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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103912
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】ドア開閉操作装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 85/18 20140101AFI20230720BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
E05B85/18 Z
B60J5/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004717
(22)【出願日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳留 尚希
(72)【発明者】
【氏名】金子 健一郎
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ48
2E250PP12
(57)【要約】
【課題】車両用ドアの開操作を行なわないときだけでなく、車両用ドアの開操作を行なうとき、及び故障時においても良好な意匠性及び空力特性の保持が可能なドア開閉操作装置を提供する。
【解決手段】ドア開閉操作装置10は、ラッチ解除部30と、閉塞位置と開放位置との間で移動可能なパネルカバー40と、パネルカバー40を閉塞位置と開放位置との間で移動させる駆動装置50と、を備え、駆動装置50は、回転駆動軸52と、一端部53aが回転駆動軸52と連結され、他端部53bがパネルカバー40と接続され、少なくとも一部が、ドア11の内外方向における一端部53aの位置よりドア11の内方側に配置されるアーム53と、を備え、回転駆動軸52は、パネルカバー40の移動軌跡よりも車両における上方に配置される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドア内の操作空間に配置され、前記ドアの外側から前記ドアに設けられた操作開口を通して操作され前記ドアのラッチを解除するラッチ解除部と、
前記操作空間に配置され、前記操作開口を閉塞する閉塞位置と、前記操作空間を露出させる開放位置との間で移動可能なパネルカバーと、
前記パネルカバーを前記閉塞位置と前記開放位置との間で移動させる駆動装置と、を備え、
前記駆動装置は、
回転可能な回転駆動軸と、
前記操作空間に配置され、一端部が前記回転駆動軸と連結され、他端部が前記パネルカバーと接続されるとともに、少なくとも一部が、前記ドアの内外方向における前記一端部の位置より前記ドアの内方側に配置されるアームと、を備え、
前記回転駆動軸は、前記パネルカバーの移動軌跡よりも上方に配置される、ドア開閉操作装置。
【請求項2】
前記アームは、前記一端部と接続される第一腕部と、前記他端部と接続される第二腕部と、前記第一腕部と前記第二腕部とを前記回転駆動軸の軸方向から視てL字状を呈するように連結する屈曲腕部と、を有し、
前記パネルカバーが前記開放位置に位置するとき、前記第一腕部は、前記一端部から前記ドアの内方側に水平に延在し、前記第二腕部は、前記屈曲腕部から鉛直方向下方に延在する、請求項1に記載のドア開閉操作装置。
【請求項3】
前記駆動装置は、
前記他端部と前記パネルカバーとを相対移動可能に接続する接続部を備え、
前記接続部は、前記他端部及び前記パネルカバーのうち一方に設けられ上下方向に延在する溝部と、前記他端部及び前記パネルカバーのうち他方に設けられ前記溝部と前記相対移動可能に係合する凸部と、により構成される、請求項1又は2に記載のドア開閉操作装置。
【請求項4】
前記閉塞位置と前記開放位置との間で直線移動する前記パネルカバーをガイドするガイド機構を備える、請求項3に記載のドア開閉操作装置。
【請求項5】
前記パネルカバーの下方に前記操作空間の下側を区画する区画壁を備え、前記区画壁は、前記パネルカバーが前記開放位置に位置するときに、前記ドアの外側から前記操作開口を通して視認可能である、請求項1-4の何れか1項に記載のドア開閉操作装置。
【請求項6】
前記区画壁の上面には、前記ドアの外面又は前記パネルカバーの前記ドアにおける外方側の外面と同様の表面処理が施されている、請求項5に記載のドア開閉操作装置。
【請求項7】
前記パネルカバーは、前記操作開口に対応した大きさに形成された意匠部と、前記意匠部の外縁外側に前記意匠部の外縁に沿って一体に設けられ、前記意匠部の外面よりも前記ドアの内方側に配置された外面を有する周縁部と、を備え、
前記周縁部は、前記操作開口の周縁よりも外側に位置している、請求項1-6の何れか1項に記載のドア開閉操作装置。
【請求項8】
前記ラッチ解除部は、前記操作開口よりも上方に配置される、請求項1-7の何れか1項に記載のドア開閉操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア開閉操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の意匠性や空力特性の向上のため、車両用ドアの開操作が行なわれないときには、ドアハンドルの外面とドアパネルの外面とが面一となるよう設定される車両用ドアが普及し始めている。例えば、特許文献1における車両用ドアのドアハンドル装置では、車両用ドアの開操作が行われないときには、操作ハンドル2(ドアハンドル)がアウタドアパネル11に設けられた開口部に挿入されて開口部を閉塞するとともに、操作ハンドル2の外面がアウタドアパネル11の外面と面一になるよう位置する。そして、ドアを開く時には、車外にいる操作者が所定の操作を行なうことによって、操作ハンドル2に連結される平行クランク機構が作動し、操作ハンドル2が、アウタドアパネル11の外面と面一に位置する状態から、車外方向に突出(ポップアップ)される。これにより、操作者は、突出した操作ハンドル2を把持し、引き出すことによりラッチを解除して車両用ドアを開くことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-157424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のドアハンドル装置では、操作ハンドル2をポップアップさせるための平行クランク機構が、操作ハンドル2の背面側(車内側)の空間だけでなく背面側の空間よりも下方の空間に亘って配置されている。このため、操作ハンドル2がポップアップされた状態では、操作ハンドル2とアウタドアパネル11との間の隙間及びアウトドア11に設けられた開口部を通して、平行クランク機構が視認可能となり、意匠性を損ねる虞がある。また、万一、ドアハンドル装置が故障し、操作ハンドル2がポップアップされた状態での走行を余儀なくされた場合には、意匠性だけでなく、空力特性も損ねる虞がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、車両用ドアの開操作を行なわないときだけでなく、車両用ドアの開操作を行なうとき、及び故障時においても良好な意匠性及び空力特性の保持が可能なドア開閉操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、ドア開閉操作装置は、車両のドア内の操作空間に配置され、前記ドアの外側から前記ドアに設けられた操作開口を通して操作され前記ドアのラッチを解除するラッチ解除部と、前記操作空間に配置され、前記操作開口を閉塞する閉塞位置と、前記操作空間を露出させる開放位置との間で移動可能なパネルカバーと、前記パネルカバーを前記閉塞位置と前記開放位置との間で移動させる駆動装置と、を備え、前記駆動装置は、回転可能な回転駆動軸と、前記操作空間に配置され、一端部が前記回転駆動軸と連結され、他端部が前記パネルカバーと接続されるとともに、少なくとも一部が、前記ドアの内外方向における前記一端部の位置より前記ドアの内方側に配置されるアームと、を備え、前記回転駆動軸は、前記パネルカバーの移動軌跡よりも上方に配置される。
【0007】
このように、アームの一端部が連結される回転駆動軸がパネルカバーの移動軌跡よりも上方に配置され、他端部がパネルカバーと接続される。つまり、アームは一端部から他端部にかけて下方のパネルカバーに向かって延在し配置されている。このため、パネルカバーよりも下方には、アームが存在しない。これにより、例えば、パネルカバーが、開放位置に位置するときに、車外に立つ人が操作開口を通して操作空間の下方を見ても、アームが視認されることはないため、意匠性が向上される。
【0008】
また、パネルカバーは、操作開口を閉塞する閉塞位置と、閉塞位置からドアの内方側に移動し操作空間を露出させる開放位置との間で移動される。つまり、パネルカバーは、ドアの外面から突出することなく、ドアの内方側に向かって引き込まれる構造である。このように、閉塞位置と開放位置との間での移動がドア内方側に限定されているので、パネルカバーがドア外方側まで突出することが無い。このため、ドアの開操作が行われるときには意匠性が損なわれることが抑制されると共に、ドア開閉操作装置の故障時には意匠性が損なわれることが抑制され、かつ車両走行中の空力特性の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一実施形態に係るドア開閉操作装置を備えるドアの部分外観図である。
図2図1のドア開閉操作装置を車内側から見た斜視図である。
図3図2に示すベースカバーのアッパカバーが取り外された状態の斜視図である。
図4図1におけるIV-IV矢視断面図である。
図5図3を下方から視た斜視図である。
図6図3のドア開閉操作装置からドアパネルが取り外され、且つドア側から視た斜視図であるとともに、説明に不要な部分を除去した斜視図である。
図7】パネルカバー及びパネルカバーの閉塞位置を説明するための図である。
図8】パネルカバーの開放位置を説明する図である。
図9】ラッチ解除部及び駆動装置を説明する部分斜視図である。
図10】接続部の理解を助けるための図であり、図9に対しパネルカバーの周縁部を取り外した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<1.第一実施形態>
(1-1.ドア開閉操作装置)
以下において、本発明に係るドア開閉操作装置の第一実施形態について図面に基づき説明する。図1図2に示すように第一実施形態に係るドア開閉操作装置10は、車両のドア11が備えるドアパネル12に設けられている。なお、図1は、車両に対して閉状態であるとともに、第一実施形態に係るドア開閉操作装置10が設けられている車両のドア11の一部を車外側から視た図である。
【0011】
なお、図1中の右下に示す両方向矢印は、ドア11基準で車両の方向(前後、上下)を示している。また、他の図面においても右下に示す両方向矢印は、図1と同様、ドア11基準で車両の方向(前後、左右、上下)を示すものとする。また、図2は、図1のドア開閉操作装置10を車内側から見た斜視図である。図2に示すように、ドア開閉操作装置10は、ドアパネル12の裏面側(車内側)に固定されている。
【0012】
本実施形態では、図1に示すドア11は、車両の左前部ドアとし、その前端部が図略の車体に対して上下方向の回転軸回りに回転可能に支持されているものとする。また、図1に示すように、ドア11の外面12aを形成するドアパネル12には、車両の前後方向が長手方向となるよう矩形状の操作開口12bが外面12aから裏面に貫通し形成されている。そして、図2図3に示すように、ドア開閉操作装置10は、ベースカバー20と、ラッチ解除部30と、パネルカバー40と、駆動装置50と、を備える。なお、図3は、ベースカバー20の内部が見やすいように、図2に示すベースカバー20のアッパカバー21が取り外された状態の図である。
【0013】
(1-1-1.ベースカバー20)
図2図3に示すように、ベースカバー20は、直方体状に形成され、内部に操作空間Mを備える。ベースカバー20は、例えば樹脂で形成され、アッパカバー21(図2参照)及びロアカバー22によって構成される。図3に示すように、ロアカバー22は、アッパカバー21と対向し、矩形状に形成される底部22aと、底部22aの各辺からドア11の内方側に向かって立錐する側部22b、22c、22d、22eとを備える。
【0014】
図4に示すように、ロアカバー22の底部22aは、ドアパネル12の操作開口12bと同様の形状で貫通された矩形の開口22a2を備える。そして、ロアカバー22は、底部22aのドア11の外方側の面22a1が、ドアパネル12の面12cと対向するよう、且つ底部22aの開口22a2と操作開口12bとが重なるようドアパネル12に固定される。このとき、固定は、ねじ止め、嵌合等どのような手段により行われてもよい。
【0015】
図5に示すように、前後方向に対向する車両後側の側部22d、及び車両前側の側部22eの操作空間M側の各面には、ガイド溝23、23が形成されている。ガイド溝23、23は、後に詳述する操作空間M内での閉塞位置(図7参照)と開放位置(図8参照)との間で移動するパネルカバー40をガイドするよう左右方向に沿って直線で形成される。
【0016】
ガイド溝23、23には、後に詳述するパネルカバー40の車両前後方向における両側に設けられた係合凸部43、43(図5図6参照)が係合する。ガイド溝23、23及び係合凸部43、43は、操作空間M内でのパネルカバー40の車両左右方向への直線移動をガイドする。このように、ガイド溝23、23は、係合凸部43、43と共にガイド機構を構成する。
【0017】
図3図4に示すように、車両下方側の側部22cは、パネルカバー40の車両における下方において操作空間Mの下側を区画する区画壁である。以下、側部22cを区画壁と称す。区画壁22cの上面には、ドアパネル12(ドア11)の外面に施される塗装(表面処理に相当)と同様の塗装(表面処理に相当)が施されている。このとき、同様の塗装とは、まったく同じ処理でなくてもよく、同様の色であるだけでも良い。
【0018】
そして、パネルカバー40は、係合凸部43がガイド溝23に係合しながら、ベースカバー20(区画壁22cを含む)に対して車両左右方向に相対移動される。これにより、区画壁22cは、パネルカバー40が図8に示す開放位置に位置するときに、ドア11の外側から操作開口12bを通して視認可能となる。アッパカバー21は、略矩形に形成され、ロアカバー22における車両ドア11の内方側の開口を閉止する。
【0019】
(1-1-2.ラッチ解除部30)
ラッチ解除部30は、図4及び図6に示すように、車両のドア11内に設けられたベースカバー20の操作空間Mにおいて側部22dと側部22eとの間に配置されるとともに、操作開口12bよりも上方に配置される。ラッチ解除部30は、板状のラッチ解除ハンドル31及び回転軸32、32を備える。ラッチ解除ハンドル31は、回転軸32、32周りに回転可能である。一方の回転軸32は、側部22dに支持され、他方の回転軸32は側部22eに支持される。
【0020】
また、回転軸32、32は、例えば、図略のトーションスプリングによって、ラッチ解除ハンドル31が、図8において破線で示すラッチ解除位置から実線で示すラッチ係合位置に向かう方向に回動するように付勢される。これにより、操作者によってラッチ係合位置からラッチ解除位置に回動されたラッチ解除ハンドル31は、操作者が手を離した際にトーションスプリングによって付勢される方向に回動し、ラッチ係合位置に戻される。
【0021】
また、何れか一方の回転軸32は、ドア11のラッチを制御するドアラッチ装置(図略)と接続される。本実施形態において、ドアラッチ装置は、ラッチ解除ハンドル31が回転軸32周りにラッチ解除位置まで回転移動されることにより、解除用の電動アクチュエータ(図略)が駆動されてラッチを解除する。なお、ドアラッチ装置については、公知のドアラッチ装置と同様の構造であるので、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0022】
但し、上記態様に限らず、ドアラッチ装置は、ラッチ解除ハンドル31を回転軸32周りにラッチ解除位置まで移動させることにより、回転軸32に連結された図略のワイヤを引き、これによってラッチを機械的に解錠(解除)するものであってもよい。また、ラッチ解除ハンドル31の代わりに、例えば押ボタン式のスイッチを設け、操作者がスイッチを押下することにより、ドアラッチ装置が作動する構成としてもよい。さらには、操作者が端子に接近又は接触することで変化する静電容量を検出することにより、ドアラッチ装置が作動する構成としてもよい。
【0023】
(1-1-3.パネルカバー40)
図3図4に示すように、パネルカバー40は、車両のドア11内に設けられたベースカバー20の操作空間Mに配置される。パネルカバー40は、後に詳述する駆動装置50によって駆動されることにより、操作開口12bを閉塞する閉塞位置(図7参照)と、操作空間Mを露出させる開放位置(図8参照)との間を移動する。
【0024】
図6図7に示すように、パネルカバー40は、意匠部41と、意匠部41の車内側(ドア11の内方側)に設けられる周縁部42と、によって構成される。図6図7に示すように、意匠部41は、直方体形状で形成されて内部に空間を有し、且つ車内側が開口している。そして、意匠部41は、操作開口12bに対応した大きさ、即ち、車外側から視た外面41aの外形が、操作開口12bの形状より若干小さな形状となるよう形成される。これにより、パネルカバー40が閉塞位置(図7参照)に位置したとき、意匠部41が開口22a2及び操作開口12bへ進入可能となる。
【0025】
周縁部42は意匠部41の外縁外側に意匠部41の外縁に沿って一体に設けられている。なお、周縁部42は、意匠部41と一体で移動できればよく、意匠部41と一体成形されてもよいが、意匠部41とは別体で成形された後に意匠部41に取り付けられるものであってもよい。周縁部42は、意匠部41の外面41aよりもドア11の内方側に配置された外面42aを有する。例えば、周縁部42は矩形板状に形成され、中央に矩形の空間を有する。そして、周縁部42に形成された矩形の空間の周縁部に、意匠部41の開口の周縁部が溶接等の所定の手段によって固定されて、パネルカバー40が形成される。このような構成とすることで、操作開口12bと意匠部41の外形との隙間から車両奥方向が見えないようになっている。
【0026】
周縁部42は、操作開口12bの車内側の周縁部、及び操作開口12bと同様の大きさで形成された開口22a2の車内側の周縁部よりも外側に位置している。また、図8に示すように、周縁部42の外面42aと意匠部41の外面41aとの間の距離d1は、ロアカバー22の底部22aの車内側の面22a3とドアパネル12の外面12aとの間の距離dと等しくなるよう設定される。
【0027】
これにより、パネルカバー40が、図8に示す開放位置から図7に示す閉塞位置に移動すると、意匠部41が、底部22aの開口22a2及びドアパネル12の操作開口12bに進入する。そして、外面42aが、開口22a2の周縁である底部22aの車内側の面22a3と当接して、パネルカバー40の移動が停止され、操作開口12bに進入した意匠部41の外面41aと、ドアパネル12の外面12aとが面一とされる。これにより、意匠性が向上される。なお、意匠部41の外面41aと、ドアパネル12の外面12aとは、同様の塗装(表面処理)が施されていることが好ましい。これにより、意匠性はより向上される。
【0028】
なお、外面42a、又は底部22aの車内側の面22a3の何れか一方にシール溝を形成し、シール溝に例えばゴム製のシール部材を装着してもよい。これにより、ドア11内の操作空間M内に雨水等が浸入することを容易に防止できる。
【0029】
(1-1-4.駆動装置50)
駆動装置50は、パネルカバー40を閉塞位置(図7)と開放位置(図8)との間で移動させる装置である。図3に示すように、駆動装置50は、駆動モータ51と、回転可能な回転駆動軸52と、アーム53と、接続部54と、を備える。
【0030】
図7に示すように、回転駆動軸52は、閉塞位置と開放位置との間を移動するパネルカバー40の移動軌跡より上方、即ち移動軌跡の上端TUよりも上方に配置される。また、図9図10に示すように、回転駆動軸52は、ロアカバー22の側部22dに回転可能に支持されるとともに、駆動モータ51の出力軸(図略)に連結される。駆動モータ51は、側部22dの操作空間M側とは反対側の面に所定の手段により固定される。
【0031】
なお、本実施形態においては、駆動モータ51の出力軸と回転駆動軸52とは同軸であるものとする。しかしながら、この態様には限らず、駆動モータ51の出力軸と回転駆動軸52とは同軸ではなく、軸同士が異なる角度で配置されギヤ等を介在させて連結してもよい。また、回転駆動軸52は、駆動モータによって回転駆動されるのではなく、例えば、トーションスプリング等の各種ばねによって回転方向に付勢し、回動されてもよい。この場合、パネルカバー40を閉塞位置から開放位置に移動させるには、例えば、トーションスプリングの付勢力に抗しながら、操作者の手によってパネルカバー40を開放位置まで押し込めばよい。
【0032】
トーションスプリングの付勢力に抗しながら、操作者の手によってパネルカバー40を開放位置まで押し込んだ場合、パネルカバー40を開放位置で停止させるには、例えば公知のプッシュロック機構等によってロックすればよい。さらに、パネルカバー40を開放位置から閉塞位置に移動させる際には、パネルカバー40を再度、車内側に向かって押すことによってロックを解除し、回転駆動軸52を回転方向に付勢するトーションスプリングの付勢力を利用してパネルカバー40を閉塞位置に移動させればよい。これによっても、発明における効果は十分得られる。
【0033】
図3図4に示すように、アーム53は、操作空間Mに配置されるとともに、側部22d及び側部22eの間に亘って形成される。アーム53は、第一屈曲腕部53c(屈曲腕部に相当)と、第二屈曲腕部53d(屈曲腕部に相当)と、連結板55と、を有している。第一屈曲腕部53cは、側部22d側に配置されている。第二屈曲腕部53dは、側部22e側に配置されている。連結板55は、第一屈曲腕部53cと第二屈曲腕部53dとを連結させている。第一屈曲腕部53cは、一端部53aと接続される第一腕部53c1及び他端部53bと接続される第二腕部53c2と両端で接続される。第二屈曲腕部53dは、一端部53eと接続される第一腕部53d1及び他端部53fと接続される第二腕部53d2と両端で接続される。これにより、図3に示すアーム53が形成される。図4に示すように、回転駆動軸52の軸方向から視た場合、アーム53は、L字状を呈する。
【0034】
そして、第一腕部53c1の端部に接続される一端部53aが回転駆動軸52と連結され、第二腕部53c2の端部に接続される他端部53bが、接続部54を介してパネルカバー40と接続される。また、第一腕部53d1の端部に接続される一端部53eが回転軸56(図6参照)と連結され、第二腕部53d2の端部に接続される他端部53fが、接続部54を介してパネルカバー40と接続される。
【0035】
なお、図5に示すように、本実施形態においては、第一屈曲腕部53cと第二腕部53c2及び第二屈曲腕部53dと第二腕部53d2とは、それぞれ車両の前後方向において位置がずれて形成されているため、それぞれが連結部57、57を介して連結されることによりアーム53を形成する。
【0036】
また、図7図8に示すように、アーム53を回転駆動軸52の軸方向から視た場合、アーム53の少なくとも一部は、ドア11の内外方向における一端部53a、53eの位置よりドア11の内方側に配置される。つまり、アーム53の少なくとも一部は、常に、図7図8中において回転駆動軸52の軸中心から垂下した二点鎖線Pよりも車内側に配置される。
【0037】
また、図8に示すように、パネルカバー40が開放位置に位置するとき、第一腕部53c1、53d1は、一端部53a、53eから車内側(ドアの内方側)に向かって水平に延在し、第二腕部53c2、53d2は、第一屈曲腕部53c、第二屈曲腕部53dから鉛直方向下方に延在する。なお、パネルカバー40が図7に示す閉塞位置に位置するときには、第一腕部53c1、53d1は一端部53a、53eから車内側(ドアの内方側)に向かって斜め下方に延在し、第二腕部53c2、53d2は、第一屈曲腕部53c、第二屈曲腕部53dから車外方向に向かって斜め下方に延在する。
【0038】
接続部54、54は、図1図3に示すように、他端部53b、53fとパネルカバー40とを相対移動可能に二箇所で接続する。このとき、二箇所の位置は、パネルカバー40の周縁部42において車両前後方向で所定距離離間した位置である。図9に示すように、接続部54(54)は、アーム53の他端部53b(53f)に設けられる凸部58(58)と、パネルカバー40側に設けられる溝部59(59)とによって構成される。
【0039】
本実施形態において、凸部58(58)は、図9図10に示すように他端部53b(53f)から車両の前後方向両側に突設される円柱状部材である。このとき、他端部53b(53f)は、意匠部41の車内側の開口を塞ぐよう配置される周縁部42に形成された貫通溝を通過して配置されるとともに、周縁部42の意匠部41側の面に開口側の端面が固定された有底箱状の容器61の空間内に配置される(図10参照)。
【0040】
溝部59(59)は、凸部58(58)と車両における上下方向において相対移動可能に係合される。図9に示すように、溝部59(59)は、車両の前後方向における容器61(61)と周縁部42との二箇所の合わせ面において貫通形成されるとともに、上下方向に延在し形成される。つまり、車外側の溝部59(59)は容器61側に形成され、車内側の溝部59、59は周縁部42側に形成される。このとき、溝部59(59)の上下方向における長さは、パネルカバー40が開放位置から閉塞位置に移動するときに凸部58(58)が上下方向に移動する長さに応じて設定される。
【0041】
<2.作用>
次に、ドア11を開操作するときの、ドア開閉操作装置10の作動について説明する。開操作するため、操作者は、まず、車外側に露出している閉止状態のドア11の意匠部41の外面41aにおける所定の部位A(図1参照)に手を接触又は接近させる。これにより、意匠部41に埋設されている図略の静電センサの静電容量が変化し、静電容量の変化を検知したECUが、駆動装置50の駆動モータ51を駆動させる。具体的には、駆動モータ51の出力軸(図略)に連結されるとともに側部22dに支持される回転駆動軸52を、図4中の回転駆動軸52の近傍に記載された矢印方向に回転させる。
【0042】
回転駆動軸52が回転を開始すると、回転駆動軸52に一端部53aが連結されるアーム53も同時に上記矢印方向に回転される。なお、アーム53は、側部22dと車両の前後方向で対向する側部22eに支持された回転軸56によっても支持されている。このように、アーム53は、車両の前後方向両側で支持されるので安定して回転駆動軸52及び回転軸56周りで回動できる。
【0043】
そして、アーム53が、回転駆動軸52(回転軸56)周りで回転すると、アーム53の他端部53b、53fと接続部54、54を介し、二箇所で接続されるパネルカバー40が、接続部54、54の回転方向に付勢される。しかしながら、パネルカバー40は、直線方向の移動を案内するガイド溝23に案内されており、車内側への直線の移動しか許容されていない。また、接続部54、54を構成する溝部59、59、及び凸部58、58は上下方向において相対移動可能に構成されている。
【0044】
このため、パネルカバー40は、他端部53b、53fに形成された凸部58、58によって、係合する溝部59、59が回転方向に付勢されても、凸部58、58が溝部59、59内で下方に向かって相対移動し、回転方向の変位を吸収するとともに、ガイド溝23に案内されるため車内側への直線移動が可能である。
【0045】
そして、さらに、アーム53が、回転駆動軸52(回転軸56)周りに回転されると、凸部58、58と溝部59、59とが上下方向に相対移動しながら、パネルカバー40が、図8に示す開放位置に到達する。そして、パネルカバー40が開放位置に位置する時には、上述したように、L字状のアーム53を構成する第一腕部53c1、53d1が、一端部53a、53eから車内側に向かって水平に延在し、第二腕部53c2、53d2が、第一屈曲腕部53c、第二屈曲腕部53dから鉛直方向下方に延在している。
【0046】
このため、パネルカバー40が開放位置に位置する時には、アーム53の配置スペースのために車両左右方向において余分なスペースを設ける必要がない。従って、左右方向におけるアッパカバー21の位置を、パネルカバー40の車内側の面に極力近づけることができるので、左右方向においてドア開閉操作装置10を小型化できる。
【0047】
また、アーム53を回転駆動軸52の軸方向から視た場合、L字状に形成されるアーム53の少なくとも一部は、一端部53a、53eの位置よりも車内側(ドアの内方側)に配置される。つまり、閉塞位置と開放位置との間におけるアーム53の回転角が小さくなるよう設定される。このため、接続部54、54における凸部58、58と溝部59、59との上下方向における相対移動量を小さくできるので安定した移動が実現できるとともに信頼性を向上させることができる。
【0048】
さらに、接続部54、54は、他端部53b、53fとパネルカバー40とを相対移動可能に二箇所で接続している。このため、アーム53の回転駆動軸52(回転軸56)周りの回転に伴うパネルカバー40の直線移動が安定して行なわれる。
【0049】
また、本実施形態において、アーム53と連結される回転駆動軸52(回転軸56)は、パネルカバー40の移動軌跡の上端TUよりも上方に配置されるとともに、接続部54、54は、回転駆動軸52(回転軸56)よりも下方に配置されるパネルカバー40の車内側に設けられる。このため、パネルカバー40の下方に、パネルカバー40を駆動する駆動装置50を設けるための空間を設ける必要がない。これにより、例えば、パネルカバー40が、図8に示す開放位置に位置する場合に、車両の外側から操作開口12b及び開口22a2を通してものが落下してもすぐに取り出し可能である。
【0050】
また、本実施形態によれば、ベースカバー20の側部22cは、パネルカバー40の下方において操作空間Mの下側を区画する区画壁22cである。そして区画壁22cの上面には、ドアパネル12の外面12aに施される塗装と同様の塗装が施されている。このため、パネルカバー40が開放位置に位置するときには、たとえパネルカバー40の下方に空間を有していたとしても、車外に立つ操作者からは操作開口12bを通して、区画壁22cの下方の空間を視認することはできないとともに、外面12aと同様の塗装がされた区画壁22cのみが視えるため、意匠性が向上する。但し、この態様に限らず、区画壁22cは設けなくてもよい。この場合においても、パネルカバー40の下方には空間が視えるだけであるため、操作開口12bを通してパネルカバー40の下方を視認されても、意匠性は相応に保持される。
【0051】
また、区画壁22cの上面には、ドアパネル12の外面12aに施される塗装と同様の表面処理が施されるのではなく、パネルカバー40の車外側(ドアの外方向側)の外面41aと同様の表面処理が施されてもよい。これによっても、同様の効果が期待できる。
【0052】
また、本実施形態において、パネルカバー40は、操作開口12bを閉塞する閉塞位置と、閉塞位置からドア11の内方側に移動し操作空間Mを露出させる開放位置との間で移動される。つまり、パネルカバー40は、ドア11の外面12aから突出することなく、ドア11の内方側に向かって引き込まれる構造である。このため、パネルカバー40が開放位置に位置する状態で故障し、閉塞位置に戻れなくなった場合には、車両走行中における空力特性の低下が抑制されるとともに、上述したとおり意匠性も保持される。
【0053】
そして、パネルカバー40が開放位置に位置するときには、ラッチ解除部30の操作が可能である。ラッチ解除のため、操作者は、まず、ドア11の外側から操作開口12bを通して操作空間Mの上方に手を差し込む。その後、ラッチ解除ハンドル31の車内側の面31aに指をかけ、ラッチ解除ハンドル31を図8において実線で示すラッチ係合位置から破線で示す解除位置まで回動させる。これによりドアラッチ装置(図略)が作動し、ドア11のラッチが解除される。その後、さらに、操作者が解除位置に位置するラッチ解除ハンドル31を車外側に引きながらドア11全体を引くことによりドア11を開くことができる。
【0054】
その後、パネルカバー40を開放位置から閉塞位置に移動させるためには、例えば、車室内に入った操作者がドア11を車室内側から閉作動させてドア11を閉めることにより、図略のECUが、閉動作を検出し、回転駆動軸52を、上記で説明した方向とは逆方向に回転させるよう駆動モータ51を駆動させる。これにより、上記閉塞位置から開放位置への移動で行われた動作とは逆の動作が行なわれ、パネルカバー40は開放位置から閉塞位置に移動され、上述したように意匠部41の外面41aと、ドアパネル12の外面12aとが面一とされる。
【0055】
<3.実施形態による効果>
上記第一実施形態によれば、ドア開閉操作装置10は、車両のドア11内の操作空間Mに配置され、ドア11の外側からドア11に設けられた操作開口12bを通して操作されドア11のラッチを解除するラッチ解除部30と、操作空間Mに配置され、操作開口12bを閉塞する閉塞位置と、操作空間Mを露出させる開放位置との間で移動可能なパネルカバー40と、パネルカバー40を閉塞位置及び開放位置との間で移動させる駆動装置50と、を備える。
【0056】
駆動装置50は、回転可能な回転駆動軸52と、操作空間Mに配置され、一端部53a、53eが回転駆動軸52と連結され、他端部53b、53fがパネルカバー40と接続されるとともに、少なくとも一部が、ドア11の内外方向における一端部53a、53eの位置よりドア11の内方側に配置されるアーム53と、を備え、回転駆動軸52は、パネルカバー40の移動軌跡よりも上方に配置される。
【0057】
このように、アーム53の一端部53a、53eが連結される回転駆動軸52がパネルカバー40の移動軌跡よりも上方に配置され、他端部53b、53fがパネルカバー40と接続される。つまり、アーム53は一端部53a、53eから他端部53b、53fにかけて下方のパネルカバー40に向かって延在し配置されている。このため、パネルカバー40よりも下方には、アーム53が存在しない。これにより、例えば、パネルカバー40が、開放位置に位置するときに、車外に立つ人が操作開口12bを通して操作空間Mの下方を見ても、アーム53が視認されることはないため、意匠性が向上される。
【0058】
また、パネルカバー40は、操作開口12bを閉塞する閉塞位置と、閉塞位置からドア11の内方側に移動し操作空間Mを露出させる開放位置との間で移動される。つまり、パネルカバー40は、ドア11の外面12aから突出することなく、ドア11の内方側に向かって引き込まれる構造である。このように、閉塞位置と開放位置との間での移動がドア11内方側に限定されているので、パネルカバー40がドア11外方側まで突出することが無い。このため、ドア11の開操作が行われるときには意匠性が損なわれることが抑制されると共に、ドア開閉操作装置10の故障時には意匠性が損なわれることが抑制され、かつ車両走行中の空力特性の低下が抑制される。
【0059】
また、上記第一実施形態によれば、アーム53は、一端部53a、53eと接続される第一腕部53c1、53d1と、他端部53b、53fと接続される第二腕部53c2、53d2と、第一腕部53c1、53d1と第二腕部53c2、53d2とを回転駆動軸52の軸方向から視てL字状を呈するように連結する第一屈曲腕部53c、第二屈曲腕部53dと、を有し、パネルカバー40が開放位置に位置するとき、第一腕部53c1、53d1は、一端部53a、53eからドア11における内方側に水平に延在し、第二腕部53c2、53d2は、第一屈曲腕部53c、第二屈曲腕部53dから鉛直方向下方に延在する。
【0060】
このため、上述したように、パネルカバー40が開放位置に位置するときには、アーム53の配置スペースのために車両の左右方向において余分なスペースをとる必要がなく、よって左右方向におけるベースカバー20のアッパカバー21の位置を、パネルカバー40の車内側の面に極力近づけることができるので、左右方向においてドア開閉操作装置10を小型化できる。
【0061】
また、上記第一実施形態によれば、駆動装置50は、他端部53b、53fとパネルカバー40とを相対移動可能に接続する接続部54、54を備える。そして、接続部54、54は、パネルカバー40(一方に相当)に設けられ上下方向に延在する溝部59、59と、他端部53b、53f(他方に相当)に設けられ溝部59、59と相対移動可能に係合する凸部58、58と、により構成される。これにより、接続部54、54において凸部58、58が溝部59、59を、回転駆動軸52周りに回転するアーム53の回転に伴う方向に付勢しても、溝部59、59と凸部58、58とが相対移動し回転方向の移動(変位)を吸収するので、パネルカバー40の移動を付勢される方向とは異なる左右方向の直線移動に変換できる。このような簡素な構造により変換できるので、低コストに対応できる。ただし、この態様には限らず、溝部59、59をアーム53の他端部53b、53f(一方)に設け、凸部58、58をパネルカバー40(他方)に設ける態様としてもよい。これによっても、同様の効果が得られる。
【0062】
また、上記第一実施形態によれば、閉塞位置と開放位置との間で直線移動するパネルカバー40をガイドするガイド機構を備える。これにより、パネルカバー40の直線移動を安定して行なうことができる。
【0063】
また、上記第一実施形態によれば、パネルカバー40の下方に操作空間Mの下側を区画する区画壁22cを備え、区画壁22cは、パネルカバー40が開放位置に位置するときに、ドア11の外側から操作開口12bを通して視認可能である。これにより、パネルカバー40が開放位置に位置する場合には、たとえパネルカバー40の下方に空間があったとしてもアームはないため、操作者からは操作開口12bを通して、区画壁22cの下方のアームを視認することはできず、区画壁22cのみが視えるため、意匠性が保持される。
【0064】
また、上記第一実施形態によれば、操作開口12bから視認可能な区画壁22cの上面には、ドア11の外面12a又はパネルカバー40のドア11の外方向側の外面41aと同様の表面処理が施されている。このため、パネルカバー40が開放位置に位置するときには、操作者からは操作開口12bを通して、外面12a又はパネルカバー40の外面41aと同様の塗装がされた区画壁22cのみが視えるため、意匠性が向上する。
【0065】
また、上記第一実施形態によれば、パネルカバー40は、操作開口12bに対応した大きさに形成された意匠部41と、意匠部41の外縁外側に意匠部41の外縁に沿って一体に設けられ、意匠部41の外面41aよりもドア11の内方側に配置された外面42aを有する周縁部42と、を備える。そして、周縁部42は、操作開口12bの周縁よりも外側に位置している。
【0066】
これにより、パネルカバー40が、開放位置から閉塞位置に移動すると、外面42aが、開口22a2の周縁である底部22aの車内側の面22a3と当接して、パネルカバー40の移動が停止され、操作開口12bに進入した意匠部41の外面41aと、ドアパネル12の外面12aとが面一とされ意匠性が向上される。
【0067】
また、上記第一実施形態によれば、ラッチ解除部30は、操作開口12bよりも上方に配置される。これにより、ラッチ解除部30をパネルカバー40よりも下方に設けるため、下方に配置用空間を設けなくてもよく、アーム53の回転駆動軸52をパネルカバー40の移動軌跡の上方に設けたときと同様の効果が期待できる。
【0068】
<4.その他>
なお、上記実施形態においては、ドア開閉操作装置10は、ベースカバー20を備える構成としたが、この態様には限らない。ドア開閉操作装置10は、ベースカバー20のロアカバー22が備える底部22a、及び側部22b、22c、22d、22eの全部、又は少なくとも一つを備えていない構成としてもよい。この場合、側部22b、22c、22d、22eの代替としては、ドアパネル12の車内側(裏面側)の面から各部に対応する壁部を車内側に向けて突出させ形成すればよい。また、底部22aを廃止した場合には、必然的に、全ての側部22b、22c、22d、22eはドアパネル12の車内側の面に形成されることになる。これによっても、同様の効果が期待できる。
【0069】
また、上記実施形態においては、アーム53は、回転駆動軸52の軸方向から視たときL字状となるよう形成したがこの態様には限らない。アーム53は、回転駆動軸52の軸方向から視たときC字状を呈していてもよい。また、アーム53は、L字よりも第一腕部及び第二腕部が開いた角度、又は閉じた角度で形成されてもよい。これにより、パネルカバー40が開放位置に位置するときには、パネルカバー40と、ベースカバー20のアッパカバー21との間には隙間が生じ、ドア開閉操作装置10の小型化には寄与しないが、その他の効果については上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0070】
また、上記実施形態において、接続部54、54では、他端部53b、53fとパネルカバー40とを相対移動可能に二箇所で接続したが、この態様には限らない。接続部は、一箇所又は三箇所以上でも良い。一箇所とする場合には、接続部は、車両前後方向におけるパネルカバー40に中央部に相当する位置に設けられることが好ましい。また、三箇所以上とする場合には、車両前後方向において、隣り合う接続部同士の距離が等間隔となるよう配置されることが好ましい。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【符号の説明】
【0071】
10;ドア開閉操作装置、 11;ドア、 12;ドアパネル、 12b;操作開口、 20;ベースカバー、 22a;底部、 22b、22c、22d、22e;側部、 22c;区画壁、 23、23;ガイド溝、 30;ラッチ解除部、 31;ラッチ解除ハンドル、 32;回転軸、 40;パネルカバー、 41;意匠部、 41a;外面、 42;周縁部、 42a;外面、 50;駆動装置、 51;駆動モータ、 52;回転駆動軸、 53;アーム、 53a、53e;一端部、 53b、53f;他端部、 53c;第一屈曲腕部(屈曲腕部)、 53d;第二屈曲腕部(屈曲腕部)、 53c1、53d1;第一腕部、 53c2、53d2;第二腕部、 54;接続部、 58;凸部、 59;溝部、 M;操作空間、 TU;移動軌跡上端。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10