(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103925
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】園芸用支柱
(51)【国際特許分類】
A01G 9/12 20060101AFI20230720BHJP
【FI】
A01G9/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022014520
(22)【出願日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】516250063
【氏名又は名称】IP Labo株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田原 雄一
(72)【発明者】
【氏名】田原 謙一
(72)【発明者】
【氏名】安田 瑶子
(72)【発明者】
【氏名】田原 慎二
【テーマコード(参考)】
2B023
【Fターム(参考)】
2B023AB10
2B023AC02
2B023AC03
2B023AD01
2B023AD16
2B023AD22
2B023AD25
(57)【要約】
【課題】茎・枝・花・果実の生長に合わせて簡易な作業で園芸物を的確に支えることができるシンプルで機能的な構造の園芸用支柱を提供する。
【解決手段】(1)メイン支柱に一体的にサブ支柱や分岐支柱を取付ける構造や、(2)分岐支柱を枝支え部とする構造や、(3)複数の線材を結束したメイン支柱と、その一部の線材を折り曲げて形成する分岐支柱とする構造により、簡単な組合せ構造で取り扱いの容易な園芸用支柱とする。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のメイン支柱と、
前記メイン支柱の筒に内挿されるサブ支柱を備え、
前記メイン支柱の筒内を、前記サブ支柱が摺動可能であり、かつ、前記サブ支柱の一端および/または両端が、前記メイン支柱の筒の一端および/または両端から突出する構造であることを特徴とする園芸用支柱。
【請求項2】
筒状または柱状であって、その外壁に形成される複数の嵌着部を有するメイン支柱と、
一端および/または両端に、前記嵌着部に嵌装される突起部と、長手方向に延伸する枝支え部を有する分岐支柱と、
前記メイン支柱のいずれか/または全ての嵌着部に、前記分岐支柱の突起部を嵌装する構造であることを特徴とする園芸用支柱。
【請求項3】
前記複数の嵌着部の内周に、同一方向に整列した複数の凹部を形成することを特徴とする前記請求項2に記載の園芸用支柱。
【請求項4】
前記分岐支柱の突起部の外周に、同一方向に整列した複数の凸部を形成することを特徴とする前記請求項2に記載の園芸用支柱。
【請求項5】
前記分岐支柱の突起部を、複数の線材を連接する短冊状の線材突起部とすることを特徴とする前記請求項2に記載の園芸用支柱。
【請求項6】
筒状または柱状のメイン支柱と、
一端および/または両端に、突起部を有する長手方向に延伸する枝支え部で形成される分岐支柱と、
前記分岐支柱の突起部を、複数の線材を連接する短冊状の線材突起部とするとともに、前記線材突起部の一部に開口部を設けてクリップ部を形成し、
前記クリップ部により、前記メイン支柱に前記分岐支柱を結合することを特徴とする園芸用支柱。
【請求項7】
筒状または柱状のメイン支柱と、
一端および/または両端に突起部を有し、長手方向に延伸する枝支え部を有する分岐支柱と、
前記分岐支柱の突起部を筒状として筒状突起を形成するとともに、前記筒状突起部の一部に開口部を設けてクリップ部を形成し、
前記クリップ部により、前記メイン支柱に前記分岐支柱を結合することを特徴とする園芸用支柱。
【請求項8】
筒状または柱状のメイン支柱と、
前記メイン支柱に結合されて枝を支えるための分岐支柱と、
前記分岐支柱を平板の網状のメッシュ構造の網状分岐支柱とするとともに、前記網状分岐支柱の一部に開口部を設けてクリップ部を形成し、
前記クリップ部により、前記メイン支柱に前記網状分岐支柱を結合することを特徴とする園芸用支柱。
【請求項9】
筒状または柱状のメイン支柱と、
前記メイン支柱に結合されて枝を支えるための分岐支柱と、
前記分岐支柱の突起部および/または枝支え部の一部に、防虫剤・水などを貯留するための貯留部を形成することを特徴とする園芸用支柱。
【請求項10】
複数の線材を結束部で束ねて一本の支柱を形成する線材メイン支柱と、
前記線材メイン支柱の複数の線材の一部を、所望の箇所で折り曲げ自在として形成する分岐支柱と、からなることを特徴とする園芸用支柱。
【請求項11】
前記線材メイン支柱の一部を長さの異なる複数の線材群とし、
前記線材群の一部を自在に折り曲げ可能とすることで段差を有する分岐支柱を形成することを特徴とする前記請求項10に記載の園芸用支柱。
【請求項12】
複数の棒状線材を結束部で束ねて一本の支柱を形成する線材メイン支柱と、
前記線材メイン支柱の複数の線材の一部を所望の同一箇所で折り曲げ自在とし、かつ、その先端を前記メイン線材のほぼ底部まで折り曲げ可能とする位置に結束部に設けることで、園芸用カバー類の骨部材としても兼用可能とすることを特徴とする前記請求項10に記載の園芸用支柱。
【請求項13】
前記メイン支柱の各線材を複数色に色分けすることを特徴とする前記請求項10から12に記載の園芸用支柱。
【請求項14】
前記段差の異なる分岐支柱をその段差毎に複数色に色分けすることを特徴とする前記請求項11に記載の園芸用支柱。
【請求項15】
前記メイン支柱の各線材を複数の異なる線径・線幅で構成することを特徴とする前記請求項10から12に記載の園芸用支柱。
【請求項16】
前記メイン支柱の各線材を複数の材質の異なる線材で構成することを特徴とする前記請求項10から12に記載の園芸用支柱。
【請求項17】
筒状または柱状のメイン支柱と、
前記メイン支柱に結合される筒状または柱状の分岐支柱と、
前記メイン支柱と前記分岐支柱を結合する結合具を備えるとともに、
前記メイン支柱と前記分岐支柱と前記結合具を用いて形成される複数の単位空間が層状に積層されることを特徴とする多段式高架栽培棚。
【請求項18】
前記多段式高架栽培棚の各棚を、播種棚、育苗棚、育成棚に区分けする構造であることを特徴とする前記請求項17に記載の多段式高架栽培棚。
【請求項19】
前記多段式高架栽培棚の播種棚を最上段または、最下段に配置することを特徴とする前記請求項17に記載の多段式高架栽培棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に家庭菜園、簡易園芸などにおける便利グッズとして利用可なもので、野菜栽培/花木育成に用いる園芸用支柱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、円筒状の取付け具外周に複数本の線材を突設し、茎や枝の成長に合わせて任意の形状に塑性変形させて茎や枝を支える構成になっている。
特許文献2は、折り曲げ可能な線材を組み合わせることで、未使用時には大きなスペースを取らず、植物の成長に合わせて簡単な作業により支柱に組み付ける構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-135526号公報
【特許文献2】実用新案登録第3126856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された園芸用支柱では、取付け具と線材を組み合わせた茎支え部が開示されている。しかし、取付け具と線材を一体化する構造で、かつ、支柱への取付けも線材スプリングを使用する構造であり、複雑で製造しにくく使用時も取扱いにくい形状になっていた。
特許文献2に記載された園芸用支柱では、複数の支柱と折り曲げ自在の線材の組合せによる植物保持具で構成しており、支柱を除く線材の保持具部分は簡素化された構造になっている。しかし、何本かの複数の太めの支柱が必要とすることや、その複数の支柱間を折り曲げ自在の線材で結束するものであって、個別の枝類や果実を確実に支えることはできなかった。
さらに、市販されている園芸支柱の一従来例の課題を説明する。
図30は、枝支え支柱5´に複数のクリップ部7を一体的に取り付けた分岐支柱5を示すもので、前記クリップ部7の一部に開口部9を形成することで複数のメイン支柱が嵌着できるようになっている。複数のクリップ部7は、枝支え支柱5´に固定されており、複数の茎などを支える複数のメイン支柱の立ち位置は複数クリップ部7の固定される取付け位置の制約を受ける。そのため、ランダムに生育した茎などを自由自在に支えることはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1記載の園芸用支柱は、筒状のメイン支柱と、前記メイン支柱の筒に内挿されるサブ支柱を備え、前記メイン支柱の筒内を、前記サブ支柱が摺動可能であり、かつ、前記サブ支柱の一端および/または両端が、前記メイン支柱の筒の一端および/または両端から突出する構造であることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2記載の園芸用支柱は、筒状または柱状であって、その外壁に形成される複数の嵌着部を有するメイン支柱と、一端および/または両端に、前記嵌着部に嵌装される突起部と、長手方向に延伸する枝支え部を有する分岐支柱と、前記メイン支柱のいずれか/または全ての嵌着部に、前記分岐支柱の突起部を嵌装する構造であることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3記載の園芸用支柱は、前記複数の嵌着部の内周に、同一方向に整列した複数の凹部を形成することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4記載の園芸用支柱は、前記分岐支柱の突起部の外周に、同一方向に整列した複数の凸部を形成することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5記載の園芸用支柱は、前記分岐支柱の突起部を、複数の線材を連接する短冊状の線材突起部とすることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6記載の園芸用支柱は、筒状または柱状のメイン支柱と、一端および/または両端に、突起部を有する長手方向に延伸する枝支え部で形成される分岐支柱と、前記分岐支柱の突起部を、複数の線材を連接する短冊状の線材突起部とするとともに、前記線材突起部の一部に開口部を設けてクリップ部を形成し、前記クリップ部により、前記メイン支柱に前記分岐支柱を結合することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7記載の園芸用支柱は、筒状または柱状のメイン支柱と、一端および/または両端に突起部を有し、長手方向に延伸する枝支え部を有する分岐支柱と、前記分岐支柱の突起部を筒状として筒状突起を形成するとともに、前記筒状突起部の一部に開口部を設けてクリップ部を形成し、前記クリップ部により、前記メイン支柱に前記分岐支柱を結合することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8記載の園芸用支柱は、筒状または柱状のメイン支柱と、前記メイン支柱に結合されて枝を支えるための分岐支柱と、前記分岐支柱を平板の網状のメッシュ構造の網状分岐支柱とするとともに、前記網状分岐支柱の一部に開口部を設けてクリップ部を形成し、前記クリップ部により、前記メイン支柱に前記網状分岐支柱を結合することを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項9記載の園芸用支柱は、筒状または柱状のメイン支柱と、前記メイン支柱に結合されて枝を支えるための分岐支柱と、前記分岐支柱の突起部および/または枝支え部の一部に、防虫剤・水などを貯留するための貯留部を形成することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項10記載の園芸用支柱は、複数の線材を結束部で束ねて一本の支柱を形成する線材メイン支柱と、前記線材メイン支柱の複数の線材の一部を、所望の箇所で折り曲げ自在として形成する分岐支柱と、からなることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項11記載の園芸用支柱は、前記線材メイン支柱の一部を長さの異なる複数の線材群とし、前記線材群の一部を自在に折り曲げ可能とすることで段差を有する分岐支柱を形成することを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項12記載の園芸用支柱は、複数の棒状線材を結束部で束ねて一本の支柱を形成する線材メイン支柱と、前記線材メイン支柱の複数の線材の一部を所望の同一箇所で折り曲げ自在とし、かつ、その先端を前記メイン線材のほぼ底部まで折り曲げ可能とする位置に結束部に設けることで、園芸用カバー類の骨部材としても兼用可能とすることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項13記載の園芸用支柱は、前記メイン支柱の各線材を複数色に色分けすることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項14記載の園芸用支柱は、前記段差の異なる分岐支柱をその段差毎に複数色に色分けすることを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項15記載の園芸用支柱は、前記メイン支柱の各線材を複数の異なる線径・線幅で構成することを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項16記載の園芸用支柱は、前記メイン支柱の各線材を複数の材質の異なる線材で構成することを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項17記載の多段式高架栽培棚は、筒状または柱状のメイン支柱と、前記メイン支柱に結合される分岐支柱と、前記メイン支柱と前記分岐支柱を結合する結合具を備えるとともに、前記メイン支柱と、前記分岐支柱と、前記結合具を用いて形成される複数の単位空間が層状に積層されることを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項18記載の多段式高架栽培棚は、前記多段式高架栽培棚の各棚を、播種棚、育苗棚、育成棚に区分けする構造であることを特徴とする。
【0023】
本発明の請求項19記載の多段式高架栽培棚は、前記多段式高架栽培棚の播種棚を最上段または、最下段に配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明に係る園芸用支柱は、(1)メイン支柱に一体的にサブ支柱や分岐支柱を取付ける構造や、(2)分岐支柱を枝支え部とする構造や、(3)複数の線材を結束したメイン支柱から一部の線材を折り曲げて形成する分岐支柱とする構造により、簡単な組合せ構造で取り扱いの容易な園芸用支柱とすることが特徴である。そして、本実施形態においては、筒や柱の形状は円筒状と円柱状の支柱で説明するが、円筒や円柱の形状に替えて、三角筒、四角筒、八角筒、楕円筒など、または、三角柱、四角柱、八角柱、楕円柱などで構成することであっても良く、この場合は、支柱の出荷時の整列する梱包や商品展示の際に扱いやすくなるという効果を有する。
これらの構造により、複雑な形状に成長するミニトマト/シシトーなどや、大きな果実をつけるピーマン/ナスなどや、地面にはわせるように育成する落花生など、複雑な形状に成長するバラなど、ほぼ一直線上方に伸長するヒマワリなど、多種多様の形状の園芸品に対応できる利便性がある。
また、園芸品の生長に合わせて自由自在にメイン支柱や分岐支柱を変形させることや、当該分岐支柱の取付け位置や折り曲げ位置を自在に変えることができる効果がある。
さらに加えて、茎の太さや葉や実の茂った状態、花の大きさなどに合わせて、メイン支柱や分岐支柱を最適の形状にして支えることができる効果がある。
【0025】
本発明の園芸支柱の応用である多段式高架栽培棚については、多段式高架栽培棚の各棚を、播種棚、育苗棚、育成棚の区分け構造とすることで、以下の効果がある。(1)同一場所で種まき、植付け、収穫を行なえる。(2)ハウス栽培や地植え栽培の両方に対応できる。(3)多層構造により、栽培棚の段数に応じて地上単位当たりの耕地面積の数倍程度に大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1実施形態による園芸用支柱の斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による園芸用支柱の斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による園芸用支柱の斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による園芸用支柱の斜視図である。
【
図5】本発明の第3実施形態によるメイン支柱の斜視図である。
【
図6】本発明の第3実施形態による分岐支柱の斜視図である。
【
図7】本発明の第3実施形態によるメイン支柱と分岐支柱の斜視図である。
【
図8】本発明の第3実施形態によるメイン支柱と分岐支柱の斜視図である。
【
図9】本発明の第4実施形態によるメイン支柱の斜視図である。
【
図10】本発明の第4実施形態による園芸支柱の斜視図と拡大図である。
【
図11】本発明の第4実施形態による分岐支柱の突起部の斜視図である。
【
図12】本発明の第4実施形態による分岐支柱の突起部の斜視図である。
【
図13】本発明の第5実施形態による分岐支柱の突起部の斜視図である。
【
図14】本発明の第5実施形態による分岐支柱の突起部の斜視図である。
【
図15】本発明の第5実施形態による網状分岐支柱の斜視図である。
【
図16】本発明の第5実施形態による網状分岐支柱の網部平面図である。
【
図17】本発明の第6実施形態による分岐支柱の斜視図である。
【
図18】本発明の第7実施形態による線材メイン支柱の斜視図である。
【
図19】本発明の第7実施形態による線材メイン支柱の斜視図である。
【
図20】本発明の第7実施形態による線材メイン支柱の斜視図である。
【
図21】本発明の第7実施形態による線材メイン支柱の斜視図である。
【
図22】本発明の第7実施形態による線材メイン支柱の斜視図である。
【
図23】本発明の第7実施形態による線材メイン支柱の斜視図である。
【
図24】本発明の第7実施形態による線材メイン支柱の斜視図である。
【
図25】本発明の第7実施形態による線材メイン支柱の斜視図である。
【
図26】本発明の第7実施形態による線材メイン支柱の斜視図である。
【
図27】本発明の第8実施形態による多段式高架栽培棚の斜視図である。
【
図28】本発明の第8実施形態による多段式高架栽培棚の側面図である。
【
図29】本発明の第8実施形態の作用効果を説明するための構成図である。
【
図30】従来の園芸支柱の連結に用いられるクリップ部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に説明する実施形態および変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は実施形態および変形例に限定されない。本開示の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、種々の変更が可能である。
本実施形態においては、筒や柱の形状は円筒状と円柱状の支柱で説明するが、円筒や円柱の形状は、三角筒、四角筒、八角筒、楕円筒など、または、三角柱、四角柱、八角柱、楕円柱などであっても良い。
【0028】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る園芸用支柱について、
図1~
図2を参照して説明する。
図1は、メイン支柱1とサブ支柱2とからなる園芸用支柱を示すもので、円筒状のメイン支柱1に、メイン支柱よりは長いサブ支柱2がスライド自在に装着される。
図1においては、サブ支柱2の先端がメイン支柱1の上端から突出している。この状態でメイン支柱1の下端は土中に埋め込まれる。メイン支柱1が土中に深く埋め込む必要が無い場合は、サブ支柱2を土中に押し込む必要は無い。より深く押し込む場合は、
図2に示すように、メイン支柱1の上端から突出しているサブ支柱2の先端部分を上から叩きつけて土中に押し込めれば良い。このようにすれば、メイン支柱1とサブ支柱2の安定性が増加して、大きな果実をつける園芸物や枝葉がたくさん茂る花木類により有効な支えになる。
【0029】
(第2実施形態)
図3~
図4は、第1実施形態の変形例を示すもので、メイン支柱1の先端部にテーパーをつけたもので、土中への埋め込みをより容易にするための構造である。メイン支柱1とサブ支柱2の組合せ構造は
図1、
図2と同様であるが、別の利用方法としてサブ支柱2を上部に伸ばす方法がある。この場合は背の高い園芸物に有効である。その理由は、メイン支柱内のサブ支柱を上方に延伸すると最大でメイン支柱の長さの約2倍程度にまで伸長することが可能になるからである。
【0030】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態に係る園芸用支柱について、
図5~
図8を参照して説明する。
図5は、メイン支柱1に分岐支柱5の突起部6を嵌着するための嵌着部4を一体的に形成するものである。この嵌着部4は、
図6に示すように、分岐支柱5や突起部6の太さや長さの異なる大中小の形状にして、種々の園芸物に対応できる形状とする。
図7は、メイン支柱1の嵌着部4に分岐支柱5の片側の突起部6が嵌着される使用例を示すもので、
図8は、2本のメイン支柱1を分岐支柱5の両端の突起部6を嵌着する使用例である。3本以上のメイン支柱1と組み合わせる場合は、分岐支柱5に3個以上の突起部6を設けることで横倒しに強い園芸支柱としても良い。
【0031】
(第4実施形態)
以下、第4実施形態に係る園芸用支柱について、
図9~
図12を参照して説明する。
図9は、サブ支柱2を使わない、ムクの円筒状のメイン支柱1を示すもので、長さを調整する必要が無く横倒しに強い園芸支柱としたい場合の変形実施例である。メイン支柱壁面には嵌着部4が設けられて、分岐支柱5が嵌着される構造になっている。
図10は、記述しているサブ支柱2が装着される園芸支柱の嵌着部4の変形実施例で、その内周にひだ状の凹部を形成して嵌着部内凹部4´としたもので、
図11、12に示す分岐支柱5の端部に形成されるひだ状の凸部6が嵌着される。
図11における外周がひだ状の凸部6は、内周がひだ状の嵌着部内凹部4´に嵌着するものであって、嵌着強度を高めるための構造である。
図12の線材突起部8は、複数の線材を円筒状に連接してひだ状の円筒形を形成し、その線材突起部8が嵌着部内凹部4´に嵌着するものであって、線材突起部8の弾性を利用して嵌着する際のクリアランスを確保するための構造である。
【0032】
(第5実施形態)
以下、第5実施形態に係る園芸用支柱について、
図13~
図16を参照して説明する。
図13~
図16の突起部6は、メイン支柱1に枝支え部5´を取付けるための開口部9を有するクリップ7を形成する構造である。このクリップ7が形成されることでメイン支柱1に嵌着部4を設けることを不要とするのが特長である。
図13は、
図12のひだ状の円筒形の凸部6にクリップ部7を設け、
図14は、凸部6を円筒形の凸部として一部に開口部9を形成することでクリップ7とする構造である。
図15は、網状の枝支え部を網状分岐支柱10として枝葉の多い園芸物に対応しやすくする構造である。
図16は、その網状分岐支柱10の平面図を示すもので、円形の網部10´にテーパーの付いた開口部9を設けてクリップ7とするものである。この網部10´には飾り物などが置けるスペースもできることから装飾付きの園芸用支柱とすることもできる。
【0033】
(第6実施形態)
以下、第6実施形態に係る園芸用支柱について、
図17を参照して説明する。
分岐支柱5の枝支え部5´や突起部6の一部に農薬、殺虫剤、虫忌避剤、水などを貯留する貯留部11を設けた構造にするもので、枝支え部5´には細長い溝を、突起部6には穴を、設けることで貯留部11を形成するものである。
【0034】
(第7実施形態)
以下、第7実施形態に係る園芸用支柱について、
図18~
図26を参照して説明する。
図18、
図19は、複数の線材を束ねて形成する線材メイン支柱1´の基本的な構造を示す。複数の線材を結束した線材メイン支柱1´と、その線材メイン支柱1´の一部の線材を折り曲げて分岐支柱5を形成する構造とすることで、線材メイン支柱1´と分岐支柱5の完全な一体型の園芸支柱を形成するものである。
なお、本実施形態においては、成型品の結束部12により複数の線材を束ねて線材メイン支柱1´としているが、紐やビニールテープで結束することやアクリル系接着剤などの仮固定用接着剤を用いて束ねる構造でも良い。また、結束部12の内周にテーパーを付けることで、線材メイン支柱1´上を結束部12がスライド可能で、かつ、適当な位置に結束部12を固定できる構造としても良いし、結束部12の内周に仮固定用接着剤を塗布して結束部12を線材メイン支柱1´上の適当な位置に仮止めする構造としても良い。これにより、結束部12の位置で一部線材を折り曲げることが可能になる。
図20、
図21は、複数の線材をさらに任意の長さ毎(例えば、50cm、100cm、150cmの3段)にそれぞれ結束して複数の段差を有する線材メイン支柱1´としたものである。そして、各段差毎の一部線材を枝や茎に沿わせて適宜折り曲げることで、適切な位置で分岐支柱5を形成する。この場合、折り曲げるのは一本ずつに限定することは無く、数本ずつ一緒に折り曲げることで強度の強い分岐支柱5としても良い。
図22、
図23は、上記
図20の各段差を(例えば、60cm、90cmの2段)にし、それぞれの結束部12の位置で線材を折り曲げ可能とすることで、丈の低い園芸物に適用できる。
図24~
図26は、線材メイン支柱1´を園芸用カバー類の骨部材としても兼用可能とすることを目的とするものである。
図24の線材メイン支柱1´の複数の棒状線材の一部を所望の同一箇所で折り曲げることによって、折り曲げ自在にできる分岐支柱5の基本形を示す。使用前はあたかも一本の棒状の園芸支柱であり、商品包装や配送時・収納時は取扱いが容易であるという利便性がある。
図25、
図26は、複数の分岐支柱5の先端を、線材メイン支柱1´として束ねた線材群の底部に揃えるように折り曲げる構造にするものである。この構造は、線材メイン支柱1´と分岐支柱5を園芸用カバー類の骨部材として利用可能とするためのものである。この複数の湾曲した分岐支柱5で半球状の骨組を形成し、この骨組に不織布カバーなどを被覆することで園芸物を寒さや降雪・霜などから守ることができるとともに、さらに、結球する野菜や小さな野菜などの防虫カバー用の骨材としても有用である。
図25は、結束具12で結束した複数の線材を中心にして、そこから複数の分岐支柱5部分を同心円上に枝分かれさせる構造としたものであり、結束した線材群の底部を土中に埋め込んで固定させる。枝分かれした分岐支柱5の先端も土中に埋め込んで固定させる。
図26は、結束具12で結束した線材群部分も半球状の骨組の一部とするもので、複数の枝分かれした分岐支柱5として利用する構成の一例を示すものである。そして、リング状の結束具12の上端および/または下端に鋸歯状の突起群を設けて、複数の分岐支柱5の折り曲げ点を係止する構成としても良い。また、結束具12の下端に鋸歯状の突起群を設けることで、結束した線材群部分を一本の支柱として土中に埋設するだけでなく、結束した線材群部分を開脚させるような形にして土中に埋設するとより安定した支柱または骨組みとなる。
【0035】
なお、線材を用いた園芸支柱の構造の特長から、以下のような利便性を重視した変形例を提供することもできる。
図18の線材メイン支柱1´の各線材を複数色に色分けすることも可能である。例えば、束ねる線材を例えば15本とした場合、うち5本の線材は黒、4本の線材は赤、6本の線材は白、というように束ねる線材を色分けするものである。この色分けされた線材を、
図19に示す折り曲げられる分岐支柱に規則性を持たせて形成することで、果実のなっている枝や間引くべき枝などを容易に識別する機能を付加しても良い。また、果実のなっている枝など重量のある枝については、太径のものや強度のある材質の線材を用いるようにすれば良い。
同様に、
図20~
図23においても、その段差や、太さや、材質や、強度などの異なる線材の見分けが色によって簡単にできるようにすれば、育成対象となる園芸品の育成管理上でも便利である。例えば、茎や果実の部分には太径で強度の高い線材を、枝分かれした細めの枝支えには折り曲げのしやすい材質の線材を用いればよい。
線材としては、アルミ線で線径が2.5mm(♯12)程度のものが最も取り扱いやすいと思われるが、針金製や合成樹脂製でも良い。針金の場合は曲げ安さや支え強度の観点からすると線形が2mm(♯14)程度のものが取り扱いやすい。色付けに使用する塗料は、例えば多用途用油性塗料などでも良い。
さらに、本発明に係る線材を環境にやさしい生分解性プラスチック素材で形成することもできる。例えば、微生物系ではバイオポリエステル、化学合成系では脂肪族ポリエステル、天然物系ではセルロースや澱粉などがある。現状では、製造コストや加工技術、耐久性などの課題はあるが、環境改善や年次単位での使い捨て線材として利用する場合は有用である。
【0036】
以下、第8実施形態に係る園芸用支柱を応用する多段式高架栽培棚について、
図27~
図29を参照して説明する。
図27は、メイン支柱1と分岐支柱5を結合具13で結合して高架栽培棚を形成するもので、空間が層状に積層される多段式の高架栽培棚とするものである。
分岐支柱5に替えて、鉄管や樹脂パイプで組み立てても良い。本斜視図では、角度の影響で分岐支柱5や鉄管や樹脂パイプが見えないが、
図28に示されるように3段に組み合わされる分岐支柱5が存在する。そして、この段部の網棚に培養土などが入ったプランタや、種苗ポットなどが載置される。場合によっては、各段の網棚に直接培養土を盛ることで畝を形成しても良い。
地表に最も近い網棚17には、鉢植えや収穫物の水切り棚として使用しても良い。また、
図27は温室に設置される多段式高架栽培棚の一例を示すもので、(1)最上段は、種まき用の播種棚14とし、(2)中段は、苗を地植えする育苗棚15とし、(3)最下段は、園芸物の育成および収穫をする育成棚16とするものである。この構成によって、寒さに弱い種子の発芽に適した環境とすることができる。最上段の播種棚14は、幡種ポットなどの軽量物を載置するので、多少軟弱で軽量な樹脂製パイプの分岐支柱5を使用しても良いし、幡種棚14の網板・網箱も樹脂製で良い。
最上段を播種棚14とする具体的な作用効果を
図29で説明する。
図29は、メイン支柱1と分岐支柱5と結合具13で形成される温室のハウスのハウス骨組み19内に、空調機18からの温風がハウス内で温度層を形成する状況を図示したものである。温風は、下から上に循環するので、地面から天井に向けて(冷たい空気層)・(生暖かい空気層)・(暖かい空気層)の多層構造になる。従って、最上段の播種棚14は(暖かい空気層)に位置することになり、寒さに弱い種子の発芽に適した環境となる。
図28は、温室外の耕地に直接設置される多段式高架栽培棚の一例を示すもので、上述の温室ハウスに載置する場合とは逆の構成になる。つまり、(1)最上段は、園芸物の育成および収穫をする育成棚16とし、(2)中段は、苗を地植えする育苗棚15とし、(3)最下段は、種まき用の播種棚14とするものである。この構成によって、暑さや日光に弱い種子の発芽に適した環境とすることができる。播種棚14は最下段に位置するので、上段の棚により直射日光を受けにくく、かつ、地面にも近いので適度な湿り気も得られる利点がある。そして、多段の棚をひな壇状に配置することで、上段の育苗棚や育成棚は、日光の取り込みや通風が良いという恩恵を受けやすくなる。
【符号の説明】
【0037】
1 メイン支柱
1´ 線材メイン支柱
2 サブ支柱
3 メイン支柱先端部
4 嵌着部
4´ 嵌着部内凹部
5 分岐支柱
5´ 枝支え部
6 突起部
6´ 凸部
7 クリップ部
8 線材突起部
9 開口部
10 網状分岐支柱
10´ 網部
11 貯留部
12 結束部
13 結合具
14 播種棚
15 育苗棚
16 育成棚
17 網棚
18 空調機
19 ハウス骨組み
【図 】
【図 】
【図 】
【図 】
【図 】
【図 】
【手続補正書】
【提出日】2022-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
【
図1】本発明の第1実施形態による園芸用支柱の斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による園芸用支柱の斜視図である。
【
図3】本発明の第2実施形態による園芸用支柱の斜視図である。
【
図4】本発明の第2実施形態による園芸用支柱の斜視図である。
【
図5】本発明の第3実施形態によるメイン支柱の斜視図である。
【
図6】本発明の第3実施形態による分岐支柱の斜視図である。
【
図7】本発明の第3実施形態によるメイン支柱と分岐支柱の斜視図である。
【
図8】本発明の第3実施形態によるメイン支柱と分岐支柱の斜視図である。
【
図9】本発明の第4実施形態によるムクの円柱状のメイン支柱の斜視図である。
【
図10】本発明の第5実施形態による園芸用支柱の嵌着部の斜視図と拡大図である。
【
図11】本発明の第5実施形態による分岐支柱の突起部の一変形例の斜視図である。
【
図12】本発明の第5実施形態による分岐支柱の突起部の一変形例の斜視図である。
【
図13】本発明の第5実施形態による分岐支柱の突起部の一変形例の斜視図である。
【
図14】本発明の第5実施形態による分岐支柱の突起部の一変形例の斜視図である。
【
図15】本発明の第5実施形態による網状分岐支柱の斜視図である。
【
図16】本発明の第5実施形態による網状分岐支柱の上面図である。
【
図17】本発明の第6実施形態による分岐支柱の斜視図である。
【
図18】本発明の第7実施形態による線材メイン支柱の斜視図である。
【
図19】本発明の第7実施形態による線材メイン支柱の一変形例の斜視図である
【
図20】本発明の第7実施形態による線材メイン支柱の一変形例の斜視図である。
【
図21】本発明の第7実施形態による線材メイン支柱の一変形例の斜視図である。
【
図22】本発明の第7実施形態による線材メイン支柱の一変形例の斜視図である。
【
図23】本発明の第7実施形態による線材メイン支柱の一変形例の斜視図である。
【
図24】本発明の第7実施形態による線材メイン支柱の一変形例の斜視図である。
【
図25】本発明の第7実施形態による線材メイン支柱の一変形例の斜視図である。
【
図26】本発明の第7実施形態による線材メイン支柱の一変形例の斜視図である。
【
図27】本発明の第8実施形態による多段式高架栽培棚の斜視図である。
【
図28】本発明の第8実施形態による多段式高架栽培棚の一変形例の側面図である。
【
図29】本発明の第8実施形態の作用効果を説明するための斜視図である。
【
図30】従来の園芸用支柱の連結に用いられるクリップ部の斜視図である。