(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104008
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】食鳥屠体上半部搬出用シュート
(51)【国際特許分類】
A22C 21/00 20060101AFI20230721BHJP
【FI】
A22C21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004735
(22)【出願日】2022-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】504225356
【氏名又は名称】プライフーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095245
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】市来 清臣
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011FA01
4B011FA02
(57)【要約】
【課題】 コンベアから落下した食鳥屠体上半部の向きを一定にする機能を備える食鳥屠体搬出用シュートを提供する。
【解決手段】 両脚部を把持したシャックルを介して胸部をコンベアの進行方向に正対させ且つ後傾してコンベアに懸吊された食鳥の中抜き屠体を、腿肉と背中の一部とを含む下半部と肋骨を含む胸部と背中の残余部を含む上半部とに切断する一対の回転カッターの下方に配設され、下に凸の横断面を有し上方から見てコンベアに重畳して延在し且つ下方へ傾斜して延在する食鳥屠体上半部搬出用のシュートであって、両内側面が上に向けて裾広がりに傾斜しており、内側面下部での両内側面間の水平距離が、食鳥屠体上半部の胸部横幅よりも狭い。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両脚部を把持したシャックルを介して胸部をコンベアの進行方向に正対させ且つ後傾してコンベアに懸吊された食鳥の中抜き屠体を、腿肉と背中の一部とを含む下半部と肋骨を含む胸部と背中の残余部を含む上半部とに切断する一対の回転カッターの下方に配設され、下に凸の横断面を有し上方から見てコンベアに重畳して延在し且つ下方へ傾斜して延在する食鳥屠体上半部搬出用のシュートであって、両内側面が上に向けて裾広がりに傾斜しており、内側面下部での両内側面間の水平距離が、食鳥屠体上半部の胸部横幅よりも狭いことを特徴とする食鳥屠体上半部搬出用シュート。
【請求項2】
内底面が平面であることを特徴とする請求項1に記載の食鳥屠体上半部搬出用シュート。
【請求項3】
内底面が曲面であることを特徴とする請求項1に記載の食鳥屠体上半部搬出用シュート。
【請求項4】
内側面が平面であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の食鳥屠体上半部搬出用シュート。
【請求項5】
内側面が曲面であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の食鳥屠体上半部搬出用シュート。
【請求項6】
内側面の上部が他部よりも大きな傾斜で立ち上がっていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の食鳥屠体上半部搬出用シュート。
【請求項7】
内側面の上部が鉛直に立ち上がっていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の食鳥屠体上半部搬出用シュート。
【請求項8】
上方から見てコンベアの進行方向と同一方向へ延在することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の食鳥屠体上半部搬出用シュート。
【請求項9】
上方から見てコンベアの進行方向と逆方向へ延在することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の食鳥屠体上半部搬出用シュート。
【請求項10】
食鳥屠体上半部搬出用シュートの下方への傾斜が、カッターの近傍では大きく、カッターから離隔するのに従って減少することを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の食鳥屠体上半部搬出用シュート。
【請求項11】
多数の従動ローラー及び又は駆動ローラーの包絡面が平面の内底面を形成することを特徴とする請求項2に記載の食鳥屠体上半部搬出用シュート。
【請求項12】
ベルトコンベアが平面の内底面を形成することを特徴とする請求項2に記載の食鳥屠体上半部搬出用シュート。
【請求項13】
多数の従動ローラー及び又は駆動ローラーの包絡面が平面の内側面を形成することを特徴とする請求項4に記載の食鳥屠体上半部搬出用シュート。
【請求項14】
ベルトコンベアが平面の内側面を形成することを特徴とする請求項4に記載の食鳥屠体上半部搬出用シュート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食鳥の中抜き屠体から切断分離された食鳥屠体上半部の搬出用シュートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、両脚部を把持したシャックル1を介して胸部をコンベア2の進行方向に正対させ且つ後傾させて食鳥の中抜き屠体100をコンベア2に懸吊し、一対の回転カッター3を用いて前記食鳥の中抜き屠体100を腿肉と背中の一部とを含む下半部101と、肋骨を含む胸部と背中の残余部を含む上半部102とに切断する分離装置Aが特許文献1に開示されている。
図1に示すように、カッター3の下方には、下に凸の横断面を有し上方から見てコンベア2と重畳し且つ下方へ傾斜して延在し、分離された食鳥屠体上半部102を後処理工程の作業場へ搬出するためのシュート4’が配設される。
従来、シュート4’は
図1に示すように、単純な幅広の溝型部材であり内底面は平面であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の搬出用のシュート4’は、
図1に示すように単純な幅広の溝型部材であり内底面が平面だったので、コンベア2から落下した食鳥屠体上半部102を位置決めする機能がなく、
図1から分かるようにシュート4’の内底面上で、食鳥屠体上半部102の向きがばらばらで一定しなかった。この結果、後工程の作業効率が低下していた。
従って本発明は、コンベア2から落下した食鳥屠体上半部102の向きを一定にする機能を備える、食鳥屠体上半部の搬出用シュートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明においては、両脚部を把持したシャックルを介して胸部をコンベアの進行方向に正対させ且つ後傾してコンベアに懸吊された食鳥の中抜き屠体を、腿肉と背中の一部とを含む下半部と肋骨を含む胸部と背中の残余部を含む上半部とに切断する一対の回転カッターの下方に配設され、下に凸の横断面を有し上方から見てコンベアに重畳して延在し且つ下方へ傾斜して延在する食鳥屠体上半部搬出用のシュートであって、両内側面が上に向けて裾広がりに傾斜しており、内側面下部での両内側面間の水平距離が、食鳥屠体上半部の胸部横幅よりも狭いことを特徴とする食鳥屠体上半部搬出用シュートを提供する。
食鳥の中抜き屠体は、胸部をコンベア2の進行方向に正対させ且つ後傾した状態で一対の回転カッターを用いて上半部と下半部とに切断分離されるので、またシュートは上方から見てコンベアと重畳して延在しているので、コンベアから離脱した上半部は、胸部をコンベア進行方向前方へ且つ下方へ差し向け頸椎をコンベア進行方向後方へ差し向け、上方から見て背骨の延在方向をシュートの延在方向に一致させてシュート上に落下する。シュートの両内側面が上に向けて裾広がりに傾斜しており、内側面下部での両内側面間の水平距離が、食鳥屠体上半部の胸部横幅よりも狭いので、食鳥屠体上半部の胸部の両側縁部が傾斜したシュート内側面に当接し、傾斜したシュート内側面からの反力を受ける。この結果食鳥屠体上半部の胸部がシュート両内側面によって挟持され支持されて、食鳥屠体上半部が位置決めされ、向きが一定になる。
【0006】
本発明の好ましい態様においては、シュートの内底面が平面である。
本発明の好ましい態様においては、シュートの内底面が曲面である。
傾斜した内側面同志が接合すると、シュートの深さが過大になり無駄である。従ってシュートの内底面は平面或いは曲面としてシュートの深さが過大になるのを抑制しても良い。
本発明の好ましい態様においては、シュートの内側面が平面である。
本発明の好ましい態様においては、シュートの内側面が曲面である。
シュートの傾斜した内側面は平面でも曲面でも良い。
本発明の好ましい態様においては、シュートの内側面の上部が他部よりも大きな傾斜で立ち上がっている。
本発明の好ましい態様においては、シュートの内側面の上部が鉛直に立ち上がっている。
シュートの内側面の上部を他部よりも大きな傾斜で或いは鉛直に立ち上げることにより、何らかの外乱が生じた場合でも、食鳥屠体上半部のシュート外への逸脱を防止できる。
本発明の好ましい態様においては、シュートは上方から見てコンベアの進行方向と同一方向へ延在する。
下り傾斜のシュートが上方から見てコンベアの進行方向と同一方向へ延在することにより、コンベアから落下した食鳥屠体上半部がシュート内側面に衝突する際の衝撃が軽減され、シュートの位置決め機能が向上する。
本発明の好ましい態様においては、シュートは上方から見てコンベアの進行方向と逆方向へ延在する。
食鳥の中抜き屠体は、両脚部をシャックルによって把持され且つ後傾してコンベアに懸吊された状態で上半部と下半部との切断分離されるので、コンベアから離脱した食鳥屠体上半部は、コンベアの進行方向とは逆方向へ下り傾斜した姿勢で落下する。下り傾斜のシュートが上方から見てコンベアの進行方向と逆方向へ延在していれば、落下する食鳥屠体上半部とシュートの傾斜方向が一致するので、食鳥屠体上半部のシュート内側面との衝突時の両者の接触面積が大になり、シュートの位置決め機能が向上する。
本発明の好ましい態様においては、食鳥屠体上半部搬出用シュートの下方への傾斜が、カッターの近傍では大きく、カッターから離隔するのに従って減少する。
コンベアから落下した食鳥屠体上半部がシュート内側面に衝突する際の衝撃を軽減させるために、カッターの近傍ではシュートの下方への傾斜を大きくするのが望ましい。他方後工程での作業に繋げるために、カッターから離隔するのに従って下方への傾斜を減少させるのが望ましい。
本発明の好ましい態様においては、多数の従動ローラー及び又は駆動ローラーの包絡面が平面の内底面を形成する。
本発明の好ましい態様においては、ベルトコンベアが平面の内底面を形成することを特徴とする。
本発明の好ましい態様においては、多数の従動ローラー及び又は駆動ローラーの包絡面が平面の内側面を形成する。
本発明の好ましい態様においては、ベルトコンベアが平面の内側面を形成する。
多数の従動ローラー及び又は駆動ローラーの包絡面により、或いはベルトコンベアにより、平面の内底面や平面の内側面を形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】食鳥の中抜き屠体をコンベアに懸吊し、一対の回転カッターを用いて前記食鳥の中抜き屠体を腿肉と背中の一部とを含む下半部と、肋骨を含む胸部と背中の残余部を含む上半部とに切断する分離装置と、当該装置に併設された従来の食鳥屠体上半部搬出用シュートの斜視図である。
【
図2】食鳥の中抜き屠体をコンベアに懸吊し、一対の回転カッターを用いて前記食鳥の中抜き屠体を腿肉と背中の一部とを含む下半部と、肋骨を含む胸部と背中の残余部を含む上半部とに切断する分離装置と、当該装置に併設された本発明の実施例に係る食鳥屠体上半部搬出用シュートの斜視図である。
【
図3】本発明の実施例に係る食鳥屠体上半部搬出用シュートの横断面図である。
図2においてシュート上の食鳥屠体上半部の頸椎側から見た断面図である。
【
図4】本発明の他の実施例に係る食鳥屠体上半部搬出用シュートの横断面図である。
【
図5】本発明の他の実施例に係る食鳥屠体上半部搬出用シュートの横断面図である。
【
図6】本発明の他の実施例に係る食鳥屠体上半部搬出用シュートの横断面図である。
【
図7】本発明の他の実施例に係る食鳥屠体上半部搬出用シュートの横断面図である。
【
図8】本発明の他の実施例に係る食鳥屠体上半部搬出用シュートの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施例に係る食鳥屠体上半部の搬出用シュートを説明する。
図2に示すように、食鳥の中抜き屠体100を腿肉と背中の一部とを含む下半部101と、肋骨を含む胸部と背中の残余部を含む上半部102とに切断する分離装置Aは、前述の、中抜き屠体100の両脚部を把持して中抜き屠体100を懸吊するシャックル1と、シャックル1を係止して中抜き屠体100を所定経路に沿って搬送するコンベア2と、胸部をコンベア2の進行方向に正対させ且つ後傾させて懸吊された中抜き屠体100を、腿肉と背中の一部とを含む下半部101と、肋骨を含む胸部と背中の残余部を含む上半部102とに切断する、コンベア2の直下に配設された一対の回転カッター3を備えている。
カッター3の下方には、下に凸の横断面を有し上方から見てコンベア2と重畳し且つ下方へ傾斜して延在し、分離された食鳥屠体上半部102を後処理工程の作業場へ搬出するためのシュート4が配設されている。
シュート4は上方から見てコンベア2の進行方向と同一方向へ延在している。
シュート4の下方への傾斜は、カッター3の近傍では大きく、カッター3から離隔するのに従って減少している。
図3に示すように、シュート4の両内側面4aは上に向けて裾広がりに傾斜しており、内側面下部での両内側面4a間の水平距離は、食鳥屠体上半部102の胸部横幅Lよりも狭く設定されている。
【0009】
食鳥の中抜き屠体100は、胸部をコンベア2の進行方向に正対させ且つ後傾して上下逆さまに懸吊されて一対の回転カッター3によって上半部102と下半部101とに切断分離されるので、またシュート4は上方から見てコンベア2と重畳して延在しているので、食鳥屠体上半部102は、胸部をコンベア2の進行方向前方へ且つ下方へ差し向け頸椎をコンベア2の進行方向後方へ差し向け、上方から見て背骨の延在方向をシュート4の延在方向に一致させてシュート4上に落下する。
図3に示すように、シュート4の両内側面4aが上に向けて裾広がりに傾斜しており、内側面下部での両内側面4a間の水平距離が、食鳥屠体上半部102の胸部横幅Lよりも狭いので、食鳥屠体上半部102の胸部の両側縁部が傾斜したシュート内側面4a下部に当接し、傾斜したシュート内側面4aからの反力を受ける。この結果食鳥屠体上半部102の胸部がシュート両内側面4a下部によって挟持され支持されて、食鳥屠体上半部102が位置決めされる。この結果、
図2、3に示すように、胸部両側縁部がシュート4両内側面下部に当接し且つ胸腔が滑り方向前方へ差し向けられ、頸椎が滑り方向後方へ差し向けられ、且つ上方から見て背骨の延在方向がシュート4の延在方向に一致した状態で、食鳥屠体上半部102の向きが三次元的に一定になる。向きが一定になった食鳥屠体上半部102がシュート4の延在方向に整列してシュート4の末端まで搬送されるので、後工程での作業効率が向上する。
【0010】
傾斜した内側面4a同志が接合すると、シュート4の深さが過大になり無駄である。係る無駄を抑制するために、シュート4の内底面4bは
図3に示すように平面とし、或いは
図4に示すように下に凸の曲面として、シュート4の深さが過大になるのを防止しても良い。
内側面4aは
図3、4に示すように平面でも良く、或いは図示しないが下に凸又は上に凸の曲面でも良い。
図5、6に示すように、両内側面4aの外側縁部を折り曲げて両内側面4aよりも傾斜の大きい立ち上がり部4a
1を形成しても良く、或いは
図7、8に示すように、両内側面4aの外側縁部を折り曲げて鉛直の立ち上がり部4a
2を形成しても良い。両内側面の外側縁部を大きな傾斜で或いは鉛直に立ち上げることにより、何らかの外乱が生じた場合でも、食鳥屠体上半部102のシュート4からの逸脱を防止できる。
図2に示すように、下り傾斜のシュート4が上方から見てコンベア2の進行方向と同一方向へ延在することにより、コンベア2から落下した食鳥屠体上半部102がシュート4上に衝突する際の衝撃が軽減され、シュート4の位置決機能が向上する。
図1のシュート4’のように、シュート4を上方から見てコンベアの進行方向と逆方向へ延在させても良い。食鳥の中抜き屠体100は、両脚部をシャックル1によって把持され且つ後傾してコンベア2に懸吊された状態で上半部102と下半部101との切断分離されるので、コンベア2から離脱した食鳥屠体上半部102は、コンベア2の進行方向とは逆方向へ下り傾斜した姿勢で落下する。下り傾斜のシュート4が上方から見てコンベア2の進行方向と逆方向へ延在していれば、落下する食鳥屠体上半部102とシュート4の下り傾斜方向が一致するので、食鳥屠体上半部102のシュート内側面4aとの衝突時の両者の接触面積が大になり、シュート4の位置決め機能が向上する。
図2に示すように、シュート4の下方への傾斜が、カッター3の近傍では大きいので、コンベア2から落下した食鳥屠体上半部102がシュート4に衝突する際の衝撃が軽減され、シュート4の位置決め機能が向上する。他方、後工程での作業に繋げるために、カッター4から離隔するのに従ってシュート4の下方への傾斜を減少させるのが望ましい。
板部材の表面でシュート4の平面の内側面4aや平面の内底面4bを形成するのに代えて、多数の従動ローラー及び又は駆動ローラーの包絡面で或いはベルトコンベアのベルトでシュート4の平面の内側面4aや平面の内底面4bを形成しても良い。
尚上記実施例では、
図1~8に食鳥屠体上半部102として手羽無しの食鳥屠体上半部が描かれているが、食鳥屠体上半部102が手羽付きの食鳥屠体上半部を含むことは言う迄もない。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明は、食鳥の中抜き屠体を上半部と下半部に切断分離する装置に併設される食鳥屠体上半部の搬出用シュートに広く利用可能である。
【符号の説明】
【0012】
1 シャックル
2 コンベア
3 一対の回転カッター
4、4’ 食鳥屠体上半部搬出用シュート
4a、4a1、4a2 内側面
4b 内底面
100 食鳥の中抜き屠体
101 食鳥屠体下半部
102 食鳥屠体上半部