(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103942
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 27/00 20060101AFI20230720BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20230720BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20230720BHJP
H01F 17/04 20060101ALN20230720BHJP
【FI】
H01F27/00 Q
H01F27/29 123
H01F17/00 B
H01F17/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087370
(22)【出願日】2022-05-30
(31)【優先権主張番号】10-2022-0005827
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨウン ジ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、クァン スン
(72)【発明者】
【氏名】ク、ジン ホ
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB10
5E070BA12
5E070CB06
5E070CB12
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本体内においてコイル部のセンター整列の有無を外部から確認可能なコイル部品を提供し、コイル部の露出不良が起こる可能性が高いコイル部品を予め選別し、コイル部が本体面に露出することによるショート不良、leakage不良を減少させる。
【解決手段】コイル部品1000は、一方向に互いに向かい合う一面と他面及び一面と他面を連結する複数の側面を有する本体100、本体内に配置された基板、本体の2つの側面が接する角部の少なくとも一つに配置され、本体の2つの側面に露出した絶縁パターン210、220、基板の少なくとも一面に配置され、複数のターンを有するコイルパターン312、本体の一側面に露出する引き出し部332を有するコイル部及び本体に配置され、引き出し部と連結された外部電極400、500を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に互いに向かい合う一面と他面、及び前記一面と他面を連結する複数の側面を有する本体と、
前記本体内に配置された基板と、
前記本体の2つの側面が接する角部の少なくとも一つに配置され、前記本体の2つの側面に露出した絶縁パターンと、
前記基板の少なくとも一面に配置され、複数のターンを有するコイルパターン、及び前記本体の一側面に露出する引き出し部を有するコイル部と、
前記本体に配置され、前記引き出し部と連結された外部電極と、を含む、コイル部品。
【請求項2】
前記絶縁パターンは、
前記一方向と垂直な平面を基準に、前記コイルパターンの巻回中心を通る対角線方向に互いに向かい合う第1及び第2絶縁パターンを含む、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記絶縁パターンは、
前記一方向を基準に、前記基板と実質的に同一高さで前記基板と離隔して配置される、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記絶縁パターンは、
前記基板と同一成分を含む、請求項3に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記絶縁パターン及び前記引き出し部がそれぞれ露出した前記本体の一側面において、前記絶縁パターンは、前記引き出し部と一定した間隔で離隔した、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記引き出し部は、前記本体上で前記第1絶縁パターンと同一面に露出する第1引き出し部、及び前記第2絶縁パターンと同一面に露出する第2引き出し部を含み、
前記本体の一側面において前記第1絶縁パターン及び前記第1引き出し部が離隔した間隔は、前記本体の一側面と向かい合う他側面において、第2絶縁パターン及び前記第2引き出し部が離隔した間隔と実質的に同一である、請求項2に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記絶縁パターンは、
前記引き出し部が露出した前記本体の一側面に平行でありながら、前記コイルパターンの巻回中心を通る平面と一定間隔で離隔した、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記絶縁パターンは、
前記引き出し部が露出した前記本体の一側面に平行でありながら、前記コイルパターンの巻回中心を通る平面と一定間隔で離隔した、請求項5に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記外部電極は、
前記第1引き出し部と連結された第1外部電極、及び前記第2引き出し部と連結された第2外部電極を含む、請求項6に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記コイル部は、前記基板の両面にそれぞれ配置される第1コイルパターン及び第2コイルパターン、及び前記基板を貫通して前記第1コイルパターン及び前記第2コイルパターンの内側端部を連結するビアをさらに含む、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記本体上で前記外部電極が配置された領域を除いた領域に配置される絶縁層をさらに含む、請求項1から10の何れか1つに記載のコイル部品。
【請求項12】
互いに向かい合う第1面と第2面、及び前記第1面と第2面を連結し、互いに向かい合う第3面と第4面を有する本体と、
前記本体内に配置された基板と、
前記本体の第1面と第3面が接する角部に配置された第1絶縁パターンと、
前記本体の第2面と第4面が接する角部に配置された第2絶縁パターンと、
前記基板の両面にそれぞれ配置され、複数のターンを有する第1コイルパターン及び第2コイルパターン、前記基板を貫通して前記第1コイルパターン及び前記第2コイルパターンを連結するビア、及び前記本体の第1面及び第2面にそれぞれ露出する第1引き出し部及び第2引き出し部を有するコイル部と、
前記本体に配置され、前記第1引き出し部及び前記第2引き出し部とそれぞれ連結された第1外部電極及び第2外部電極と、を含む、コイル部品。
【請求項13】
前記本体は、前記本体の第1面から第4面と連結され、一方向に互いに向かい合う第5面及び第6面をさらに含み、
前記第1絶縁パターン及び前記第2絶縁パターンは、前記一方向を基準に、前記基板と実質的に同一の高さで前記基板と離隔して配置される、請求項12に記載のコイル部品。
【請求項14】
前記本体の第1面で前記第1引き出し部と前記第1絶縁パターンが離隔した間隔は、前記本体の第2面で前記第2引き出し部と前記第2絶縁パターンが離隔した間隔と実質的に同一である、請求項12または13に記載のコイル部品。
【請求項15】
前記基板は中央に貫通孔が形成され、
前記第3面及び第5面とそれぞれ垂直であり、前記貫通孔の中心を通る平面を基準に、
前記第1絶縁パターンと前記平面との間の離隔距離は、前記第2絶縁パターンと前記平面との間の離隔距離と実質的に同一である、請求項12または13に記載のコイル部品。
【請求項16】
前記基板は中央に貫通孔が形成され、
前記第3面及び第5面とそれぞれ垂直であり、前記貫通孔の中心を通る平面を基準に、
前記第1絶縁パターンと前記平面との間の離隔距離は、前記第2絶縁パターンと前記平面との間の離隔距離と実質的に同一である、請求項14に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイル部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コイル部品のうち一つであるインダクタ(inductor)は、抵抗(resistor)及びキャパシタ(capacitor)とともに電子機器に用いられる代表的な受動電子部品である。
【0003】
電子機器がますます高性能化され、小さくなるにつれて電子機器に利用される電子部品はその数が増加し、小型化してきている。
【0004】
小型サイズでありながらも高容量、高効率特性を有するコイル部品の実現のためには、チップ部品のダイシングマージンを最小化する必要があるが、この過程でコイルが本体面に露出しないようにするためには、コイルのセンター整列の確認が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本公開特許第2021-129105号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態による目的の一つは、本体内においてコイル部のセンター整列の有無を外部から確認可能なコイル部品を提供することである。
【0007】
本発明の実施形態による目的のもう一つは、コイル部の露出不良が起こる可能性が高いコイル部品を予め選別するためである。
【0008】
本発明の実施形態による目的のもう一つは、コイル部が本体面に露出することによるショート不良、leakage不良を減少させるためである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面によると、一方向に互いに向かい合う一面と他面、及び上記一面と他面を連結する複数の側面を有する本体、上記本体内に配置された基板、上記本体の2つの側面が接する角部の少なくとも一つに配置され、上記本体の2つの側面に露出した絶縁パターン、上記基板の少なくとも一面に配置され、複数のターンを有するコイルパターン、及び上記本体の一側面に露出する引き出し部を有するコイル部、上記本体に配置され、上記引き出し部と連結された外部電極を含むコイル部品が提供されることができる。
【0010】
本発明の他の側面によると、互いに向かい合う第1面と第2面、及び上記第1面と第2面を連結し、互いに向かい合う第3面と第4面を有する本体、上記本体内に配置された基板、上記本体の第1面と第3面が接する角部に配置された第1絶縁パターン、上記本体の第2面と第4面が接する角部に配置された第2絶縁パターン、上記基板の両面にそれぞれ配置され、複数のターンを有する第1コイルパターン及び第2コイルパターン、上記基板を貫通して上記第1コイルパターン及び第2コイルパターンを連結するビア、及び上記本体の第1面及び第2面にそれぞれ露出する第1引き出し部及び第2引き出し部を有するコイル部、及び上記本体に配置され、上記第1引き出し部及び第2引き出し部とそれぞれ連結された第1外部電極及び第2外部電極を含むコイル部品が提供されることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一側面によると、コイル部品の本体内のコイル部のセンター整列の有無を外部から確認することができる。
【0012】
本発明の他の側面によると、コイル部の露出不良が起こる可能性が高いコイル部品を予め選別することができる。
【0013】
本発明の他の側面によると、コイル部の本体面の露出によるショート不良、leakage不良を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施例によるコイル部品を概略的に示した斜視図である。
【
図2】
図1のL-W断面を概略的に示した図面である。
【
図3】(a)~(d)は、
図1のA~D方向からそれぞれ見た側面図である。
【
図4】
図1のI-I'線に沿った断面を示した図面である。
【
図5】
図1のII-II'線に沿った断面を示した図面である。
【
図6】本発明の第2実施例によるコイル部品を概略的に示した斜視図である。
【
図7】
図6のL-W断面を概略的に示した図面である。
【
図8】(a)~(d)は、
図6のE~H方向からそれぞれ見た側面図である。
【
図9】本発明の第3実施例によるコイル部品を概略的に示した斜視図である。
【
図10】
図6のL-W断面を概略的に示した図面である。
【
図11】(a)~(d)は、
図9のI~M方向から見たそれぞれ側面図である。
【
図12】本発明の一実施例によるコイル部品の製造工程中のコイルバー形成段階を示した図面である。
【
図13】
図12のコイルバーに本体を形成する段階を示した図面である。
【
図14】
図13で形成された本体をチップ単位でダイシングする工程を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本出願で用いられる用語は、単に特定の実施例を説明するために用いられたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解することができる。尚、明細書全体において、「上に」とは、対象部分の上または下に位置することを意味するものであり、必ずしも重力方向を基準に上側に位置することを意味するものではない。
【0016】
また、結合とは、各構成要素間の接触関係において、各構成要素間に物理的に直接接触される場合のみを意味するものではなく、他の構成が各構成要素間に介在して、その他の構成に構成要素がそれぞれ接触されている場合まで包括する概念として用いられる。
【0017】
図面に示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意に示したため、本発明は必ずしも示したものに限定されない。
【0018】
図面において、L方向は第1方向または長さ方向、W方向は第2方向または幅方向、T方向は第3方向または厚さ方向に定義することができる。
【0019】
以下、本発明の実施例によるコイル部品を添付図面を参照して、詳細に説明し、添付図面を参照して説明することにおいて、同一または対応する構成要素は、同一の図面番号を付与し、これに対する重複説明は省略する。
【0020】
電子機器には様々な種類の電子部品が用いられるが、このような電子部品の間にはノイズ除去などを目的に、様々な種類のコイル部品が適宜用いられることができる。
【0021】
すなわち、電子機器におけるコイル部品は、パワーインダクタ(Power Inductor)、高周波インダクタ(HF Inductor)、通常のビーズ(General Bead)、高周波用ビーズ(GHz Bead)、共通モードフィルタ(Common Mode Filter)などで利用されることができる。
【0022】
(第1実施例)
図1は、本発明の一実施形態によるコイル部品1000を概略的に示した斜視図であり、
図2は、
図1のL-W断面を概略的に示した図面であり、
図3は、
図1のA~D方向からそれぞれ見た側面図であり、
図4は、
図1のI-I'線に沿った断面を示した図面であり、
図5は、
図1のII-II'線に沿った断面を示した図面である。
【0023】
図1~
図5を参照すると、本発明の一実施例によるコイル部品1000は、本体100、基板200、絶縁パターン210、220、コイル部300、及び外部電極400、500を含み、絶縁層600をさらに含むことができる。
【0024】
本体100は、本実施例によるコイル部品1000の外観をなし、内部に基板200及びコイル部300を埋設する。
【0025】
本体100は、全体的に六面体状に形成されることができる。
【0026】
本体100は、長さ方向Lに互いに向かい合う第1面101と第2面102、幅方向Wに互いに向かい合う第3面103と第4面104、厚さ方向Tに互いに向かい合う第5面105と第6面106を含む。本体100の第1面101、第2面102、第3面103、及び第4面104のそれぞれは、本体100の第5面105と第6面106を連結する本体100の壁面に該当する。
【0027】
本体100は、例示的に、後述する外部電極400、500が形成された本実施例によるコイル部品1000が2.5mmの長さ、2.0mmの幅及び1.0mmの厚さを有するか、2.0mmの長さ、1.2mmの幅、及び0.65mmの厚さを有するか、1.6mmの長さ、0.8mmの幅、0.8mmの厚さを有するか、1.0mmの長さ、0.5mmの幅、0.8mmの厚さを有するか、または0.8mmの長さ、0.4mmの幅、0.65mmの厚さを有するように形成されることができるが、これに制限されるものではない。一方、コイル部品1000の長さ、幅及び厚さに対して上述した例示的な数値は、工程誤差を反映しない数値であるため、工程誤差と認められる範囲の数値は、上述の例示的な数値に該当すると見なす必要がある。
【0028】
上述したコイル部品1000の長さとは、コイル部品1000の幅方向Wの中央部でとった長さ方向L-厚さ方向Tの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡イメージまたはSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、上記イメージに示したコイル部品1000の長さ方向Lに向かい合う2つの最外側の境界線を長さ方向Lと平行に連結し、厚さ方向Tに互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の最大値を意味することができる。または、コイル部品1000の長さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の最小値を意味することができる。または、コイル部品1000の長さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味することができる。ここで、長さ方向Lと平行な複数の線分は、厚さ方向Tに互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0029】
上述したコイル部品1000の厚さとは、コイル部品1000の幅方向Wの中央部でとった長さ方向L-厚さ方向Tの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡イメージまたはSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、上記イメージに示したコイル部品1000の厚さ方向Tに向かい合う2つの最外側の境界線を厚さ方向Tと平行に連結し、長さ方向Lに互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の最大値を意味することができる。または、コイル部品1000の厚さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の最小値を意味することができる。または、コイル部品1000の厚さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味することができる。ここで、厚さ方向Tと平行な複数の線分は、長さ方向Lに互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0030】
上述したコイル部品1000の幅とは、コイル部品1000の厚さ方向Tの中央部でとった長さ方向L-幅方向Wの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡イメージまたはSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、上記イメージに示したコイル部品1000の幅方向Wに向かい合う2つの最外側の境界線を幅方向Wと平行に連結し、長さ方向Lに互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の最大値を意味することができる。または、コイル部品1000の幅は、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の最小値を意味することができる。または、コイル部品1000の幅は、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味することができる。ここで、幅方向Wと平行な複数の線分は、長さ方向Lに互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0031】
または、コイル部品1000の長さ、幅及び厚さのそれぞれは、マイクロメータ測定法で測定されることもできる。マイクロメータ測定法は、Gage R&R(Repeatability and Reproducibility)されたマイクロメータでゼロ点を設定し、マイクロメータのチップ(tip)の間に本実施例によるコイル部品1000を挿入し、マイクロメータの測定レバー(lever)を回して測定することができる。一方、マイクロメータ測定法でコイル部品1000の長さを測定することにおいて、コイル部品1000の長さは1回測定された値を意味することもでき、複数回測定された値の算術平均を意味することもできる。これは、コイル部品1000の幅及び厚さにも同様に適用されることができる。
【0032】
本体100は、磁性物質及び樹脂を含むことができる。具体的には、本体100は、磁性物質が樹脂に分散された磁性複合シート11を一つ以上積層して形成されることができる。但し、本体100は、磁性物質が樹脂に分散された構造以外に他の構造を有することもできる。例えば、本体100は、フェライトなどの磁性物質からなることもでき、非磁性体からなることもできる。
【0033】
磁性物質は、フェライトまたは金属磁性粉末であることができる。
【0034】
フェライトは、例えば、Mg-Zn系、Mn-Zn系、Mn-Mg系、Cu-Zn系、Mg-Mn-Sr系、Ni-Zn系などのスピネル型フェライト、Ba-Zn系、Ba-Mg系、Ba-Ni系、Ba-Co系、Ba-Ni-Co系などの六方晶型フェライト類、Y系などのガーネット型フェライト及びLi系フェライトの少なくとも一つ以上であることができる。
【0035】
金属磁性粉末は、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)及びニッケル(Ni)からなる群から選択されたいずれか一つ以上を含むことができる。例えば、金属磁性粉末は、純鉄粉末、Fe-Si系合金粉末、Fe-Si-Al系合金粉末、Fe-Ni系合金粉末、Fe-Ni-Mo系合金粉末、Fe-Ni-Mo-Cu系合金粉末、Fe-Co系合金粉末、Fe-Ni-Co系合金粉末、Fe-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Si系合金粉末、Fe-Si-Cu-Nb系合金粉末、Fe-Ni-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Al系合金粉末の少なくとも一つ以上であることができる。
【0036】
金属磁性粉末は、非晶質または結晶質であることができる。例えば、金属磁性粉末は、Fe-Si-B-Cr系非晶質合金粉末であることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0037】
フェライト及び金属磁性粉末は、それぞれ平均直径が約0.1μm~30μmであることができるが、これに制限されるものではない。
【0038】
本体100は、樹脂に分散した2種類以上の磁性物質を含むことができる。ここで、磁性物質が異なる種類であるとは、樹脂に分散した磁性物質が平均直径、組成、結晶性、及び形状のいずれか一つで互いに区別されることを意味する。
【0039】
樹脂は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独または混合して含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0040】
本体100は、後述する基板200及びコイル部300を貫通するコア110を有する。コア110は、磁性複合シート11が基板200の貫通孔110hを充填することで形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0041】
基板200は本体100内に配置される。基板200は、後述するコイル部300を支持する構成である。
【0042】
基板200は、エポキシ樹脂などの熱硬化性絶縁樹脂、ポリイミドなどの熱可塑性絶縁樹脂または感光性絶縁樹脂を含む絶縁資材で形成されるか、このような絶縁樹脂にガラス繊維または無機フィラーなどの補強材が含浸された絶縁資材で形成されることができる。一例として、基板200は、プリプレグ(Prepreg)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)、FR-4、BT(Bismaleimide Triazine)樹脂、PID(Photo Imagable Dielectric)、銅箔積層板(Copper Clad Laminate、CCL)などの資材で形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0043】
無機フィラーとしてはシリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、炭化ケイ素(SiC)、硫酸バリウム(BaSO4)、タルク、泥、雲母粉、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、ホウ酸アルミニウム(AlBO3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)及びジルコン酸カルシウム(CaZrO3)からなる群から選択された少なくとも一つ以上が用いられることができる。
【0044】
基板200が補強材を含む絶縁資材で形成される場合、基板200はより優れた剛性を提供することができる。基板200がガラス繊維を含まない絶縁資材で形成される場合、基板200及びコイル部300の全体の厚さ(
図1の厚さ方向Tに沿ったコイル部300及び基板200の各数値(dimension)の合計を意味する)を薄型化して部品の厚さを減少させる上で有利である。基板200が感光性絶縁樹脂を含む絶縁資材で形成される場合、コイル部300を形成するための工程数が減って、生産費の削減に有利であり、微細なビア320を形成することができる。基板200の厚さは、例えば、10μm以上50μm以下であることができるが、これに制限されるものではない。
【0045】
本発明の一実施例によるコイル部品1000は、本体100の側面のうち2つの側面が接する角部の少なくともいずれか一つに配置され、本体100の2つの側面に露出する絶縁パターン210、220を含むことができる。
【0046】
絶縁パターン210、220は、ダイシング工程後に本体100の表面に露出するため、本体100内のコイル部300のセンター整列の有無が外部から確認できるようにする構成である。絶縁パターン210、220の位置、形状及び観察可否などに基づいて、本体100の表面及びコイル部300の離隔間隔などが確認できるため、本体100の表面に実際のコイル部300の露出がなくても、今後露出不良が起こり得るコイル部品を予め選別することができる。
【0047】
図2を参照すると、絶縁パターン210、220は、互いに離隔した第1絶縁パターン210及び第2絶縁パターン220を含むことができる。第1絶縁パターン210及び第2絶縁パターン220は、コイル部品1000の長さ方向L-幅方向Wの断面上で後述するコイルパターン311、312の巻回中心Cpを通る対角線方向に互いに向かい合うように配置されることができる。すなわち、後述するコイルパターン311、312の巻回中心Cp、または基板200の貫通孔110hの中心を基準に原点対称である形態で配置されることができる。
【0048】
第1絶縁パターン210及び第2絶縁パターン220は、コイル部品1000の長さ方向L-幅方向Wの断面上でそれぞれ矩形状を有することができ、ダイシング工程でダイシングされる位置によって、長さ方向Lまたは幅方向Wに沿った数値(dimension)が変わることができる。
【0049】
図2及び
図3を参照すると、絶縁パターン210、220は、絶縁パターン210、220及び引き出し部331、332がそれぞれ露出した本体100の一側面において、引き出し部331、332と一定間隔W1に離隔するように配置されることができる。
【0050】
一例として、本体100の第1面101に第1引き出し部331及び第1絶縁パターン210が露出することができ、第1引き出し部331及び第1絶縁パターン210は、幅方向Wに一定間隔W1に離隔することができる。また、本体100の第2面102に第2引き出し部332及び第2絶縁パターン220が露出することができ、第2引き出し部332及び第2絶縁パターン220は、幅方向Wに一定間隔W1に離隔することができる。
【0051】
第1引き出し部331と第1絶縁パターン210との間の離隔間隔と、第2引き出し部332と第2絶縁パターン220との間の離隔間隔とは、実質的に同一であることができる。ここで、実質的に同一であるという意味は、製造工程上発生する工程誤差や位置偏差、測定時の誤差を含んで同一であるという意味である。
【0052】
上述した絶縁パターン210、220と引き出し部331、332との間の幅方向Wの間隔間隔W1とは、コイル部品1000から外部電極400、500を除去した本体100の第1面101または第2面102に向いて撮影した光学顕微鏡イメージまたはSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、上記イメージに現れた絶縁パターン210、220と、引き出し部331、332の形状に対応する基板200間の幅方向Wに向かい合う2つの最外側の境界線を幅方向Wと平行に連結し、長さ方向Lに互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味することができる。ここで、幅方向W及び平行な複数の線分は、長さ方向Lに互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0053】
このように絶縁パターン210、220と引き出し部331、332が互いに一定間隔W1に離隔されることで、本体100の外部から観察可能な絶縁パターン210、220を介して引き出し部331、332を含むコイル部300の本体100内での位置及び幅方向Wのセンター整列の有無を確認することができる。
【0054】
図2を参照すると、絶縁パターン210、220は、引き出し部331、332が露出した本体の一側面に平行であり、コイルパターン311、312の巻回中心CPを通る平面と一定間隔L1に離隔するように配置されることができる。
【0055】
一例として、長さ方向(L方向)と垂直な平面のうち、コイルパターン311、312の巻回中心CPまたは基板200の貫通孔110hの中心を通る仮想の平面を基準に、第1絶縁パターン210及び仮想の平面は、長さ方向(L方向)に一定間隔L1に離隔することができる。また、第2絶縁パターン220と仮想の平面は、長さ方向(L方向)に一定間隔L1に離隔することができる。
【0056】
第1絶縁パターン210と仮想の平面との間の離隔間隔と、第2絶縁パターン220と仮想の平面との間の離隔間隔とは、実質的に同一であることができる。ここで、実質的に同一であるという意味は、製造工程上発生する工程誤差や位置偏差、測定時の誤差を含んで同一であるという意味である。
【0057】
上述した絶縁パターン210、220と、コイルパターン311、312の巻回中心CPまたは基板200の貫通孔110hの中心を通る平面との間の長さ方向Lの離隔間隔L1とは、コイル部品1000の厚さ方向Tの中央部でとった長さ方向L-幅方向Wの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡イメージまたはSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、幅方向Wに平行であり、コイルパターン311、312の巻回中心CPまたは基板200の貫通孔110hの中心を通る仮想の中心線と、上記イメージに現れた絶縁パターン210、220との間の長さ方向Lに向かい合う2つの最外側の境界線を長さ方向Lと平行に連結し、幅方向Wに互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味することができる。ここで、長さ方向Lと平行な複数の線分は、幅方向Wに互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0058】
このように絶縁パターン210、220と、コイルパターン311、312の巻回中心CPまたは基板200の貫通孔110hの中心を通る平面が互いに一定間隔L1に離隔されることで、本体100の外部から観察可能な絶縁パターン210、220を介して、コイル部300の本体100内での位置及び長さ方向Lのセンター整列の有無を確認することができる。特に、基板200及び引き出し部331、332が露出しない本体100の第3面103または第4面104においてもセンター整列の有無を確認することができる。
【0059】
図3は、
図1のA~D方向からそれぞれ見た側面図である。
【0060】
図3の(a)及び(b)を参照すると、絶縁パターン210、220は、厚さ方向Tを基準に、基板200と実質的に同一高さT1で基板200と離隔して配置されることができる。ここで、実質的に同一であるという意味は、製造工程上発生する工程誤差や位置偏差、測定時の誤差を含んで同一であるという意味である。
【0061】
絶縁パターン210、220は、ダイシング工程時に基板200の一部が残留して形成されるため、基板200と実質的に同一レベル、すなわち同一高さT1で形成されることができる。
【0062】
ここで、絶縁パターン210、220と基板200の高さT1とは、コイル部品1000から外部電極400、500を除去した本体100の第1面101または第2面102に向いて撮影した光学顕微鏡イメージまたはSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、上記イメージに現れた絶縁パターン210、220または基板200と、本体100の第6面106との間の厚さ方向Tに向かい合う2つの最外側の境界線を厚さ方向Tと平行に連結し、幅方向Wに互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味することができる。ここで、厚さ方向Tと平行な複数の線分は、幅方向Wに互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0063】
図3の(a)~(d)を参照すると、対角線方向に互いに向かい合う一対の絶縁パターン210、220によっても本体100の4側面の各方向A、B、C、Dでそれぞれコイル部300のセンター整列に対する確認が可能である。本実施例によるコイル部品1000の場合、コイル部300のセンター整列がずれていない例を示す。
【0064】
絶縁パターン210、220は、ダイシング工程時に基板200の一部が残留して形成されるため、基板200と同一成分を含むことができる。
【0065】
絶縁パターン210、220は、エポキシ樹脂などの熱硬化性絶縁樹脂、ポリイミドなどの熱可塑性絶縁樹脂または感光性絶縁樹脂を含む絶縁資材で形成されるか、またはこのような絶縁樹脂にガラス繊維や無機フィラーなどの補強材が含浸された絶縁資材で形成されることができる。一例として、絶縁パターン210、220は、プリプレグ(Prepreg)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)、FR-4、BT(Bismaleimide Triazine)樹脂、PID(Photo Imagable Dielectric)、銅箔積層板(Copper Clad Laminate、CCL)などの資材で形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0066】
コイル部300は基板200に配置される。コイル部300は、本体100に埋設され、コイル部品の特性を発現する。例えば、本実施例のコイル部品1000がパワーインダクタとして活用される場合、コイル部300は、電場を磁場として蓄積し、出力電圧を維持することで電子機器の電源を安定させる役割を果たすことができる。
【0067】
コイル部300は、基板200の互いに向かい合う両面の少なくとも一つに形成され、少なくとも一つのターン(turn)を形成する。本実施例の場合、コイル部300は、コイルパターン311、312、ビア320、及び引き出し部331、332を含むことができる。
【0068】
図4を参照すると、第1コイルパターン311及び第2コイルパターン312のそれぞれは、基板200の互いに向かい合う両面に配置され、本体100のコア110を軸として少なくとも一つのターン(turn)を形成した平面螺旋の形態であることができる。一例として、
図1の方向を基準に、第1コイルパターン311は基板200の下面に配置され、コア110を軸として少なくとも一つのターン(turn)を形成する。第2コイルパターン312は、基板200の上面に配置され、コア110を軸として少なくとも一つのターン(turn)を形成する。第1コイルパターン311及び第2コイルパターン312のそれぞれは、引き出し部331、332と連結される最外側のターン(turn)の端部が本体100の第1面101及び第2面102の方向にそれぞれ延長した形態で形成される。
【0069】
図5を参照すると、ビア320は、基板200を貫通して第1コイルパターン311及び第2コイルパターン312のそれぞれの最内側のターン(turn)の内側端部を互いに連結する。
【0070】
第1引き出し部331は、本体100の第1面101に露出し、後述する第1外部電極400と接触連結され、第2引き出し部332は、本体100の第2面102に露出し、後述する第2外部電極500と接触連結されることができる。
【0071】
このような構造によって、コイル部300は、全体的に連結された一つのコイルとして機能することができる。
【0072】
コイルパターン311、312、ビア320、及び引き出し部331、332の少なくとも一つは、少なくとも一つ以上の導電層を含むことができる。
【0073】
一例として、第1コイルパターン311、ビア320及び第1引き出し部331を基板200の下面(
図1の方向基準)にめっきして形成する場合、第1コイルパターン311、ビア320及び第1引き出し部331のそれぞれは、シード層及び電解めっき層を含むことができる。シード層は無電解めっき法またはスパッタリングなどの気相蒸着法で形成されることができる。シード層及び電解めっき層のそれぞれは単層構造であることもでき、多層構造であることもできる。多層構造の電解めっき層は、いずれか一つの電解めっき層をもう一つの電解めっき層が覆うコンフォーマル(conformal)な膜構造で形成されることもでき、いずれか一つの電解めっき層の一面にのみもう一つの電解めっき層が積層された形状に形成されることもできる。第1コイルパターン311のシード層、ビア320のシード層及び第1引き出し部331のシード層は一体に形成されて相互間に境界が形成されないことがあるが、これに制限されるものではない。第1コイルパターン311の電解めっき層、ビア320の電解めっき層及び第1引き出し部331の電解めっき層は一体に形成されて、相互間に境界が形成されないことがあるが、これに制限されるものではない。
【0074】
コイルパターン311、312、ビア320及び引き出し部331、332のそれぞれは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)またはこれらの合金などの導電性物質を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0075】
外部電極400、500は、本体100の第1面101及び第2面102にそれぞれ配置され、第1引き出し部331及び第2引き出し部332とそれぞれ連結されることができる。具体的には、第1外部電極400は、本体100の第1面101に配置され、第1引き出し部331と接触連結されることができる。また、第2外部電極500は、本体100の第2面102に配置され、第2引き出し部332と接触連結されることができる。
【0076】
外部電極400、500は、本実施例によるコイル部品1000がプリント回路基板などに実装されるとき、コイル部品1000をプリント回路基板などと電気的に連結させる。一例として、本体100の第1面101及び第2面102に互いに離隔配置された外部電極400、500とプリント回路基板の接続部が電気的に連結されることができる。
【0077】
外部電極400、500は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、またはこれらの合金などの導電性物質で形成されることができるが、これに限定されるものではない。
【0078】
外部電極400、500のそれぞれは、複数の層で形成されることができる。一例として、第1外部電極400は、第1引き出し部331と接する第1層、第1層に配置された第2層を含むことができる。ここで、第1層は、銅(Cu)及び銀(Ag)の少なくとも一つを含む導電性粉末及び絶縁樹脂を含む導電性樹脂層であるか、銅(Cu)めっき層であることができる。第2層は、ニッケル(Ni)めっき層/スズ(Sn)めっき層の2重層構造であることができる。
【0079】
絶縁膜IFは、コイル部300を覆うようにコイル部300と本体100との間に配置される。絶縁膜IFは、基板200及びコイル部300の表面に沿って形成されることができる。絶縁膜IFは、コイル部300を本体100から絶縁させるためのものであり、パリレンなどの公知の絶縁物質を含むことができるが、これに制限されるものではない。絶縁膜IFは気相蒸着などの方法で形成されることができるが、これに制限されるものではなく、絶縁フィルムを基板200の両面に積層することで形成されることもできる。
【0080】
一方、本実施例によるコイル部品1000は、本体100の第3面103、第4面104、第5面105、及び第6面106を覆うが、外部電極400、500が配置された領域を除いた領域に配置される絶縁層600をさらに含むことができる。
【0081】
絶縁層600は、一例として、絶縁樹脂を含む絶縁資材を本体100の表面に塗布及び硬化して形成されたものであることができる。この場合、絶縁層は、ポリスチレン系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリアミド系、ゴム系、アクリル系などの熱可塑性樹脂、フェノール系、エポキシ系、ウレタン系、メラミン系、アルキド系などの熱硬化性樹脂及び感光性絶縁樹脂の少なくとも一つを含むことができる。
【0082】
(第2実施例)
図6は、本発明の第2実施例によるコイル部品2000を概略的に示した斜視図であり、
図7は、
図6のL-W断面を概略的に示した図面であり、
図8は、
図6のE~H方向からそれぞれ見た側面図である。
【0083】
図6~
図8を、
図1~
図3とそれぞれ比較すると、本発明の第2実施例によるコイル部品2000は、本発明の第1実施例によるコイル部品1000と、基板200及びコイル部300のセンター整列の有無と絶縁パターン210、220の観察可否、位置、形状などが異なる。
【0084】
したがって、本実施例を説明する際に、本発明の第1実施例とは異なる基板200とコイル部300の位置、及び絶縁パターン210、220についてのみ説明し、本実施例の他の構成については、本発明の第1実施例における説明がそのまま適用されることができる。
【0085】
図6~
図8を参照すると、本実施例によるコイル部品2000の場合、部品サイズは第1実施例と同じであるが、本体100内のコイル部300のセンター整列がずれて幅方向Wに偏った構造を有する。
【0086】
本実施例によるコイル部品2000は、後述する製造工程上、ダイシング過程で幅方向Wの整列が一部ずれることで、コイル部300が本体100の第3面103に近く形成され、これによって、第1絶縁パターン210はダイシング過程でともに除去され、第2絶縁パターン220は幅方向Wに長い形状を有することができる。
【0087】
図7を参照すると、本実施例によるコイル部品2000の場合にも、第2絶縁パターン220と第2引き出し部332との間は一定間隔W1に離隔することができる。また、第2絶縁パターン220とコイルパターン311、312の巻回中心CPまたは基板200の貫通孔110hの中心を通る平面は、互いに一定間隔L1に離隔するように形成されることができる。
【0088】
図8を参照すると、本実施例によるコイル部品2000をE方向から見ると、第2絶縁パターン220を幅方向Wに長く形成されることができる。また、ダイシング過程でコイル部300が幅方向Wに偏った結果、第1絶縁パターン210は観察されない。
【0089】
したがって、本実施例によるコイル部品2000は、コイル部300が本体100の表面に露出する不良が発生していなくても、コイル部300が偏って配置されていることが外観上確認できるため、コイル部300の露出不良が発生する可能性が高いコイル部品を予め選別することができる。
【0090】
(第3実施例)
図9は、本発明の第3実施例によるコイル部品3000を概略的に示した斜視図であり、
図10は、
図6のL-W断面を概略的に示した図面である。
図11は、
図9のI~M方向から見た側面図である。
【0091】
図9~
図11を、
図1~
図3とそれぞれ比較すると、本発明の第3実施例によるコイル部品3000は、本発明の第1実施例によるコイル部品1000と、基板200及びコイル部300のセンター整列の有無と絶縁パターン210、220の観察可否、位置、形状などが異なる。
【0092】
したがって、本実施例を説明する際に、本発明の第1実施例とは異なる基板200とコイル部300の位置、及び絶縁パターン210、220についてのみ説明し、本実施例の他の構成については、本発明の第1実施例における説明がそのまま適用されることができる。
【0093】
図9~
図11を参照すると、本実施例によるコイル部品3000の場合、部品サイズは第1実施例と同じであるが、本体100内のコイル部300のセンター整列がずれて長さ方向Lに偏った構造を有する。
【0094】
本実施例によるコイル部品2000は、後述する製造工程上、ダイシング過程で長さ方向Lの整列が一部ずれることで、コイル部300が本体100の第2面102に近く形成され、これによって、第2絶縁パターン220はダイシング過程でともに除去され、第1絶縁パターン210は長さ方向Lに長い形状を有することができる。
【0095】
図10を参照すると、本実施例によるコイル部品3000の場合にも、第1絶縁パターン210と第1引き出し部331との間は一定間隔W1に離隔することができる。また、第1絶縁パターン210と、コイルパターン311、312の巻回中心CPまたは基板200の貫通孔110hの中心を通る平面は、互いに一定間隔L1に離隔されるように形成されることができる。
【0096】
図11を参照すると、本実施例によるコイル部品3000をJ方向から見ると、第1絶縁パターン210が長さ方向Lに延びて形成されることができる。また、ダイシング過程でコイル部300が長さ方向Lに偏った結果、第2絶縁パターン220は観察されない。
【0097】
したがって、本実施例によるコイル部品3000は、コイル部300が本体100の表面に露出する不良が発生していなくても、コイル部300が偏って配置されていることが外観から確認できるため、コイル部300の露出不良が発生する可能性が高いコイル部品を予め選別することができる。
【0098】
(製造工程)
図12~
図14は、本発明の一実施例によるコイル部品1000の製造工程の一部を概略的に示した図面である。
【0099】
図12は、本発明の一実施例によるコイル部品1000の製造工程中のコイルバー形成段階を示した図面であり、
図13は、
図12のコイルバーに本体100を形成する段階を示した図面であり、
図14は、
図13で形成された本体100をチップ単位でダイシングする工程を示した図面である。
【0100】
図12を参照すると、基板200に複数のコイル部300を形成する。
【0101】
基板200は特に制限されず、例えば、銅箔積層板(Copper Clad Laminate、CCL)、プリプレグ(Prepreg、PPG)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)及びPID(Photo Imageable Dielectric)の少なくとも一つで形成されることができ、10μm以上50μmの厚さであることができるが、これに制限されるものではない。
【0102】
コイル部300の形成方法としては、例えば電気めっき法が挙げられるが、これに制限されず、コイル部300は電気導電性に優れた金属を含んで形成することができ、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)またはこれらの合金などを用いることができる。
【0103】
基板200の一部にはビアホールを形成し、導電性物質を充填してビア320を形成することができ、ビア320を介して基板200の一面と他面に形成されたコイルパターン311、312が物理的及び電気的に互いに連結されることができる。
【0104】
コイル部300は、ダイシング後に本体100の第1面101及び第2面102にそれぞれ露出する第1引き出し部331及び第2引き出し部332を含むことができる。ダイシング前のコイルバー状態で隣接したユニットコイル部300の両端部は、物理的及び電気的に互いに連結されることができる。
【0105】
基板200において、コイル部300が形成されていない部分を除去することができる。
【0106】
基板200の除去は、メカニカルドリリング、レーザードリリング、サンドブラスト、パンチング加工などを適用して行うことができ、例えば、CO2レーザードリルで除去することができる。
【0107】
コイル部300が形成されていない基板200の中央領域を除去して基板200を貫通する貫通孔110hを形成することができる。
【0108】
このとき、基板200においてコイル部300が形成されていない部分の一部を除いて除去することで、絶縁パターン210、220を形成することができる。具体的には、全体の基板200中にめっき引き込み線として機能する格子状ブリッジ200'が形成されることができるが、ブリッジ200'が交差する領域の一部を突出した矩形状に形成することで、この部分はダイシング後に本体100内に残留して絶縁パターン210、220として機能することができる。
【0109】
交差領域ごとに絶縁パターン210、220が形成されることもできるが、一つのコイル部品1000当たりの対角線に向かい合う一対の絶縁パターン210、220のみが形成されても、4つの側面のそれぞれにおいて絶縁パターン210、220の観察が可能であるため、本発明が目的とする機能を有することができる。したがって、2つの交差点ごとに一つの絶縁パターン210、220が形成されるが、隣接した2列のブリッジ200'で互いに交差するように絶縁パターン210、220を配置することが好ましいが、これに制限されるものではない。
【0110】
対角線方向に向かい合う一対の絶縁パターン210、220のみが配置される場合、各角部に絶縁パターン210、220が全て配置される場合に比べて、コイル部品1000内の絶縁パターン210、220が占める体積が減少するため、有効体積が増加してインダクタンス特性が向上することができる。
【0111】
コイル部300の表面には、コイル部300を被覆する絶縁膜IFが形成されることができる。絶縁膜IFは、スクリーン印刷法、スプレー(spray)塗布工程、真空ディッピング(dipping)工程、気相蒸着法(CVD)、及びフィルム積層法などの方法で形成することができるが、これに制限されるものではない。
【0112】
図13を参照すると、コイル部300が形成された基板200に磁性複合シート11を積層して本体100を形成することができる。
【0113】
磁性複合シート11を基板200の両面に積層し、ラミネート法や静水圧プレス法を介して圧着して本体100を形成することができる。ここで、磁性複合シート11の少なくとも一部が基板200の中央部に形成された貫通孔110hを充填することで、コア110を形成することができる。
【0114】
図14を参照すると、コイルバーの形態の複数のコイル部300を個別化するダイシング工程を介して、対角線方向に向かい合う一対の絶縁パターン210、220を形成することができる。
【0115】
具体的には、磁性複合シート11からなる本体100が形成された後、ダイシングラインDLに沿ってダイシングされることで、めっき引き込み線機能をするブリッジ200'の一部が除去され、絶縁パターン210、220が残留することができる。これによって、個別化したコイル部品1000は、本体100の側面の角部に位置し、対角線方向に互いに向かい合う絶縁パターン210、220を含むことができる。
【0116】
第1絶縁パターン210はダイシングチップによって切断され、本体100の第1面101と第3面103に露出することができ、第2絶縁パターン220はダイシングチップによって切断され、本体100の第2面102と第4面104に露出することができる。
【0117】
ここで、ダイシングラインDLに工程誤差が生じて、コイル部300のセンター整列がずれる場合、絶縁パターン210、220の形状、位置及び観察可否に基づいて、本体100の外部から確認することが可能である。
【0118】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更または削除などによって本発明を多様に修正及び変更させることができ、これも本発明の権利範囲内に属するといえる。
【符号の説明】
【0119】
11 磁性複合シート
100 本体
110 コア
110h 貫通孔
200 基板
200' ブリッジ
210、220 絶縁パターン
300 コイル部
311、312 コイルパターン
320 ビア
331、332 引き出し部
400、500 外部電極
600 絶縁層
IF 絶縁膜
1000、2000、3000 コイル部品