(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103910
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】硬貨取扱装置、硬貨取扱装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G07D 11/10 20190101AFI20230720BHJP
【FI】
G07D11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004715
(22)【出願日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伴場 正憲
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141DA08
3E141FA10
3E141FB01
3E141FC05
3E141FF01
3E141FG03
3E141GA04
3E141GB03
3E141JA20
3E141KA16
3E141LA11
3E141LA23
(57)【要約】
【課題】硬貨よりも大きな異物が搬送ベルト上に載り、その異物の上に硬貨が更に載っている場合であっても、硬貨と異物を分離して硬貨を搬送する。
【解決手段】硬貨取扱装置は、硬貨が投入される投入部と、投入部に投入された硬貨が載せられる搬送ベルトを有し、搬送ベルトによって硬貨を搬送する搬送部と、搬送部によって搬送された硬貨を鑑別する鑑別部と、搬送ベルト上の硬貨及び異物の有無を検出する検出部と、搬送ベルト上に向けて送風する送風部と、搬送部及び送風部を制御する制御部と、を備え、制御部は、検出部によって搬送ベルト上に異物があることが検出されたときに、送風部によって搬送ベルト上に送風するように制御することで、搬送ベルト上に載せられた硬貨と異物を分離する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨が投入される投入部と、
前記投入部に投入された硬貨が載せられる搬送ベルトを有し、前記搬送ベルトによって硬貨を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送された硬貨を鑑別する鑑別部と、
前記搬送ベルト上の硬貨及び異物の有無を検出する検出部と、
前記搬送ベルト上に向けて送風する送風部と、
前記搬送部及び前記送風部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記検出部によって前記搬送ベルト上に異物があることが検出されたときに、前記送風部によって前記搬送ベルト上に送風するように制御することで、前記搬送ベルト上に載せられた硬貨と異物を分離する、硬貨取扱装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記搬送ベルト上の硬貨または異物の有無を検出する光センサと、前記搬送ベルト上の硬貨の有無を検出する磁気センサと、を有し、
前記制御部は、前記光センサが硬貨または異物の存在を検出し、かつ、前記搬送ベルトを前記鑑別部へ送ったときに前記鑑別部によって硬貨の鑑別が行われない場合に、前記送風部によって前記搬送ベルト上に送風するように制御する、
請求項1に記載の硬貨取扱装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記光センサが硬貨または異物の存在を検出し、かつ、前記磁気センサが硬貨の存在を検出しない場合、前記送風部によって前記搬送ベルト上に送風するように制御する、
請求項2に記載の硬貨取扱装置。
【請求項4】
前記搬送ベルト上の異物を、前記送風部から送られた風によって前記硬貨取扱装置の外部へ排出するための異物排出部を更に備え、
前記異物排出部は、前記搬送ベルトにおける前記鑑別部側とは反対側に設けられて異物が排出される異物排出口と、前記異物排出口を開閉する扉部材を有する開閉機構と、前記異物排出口の近傍に設けられて前記送風部から送られた風が通過する排風口と、を有し、
前記制御部は、前記扉部材が前記異物排出口を閉じた状態で前記送風部によって送られた風が前記排風口から排出されるように、前記開閉機構及び前記送風部を制御する、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の硬貨取扱装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記送風部が送風しながら、硬貨を前記鑑別部に送る方向とは逆方向に前記搬送ベルトを送ることで前記搬送ベルト上の異物を前記異物排出口から排出するように、前記開閉機構及び前記送風部を制御する、
請求項4に記載の硬貨取扱装置。
【請求項6】
前記搬送部の前記搬送ベルトは、前記鑑別部側の一端部よりも前記異物排出口側の他端部が下方になるように搬送面が傾斜している、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の硬貨取扱装置。
【請求項7】
前記送風部は、前記搬送ベルト上の異物を前記異物排出口側へ寄せると共に異物を前記搬送ベルトから舞い上げないような風量で送風する、
請求項4に記載の硬貨取扱装置。
【請求項8】
硬貨が投入される投入部と、前記投入部に投入された硬貨が載せられる搬送ベルトを有し、前記搬送ベルトによって硬貨を搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送された硬貨を鑑別する鑑別部と、前記搬送ベルト上の硬貨及び異物の有無を検出する検出部と、前記搬送ベルト上に向けて送風する送風部と、前記搬送部及び前記送風部を制御する制御部と、を備える硬貨取扱装置の制御方法であって、
前記検出部によって前記搬送ベルト上に異物があることが検出されたときに、前記送風部によって前記搬送ベルト上に送風することで、前記搬送ベルト上に載せられた硬貨と異物を分離するように、前記制御部によって前記送風部を制御する、硬貨取扱装置の制御方法。
【請求項9】
硬貨が投入される投入部と、前記投入部に投入された硬貨が載せられる搬送ベルトを有し、前記搬送ベルトによって硬貨を搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送された硬貨を鑑別する鑑別部と、前記搬送ベルト上の硬貨及び異物の有無を検出する検出部と、前記搬送ベルト上に向けて送風する送風部と、前記搬送部及び前記送風部を制御する制御部と、を備える硬貨取扱装置を制御するためのプログラムであって、
前記検出部によって前記搬送ベルト上に異物があることが検出されたときに、前記送風部によって前記搬送ベルト上に送風することで、前記搬送ベルト上に載せられた硬貨と異物を分離するように前記制御部に前記送風部の制御を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨取扱装置、硬貨取扱装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
投入部に投入された硬貨を取り扱う硬貨取扱装置が知られている。この種の硬貨取扱装置には、投入部に投入された硬貨を搬送ベルトによって搬送する搬送機構を備えるものがある(特許文献1)。
【0003】
関連技術の硬貨取扱装置としては、投入部から投入された硬貨を含む投入物を検出する光センサと、搬送ベルトによって搬送された硬貨を鑑別する鑑別部と、を備えるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような硬貨取扱装置では、財布から投入部に直接、多数の硬貨がまとめて投入される場合もあり、硬貨よりも大きな異物が硬貨と共に投入されるおそれがある。このとき、大きな異物が搬送ベルト上に載り、その異物の上に硬貨が更に載ってしまうことがある。このような場合には、搬送ベルト上の硬貨と異物を分離することが困難であり、異物から分離された硬貨を搬送できない。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、硬貨よりも大きな異物が搬送ベルト上に載り、その異物の上に硬貨が更に載っている場合であっても、硬貨と異物を分離して硬貨を搬送することができる硬貨取扱装置、硬貨取扱装置の制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示する硬貨取扱装置の一態様は、硬貨が投入される投入部と、前記投入部に投入された硬貨が載せられる搬送ベルトを有し、前記搬送ベルトによって硬貨を搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送された硬貨を鑑別する鑑別部と、前記搬送ベルト上の硬貨及び異物の有無を検出する検出部と、前記搬送ベルト上に向けて送風する送風部と、前記搬送部及び前記送風部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検出部によって前記搬送ベルト上に異物があることが検出されたときに、前記送風部によって前記搬送ベルト上に送風するように制御することで、前記搬送ベルト上に載せられた硬貨と異物を分離する。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示する硬貨取扱装置の一態様によれば、硬貨よりも大きな異物が搬送ベルト上に載り、その異物の上に硬貨が更に載っている場合であっても、硬貨と異物を分離して硬貨を搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施例の硬貨取扱装置を示す正面図である。
【
図2】
図2は、実施例の硬貨取扱装置を模式的に示す縦断面図である。
【
図3】
図3は、実施例の要部を模式的に示す平面図である。
【
図4】
図4は、実施例の要部を模式的に示す縦断面図である。
【
図5】
図5は、実施例の要部を説明するためのブロック図である。
【
図6】
図6は、実施例の要部の動作を説明するために模式的に示す縦断面図である。
【
図7】
図7は、実施例の要部の動作を説明するために模式的に示す縦断面図である。
【
図8】
図8は、実施例の要部の動作を説明するために模式的に示す縦断面図である。
【
図9】
図9は、実施例における制御を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する硬貨取扱装置、硬貨取扱装置の制御方法、及びプログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する硬貨取扱装置、硬貨取扱装置の制御方法、及びプログラムが限定されるものではない。
【実施例0011】
図1は、実施例の硬貨取扱装置を示す正面部である。
図2は、実施例の硬貨取扱装置を模式的に示す縦断面図である。
【0012】
図1及び
図2に示すように、硬貨取扱装置1は、硬貨3が投入される投入部としての入出金部5と、入出金部5に投入された硬貨3を搬送する搬送部としての繰出し部6と、繰出し部6によって送られた硬貨3を鑑別する鑑別部7と、繰出し部6の後述する搬送ベルト上に載せられた投入物である硬貨3または異物の有無を検出する検出部8と、を備える。
【0013】
また、硬貨取扱装置1は、繰出し部6の搬送ベルト22上に向けて送風する送風部11と、搬送ベルト22上の異物を、送風部11から送られた風によって硬貨取扱装置1の外部へ排出するための異物排出部12と、繰出し部6、送風部11及び異物排出部12を制御する制御部13と、を備える。図面において、硬貨取扱装置1の前後方向をX方向、幅方向をY方向、高さ方向をZ方向として示す。
【0014】
また、硬貨取扱装置1は、繰出し部6から送られた硬貨3を一時的に収容する一時保留部14と、繰出し部6から送られた小さな異物4が回収するための異物回収部15と、硬貨3が金種別にそれぞれ収容された金種別スタッカ部16と、回収された硬貨3が収容される硬貨回収部17と、を備える。また、硬貨取扱装置1は、上述した各部の間で硬貨3を搬送する各種搬送部18、出金用の硬貨3を補充するための硬貨カセット19、金種別スタッカ部16に入りきらなかった硬貨3が収容される一括スタッカ部20等を備える。
【0015】
ここで、異物回収部15に回収される小さな異物4とは、その異物4の上に硬貨3全体が載らないような硬貨3よりも面積が小さい異物4であり、例えば、輪ゴム、クリップ、紙きれ等を指す。一方、異物排出部12からは、大きな異物4が硬貨取扱装置1の外部へ排出される。大きな異物4とは、その異物4の上に硬貨3が載るような硬貨3よりも面積が大きい異物4であり、例えば、小袋、レシート、チケット、菓子の包み紙等を指す。
【0016】
(硬貨取扱装置の要部の構成)
図3は、実施例の要部を模式的に示す平面図である。
図4は、実施例の要部を模式的に示す縦断面図である。
【0017】
図2、
図3及び
図4に示すように、入出金部5は、利用者が硬貨3を投入する受け皿5aと、受け皿5aにおける底部を回転させる回転機構(図示せず)と、を有する。入出金部5は、利用者が受け皿5aに硬貨3を投入した後、受け皿5aの底部を回転させることで、受け皿5a内の硬貨3を繰出し部6の搬送ベルト22上に落下させる。また、入出金部5は、
図1及び
図2に示すように、受け皿5aへの硬貨3の投入を制限するシャッタ5bと、シャッタ5bを開閉するシャッタ機構(図示せず)と、を有する。
【0018】
図2、
図3及び
図4に示すように、繰出し部6は、入出金部5の直下に配置されており、入出金部5に投入された硬貨3が載せられる搬送ベルト22と、搬送ベルト22を駆動するプーリ23を含む駆動機構(図示せず)と、搬送ベルト22上の硬貨3を1枚ずつ送る分離ローラ24と、鑑別部7へ進入させる硬貨3を案内するガイド部材25と、を有する。
【0019】
繰出し部6の駆動機構は、搬送ベルト22を、鑑別部7へ硬貨3を送る正転方向と、異物排出部12側へ異物4を送る逆転方向とに制御部13によって切り替えられる。
【0020】
また、搬送ベルト22の搬送面22aは、搬送ベルト22における鑑別部7側が、搬送ベルト22における鑑別部7とは反対側の異物排出部12側よりも高くなるように、水平方向であるX方向に対して傾斜して配置されている。これにより、異物4が鑑別部7側へ送られ難くすると共に、送風部11から送られた風によって搬送面22a上の異物4を異物排出部12側へスムーズに寄せることができる。
【0021】
鑑別部7は、ラインセンサ(図示せず)と、ラインセンサに対して硬貨3を搬送する搬送ベルト7aと、硬貨3を搬送ベルト7a上へ引き込む引込みローラと7b、搬送ベルト7aを駆動する駆動機構(図示せず)と、を有する。鑑別部7の搬送ベルト7aの搬送面は、繰出し部6の搬送ベルト22の搬送面22aに沿って設けられている。
【0022】
検出部8は、繰出し部6の搬送ベルト22上の硬貨3または異物4の有無を検出する光センサ27と、搬送ベルト22上の硬貨3の有無を検出する磁気センサ28と、を有する。
【0023】
光センサ27は、例えば、入出金部5の受け皿5aと搬送ベルト22との間における複数個所(例えば、図に示す3箇所)にそれぞれ配置されている。各光センサ27は、Z方向における異なる高さに設けられている。各光センサ27は、図示しないが、検出光を発する発光素子と、検出光を受光する受光素子と、を有しており、例えば、搬送ベルト22の上方における水平方向(Y方向)に沿って検出光が通過するように設けられている。また、2つの光センサ27は、
図3に示すように、検出光が互いに交差するように配置されている。各光センサ27は、受け皿5aから落下された投入物である硬貨3または異物4の有無の検出結果を制御部13へ送信する。
【0024】
磁気センサ28は、受け皿5aから落下した硬貨3及び異物4が搬送ベルト22上に載る位置における搬送面22aの直下に配置されている。磁気センサ28は、搬送面22a上の近傍に磁界を発生させて磁界の変化を検出することにより、搬送ベルト22上に金属材、すなわち硬貨3の有無を検出する。磁気センサ28は、硬貨3の有無の検出結果を制御部13に送信する。
【0025】
送風部11は、搬送ベルト22上に向けて送風する送風ファン31と、送風ファン31を駆動するモータ(図示せず)と、を有する。送風ファン31は、搬送ベルト22の搬送面22aを向く姿勢で配置されており、鑑別部7側から異物排出部12側へ向かって送風する。また、送風部11は、搬送ベルト22上の異物4を搬送ベルト22上に沿って異物排出部12の異物排出口35側へ寄せると共に異物4を搬送ベルト22から舞い上げないような風量で送風する。これにより、面積が大きな異物4を繰出し部6の内部に引っ掛けることが抑えられ、大きな異物4を異物排出部12からスムーズに排出することができる。
【0026】
異物排出部12は、異物4が排出される異物排出口35と、異物排出口35を開閉する扉部材37を有する開閉機構36と、送風部11から送られた風が通過する排風口38と、を有する。異物排出口35は、搬送ベルト22における鑑別部7側とは反対側に設けられており、搬送ベルト22の端部の近傍に形成されている。扉部材37は、その上端部を支持する回動軸39を介して異物排出口35に対して開閉可能に設けられている。
【0027】
排風口38は、扉部材37に設けられており、扉部材37を貫通するスリット状に形成されている、排風口38は、送風ファン31から送られた風が吹き付けられる異物排出口35の近傍に設けられていればよく、例えば、異物排出口35の周囲に設けられてもよい。また、異物排出口35の下方には、図示しないが、異物排出口35から排出された異物4が収容される返却皿が設けられている。
【0028】
制御部13は、搬送ベルト22上の硬貨3と異物4を分離するとき、扉部材37が異物排出口35を閉じた状態で送風部11の送風ファン31によって送られた風が排風口38から排出されるように、開閉機構36及び送風部11のモータを制御する。これにより、送風ファン31からの風によって搬送ベルト22上の異物4が異物排出口35側へ寄せられ、硬貨3と異物4が分離される。
【0029】
図5は、実施例の硬貨取扱装置1の要部を説明するためのブロック図である。
図5に示すように、制御部13は、各光センサ27及び磁気センサ28と電気的に接続されており、各光センサ27及び磁気センサ28の各検出結果に基づいて、送風部11の送風ファン31、繰出し部6の駆動機構、異物排出部12の開閉機構36の制御をそれぞれ行う。また、制御部13は、搬送ベルト22を鑑別部7へ送ったときに鑑別部7によって硬貨3の鑑別が行われない場合に、つまり搬送ベルト22によって鑑別部7へ硬貨3が送られない場合に鑑別部7からの出力信号に基づいて、送風部11の送風ファン31、繰出し部6の駆動機構、異物排出部12の開閉機構36の制御を行う。
【0030】
制御部13は、光センサ27が硬貨3または異物4の存在を検出し、かつ、搬送ベルト22を鑑別部7へ送ったときに鑑別部7によって硬貨3が鑑別されない場合に、送風部11によって搬送ベルト22上に送風するように制御する。これにより、搬送ベルト22上において、硬貨3よりも大きな異物4の上に硬貨3が載っている場合であっても、送風部11からの風によって異物4を移動させて異物4の上の硬貨3を搬送ベルト22上に落とし、異物4と硬貨3を分離できる。
【0031】
また、制御部13は、光センサ27が硬貨3または異物4の存在を検出し、かつ、磁気センサ28が硬貨3の存在を検出しない場合、送風部11によって搬送ベルト22上に送風するように制御してもよい。この場合にも、送風部11からの風によって、硬貨3が載っている異物4を移動させて硬貨3を搬送ベルト22上に落とし、異物4と硬貨3を分離できる。
【0032】
(硬貨と異物を分離する動作)
以下、制御部13が送風部11の送風ファン31、繰出し部6の駆動機構、異物排出部12の開閉機構36を制御することにより、硬貨3と異物4を分離する動作、異物4を異物排出部12から排出する動作について説明する。
図6~8は、実施例の要部の動作を説明するために模式的に示す縦断面図である。
図9は、実施例における制御を説明するためのフローチャートである。
【0033】
図6に示すように、硬貨取扱装置1では、入出金部5の受け皿5aに硬貨3と異物4が投入され(
図9のステップS1)、受け皿5aから硬貨3と異物4が繰出し部6へ落下した際に、硬貨3よりも大きな異物4が搬送ベルト22上に載り、その異物4の上に硬貨3が更に載るおそれがある。このとき、制御部13は、光センサ27の検出結果に基づいて、投入物である硬貨3または異物4が搬送ベルト22上にあるかを判断する(ステップS2)。ステップS2において、光センサ27が硬貨3または異物4を検出せず、硬貨3または異物4が搬送ベルト22上に存在しないと制御部13が判断した場合(No)、制御部13は、送風部11、繰出し部6、異物排出部12の制御を終了する。
【0034】
ステップS2において、光センサ27が硬貨3または異物4を検出し、硬貨3または異物4が搬送ベルト22上に存在すると制御部13が判断した場合(Yes)、制御部13は、搬送ベルト22を正転させて硬貨3を鑑別部7へ送る(ステップS3)。続いて、制御部13は、鑑別部7が硬貨3の鑑別を実行したか否かに基づいて、搬送ベルト22によって硬貨3を鑑別部7へ搬送不可かを判断する(ステップS4)。
【0035】
ステップS4において、搬送ベルト22を鑑別部7へ送ったときに鑑別部7によって硬貨3の鑑別が行われた場合(No)、制御部13は、硬貨3の搬送が可能であると判断して、ステップS3に戻り、搬送ベルト22を正転させて硬貨3を鑑別部7へ送る搬送動作を続ける。ステップS4において、搬送ベルト22を鑑別部7へ送ったときに鑑別部7によって硬貨3の鑑別が行われない場合(Yes)、制御部13は、硬貨3の搬送不可であると判断して、送風ファン31を回転させるように送風部11を制御する(ステップS5)。
【0036】
このとき、制御部13は、扉部材37によって異物排出口35を閉じた状態で送風部11が送風動作を行うように、異物排出部12の開閉機構36を制御する。送風ファン31から送られた風は、扉部材37の排風口38を通って硬貨取扱装置1の外部へ排出される。このように硬貨3と異物4を分離するときに異物排出口35が閉じられていることにより、送風ファン31からの風で移動する異物4と共に硬貨3が異物排出口35から排出されることを防げる。
【0037】
これにより、
図7に示すように、硬貨取扱装置1は、搬送ベルト22上において、例えば、硬貨3よりも大きな異物4の上に硬貨3が載っている場合であっても、送風ファン31からの風で異物4を移動させて、異物4の上の硬貨3を搬送ベル22上に落とすことで異物4と硬貨3を分離する(ステップS6)。
【0038】
なお、硬貨3と異物4を分離する際、制御部13は、搬送ベルト22の正転送りと逆転送りを複数回繰り返して搬送ベルト22を搬送方向に対して揺らしながら、送風部11によって搬送ベルト22上に風を送るように制御してもよい。これにより、例えば、硬貨3よりも大きな面積の異物4の上に複数の硬貨3が積み重なった場合であっても、異物4の上の硬貨3群を崩して搬送ベルト22上に落とし、硬貨3と異物4とをスムーズに分離することができる。
【0039】
続いて、制御部13は、磁気センサ28の検出結果に基づいて、異物4から分離された硬貨3が搬送ベルト22上にあるかを判断する(ステップS7)。ステップS7において、磁気センサ28が硬貨3を検出し、硬貨3が搬送ベルト22上に存在すると制御部13が判断した場合(Yes)、ステップS3に戻り、搬送ベルト22を正転させて硬貨3を鑑別部7へ送る搬送動作を続ける。搬送ベルト22上の硬貨3が鑑別部7へ送られた後、ステップS6において、磁気センサ28が硬貨3を検出せず、硬貨3が搬送ベルト22上に存在しないと制御部13が判断した場合(No)、制御部13は、扉部材37が異物排出口35を開くように異物排出部12の開閉機構36を制御し(ステップS8)、送風ファン31を回転させるように送風部11を制御する(ステップS9)。
【0040】
最後に、制御部13は、
図8に示すように、異物排出口35が開いた状態で送風ファン31によって搬送ベルト22上に風を送りながら、搬送ベルト22を逆転させるように繰出し部6の駆動機構を制御することで、異物4を異物排出口35から硬貨取扱装置1の外部へ排出する(ステップS10)。これにより、硬貨取扱装置1は、例えば、搬送ベルト22の搬送面22a上から移動させ難い面積が大きな異物4であっても異物排出口35からスムーズに排出することができる。
【0041】
なお、異物排出部12から異物4を排出する際、制御部13は、硬貨3と異物4を分離する際に送る風速よりも風速を大きくするように送風部11を制御してもよい。
【0042】
上述のように、実施例の硬貨取扱装置1は、硬貨3よりも大きな異物4の上に硬貨3が載った場合であっても、硬貨3と異物4をスムーズに分離し、硬貨3を鑑別部7へ送ると共に、硬貨3と分離された異物4を異物排出口35から硬貨取扱装置1の外部へ排出することができる。また同様に、実施例の硬貨取扱装置1は、例えば、繰出し部6へ硬貨3が投入されず異物4のみが投入された場合にも、上述した異物4の排出動作を行うことにより、硬貨3よりも大きな異物4を異物排出口35から硬貨取扱装置1の外部へ排出することができる。
【0043】
(硬貨取扱装置の制御方法)
実施例の硬貨取扱装置1の制御方法は、検出部8によって搬送ベルト22上に異物4があることが検出されたときに、送風部11によって搬送ベルト22上に送風することで、搬送ベルト22上に載せられた硬貨3と異物4を分離するように、制御部13によって送風部11を制御する。
【0044】
(硬貨取扱装置を制御するためのプログラム)
実施例の硬貨取扱装置1を制御するためのプログラムは、検出部8によって搬送ベルト22上に異物4があることが検出されたときに、送風部11によって搬送ベルト22上に送風することで、搬送ベルト22上に載せられた硬貨3と異物4を分離するように制御部13に送風部11の制御を実行させる。
【0045】
なお、硬貨取扱装置1の制御部13の代わりに、硬貨取扱装置1を備える貨幣取扱装置、例えば、現金自動預払機の制御部や、外部コンピュータによって制御部13と同様の制御を行ってもよい。このため、プログラムは、硬貨取扱装置1の制御部13に制御を実行させるものに限定されず、貨幣取扱装置の制御部や、外部コンピュータに制御を実行させるものであってもよい。
【0046】
(実施例の効果)
実施例の硬貨取扱装置1は、搬送ベルト22上の硬貨3及び異物4の有無を検出する検出部8と、搬送ベルト22上に向けて送風する送風部11と、を備えており、制御部13が、検出部8によって搬送ベルト22上に異物4があることが検出されたときに、送風部11によって搬送ベルト22上に送風するように制御することで、搬送ベルト22上に載せられた硬貨3と異物4を分離する。このように、硬貨取扱装置1によれば、硬貨3よりも大きな異物4が搬送ベルト22上に載り、その異物4の上に硬貨3が更に載っている場合であっても、硬貨3と異物4を分離して硬貨3を鑑別部7へ搬送することができる。
【0047】
また、実施例の硬貨取扱装置1における制御部13は、光センサ27が硬貨3または異物4の存在を検出し、かつ、搬送ベルト22を鑑別部7へ送ったときに鑑別部7によって硬貨3の鑑別が行われない場合に、送風部11によって搬送ベルト22上に送風するように制御する。これにより、搬送ベルト22上に存在する異物4を検出し、送風部11からの風によって異物4と硬貨3を分離することが可能になる。
【0048】
加えて、実施例の硬貨取扱装置1における検出部8は、搬送ベルト22上の硬貨3の有無を検出する磁気センサ28を有することで、硬貨3と異物4が分離されたときに搬送ベルト22上に載った硬貨3を磁気センサ28で検出し、硬貨3を鑑別部7へ搬送することができる。
【0049】
また、硬貨3よりも大きな異物4としては、例えば、透明な樹脂製の小袋等が硬貨3と共に投入される場合があり、透明な異物4の上に硬貨3が載ってしまうことがある。このとき、光センサ27の検出光が透明な異物4を通過し、投入物である硬貨3異物4を検出できないおそれがある。このような場合であっても、実施例における検出部8は、磁気センサ28によって搬送ベルト22上に硬貨3があることを検出することも可能になる。したがって、実施例によれば、硬貨3よりも大きな異物4が、光透過性を有する異物4である場合にも、搬送ベルト22上の異物4の存在を検知し、異物4と硬貨3を分離することができる。
【0050】
また、実施例の硬貨取扱装置1における制御部13は、光センサ27が硬貨3または異物4の存在を検出し、かつ、磁気センサ28が硬貨3の存在を検出しない場合、送風部11によって搬送ベルト22上に送風するように制御する。これにより、搬送ベルト22上に存在する異物4を検出し、送風部11からの風によって異物4と硬貨3を分離することが可能になる。
【0051】
また、実施例の硬貨取扱装置1における異物排出部12は、搬送ベルト22における鑑別部7側とは反対側に設けられて異物4が排出される異物排出口35と、異物排出口35を開閉する扉部材37を有する開閉機構36と、異物排出口35の近傍に設けられて送風部11から送られた風が通過する排風口38と、を有する。制御部13は、扉部材37が異物排出口35を閉じた状態で送風部11によって送られた風が排風口38から排出されるように、開閉機構36及び送風部11を制御する。このように硬貨3と異物4を分離するときに異物排出口35が閉じられていることにより、送風ファン31からの風で移動する異物4と共に硬貨3が異物排出口35から排出されることを防ぐことができ、硬貨3と異物4を適切に分離できる。
【0052】
また、実施例の硬貨取扱装置1における制御部13は、送風部11が送風しながら、硬貨3を鑑別部7に送る方向とは逆方向に搬送ベルト22を送ることで搬送ベルト22上の異物4を異物排出口35から排出するように、開閉機構36及び送風部11を制御する。これにより、送風部11からの風と搬送ベルト22によって異物4を異物排出口35へ送ることで、例えば、搬送ベルト22の搬送面22a上から離れ難い面積が大きな異物4であっても異物排出口35からスムーズに排出することができる。
【0053】
また、実施例の硬貨取扱装置1において、繰出し部6の搬送ベルト22は、鑑別部7側の一端部よりも異物排出口35側の他端部が下方になるように搬送面22aが傾斜している。これにより、異物4が鑑別部7側へ送られ難くすると共に、送風部11から送られた風によって搬送面22a上の異物4を異物排出部12側へスムーズに寄せることができる。
【0054】
また、実施例の硬貨取扱装置1における送風部11は、搬送ベルト22上の異物4を異物排出口35側へ寄せると共に異物4を搬送ベルト22から舞い上げないような風量で送風する。これにより、面積が大きな異物4を繰出し部6の内部に引っ掛けることが抑えられ、大きな異物4を異物排出部12からスムーズに排出することができる。