(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103961
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】MEMS加速度計
(51)【国際特許分類】
G01P 15/08 20060101AFI20230720BHJP
G01P 15/125 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
G01P15/08 102D
G01P15/08 101B
G01P15/125 Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195998
(22)【出願日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】202210040635.9
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522235504
【氏名又は名称】エーエーシー カイタイ テクノロジーズ (ウーハン) カンパニーリミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】511027518
【氏名又は名称】エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Acoustic Technologies(Shenzhen)Co.,Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】厳世濤
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン ヂァン
(72)【発明者】
【氏名】楊珊
(72)【発明者】
【氏名】馬昭
(72)【発明者】
【氏名】カアン シィアォ
(72)【発明者】
【氏名】彭宏韜
(72)【発明者】
【氏名】李楊
(72)【発明者】
【氏名】陳秋玉
(72)【発明者】
【氏名】洪燕
(72)【発明者】
【氏名】黎家健
(57)【要約】
【課題】本発明は、MEMS加速度計を提供する。
【解決手段】検査質量と、少なくとも1対の対向設置されたシーソー構造と、前記シーソー構造の回動または前記検査質量の面外直線運動を検出するための面外変位検出アセンブリとを備え、2つずつの対向設置された前記シーソー構造の間は、第1結合構造によって第1側で結合接続され、第1結合構造によって結合接続された当該2つのシーソー構造の第2側が、第2結合構造によって前記検査質量に接続され、前記第1結合構造、前記第2結合構造がいずれも弾性結合構造である。本発明は、容量変位検出のリニアリティーを向上させるのに有利であり、他の非容量の検出方式に有利であると共に、二重結合構造を採用し、シーソー構造の残りの並進および回動モードを抑制した。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査質量と、
アンカーを介して基板に固定接続された、少なくとも1対の対向設置されたシーソー構造と、
基板と、
前記シーソー構造の回動または前記検査質量の面外直線運動を検出するための面外変位検出アセンブリと、を備え、
2つずつの対向設置された前記シーソー構造の間は、第1結合構造によって第1側で結合接続され、第1結合構造によって結合接続された当該2つのシーソー構造の第2側には、第2結合構造が設けられ、前記第1結合構造および/または第2結合構造が前記検査質量に接続され、前記第1結合構造、前記第2結合構造がいずれも弾性結合構造である、
ことを特徴とするMEMS加速度計。
【請求項2】
前記第1結合構造のみ、または前記第2結合構造のみが前記検査質量に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載のMEMS加速度計。
【請求項3】
各対の対向設置されたシーソー構造は、第1シーソー構造と第2シーソー構造を有し、
前記第1シーソー構造は、前記基板に固定された第1アンカーと、前記第1アンカーに固定された第1弾性トーションスプリングと、前記第1弾性トーションスプリングの両側に対向設置された第1接続ビームと、を有し、前記第1結合構造から遠い側の第1接続ビームの第1端が前記第1弾性トーションスプリングに接続され、第2端が一方の前記第2結合構造に接続され、
前記第2シーソー構造は、一端が前記基板に固定された第2アンカーと、前記第2アンカーの他端に固定された第2弾性トーションスプリングと、前記第2弾性トーションスプリングの両側に対向設置された第2接続ビームと、を有し、前記第1結合構造から遠い側の第2接続ビームの第1端が前記第2弾性トーションスプリングに接続され、第2端が他方の前記第2結合構造に接続され、前記第2結合構造が前記検査質量に接続される、
ことを特徴とする請求項2に記載のMEMS加速度計。
【請求項4】
各対の対向設置されたシーソー構造は、第1シーソー構造と第2シーソー構造を有し、
前記第1シーソー構造は、前記基板に固定された第1アンカーと、前記第1アンカーに固定された第1弾性トーションスプリングと、前記第1弾性トーションスプリングの両側に対向設置された第1極板設置部A及び第1極板設置部Bと、を有し、前記両側の第1極板設置部A及び第1極板設置部Bは、それぞれ第1接続ビームを介して前記第1弾性トーションスプリングに接続され、前記面外変位検出アセンブリは、前記第1極板設置部A及び第1極板設置部Bに設けられた第1面外検出極板A及び第1面外検出極板Bを有し、
前記第2シーソー構造は、一端が前記基板に固定された第2アンカーと、前記第2アンカーの他端に固定された第2弾性トーションスプリングと、前記第2弾性トーションスプリングの両側に対向設置された第2極板設置部A及び第2極板設置部Bと、を有し、前記両側の第2極板設置部A及び第2極板設置部Bは、それぞれ第2接続ビームを介して前記第2弾性トーションスプリングに接続され、前記面外変位検出アセンブリは、前記第2極板設置部A及び第2極板設置部Bに設けられた第2面外検出極板A及び第2面外検出極板Bをさらに有している、
ことを特徴とする請求項2に記載のMEMS加速度計。
【請求項5】
各対の対向設置されたシーソー構造のうちの一つの前記第1極板設置部Bは、前記第2極板設置部Bと前記第2弾性トーションスプリングとの間に設けられ、前記第2極板設置部Bは、一つの前記第1極板設置部Bと前記第1弾性トーションスプリングとの間に設けられ、前記第1シーソー構造の前記第1極板設置部Bと前記第2シーソー構造の前記第2極板設置部Bとが互いに入れ子された構造となり、
前記第1結合構造は、互いに入れ子された前記第1極板設置部Bと前記第2極板設置部Bとの間に設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載のMEMS加速度計。
【請求項6】
前記第1接続ビームには、前記第2極板設置部Bを避けるように第1折り曲げ部が設けられ、前記第2接続ビームには、前記第1極板設置部Bを避けるように第2折り曲げ部が設けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載のMEMS加速度計。
【請求項7】
前記面外変位検出アセンブリは、Z軸変位検出アセンブリであり、
前記第1極板設置部A、第2極板設置部Aのそれぞれと前記第1弾性トーションスプリング、第2弾性トーションスプリングとの間に、X軸加速度検出アセンブリおよび/またはY軸加速度検出アセンブリが設けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載のMEMS加速度計。
【請求項8】
前記面外変位検出アセンブリは、Z軸変位検出アセンブリであり、
第1収納空間A、第1収納空間B、第2収納空間A、第2収納空間Bには、それぞれX軸加速度検出アセンブリおよび/またはY軸加速度検出アセンブリが設けられている、
ことを特徴とする請求項3に記載のMEMS加速度計。
【請求項9】
前記MEMS式加速度計は、2対の対向設置されたシーソー構造を備え、当該2対の対向設置されたシーソー構造が第1結合構造を共用している、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のMEMS式加速度計。
【請求項10】
前記第2結合構造は、少なくとも1つの折り曲げ部を有する弾性結合構造である、
ことを特徴とする請求項9に記載のMEMS加速度計。
【請求項11】
前記検査質量は、第1検査質量と第2検査質量を有し、
前記第1結合構造と前記第2結合構造は、それぞれ第1検査質量と第2検査質量に接続される、
ことを特徴とする請、求項1に記載のMEMS加速度計。
【請求項12】
各対の対向設置されたシーソー構造は、第1シーソー構造と第2シーソー構造を有し、
前記第1シーソー構造は、第1アンカーと、前記第1アンカーに固定された第1弾性トーションスプリングと、前記第1弾性トーションスプリングの両側に対向設置された第1接続ビームと、を有し、前記第1接続ビームの第1端が前記第1弾性トーションスプリングに接続され、前記第1接続ビームの第2端が一方の前記第2結合構造に接続され、
前記第2シーソー構造は、第2アンカーと、前記第2アンカーに固定された第2弾性トーションスプリングと、前記第2弾性トーションスプリングの両側に対向設置された第2接続ビームと、を有し、前記第2接続ビームの第1端が前記第2弾性トーションスプリングに接続され、前記第2接続ビームの第2端が他方の前記第2結合構造に接続され、前記第1弾性トーションスプリング、前記第1シーソー構造側に位置する第2結合構造、及び前記第1接続ビームの間には、それぞれ第1収納空間Aが形成され、前記第1弾性トーションスプリング、前記第1結合構造、及び前記第1接続ビームの間には、それぞれ第1収納空間Bが形成され、
前記第2弾性トーションスプリング、前記第2シーソー構造側に位置する第2結合構造、及び前記第2接続ビームの間には、それぞれ第2収納空間Aが形成され、前記第2弾性トーションスプリング、前記第1結合構造、及び前記第2接続ビームの間には、それぞれ第2収納空間Bが形成され、
前記第1収納空間Aには、前記第2検査質量が延伸することによって形成された第1極板設置部Aが設けられ、前記第1収納空間Bには、第1検査質量が延伸することによって形成された第1極板設置部Bが設けられ、前記面外変位検出アセンブリは、第1極板設置部A及び第1極板設置部Bに設けられた第1面外検出極板A及び第1面外検出極板Bを有し、
前記第2収納空間Aには、前記第2検査質量が延伸することによって形成された第2極板設置部Aが設けられ、前記第2収納空間Bには、第1検査質量が延伸することによって形成された第2極板設置部Bが設けられ、前記面外変位検出アセンブリは、第2極板設置部A及び第2極板設置部Bに設けられた第2面外検出極板A及び第2面外検出極板Bを有している、
ことを特徴とする請求項11に記載のMEMS加速度計。
【請求項13】
前記MEMS式加速度計は、2対の対向設置されたシーソー構造を備え、当該2対の対向設置されたシーソー構造が第1結合構造を共用している、
ことを特徴とする請求項11に記載のMEMS加速度計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小電気機械システム(MEMS:Micro Electro-Mechanical System)の分野に関し、特に、MEMS加速度計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の面外加速度センサは、シーソー構造を用いて面外変位を検査している。
図1に示すように、シーソー構造は、アンカー、トーションスプリング、面外検出極板および検査質量を有する。このシーソー構造は加速度により、非対称的な検査質量M1がトーションスプリングをトーションスプリングとアンカーが形成する回転軸に沿って回動させ、構造の上方または下方に対応するように容量検出極板が設置され、差動容量を形成する。加速度の変化は、容量変化を検出することにより得られる。
【0003】
このシーソー構造は、
図2に示すように、構造が非対称であるため、X方向加速度によって面内X方向の揺動が生じる。
【0004】
以上の問題に対して、Murata社の特許出願(US20200018777A)には、2つのシーソーを採用した構造が開示されており、回転検査質量の本体はシーソー構造にあり、結合構造として剛体が外部に追加され、且つ1つのリニアマス(Linear quality)として、面外加速度が作用すると、リニアマスが面外方向に沿って直線運動する。このような構成は、検出極板を回転軸から遠くに設置し、容量変化まで回転するゲインを確保し、X方向(IP1方向)に沿った揺動を無くしたが、2つのシーソーのZ軸(OP)周りの同方向回動およびX軸(IP1軸)周りの同方向回動を抑制することはできない。
【0005】
ADI社の特許出願(US20200132716A1)には、面外加速度計がbutterflyの構成を採用し、すなわち内側の結合構造が2つのシーソー構造の運動結合を実現し、単一のシーソー構造の面内回動と回転軸周りの同方向回動を抑制できる多軸加速度計が開示されている。Murata社の構成と比較して、Z軸直線運動のリニア検査質量を外側結合構造として持っていないため、2つのシーソー構造のZ軸周りの逆方向運動に対する抑制能力が劣る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の技術的課題の少なくとも一つを解決するためのMEMS加速度計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明により提供されるMEMS加速度計は、検査質量と、アンカーを介して基板に固定接続された、少なくとも1対の対向設置されたシーソー構造と、基板と、前記シーソー構造の回動または前記検査質量の面外直線運動を検出するための面外変位検出アセンブリとを備え、2つずつの対向設置された前記シーソー構造の間は、第1結合構造によって第1側で結合接続され、第1結合構造によって結合接続されたこの2つのシーソー構造の第2側には、第2結合構造が設けられ、前記第1結合構造および/または第2結合構造が前記検査質量に接続され、前記第1結合構造、前記第2結合構造がいずれも弾性結合構造である。
【0008】
好ましくは、前記第1結合構造のみ、または前記第2結合構造のみが前記検査質量に接続される。
【0009】
好ましくは、各対の対向設置されたシーソー構造は、第1シーソー構造と第2シーソー構造を有し、前記第1シーソー構造は、前記基板に固定された第1アンカーと、前記第1アンカーに固定された第1弾性トーションスプリングと、前記第1弾性トーションスプリングの両側に対向設置された第1接続ビームと、を有し、前記第1結合構造から遠い側の第1接続ビームの第1端が前記第1弾性トーションスプリングに接続され、第2端が一方の前記第2結合構造に接続され、前記第2シーソー構造は、一端が前記基板に固定された第2アンカーと、前記第2アンカーの他端に固定された第2弾性トーションスプリングと、前記第2弾性トーションスプリングの両側に対向設置された第2接続ビームと、を有し、前記第1結合構造から遠い側の第2接続ビームの第1端が前記第2弾性トーションスプリングに接続され、第2端が他方の前記第2結合構造に接続され、前記第2結合構造が前記検査質量に接続される。
【0010】
好ましくは、各対の対向設置されたシーソー構造は、第1シーソー構造と第2シーソー構造を有し、前記第1シーソー構造は、前記基板に固定された第1アンカーと、前記第1アンカーに固定された第1弾性トーションスプリングと、前記第1弾性トーションスプリングの両側に対向設置された第1極板設置部A及び第1極板設置部Bと、を有し、前記両側の第1極板設置部A及び第1極板設置部Bは、それぞれ第1接続ビームを介して前記第1弾性トーションスプリングに接続され、前記面外変位検出アセンブリは、前記第1極板設置部A及び第1極板設置部Bに設けられた第1面外検出極板A及び第1面外検出極板Bを有し、前記第2シーソー構造は、一端が前記基板に固定された第2アンカーと、前記第2アンカーの他端に固定された第2弾性トーションスプリングと、前記第2弾性トーションスプリングの両側に対向設置された第2極板設置部A及び第2極板設置部Bと、を有し、前記両側の第2極板設置部A及び第2極板設置部Bは、それぞれ第2接続ビームを介して前記第2弾性トーションスプリングに接続され、前記面外変位検出アセンブリは、前記第2極板設置部A及び第2極板設置部Bに設けられた第2面外検出極板A及び第2面外検出極板Bをさらに有している。
【0011】
好ましくは、各対の対向設置されたシーソー構造のうちの一つの前記第1極板設置部Bは、前記第2極板設置部Bと前記第2弾性トーションスプリングとの間に設けられ、前記第2極板設置部Bは、一つの前記第1極板設置部Bと前記第1弾性トーションスプリングとの間に設けられ、前記第1シーソー構造の前記第1極板設置部Bと前記第2シーソー構造の前記第2極板設置部Bとが互いに入れ子された構造となり、前記第1結合構造は、互いに入れ子された前記第1極板設置部Bと前記第2極板設置部Bとの間に設けられている。
【0012】
好ましくは、前記第1接続ビームには、前記第2極板設置部Bを避けるように第1折り曲げ部が設けられ、前記第2接続ビームには、前記第1極板設置部Bを避けるように第2折り曲げ部が設けられている。
【0013】
好ましくは、前記面外変位検出アセンブリは、Z軸変位検出アセンブリであり、前記第1極板設置部A、第2極板設置部Aのそれぞれと前記第1弾性トーションスプリング、第2弾性トーションスプリングとの間に、X軸加速度検出アセンブリおよび/またはY軸加速度検出アセンブリが設けられている。
【0014】
好ましくは、前記面外変位検出アセンブリは、Z軸変位検出アセンブリであり、第1収納空間A、第1収納空間B、第2収納空間A、第2収納空間Bには、それぞれX軸加速度検出アセンブリおよび/またはY軸加速度検出アセンブリが設けられている。
【0015】
好ましくは、前記MEMS式加速度計は、2対の対向設置されたシーソー構造を備え、当該2対の対向設置されたシーソー構造が第1結合構造を共用している。
【0016】
好ましくは、前記第2結合構造は、少なくとも1つの折り曲げ部を有する弾性結合構造である。
【0017】
好ましくは、前記検査質量は、第1検査質量と第2検査質量を有し、前記第1結合構造と前記第2結合構造は、それぞれ第1検査質量と第2検査質量に接続される(内外部)。
【0018】
好ましくは、各対の対向設置されたシーソー構造は、第1シーソー構造と第2シーソー構造を有し、前記第1シーソー構造は、第1アンカーと、前記第1アンカーに固定された第1弾性トーションスプリングと、前記第1弾性トーションスプリングの両側に対向設置された第1接続ビームと、を有し、前記第1接続ビームの第1端が前記第1弾性トーションスプリングに接続され、前記第1接続ビームの第2端が一方の前記第2結合構造に接続され、前記第2シーソー構造は、第2アンカーと、前記第2アンカーに固定された第2弾性トーションスプリングと、前記第2弾性トーションスプリングの両側に対向設置された第2接続ビームと、を有し、前記第2接続ビームの第1端が前記第2弾性トーションスプリングに接続され、前記第2接続ビームの第2端が他方の前記第2結合構造に接続され、前記第1弾性トーションスプリング、前記第1シーソー構造側に位置する第2結合構造、及び前記第1接続ビームの間には、それぞれ第1収納空間Aが形成され、前記第1弾性トーションスプリング、前記第1結合構造、及び前記第1接続ビームの間には、それぞれ第1収納空間Bが形成され、前記第2弾性トーションスプリング、前記第2シーソー構造側に位置する第2結合構造、及び前記第2接続ビームの間には、それぞれ第2収納空間Aが形成され、前記第2弾性トーションスプリング、前記第1結合構造、及び前記第2接続ビームの間には、それぞれ第2収納空間Bが形成され、前記第1収納空間Aには、前記第2検査質量が延伸することによって形成された第1極板設置部Aが設けられ、前記第1収納空間Bには、第1検査質量が延伸することによって形成された第1極板設置部Bが設けられ、前記面外変位検出アセンブリは、第1極板設置部A及び第1極板設置部Bに設けられた第1面外検出極板A及び第1面外検出極板Bを有し、前記第2収納空間Aには、前記第2検査質量が延伸することによって形成された第2極板設置部Aが設けられ、前記第2収納空間Bには、第1検査質量が延伸することによって形成された第2極板設置部Bが設けられ、前記面外変位検出アセンブリは、第2極板設置部A及び第2極板設置部Bに設けられた第2面外検出極板A及び第2面外検出極板Bを有している。
【0019】
好ましくは、前記MEMS式加速度計は、2対の対向設置されたシーソー構造を備え、当該2対の対向設置されたシーソー構造が第1結合構造を共用している。
【発明の効果】
【0020】
本発明のMEMS加速度計では、関連技術に比べて、検査質量の支持構造として2つ以上のシーソー構造を採用し、検査質量を面外方向(Z方向)加速度の作用下でZ軸に沿って直線運動させるようにし、このような直線変位は、容量変位検出のリニアリティーの向上に寄与するだけでなく、光学変位検出などのその他の非容量の検出方式にも寄与する。また、本発明の実施例では、二重結合構造(第1結合構造、第2結合構造)を用いてシーソーの回動を共結合させ、シーソー構造の残りの並進と回動モードを抑制した。さらに、本発明の実施例では、検査質量が主に第2結合構造(外側)に分布しており(内側の第1結合構造であってもよい)、シーソー構造に回転検査質量を少し配置するか、配置しないで、シーソー構造の重心を回転軸に近づけたり、位置させたりし、このような検査質量の分布方は、質量をより集中させ、構成がより合理的で、スプリアスモードがより少ない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明し、明らかに、以下説明された図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、進歩的な労働をしなくても、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができ、そのうち、
【
図1】
図1は、従来の面外加速度センサの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例1における加速度計の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例1における加速度計の他の視角からの構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例2における加速度計の構成を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例2における加速度計の他の視角からの構成を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例3における加速度計の構成を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例4における加速度計の構成を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施例5における加速度計の構成を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施例6における加速度計の構成を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施例7における加速度計の構成を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施例8における加速度計の構成を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施例9における加速度計の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら本発明の実施例における技術案を明確かつ完全に説明する。明らかに、記載された実施例は、全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例に過ぎない。当業者が本発明における実施例に基づいて進歩的な労働をしない前提に得られた他の全ての他の実施例は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0023】
実施例1
図3~4を参照して、本実施例により提供されるMEMS加速度計200は、検査質量230と、少なくとも1対の対向設置されたシーソー構造(210、220)と、基板(図示せず)と、シーソー構造(210、220)の回動または検査質量230の面外直線運動を検出するための面外変位検出アセンブリ240とを備えている。
【0024】
ここで、2つずつの対向設置された前記シーソー構造(210、220)間は、第1結合構造250によって第1側で結合接続されて対称的に設置され、第1結合構造250によって結合接続された当該2つのシーソー構造(210、220)の第2側には、第2結合構造260が設けられており、本実施例では、第2結合構造260は、前記検査質量230に接続され、前記第1結合構造250、第2結合構造260は、いずれも弾性結合構造である。
【0025】
もちろん、他の選択可能な実施例において、2つずつの対向設置された前記シーソー構造(210、220)間が第1結合構造250によって第1側で結合接続される場合、非対称的に設置されていてもよく、具体的には実際の状況に応じて選択することができ、ここでは説明を繰り返さない。
【0026】
本実施例では、各対の対向設置されたシーソー構造(210、220)は、第1シーソー構造210と第2シーソー構造220を有し、前記第1シーソー構造210は、一端が前記基板に固定された第1アンカー211と、前記第1アンカー211の他端に固定された第1弾性トーションスプリング212と、前記第1弾性トーションスプリング212の両側に対向設置された第1極板設置部A213aおよび第1極板設置部B213bとを有し、前記両側の第1極板設置部A213aおよび第1極板設置部B213bは、それぞれ第1接続ビーム214を介して前記第1弾性トーションスプリング212に接続され、前記第1結合構造250に近い側の第1接続ビーム214の第1端が前記第1弾性トーションスプリング212に接続され、第2端が一方の前記第1結合構造250に接続され、前記面外変位検出アセンブリ240は、前記第1極板設置部Aおよび第1極板設置部B213に設けられた第1面外検出極板A241aおよび第1面外検出極板B241bを有している。前記第2シーソー構造220は、一端が前記基板に固定された第2アンカー221と、前記第2アンカー221の他端に固定された第2弾性トーションスプリング222と、前記第2弾性トーションスプリング222の両側に対向設置された第2極板設置部A223aおよび第2極板設置部B223bとを備え、前記両側の第2極板設置部A223aおよび第2極板設置部B223bは、それぞれ第2接続ビーム224を介して前記第2弾性トーションスプリング222に接続され、前記面外変位検出アセンブリ240は、前記第2極板設置部A223aおよび第2極板設置部B223bに設けられた第2面外検出極板A242aおよび第2面外検出極板B242bをさらに有している。
【0027】
実施例2
図5および
図6に示すように、実施例1と異なるのは、一方の前記第1極板設置部B213bが、一方の第2極板設置部B223bと第2弾性トーションスプリング222との間に設けられ、一方の第2極板設置部B223bが、一方の第1極板設置部B213bと第1弾性トーションスプリング212との間に設けられ、第1シーソー構造210の一方の第1極板設置部B213bと第2シーソー構造220の一方の第2極板設置部B223bとが互いに入れ子された構造となり、前記第1結合構造250が、互いに入れ子された第1極板設置部B213bと第2極板設置部B223bとの間に設けられている点である。
【0028】
さらに、シーソー構造の対称性に起因して、第1シーソー構造210の第1接続ビーム214には、第2シーソー構造220の第2極板設置部B223bを避けるように第1折り曲げ部215が設けられており、同様に、第2シーソー構造220の第2接続ビーム224にも、前記第1極板設置部B213bを避けるように第2折り曲げ部225が設けられている。
【0029】
本実施例では、実施例1に対して、面外容量検出極板が回転軸からより離れているため、より大きなゲインを得ることができる。
【0030】
実施例3
実施例2と異なるのは、本実施例では、
図7に示すように、
図5も参照すれば、第1面外検出極板A241aと第1面外検出極板B241、第2面外検出極板A242a、第2面外検出極板B242bとからなる面外変位検出アセンブリは、Z軸変位検出アセンブリであるとともに、第1シーソー構造210の他方の第1極板設置部A213aと前記第1弾性トーションスプリング212との間には、X軸方向の加速度を検出するためのX軸加速度検出アセンブリ270が設けられ、第2シーソー構造220の他方の第2極板設置部A223aと前記第2弾性トーションスプリング222との間には、Y軸方向の加速度を検出するためのY軸加速度検出アセンブリ280が設けられたことである。もちろん、X軸加速度検出アセンブリ270、Y軸加速度検出アセンブリ280の位置は交換することができ、X軸加速度検出アセンブリ270、Y軸加速度検出アセンブリ280も択一的にまたは同時に設けてもよく、具体的には必要に応じて設置することができる。
【0031】
実施例4
図8に示すように、本実施例では、各対の対向設置されたシーソー構造は、第1シーソー構造210と第2シーソー構造220を有し、前記第1シーソー構造は、第1アンカー211と、前記第1アンカー211に固定された第1弾性トーションスプリング212と、前記第1弾性トーションスプリング212の両側に対向設置された第1接続ビーム214とを有し、前記第1結合構造250に近い側の第1接続ビーム214の第1端が前記第1弾性トーションスプリング212に接続され、第2端が一方の前記第1結合構造250に接続され、第1結合構造250から遠い側の第1接続ビーム214の第1端が前記第1弾性トーションスプリング212に接続され、第2端が一方の第2結合構造260に接続されている。
【0032】
第2シーソー構造220は、第2アンカー221と、前記第2アンカー221に固定された第2弾性トーションスプリング222と、前記第2弾性トーションスプリング222の両側に対向設置された第2接続ビーム224とを有し、第1結合構造250から遠い側の第2接続ビーム224の第1端が前記第2弾性トーションスプリング222に接続され、第2端が他方の前記第2結合構造260に接続されている。
【0033】
本実施例は、上記実施例と異なり、変位検出アセンブリをシーソー構造に設けず、本実施例のシーソー構造によれば、検査質量上(上面または下面)に容量検出極板を配置することによって検査質量の面外変位検出を実現することができ、光学干渉計測アセンブリを設けることによって検査質量の面外変位を検出することもできる。
【0034】
実施例5
上記実施例4に基づき、
図8を併せて参照して、前記第1弾性トーションスプリング211、第1シーソー構造210側に位置する第2結合構造260、及び第1接続ビーム214の間には、それぞれ第1収納空間A215が形成され、前記第1弾性トーションスプリング211、第1結合構造250、及び第1接続ビーム214の間には、それぞれ第1収納空間B216が形成される。
【0035】
前記第2弾性トーションスプリング222、第2シーソー構造220側に位置する第2結合構造260、及び第2接続ビーム224の間には、それぞれ第2収納空間A225が形成され、前記第2弾性トーションスプリング222、第1結合構造250、及び第2接続ビーム224の間には、それぞれ第2収納空間B226が形成されている。
【0036】
図9に示すように、
図8も参照すれば、実施例4と異なるのは、本実施例では、検査質量が、第2結合構造260に接続された第2検査質量232と、第1結合構造250に接続された第1検査質量231とを有することである。
【0037】
前記第1収納空間A215には、前記第2検査質量232が延伸することによって形成された第1極板設置部A213aが設けられ、前記第1収納空間B216には、第1検査質量231が延伸することによって形成された第1極板設置部B213bが設けられ、前記面外変位検出アセンブリは、第1極板設置部A213a及び第1極板設置部B213bに設けられた第1面外検出極板A241a及び第1面外検出極板B241bを有する。
【0038】
前記第2収納空間A225には、前記第2検査質量が延伸することによって形成された第2極板設置部A223aが設けられ、前記第2収納空間B226には、第1検査質量が延伸することによって形成された第2極板設置部B223bが設けられ、前記面外変位検出アセンブリは、第2極板設置部A223a及び第2極板設置部B223bに設けられた第2面外検出極板A242a及び第2面外検出極板B242bを有する。
【0039】
本実施例では、第1結合構造250、第2結合構造260のいずれにおいても検査質量(第1検査質量231、第2検査質量232)を設けるとともに、第1検査質量231、第2検査質量232のいずれにおいても容量検出極板を設け、第2検査質量232と第1検査質量231との容量検出極板は差分容量を形成するとともに、互いに質量を相殺している。この構成のメリットは、面外容量検出極板の変位をすべて線形変位に変えることで、加速度検出のリニアリティーが改善されるとともに、面外容量検出極板がシーソーの先端に位置し、容量変化まで加速するゲインが保たれることである。
【0040】
実施例6
図10に示すように、本実施例は、実施例4に基づいて、面外変位検出アセンブリの一種の設置態様を具体的にしたものである。まず、
図8を参照するとともに
図10も併せて参照する。
【0041】
前記第1弾性トーションスプリング211、第1シーソー構造210側に位置する第2結合構造260、及び第1接続ビーム214の間には、それぞれ第1収納空間A215が形成され、前記第1弾性トーションスプリング211、第1結合構造250、及び第1接続ビーム214の間には、それぞれ第1収納空間B216が形成されている。
【0042】
前記第2弾性トーションスプリング222、第2シーソー構造220側に位置する第2結合構造260、及び第2接続ビーム224の間には、それぞれ第2収納空間A225が形成され、前記第2弾性トーションスプリング222、第1結合構造250、及び第2接続ビーム224の間には、それぞれ第2収納空間B226が形成されている。
【0043】
前記面外変位検出アセンブリは、Z軸変位検出アセンブリであり、検査質量上に設置された面外容量検出極板、またはその他の光学検出アセンブリであり得る。また、前記第1収納空間A215、第1収納空間B216、第2収納空間A225、第2収納空間B226には、それぞれX軸加速度検出アセンブリ217および/またはY軸加速度検出アセンブリ218が設けられている。
【0044】
代替可能な実施形態として、検査質量230に溝を開けてX軸加速度検出アセンブリ270および/またはY軸加速度検出アセンブリ280を置いてもよい。
【0045】
実施例7
上記実施例と異なるのは、上記実施例はいずれも1対のシーソー構造であるが、本実施例は2対のシーソー構造を採用しており、具体的には、
図11に示すように、前記MEMS加速度計は、2対の対向設置されたシーソー構造を備え、それぞれ第1シーソー構造210a、第2シーソー構造220a、第1シーソー構造210b、及び第2シーソー構造220bである。当該2対の対向設置されたシーソー構造は、一つの第一結合構造250を共用している。
【0046】
本実施例では、前記第1結合構造250は、4つの対称に設けられた接続点を含んでおり、前記2対の対向設置されたシーソー構造(210、220)がそれぞれ4つの接続点に接続されて、交差設置された対称構造を形成している。
【0047】
平面上には、各シーソー構造が正方形に配置されており、2対のシーソー構造の合計4つのシーソー構造が平面上に交差して設けられた後、正方形の占有領域を形成し、検査質量230が4つのシーソー構造の外周を囲んで設けられている。もちろん、各シーソー構造の形状は、本実施例で提供される形態に限定されない。
【0048】
本実施例では、前記第2結合構造260は、少なくとも1つの折り曲げ部261を有する弾性結合構造であり、
図11に示すように、本実施例では、1つの折り曲げ部261を用いて第2結合構造260をU字形構造としている。これにより、検査質量230がシーソー構造をより容易に回動させることができる。
【0049】
本実施例では、4つのシーソー構造の配置を採用することで、構造をより合理的にし、不感軸モードの動きをより良く抑制しつつ、より多くの面外容量検出極板を設けてより大きなゲインを提供することができる。
【0050】
実施例8
図12に示すように、本実施例では、実施例7に類似した複数対のシーソー構造を採用しているが、それと異なるのは、実施例2と同じような入れ子構造を採用することであり、すなわち、1対のシーソー構造の一方の第1極板設置部B231bと、他の1対のシーソー構造の一方の第2極板設置部B232bとの間に互いに入れ子された設置構造を形成することである。
【0051】
本実施例では、入れ子設置の方式を採用することで、面外容量検出極板を回転軸から遠ざけ、さらにより大きなゲインを取れるとともに、よりコンパクトな構成としている。
【0052】
実施例9
図13に示すように、実施例8と異なり、シーソー構造に面外容量検出極板を設けず、面外容量検出極板を第2検査質量232と第1検査質量231に設置し、第1検査質量231が第1結合構造250と一体構造である。
【0053】
以上の実施例から明らかなように、本発明の各実施例において、検査質量は、第2結合構造260のみに設けられた第2検査質量232であってもよいし、第1結合構造250のみに設けられた第1検査質量231であってもよい。
【0054】
以上の実施例から明らかなように、本発明の各実施例において、前記第2検査質量232は、前記シーソー構造を取り囲んで対称的な設置であってもよいし、第1検査質量231と同じように独立して設けられていてもよい。
【0055】
以上の実施例から明らかなように、本発明の実施例において、シーソー構造の数は偶数個であり、第1結合構造によって対称的な設置を実現してもよい。
【0056】
以上の実施例から明らかなように、本発明の実施例において、面外変位検出アセンブリは、面外容量検出極板であってもよいし、他の光学検出アセンブリ、または他のタイプの変位検出アセンブリであってもよい。
【0057】
以上の実施例から明らかなように、本発明の実施例において、面外変位検出アセンブリは、検査質量上に設けられてもよいし、シーソー構造上に設けられてもよいし、第1結合構造上に設けられてもよい。
【0058】
本発明のMEMS加速度計では、関連技術に比べて、検査質量の支持構造として2つ以上のシーソー構造を採用し、検査質量を面外方向(Z方向)加速度の作用下でZ軸に沿って直線運動させるようにし、このような直線変位は、容量変位検出のリニアリティーの向上に寄与するだけでなく、光学変位検出などのその他の非容量の検出方式にも寄与する。また、本発明の実施例では、二重結合構造(第1結合構造、第2結合構造)を用いてシーソーの回動を共結合させ、シーソー構造の残りの並進と回動モードを抑制した。さらに、本発明の実施例では、検査質量が主に第2結合構造(外側)に分布しており(内側の第1結合構造であってもよい)、シーソー構造に回転検査質量を少し配置するか、配置しないで、シーソー構造の重心を回転軸に近づけたり、位置させたりし、このような検査質量の分布方は、質量をより集中させ、構成がより合理的で、スプリアスモードがより少ない。
【0059】
以上は、本発明の実施形態に過ぎない。当業者にとって、本発明の創造思想から逸脱することなく、改良を行うこともできるが、これらの改良はいずれも本発明の保護範囲に含まれるとここで指摘すべきである。