(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103952
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】コンクリートブロック構造物の基礎構造
(51)【国際特許分類】
E02D 27/01 20060101AFI20230720BHJP
【FI】
E02D27/01 102Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160680
(22)【出願日】2022-10-05
(31)【優先権主張番号】P 2022004433
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000204170
【氏名又は名称】太陽エコブロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】石井 克侑
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046AA18
2D046BA31
(57)【要約】
【課題】工期の短縮化を図ることができる利点を享有しながら、汎用性があり、かつ、地震等の振動による壁の揺れが、壁主筋から底版主筋に直接伝達されず、底版が破損したり、底版にクラックが入る等の問題がないコンクリートブロック構造物の基礎構造を提供すること。
【解決手段】一方のフェイスシェル11にフェイスシェル11を貫通する貫通部14を設けた基礎コンクリートブロック1と、基礎コンクリートブロック1上に積載されるコンクリートブロック21と、底版主筋31、配力筋32、第1の基礎主筋33a、第2の基礎主筋33b及び壁主筋34とを用い、地業F上並びに基礎コンクリートブロック1及び第1段目のコンクリートブロック2の空間に打設したコンクリートCにより、底版B及び立ち上がり部Rを一体的な鉄筋コンクリート構造で構成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔を有して対向する高さが等しいフェイスシェルを、該フェイスシェルの高さよりも低いウェブによって連結し、一方のフェイスシェルに該フェイスシェルを貫通する貫通部を設けた基礎コンクリートブロックと、該基礎コンクリートブロック上に積載されるコンクリートブロックと、鉄筋とを用いて形成されるコンクリートブロック構造物の基礎構造であって、
前記鉄筋が、
地業に配筋され、端部が一方のフェイスシェルの貫通部を通って、地業に直接支持されて配置した基礎コンクリートブロックの空洞部に位置するようにした底版主筋と、
地業に底版主筋と直交する方向に配筋された配力筋と、
基礎コンクリートブロックのウェブ上に配筋された第1の基礎主筋と、
第1段目のコンクリートブロックのウェブ上に配筋された第2の基礎主筋と、
壁部に配筋され、下端を基礎コンクリートブロックの空洞部に配置するようにした壁主筋と、
基礎コンクリートブロック及び少なくとも第1段目のコンクリートブロックの空洞部に亘って配筋された接合筋と
を備えてなり、
地業上並びに基礎コンクリートブロック及び第1段目のコンクリートブロックの空間にコンクリートを打設することにより、底版及び立ち上がり部が一体的な鉄筋コンクリート構造となるようにしたことを特徴とするコンクリートブロック構造物の基礎構造。
【請求項2】
所定の間隔を有して対向する高さが等しいフェイスシェルを、該フェイスシェルの高さよりも低いウェブによって連結し、一方のフェイスシェルに該フェイスシェルを貫通する貫通部を設けた基礎コンクリートブロックと、該基礎コンクリートブロック上に積載されるコンクリートブロックと、鉄筋とを用いて形成されるコンクリートブロック構造物の基礎構造であって、
前記鉄筋が、
地業に配筋され、端部が一方のフェイスシェルの貫通部を通って、地業に、支持用コンクリートブロックを介して、支持されて配置した基礎コンクリートブロックの空洞部に位置するようにした底版主筋と、
地業に底版主筋と直交する方向に配筋された配力筋と、
基礎コンクリートブロックのウェブ上に配筋された第1の基礎主筋と、
第1段目のコンクリートブロックのウェブ上に配筋された第2の基礎主筋と、
支持用コンクリートブロックのウェブ上に配筋された第3の基礎主筋と、
壁部に配筋され、下端を基礎コンクリートブロックの空洞部に配置するようにした壁主筋と、
基礎コンクリートブロック及び少なくとも第1段目のコンクリートブロックの空洞部に亘って配筋された接合筋と
を備えてなり、
地業上並びに支持用コンクリートブロック、基礎コンクリートブロック及び第1段目のコンクリートブロックの空間にコンクリートを打設することにより、底版及び立ち上がり部が一体的な鉄筋コンクリート構造となるようにしたことを特徴とするコンクリートブロック構造物の基礎構造。
【請求項3】
前記鉄筋が、さらに、地業に配筋され、一方のフェイスシェルの貫通部を通って延設した立ち上がり部を、基礎コンクリートブロック及び少なくともその上に載置した第1段目のコンクリートブロックの空洞部に亘って位置するようにした立ち上がり筋を備えてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンクリートブロック構造物の基礎構造。
【請求項4】
前記基礎コンクリートブロックに配筋される鉄筋が、該基礎コンクリートブロックの厚さ方向の中心を挟んで2箇所に配筋されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンクリートブロック構造物の基礎構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートブロックを積み重ねて壁体や建築物等のコンクリートブロック構造物の基礎構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリートブロックは、壁体や建築物等のコンクリートブロック構造物を構築するために広く用いられている。
そして、このコンクリートブロックは、基礎上に複数のコンクリートブロックを並べるとともに、隣り合ったコンクリートブロック間にモルタル等の目地材を充填して接合し、このコンクリートブロックの上に、次段のコンクリートブロックを、目地材を介して、積み上げるとともに、隣り合ったコンクリートブロック間に目地材を充填して接合し、順次上方にコンクリートブロックを積み上げることで、構造物を構築するようにしている。
【0003】
ところで、コンクリートブロック構造物の一般的な基礎構造は、基礎を構築する地盤に砕石等を敷設転圧する地業を施した後、この地業面に鉄筋を配筋するとともに、型枠を配設し、この型枠内にコンクリートを打設して底版(ベース)及び立ち上がり部を有する基礎を施工し、この基礎の養生期間が終了した後、型枠を撤去し、基礎の立ち上がり部にコンクリートブロックを積み上げるようにしている。
【0004】
その際、充分な養生を行わないで強度が出ないうちに基礎の立ち上がり部にコンクリートブロックを積み上げるようにした場合、基礎そのものが変形したり、基礎にクラックが入る等の問題が生じるため、所定の養生期間を設定せざるを得ず、工期の短縮化が困難であった。
【0005】
この問題に対処するため、基礎コンクリートブロックを併用することにより、コンクリートの養生を待たずに、基礎の立ち上がり部にコンクリートブロックを積み上げることが可能となるようにした、コンクリートブロック構造物の基礎構造が提案されている(例えば、特許文献1~2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3122098号公報
【特許文献2】特開2008-190232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1~2に開示されたコンクリートブロック構造物の基礎構造によれば、基礎コンクリートブロックを併用することにより、コンクリートの養生を待たずに、基礎の立ち上がり部にコンクリートブロックを積み上げることが可能なため、工期の短縮化を図ることができる利点があった。
【0008】
その反面、特許文献1に開示されたコンクリートブロック構造物の基礎構造は、底版(ベース)の幅寸法が基礎コンクリートブロックのフェイスシェルの間隔に依存することとなるため、基礎を構築する地盤の条件や積み上げるべきコンクリートブロックの段数等の条件に応じて、フェイスシェルの間隔を異ならせた多数種の基礎コンクリートブロックを用意することが必要となり、汎用性に乏しいという問題があった。
【0009】
また、特許文献2に開示されたコンクリートブロック構造物の基礎構造は、底版(ベース)の幅寸法に制約がなく、汎用性がある反面、底版主筋(ベース筋)と壁主筋(縦筋)とが一体に構成されているため、地震等の振動による構造物の地上部の揺れが、壁主筋から底版主筋に直接伝達されることになり、底版が破損したり、底版にクラックが入る等の問題があった。
【0010】
本発明は、上記従来のコンクリートブロック構造物の基礎構造の有する問題点に鑑み、基礎構造の基礎コンクリートブロックを併用することにより、特許文献1~2に開示されたコンクリートブロック構造物のコンクリートの養生を待たずに、基礎の立ち上がり部にコンクリートブロックを積み上げることが可能なため、工期の短縮化を図ることができる利点を享有しながら、汎用性があり、かつ、地震等の振動による壁の揺れが、壁主筋から底版主筋に直接伝達されず、底版が破損したり、底版にクラックが入る等の問題がないコンクリートブロック構造物の基礎構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本第1発明のコンクリートブロック構造物の基礎構造は、
所定の間隔を有して対向する高さが等しいフェイスシェルを、該フェイスシェルの高さよりも低いウェブによって連結し、一方のフェイスシェルに該フェイスシェルを貫通する貫通部を設けた基礎コンクリートブロックと、該基礎コンクリートブロック上に積載されるコンクリートブロックと、鉄筋とを用いて形成されるコンクリートブロック構造物の基礎構造であって、
前記鉄筋が、
地業に配筋され、端部が一方のフェイスシェルの貫通部を通って、地業に直接支持されて配置した基礎コンクリートブロックの空洞部に位置するようにした底版主筋と、
地業に底版主筋と直交する方向に配筋された配力筋と、
基礎コンクリートブロックのウェブ上に配筋された第1の基礎主筋と、
第1段目のコンクリートブロックのウェブ上に配筋された第2の基礎主筋と、
壁部に配筋され、下端を基礎コンクリートブロックの空洞部に配置するようにした壁主筋と、
基礎コンクリートブロック及び少なくとも第1段目のコンクリートブロックの空洞部に亘って配筋された接合筋と
を備えてなり、
地業上並びに基礎コンクリートブロック及び第1段目のコンクリートブロックの空間にコンクリートを打設することにより、底版及び立ち上がり部が一体的な鉄筋コンクリート構造となるようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、同じ目的を達成するため、本第2発明のコンクリートブロック構造物の基礎構造は、
所定の間隔を有して対向する高さが等しいフェイスシェルを、該フェイスシェルの高さよりも低いウェブによって連結し、一方のフェイスシェルに該フェイスシェルを貫通する貫通部を設けた基礎コンクリートブロックと、該基礎コンクリートブロック上に積載されるコンクリートブロックと、鉄筋とを用いて形成されるコンクリートブロック構造物の基礎構造であって、
前記鉄筋が、
地業に配筋され、端部が一方のフェイスシェルの貫通部を通って、地業に、支持用コンクリートブロックを介して、支持されて配置した基礎コンクリートブロックの空洞部に位置するようにした底版主筋と、
地業に底版主筋と直交する方向に配筋された配力筋と、
基礎コンクリートブロックのウェブ上に配筋された第1の基礎主筋と、
第1段目のコンクリートブロックのウェブ上に配筋された第2の基礎主筋と、
壁部に配筋され、下端を基礎コンクリートブロックの空洞部に配置するようにした壁主筋と、
基礎コンクリートブロック及び少なくとも第1段目のコンクリートブロックの空洞部に亘って配筋された接合筋と
を備えてなり、
地業上並びに支持用コンクリートブロック、基礎コンクリートブロック及び第1段目のコンクリートブロックの空間にコンクリートを打設することにより、底版及び立ち上がり部が一体的な鉄筋コンクリート構造となるようにしたことを特徴とする。
【0013】
ここで、「基礎コンクリートブロック及びその上に載置した第1段目のコンクリートブロックの空洞部」は、本明細書において、隣接する基礎コンクリートブロック及びその上に載置した第1段目のコンクリートブロック同士によって構成される空洞部を含むものとする。
【0014】
この場合において、前記鉄筋が、さらに、地業に配筋され、一方のフェイスシェルの貫通部を通って延設した立ち上がり部を、基礎コンクリートブロック及び少なくともその上に載置した第1段目のコンクリートブロックの空洞部に亘って位置するようにした立ち上がり筋を備えてなるようにすることができる。
【0015】
また、前記基礎コンクリートブロックに配筋される鉄筋が、該基礎コンクリートブロックの厚さ方向の中心を挟んで2箇所に配筋されてなるようにすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のコンクリートブロック構造物の基礎構造によれば、基礎構造に基礎コンクリートブロックを併用することにより、コンクリートの養生を待たずに、基礎の立ち上がり部にコンクリートブロックを積み上げることが可能なため、工期の短縮化を図ることができ、また、底版の幅寸法に制約がなく、汎用性があり、かつ、地震等の振動による構造物の地上部の揺れが、壁主筋から底版主筋に直接伝達されず、底版が破損したり、底版にクラックが入る等の問題のない、強固な基礎構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明のコンクリートブロック構造物の基礎構造の第1実施例を示し、(a)は同コンクリートブロック構造物の基礎構造の側面断面図、(b)は同正面図、(c)は同平面図、(d)は鉄筋の説明図である。
【
図2】同コンクリートブロック構造物の基礎構造の構築工程図である。
【
図3】同コンクリートブロック構造物の基礎構造を適用したコンクリートブロック構造物の構築工程図である。
【
図4】本発明のコンクリートブロック構造物の基礎構造の第2実施例を示し、(a)は同コンクリートブロック構造物の基礎構造を適用したコンクリートブロック構造物の断面図、(b)は鉄筋の説明図である。
【
図5-1】同コンクリートブロック構造物の基礎構造の構築工程図である。
【
図5-2】同コンクリートブロック構造物の基礎構造の構築工程図である。
【
図5-3】同コンクリートブロック構造物の基礎構造の構築工程図である。
【
図5-4】同コンクリートブロック構造物の基礎構造の構築工程図である。
【
図5-5】同コンクリートブロック構造物の基礎構造の構築工程図である。
【
図6】本発明のコンクリートブロック構造物の基礎構造の第1実施例の変形例を示し、(a)は同コンクリートブロック構造物の基礎構造の側面断面図、(b)は同正面図、(c)は同平面図、(d)は鉄筋の説明図である。
【
図7-1】同コンクリートブロック構造物の基礎構造の構築工程図である。
【
図7-2】同コンクリートブロック構造物の基礎構造の構築工程図である。
【
図7-3】同コンクリートブロック構造物の基礎構造の構築工程図である。
【
図7-4】同コンクリートブロック構造物の基礎構造の構築工程図である。
【
図7-5】同コンクリートブロック構造物の基礎構造の構築工程図である。
【
図7-6】同コンクリートブロック構造物の基礎構造の構築工程図である。
【
図7-7】同コンクリートブロック構造物の基礎構造の構築工程図である。
【
図7-8】同コンクリートブロック構造物の基礎構造の構築工程図である。
【
図7-9】同コンクリートブロック構造物の基礎構造の構築工程図である。
【
図7-10】同コンクリートブロック構造物の基礎構造の構築工程図である。
【
図7-11】同コンクリートブロック構造物の基礎構造の構築工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のコンクリートブロック構造物の基礎構造の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0019】
図1~
図3に、本発明のコンクリートブロック構造物の基礎構造の第1実施例を示す。
このコンクリートブロック構造物の基礎構造は、所定の間隔を有して対向する高さが等しいフェイスシェル11、12を、フェイスシェル11、12の高さよりも低いウェブ13によって連結し、一方のフェイスシェル11にフェイスシェル11を貫通する貫通部14を設けた基礎コンクリートブロック1と、基礎コンクリートブロック1上に積載されるコンクリートブロック21と、鉄筋とを用いて形成されるコンクリートブロック構造物の基礎構造に関するものである。
【0020】
この場合において、地業Fは、地盤に砕石等を敷設転圧して、地表面GLから所定深さに形成したもので、本実施例では、底版Bを形成する箇所及び立ち上がり部Rを形成する箇所共、地表面GLから410mm程度の深さに形成するようにしている。
【0021】
鉄筋には、以下の鉄筋を用いるようにしている。
・地業Fに配筋され、端部が一方のフェイスシェル11の貫通部14を通って、地業Fに直接支持されて配置した基礎コンクリートブロック1の空洞部(隣接する基礎コンクリートブロック1同士によって形成される空洞部を含む。以下、同じ。)に位置するようにした底版主筋31
・地業Fに配筋され、一方のフェイスシェル11の貫通部14を通って延設した立ち上がり部を、基礎コンクリートブロック1及びその上に載置した第1段目のコンクリートブロック21の空洞部(隣接する基礎コンクリートブロック1及びその上に載置した第1段目のコンクリートブロック21同士によって形成される空洞部を含む。以下、同じ。)に亘って位置するようにした立ち上がり筋31a、31b
・地業Fに底版主筋31と直交する方向に配筋された配力筋32
・基礎コンクリートブロック1のウェブ13上に配筋された第1の基礎主筋33a
・第1段目のコンクリートブロック21のウェブ13上に配筋された第2の基礎主筋33b
・壁部に配筋され、下端を基礎コンクリートブロック1の空洞部に配置するようにした壁主筋34
・壁部Wに壁主筋34と直交する方向に配筋された配力筋35
・基礎コンクリートブロック1及び第1段目のコンクリートブロック21の空洞部に亘って配筋された接合筋36
ここで、各鉄筋の配筋は、D13@200(又はD10@200)を基本とし、配力筋32は、D10@200(又はD13@200)、壁部Wの壁主筋34及び配力筋35は、D13@400(又はD10@400)とすることができる。
また、壁主筋34の下端は、フック形状とし、第1の基礎主筋33aに定着させるようにする。
また、各鉄筋には、エポキシ樹脂塗装を施すことで防錆性を高めた鉄筋を好適に用いることができる。
また、基礎コンクリートブロック1に配筋される鉄筋、具体的には、立ち上がり筋31a、31b、第1の基礎主筋33a、第2の基礎主筋33b、壁主筋34及び接合筋36が、基礎コンクリートブロック1の厚さ方向の中心を挟んで2箇所に配筋するようにしている。これにより、基礎構造を含むコンクリートブロック構造物を強固な構造とすることができる。
また、底版主筋31及び接合筋36は、基礎コンクリートブロック1の空洞部に位置する底版主筋31の端部及び接合筋36の上端部を、コ字状に接続して形成するようにしている。
また、立ち上がり筋31a、31b及び接合筋36は、本実施例においては、基礎コンクリートブロック1及び第1段目のコンクリートブロック21の空洞部に亘って配筋するようにしたが、例えば、地表面GLの位置が第2段目以上のコンクリートブロック2に達する場合は、当該第2段目以上のコンクリートブロック2の空洞部に亘って配筋するようにすることができる。
【0022】
このコンクリートブロック構造物の基礎構造は、
図2に示すように、以下の工程で構築するようにする。
(1)基礎コンクリートブロック1を、地業Fに直接支持されるようにして配置する。
(2)一方のフェイスシェル11の貫通部14を通って端部を、地業Fに支持されて配置した基礎コンクリートブロック1の空洞部に位置するようにして底版主筋31を、また、一方のフェイスシェル11の貫通部14を通って延設した立ち上がり部を、基礎コンクリートブロック1の空洞部に位置するようにして立ち上がり筋31a、31bを、それぞれ地業Fに配筋するとともに、地業Fに底版主筋31と直交する方向に配力筋32を、基礎コンクリートブロック1のウェブ13上に第1の基礎主筋33aをそれぞれ配筋する。
(3)基礎コンクリートブロック1の上に、第1段目のコンクリートブロック21を、コンクリートブロック21の空洞部に立ち上がり筋31a、31bが位置するようにして載置し、第2の基礎主筋33b及び壁主筋34を、壁主筋34の下端を、第1の基礎主筋33aに定着させるようにして配筋する。
(4)地業F上並びに基礎コンクリートブロック1及び第1段目のコンクリートブロック21の空間にコンクリートCを打設する。これにより、底版B及び立ち上がり部R(地表面GL下に位置する基礎コンクリートブロック1及び第1段目のコンクリートブロック21)が一体的な鉄筋コンクリート構造となったコンクリートブロック構造物の基礎構造を構築する。
【0023】
このようにして構築したコンクリートブロック構造物の基礎構造の立ち上がり部Rの上に、
図3に示すように、コンクリートブロック2を、モルタル等の目地材を介して、上下方向に積み重ね、コンクリートブロック2の中空部に、グラウト材Gを充填して壁体や建築物等のコンクリートブロック構造物Sを構築する。
【0024】
このコンクリートブロック構造物の基礎構造によれば、基礎構造に地業Fに直接支持される基礎コンクリートブロック1を併用することにより、コンクリートCの養生を待たずに、基礎の立ち上がり部Rにコンクリートブロックを積み上げることが可能なため、工期の短縮化を図ることができ、また、底版Bの幅寸法に制約がなく、汎用性があり、かつ、地震等の振動によるコンクリートブロック構造物Sの地上部(壁部W)の揺れが、壁主筋34から底版主筋31や立ち上がり筋31a、31bに直接伝達されず、底版Bが破損したり、底版Bにクラックが入る等の問題のない、底版B及び立ち上がり部R(地表面GL下に位置する基礎コンクリートブロック1及び第1段目のコンクリートブロック21)が一体的な鉄筋コンクリート構造からなる強固な基礎構造とすることができる。
【0025】
図4及び
図5-1~
図5-5に、本発明のコンクリートブロック構造物の基礎構造の第2実施例を示す。
このコンクリートブロック構造物の基礎構造は、所定の間隔を有して対向する高さが等しいフェイスシェル11、12を、フェイスシェル11、12の高さよりも低いウェブ13によって連結し、一方のフェイスシェル11にフェイスシェル11を貫通する貫通部14を設けた基礎コンクリートブロック1と、基礎コンクリートブロック1上に積載されるコンクリートブロック21と、鉄筋とを用いて形成されるコンクリートブロック構造物の基礎構造に関するものである。
【0026】
この場合において、地業Fは、地盤に砕石等を敷設転圧して、地表面GLから所定深さに形成したもので、本実施例では、底版Bを形成する箇所は、地表面GLから430mm程度、立ち上がり部Rを形成する箇所は、地表面GLから600mm程度の深さに形成するようにし、両者の境界は、斜面で接続するようにしている。
【0027】
鉄筋には、以下の鉄筋を用いるようにしている。
・地業Fに配筋され、端部が一方のフェイスシェル11の貫通部14を通って、地業Fに、支持用コンクリートブロック4(本実施例においては、基礎コンクリートブロック1と同形状のコンクリートブロックを用いるようにしているが、コンクリートブロック2を用いるようにすることもできる。)を介して、支持されて配置した基礎コンクリートブロック1の空洞部(隣接する基礎コンクリートブロック1同士によって形成される空洞部を含む。以下、同じ。)に位置するようにした底版主筋31
・地業Fに底版主筋31と直交する方向に配筋された配力筋32
・基礎コンクリートブロック1のウェブ13上に配筋された第1の基礎主筋33a
・第1段目のコンクリートブロック21のウェブ13上に配筋された第2の基礎主筋33b
・支持用コンクリートブロック4のウェブ13上に配筋された第3の基礎主筋33c
・壁部に配筋され、下端を基礎コンクリートブロック1の空洞部に配置するようにした壁主筋34
・壁部Wに壁主筋34と直交する方向に配筋された配力筋35
・支持用コンクリートブロック4、基礎コンクリートブロック1及び第1段目のコンクリートブロック21の空洞部(隣接する基礎コンクリートブロック1、支持用コンクリートブロック4及びその上に載置した第1段目のコンクリートブロック21同士によって形成される空洞部を含む。以下、同じ。)に亘って配筋された接合筋36a、36b
ここで、各鉄筋の配筋は、D13@200(又はD10@200)を基本とし、配力筋32は、D10@200(又はD13@200)、壁部Wの壁主筋34及び配力筋35は、D13@400(又はD10@400)とすることができる。
また、壁主筋34の下端及び接合筋36bの上端は、フック形状とし、第3の基礎主筋33c又は第2の基礎主筋33bに定着させるようにする。
また、各鉄筋には、エポキシ樹脂塗装を施すことで防錆性を高めた鉄筋を好適に用いることができる。
また、立ち上がり筋31a、31b、第1の基礎主筋33a、第2の基礎主筋33b、第3の基礎主筋33c、壁主筋34及び接合筋36a、36bが、基礎コンクリートブロック1の厚さ方向の中心を挟んで2箇所に配筋するようにしている。これにより、基礎構造を含むコンクリートブロック構造物を強固な構造とすることができる。
また、底版主筋31及び接合筋36a、36bは、基礎コンクリートブロック1の空洞部に位置する底版主筋31の端部、接合筋36aの上端部及び接合筋36bの下端部を、コ字状に接続して形成するようにしている。
また、接合筋36a、36bは、本実施例においては、支持用コンクリートブロック4、基礎コンクリートブロック1及び第1段目のコンクリートブロック21の空洞部に亘って配筋するようにしたが、例えば、地表面GLの位置が第2段目以上のコンクリートブロ
ック2に達する場合は、当該第2段目以上のコンクリートブロック2の空洞部に亘って配筋するようにすることができる。
【0028】
このコンクリートブロック構造物の基礎構造は、
図5-1~
図5-5に示すように、以下の工程で構築するようにする。
(1)支持用コンクリートブロック4を、地業Fに支持されるようにして配置する。
(2)支持用コンクリートブロック4に、第3の基礎主筋33c及び接合筋36bを配筋する。
(3)支持用コンクリートブロック4の上に、基礎コンクリートブロック1を、コンクリートブロック21の空洞部に第3の基礎主筋33cが位置するようにして載置し、第1の基礎主筋33aを配筋する。
(4)底版主筋31を、その端部が一方のフェイスシェル11の貫通部14を通って地業Fに支持されて配置した基礎コンクリートブロック1の空洞部に位置するようにして地業Fに配筋するとともに、基礎コンクリートブロック1の上に、第1段目のコンクリートブロック21を、コンクリートブロック21の空洞部に接合筋36bが位置するようにして載置し、接合筋36a及び第2の基礎主筋33bを、第2の基礎主筋33bに接合筋36bを定着させるようにして配筋する。
(5)地業Fに底版主筋31と直交する方向に配力筋32を配筋するとともに、壁主筋34を、壁主筋34の下端を、第3の基礎主筋33cに定着させるようにして配筋する。
(6)地業F上並びに支持用コンクリートブロック4、基礎コンクリートブロック1及び第1段目のコンクリートブロック21の空間にコンクリートCを打設する。これにより、底版B及び立ち上がり部R(地表面GL下に位置する支持用コンクリートブロック4、基礎コンクリートブロック1及び第1段目のコンクリートブロック21)が一体的な鉄筋コンクリート構造となったコンクリートブロック構造物の基礎構造を構築する。
【0029】
このようにして構築したコンクリートブロック構造物の基礎構造の立ち上がり部Rの上に、コンクリートブロック2を、モルタル等の目地材を介して、上下方向に積み重ね、コンクリートブロック2の中空部に、グラウト材Gを充填して壁体や建築物等のコンクリートブロック構造物Sを構築する。
【0030】
このコンクリートブロック構造物の基礎構造によれば、基礎構造に地業Fに支持用コンクリートブロック4を介して支持される基礎コンクリートブロック1を併用することにより、コンクリートCの養生を待たずに、基礎の立ち上がり部Rにコンクリートブロックを積み上げることが可能なため、工期の短縮化を図ることができ、また、底版Bの幅寸法に制約がなく、汎用性があり、かつ、地震等の振動によるコンクリートブロック構造物Sの地上部(壁部W)の揺れが、壁主筋34から底版主筋31に直接伝達されず、底版Bが破損したり、底版Bにクラックが入る等の問題のない、底版B及び立ち上がり部R(地表面GL下に位置する支持用コンクリートブロック4、基礎コンクリートブロック1及び第1段目のコンクリートブロック21)が一体的な鉄筋コンクリート構造からなる強固な基礎構造とすることができる。
また、基礎コンクリートブロック1を、地業Fに支持用コンクリートブロック4を介して支持されて配置することにより、立ち上がり部Rの根入れ深さを大きくし、より強固な基礎構造とすることができる。
【0031】
図6及び
図7-1~
図7-11に、本発明のコンクリートブロック構造物の基礎構造の第1実施例の変形例を示す。
このコンクリートブロック構造物の基礎構造は、所定の間隔を有して対向する高さが等しいフェイスシェル11、12を、フェイスシェル11、12の高さよりも低いウェブ13によって連結し、一方のフェイスシェル11にフェイスシェル11を貫通する貫通部14を設けた基礎コンクリートブロック1と、基礎コンクリートブロック1上に積載される
コンクリートブロック21と、鉄筋とを用いて形成されるコンクリートブロック構造物の基礎構造に関するものである。
【0032】
この場合において、地業Fは、地盤に砕石等を敷設転圧して、地表面GLから所定深さに形成したもので、本実施例では、底版Bを形成する箇所及び立ち上がり部Rを形成する箇所共、地表面GLから410mm程度の深さに形成するようにしている。
【0033】
鉄筋には、以下の鉄筋を用いるようにしている。
・地業Fに配筋され、端部が一方のフェイスシェル11の貫通部14を通って、地業Fに直接支持されて配置した基礎コンクリートブロック1の空洞部(隣接する基礎コンクリートブロック1同士によって形成される空洞部を含む。以下、同じ。)に位置するようにした底版主筋31
・地業Fに配筋され、底版主筋31の端部に位置するようにしたコ字形筋31c
・地業Fに底版主筋31と直交する方向に配筋された配力筋32
・基礎コンクリートブロック1のウェブ13上に配筋された第1の基礎主筋33a
・第1段目のコンクリートブロック21のウェブ13上に配筋された第2の基礎主筋33b
・壁部に配筋され、下端を基礎コンクリートブロック1の空洞部に配置するようにした壁主筋34
・壁部Wに壁主筋34と直交する方向に配筋された配力筋35
・基礎コンクリートブロック1及び第1段目のコンクリートブロック21の空洞部(隣接する基礎コンクリートブロック1及びその上に載置した第1段目のコンクリートブロック21同士によって形成される空洞部を含む。以下、同じ。)に亘って配筋された接合筋としての上開口あばら筋36c及び下開口あばら筋36d
ここで、各鉄筋の配筋は、D13@200(又はD10@200)を基本とし、配力筋32は、D10@200(又はD13@200)、壁部Wの壁主筋34及び配力筋35は、D13@400(又はD10@400)とすることができる。
また、壁主筋34の下端は、フック形状とし、第1の基礎主筋33aに定着させるようにする。
また、各鉄筋には、エポキシ樹脂塗装を施すことで防錆性を高めた鉄筋を好適に用いることができる。
また、基礎コンクリートブロック1に配筋される鉄筋、具体的には、第1の基礎主筋33a、第2の基礎主筋33b及び壁主筋34が、基礎コンクリートブロック1の厚さ方向の中心を挟んで2箇所に配筋するようにしている。これにより、基礎構造を含むコンクリートブロック構造物を強固な構造とすることができる。
また、底版主筋31は、基礎コンクリートブロック1の空洞部に位置する底版主筋31の端部を、コ字状に接続して形成するようにしている。
また、接合筋としての上開口あばら筋36c及び下開口あばら筋36dは、本実施例においては、基礎コンクリートブロック1及び第1段目のコンクリートブロック21の空洞部に亘って配筋するようにしたが、例えば、地表面GLの位置が第2段目以上のコンクリートブロック2に達する場合は、当該第2段目以上のコンクリートブロック2の空洞部に亘って配筋するようにすることができる。
【0034】
このコンクリートブロック構造物の基礎構造は、
図7-1~
図7-11に示すように、以下の工程で構築するようにする。
(1)基礎コンクリートブロック1を、地業Fに直接支持されるようにして配置する(
図7-1)。
(2)地業Fに支持されて配置した基礎コンクリートブロック1の空洞部に位置するようにして底版主筋31を配置する(
図7-2)。
(3)地業Fに支持されて配置した基礎コンクリートブロック1の空洞部に位置するよう
にして接合筋としての上開口あばら筋36cを配置する(
図7-3)。
(4)基礎コンクリートブロック1のウェブ13上に第1の基礎主筋33aを配置する(
図7-4)。
(5)底版主筋31を回転、配筋する(
図7-5)。
(6)基礎コンクリートブロック1の上に、第1段目のコンクリートブロック21を、コンクリートブロック21の空洞部に上開口あばら筋36cが位置するようにして載置する(
図7-6)。
(7)第1段目のコンクリートブロック21のウェブ13上に第2の基礎主筋33bを配置する(
図7-7)。
(8)基礎コンクリートブロック1及び第1段目のコンクリートブロック21の空洞部に位置するようにして接合筋としての下開口あばら筋36dを配置する(
図7-8)。
(9)地業Fに底版主筋31と直交する方向に配力筋32を配筋する(
図7-9)。
(10)壁主筋34を、壁主筋34の下端を、第1の基礎主筋33aに定着させるようにして配筋する(
図7-10)。
(11)コ字形筋31cを、底版主筋31の端部に位置するようにして配筋する(
図7-11)。
(12)地業F上並びに基礎コンクリートブロック1及び第1段目のコンクリートブロック21の空間にコンクリートCを打設する。これにより、底版B及び立ち上がり部R(地表面GL下に位置する基礎コンクリートブロック1及び第1段目のコンクリートブロック21)が一体的な鉄筋コンクリート構造となったコンクリートブロック構造物の基礎構造を構築する。
【0035】
このようにして構築したコンクリートブロック構造物の基礎構造の立ち上がり部Rの上に、コンクリートブロック2を、モルタル等の目地材を介して、上下方向に積み重ね、コンクリートブロック2の中空部に、グラウト材Gを充填して壁体や建築物等のコンクリートブロック構造物Sを構築する。
【0036】
このコンクリートブロック構造物の基礎構造によれば、基礎構造に地業Fに直接支持される基礎コンクリートブロック1を併用することにより、コンクリートCの養生を待たずに、基礎の立ち上がり部Rにコンクリートブロックを積み上げることが可能なため、工期の短縮化を図ることができ、また、底版Bの幅寸法に制約がなく、汎用性があり、かつ、地震等の振動によるコンクリートブロック構造物Sの地上部(壁部W)の揺れが、壁主筋34から底版主筋31に直接伝達されず、底版Bが破損したり、底版Bにクラックが入る等の問題のない、底版B及び立ち上がり部R(地表面GL下に位置する基礎コンクリートブロック1及び第1段目のコンクリートブロック21)が一体的な鉄筋コンクリート構造からなる強固な基礎構造とすることができる。
【0037】
以上、本発明のコンクリートブロック構造物の基礎構造について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のコンクリートブロック構造物の基礎構造は、工期の短縮化を図ることができる利点を享有しながら、汎用性があり、かつ、地震等の振動による壁の揺れが、壁主筋から底版主筋に直接伝達されず、底版が破損したり、底版にクラックが入る等の問題がないものであることから、壁体や建築物等のコンクリートブロック構造物の基礎構造に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 基礎コンクリートブロック
11 フェイスシェル
12 フェイスシェル
13 ウェブ
14 貫通部
2 コンクリートブロック
21 コンクリートブロック
31 底版主筋
31a 立ち上がり筋
31b 立ち上がり筋
31c コ字形筋
32 配力筋
33a 第1の基礎主筋
33b 第2の基礎主筋
33c 第3の基礎主筋
34 壁主筋
35 配力筋
36 接合筋
36a 接合筋
36b 接合筋(幅止め筋)
36c 接合筋(上開口あばら筋)
36d 接合筋(下開口あばら筋)
4 支持用コンクリートブロック
GL 地表面
F 地業
B 底版
C コンクリート
G グラウト材
R 立ち上がり部
S コンクリートブロック構造物
W 壁部