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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103998
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】紙幣処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20230720BHJP
   G07D 11/60 20190101ALI20230720BHJP
【FI】
G07D9/00 481Z
G07D11/60
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041533
(22)【出願日】2023-03-16
(62)【分割の表示】P 2022004066の分割
【原出願日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】000230858
【氏名又は名称】日本金銭機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082049
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敬一
(74)【代理人】
【識別番号】100220711
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 朗
(72)【発明者】
【氏名】大河 勝利
(72)【発明者】
【氏名】関 亨
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA11
3E141BA03
3E141CB05
3E141EA10
3E141FA02
3E141HA07
3E141HA09
3E141HA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】紙幣収納装置の収納記憶装置に記憶される電子通貨情報を受信して携帯端末に表示する紙幣処理装置を提供する。
【解決手段】紙幣処理装置は、ベゼル(8)の挿入口から挿入される紙幣を識別する紙幣鑑別装置(1)と、真札紙幣を収納する紙幣収納装置(2)とを備え、紙幣鑑別装置は、識別する紙幣の識別情報を送信する鑑別送受信装置(3)を備え、紙幣収納装置は、鑑別送受信装置が送信する紙幣の識別情報を受信する収納送受信装置(21)と、識別情報を記憶する収納記憶装置とを備え、ベゼルは、要求情報を含む遠隔信号を携帯端末(70)から受信するインターフェイス(80)を備え、鑑別送受信装置は、インターフェイスが送信する要求情報を受信して、収納送受信装置に送信し、収納送受信装置は、要求情報に対応する電子通貨情報を収納記憶装置から読み出して携帯端末に送信し、携帯端末の表示部に表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣鑑別装置に取り付けられるベゼルの挿入口を通じて挿入される紙幣を識別する紙幣鑑別装置と、
紙幣鑑別装置が真札と判断する紙幣を収納する紙幣収納装置とを備え、
紙幣鑑別装置は、識別する紙幣の識別情報を送信する鑑別送受信装置を備え、
紙幣収納装置は、紙幣鑑別装置の鑑別送受信装置が送信する紙幣の識別情報を受信する収納送受信装置と、収納送受信装置から送信される識別情報を記憶する収納記憶装置とを備え、
紙幣鑑別装置のベゼルは、要求情報を含む遠隔信号を携帯端末から受信するインターフェイスを備え、
紙幣鑑別装置の鑑別送受信装置は、インターフェイスが送信する要求情報を受信して、紙幣収納装置の収納送受信装置に送信し、
紙幣収納装置の収納送受信装置は、受信した要求情報に対応する電子通貨情報を収納記憶装置から読み出し、読み出した電子通貨情報をインターフェイスを介して携帯端末に送信し、
携帯端末は、インターフェイスを介して、収納記憶装置から読み出される電子通貨情報を受信して表示部に表示することを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項2】
収納送受信装置により収納記憶装置から読み出される電子通貨情報は、鑑別送受信装置及びインターフェイスを介して携帯端末に送信され、
携帯端末は、収納記憶装置から読み出される電子通貨情報を鑑別送受信装置及びインターフェイスを介して受信して表示部に表示する請求項1に記載の紙幣処理装置。
【請求項3】
収納送受信装置は、収納記憶装置から読み出される電子通貨情報を鑑別送受信装置に送信し、
鑑別送受信装置は、収納送受信装置から受信する電子通貨情報をインターフェイスに送信し、
インターフェイスは、鑑別送受信装置から受信する電子通貨情報を携帯端末に送信する請求項1に記載の紙幣処理装置。
【請求項4】
紙幣鑑別装置は、収納送受信装置から受信する電子通貨情報を一時的に記憶する鑑別記憶装置を備え、
鑑別送受信装置は、鑑別記憶装置に一時的に記憶される電子通貨情報をインターフェイスに送信する請求項3に記載の紙幣処理装置。
【請求項5】
携帯端末は、遠隔通信により電子通貨情報をベゼルのインターフェイスに送信し、
携帯端末から送信される電子通貨情報は、インターフェイス、鑑別送受信装置及び収納送受信装置を介して収納記憶装置に記憶される請求項1に記載の紙幣処理装置。
【請求項6】
インターフェイスは、携帯端末から電子通貨情報を受信して鑑別送受信装置に送信し、
鑑別送受信装置は、インターフェイスから受信する電子通貨情報を収納送受信装置に送信し、
収納記憶装置は、収納送受信装置から受信する電子通貨情報を記憶する請求項5に記載の紙幣処理装置。
【請求項7】
紙幣鑑別装置は、インターフェイスから受信する電子通貨情報を一時的に記憶する鑑別記憶装置を備え、
鑑別送受信装置は、鑑別記憶装置に一時的に記憶される電子通貨情報を収納送受信装置に送信する請求項6に記載の紙幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣処理装置、特に紙幣鑑別装置に取り付けられるベゼルと紙幣収納装置とを備え、ベゼルに設けられるインターフェイスを介して、携帯端末から遠隔通信される電子通貨情報を紙幣収納装置に記憶し又は紙幣収納装置に記憶される電子通貨情報を携帯端末に読み出す紙幣処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1は、複数の紙幣取扱装置から紙幣を収容する収納装置を回収したときに、収納装置を回収した紙幣取扱装置を特定し確認する紙幣取扱装置を示す。この紙幣取扱装置では、光学的又は磁気的に読み出し可能にカードに記録される各紙幣取扱装置を特定する符号を検出センサにより読み取って、紙幣鑑別装置の鑑別搬送制御装置は、符号信号を符号記憶装置に記憶する。金額記憶装置は、符号記憶装置に記憶される符号を表す符号情報と、鑑別搬送制御装置が真正と判断した紙幣の金額及び枚数を含む紙幣情報とを受信して記憶する。読出装置は、紙幣鑑別装置から分離した収納装置の金額記憶装置に記憶される紙幣情報及び符号情報を読み出し、読出装置が読み出した符号により、収納装置が回収した紙幣取扱装置を特定し、回収した紙幣の金額と紙幣鑑別装置が真正と判断して収納装置内に収納した紙幣の金額とを正確に照合できる。
【0003】
特許文献2は、紙葉収納装置の記憶部が記憶する情報を簡単に読出し可能にする紙葉収納装置及び紙葉取扱システムを示す。紙葉収納装置は、各種の情報を記憶する記憶部と、情報を無線通信により携帯装置へ送信可能な無線通信部とを備える。紙葉取扱システムは、前記紙葉収納装置と、挿入される紙葉、即ち紙幣の金種に対応する入金情報を外部装置へ送信する複数の遊技用装置又は/及び複数の遊技用装置に挿入される紙幣を自動で紙葉収納装置に収納する紙葉管理装置とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3909841号公報
【特許文献2】特許第6793272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子マネー等の電子通貨情報を含む遠隔通信信号を携帯端末から放射して、紙幣鑑別装置を介して紙幣収納装置の収納記憶装置に電子通貨情報を記憶させて、電子マネーを紙幣収納装置に投入し又は蓄える紙幣処理装置は、従来では提案されなかった。また、紙幣等の有価紙葉と電子通貨との両方を紙幣収納装置に記録して各入金額を一元管理できる紙幣処理装置は、従来では提案されなかった。更に、要求信号を含む遠隔通信信号を携帯端末から放射して、紙幣鑑別装置を介して紙幣収納装置の収納記憶装置に記憶される情報の中、受信する要求情報に対応する金銭情報を収納記憶装置から検索して、検索した金銭情報を携帯端末に送信し、受信した金銭情報を携帯端末の表示画面に表示する紙幣処理装置も、従来では提案されなかった。そこで、本発明は、前記課題を達成できる紙幣処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の紙幣処理装置は、携帯端末(70)から電子通貨情報を受信するインターフェイス(80)と、挿入口(5)を通じて挿入される紙幣を識別すると共に、インターフェイス(80)から送信される電子通貨情報を受信する鑑別送受信装置(3)を有する紙幣鑑別装置(1)と、紙幣鑑別装置(1)が真札と判断して供給する紙幣を収納する紙幣収納装置(2)とを備える。紙幣収納装置(2)は、紙幣鑑別装置(1)の鑑別送受信装置(3)から送信される電子通貨情報を受信する収納送受信装置(21)と、収納送受信装置(21)から送信される電子通貨情報を記憶する収納記憶装置(22)とを備える。
【0007】
挿入口(5)を通じて挿入される紙幣を紙幣鑑別装置(1)にて識別して、真札と認められる紙幣は、紙幣収納装置(2)に搬送してそこに収納される。本発明の第一の紙幣処理装置では、利用者が携帯端末(70)から遠隔通信により電子通貨情報を送信すると、インターフェイス(80)を通じて、紙幣鑑別装置(1)の鑑別送受信装置(3)は、電子通貨情報を受信して、紙幣収納装置(2)の収納送受信装置(21)に電子通貨情報を送信して、収納記憶装置(22)に電子通貨(電子マネー、金銭情報)を投入し又は蓄えて記憶させるので、携帯端末(70)から送信する電子通貨を収納記憶装置(22)に確実に蓄積することができる。本明細書では、用語「通貨情報」は、金銭情報、電子マネー、紙幣の識別情報を含む概念である。
【0008】
本発明の第二の紙幣処理装置は、要求情報を含む遠隔信号を携帯端末(70)から受信するインターフェイス(80)を有するベゼル(8)と、ベゼル(8)の挿入口(5)を通じて挿入される紙幣を識別する紙幣鑑別装置(1)と、紙幣鑑別装置(1)が真札と判断する紙幣を収納する紙幣収納装置(2)とを備える。紙幣鑑別装置(1)は、識別する紙幣の識別情報を送信する鑑別送受信装置(3)を備え、紙幣収納装置(2)は、紙幣鑑別装置(1)の鑑別送受信装置(3)が送信する識別情報を受信する収納送受信装置(21)と、収納送受信装置(21)から送信される識別情報を記憶する収納記憶装置(22)とを備える。紙幣鑑別装置(1)の鑑別送受信装置(3)は、インターフェイス(80)が送信する要求情報を受信して、紙幣収納装置(2)の収納送受信装置(21)に送信する。紙幣収納装置(2)の収納送受信装置(21)は、受信した要求情報に対応する金銭情報を収納記憶装置(22)から検索して、検索した金銭情報をインターフェイス(80)を介して携帯端末(70)に送信し、携帯端末(70)は、受信した金銭情報を表示部(75)に表示する。
【0009】
本発明の第二の紙幣処理装置では、利用者が紙幣鑑別装置(1)に挿入した紙幣が真札であれば、紙幣は、紙幣収納装置(2)に収納されると同時に、紙幣鑑別装置(1)の紙幣収納装置(2)は、紙幣の識別情報を収納送受信装置(21)に送信し、収納記憶装置(22)は、収納送受信装置(21)から送信される識別情報を記憶する。
【0010】
収納記憶装置(22)に記憶される累積金額を利用者が参照するとき、携帯端末(70)からベゼル(8)のインターフェイス(80)に要求情報を送信すると、鑑別送受信装置(3)は、インターフェイス(80)が送信する要求情報を受信して、紙幣収納装置(2)の収納送受信装置(21)に送信する。収納送受信装置(21)は、受信した要求情報に対応する情報を収納記憶装置(22)から検索して、検索した情報をインターフェイス(80)を介して携帯端末(70)に送信し、携帯端末(70)は、受信した金銭情報を表示部(75)に表示するので、携帯端末(70)の表示部(75)を目視して、収納記憶装置(22)に蓄積される金銭情報を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】電子情報を送信する本発明の紙幣処理装置の概略を示す断面図
図2】本発明の紙幣処理装置の電気構成ブロック図
図3】紙幣の挿入口とインターフェイスとを有するベゼルの断面図
図4】カメラ装置を支持するベゼルの装入枠の分解斜視図
図5】カメラ装置を取り付けた装入枠の部分断面図
図6】カメラ装置を取り付ける前のベゼルの装入枠の全体斜視図
図7】カメラ装置を取り付け後のベゼルの装入枠の全体斜視図
図8】蓋を取り付ける前のベゼルの斜視図
図9】ベゼルを取り付ける前の紙幣鑑別装置との有線電気接続線を示す斜視図
図10】紙幣鑑別装置にベゼルを取り付けた斜視図
図11】紙幣画像情報と顔画像情報を記憶する動作フローチャート
図12】遠隔信号受信状態と紙幣受領状態の切替動作フローチャート
図13】要求信号を送信した携帯端末に金銭情報を返信する図12を変更する部分フローチャート
図14】携帯端末に表示される金銭情報を示す表示画面の表示例
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の紙幣処理装置を利用者が使用する状態の断面図を示し、図2は、本発明の紙幣処理装置の電気構成ブロック図である。
【0013】
図1及び図2に示すように、本発明の第一の紙幣処理装置は、利用者が所有する携帯端末(70)から電子マネー等の電子通貨情報を受信するインターフェイス(80)を有するベゼル(8)と、ベゼル(8)を通じて挿入される紙幣を識別すると共に、ベゼル(8)のインターフェイス(80)から送信される電子通貨情報を受信する鑑別送受信装置(3)を有する紙幣鑑別装置(1)と、ベゼル(8)を通じて挿入される紙幣を紙幣鑑別装置(1)が真札と判断して供給する紙幣を収納する紙幣収納装置(2)とを備える。インターフェイス(80)のアンテナ(91)は、携帯端末(70)との遠隔通信により、電子通貨情報を受信し、電子通貨情報は、最終的に紙幣収納装置(2)の収納記憶装置(22)に記憶され、蓄積される。
【0014】
利用者が所有する携帯端末(70)は、図2に示すように、電子マネー等の電子通貨情報を記憶する記憶部(72)と、通貨金額設定部(73)と、送受信部(74)と、表示部(75)とを備える。利用者は、通貨金額設定部(73)で電子通貨の金額を設定して、送受信部(74)から電子通貨信号を送信すると、設定金額の電子通貨情報が記憶部(72)から送受信部(74)及びアンテナ(76)を通じて電波に担持されて、外部に放射される。携帯端末(70)は、例えば、タッチパネルからなる表示部(75)を備えるスマートフォン又はタブレット端末である。
【0015】
図2に示すベゼル(8)は、図3に示すレンズ(42)を有するカメラ装置(4)と、カメラ装置(4)に内蔵されてレンズ(42)を通る画像情報を電気信号に変換する光電素子(光電変換素子)(43)と、携帯端末(70)と遠隔通信を行うと共に光電素子(43)の電気信号を受信して、紙幣鑑別装置(1)の鑑別制御装置(14)と通信を行うインターフェイス(80)とを備える。カメラ装置(4)の図示しないシャッタ駆動装置、光電素子(43)及びインターフェイス(80)は、紙幣鑑別装置(1)の鑑別制御装置(14)に電気的に駆動接続される。また、紙幣収納装置(2)の収納送受信装置(21)及び収納記憶装置(22)も紙幣鑑別装置(1)の鑑別制御装置(14)に電気的に駆動接続される。
【0016】
図1図3に示すように、ベゼル(8)を取り付ける紙幣鑑別装置(1)は、装入枠(4f)の挿入口(5)及び紙幣入口(12)に連絡する搬送通路(15)と、紙幣入口(12)への紙幣の挿入を検出する入口センサ(13)と、紙幣入口(12)に挿入される紙幣を搬送通路(15)に沿って紙幣収納装置(2)に移動する紙幣搬送装置(17)と、搬送通路(15)に沿って搬送される紙幣の表面画像を走査するスキャナ(16)と、カメラ装置(4)から送信される顔画像情報とスキャナ(16)から送信される紙幣画像情報とを記憶する鑑別記憶装置(18)と、入口センサ(13)の紙幣検出信号を受信して紙幣搬送装置(17)を駆動しかつ顔画像情報と紙幣画像情報を受信した時刻と共に、画像情報を鑑別記憶装置(18)に記憶させる鑑別制御装置(14)と、鑑別制御装置(14)に時刻信号を付与する計時装置(36)と、鑑別記憶装置(18)に記憶する顔画像情報と紙幣画像情報を紙幣収納装置(2)の収納送受信装置(21)を介して収納記憶装置(22)に記憶させる鑑別送受信装置(3)と、各アンテナのオン・オフを切り替えて、通信時の混信を防止する切替回路(19)とを備える。
【0017】
鑑別制御装置(14)は、鑑別記憶装置(18)に記憶される紙幣の表面画像情報を鑑別記憶装置(18)から必要に応じて読み出すことができる。紙幣収納装置(2)の収納送受信装置(21)は、鑑別送受信装置(3)のアンテナ(11)と遠隔通信を行うアンテナ(31)を備え、紙幣鑑別装置(1)の切替回路(19)は、鑑別送受信装置(3)のアンテナ(11)とインターフェイス(80)のアンテナ(91)との通信と、鑑別送受信装置(3)のアンテナ(11)と収納送受信装置(21)のアンテナ(31)との通信とをオン状態又はオフ状態に切り替える。携帯端末(70)とインターフェイス(80)との間で通信を行う遠隔通信受信可能状態では、切替回路(19)は、鑑別送受信装置(3)のアンテナ(11)と収納送受信装置(21)のアンテナ(31)との通信をオフ状態に維持して、混信を防止しつつ、鑑別送受信装置(3)のアンテナ(11)とインターフェイス(80)のアンテナ(91)との通信をオン状態に維持して、携帯端末(70)とインターフェイス(80)との通信を許容する。紙幣受領可能状態では、切替回路(19)は、鑑別送受信装置(3)のアンテナ(11)とインターフェイス(80)のアンテナ(91)との通信をオフ状態に維持して、混信を防止しつつ、鑑別送受信装置(3)のアンテナ(11)と収納送受信装置(21)のアンテナ(31)との通信をオン状態に維持して、紙幣収納装置(2)の収納送受信装置(21)と鑑別送受信装置(3)との通信を許容する。
【0018】
ベゼル(8)のインターフェイス(80)及び紙幣鑑別装置(1)を必要に応じて、ネットワークインターフェイス(81)に通信接続して、ネットワークインターフェイス(81)を介して、ゲーム機(82)、ホストサーバ(100)及び警報装置(101)に接続してもよい。
【0019】
図3に示すように、ベゼル(8)は、紙幣鑑別装置(1)の筐体(1a)に固定される枠体(4a)と、枠体(4a)に取り付けられて利用者の顔又は上半身の画像(映像)をカラー又は白黒により撮影するカメラ装置(4)と、カメラ装置(4)を覆って枠体(4a)に着脱自在に取り付けられる蓋(4c)とを備える。枠体(4a)は、樹脂材料により形成され、蓋(4c)は、ガラス材料又は樹脂材料で形成される。蓋(4c)は、蒸着又は塗布によりニッケル、銀又はアルミニウム等の光透過性かつ光反射性の金属薄膜で被覆したガラス又はアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の光透過性の合成樹脂により形成され、所謂ハーフミラー又はマジックミラーと呼ばれる構造を構成する。
【0020】
ハーフミラーの可視光線透過率は、30%~70%、特に、利用者が枠体(4a)内のカメラ装置(4)を目視困難かつカメラ装置(4)により利用者を撮影可能な50%が好ましい。ねじ又は弾性係止爪等の構造で枠体(4a)に蓋(4c)を着脱自在に取り付けると、蓋(4c)は、カメラ装置(4)を覆いかつカメラ装置(4)を収容する暗室(4d)が形成される。カメラ装置(4)は、図示しないシャッタと、紙幣鑑別装置(1)の鑑別制御装置(14)に駆動接続されて、適切な時期にシャッタを開閉する駆動装置とを備える。シャッタは、グローバルシャッタ又はローリングシャッタから選択できる。フレーム全体を一度に撮影するグローバルシャッタを選択して、利用者の正面画像を短時間に撮影できる。枠体(4a)と共にカメラ装置(4)を収容する暗室(4d)を形成する光透過性の蓋(4c)は、暗室(4d)外からの光を反射して、暗室(4d)内のカメラ装置(4)の外部からの目視を阻止する。また、蓋(4c)で覆われるカメラ装置(4)に対する悪戯を防止できる。更に、取得した利用者の顔画像情報を保存して、利用者の利用履歴を作成できる。紙幣鑑別装置(1)が不正な紙幣を受理したときの利用者の顔画像から犯行者を特定でき、防犯に役立つ。
【0021】
枠体(4a)は、紙幣鑑別装置(1)の正面に垂直に取り付けられる背板(4e)と、背板(4e)に水平に固定されて紙幣を挿入する装入枠(4f)と、装入枠(4f)の頂部に設けられてカメラ装置(4)を支持する支持台(4g)とを備える。背板(4e)に固定される装入枠(4f)の支持台(4g)にカメラ装置(4)が固定されるが、図3及び図5に示すように、カメラ装置(4)のレンズ(42)の中心光軸は、水平面に対し角度15°~30°傾斜して配置され、カメラ装置(4)が写し込む画角範囲45°~80°にカメラ装置(4)が固定され、ベゼル(8)の前方に着座する利用者の顔面を確実に撮影できる。
【0022】
図3及び図4に示すように、装入枠(4f)の支持台(4g)は、ねじ孔(4h)を有し、カメラ装置(4)は、利用者の顔面からの光が入射するレンズ(42)を支持するカメラ本体(41)と、貫通孔(45)が形成されてカメラ本体(41)から突出するブラケット(46)とを備える。図6及び図7に示すように、枠体(4a)の装入枠(4f)のねじ孔(4h)とブラケット(46)の貫通孔(45)とにねじ(50)を垂直に装着すると、ねじ(50)軸周りにカメラ本体(41)を回転可能に配置して、垂直なねじ(50)軸周りの水平面上でカメラ装置(4)を回転できる。このため、カメラ装置(4)のレンズ(42)の水平撮影方向、即ち利用者の顔面に対する左右方向を変更して、適切な撮影角度にカメラ装置(4)を設定し保持することができる。カメラ装置(4)は、蓋(4c)を通じて紙幣鑑別装置(1)の前面に着座する利用者の顔画像を撮影して、顔画像情報を紙幣鑑別装置(1)内に保存できる。
【0023】
カメラ装置(4)のねじ(50)軸周りの回転を一時的に固定するため、図4に示す実施の形態では、周方向に間欠的な環状突起(27)を枠体(4a)の支持台(4g)に設けると共に、周方向に間欠的な環状凹部(28)をカメラ本体(41)のブラケット(46)に設けて、カメラ本体(41)を枠体(4a)の支持台(4g)上に配置したとき、環状突起(27)が環状凹部(28)に篏合して、ブラケット(46)とカメラ装置(4)の回転を阻止できる。ねじ(50)を緩めて、ブラケット(46)を支持台(4g)から僅かに上昇させると、環状突起(27)の篏合が環状凹部(28)から外れて、ブラケット(46)とカメラ装置(4)とを回転して、所望の回転角度位置で環状突起(27)を環状凹部(28)に篏合して、カメラ装置(4)の回転を阻止することができる。
【0024】
この篏合構造では、逆に環状突起(27)をブラケット(46)に設け、環状凹部(28)を支持台(4g)に設けられる。従って、枠体(4a)の支持台(4g)とカメラ本体(41)のブラケット(46)との一方に環状突起(27)を設け、支持台(4g)とブラケット(46)の他方に環状凹部(28)を設けて、環状凹部(28)内に回転可能に環状突起(27)を嵌合できる。このように、環状突起(27)を環状凹部(28)内に回転可能に嵌合して、ねじ(50)を緩めない限り、環状突起(27)及び環状凹部(28)周りにカメラ装置(4)を回転可能に確実に支持することができる。
【0025】
図3に示す枠体(4a)は、紙幣鑑別装置(1)の正面に垂直に取り付けられる背板(4e)と、背板(4e)に水平に固定されて紙幣を挿入する装入枠(4f)と、装入枠(4f)の頂部に設けられてカメラ装置(4)を支持する支持台(4g)とを備える。枠体(4a)の背板(4e)は、例えば、ねじ、弾性係止爪又はフック等の図示しない公知の手段により、紙幣鑑別装置(1)の正面に着脱自在に取り付けられる。図8図10に示すように、紙幣鑑別装置(1)、ベゼル(8)及び紙幣収納装置(2)を有する紙幣処理装置の組み立て時に、ベゼル(8)の枠体(4a)に蓋(4c)を取り付ける前又は後に、ベゼル(8)を紙幣鑑別装置(1)に取り付けると共に、ハンドルの付いた箱状の紙幣収納装置(2)が紙幣鑑別装置(1)に装着される。ベゼル(8)内のカメラ装置(4)及びインターフェイス(80)と紙幣鑑別装置(1)の正面に設けられる出入力部とを有線接続して、紙幣鑑別装置(1)からカメラ装置(4)及びインターフェイス(80)に電力供給すると共に、カメラ装置(4)及びインターフェイス(80)と紙幣鑑別装置(1)との間で情報通信が可能となる。
【0026】
枠体(4a)の装入枠(4f)は、紙幣鑑別装置(1)の紙幣入口(12)に連絡する挿入口(5)を備える。装入枠(4f)の上部に支持台(4g)が形成され、蓋(4c)は、暗室(4d)内のカメラ装置(4)を覆う湾曲上部(9)と、湾曲上部(9)の下部に一体接合される矩形枠(10)とを備える。蓋(4c)の矩形枠(10)内に挿入される紙幣は、装入枠(4f)の挿入口(5)を通り、紙幣鑑別装置(1)の紙幣入口(12)に設けられる入口センサ(13)により検出される。紙幣鑑別装置(1)の紙幣入口(12)に設けられる入口センサ(13)により紙幣の挿入を検出するので、ベゼル(8)には、紙幣検出器を設ける必要がない。
【0027】
紙幣鑑別装置(1)の入口センサ(13)は、装入枠(4f)の挿入口(5)に挿入される紙幣を検出して、検出信号を発生し、入口センサ(13)の検出信号により、紙幣鑑別装置(1)の紙幣搬送装置(17)が起動される同時に、カメラ装置(4)内蔵のシャッタが連続開閉されて、カメラ装置(4)の連写撮影が行われる。入口センサ(13)の検出信号の発生に同期して、紙幣鑑別装置(1)の紙幣搬送装置(17)を起動する同時に、カメラ装置(4)のシャッタを駆動するので、ベゼル(8)の正面に着座する利用者の顔面画像をカメラ装置(4)により確実に撮影することができる。
【0028】
枠体(4a)は、装入枠(4f)の奥に配置されて紙幣鑑別装置(1)の前面で枠体(4a)に固定される接続装置(4b)を備え、接続装置(4b)は、装入枠(4f)の背部に配置される。装入枠(4f)の挿入口(5)と接続装置(4b)は、装入枠(4f)に挿入される紙幣を紙幣鑑別装置(1)の紙幣入口(12)に案内して、挿入される紙幣を確実に紙幣入口(12)と入口センサ(13)に案内する。
【0029】
装入枠(4f)の挿入口(5)を通じて紙幣入口(12)に紙幣を挿入すると、入口センサ(13)は、紙幣が紙幣鑑別装置(1)に挿入される毎に、紙幣を検出して検出信号を発生し、鑑別制御装置(14)に検出信号を送信する。検出信号を受信する鑑別制御装置(14)は、紙幣搬送装置(17)を駆動すると共に、スキャナ(16)とカメラ装置(4)のシャッタ駆動装置とを作動する。このため、スキャナ(16)は、搬送通路(15)に沿って搬送される紙幣の表面画像を走査すると共に、カメラ装置(4)は、利用者の変化する顔画像を連写するので、鑑別制御装置(14)は、入口センサ(13)が検出信号を発生した直後に取得する顔画像情報と紙幣の表面画像情報とを対として、計時装置(36)からの現時刻表示と共に鑑別記憶装置(18)に記憶させる。
【0030】
紙幣鑑別装置(1)の鑑別制御装置(14)は、スキャナ(16)が走査した紙幣画像を鑑別記憶装置(18)に記録される正規の紙幣画像と比較する。走査した紙幣画像が正規の紙幣画像と同一(真札)と鑑別制御装置(14)が判断すると、鑑別制御装置(14)は、紙幣搬送装置(17)を駆動して、紙幣を紙幣収納装置(2)に搬送して、紙幣収納装置(2)に収容すると共に、鑑別制御装置(14)は、鑑別送受信装置(3)及びそのアンテナ(11)を通じて、紙幣収納装置(2)の収納送受信装置(21)及びそのアンテナ(31)にデジタル金銭情報を送信するので、紙幣収納装置(2)の収納記憶装置(22)は、そのデジタル金銭情報を記憶する。
【0031】
スキャナ(16)が走査した紙幣画像を鑑別記憶装置(18)に記録される正規の紙幣画像と比較して、走査した紙幣画像が正規の紙幣画像に一致しないと鑑別制御装置(14)が判断すると、鑑別制御装置(14)は、紙幣搬送装置(17)を逆転して、不受理紙幣を搬送通路(15)の紙幣入口(12)に戻すため、利用者は、ベゼル(8)の挿入口(5)を通じて搬送通路(15)の紙幣入口(12)から紙幣を受け取ることができる。しかし、不受理紙幣の金銭情報は、真札と同様に、紙幣収納装置(2)の収納送受信装置(21)及びそのアンテナ(31)にデジタル金銭情報を送信するので、紙幣収納装置(2)の収納記憶装置(22)は、そのデジタル金銭情報を記憶する。
【0032】
図11は、ベゼル(8)と、ベゼル(8)の動作に連携する紙幣鑑別装置(1)の動作シーケンスを表すフローチャートを示す。ステップ200では、ベゼル(8)と紙幣鑑別装置(1)は、待機状態に保持され、ベゼル(8)の前面に配置される座席に利用者が着席(ステップ201)して、ベゼル(8)の挿入口(5)を通じて、紙幣鑑別装置(1)の搬送通路(15)に紙幣を挿入すると、入口センサ(13)が紙幣を検出してオンとなり検出信号(ステップ202)を発生して、ステップ203に進むが、紙幣をベゼル(8)に挿入しないと、動作状態は、ステップ200に戻される。
【0033】
紙幣を検出する入口センサ(13)の検出信号は、鑑別制御装置(14)に送信され、検出信号を受信する鑑別制御装置(14)は、カメラ装置(4)を駆動するので、カメラ装置(4)は、利用者の顔画像を連写する。カメラ装置(4)は、利用者の変化する顔画像を連写して、顔画像ピクセル単位が、0.9以上の相互一致割合の複数の顔画像情報を紙幣鑑別装置(1)の鑑別制御装置(14)に送信(ステップ203)し、鑑別制御装置(14)は、鑑別記憶装置(18)に顔画像情報を記憶させる(ステップ204)。逆に、利用者が動いて非静止状態で連写すると、顔画像情報が変化して連写するピクセル単位で顔画像情報の相互に一致する割合が0.9に満たず、動作工程は、ステップ203に戻される。カメラ装置(4)は、利用者が着座する静止状態にあり、連写する各ピクセルの顔画像情報の相互に一致する割合が、0.9以上のとき、利用者が静止状態で着座したと判断して、鑑別制御装置(14)は、連写映像顔画像を鑑別記憶装置(18)に記憶して、ステップ203から204に移行する。
【0034】
その後、処理は、ステップ205に進み、鑑別制御装置(14)は、鑑別送受信装置(3)及びそのアンテナ(11)及び収納送受信装置(21)及びそのアンテナ(31)を通じて、スキャナ(16)が走査した紙幣画像を収納送受信装置(21)に送信して、収納記憶装置(22)に記憶させる。これと同時に、紙幣の真贋判断を行うため、鑑別制御装置(14)は、紙幣搬送装置(17)を駆動して、一時保留(エスクロウ)位置に紙幣を移動して、停止させる。
【0035】
次に、鑑別制御装置(14)は、カメラ装置(4)から利用者の顔画像情報を鑑別制御装置(14)に転送(ステップ206)し、良好な顔画像情報を選定する(ステップ207)。更に、鑑別制御装置(14)は、スキャナ(16)が走査した紙幣画像を鑑別記憶装置(18)に記録される正規の紙幣画像と比較する鑑別を行う(ステップ208、209)。ステップ209では、鑑別制御装置(14)は、走査した紙幣画像が正規の紙幣画像に一致しないと判断すると、紙幣搬送装置(17)を逆転して、不受理紙幣を搬送通路(15)の入口に戻す(ステップ211)ため、利用者は、搬送通路(15)の紙幣入口(12)で紙幣を受け取ることができる。しかし、不受理紙幣の金銭情報も、真札と同様に、紙幣収納装置(2)の収納送受信装置(21)及びそのアンテナ(31)にデジタル金銭情報を送信するので、紙幣収納装置(2)の収納記憶装置(22)は、そのデジタル金銭情報を記憶する。
【0036】
ステップ209で紙幣を真札を判断するとき、鑑別制御装置(14)は、紙幣搬送装置(17)を駆動して、紙幣を紙幣収納装置(2)に搬送して、紙幣収納装置(2)に収容する(ステップ210)と共に、鑑別制御装置(14)は、鑑別送受信装置(3)及びそのアンテナ(11)を通じて、紙幣収納装置(2)の収納送受信装置(21)及びそのアンテナ(31)にデジタル金銭情報を送信する。紙幣収納装置(2)の収納記憶装置(22)は、そのデジタル金銭情報を記憶すると共に、デジタル金銭情報と顔画像情報は、更に上位のホストサーバ(100)に送信される(ステップ212)。
【0037】
最後に、ステップ213に進み、鑑別制御装置(14)は、同一の利用者が引続き次の紙幣をベゼル(8)に挿入したか判断する。このとき、入口センサ(13)の検出信号が発生しないとステップ200に戻り、別の紙幣が挿入されると、ステップ203に戻される。
【0038】
図12は、本発明の紙幣処理装置の動作シーケンスのフローチャートを示す。待機状態のステップ220から221に進むと、切替回路(19)は、各アンテナを遠隔信号受信可能状態に維持する。即ち、動作シーケンスの初期には、紙幣鑑別装置(1)の鑑別制御装置(14)は、切替回路(19)により、鑑別送受信装置(3)のアンテナ(11)とインターフェイス(80)のアンテナ(91)との通信をオンに切り替えると共に、鑑別送受信装置(3)のアンテナ(11)と収納送受信装置(21)のアンテナ(31)との通信をオフに切り替えて、遠隔信号受信可能状態を保持する。次に、ステップ222では、鑑別制御装置(14)は、入口センサ(13)の検出信号の有無により紙幣が紙幣入口(12)に挿入されたか否か判断する。紙幣が紙幣入口(12)に挿入されないと、鑑別制御装置(14)は、ステップ223で遠隔信号を受信したか否か判断する。遠隔信号を受信しないと、ステップ220に戻り、遠隔信号を受信すると、ステップ224に進み、遠隔信号情報を鑑別制御装置(14)に転送した後、これを紙幣収納装置(2)に転送して、遠隔信号に含まれる電子通貨を収納記憶装置(22)に記憶させ、蓄積して、ステップ220に戻る。携帯端末(70)の電子通貨情報を紙幣収納装置(2)の収納記憶装置(22)に記憶するとき、鑑別送受信装置(3)のアンテナ(11)と収納送受信装置(21)のアンテナ(31)との通信をオフ状態に維持しつつ、鑑別送受信装置(3)のアンテナ(11)とインターフェイス(80)のアンテナ(91)との通信をオン状態に維持し、携帯端末(70)の電子通貨情報をインターフェイス(80)と鑑別送受信装置(3)を介して鑑別記憶装置(18)に一時的に記憶する。その後、鑑別送受信装置(3)のアンテナ(11)とインターフェイス(80)のアンテナ(91)との通信をオフ状態に維持しつつ、鑑別送受信装置(3)のアンテナ(11)と収納送受信装置(21)のアンテナ(31)との通信をオン状態に維持し、鑑別記憶装置(18)に一時記憶した電子通貨情報を鑑別送受信装置(3)と収納送受信装置(21)を介して収納記憶装置(22)に記憶する。
【0039】
ステップ222にて、紙幣が挿入されると、入口センサ(13)の検出信号が発生するため、鑑別制御装置(14)は、切替回路(19)により、鑑別送受信装置(3)のアンテナ(11)とインターフェイス(80)のアンテナ(91)との通信をオフに切り替えると共に、鑑別送受信装置(3)のアンテナ(11)と収納送受信装置(21)のアンテナ(31)との通信をオンに切り替えるので、紙幣鑑別装置(1)は、紙幣受領可能状態(ステップ226)に切り替えられ、鑑別制御装置(14)は、紙幣搬送装置(17)を駆動(ステップ227)して搬送通路(15)に沿って紙幣を移動すると共に、スキャナ(16)を駆動して、搬送通路(15)を通過する紙幣の表面画像を光学的に走査する(ステップ228)。搬送通路(15)の一時停止(エスクロウ)位置に紙幣が到達すると、紙幣搬送装置(17)が停止され、鑑別制御装置(14)は、スキャナ(16)から得られる紙幣画像情報から紙幣の真贋を判断する(ステップ229)。
【0040】
ステップ230では、鑑別制御装置(14)は、鑑別制御装置(14)に記憶される正規の紙幣パターンと搬送された紙幣のパターンとを紙幣が真札か否か判断し、紙幣画像の両パターンが一致しないと、ステップ233に進んで、紙幣搬送装置(17)を逆転して、紙幣入口(12)に戻して、紙幣を返却し、ステップ220に戻される。ステップ230にて紙幣画像の両パターンが一致すると、ステップ231に進み、一時停止位置から紙幣収納装置(2)に真札を搬送して、収納すると共に、紙幣鑑別装置(1)の鑑別送受信装置(3)、アンテナ(11)、紙幣収納装置(2)のアンテナ(31)及び収納送受信装置(21)を介して、収納記憶装置(22)に紙幣情報が記憶され(ステップ232)て、ステップ220に戻る。紙幣情報は、紙幣画像、紙幣の金種、枚数、紙幣番号及び投入した紙幣に関連する利用者の顔画像を含む。
【0041】
このように、紙幣鑑別装置(1)は、ベゼル(8)の挿入口(5)を通じて利用者が挿入する紙幣を識別して、真札と認められる紙幣を紙幣収納装置(2)に搬送してそこに収納する。また、利用者が携帯端末(70)から遠隔通信により電子通貨情報を送信すると、ベゼル(8)のインターフェイス(80)を通じて、紙幣鑑別装置(1)の鑑別送受信装置(3)は、電子通貨情報を受信して、紙幣収納装置(2)の収納送受信装置(21)に電子通貨情報を送信して、収納記憶装置(22)に電子通貨情報を記憶させるので、携帯端末(70)から送信される電子通貨情報を収納記憶装置(21)に確実に記憶することができる。
【0042】
図13は、図12のフローチャートのステップ224及び225をステップ234~237に部分的に変更したフローチャートであり、残るステップは、図12と実質的に同一である。本発明の第二の紙幣処理装置の動作時に、図13に示すように、ステップ223にてアンテナ(91)を介してインターフェイス(80)が要求情報を含む遠隔信号情報を携帯端末(70)から受信し、紙幣鑑別装置(1)の鑑別送受信装置(3)は、インターフェイス(80)が送信する要求情報を受信して、ステップ234に進み、遠隔信号情報を鑑別制御装置(14)に転送した後、鑑別制御装置(14)は、ステップ235にて、受信した要求情報に対応する情報を収納記憶装置(22)から検索して、ステップ236にて検索した金銭情報をインターフェイス(80)を介して携帯端末(70)に送信し、ステップ237にて、携帯端末(70)は、受信した金銭情報を表示部(75)に表示する。収納記憶装置(22)の金銭情報を携帯端末(70)の表示部(75)に表示するとき、鑑別送受信装置(3)のアンテナ(11)とインターフェイス(80)のアンテナ(91)との通信をオフ状態に維持しつつ、鑑別送受信装置(3)のアンテナ(11)と収納送受信装置(21)のアンテナ(31)との通信をオン状態に維持し、収納記憶装置(22)の金銭情報を収納送受信装置(21)と鑑別送受信装置(3)を介して鑑別記憶装置(18)に一時的に記憶する。その後、鑑別送受信装置(3)のアンテナ(11)と収納送受信装置(21)のアンテナ(31)との通信をオフ状態に維持しつつ、鑑別送受信装置(3)のアンテナ(11)とインターフェイス(80)のアンテナ(91)との通信をオン状態に維持し、鑑別記憶装置(18)に一時記憶した金銭情報を鑑別送受信装置(3)と送受信部(74)を介して記憶部(72)に記憶して表示部(75)に表示する。
【0043】
図14は、携帯端末(70)の金銭情報画面を表示する表示部(75)の例を示す。例えば、金銭情報は、金種毎に紙幣鑑別装置(1)に挿入した紙幣の枚数及び電子マネーの送金回数が表示される。この場合に、金銭情報に加えて、各紙幣に対応する顔画像を収納記憶装置(22)から検索して、検索した金銭情報及び顔画像情報をインターフェイス(80)を介して携帯端末(70)に送信し、ステップ237にて、携帯端末(70)の表示部(75)に受信した顔画像情報と金銭情報を表示できる。カメラ装置(4)から送信される顔画像情報とスキャナ(16)から送信される紙幣画像情報とを鑑別記憶装置(18)に一時的に記憶し、携帯端末(70)に送信して表示部(75)に表示するので、例えば、紙幣処理装置の管理者は、管理者の携帯端末(70)に顔画像情報と紙幣画像情報とを送信して表示部(75)に表示し、入金額に疑義を唱える利用者に提示することができる。顔画像情報は、ネットワークインターフェイス(81)を介して紙幣鑑別装置(1)に通信接続されるホストサーバ(100)に記憶され、紙幣画像情報は、紙幣収納装置(2)の収納記憶装置(22)に記憶され、その後、鑑別記憶装置(18)から顔画像情報及び紙幣画像情報が消去される。
【0044】
前記のように、利用者が紙幣鑑別装置(1)に挿入する真札の紙幣は、紙幣収納装置(2)に収納されると同時に、紙幣鑑別装置(1)は、紙幣収納装置(2)の収納送受信装置(21)に紙幣の識別情報を送信し、収納記憶装置(22)は、収納送受信装置(21)から送信される紙幣情報を記憶する。収納記憶装置(22)に蓄積される金銭情報を要求する利用者は、携帯端末(70)からベゼル(8)のインターフェイス(80)に要求情報を送信すると、鑑別送受信装置(3)は、インターフェイス(80)が送信する要求情報を受信して、紙幣収納装置(2)の収納送受信装置(21)に送信する。このとき、収納送受信装置(21)は、受信した要求情報に対応する情報を収納記憶装置(22)から検索して、検索した情報をインターフェイス(80)を介して携帯端末(70)に送信し、携帯端末(70)は、受信した金銭情報を表示部(75)に表示するので、利用者は、表示部(75)の表示画面を目視して、金銭情報を確認することができる。
【0045】
図示しないが、ゲーム機、現金自動預払機、券売機、精算機又は自動販売機等の紙幣取扱装置では、開閉可能に紙幣取扱装置に取り付けられるドアの内側で紙幣取扱装置内に紙幣鑑別装置(1)が配置され、ベゼル(8)は、紙幣鑑別装置(1)に固定されてドアの閉扉時にドアに形成される開口(20)を通じて外側に突出して保持される。よって、本発明の紙幣処理装置では、携帯端末(70)から電子通貨情報を受信するインターフェイス(80)を内蔵したベゼル(8)により、紙幣鑑別装置(1)を分解せずかつ紙幣取扱装置の筐体に穴を開けずに、既に設置された紙幣鑑別装置(1)及び紙幣取扱装置に、インターフェイス(80)による電子通貨受領機能と紙幣収納装置(2)の金銭情報表示機能を容易かつ安価に付加することができる。
【0046】
本発明の紙幣処理装置では、紙幣及びクーポン券等の有価紙葉と電子マネー及び仮想通貨(暗号資産)等の電子通貨との両方を紙幣収納装置(2)の収納記憶装置(22)に記憶し、紙幣取扱装置への入金総額を記録しかつ管理できる。例えば、カジノに設置される複数のゲーム機(82)に本発明の紙幣処理装置を使用すると、カジノ管理者は、管理端末(102)で収納記憶装置(22)の記憶情報を読み出して、各ゲーム機(82)の売上金額を正確に把握できる。
【0047】
本発明の実施の形態は、変更が可能である。例えば、ネットワークインターフェイス(81)を介して、ベゼル(8)のインターフェイス(80)をゲーム機(82)、危険人物の顔画像を記憶するホストサーバ(100)及び警報装置(101)に接続して、カメラ装置(4)の光電素子(43)から送信される画像情報をホストサーバ(100)の危険人物の顔画像と比較して、これらが一致したときに、紙幣鑑別装置(1)の作動を停止し又は警報装置(101)を作動して、周囲に対し視覚的又は音響的警報信号を発生して、高い防犯効果が得られる。
【0048】
前記実施の形態では、利用者が携帯端末(70)から電子通貨情報をベゼル(8)に送信して、電子通貨情報を収納記憶装置(22)に記憶させ、更に収納記憶装置(22)に記憶する電子通貨情報を利用者が自身の携帯端末(70)に読み出す例を説明したが、例えば、カジノの係員が業務により収納記憶装置(22)に記憶する電子通貨情報を自身の携帯端末(70)に読み出すことも可能である。
【0049】
前記実施の形態では、ベゼル(8)内に設けられるインターフェイス(80)を、ベゼル(8)に代えて又は追加して紙幣鑑別装置(1)に設けてもよい。携帯端末(70)から送信される電子通貨情報を紙幣鑑別装置(1)のインターフェイス(80)により受信し、紙幣収納装置(2)は、紙幣鑑別装置(1)の鑑別送受信装置(3)から送信される電子通貨情報を収納送受信装置(21)により受信して、収納記憶装置(22)に電子通貨情報を記憶することができる。
【0050】
前記実施の形態では、入口センサ(13)による紙幣の検出信号によりカメラ装置(4)を起動するが、何等かのセンサにより紙幣投入前の利用者の動作又は利用者の接近を検知してカメラ装置(4)を駆動してもよい。また、自動車のドライブレコーダと同様に、カメラ装置(4)を常時駆動し、カメラ装置(4)の撮影画像を一時的に記憶装置に記録しておき、紙幣の投入を検知すると、その前後の画像を切り出し、最も画像の記録又は認識に適する利用者の顔画像を取得してもよい。なお、顔認識に最適な顔画像の選択は、目、鼻、耳等の顔構成部分について、特徴点のシンメトリー(左右対称性)が所定割合以上一致する場合等であるが、公知のアルゴリズムで処理する当該方法の説明を省略する。
【0051】
本発明のベゼル(8)を活用する様々な運用法が可能である。例えば、顔認証の利用用途では、顧客管理(ブラックリスト、ロイヤル顧客リスト)、利用者情報管理(性別、年齢、客風、時間帯、購入好み等)が挙げられる。また、本実施の形態の紙幣処理装置は、紙幣及びクーポン券等の有価紙葉に限らず、運転免許証、パスポート、IDカード等の本人確認書類を読み込み可能としてもよい。この場合、紙幣処理装置により、カメラ装置(4)が撮影した顔画像と本人確認書類とを比較して、利用者の本人確認を実施できる。更に、カメラ装置(4)が撮影した顔画像を利用して、ギャンブル依存症(個人申告)の登録等のアプリケーションを紙幣処理装置で実施してもよい。
【0052】
カメラ装置(4)により2次元コードを読み取り可能としてもよい。これによりキャッシュレス電子決済に対応することができる。また、スマートフォン等の携帯端末(70)の表示部(75)に表示した2次元コードを読み込み、購入メニュー等の操作端末として利用してもよい。更に、入場料の支払い、入退室管理、会員証、プレーヤーズカード、アワードカード、自動販売機での購入時のクーポン券の受け取り(商品交換、割引、ポイント付加)、食券購入時のクーポン券の受け取り(商品交換、割引、ポイント付加等)、レンタル機器(自動販売機)の返却管理、交通定期券の代用、納金端末のID管理、レジ入金端末のID管理、ガソリンスタンドの支払い(割引、ポイント付加)、セルフレジ支払い(割引、ポイント付加)に本発明を利用してもよい。
【0053】
カメラ装置(4)の撮影は、体温検知、暗視カメラ、TITOチケットの代用(顔認証)、プレーヤーズカード又はアワードカードの代用(顔認証)、運転免許書と顔の複合認証(なりすまし防止)、ゲーミング市場でのプレーヤー観察、顔認証支払い、機器いたずら時の証拠記録、人々の動線又は混み具合情報への活用、モーションコントロールの活用、ゲームの表情読み取りによる嗜好分析、犯罪心理による行動分析に利用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の紙幣処理装置は、挿入される紙幣の真贋を識別する既存の紙幣鑑別装置の前部にベゼルを取り付け、ベゼルに設けられるインターフェイスを介して、携帯端末から電子通貨情報を紙幣収納装置の収納記憶装置に記憶し蓄積できるから、紙幣に加えて、ゲーム機、現金自動預払機、券売機、精算機又は自動販売機等に電子マネーを蓄積し又は蓄積された電子通貨情報を目視することができる。
【符号の説明】
【0055】
(1)・・紙幣鑑別装置、 (4)・・カメラ装置、 (4b)・・接続装置、 (4a)・・枠体、 (4c)・・蓋、 (4d)・・暗室、 (4f)・・装入枠、 (4g)・・支持台、 (4h)・・ねじ孔、 (5)・・挿入口、 (8)・・ベゼル、 (9)・・湾曲上部、 (10)・・矩形枠、 (11)・・アンテナ、 (12)・・紙幣入口、 (13)・・入口センサ、 (14)・・鑑別制御装置、 (15)・・搬送通路、 (16)・・スキャナ、 (17)・・紙幣搬送装置、 (18)・・鑑別記憶装置、 (20)・・開口、 (21)・・収納送受信装置、 (22)・・収納記憶装置、 (27)・・環状突起、 (28)・・環状凹部、 (41)・・カメラ本体、 (42)・・レンズ、 (43)・・光電素子、 (45)・・貫通孔、 (50)・・ねじ、 (70)・・携帯端末、 (80)・・インターフェイス、 (81)・・ネットワークインターフェイス、 (82)・・ゲーム機、 (100)・・ホストサーバ、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14