110が保持された状態のバッファラック120を側面から図示している。なお、図35では、理解を容易にするため図示された寸法は実際の寸法とは異なる。
【0199】
上述したとおり、容器110の寸法、特に太さは容器の種類によって異なる。バッファラック120の穴121の直径は、異なる種類の容器を収容できるよう一般的な容器110の直径よりも大きく形成されている。そのため、容器110が穴121に収容されると、図35に破線で示すように、容器110は直立した状態ではなく傾いた状態で収容されることがある。図35では、容器110が傾くことによって蓋部113が位置しうる幅をD1として示している。幅D1は、穴121の幅よりもD2×2だけ大きい。
【0200】
従来技術のように、開状態の把持部640を容器110の真上から下降させる場合、把持部材710、720の先端が蓋部113に対して上から衝突しないよう、開状態の把持部材710、720の間隔を幅D1よりも大きくする必要がある。そのため、従来技術では、一つの容器110を中心とする幅D1と、隣り合う他の容器110を中心とする幅D1との間に、把持部640が入り込めるだけのクリアランスD3が必要になる。必然的に、隣り合う穴121の間の距離D4を広くする必要があり、バッファラック120の小型化には限界がある。
【0201】
図36の上側の図は、上述の実施形態の効果を説明する側面図である。図36の下側の図は、上述の実施形態の効果を説明する平面図である。図36の側面図は、図20の取り出し動作時の位置M12の状態を前方から見たときの図である。図36の側面図および平面図は、把持部640の先端が容器110の蓋部113よりも低い位置まで下げられた状態を示している。
【0202】
図36の側面図に示した状態から把持部640が前方に水平移動すると、把持部材710、720の前端が蓋部113に接触し、さらに把持部640が前方に移動すると、把持部材710、720が隣り合う二つの容器110の蓋部113の間に入り込む。このとき、容器110は、図36の平面図に示すように水平方向に移動し、または僅かに回転して、把持部材710、720が入り込む隙間をつくる。容器110は一般的には円筒形状であり、穴121と容器110との間には隙間があるため、容器110は水平方向に力が加わると穴121内で容易に移動する。そのため、従来技術のように上から把持部640を下降させる場合と異なり、把持部640と容器110とが衝突することなく、隣り合う容器110の間に把持部640を位置付けることが可能である。
【0203】
実施形態の方法によって把持部640を移動させる場合、隣り合う2つの容器110の幅D1の間にクリアランスD3(図35参照)を設ける必要がない。そのため、隣接する穴121を近接して配置することができ、装置の小型化が可能となる。
【0204】
図29に示したように、ステップS21において、容器110を把持した把持部640がバッファラック120(容器保持部)上の保持位置に向けて下方向に移動される。ステップS22において、把持部640が開状態にされる。ステップS23において、開状態の把持部640が、容器110が保持されていない位置に向けて水平方向に移動される。ステップS24において、把持部640が上方向に移動される。
【0205】
この制御によれば、容器110を保持位置に収納した後、把持部640は、開状態で、容器110がない位置に向けて水平方向に移動され、その位置から上方向に移動される。これにより、水平方向の移動経路に他の容器110が存在しても、把持部640は他の容器110の側面をすり抜けて、容器110がない位置へと移動する。その後、把持部640は、容器110がない位置において上方向に移動するため、把持部640が容器110に引っかかることによりバッファラック120から意図せず容器110が脱落する事態を回避できる。
【0206】
容器110はバッファラック120(容器保持部)上に形成された穴121に保持される。これにより、簡単な構成で確実に容器110を保持できる。
【0207】
図22、23に示したように、容器110の取り出し動作において、把持部640は、バッファラック120(容器保持部)上の隣り合う2つの穴121の間に向けて下降する。この制御によれば、隣り合う2つの穴121の間には容器がないので、把持部640の下降時に、把持部640が容器110と衝突することを回避できる。
【0208】
図23に示したように、把持部640は、隣り合う2つの穴121の間の位置のうち、第1間隔より広い第2間隔の位置(位置P122)に下降する。この制御によれば、隣り合う穴121の間隔に広狭がある場合に、把持部640をより広い間隔の位置に降ろすことにより、把持部640と容器110との衝突をより確実に回避できる。
【0209】
図19に示したように、容器110の取り出し動作において、把持部640は、平面視においてバッファラック120(容器保持部)の外側の位置P101に向けて下降する。この制御によれば、平面視においてバッファラック120の外側には容器110がないので、把持部640と容器110との衝突を確実に回避できる。
【0210】
図22、23を参照して説明したように、容器110の収納動作において、容器110の収納後、把持部640は、バッファラック120(容器保持部)上の隣り合う2つの穴121の間に水平移動し、その後、上昇する。この制御によれば、隣り合う2つの穴121の間には容器110がないので、把持部640の上昇時に、把持部640が容器110に引っかかることを回避できる。
【0211】
図23を参照して説明したように、把持部640は、隣り合う2つの穴121の間の位置のうち、第1間隔より広い第2間隔の位置(位置P122)から上昇する。この制御によれば、隣り合う穴121の間隔に広狭がある場合に、把持部640をより広い間隔の位置から上昇させることにより、把持部640が容器110に引っかかることをより確実に回避できる。
【0212】
図30に示したように、容器110の収納動作において、容器110の収納後、ステップS101において、把持部640は、隣り合う穴121の間に移動される。ステップS102において、把持部640は、容器110より高く、且つ、穴121の深さd12より小さい距離d11だけ上方向に移動される。ステップS103において、把持部640は、所定距離だけ水平方向に移動される。ステップS104において、把持部640は、上方向に移動される。
【0213】
隣り合う穴121の間で把持部640が上昇すると、図26の収納動作時の位置M23に示したように、容器110の蓋部113のラベル113aが把持部640に引っかかって容器110が持ち上げられることが起こり得る。上記制御では、このような事態が想定される場合に、把持部640のその後の水平移動によって、引っかかりが解消し、容器110が穴121に落とされる。よって、把持部640の上昇により容器110が穴121から脱落することが抑制される。また、その後、把持部640がさらに上昇するため、その後の把持部640の水平移動を円滑に行うことができる。
【0214】
図19を参照して説明したように、容器110の収納動作において、容器110の収納後、把持部640は、平面視においてバッファラック120(容器保持部)の外側に水平移動し、その後、上昇する。この制御によれば、平面視においてバッファラック120の外側には容器110がないので、把持部640が容器110に引っかかることを確実に回避できる。
【0215】
把持部640が上昇した状態で水平方向に移動する速度は、把持部640が下降した状態で水平方向に移動する速度よりも速い。把持部640が上昇した状態で水平方向に移動する場合、把持部640が下降した状態で水平方向に移動する場合と異なり、把持部640と容器110との過度な衝突が起こらないため、把持部640の移動速度を高めることができる。これにより、容器110を迅速に移送できる。
【0216】
把持部640は、対向して配置され互いに近接および離隔可能な2つの把持部材710、720を備える。この構成によれば、把持部材710、720を安定して把持できるとともに、把持部を簡単な構成で実現できる。
【0217】
図14に示したように、把持部640は、容器110を把持する状態において、容器110を3箇所で把持する。この構成によれば、把持部640が容器110を安定して把持することができるため、移動中に容器110を落下する事態を防止できる。
【0218】
図14に示したように、平面視において、他方の把持部材720の容器110と接する2つの部位(位置P32の部位)を結ぶ直線を垂直に2等分する直線上に、一方の把持部材710の容器110と接する部位(位置P31の部位)が位置づけられている。このように3つの部位が設けられると、安定して容器110を把持できる。
【0219】
図12に示したように、他方の把持部材710の内側面には、平面視において把持部640の把持方向(左右方向)に垂直な方向(前後方向)に並ぶ2つの突起部724が形成されている。2つの突起部724により、他方の把持部材720側から容器110を2箇所で支持できる。
【0220】
図13に示したように、一方の把持部材710の内側面には、平面部714が形成されている。1つの平面部714により、一方の把持部材710側から容器110を1箇所で支持できる。
【0221】
図13に示したように、平面部714の上端には、外側方向に延びた段部716が形成されている。この構成によれば、図15に示したように、容器110の外径が下に進むにつれて徐々に小さくなるよう容器110が構成されている場合でも、平面部714と段部716との境界部分と、他方の把持部材720側の2箇所とで、容器110が3点支持される。これにより、容器110を安定して把持できる。
【0222】
図15に示したように、段部716は、側面視において、他方の把持部材720に形成された2つの突起部724の上端(位置P32a)および下端(位置P32b)の間に位置している。この構成によれば、容器110が水平方向に平行な方向を軸として回転することを抑制できる。
【0223】
図12、15に示したように、一方の把持部材710の先端部分には、角が切り取られた切欠き713、717が形成され、他方の把持部材720の先端部分には、角が切り取られた切欠き723、726、727が形成されている。この構成によれば、把持部640が下方向に移動する際に、把持部材710、720と容器110とが過度に衝突することを回避できる。
【0224】
図15に示したように、2つの把持部材710、720は、それぞれ、容器110を把持する部位よりも上方に、把持方向(左右方向)に貫通する開口712、722を備える。この構成によれば、容器110の上方に設けられた蓋部113の一部が、2つの開口712、722に内側から入り込むため、薄板部711の外側と薄板部721の外側との間の距離を小さくできる。すなわち、把持部分における把持部640の外形を小さくできる。これにより、下降した状態で把持部640を水平方向に移動させる場合に、容器110の間において把持部640を水平方向に円滑に移動させることができる。
【0225】
<その他の変更例>
実施形態では、把持部640の把持方向は左右方向であり、容器110の取り出し動作時に、把持部640は下方において前後方向に移動された。しかしながら、これに限らず、把持部640の把持方向および把持部640が下方で移動する方向が、前後左右方向に対して傾いていてもよい。
【0226】
図37は、この場合の把持部640の動作を模式的に示す平面図である。
【0227】
図37では、把持部640の把持方向および把持部640が下方で移動する方向が、水平面に平行であり、前後左右方向に対して45°傾いている。また、把持部640の把持方向と、把持部640が下方で移動する方向とのなす角が90°である。図37に示す例では、バッファラック120の外側の位置P141で把持部640が下方に移動され、斜め方向に容器T1の位置P142まで移動される。その後、位置P142において把持部640が閉状態にされ、把持部640が上方に移動されて、容器T1が取り出される。
【0228】
この場合も、容器T1の取り出し動作時に、下降後に開状態の把持部640が容器T1に向けて移動されるため、把持部640は、容器T1へと円滑に到達する。また、容器T1の収納動作時には、取り出し動作と逆の動作が行われる。これにより、実施形態と同様、対象となる容器110に対して円滑に取り出しおよび収納を行うことができる。
【0229】
実施形態では、図14に示したように、把持部640は、容器110を把持する状態において、容器110を3箇所で把持したが、容器110を4箇所以上で把持してもよい。
【0230】
図38は、4箇所で容器110を把持する把持部640の構成を模式的に示す平面図である。
【0231】
図38の把持部640は、左右に並んだ一対の支持部材730、740を備える。支持部材730は、支持部材730に対して内側方向および外側方向に移動可能な一対の把持部材731を備え、支持部材740は、支持部材740に対して内側方向および外側方向に移動可能な一対の把持部材741を備える。把持部材731、741は、棒状の部材である。把持部材731、741の移動方向は、図38の太線の矢印に示すように、前後左右方向に対して45°傾いている。把持部640が容器110を把持する際には、把持部材731、741が内側方向に移動される。これにより、把持部材731、741の先端が容器110の胴部111に接触し、把持部材731、741により容器110が4箇所で把持される。
【0232】
この場合も、容器110の移し替え動作は、図28~30と同様に行われる。把持部640の下方における移動方向は、実施形態と同様、前後方向である。これにより、実施形態と同様、対象となる容器110に対して円滑に取り出しおよび収納を行うことができる。
【0233】
実施形態において、図13に示したように、把持部材710には、平面部714が形成されたが、これに代えて、内側方向に突出した突起部が形成されてもよい。この場合も、把持部640は、容器110を3箇所で安定して把持できる。
【0234】
実施形態では、図12、13、15に示したように、切欠き713、717、724、726は平面状に形成されたが、曲面状に形成されてもよい。
【0235】
実施形態では、供給装置20、検体並び替え装置40および検体保管装置70にそれぞれ容器移送機構26、45、74が配置され、容器移送機構26、45、74が図28~30に示したように制御された。しかしながら、これに限らず、各種の液体を収容した容器を移送する装置に設置された容器移送機構が、上記容器移送機構と同様に構成され、上記と同様に制御されてもよい。
【0236】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0237】
20 供給装置(容器移送装置)
22a、24a、25a、101、121、131 穴
22 加温部(容器保持部)
22a 穴
24 洗浄液ラック(容器保持部)
24a 穴
25 精度管理検体ラック(容器保持部)
25a 穴
40 検体並び替え装置(容器移送装置)
70 検体保管装置(容器移送装置)
100 ラック(容器保持部)
101 穴
110 容器(対象容器)
113 蓋部(頭部)
120 バッファラック(容器保持部)
121 穴
130 アーカイブラック(容器保持部)
131 穴
610 前後移送部(移動機構部)
620 左右移送部(移動機構部)
630 上下移送部(移動機構部)
640 把持部
710 把持部材(一方の把持部材)
712 開口
713、717 切欠き
714 平面部
716 段部
720 把持部材(他方の把持部材)
722 開口
723、726、727 切欠き
724 突起部
801、811、821 制御部
T1 容器(対象容器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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