(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103979
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】医薬用固形組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/485 20060101AFI20230720BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20230720BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230720BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230720BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230720BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20230720BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230720BHJP
A61K 9/28 20060101ALI20230720BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20230720BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20230720BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
A61K31/485
A61K31/167
A61P43/00 121
A61K9/20
A61P29/00
A61K47/22
A61K47/38
A61K9/28
A61K9/16
A61K9/14
A61K9/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002938
(22)【出願日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2022004568
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306014736
【氏名又は名称】第一三共ヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100129414
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 京
(72)【発明者】
【氏名】小澤 悠太
(72)【発明者】
【氏名】加茂 倫有
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA43
4C076AA44
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC01
4C076CC04
4C076DD41
4C076DD59S
4C076EE31A
4C076EE32
4C076FF51
4C076FF63
4C076GG09
4C076GG13
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC27
4C086MA03
4C086MA05
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4C086NA03
4C086NA05
4C086ZA07
4C086ZA08
4C086ZB11
4C086ZC75
4C206AA01
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4C206KA01
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4C206ZA08
4C206ZB11
4C206ZC75
(57)【要約】
【課題】デキストロメトルファンまたはその塩の安定性に優れるとともに、有効成分の分布の均一性に優れる組成物を得るための技術を提供する。
【解決手段】デキストロメトルファンまたはその塩の粉体あるいはその造粒物と、アセトアミノフェンの粉体とを含む第一の混合物を生成する第一混合工程と、第一の混合物に、精製水、または、結合剤を含む液体を噴霧して造粒物を生成する流動層造粒工程と、流動層造粒工程で得られた造粒物に滑沢剤を加えて第二の混合物を生成する第二混合工程と、を含む、医薬用固形組成物の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デキストロメトルファンまたはその塩の粉体あるいはその造粒物と、アセトアミノフェンの粉体とを含む第一の混合物を生成する第一混合工程と、
前記第一の混合物に、精製水、または、結合剤を含む液体を噴霧して造粒物を生成する流動層造粒工程と、
前記流動層造粒工程で得られた前記造粒物に滑沢剤を加えて第二の混合物を生成する第二混合工程と、
を含む、医薬用固形組成物の製造方法。
【請求項2】
デキストロメトルファンまたはその塩の粉体あるいはその造粒物と、アセトアミノフェンの粉体と、抗酸化剤とを含む第一の混合物を生成する第一混合工程と、
前記第一の混合物に、精製水、または、結合剤を含む液体を噴霧または滴下して造粒物を生成する湿式造粒工程と、
前記湿式造粒工程で得られた前記造粒物に滑沢剤を加えて第二の混合物を生成する第二混合工程と、
を含む、医薬用固形組成物の製造方法。
【請求項3】
前記抗酸化剤がアスコルビン酸である、請求項2に記載の医薬用固形組成物の製造方法。
【請求項4】
前記デキストロメトルファンまたはその塩が、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物であり、
前記第一の混合物中の前記デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物および前記アセトアミノフェンの合計量に対する前記抗酸化剤の含有量が、質量比で0.002以上0.35以下である、請求項2または3に記載の医薬用固形組成物の製造方法。
【請求項5】
前記デキストロメトルファンまたはその塩が、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物である、請求項1または2に記載の医薬用固形組成物の製造方法。
【請求項6】
前記第一混合工程が、賦形剤をさらに含む前記第一の混合物を生成する工程である、請求項1または2に記載の医薬用固形組成物の製造方法。
【請求項7】
前記賦形剤が結晶セルロースを含む、請求項6に記載の医薬用固形組成物の製造方法。
【請求項8】
前記デキストロメトルファンまたはその塩が、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物であり、
前記第一の混合物における前記デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物に対する前記アセトアミノフェンの配合比率が、質量比で、1以上188以下である、請求項1または2に記載の医薬用固形組成物の製造方法。
【請求項9】
造粒物を生成する前記工程で得られる前記造粒物の平均粒子径が75μm以上850μm以下である、請求項1または2に記載の医薬用固形組成物の製造方法。
【請求項10】
前記医薬用固形組成物が医薬用固形製剤であり、前記医薬用固形製剤の剤形が糖衣錠またはフィルムコーティング錠である、請求項1または2に記載の医薬用固形組成物の製造方法。
【請求項11】
前記医薬用固形組成物が医薬用固形製剤であり、前記医薬用固形製剤の剤形が顆粒剤、細粒剤またはカプセル剤である、請求項1または2に記載の医薬用固形組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬用固形組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、総合感冒薬や解熱鎮痛薬等においては、複数の薬効成分を配合した医薬製剤が広く使用されている。かかる医薬製剤の例として、特許文献1(特開2020-105108号公報)に記載のものがある。同文献には、素錠と、素錠の表面を被覆するフィルムコーティング層と、フィルムコーティング層の表面を被覆する糖衣層とを有し、素錠がアセトアミノフェン、クロルフェニラミンマレイン酸塩又はd-クロルフェニラミンマレイン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物又はデキストロメトルファン・フェノールフタリン塩、dl-メチルエフェドリン塩酸塩又はdl-メチルエフェドリンサッカリン塩、グアヤコールスルホン酸カリウムおよび無水カフェイン又はカフェイン水和物を含み、フィルムコーティング層がヒプロメロースを含む、糖衣錠について記載されている(請求項1)。また、同文献には、糖衣錠の製造にあたり、アセトアミノフェン、グアヤコールスルホン酸カリウム等を流動層造粒して造粒物を得た後、得られた造粒物にデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物等の成分を加え、薬物含有粉体を得たことが記載されている(実施例1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者が検討したところ、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物等のデキストロメトルファンまたはその塩と、アセトアミノフェンとを配合した固形組成物を製造しようとすると、デキストロメトルファンの含量が低下してしまう懸念があり、組成物中でのデキストロメトルファンの安定性の点で改善の余地があった。
また、上記特許文献1については、本発明者の検討の結果、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物とアセトアミノフェンとを分けて素錠を生成しているため、具体的には、アセトアミノフェンを含む造粒物を得た後、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物と混合しているため、錠剤中での有効成分の分布の均一性の点で改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、デキストロメトルファンまたはその塩の安定性に優れるとともに、有効成分の分布の均一性に優れる組成物を得るための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の医薬用固形組成物の製造方法が提供される。
[1] デキストロメトルファンまたはその塩の粉体あるいはその造粒物と、アセトアミノフェンの粉体とを含む第一の混合物を生成する第一混合工程と、
前記第一の混合物に、精製水、または、結合剤を含む液体を噴霧して造粒物を生成する流動層造粒工程と、
前記流動層造粒工程で得られた前記造粒物に滑沢剤を加えて第二の混合物を生成する第二混合工程と、
を含む、医薬用固形組成物の製造方法。
[2] デキストロメトルファンまたはその塩の粉体あるいはその造粒物と、アセトアミノフェンの粉体と、抗酸化剤とを含む第一の混合物を生成する第一混合工程と、
前記第一の混合物に、精製水、または、結合剤を含む液体を噴霧または滴下して造粒物を生成する湿式造粒工程と、
前記湿式造粒工程で得られた前記造粒物に滑沢剤を加えて第二の混合物を生成する第二混合工程と、
を含む、医薬用固形組成物の製造方法。
[3] 前記抗酸化剤がアスコルビン酸である、[2]に記載の医薬用固形組成物の製造方法。
[4] 前記デキストロメトルファンまたはその塩が、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物であり、
前記第一の混合物中の前記デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物および前記アセトアミノフェンの合計量に対する前記抗酸化剤の含有量が、質量比で0.002以上0.35以下である、[2]または[3]に記載の医薬用固形組成物の製造方法。
[5] 前記デキストロメトルファンまたはその塩が、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物である、[1]乃至[4]いずれか一つに記載の医薬用固形組成物の製造方法。
[6] 前記第一混合工程が、賦形剤をさらに含む前記第一の混合物を生成する工程である、[1]乃至[5]いずれか一つに記載の医薬用固形組成物の製造方法。
[7] 前記賦形剤が結晶セルロースを含む、[6]に記載の医薬用固形組成物の製造方法。
[8] 前記デキストロメトルファンまたはその塩が、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物であり、
前記第一の混合物における前記デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物に対する前記アセトアミノフェンの配合比率が、質量比で、1以上188以下である、[1]乃至[7]いずれか一つに記載の医薬用固形組成物の製造方法。
[9] 造粒物を生成する前記工程で得られる前記造粒物の平均粒子径が75μm以上850μm以下である、[1]乃至[8]いずれか一つに記載の医薬用固形組成物の製造方法。
[10] 前記医薬用固形組成物が医薬用固形製剤であり、前記医薬用固形製剤の剤形が糖衣錠またはフィルムコーティング錠である、[1]乃至[9]いずれか一つに記載の医薬用固形組成物の製造方法。
[11] 前記医薬用固形組成物が医薬用固形製剤であり、前記医薬用固形製剤の剤形が顆粒剤、細粒剤またはカプセル剤である、[1]乃至[9]いずれか一つに記載の医薬用固形組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、デキストロメトルファンまたはその塩の安定性に優れるとともに、有効成分の分布の均一性に優れる組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態において、組成物は、各成分をいずれも単独でまたは2種以上を組み合わせて含むことができる。
本明細書において、数値範囲を示す「~」は、以上、以下を表し、両端の数値をいずれも含む。
【0009】
(第一の実施形態)
本実施形態において、医薬用固形組成物の製造方法は、以下の工程を含む。
(第一混合工程)デキストロメトルファンまたはその塩の粉体あるいはその造粒物と、アセトアミノフェンの粉体とを含む第一の混合物を生成する工程
(造粒工程)流動層造粒工程であり、第一の混合物に、精製水、または、結合剤を含む液体を噴霧して造粒物を生成する工程
(第二混合工程)造粒工程で得られた造粒物に滑沢剤を加えて第二の混合物を生成する工程
以下、各工程を具体的に説明する。
【0010】
(第一混合工程)
第一混合工程では、第一の混合物を得る。
第一混合工程において、デキストロメトルファンまたはその塩は、粉体あるいはその造粒物として第一の混合物中に配合される。一方、アセトアミノフェンについては粉体として第一の混合物中に配合される。
【0011】
ここで、デキストロメトルファンまたはその塩および後述のアセトアミノフェンの粉体とは、これらの原末の造粒物ではない粉末であり、たとえば原末そのものであってもよいし、原末を篩い分け、解砕、または粉砕したものであってもよい。
粉体の平均粒径は、具体的には300μm未満、好ましくは150μm未満であり、また、たとえば1μm以上であってもよい。
ここで、粉体の平均粒径は、具体的にはレーザー回折・散乱法により求めた体積基準の粒度分布における算術平均値である体積平均径を意味する。たとえば、粒子径分布測定装置MT3300EXII(マイクロトラック・ベル社製)を使用し、乾式測定にて評価することができる。
【0012】
一方、デキストロメトルファンまたはその塩および後述のアセトアミノフェンの造粒物とは、これらの原末を、適宜他の成分とともに造粒して得られた粒状物である。また、造粒物は、原末を造粒した後、整粒、解砕または粉砕が施されたものであってもよい。
造粒物の平均粒径は、具体的には75μm以上、好ましくは100μm以上であり、また、たとえば850μm以下であってもよい。
ここで、造粒物の平均粒径は、具体的にはふるい分け法により求めた質量基準の粒度分布における算術平均値である質量平均径を意味する。たとえば、ロボットシフターRPS-105M(セイシン企業社製)を使用し、評価することができる。
【0013】
デキストロメトルファンまたはその塩の具体例として、デキストロメトルファン;ならびに、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、デキストロメトルファンフェノールフタリン塩等のデキストロメトルファンの塩およびその水和物が挙げられる。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
デキストロメトルファンまたはその塩は、好ましくはデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物である。
【0014】
第一の混合物および本実施形態において得られる医薬用固形組成物へのデキストロメトルファンまたはその塩の配合量は、限定されず、服用者の性別、年齢、症状等に応じて、適宜検討して決定すればよい。たとえば、デキストロメトルファンまたはその塩が、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物である場合は、1日量として、通常8~120mgであり、好ましくは16~48mgである。また、デキストロメトルファンまたはその塩がデキストロメトルファンフェノールフタリン塩である場合は、1日量として、通常9~90mg、好ましくは24~72mgである。
【0015】
アセトアミノフェン(別名パラセタモール)は、第十八改正日本薬局方に収載されている。アセトアミノフェンは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
【0016】
第一の混合物および本実施形態において得られる医薬用固形組成物へのアセトアミノフェンの配合量は、限定されず、服用者の性別、年齢、症状等に応じて、適宜検討して決定すればよい。たとえば、アセトアミノフェンの1日量として、通常150~1500mgであり、好ましくは300~900mgである。
【0017】
第一の混合物におけるデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物に対するアセトアミノフェンの配合比率は、質量比で、たとえば1以上であり、好ましくは2以上、より好ましくは6以上である。
また、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物の安定性向上の観点から、上記配合比率は、質量比で、好ましくは188以下であり、より好ましくは100以下、さらに好ましくは60以下である。
【0018】
また、第一混合工程は、賦形剤をさらに含む第一の混合物を生成する工程であってもよい。これにより、造粒工程における流動性をさらに向上することができ、また、顆粒剤である医薬用固形組成物を得る際には顆粒化をより好ましいものとすることができる。
【0019】
賦形剤としては、たとえば、アメ粉、アルファー化デンプン、イソマルト、カカオ脂、加水分解デンプン乾燥物、カラメル、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、含水二酸化ケイ素、含水無結晶酸化ケイ素、乾燥水酸化アルミニウムゲル、乾燥バレイショデンプン、カンゾウ末、カンテン、カンテン末、寒梅粉、キシリトール、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイヒ末、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、結晶セルロース(微粒子)、結晶セルロース(粒)、合成ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム・ヒドロキシプロピルスターチ・結晶セルロース、合成ヒドロタルサイト、コムギデンプン、米粉、コメデンプン、β-シクロデキストリン、重質無水ケイ酸、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈物、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム・炭酸カルシウム共沈物、水酸化マグネシウム、D-ソルビトール、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、トウモロコシデンプン、トウモロコシデンプン造粒物、トレハロース水和物、二酸化ケイ素、乳糖水和物、乳糖造粒物、白糖、バレイショデンプン、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース(2208)、ヒプロメロース(2906)、ヒプロメロース(2910)、ヒプロメロースフタル酸エステル(200731)、ヒプロメロースフタル酸エステル(220824)、微粒二酸化ケイ素、部分アルファー化デンプン、プルラン、粉糖、粉末還元麦芽糖水アメ、粉末セルロース、粉末セルロース(平均重合度:800~1100)、ポビドン(K25)、ポビドン(K30)、ポビドン(K90)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール・ジエチレングリコール混合物、マルチトール、マルトース水和物、D-マンニトール、D-マンニトール・クロスポビドン・D-ソルビトール・含水二酸化ケイ素混合物、無水ケイ酸水和物、無水乳糖、無水リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム造粒物、メタクリル酸コポリマーLD、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、メチルアクリレート・メタクリル酸コポリマー、メチルアクリレート・メチルメタクリレート、メチルセルロース、リン酸水素カルシウム水和物、リン酸水素カルシウム造粒物、リン酸水素ナトリウム水和物、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム水和物、リン酸二水素ナトリウムおよびエリスリトールからなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0020】
賦形剤は、製剤の成形性および強度を向上する観点から、好ましくは結晶セルロースを含む。
第一の混合物への結晶セルロースの配合量は、造粒工程における流動性向上の観点から、医薬用固形組成物の全組成(フィルムコーティング錠や糖衣錠の場合は、素錠部の全組成)に対して好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは0.7質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。
また、製剤の服用性向上、および、製剤の大きさをより好ましいものとする観点から、第一の混合物への結晶セルロースの配合量は、医薬用固形組成物の全組成(フィルムコーティング錠や糖衣錠の場合は、素錠部の全組成)に対して好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、さらにより好ましくは30質量%以下である。
【0021】
また、第一混合工程は、崩壊剤をさらに含む第一の混合物を生成する工程であってもよい。これにより、錠剤や顆粒剤である医薬用固形組成物を得る際には、それらの崩壊性を向上することができる。
崩壊剤としては、たとえば、アルファー化デンプン、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、上記結晶セルロースおよび部分アルファー化デンプンからなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0022】
(造粒工程)
本実施形態において、造粒工程は、流動層造粒工程であり、第一の混合物に、精製水、または、結合剤を含む液体を噴霧して造粒物を生成する。
流動層造粒は、たとえば、流動層造粒乾燥機、転動流動層造粒機や旋回流動層造粒機等にておこなうことができる。
【0023】
造粒工程で得られる造粒物の平均粒子径は、造粒物の流動性向上の観点から、好ましくは75μm以上であり、より好ましくは90μm以上、さらに好ましくは100μm以上である。
また、有効性分の均一性向上の観点から、造粒工程で得られる造粒物の平均粒子径は、好ましくは850μm以下であり、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは400μm以下である。
【0024】
また、造粒工程においては、第一の混合物に、精製水または結合剤を含む液体(結合液)を噴霧する。これらは具体的には造粒機中で噴霧される。
結合液は、具体的には結合剤および精製水を含む。一方、精製水を噴霧して造粒する場合は、たとえば第一の混合工程で結合剤を加えることができる。
結合剤としては、たとえば、アラビアゴム、アラビアゴム末、カンテン、カンテン末、寒梅粉、結晶セルロース、コポリビドン、ゼラチン、セラック、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体、ヒプロメロース(2208)、ヒプロメロース(2906)、ヒプロメロース(2910)、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、ヒプロメロースフタル酸エステル(200731)、ヒプロメロースフタル酸エステル(220824)、フマル酸・ステアリン酸・ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート・ヒドロキシプロピルセルロース2910混合物、プルラン、ポビドン(K25)、ポビドン(K30)、ポビドン(K90)、ポリビニルアルコール(完全ケン化物)、ポリビニルアルコール(部分ケン化物)、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトポリマー、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS、メタクリル酸ブチル・メタクリル酸メチルコポリマー、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、およびメチルセルロースからなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0025】
本実施形態において、造粒工程で得られた造粒物をそのまま第二混合工程に供してもよいし、造粒工程の後、造粒物の乾燥、整粒等の工程を適宜行った後、第二混合工程に供してもよい。
【0026】
(第二混合工程)
第二混合工程においては、造粒工程すなわち流動層造粒工程で得られた造粒物に滑沢剤を加えて第二の混合物を生成する。
滑沢剤としては、たとえば、含水二酸化ケイ素、含水無晶形酸化ケイ素、グリセリン脂肪酸エステル、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、硬化油、重質無水ケイ酸、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル40、ステアリン酸マグネシウム、ダイズ硬化油、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム、ミツロウ、無水ケイ酸水和物、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムおよびモノステアリン酸グリセリンからなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0027】
滑沢剤は、錠剤の打錠工程や顆粒剤の充填工程での金属付着性低減の観点でステアリン酸マグネシウムが好ましい。
ステアリン酸マグネシウムの配合量は、たとえば、本実施形態の製造方法で得られる医薬用固形組成物の全組成(フィルムコーティング錠や糖衣錠の場合は、素錠部の全組成)に対し、金属付着性低減の観点から、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは0.8質量%以上である。
また、たとえば錠剤および顆粒剤の崩壊性ならびに溶出性の向上の観点から、ステアリン酸マグネシウムの配合量は、たとえば、本実施形態の製造方法で得られる医薬用固形組成物の全組成(フィルムコーティング錠や糖衣錠の場合は、素錠部の全組成)に対し、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。
【0028】
本実施形態において、第二の混合工程で得られる第二の混合物を医薬用固形組成物としてそのまま用いてもよいし、医薬用固形組成物の形態等に応じて、第二混合工程の後、成型や充填する工程をさらに含んでもよい。たとえば、本実施形態における製造方法が、第二混合工程で得られた第二の混合物を打錠して素錠を得る工程をさらに含んでもよい。
また、医薬用固形組成物は、その剤形に応じて第十八改正日本薬局方等に記載された方法に従って製造し、製剤とすることができる。
たとえば、医薬用固形組成物の剤形が錠剤の場合、日本薬局方製剤総則「錠剤」の項に準じて製造することができる。また、医薬用固形組成物の剤形が顆粒剤の場合、日本薬局方製剤総則「顆粒剤」の項に準じて製造することができる。
また、医薬用固形組成物に配合される成分・添加物の配合禁忌等を回避する観点、および、組成物の保存安定性をさらに向上する観点から、適宜、顆粒分け、多層化等により、所定の成分が互いに接触しないように製剤化してもよい。
【0029】
以上により、本実施形態における医薬用固形組成物を得ることができる。
本実施形態においては、第一混合工程においてデキストロメトルファンまたはその塩の粉体あるいはその造粒物とアセトアミノフェンの粉体とを含む第一の混合物を生成するとともに、流動層造粒により造粒物を生成することにより、デキストロメトルファンまたはその塩の安定性に優れるとともに、有効成分の分布の均一性に優れる医薬用固形組成物を製造することができる。
本実施形態における製造方法によりデキストロメトルファンまたはその塩の安定性を優れたものとすることができる理由として、本実施形態における製造方法によりデキストロメトルファンまたはその塩の酸化が好適に抑制されることが考えられる。
【0030】
本実施形態において得られる医薬用固形組成物は、具体的には医薬用固形製剤である。
医薬用固形製剤の剤形は、限定されず、たとえばカプセル剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、および錠剤が挙げられる。これらの固形製剤は、必要に応じて公知の方法により、糖衣やフィルムコーティング等により被覆されていてもよい。固形製剤の剤形は、デキストロメトルファンまたはその塩の安定性をより向上する観点から、好ましくは糖衣錠、フィルムコーティング錠、顆粒剤、細粒剤またはカプセル剤であり、より好ましくは糖衣錠または顆粒剤である。
また、固形製剤は好ましくは経口投与製剤である。
【0031】
医薬用固形組成物、具体的には固形製剤の包装形態については、適宜、瓶包装、SP(Strip Package)包装、スティック包装、PTP(Press Through Package)、パウチ包装等とすることができる。これらにより一旦包装して気密保存してもよい。さらにそれらをピロー包装してもよい。また、それらを箱等に格納してもよい。SP包装、スティック包装、PTP包装、ピロー包装に用いられる材料としては、限定されず、たとえば、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム等の単層の樹脂フィルムやこれら樹脂フィルムを組み合わせた複層のフィルムやこれら樹脂フィルムにアルミニウム箔を付着させたものを用いることができる。複層のフィルムはたとえばラミネートフィルムとしてもよい。さらに、必要に応じて乾燥剤、脱酸素剤や脱臭剤とともに封入することができる。
【0032】
また、本実施形態において得られる医薬用固形組成物は、たとえば総合感冒薬として好適に用いることができる。たとえば、各種成分を添加することで、かぜの諸症状、中でも発熱、悪寒、頭痛、のどの痛み、鼻水、鼻づまり、せき、たん、関節の痛み、筋肉の痛み、くしゃみ等の症状を有する患者に対し、これらの症状を緩和するために投与することができる。
【0033】
また、本実施形態の製造方法において、各工程においては、本発明の効果を損なわない範囲で、上述した成分以外の成分をさらに配合してもよい。たとえば本実施形態の製造方法により得られる医薬用固形組成物には、通常総合感冒薬に使用されているその他の成分を必要に応じて配合することができる。また、医薬用固形組成物には、たとえば、一般用医薬品製造販売承認基準に記載されている成分を配合することができる。かかる成分として、具体的には、アセトアミノフェン以外の解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、デキストロメトルファンまたはその塩以外の鎮咳剤、ノスカピン類、気管支拡張剤、去痰剤、抗コリン剤、抗炎症剤、カフェイン類、ビタミン類、胃粘膜保護剤、生薬類、催眠鎮静剤および漢方処方からなる群から選択される一種または二種以上を配合することができる。
【0034】
アセトアミノフェン以外の解熱鎮痛剤としては、たとえば、アスピリン、アスピリンアルミニウム、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、ラクチルフェネチジン、イブプロフェン、イソプロピルアンチピリン、ロキソプロフェンナトリウム水和物、プラノプフェン、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸、インドメタシンファルネシル、アセメタシン、エトドラク、ナプロキセン、メロキシカムおよびセレコキシブおよびチアラミド塩酸塩からなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0035】
抗ヒスタミン剤としては、たとえば、塩酸イソチペンジル、塩酸ジフェテロール、塩酸トリペレナミン、塩酸トンジルアミン、塩酸フェネタジン、塩酸メトジラジン、dl-クロルフェニラミンマレイン酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェニルジスルホン酸カルビノキサミン、ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、酒石酸アリメマジン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、トリプロリジン塩酸塩水和物、ナパジシル酸メブヒドロリン、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、マレイン酸カルビノキサミン、リン酸ジフェテロール、クレマスチンフマル酸塩、メキタジン、ケトチフェンフマル酸塩、プロメタジン塩酸塩、エピナスチン塩酸塩、エメダスチンフマル酸塩、フェキソフェナジン、アゼラスチン塩酸塩、セチリジン塩酸塩およびオロパタジン塩酸塩からなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0036】
デキストロメトルファンまたはその塩以外の鎮咳剤としては、たとえば、塩酸アロクラミド、クロペラスチン塩酸塩、クロペラスチンフェンジゾ酸塩、コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩、ジブナートナトリウム、クエン酸チペピジン、チペピジンヒベンズ酸塩、ジメモルファンリン酸塩、エプラジノン塩酸塩、ペントキシベリンクエン酸塩、ベンプロペリンリン酸塩およびクロフェダノール塩酸塩からなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0037】
ノスカピン類としては、たとえば、ノスカピンおよびノスカピン塩酸塩水和物からなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0038】
気管支拡張剤としては、たとえば、dl-メチルエフェドリン塩酸塩、dl-メチルエフェドリンサッカリン塩、アミノフィリン、ジプロフィリン、テオフィリン、プロキシフィリン、dl-メチルエフェドリン、l-メチルエフェドリン塩酸塩、プソイドエフェドリン塩酸塩、トリメトキノール塩酸塩、フェニルプロパノールアミン塩酸塩、フェニレフリン塩酸塩、メトキシフェナミン塩酸塩およびイソプレナリン塩酸塩からなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0039】
去痰剤としては、たとえば、グアイフェネシン、グアヤコールスルホン酸カリウム、クレゾールスルホン酸カリウム、ブロムヘキシン塩酸塩、l-カルボシステイン、l-エチルシステイン塩酸塩、l-メチルシステイン塩酸塩、アンブロキソール塩酸塩、塩化アンモニウム、l-メントール、アンモニア・ウイキョウ精、桜皮エキス、メチルシステイン塩酸塩およびフドステインからなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0040】
抗コリン剤としては、たとえば、ベラドンナ総アルカロイド、ロートエキス、ダツラエキスおよびヨウ化イソプロパミドからなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0041】
抗炎症剤としては、たとえば、グリチルリチン酸及びその塩類、トラネキサム酸、セラペプターゼ、ブロメライン、セミアルカリプロティナーゼ、プロナーゼ、セアプローゼ、プロクターゼおよびリゾチーム塩酸塩からなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0042】
カフェイン類としては、たとえば、安息香酸ナトリウムカフェイン、カフェイン水和物および無水カフェインからなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0043】
ビタミン類としては、たとえば、チアミン、チアミン塩化物塩酸塩、チアミン硝化物、ジセチアミン塩酸塩、セトチアミン塩酸塩、フルスルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩、オクトチアミン、シコチアミン、チアミンジスルフィド、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミンおよびベンフォチアミン等のビタミンB1およびその誘導体ならびにそれらの塩類;リボフラビン、リボフラビンリン酸エステル、リボフラビン酪酸エステルおよびリン酸リボフラビンナトリウム等のビタミンB2およびその誘導体ならびにそれらの塩類;パントテン酸、パンテノール、パンテチン、パントテン酸カルシウムおよびパントテン酸ナトリウム等のビタミンB5およびその誘導体ならびにそれらの塩類;ピリドキシン塩酸塩およびピリドキサールリン酸エステル等のビタミンB6およびその誘導体ならびにそれらの塩類;シアノコバラミンおよびメコバラミン等のビタミンB12およびその誘導体ならびにそれらの塩類;アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウムおよびアスコルビン酸カルシウム等のビタミンCおよびその誘導体ならびにそれらの塩類;ならびに、ヘスペリジンおよびその誘導体ならびにそれらの塩類からなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0044】
胃粘膜保護剤としては、たとえば、グリシン、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウムアルノアセテート(アルミニウムグリシネート)、水酸化アルミニウムゲル、乾燥水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム・炭酸カルシウムの共沈物、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、アルジオキサ、銅クロロフィリンナトリウム、銅クロロフィリンカリウム、メチルメチオニンスルホニウムクロリド、スクラルファート、セトラキサート塩酸塩、ソファルコン、ゲファルナート、テプレノンおよびレバミピドからなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0045】
生薬類としては、たとえば、マオウ、ナンテンジツ、オウヒ、オンジ、カンゾウ、キキョウ、シャゼンシ、シャゼンソウ、セキサン(石蒜)、セネガ、バイモ、ウイキョウ、オウバク、オウレン、ガジュツ、カミツレ、ケイヒ、ゲンチアナ、ゴオウ、獣胆(ユウタンを含む。)、シャジン、ショウキョウ、ソウジュツ、チョウジ、チンピ、ビャクジュツ、ジリュウ、チクセツニンジン、ニンジン、アカメガシワ、アセンヤク、インヨウカク、エンゴサク、オウゴン、オウセイ、カノコソウ、カロニン、キョウニン、クコシ、クコヨウ、ケイガイ、ケツメイシ、ゲンノショウコ、コウジン、コウブシ、ゴミシ、サイシン、サンショウ、シオン、ジコッピ、シャクヤク、ジャコウ、シンイ、センキュウ、ゼンコ、センブリ、ソウハクヒ、ソヨウ、タイサン、トウキ、トコン、バクモンドウ、ハンゲ、バンコウカ、ハンピ、ビャクシ、ブクリョウ、ボウイ、ボタンピ、ボレイ、ロクジョウ等の生薬およびこれらの抽出物(エキス、チンキ、乾燥エキス等)からなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0046】
催眠鎮静剤としては、たとえば、ブロムワレリル尿素およびアリルイソプロピルアセチル尿素からなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0047】
また、漢方処方としては、たとえば、葛根湯、葛根湯加桔梗、桂枝湯、香蘇散、柴胡桂枝湯、小柴胡湯、小青竜湯、麦門冬湯、半夏厚朴湯、麻黄湯およびこれらの抽出物(エキス、チンキ、乾燥エキス等)を配合することができる。
【0048】
さらに、本実施形態における製造方法により得られる医薬用固形組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、製剤を製造するために必要な医薬品添加物を配合することができる。たとえば、医薬品添加物として、薬食審査発1204第1号(薬事行政法令)、医薬品添加物辞典2021(日本医薬品添加剤協会編集、薬事日報社)および第8版食品添加物公定書(日本食品添加物協会)等に記載されているものを配合することができる。具体的には、崩壊剤、崩壊補助剤、流動化剤、滑沢剤、可塑剤、コーティング剤、糖衣剤、光沢化剤、着色剤、矯味剤、甘味剤、香料、および、着香剤・香料からなる群から選択される一または二以上の成分を医薬用固形組成物に配合することができる。
また、第一混合工程において賦形剤を配合しない場合、他の工程において賦形剤をさらに配合してもよい。賦形剤の具体例としては前述のものが挙げられる。
また、造粒工程において結合剤を用いない場合、他の工程において結合剤をさらに配合してもよい。結合剤の具体例としては前述のものが挙げられる。
また、崩壊剤としては、たとえば、前述の成分が挙げられる。
【0049】
崩壊補助剤としては、たとえば、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウムおよびヒドロキシプロピルスターチからなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0050】
流動化剤としては、たとえば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、合成ケイ酸アルミニウム、重質無水ケイ酸、水酸化アルミナマグネシウム、第三リン酸カルシウム、タルク、トウモロシデンプン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムおよびリン酸水素カルシウム造粒物からなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0051】
滑沢剤としては、たとえば、前述の成分が挙げられる。
【0052】
可塑剤としては、たとえば、クエン酸トリエチル、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トリアセチン、濃グリセリン、ヒマシ油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリソルベート80、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1500、マクロゴール4000、マクロゴール6000、マクロゴール6000NF、モノステアリン酸グリセリン、リノール酸イソプロピルおよび流動パラフィンからなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0053】
コーティング剤としては、たとえば、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液、アセチルグリセリン脂肪酸エステル、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アラビアゴム、アラビアゴム末、アンモニオアルキルメタクリレートコポリマー、エチルセルロース、エチルセルロース水分散液、オクチルデシルトリグリセリド、オパドライOY-6950、オパドライOY-L-28900、オパドライOY-LS-20291、オパドライOY-LS-23016、オパドライOY-S-7135、オパドライOY-S-8471、オパドライOY-S-9607、オパドライOY-S-22829、オパドライOY-S-22835、オパドライOY-S-22961、オパドライOY-S-28924、オパドライYS-1-7003白、オパドライYS-1-12524-A、オパドライYS-1-14762-A、オパドライYS-1-15585-A、オパドライYS-1-19025A、オパドライYS-2-19114-A、オパドライIIイエロー、オパドライクリアー(YS-2-19114-A)、オパドライIIグレイ85F17659、オパドライ白03K280000、オパドライピンク(02F34337)、オパドライIIピンク、オパドライIIピンク85F97191、オパドライIIブルー(85G20427)、オパドライIIベージュ85F17438、オパドライホワイト(15B180002)、オパドライホワイトOY-LS-28914、オパドライホワイトYS-1-18177-A、オパドライホワイト(YS-1-18202-A)、オパドライIIホワイト(33G28523)、オパドライIIホワイト(85F28751)、オパドライIIホワイト(OY-LS-28914)、オパドライIIライトブルー(85G20426)、オパドライIIライトベージュ85F17498、オパドライIIレッド(32K15441)、カルナウバロウ、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、含水二酸化ケイ素、乾燥水酸化アルミニウムゲル、乾燥メタクリル酸コポリマーLD、クエン酸トリエチル、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、軽質無水ケイ酸含有ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化チタン、酸化マグネシウム、ジメチルアミノエチルメタアクリレート・メチルメタアクリレートコポリマー、ショ糖脂肪酸エステル、水酸化アルミニウムゲル、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル40、ステアリン酸マグネシウム、精製ゼラチン、精製セラック、精製白糖、ゼラチン、セラック、D-ソルビトール、D-ソルビトール液、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、濃グリセリン、白色セラック、白糖、パラフィン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910・酸化チタン・マクロゴール混合物、ヒプロメロース(2208)、ヒプロメロース(2906)、ヒプロメロース(2910)、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、ヒプロメロースフタル酸エステル(200731型)、ヒプロメロースフタル酸エステル(220824型)、フマル酸・ステアリン酸・ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート・ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910混合物、プルラン、プレミックス添加剤Opadry White、ベントナイト、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール(部分ケン化物)、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール6000、マクロゴール6000EP、マクロゴール20000、マクロゴール35000、D-マンニトール、無水クエン酸、無水ケイ酸水和物、無水フタル酸、無水リン酸水素カルシウム、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、メチルメタクリレート・メタアクリル酸・メチルメタアクリレートコポリマー、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、硫酸カルシウム、フマル酸、DL-リンゴ酸、エリスリトールおよび結晶セルロースからなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0054】
糖衣剤としては、たとえば、アラビアゴム、アラビアゴム末、エチルセルロース、カルナウバロウ、カルメロースナトリウム、結晶セルロース、酸化チタン、ステアリン酸、ステアリン酸ポリオキシル40、精製ゼラチン、精製セラック、精製白糖、ゼラチン、セラック、タルク、沈降炭酸カルシウム、白色セラック、白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース(2208)、ヒプロメロース(2910)、プルラン、ポビドン(K25)、ポビドン(K30)、ポビドン(K90)、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリビニルアルコール(部分ケン化物)、マクロゴール1500、マクロゴール4000、マクロゴール6000、D-マンニトール、エリスリトールおよび結晶セルロースからなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0055】
光沢化剤としては、たとえば、カルナウバロウ、精製セラック、マクロゴール400、マクロゴール1500、マクロゴール4000、マクロゴール6000およびミツロウからなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0056】
着色剤としては、たとえば、黄酸化鉄、黄色5号プレミックス、褐色酸化鉄、カーボンブラック、カラメル、β-カロテン、カンゾウエキス、黒酸化鉄、酸化チタン、三二酸化鉄、三二酸化鉄・グリセリン懸濁液、食用青色1号、食用青色2号アルミニウムレーキ、食用黄色4号、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、銅クロロフィリンナトリウム、銅クロロフィル、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンリン酸エステルナトリウム、緑茶末およびローズ油からなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0057】
矯味剤としては、たとえば、エリスリトール、塩化ナトリウム、オウバク末、オウヒエキス、オウレン、オウレン末、オノニス根乾燥エキス、オレンジ、オレンジ油、カカオ末、果糖、カラメル、カンゾウ、カンゾウエキス、カンゾウ粗エキス、カンゾウ末、キシリトール、クエン酸カルシウム、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸二アンモニウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、L-グルタミン酸、L-グルタミン酸L-アルギニン、L-グルタミン酸塩酸塩、L-グルタミン酸ナトリウム、グレープフルーツエキス、黒砂糖、ケイヒチンキ、ケイヒ末、ケイヒ油、コンブ末、サッカリン、サッカリンナトリウム水和物、サフラン、サフランチンキ、サンショウチンキ、サンショウ末、酒石酸、D-酒石酸、酒石酸水素カリウム、DL-酒石酸ナトリウム、ショウキョウチンキ、ショウキョウ末、スクラロース、ステビアエキス、ステビア抽出精製物、精製カンゾウエキス末、精製白糖、センブリ、ソヨウ末、D-ソルビトール、タイソウ末、タウリン、タラクサシ根・草乾燥エキス、タンニン酸、チョウジチンキ、チョウジ油、チンピチンキ、トウガラシ、トウガラシチンキ、トウガラシ末、トウヒチンキ、トウヒ末、トレハロース水和物、ニガキ末、梅肉エキス、白糖、フラクトオリゴ糖、粉糖、ペパーミントパウダー、マルトース水和物、D-マンニトール、dl-メントール、l-メントール、メントールパウダー、リュウノウ、リュウノウ末、緑茶末、DL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸ナトリウム、レモン油およびローズ油からなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0058】
甘味剤としては、たとえば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、アマチャ、アマチャ末、還元麦芽糖水アメ、カンゾウ、カンゾウエキス、カンゾウ末、キシリトール、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルリチン酸モノカリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム水和物、スクラロース、ステビアエキス、ステビア抽出精製物、精製白糖、精製白糖球状顆粒、白糖、粉末還元麦芽糖水アメ、マルチトール、D-マンニトールおよびエリスリトールからなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0059】
香料としては、たとえば、オレンジフレーバー、オレンジフレーバーパウダーSH-1171-A、オレンジミクロンH-800092、ガラナエキス、香料(スイートオレンジ)、香料(ストロベリー)、香料(レモン)、黒糖フレーバー、ストロベリーエッセンス、ストロベリーフレーバーB86173、チェリーフレーバー181612、デントミント1148J、バナナパウダーフレーバー、ピーチエッセンス、ヒノキ6E-84211、ブラックカレントフレーバー290012SYM、フルーツエッセンス、ペパーミントNAEFCOPO551957685、ペパーミントミクロンH-81550、ミックスフレーバーパウダー、メロンパウダーフレーバー、l-メントールおよびメントールL163592SYMからなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0060】
着香剤・香料としては、たとえば、ウイキョウ末、ウイキョウ油、エチルバニリン、オレンジ、オレンジエキス、オレンジエッセンス、オレンジ油、カミツレ油、カラメル、カンゾウ末、d-カンフル、dl-カンフル、ケイヒ末、ケイヒ油、シトロネラー油、シュガーフレーバー、スペアミント油、チェリーフレーバー、チョウジ油、チリフレーバー、トウヒチンキ、トウヒ油、パインオイル、ハッカ油、バニラフレーバー、バニリン、ビターエッセンス、ビタベース、ヒマラヤスギ油、フルーツフレーバー、フレーバーG1、ヘスペリジンペパーミントエッセンス、ベルガモット油、ベルモットフレーバー、d-ボルネオール、dl-ボルネオール、マッチャ、ミックスフレーバー、ミントフレーバー、dl-メントール、l-メントール、ユーカリ油、ラベンダー油、リュウノウ、リュウノウ末、レモンパウダー、レモン油、ローズ水、ローズ油、ロート油およびローマカミツレ油からなる群から選択される一または二以上の成分を配合することができる。
【0061】
以下、医薬用固形組成物の製造方法の実施形態について、第一の実施形態と異なる点を中心に説明する。また、以下の実施形態においても、第一の実施形態にて前述の構成を適宜用いることができる。
【0062】
(第二の実施形態)
本実施形態において、医薬用固形組成物の製造方法は、以下の工程を含む。
(第一混合工程)デキストロメトルファンまたはその塩の粉体あるいはその造粒物と、アセトアミノフェンの粉体と、抗酸化剤とを含む第一の混合物を生成する工程
(造粒工程)湿式造粒工程であり、第一の混合物に、精製水、または、結合剤を含む液体を噴霧または滴下して造粒物を生成する工程
(第二混合工程)造粒工程で得られた造粒物に滑沢剤を加えて第二の混合物を生成する工程
本実施形態における製造方法は、第一の混合工程において、抗酸化剤をさらに含む第一の混合物を得る点、および、造粒工程が湿式造粒工程である点で、第一の実施形態にて前述の製造方法と異なる。これらの点以外については、第一の実施形態に準じて各工程を行うことができる。
【0063】
第一混合工程において第一の混合物中に配合される抗酸化剤の具体例として、アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ステアリン酸エステルまたはその塩等のアスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体およびこれらの塩;天然ビタミンE、トコフェロール(dl-α-トコフェロール)、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、σ-トコフェロールや、トコフェロール・酢酸エステル、トコフェロールニコチン酸エステル、トコフェロールコハク酸エステルカルシウム、濃縮混合トコフェロール等のトコフェロール、トコフェロール誘導体およびこれらの塩;エデト酸ナトリウム、エリソルビン酸、塩酸システイン、乾燥亜硫酸ナトリウム、クエン酸、ジクロルイソシアヌール酸カリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、大豆レシチン、チオグリコール酸ナトリウム、チオリンゴ酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビン酸、ブチルヒドロキシアニソール、1,3-ブチレングリコール、ベンゾトリアゾール、没食子酸プロピル、2-メルカプトベンズイミダゾール、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、アルファチオグリセリンおよびβ-カロテンからなる群から選択される一または二以上の成分が挙げられる。
【0064】
デキストロメトルファンまたはその塩の安定性をさらに向上する観点から、抗酸化剤は、好ましくはアスコルビン酸である。
【0065】
本実施形態においても、デキストロメトルファンまたはその塩は、好ましくはデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物であり、第一の混合物中のデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物およびアセトアミノフェンの合計量に対する抗酸化剤の含有量は、抗酸化作用をより安定的に得る観点から、質量比で好ましくは0.002以上であり、より好ましくは0.003以上、さらに好ましくは0.004以上である。
また、第一の混合物中のデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物およびアセトアミノフェンの合計量に対する抗酸化剤の含有量は、たとえば0.35以下であり、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.2以下である。
【0066】
また、造粒工程における湿式造粒は、たとえば医薬組成物の製造に用いられる方法であればよく、第一の実施形態にて前述の流動層造粒であってもよいし、高速撹拌造粒、押出造粒、転動造粒等の他の湿式造粒であってもよい。
【0067】
本実施形態においては、第一混合工程において抗酸化剤を第一の混合物にさらに配合するとともに、造粒工程を湿式造粒工程とすることにより、デキストロメトルファンまたはその塩の安定性に優れるとともに、有効成分の分布の均一性に優れる医薬用固形組成物を製造することができる。
【0068】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例0069】
以下、実施例および比較例を挙げて本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0070】
(実施例1、2および比較例1)
表1に示す組成にしたがって各成分を配合し、以下の手順で各例の錠剤を作製した。なお、表1中の「DXM」はデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物である。
【0071】
(実施例1)流動層造粒
表1の比率に従いアセトアミノフェン(山本化学工業社製)、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物(アルプス薬品工業社製)、結晶セルロース(セオラスPH-101:旭化成社製)とカルメロース(NS-300:五徳薬品工業社製)を、流動層造粒乾燥機(FD-MP-01:パウレック社製)にて混合し、結合液として5質量%のヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L:日本曹達社製)水溶液を造粒物中のヒドロキシプロピルセルロースの量が表1に示す値に達するまで噴霧した後、製品温度65℃に達するまで乾燥することで造粒物を得た。
造粒物に対して、表1の比率に従い秤量したステアリン酸マグネシウム(太平化学社製)をポリ袋にて混合後、打錠機(VIRGO:菊水製作所社製)にて打錠し素錠を得た。
【0072】
(実施例2)撹拌造粒
表1の比率に従いアセトアミノフェン(山本化学工業社製)、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物(アルプス薬品工業社製)、結晶セルロース(セオラスPH-101:旭化成社製)、カルメロース(NS-300:五徳薬品工業社製)とアスコルビン酸(DSM社製)を、高速攪拌造粒機(VG-05:パウレック社製)にて混合(第一混合工程)後、結合液として10質量%のヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L:日本曹達社製)水溶液を造粒物中のヒドロキシプロピルセルロースの量が表1に示す値になるように滴下することで練合を行った後、流動層造粒乾燥機(FD-MP-01:パウレック社製)にて製品温度65℃に達するまで乾燥を行い、850μmの丸篩で整粒することで造粒物を得た。
造粒物に対して、表1の比率に従い秤量したステアリン酸マグネシウム(太平化学社製)をポリ袋にて混合後、打錠機(VIRGO:菊水製作所社製)にて打錠し素錠を得た。
【0073】
(比較例1)
実施例2において、第一混合工程の際にアスコルビン酸を配合しなかったこと以外は実施例2に準じて錠剤を得た。
【0074】
【0075】
(評価)
デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物(DXM)の保存安定性を評価するため、各例で得られた錠剤中のデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物の残存率を以下の手順で測定した。結果を表2に示す。
実施例1、2の錠剤、及び比較例1の錠剤をガラス瓶(6K規格瓶)に充填し、60℃開放状態で2.5ヶ月間保管した。
保管前後の各錠剤中のデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物の定量は、各検体とも3回ずつ行い、保存前の含量の平均値に対する保存後の含量の平均値の割合を算出し、錠剤中のデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物の残存率とした。
定量は、検体の粉砕物約110mgに、5mLの薄めたリン酸(1→50)、適量のメタノール、2mLの水酸化ナトリウム試液を加えて100mLとし、デキストロメトルファンの抽出を行い、遠心分離により不溶物と分離した上澄液を試料溶液とし、第十八改正日本薬局方の液体クロマトグラフ法により、メタノール/pH6.0のリン酸塩緩衝液混液(17:3)を移動相として、液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填したカラムを用いて、測定波長280nmで測定を行った。
【0076】
【0077】
表2より、各実施例においては、比較例1に比べて、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物の残存率が高く、保存安定性に優れていた。また、各実施例に記載の製造方法により、素錠中で有効成分のデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物およびアセトアミノフェンの分布の均一性を優れたものとすることができる。
【0078】
(製剤例1~63)
固形製剤の例を表3~表11に示す。
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】