(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103983
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】車両用アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/32 20060101AFI20230720BHJP
H01Q 9/42 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
H01Q1/32 Z
H01Q9/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003456
(22)【出願日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】P 2022004083
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000165848
【氏名又は名称】原田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124257
【弁理士】
【氏名又は名称】生井 和平
(72)【発明者】
【氏名】須田 義久
(72)【発明者】
【氏名】河鰭 淳一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 悠樹
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AA03
5J046AA09
5J046AB06
5J046AB13
5J046MA09
(57)【要約】
【課題】製造が容易で広帯域化が可能であり、さらにアンテナ送受信特性を容易に調整可能な車両用アンテナ装置を提供する。
【解決手段】車両用アンテナ装置は、板状エレメント10と、グラウンド基板20とを有する。板状エレメント10は、給電部11と先端部12とを有し、上面視で中央に空白部13を設けるように給電部11から先端部12に亘って所定の線幅を持って延在し且つ給電部11と先端部12の間で空白部13から延在する開放部14を有し、所定の周波数帯の信号を送受信可能なものである。グラウンド基板20は、板状エレメント10のグラウンドとなるグラウンド部21と、板状エレメント10の給電部11が接続される給電点22とを有し、上面視でグラウンド部21の大部分が板状エレメント10と重ならず且つ空白部13と開放部14の範囲からはみ出さない位置に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のアンテナ装置であって、該車両用アンテナ装置は、
給電部と先端部を有し、上面視で中央に空白部を設けるように給電部から先端部に亘って所定の線幅を持って延在し且つ給電部と先端部の間で空白部から延在する開放部を有し、所定の周波数帯の信号を送受信可能な板状エレメントと、
前記板状エレメントのグラウンドとなるグラウンド部と、板状エレメントの給電部が接続される給電点とを有し、上面視でグラウンド部の大部分が板状エレメントと重ならず且つ空白部と開放部の範囲からはみ出さない位置に配置される、グラウンド基板と、
を具備することを特徴とする車両用アンテナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用アンテナ装置において、前記板状エレメントは、C字型形状、G字型形状、又はU字型形状の何れかの形状を有することを特徴とする車両用アンテナ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用アンテナ装置において、前記グラウンド基板は、開放部に延在することを特徴とする車両用アンテナ装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の車両用アンテナ装置において、前記グラウンド基板は、空白部に延在することを特徴とする車両用アンテナ装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の車両用アンテナ装置であって、さらに、前記板状エレメントの開放部側とは反対側から板状エレメントの板面に平行にスライドさせて板状エレメントが挿入されるスライド部を有する絶縁ブラケットを具備し、
前記板状エレメントが側方から挟持されスライド部に挿入される際に板状エレメントが撓まないように、グラウンド基板は、板状エレメントの開放部を繋ぐ、
ことを特徴とする車両用アンテナ装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用アンテナ装置であって、さらに、グラウンド基板を覆い、板状エレメントが側方から挟持される際に板状エレメントが撓まないように板状エレメントの開放部を繋ぐために板状エレメントに固定される基板カバーを具備することを特徴とする車両用アンテナ装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の車両用アンテナ装置であって、さらに、前記グラウンド基板に配置され、信号送受信用のケーブルが接続されるコネクタを具備し、
前記コネクタの板状エレメントからの突出量を調整するために、グラウンド基板は、板状エレメントに対してコネクタが突出しない側にオフセット配置される、
ことを特徴とする車両用アンテナ装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れかに記載の車両用アンテナ装置において、前記板状エレメントは、線幅により所定の周波数帯の信号送受信特性の調整が可能であることを特徴とする車両用アンテナ装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れかに記載の車両用アンテナ装置において、前記グラウンド基板は、板状エレメントの先端部が固定される固定点を有することを特徴とする車両用アンテナ装置。
【請求項10】
請求項9に記載の車両用アンテナ装置において、前記板状エレメントの給電部と先端部は、それぞれ立設されるように直角に折り曲げられ、折り曲げられる先端がそれぞれグラウンド基板の給電点及び固定点に接続されることを特徴とする車両用アンテナ装置。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載の車両用アンテナ装置において、前記板状エレメントの先端部が固定されるグラウンド基板の固定点は、グラウンド基板のグラウンド部に電気的に接続されることを特徴とする車両用アンテナ装置。
【請求項12】
請求項9又は請求項10に記載の車両用アンテナ装置において、前記板状エレメントの先端部が固定されるグラウンド基板の固定点は、グラウンド基板のグラウンド部に、所定のインピーダンス値となるような抵抗を介して電気的に接続されることを特徴とする車両用アンテナ装置。
【請求項13】
請求項9又は請求項10に記載の車両用アンテナ装置において、前記グラウンド基板は、板状エレメントの先端部が固定されるグラウンド基板の固定点が、グラウンド基板のグラウンド部に、電気的に接続されるか、所定のインピーダンス値となるような抵抗を介して電気的に接続されるか、電気的に開放されるか、を選択可能に構成されることを特徴とする車両用アンテナ装置。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13の何れかに記載の車両用アンテナ装置において、前記板状エレメントは、立設されるように折り曲げられた後に折り返されて構成される折り返し部を有することを特徴とする車両用アンテナ装置。
【請求項15】
請求項14に記載の車両用アンテナ装置において、前記折り返し部は、立設されるように折り曲げられた後に折り返された先端が、給電部としてグラウンド基板の給電点に接続されることを特徴とする車両用アンテナ装置。
【請求項16】
請求項9に記載の車両用アンテナ装置において、前記板状エレメントは、立設されるように折り曲げられた後に折り返されて構成される折り返し部を有し、立設されるように折り曲げられた後に折り返された先端が、先端部としてグラウンド基板の固定点に接続されることを特徴とする車両用アンテナ装置。
【請求項17】
請求項14乃至請求項16の何れかに記載の車両用アンテナ装置において、前記折り返し部は、上面視でグラウンド部の一部と重なることを特徴とする車両用アンテナ装置。
【請求項18】
請求項1乃至請求項17の何れかに記載の車両用アンテナ装置であって、さらに、上面視で板状エレメントと重ならず且つ空白部と開放部の範囲からはみ出さない位置に配置される他のアンテナエレメントを具備することを特徴とする車両用アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用アンテナ装置に関し、特に、製造が容易で広帯域化が可能な車両用アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近来から、車両用アンテナ装置として、特に車両のインストルメントパネル内に配置可能なTELアンテナが知られている。このような車両用アンテナ装置は、通常、グラウンドとなる板金とアンテナエレメントを組み合わせて構成され、絶縁ブラケットに挿入された後に、インストルメントパネル内に設置されるものである。このようなグラウンドとなる板金の大きさや形状は、車両メーカにより決められた絶縁ブラケットの形状により決定されるものである。
【0003】
例えば特許文献1に開示のアンテナ装置は、グラウンドとなる板金を一部切り欠き、その切り欠かれた部分に複数の周波数帯で共振する共振型のアンテナエレメントが配置されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両のインストルメントパネル用のアンテナ装置は、絶縁ブラケットへの組付け時には、板金を側方から挟持してスライドさせて絶縁ブラケットに挿入することになる。しかしながら、特許文献1に開示のような板金を一部切り欠いた構造のアンテナ装置の場合、板金の形状が複雑なため、絶縁ブラケットへスライドさせて挿入させる際に途中で引っかかってしまう可能性があった。さらに、板金を一部切り欠いた構造のため、板金を側方から挟持した際に板金が撓んでしまい、アンテナ送受信特性が変化してしまう可能性があった。したがって、組付けが難しくなく、製造が容易なアンテナ装置の開発が望まれていた。
【0006】
さらに、近年ではTELアンテナのさらなる広帯域化が求められており、制限のある範囲内でエレメントをより大型にすることが望まれていた。さらに、アンテナ装置が設置される車種に応じて、低周波数帯から高周波数帯までアンテナ送受信特性の調整が必要となっている。したがって、アンテナ送受信特性を容易に調整可能なアンテナ装置の開発も望まれていた。
【0007】
本発明は、斯かる実情に鑑み、製造が容易で広帯域化が可能であり、さらにアンテナ送受信特性を容易に調整可能な車両用アンテナ装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明による車両用アンテナ装置は、給電部と先端部を有し、上面視で中央に空白部を設けるように給電部から先端部に亘って所定の線幅を持って延在し且つ給電部と先端部の間で空白部から延在する開放部を有し、所定の周波数帯の信号を送受信可能な板状エレメントと、板状エレメントのグラウンドとなるグラウンド部と、板状エレメントの給電部が接続される給電点とを有し、上面視でグラウンド部の大部分が板状エレメントと重ならず且つ空白部と開放部の範囲からはみ出さない位置に配置される、グラウンド基板と、を具備するものである。
【0009】
ここで、板状エレメントは、C字型形状、G字型形状、又はU字型形状の何れかの形状を有するものであれば良い。
【0010】
また、グラウンド基板は、開放部に延在するものであれば良い。
【0011】
また、グラウンド基板は、空白部に延在するものであっても良い。
【0012】
さらに、板状エレメントの開放部側とは反対側から板状エレメントの板面に平行にスライドさせて板状エレメントが挿入されるスライド部を有する絶縁ブラケットを具備し、板状エレメントが側方から挟持されスライド部に挿入される際に板状エレメントが撓まないように、グラウンド基板は、板状エレメントの開放部を繋ぐ、ものであれば良い。
【0013】
さらに、グラウンド基板を覆い、板状エレメントが側方から挟持される際に板状エレメントが撓まないように板状エレメントの開放部を繋ぐために板状エレメントに固定される基板カバーを具備するものであっても良い。
【0014】
さらに、グラウンド基板に配置され、信号送受信用のケーブルが接続されるコネクタを具備し、コネクタの板状エレメントからの突出量を調整するために、グラウンド基板は、板状エレメントに対してコネクタが突出しない側にオフセット配置されるものであっても良い。
【0015】
また、板状エレメントは、線幅により所定の周波数帯の信号送受信特性の調整が可能であるものであれば良い。
【0016】
また、グラウンド基板は、板状エレメントの先端部が固定される固定点を有するものであっても良い。
【0017】
ここで、板状エレメントの給電部と先端部は、それぞれ立設されるように直角に折り曲げられ、折り曲げられる先端がそれぞれグラウンド基板の給電点及び固定点に接続されるものであれば良い。
【0018】
また、板状エレメントの先端部が固定されるグラウンド基板の固定点は、グラウンド基板のグラウンド部に電気的に接続されるものであっても良い。
【0019】
また、板状エレメントの先端部が固定されるグラウンド基板の固定点は、グラウンド基板のグラウンド部に、所定のインピーダンス値となるような抵抗を介して電気的に接続されるものであっても良い。
【0020】
また、グラウンド基板は、板状エレメントの先端部が固定されるグラウンド基板の固定点が、グラウンド基板のグラウンド部に、電気的に接続されるか、所定のインピーダンス値となるような抵抗を介して電気的に接続されるか、電気的に開放されるか、を選択可能に構成されるものであっても良い。
【0021】
また、板状エレメントは、立設されるように折り曲げられた後に折り返されて構成される折り返し部を有するものであっても良い。
【0022】
ここで、折り返し部は、立設されるように折り曲げられた後に折り返された先端が、給電部としてグラウンド基板の給電点に接続されるものであっても良い。
【0023】
また、板状エレメントは、立設されるように折り曲げられた後に折り返されて構成される折り返し部を有し、立設されるように折り曲げられた後に折り返された先端が、先端部としてグラウンド基板の固定点に接続されるものであっても良い。
【0024】
また、折り返し部は、上面視でグラウンド部の一部と重なるものであっても良い。
【0025】
さらに、上面視で板状エレメントと重ならず且つ空白部と開放部の範囲からはみ出さない位置に配置される他のアンテナエレメントを具備するものであっても良い。
【発明の効果】
【0026】
本発明の車両用アンテナ装置には、製造が容易で広帯域化が可能であり、さらにアンテナ送受信特性を容易に調整可能であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の車両用アンテナ装置を説明するための概略上面図である。
【
図2】
図2は、本発明の車両用アンテナ装置のグラウンド基板の他の配置例を説明するための概略上面図である。
【
図3】
図3は、本発明の車両用アンテナ装置の板状エレメントの他の例を説明するための概略上面図である。
【
図4】
図4は、本発明の車両用アンテナ装置のグラウンド基板の他の配置例を説明するための概略上面図である。
【
図5】
図5は、本発明の車両用アンテナ装置の板状エレメントの他の形状の例について説明するための概略上面図である。
【
図6】
図6は、本発明の車両用アンテナ装置の板状エレメントの他の形状の例について説明するための概略上面図である。
【
図7】
図7は、本発明の車両用アンテナ装置の板状エレメントとグラウンド基板との接続部の詳細を説明するための概略拡大図である。
【
図8】
図8は、本発明の車両用アンテナ装置のグラウンド基板の固定点の種々の構成を説明するための概略回路図である。
【
図9】
図9は、本発明の車両用アンテナ装置をインストルメントパネル用の絶縁ブラケットに適用させる例を説明するための概略斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の車両用アンテナ装置をインストルメントパネル用の絶縁ブラケットに適用させる例を説明するための概略側面図である。
【
図11】
図11は、本発明の車両用アンテナ装置の板状エレメントを立体的に構成した例について説明するための概略斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の車両用アンテナ装置の板状エレメントを立体的に構成した他の例について説明するための概略斜視図である。
【
図13】
図13は、本発明の車両用アンテナ装置の板状エレメントを立体的に構成した他の例について説明するための概略斜視図である。
【
図14】
図14は、本発明の車両用アンテナ装置の板状エレメントを立体的に構成したさらに他の例について説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態を図示例と共に説明する。
図1は、本発明の車両用アンテナ装置を説明するための概略上面図である。図示の通り、本発明の車両用アンテナ装置は、板状エレメント10と、グラウンド基板20とから主に構成される。
【0029】
板状エレメント10は、所定の周波数帯の信号を送受信可能なものである。板状エレメント10は、例えば銅板等の導電性金属板により構成されている。ここで、所定の周波数帯とは、例えばTEL帯であれば良く、具体的には、700MHz-960MHz及び1710MHz-5000MHzといった広帯域の周波数帯であれば良い。しかしながら、本発明はこのような周波数帯には限定されず、種々エレメント長等を調整することで、所望の周波数帯に合わせて構成可能である。
【0030】
板状エレメント10は、給電部11と先端部12とを有している。図示の通り、板状エレメント10は、上面視で中央に空白部13を設けるように給電部11から先端部12に亘って所定の線幅を持って延在している。具体的には、板状エレメント10は、C字型形状を有している。即ち、板状エレメント10は、図示のように方形状の範囲内にC字型形状で延在している。C字型形状の板状エレメント10は、給電部11と先端部12が対向する間に開放部14を有している。そして、開放部14は、給電部11と先端部12の間で空白部13から延在している。即ち、空白部13と開放部14は、板状エレメント10が延在する方形状の範囲の内部に延在している。このように、本明細書中では、空白部13は板状エレメント10に囲まれた中央付近の空きスペースをいい、開放部14は、給電部11と先端部12に挟まれる空きスペースをいう。
【0031】
グラウンド基板20は、グラウンド部21と給電点22とを有している。グラウンド部21は、板状エレメント10のグラウンドとなるものである。また、給電点22は、板状エレメント10の給電部11が接続されるものである。なお、グラウンド基板20は、例えばガラスエポキシ基板等の回路基板から構成されるものであれば良いが、本発明はこれに限定されず、グラウンド部と給電点を提供可能な板状のものであれば如何なるものであっても適応可能である。
【0032】
図示の通り、グラウンド基板20は、上面視でグラウンド部21が板状エレメント10と重ならず、且つ空白部13と開放部14の範囲からはみ出さない位置に配置されている。具体的には、C字型形状の板状エレメント10に囲まれた範囲内にグラウンド基板20が配置されている。より具体的には、図示例では、グラウンド基板20は、開放部14に延在している。グラウンド基板20は、開放部14に配置されることで、開放部を繋ぐことになる。図示例では、グラウンド部21が完全に板状エレメント10と重ならないように配置されている例を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明の車両用アンテナ装置のグラウンド基板20は、グラウンド部21の大部分が板状エレメント10と重ならないように配置されていれば良く、所望の周波数帯に影響のない範囲であれば、一部が板状エレメント10と重なっていても良い。
【0033】
このように構成される本発明の車両用アンテナ装置は、板状エレメント10が板金加工等により容易に製造可能である。さらに、グラウンド基板20を囲むように板状エレメント10を配置することで、エレメント長を長くすることができ、広帯域化が可能となる。
【0034】
次に、
図2を用いて本発明の車両用アンテナ装置のグラウンド基板の他の配置例を説明する。
図2は、本発明の車両用アンテナ装置のグラウンド基板の他の配置例を説明するための概略上面図である。図中、
図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
図1に示される例では、グラウンド基板20は、給電部11と先端部12の間の開放部14に延在していたが、
図2に示される例では、空白部13にグラウンド基板20が延在している。このように、上面視でグラウンド部21の大部分が板状エレメント10と重ならず、且つ空白部13と開放部14の範囲からはみ出さない位置に配置されるものであれば、空白部13側のみに配置されるように構成されても良い。
【0035】
また、給電部11と先端部12の間の開放部14の幅を狭めたり、板状エレメント10の線幅を変えたりすることで、所定の周波数帯の信号送受信特性の調整が可能である。
図3は、本発明の車両用アンテナ装置の板状エレメントの他の例を説明するための概略上面図である。図中、
図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
図3に示される通り、開放部14の幅を狭めることで、板状エレメント10のエレメント長を伸ばすことが可能となる。これにより信号送受信性能の調整が可能となる。また、板状エレメント10の線幅、例えば図面上、左右の線幅や上下の線幅を細くしたり太くしたりすることでも信号送受信性能の調整が可能である。
【0036】
さらに、
図4に、本発明の車両用アンテナ装置のグラウンド基板の他の配置例を説明するための概略上面図を示す。図中、
図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
図4に示される通り、この例では、グラウンド基板20が、空白部13と開放部14の両方に延在している。但し、この例でも、上面視でグラウンド部21の大部分が板状エレメント10と重ならず、且つ空白部13と開放部14の範囲からはみ出さない位置に配置されている。
【0037】
さらに、図示例では、他のアンテナエレメントとして、例えばパッチアンテナエレメント30が配置されている。パッチアンテナエレメント30は、上面視で板状エレメント10と重ならず且つ空白部13と開放部14の範囲からはみ出さない位置に配置されている。このように、他のアンテナエレメントを板状エレメント10に囲まれる位置に配置されるようにしても良い。なお、図示例ではグラウンド基板20上にパッチアンテナエレメント30を配置した例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば開放部14のみにグラウンド基板20を配置すると共に、空白部13にパッチアンテナエレメント30を配置するようにしても良い。
【0038】
次に、
図5を用いて板状エレメントの他の形状の例について説明する。
図5は、本発明の車両用アンテナ装置の板状エレメントの他の形状の例について説明するための概略上面図である。図中、
図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
図5に示される通り、この例では、板状エレメント10は、U字型形状を有している。即ち、板状エレメント10は、図示のように方形状の範囲内にU字型形状で延在している。図示の通り、板状エレメント10は、給電部11側も先端部12側も内側に延在せず、開放部14が狭まっていない。この例でも、U字型形状の板状エレメント10に囲まれた範囲内にグラウンド基板20が配置されている。
【0039】
さらに、
図6を用いて板状エレメントのさらに他の形状の例について説明する。
図6は、本発明の車両用アンテナ装置の板状エレメントの他の形状の例について説明するための概略上面図である。図中、
図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
図6に示される通り、この例では、板状エレメント10は、G字型形状を有している。即ち、板状エレメント10は、図示のように方形状の範囲内にG字型形状で延在している。
図1等に示されるC字型形状の板状エレメント10は、給電部11と先端部12が対称形状を有している。即ち、給電部11と先端部12は、略同じ長さで構成されている。しかしながら、
図6に示される例では、給電部11と先端部12は、長さが異なり、非対称となっている。図示例では、給電部11側が長く、先端部12側が短いものを示した。しかしながら、本発明はこれに限定されず、給電部11側が短く、先端部12側が長いものであっても良い。この例でも、G字型形状の板状エレメント10に囲まれた範囲内にグラウンド基板20が配置されている。具体的には、空白部13にグラウンド基板20が配置されている。なお、グラウンド基板20は、開放部14側に配置されても良い。
【0040】
次に、
図7を用いて板状エレメント10とグラウンド基板20の接続部の詳細について説明する。
図7は、本発明の車両用アンテナ装置の板状エレメントとグラウンド基板との接続部の詳細を説明するための概略拡大図であり、
図7(a)が上面図であり、
図7(b)が側面図である。
図7(a)に示される通り、この例では、グラウンド基板20は、板状エレメント10の先端部12が固定される固定点23を有している。図示の通り、グラウンド基板20は、給電部11及び先端部12上に一部重なるように配置されている。そして、図示例では、グラウンド部21の一部が板状エレメント10と重なるように配置されている。但し、グラウンド基板20のグラウンド部21の大部分は、板状エレメント10とは重ならないように構成されている。図示例の固定点23は、単に板状エレメント10にグラウンド基板20を固定するために用いられるものである。即ち、給電点22と固定点23により、開放部14の間にグラウンド基板20が固定されている。なお、図示例では、グラウンド基板20には、下方にも給電部11及び先端部12が固定される他の固定点24,25が設けられている。これにより、グラウンド基板20が板状エレメント10に確実に固定されることになる。
【0041】
また、
図7(b)に示されるように、板状エレメント10の給電部11と先端部12は、それぞれ立設されるように直角に折り曲げられ、折り曲げられる先端がそれぞれグラウンド基板20の給電点22及び固定点23に接続されるように構成されている。このように構成されることで、配線を別途用意することなく、板状エレメント10を板金加工等することで容易にグラウンド基板20への接続が可能となる。なお、図示例では、板状エレメント10とグラウンド基板20が平行に配置される例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えばグラウンド基板は傾斜させて配置されるものであっても良い。
【0042】
次に、
図8を用いて固定点についてより詳細に説明する。
図8は、本発明の車両用アンテナ装置のグラウンド基板の固定点の種々の構成を説明するための概略回路図である。図中、
図7と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
図8(a)は、
図7に対応する回路図である。即ち、板状エレメント10の先端部12が固定されるグラウンド基板20の固定点23が、グラウンド基板20のグラウンド部21とは電気的に開放されている例である。しかしながら、本発明の車両用アンテナ装置はこれに限定されない。
図8(b)に示されるように、固定点23は、グラウンド部21に電気的に接続されるように構成されても良い。即ち、先端部12がグラウンド部21に短絡されても良い。これにより、アンテナ送受信特性が変化する。このように、固定点23をグラウンド部21に電気的に接続するか否かで、アンテナ送受信特性を調整することが可能となる。さらに、
図8(c)に示されるように、固定点23は、グラウンド部21に、所定のインピーダンス値となるような抵抗26を介して電気的に接続されるように構成されても良い。即ち、先端部12がグラウンド部21に抵抗26を介して接続されても良い。具体的には、抵抗26は、例えば50Ωとなるような抵抗値のものを用いれば良い。また、抵抗26は、リアクタンスやキャパシタンス等の複数の抵抗成分を有する回路素子を組み合わせて用いても良い。これにより、アンテナ送受信特性、特にVSWR特性を改善することが可能である。
【0043】
さらに、本発明の車両用アンテナ装置は、固定点23が、グラウンド部21に、電気的に接続されるか、所定のインピーダンス値となるような抵抗26を介して電気的に接続されるか、電気的に開放されるか、を選択可能に構成されても良い。例えばジャンパーピン等を用いて、何れの接続方式にするかを選択できるようにすれば良い。これにより、本発明の車両用アンテナ装置が用いられる環境に応じてアンテナ送受信特性を調整することが可能である。
【0044】
次に、
図9を用いて本発明の車両用アンテナ装置をインストルメントパネル用の絶縁ブラケットへ適用させる例を説明する。
図9は、本発明の車両用アンテナ装置をインストルメントパネル用の絶縁ブラケットに適用させる例を説明するための概略斜視図である。図中、
図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。図示の通り、この例では、絶縁ブラケット40を用いている。絶縁ブラケット40は、車両のインストルメントパネルに固定されるものである。絶縁ブラケット40は、方形状の板状エレメント10を収容可能なような形状を有している。絶縁ブラケット40は、板状エレメント10の開放部14側とは反対側から板状エレメント10の板面に平行にスライドさせて板状エレメント10が挿入されるスライド部41を有している。即ち、板状エレメント10を側方から挟持し、スライド部41に合わせて板状エレメント10を平行にスライドさせて、板状エレメント10が絶縁ブラケット40に収まるように構成されている。また、図示例の車両用アンテナ装置は、コネクタ60を有している。コネクタ60は、信号送受信用のケーブルが接続されるものである。図示例のコネクタ60は、グラウンド基板20の裏面側に配置されている例を示した。
【0045】
ここで、板状エレメント10が側方から挟持されスライド部41に挿入される際に、C字型形状、G字型形状、又はU字型形状等、開放部14を有する板状エレメント10の開放部14側が挟持されることになる。このとき、本発明の車両用アンテナ装置では、グラウンド基板20が、板状エレメント10の開放部14を繋ぐように構成されているため、板状エレメント10が撓むおそれはない。具体的には、
図7を用いて説明した通り、給電部11が給電点22に固定されると共に、先端部12が固定点23に固定されることにより、グラウンド基板20が開放部14を繋ぐことになる。したがって、全体としてみるとO字型形状となり、側方から挟持されても強固な形状となり、板状エレメント10が撓むことを防止できる。
【0046】
なお、絶縁ブラケット40は、スライド部41を有するものに限らず、上部から板状エレメント10を押し込む構造のものであっても勿論良い。この場合には、例えば板状エレメント10に固定用の孔を設けると共に、絶縁ブラケット40の対応する位置にボスを設け、板状エレメント10を絶縁ブラケット40に上部から押し込んだ後に、孔を通ったボスを超音波溶着等で溶融して固定すれば良い。
【0047】
さらに、図示例では、グラウンド基板20を覆う基板カバー50を破線で示した。基板カバー50は、グラウンド基板20を覆い、外部から絶縁するために用いられるものである。本発明の車両用アンテナ装置では、この基板カバー50が、板状エレメント10に固定されるように構成されている。これにより、板状エレメント10が側方から挟持される際に板状エレメント10が撓まないように板状エレメント10の開放部14を繋ぐために、基板カバー50を用いることが可能となる。即ち、基板カバー50は、絶縁のためと撓み防止のために用いられることになる。給電点22や固定点23のみでグラウンド基板20が固定された場合には、挟持された際の側方からの圧力により接触不良等が生じるリスクがあるが、基板カバー50により板状エレメント10の開放部14を繋ぐことで、撓みや接触不良等のリスクをより回避することが可能となる。
【0048】
なお、上述の通り、板状エレメント10の線幅を細くしたり太くしたりすることで、信号送受信性能の調整が可能であるが、板状エレメント10の線幅を太くすることで、板状エレメント10が側方から挟持される際に板状エレメント10が撓まないようにする効果や強度を出す効果もある。
【0049】
ここで、
図10を用いて絶縁ブラケット40を用いる際のコネクタの配置位置について説明する。
図10は、本発明の車両用アンテナ装置をインストルメントパネル用の絶縁ブラケットに適用させる例を説明するための概略側面図である。図中、
図9と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
図10は、絶縁ブラケット40に板状エレメント10を挿入し終えた状態を示している。図示の通り、本発明の車両用アンテナ装置は、コネクタ60を有している。コネクタ60は、信号送受信用のケーブルが接続されるものである。図示例のコネクタ60は、グラウンド基板20の裏面側に配置される例を示した。そして、グラウンド基板20が、板状エレメント10に対するコネクタ60の下方への突出量を調整するために、板状エレメント10に対して高くなるように配置されている。即ち、絶縁ブラケット40の下方にコネクタ60が突出しないように、コネクタ60の厚み分程度上方にグラウンド基板20をオフセット配置している。具体的には、板状エレメント10の給電部11と先端部12が、それぞれ立設されるように直角に折り曲げられ、折り曲げられる長さをグラウンド基板20の高さに調整すれば良い。即ち、給電部11と先端部12が立設される長さをコネクタ60の高さに合わせて調整すれば良い。なお、図示例では、コネクタ60が板状エレメント10よりも下方に突出しないように構成される例を示したが、本発明はこれに限定されず、絶縁ブラケットの形状や設置位置に応じて、適宜コネクタが板状エレメントよりも下方に突出するものであっても良い。
【0050】
本発明の車両用アンテナ装置は、絶縁ブラケット40に適用する際には、開放部14側にコネクタ60を配置することになるため、板状エレメント10の開放部14側とは反対側から板状エレメント10の板面に平行にスライドさせて板状エレメント10が絶縁ブラケット40に挿入されることになる。このとき、本発明の車両用アンテナ装置では、開放部14がグラウンド基板20や基板カバー50等により撓まないように構成されているため、組付けが容易である。また、形状自体も複雑な形状ではないため、挿入時に引っかかるおそれも少ない。
【0051】
なお、上述の図示例では、コネクタ60がグラウンド基板20の裏面側の配置される例を示したが、本発明はこれに限定されない。絶縁ブラケットの形状や設置位置に応じて、適宜コネクタがグラウンド基板の表面側に配置されても良い。即ち、グラウンド基板は、コネクタの板状エレメントからの突出量を調整するために、板状エレメントに対してコネクタが突出しない側にオフセット配置されれば良い。
【0052】
次に、
図11を用いて板状エレメント10のさらに他の例について説明する。上述の図示例では、板状エレメント10は基本的には平面状のものであり、また、
図10に示すように給電部11や先端部12のみが立設されるように直角に折り曲げられるようなものであった。しかしながら、本発明はこれに限定されず、
図11に示されるように、板状エレメントの一部が立体的に構成されても良い。
図11は、本発明の車両用アンテナ装置の板状エレメントを立体的に構成した例について説明するための概略斜視図である。図中、
図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。図示の通り、この例では、板状エレメント10が、立設されるように折り曲げられた後に折り返されて構成される折り返し部15を有している。より具体的には、折り返し部15は、立設されるように折り曲げられた後に折り返された先端が、給電部11としてグラウンド基板20の給電点22に接続されている。即ち、折り返し部15が、給電部11側に立体的に設けられている。このような折り返し部15を設けることで、アンテナ送受信特性をさらに調整することが可能である。より具体的には、折り返し部15により水平方向の利得を向上させることが可能となる。なお、図示例では先端部12がグラウンド基板20の固定点23に接続される例を示したが、
図1等に記載のように固定点を有さないものであっても良い。
【0053】
ここで、
図11の例では、折り返し部15は上方向に折り曲げた後に折り返されるものを示したが、立設方向は図示例には限定されない。
図12は、本発明の車両用アンテナ装置の板状エレメントを立体的に構成した他の例について説明するための概略斜視図である。図中、
図11と同一の符号を付した部分は同一物を表している。図示の通り、板状エレメント10の折り返し部15は、立設されるように下方向に折り曲げられた後に折り返された先端が、給電部11としてグラウンド基板20の給電点22に接続されても良い。即ち、折り返し部15は、立設されるように下方向に折り曲げられた後に折り返されるように立体的に設けられても良い。
【0054】
さらに、上述の図示例では、給電部11側が折り返し部15により立体的に構成される例を説明したが、本発明はこれに限定されない。
図13は、本発明の車両用アンテナ装置の板状エレメントを立体的に構成した他の例について説明するための概略斜視図である。図中、
図11と同一の符号を付した部分は同一物を表している。図示の通り、板状エレメント10の折り返し部15は、立設されるように折り曲げられた後に折り返された先端が、先端部12としてグラウンド基板20の固定点23に接続されている。即ち、折り返し部15が、先端部12側に立体的に設けられている。このような折り返し部15を設けることで、同様にアンテナ送受信特性をさらに調整することが可能である。なお、図示例では、折り返し部15は立設されるように下方向に折り曲げられた後に折り返されるように立体的に設けられるものを示したが、本発明はこれに限定されず、
図11の例のように、上方向に折り曲げた後に折り返されるものであっても良い。即ち、立設方向は特に限定されるものではない。
【0055】
さらにまた、折り返し部15は、上述の図示例のように給電部11側や先端部12側に設けられるものには限定されない。板状エレメント10が立設されるように折り曲げられた後に折り返されて構成される折り返し部15を有していれば、板状エレメント10のどの位置に配置されるものであっても良い。
【0056】
また、
図14を用いて折り返し部15のさらに他の例を説明する。
図14は、本発明の車両用アンテナ装置の板状エレメントを立体的に構成したさらに他の例について説明するための概略図であり、
図14(a)が概略上面図であり、
図14(b)が概略斜視図である。図中、
図11と同一の符号を付した部分は同一物を表している。図示の通り、板状エレメント10は、立設されるように折り曲げられた後に折り返される折り返し部15が、上面視でグラウンド部21の一部と重なるように構成されている。このように、立体的に構成される折り返し部15をグラウンド部21の一部と重なるように構成することで、アンテナ送受信特性をさらに調整することが可能である。より具体的には、グラウンド部21の一部と重なる折り返し部15により、指向性を微調整することが可能となる。即ち、折り返し部15とグラウンド部21の重なり具合を調整することで、指向性の調整が可能となる。
【0057】
このように、本発明の車両用アンテナ装置は、板状エレメント10の線幅や形状、さらには立体形状やグラウンド部21との重なり具合により、より柔軟にアンテナ送受信特性を調整可能なものである。
【0058】
ここで、
図14に示される例では、折り返し部15は、斜め方向に折り曲げられた後に折り返されるように構成される例を示した。しかしながら、本発明はこれに限定されず、
図11等に示されるように、折り返し部15は、直角に折り曲げられた後に折り返されるように構成されても良い。逆に、
図11等に示される折り返し部15についても、直角に折り曲げられた後に折り返されるように構成される例を示したが、本発明はこれに限定されず、
図14に示されるように、斜め方向に折り曲げられた後に折り返されるように構成されても良い。
【0059】
なお、本発明の車両用アンテナ装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0060】
10 板状エレメント
11 給電部
12 先端部
13 空白部
14 開放部
15 折り返し部
20 グラウンド基板
21 グラウンド部
22 給電点
23,24,25 固定点
26 抵抗
30 パッチアンテナエレメント
40 絶縁ブラケット
41 スライド部
50 基板カバー
60 コネクタ