(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010401
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】加熱式擬似喫煙具用カートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20230113BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20230113BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/46
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114516
(22)【出願日】2021-07-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】518422644
【氏名又は名称】株式会社GREEN RUSH BY WEED
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関崎 大
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA02
4B162AA22
4B162AB11
4B162AB21
4B162AC13
4B162AC17
(57)【要約】
【課題】一般的な紙巻きタバコタイプのカートリッジと比較し、必要となる加熱対象物の量を減らすことを可能とし、かつ、加熱対象物の効率的な加熱を可能とする、内側直加熱方式の加熱式擬似喫煙具用のカートリッジを提供する。
【解決手段】カートリッジ1は、円筒形状の部材である巻材11と、巻材11の吸口側の開口を塞ぐように巻材11内に配置されたフィルタ12と、巻材11の吸口側と反対側の開口を塞ぐように配置されたカプセル13と、カプセル13の内側に収容された加熱対象物14を備える。巻材11の円筒形状の軸を含む平面でカートリッジ1を切断したときのカプセル13の断面の形状はティアドロップ形状である。この形状が一般的な医薬用カプセルの形状である場合と比較し、カプセル13の収容空間は狭いため、加熱ブレードの表面の大半において加熱対象物14が加熱ブレードに接する。その結果、効率的な加熱対象物14の加熱が行われる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の部材である筒状部材と、
前記筒状部材に少なくとも一部が収容されるカプセルと、
前記カプセルに収容され、加熱されて喫煙者に吸引される蒸気又はエアロゾルを発する加熱対象物と
を備える、前記カプセル内に挿入されて前記加熱対象物を内側から加熱する加熱ブレードを有する内側直加熱方式の加熱式擬似喫煙具用のカートリッジであって、
前記筒状部材の軸方向における、前記加熱式擬似喫煙具に前記カートリッジが装填された状態において前記加熱式擬似喫煙具の前記加熱ブレードが挿入される範囲内において、前記カートリッジを前記筒状部材の軸に垂直な平面で切断した断面における前記カプセルの収容空間の面積が前記筒状部材の中空部の面積より実質的に小さい領域が1/2以上である
カートリッジ。
【請求項2】
前記筒状部材の軸方向における、前記加熱式擬似喫煙具に前記カートリッジが装填された状態において前記加熱式擬似喫煙具の前記加熱ブレードが挿入される範囲の全域において、前記カートリッジを前記筒状部材の軸に垂直な平面で切断した断面における前記カプセルの収容空間の面積が、前記加熱ブレードが挿入される側に向かい小さくなる
請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記筒状部材の内側面と前記カプセルの外側面との間に配置されたスペーサを備える
請求項1又は2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記カプセルの内側面に接するように配置された補充部材を備える
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記補充部材は、前記加熱式擬似喫煙具に前記カートリッジが装填される際に前記カプセルに挿入される前記加熱ブレードにより変形し、前記加熱式擬似喫煙具から前記カートリッジが取り外される際に変形前の形状に近づき前記加熱ブレードが貫通していた前記カプセルの孔を塞ぐ
請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記カプセルの壁の厚さによって、前記カートリッジを前記筒状部材の軸に垂直な平面で切断した断面における前記カプセルの収容空間の面積が前記筒状部材の中空部の面積より実質的に小さい領域を有する
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記カートリッジを前記筒状部材の軸に垂直な平面で切断した断面における前記カプセルの収容空間の面積が前記筒状部材の中空部の面積より実質的に小さい領域における前記カプセルの壁の厚さと比較し、前記加熱ブレードが貫通する部分における前記カプセルの壁の厚さが薄い
請求項6に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記加熱ブレードが貫通する部分における前記カプセルの壁に、前記加熱ブレードの挿入をガイドする孔、切り目、及び、凹みの少なくとも1つが設けられている
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項9】
筒状の部材である筒状部材と、
前記筒状部材に少なくとも一部が収容されるカプセルと、
前記カプセルに収容され、加熱されて喫煙者に吸引される蒸気又はエアロゾルを発する加熱対象物と
を備える、前記カプセル内に挿入されて前記加熱対象物を内側から加熱する加熱ブレードを有する内側直加熱方式の加熱式擬似喫煙具用のカートリッジであって、
前記カプセルの内側面に接するように配置された補充部材を備え、
前記補充部材は、前記加熱式擬似喫煙具に前記カートリッジが装填される際に前記カプセルに挿入される前記加熱ブレードにより変形し、前記加熱式擬似喫煙具から前記カートリッジが取り外される際に変形前の形状に近づき前記加熱ブレードが貫通していた前記カプセルの孔を塞ぐ
カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱式擬似喫煙具用のカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
タバコ葉を電気ヒータで加熱し、タバコ葉から煙を発生させて喫煙者に吸わせる加熱式タバコ喫煙具が普及している。加熱式タバコ喫煙具には凹部があり、カートリッジと呼ばれる外観が紙巻きタバコに似た使い捨て部品をその凹部に装填した状態で喫煙が行われる。
【0003】
カートリッジにはタバコ葉が充填されており、加熱式タバコ喫煙具の凹部にカートリッジが装填された状態で加熱式タバコ喫煙具が有するヒータがタバコ葉に加熱し、タバコ葉が発生する蒸気又はエアロゾルを喫煙者が吸引する仕組みとなっている。
【0004】
なお、タバコ葉に代えて、茶葉等の他の素材が充填されたカートリッジも製造、販売されている。例えば、ニコチンを摂取したくない喫煙者は、タバコ葉以外の素材が充填されたカートリッジを加熱式タバコ喫煙具に装填して喫煙を行うことができる。すなわち、加熱式タバコ喫煙具として製造、販売されている器具は、必ずしもタバコの喫煙に用いられるとは限らない。従って、一般的に加熱式タバコ喫煙具と呼ばれる器具を、本願では加熱式擬似喫煙具と呼ぶ。また、加熱式擬似喫煙具により加熱されるタバコ葉等の対象物を加熱対象物と呼ぶ。
【0005】
一般的なカートリッジは、紙巻きタバコと同様に、紙製の筒状物である巻材の中に直接、加熱対象物を充填した構造を備える。以下、そのような構造のカートリッジを紙巻きタバコタイプのカートリッジと呼ぶ。
図17は、紙巻きタバコタイプのカートリッジの一例の構造を示す断面図(巻材の軸を含む平面で切断した断面図)である。なお、
図17において、巻材71は厚さ方向の比率を実際より大きく描いている。
【0006】
図17に示すカートリッジ7は、円筒形状の部材である巻材71と、巻材71の吸口側(
図17の上側)の開口面に一方の端面が揃うように巻材71内に配置された円柱形状のフィルタ72と、巻材71の吸口側と反対側(
図17の下側)の開口を塞ぐように巻材71内に充填された加熱対象物73を備える。
【0007】
加熱式擬似喫煙具には、カートリッジが有する加熱対象物の内部に針状のヒータである加熱ブレードを挿入して内側から加熱対象物を直接加熱するタイプ(以下、内側直加熱方式という)と、カートリッジが有する加熱対象物を巻材の外側からヒータで加熱するタイプがある。
【0008】
図18は、カートリッジ7が、内側直加熱方式の加熱式擬似喫煙具9に装填される様子を示した図である。
図18(A)はカートリッジ7が加熱式擬似喫煙具9に装填される前の状態を示し、
図18(B)はカートリッジ7が加熱式擬似喫煙具9に装填された状態を示し、
図18(C)は加熱式擬似喫煙具9に装填されていたカートリッジ7が取り外された状態を示している。
図18(B)に示されるように、カートリッジ7が加熱式擬似喫煙具9に装填される際、加熱対象物73に加熱ブレード91が挿入され、加熱対象物73が加熱ブレード91により内側から加熱され、蒸気又はエアロゾルを発する。
【0009】
カートリッジ7においては、概ね次の式1で示される容量Q以上の加熱対象物が必要となる。
Q=A×L・・・(式1)
ただし、Aは巻材71の軸に垂直な平面でカートリッジ7を切断した場合の巻材71の中空部の断面積、Lはカートリッジ7が加熱式擬似喫煙具9に装填された状態において巻材71の軸方向におけるカートリッジ7内で加熱ブレード91が占める範囲の長さ、である。
【0010】
カートリッジに必要となる加熱対象物の量を減らすことができれば、カートリッジのコストを下げることができる。特に、加熱対象物が高価である場合、カートリッジに必要な加熱対象物の削減によるカートリッジのコスト低減の効果は大きい。
【0011】
一般的な紙巻きタバコタイプのカートリッジよりも、少量の加熱対象物を保持できる構造のカートリッジが製造、販売されている。
図19は、そのようなカートリッジの一例の構造を示す断面図である。
図19に示されるカートリッジ8は、円筒形状の部材である巻材81と、巻材81の吸口側(
図19の上側)の開口面に一方の端面が揃うように巻材81内に配置された円柱形状のフィルタ82と、巻材81の吸口側と反対側(
図19の下側)の開口を塞ぐように軸方向の長さの1/3程度が巻材81に挿入された状態で巻材81に接着剤等により固定された中空の容器であるカプセル83と、カプセル83の内側に収容された加熱対象物84を備える。なお、
図19において、巻材81は厚さ方向の比率を実際より大きく描いている。また、
図19の例では、加熱対象物84は、タバコ葉等の加熱対象の素材を粒状に加工したものである。
【0012】
図20は、カプセル83の構造を示す断面図である。カプセル83は、汎用の薬剤用カプセルに1以上の孔Nをあけたものである。カプセル83は、ゼラチン等で製造されており、その壁の厚さは100~150μm程度である。なお、
図20において、カプセル83は厚さ方向の比率を実際より大きく描いている。
【0013】
カプセル83は、ボディ部831とキャップ部832で構成される。
図20(A)はボディ部831とキャップ部832が分離された状態を示し、
図20(B)はボディ部831にキャップ部832が取り付けられた状態を示している。
【0014】
ボディ部831は、円筒形状の部分C81と、部分C81の一方の開口を塞ぐように部分C81と連続して一体に成形された中空の半円球形状の部分H81とで構成される。キャップ部832は、円筒形状の部分C82と、部分C82の一方の開口を塞ぐように部分C82と連続して一体に成形された中空の半円球形状の部分H82とで構成される。キャップ部832の部分C82の内径は、ボディ部831の部分C81の外径とほぼ同じであり、ボディ部831の開口を塞ぐようにキャップ部832が取り付けられると、
図20(B)の状態となる。
【0015】
ボディ部831の部分H81には、1以上の孔Nが設けられている。これらの孔Nは、カプセル83内に封入された加熱対象物84が加熱されて発生する蒸気又はエアロゾルがカートリッジ8の吸口側へと移動するための流路として設けられている。
【0016】
図21は、カートリッジ8が加熱式擬似喫煙具9に装填される様子を示した図である。
図21(A)はカートリッジ8が加熱式擬似喫煙具9に装填される前の状態を示し、
図21(B)はカートリッジ8が加熱式擬似喫煙具9に装填された状態を示し、
図21(C)は加熱式擬似喫煙具9に装填されていたカートリッジ8が取り外された状態を示している。
図21(B)に示されるように、カートリッジ8が加熱式擬似喫煙具9に装填される際、カプセル83に加熱ブレード91が挿入され、カプセル83内の加熱対象物84が加熱ブレード91により加熱され、蒸気又はエアロゾルを発する。
【0017】
カートリッジ8によれば、カプセル83内に封入する加熱対象物84の量を自由に調整できる。従って、加熱対象物84を必要最少量とすることで、カートリッジ8のコストを削減できる。
【0018】
ところで、加熱対象物を収容するカプセルを備える加熱式擬似喫煙具用のカートリッジを開示する特許文献として、例えば特許文献1がある。
【0019】
特許文献1には、グリセリン類をしみこませた不織布とタバコ葉を収容したカプセルを備えるカートリッジが記載されている。特許文献1に記載のカートリッジが備える不織布は、加熱式擬似喫煙具のヒータにより加熱され、グリセリン類の蒸気を発生する。グリセリン類の蒸気はカプセル内のタバコ葉を通過した後、喫煙者に吸引される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
上述した従来技術に係るカートリッジ8による場合、カプセル83の収容空間のうち加熱対象物84が占める空間が少ないと、加熱対象物84が加熱ブレード91の一部にしか接さず、加熱対象物84が十分に加熱されない、という問題がある。例えば、
図21(B)に示される状態では、加熱ブレード91の2/3程度にしか加熱対象物84が接しておらず、加熱ブレード91の発する熱の一部が無駄になっている。
【0022】
上記の事情に鑑み、本発明は、一般的な紙巻きタバコタイプのカートリッジと比較し、必要となる加熱対象物の量を減らすことを可能とし、かつ、加熱対象物の効率的な加熱を可能とする、内側直加熱方式の加熱式擬似喫煙具用のカートリッジを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上述した課題を解決するため、本発明は、筒状の部材である筒状部材と、前記筒状部材に少なくとも一部が収容されるカプセルと、前記カプセルに収容され、加熱されて喫煙者に吸引される蒸気又はエアロゾルを発する加熱対象物とを備える、前記カプセル内に挿入されて前記加熱対象物を内側から加熱する加熱ブレードを有する内側直加熱方式の加熱式擬似喫煙具用のカートリッジであって、前記筒状部材の軸方向における、前記加熱式擬似喫煙具に前記カートリッジが装填された状態において前記加熱式擬似喫煙具の前記加熱ブレードが挿入される範囲内において、前記カートリッジを前記筒状部材の軸に垂直な平面で切断した断面における前記カプセルの収容空間の面積が前記筒状部材の中空部の面積より実質的に小さい領域が1/2以上であるカートリッジを第1の態様として提案する。
【0024】
第1の態様に係るカートリッジによれば、従来技術(
図19参照)に係るカートリッジと同様に、カプセル内に封入する加熱対象物の量を自由に調整できる。一方、第1の態様に係るカートリッジによれば、従来技術(
図19参照)に係るカートリッジと比較し、カプセルの収容空間の容積を小さくでき、加熱ブレードと加熱対象物が接する面積を大きくできる。その結果、第1の態様に係るカートリッジによれば、一般的な紙巻きタバコタイプのカートリッジと比較し、必要となる加熱対象物の量を減らすことができ、かつ、加熱対象物の効率的な加熱が可能となる。
【0025】
第1の態様に係るカートリッジにおいて、前記筒状部材の軸方向における、前記加熱式擬似喫煙具に前記カートリッジが装填された状態において前記加熱式擬似喫煙具の前記加熱ブレードが挿入される範囲の全域において、前記カートリッジを前記筒状部材の軸に垂直な平面で切断した断面における前記カプセルの収容空間の面積が、前記加熱ブレードが挿入される側に向かい小さくなる、という構成が第2の態様として採用されてもよい。
【0026】
第2の態様に係るカートリッジによれば、従来技術(
図19参照)に係るカートリッジが備えるカプセルと比較し、軸方向の長さを同一としつつ、収容空間の容量を小さくできる。
【0027】
第1又は第2の態様に係るカートリッジにおいて、前記筒状部材の内側面と前記カプセルの外側面との間に配置されたスペーサを備える、という構成が第3の態様として採用されてもよい。
【0028】
第3の態様に係るカートリッジによれば、カプセルを軸方向に垂直な平面で切断した切断面の外径の最大値を、筒状部材の内径よりも実質的に小さくできる。その結果、第3の態様に係るカートリッジによれば、従来技術(
図19参照)に係るカートリッジが備えるカプセルと比較し、軸方向の長さを同一としつつ、収容空間の容量を小さくできる。
【0029】
第1乃至第3のいずれかの態様に係るカートリッジにおいて、前記カプセルの内側面に接するように配置された補充部材を備える、という構成が第4の態様として採用されてもよい。
【0030】
第4の態様に係るカートリッジによれば、カプセル内の収容空間が補充部材により狭められる。
【0031】
ところで、上述した従来技術に係るカートリッジ8による場合、加熱式擬似喫煙具9にカートリッジ8が装填される際に、加熱式擬似喫煙具9の加熱ブレード91がカプセル83に突き刺さり(
図21(B)参照)、カプセル83のキャップ部832に孔が開く。その後、加熱式擬似喫煙具9からカートリッジ8が取り外される際に、カプセル83から加熱ブレード91が引き抜かれ(
図21(C)参照)、それまで加熱ブレード91によって塞がれていた孔を通じて、加熱対象物84のうち細かい粒子のものがカプセル83の外にこぼれ落ちる場合がある。その場合、喫煙者は加熱式擬似喫煙具9の凹部にこぼれ落ちた加熱対象物84を取り除く必要があり、手間である。特に、加熱ブレード91に対する加熱対象物84の加熱の効率を高めるために、加熱対象物84の粒径を小さくする程、加熱ブレード91により開けられた孔から加熱対象物84がカプセル83の外にこぼれ落ちやすくなる。
【0032】
上記の課題を解決するために、第4の態様に係るカートリッジにおいて、前記補充部材は、前記加熱式擬似喫煙具に前記カートリッジが装填される際に前記カプセルに挿入される前記加熱ブレードにより変形し、前記加熱式擬似喫煙具から前記カートリッジが取り外される際に変形前の形状に近づき前記加熱ブレードが貫通していた前記カプセルの孔を塞ぐ、という構成が第5の態様として採用されてもよい。
【0033】
第5の態様に係るカートリッジによれば、加熱ブレードによってカプセルに開けられた孔が、加熱ブレードがカプセルから引き抜かれる際、補充部材により塞がれるため、カプセル内の加熱対象物がカプセル外へこぼれ落ちにくい。
【0034】
第1乃至第5のいずれかの態様に係るカートリッジにおいて、前記カプセルの壁の厚さによって、前記カートリッジを前記筒状部材の軸に垂直な平面で切断した断面における前記カプセルの収容空間の面積が前記筒状部材の中空部の面積より実質的に小さい領域を有する、という構成が第6の態様として採用されてもよい。
【0035】
第6の態様に係るカートリッジによれば、カプセルの壁の厚さによって、収容空間が狭められる。
【0036】
第6の態様に係るカートリッジにおいて、前記カートリッジを前記筒状部材の軸に垂直な平面で切断した断面における前記カプセルの収容空間の面積が前記筒状部材の中空部の面積より実質的に小さい領域における前記カプセルの壁の厚さと比較し、前記加熱ブレードが貫通する部分における前記カプセルの壁の厚さが薄い、という構成が第7の態様として採用されてもよい。
【0037】
第7の態様に係るカートリッジによれば、加熱ブレードがカプセルを容易に突き破ることができる。
【0038】
第1乃至第7のいずれかの態様に係るカートリッジにおいて、前記加熱ブレードが貫通する部分における前記カプセルの壁に、前記加熱ブレードの挿入をガイドする孔、切り目、及び、凹みの少なくとも1つが設けられている、という構成が第8の態様として採用されてもよい。
【0039】
第8の態様に係るカートリッジによれば、加熱ブレードがカプセルにスムーズに挿入される。
【0040】
また、本発明は、筒状の部材である筒状部材と、前記筒状部材に少なくとも一部が収容されるカプセルと、前記カプセルに収容され、加熱されて喫煙者に吸引される蒸気又はエアロゾルを発する加熱対象物とを備える、前記カプセル内に挿入されて前記加熱対象物を内側から加熱する加熱ブレードを有する内側直加熱方式の加熱式擬似喫煙具用のカートリッジであって、前記カプセルの内側面に接するように配置された補充部材を備え、前記補充部材は、前記加熱式擬似喫煙具に前記カートリッジが装填される際に前記カプセルに挿入される前記加熱ブレードにより変形し、前記加熱式擬似喫煙具から前記カートリッジが取り外される際に変形前の形状に近づき前記加熱ブレードが貫通していた前記カプセルの孔を塞ぐカートリッジを第9の態様として提案する。
【0041】
第9の態様に係るカートリッジによれば、加熱ブレードによってカプセルに開けられた孔が、加熱ブレードがカプセルから引き抜かれる際、補充部材により塞がれるため、カプセル内の加熱対象物がカプセル外へこぼれ落ちにくい。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、一般的な紙巻きタバコタイプのカートリッジと比較し、必要となる加熱対象物の量を減らすことをでき、かつ、内側直加熱方式の加熱式擬似喫煙具により加熱対象物が効率的に加熱される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明の一実施例に係るカートリッジの構造を示す断面図
【
図2】本発明の一実施例に係るカプセルの構造を示す断面図
【
図3】本発明の一実施例に係るカプセルの形状の特徴を説明するための図
【
図4】従来技術に係るカートリッジと本発明の一実施例に係るカートリッジにおいて、加熱ブレードに加熱対象物が接する領域の広さが異なる点を示した図
【
図5】本発明の一実施例に係るカートリッジの構造を示す断面図
【
図6】本発明の一実施例に係るカプセルの収容空間の直径と巻材の内径の関係を示した図
【
図7】従来技術に係るカートリッジと本発明の一実施例に係るカートリッジにおいて、加熱ブレードに加熱対象物が接する領域の広さが異なる点を示した図
【
図8】本発明の一実施例に係るカートリッジの構造を示す断面図
【
図9】本発明の一実施例に係るカプセルの収容空間の直径と巻材の内径の関係を示した図
【
図10】従来技術に係るカートリッジと本発明の一実施例に係るカートリッジにおいて、加熱ブレードに加熱対象物が接する領域の広さが異なる点を示した図
【
図11】本発明の一実施例に係るカートリッジの構造を示す断面図
【
図12】本発明の一実施例に係るカートリッジが加熱式擬似喫煙具に装填される様子を示した図
【
図13】本発明の一変形例に係るカートリッジの構造を示す断面図
【
図14】本発明の一変形例に係るカートリッジの構造を示す断面図
【
図15】本発明の一変形例に係るカプセルの構造を示す断面図及び底面図
【
図16】本発明の一変形例に係るカートリッジの構造を示す断面図
【
図17】従来技術に係る紙巻きタバコタイプのカートリッジの一例の構造を示す断面図
【
図18】従来技術に係る紙巻きタバコタイプのカートリッジが加熱式擬似喫煙具に装填される様子を示した図
【
図19】従来技術に係るカプセルを備えるカートリッジの一例の構造を示す断面図
【
図20】従来技術に係るカプセルの構造を示す断面図
【
図21】従来技術に係るカプセルを備えるカートリッジが加熱式擬似喫煙具に装填される様子を示した図
【発明を実施するための形態】
【0044】
[1.第1実施例]
以下に本発明の第1実施例に係るカートリッジ1を説明する。カートリッジ1は、内側直加熱方式の加熱式擬似喫煙具用のカートリッジである。
図1は、カートリッジ1の構造を示す断面図(巻材11の軸を含む平面で切断した断面図)である。以下、軸とは、カートリッジ1の巻材11の形状である円筒の軸を意味するものとする。なお、
図1において、巻材11は厚さ方向の比率を実際より大きく描いている。
【0045】
カートリッジ1は、円筒形状の部材である巻材11(筒状部材の一例)と、巻材11の吸口側(
図1の上側)の開口面に一方の端面が揃うように巻材11内に配置された円柱形状のフィルタ12と、巻材11の吸口側と反対側(
図1の下側)の開口を塞ぐように軸方向の長さの1/3程度が巻材11に挿入された状態で巻材11に接着剤等により固定された中空の容器であるカプセル13と、カプセル13の内側に収容された加熱対象物14を備える。
【0046】
カートリッジ1が備える巻材11、フィルタ12及び加熱対象物14は、上述した従来技術に係るカートリッジ8が備える巻材81、フィルタ82及び加熱対象物84と同じものである。また、カートリッジ1が備えるカプセル13の素材及び壁の厚さは、カートリッジ8が備えるカプセル83の素材及び壁の厚さと同じである。すなわち、カートリッジ1は、カートリッジ8と比較し、カプセル13の形状がカプセル83の形状と異なっている点を除き、同じ構成を備える。
【0047】
図2は、カプセル13の構造を示す断面図である。
図2に示されるように、カプセル13を巻材11の軸を含む平面で切断した断面の形状は、いわゆるティアドロップ形状である。なお、
図2において、カプセル13は厚さ方向の比率を実際より大きく描いている。
【0048】
カプセル13は、ボディ部131とキャップ部132で構成される。
図2(A)はボディ部131とキャップ部132が分離された状態を示し、
図2(B)はボディ部131にキャップ部132が取り付けられた状態を示している。
【0049】
ボディ部131は、円筒形状の部分C11と、部分C11の一方の開口を塞ぐように部分C11と連続して一体に成形された中空の半円球形状の部分H11と、部分C11の他方の開口側の端部と連続して一体に成形された中空の上底及び下底が開口した円錐台形状の部分T11とで構成される。
【0050】
キャップ部132は、中空の上底及び下底が開口した円錐台形状の部分T12と、部分T12の狭い方の開口を塞ぐように部分T12と連続して一体に成形された中空の半円球形状の部分H12とで構成される。
【0051】
部分T11と部分T12の側面の傾斜角度は実質的に同じである。また、部分T11の広い方の開口の外径は、部分T12の広い方の内径よりも大きい。従って、ボディ部131の開口を塞ぐようにキャップ部132が取り付けられると、
図2(B)の状態となる。
【0052】
ボディ部131の部分H11には、1以上の孔Nが設けられている。これらの孔Nは、カプセル13内に封入された加熱対象物14が加熱されて発生する蒸気又はエアロゾルがカートリッジ1の吸口側へと移動するための流路として設けられている。
【0053】
図3は、カプセル13の形状の特徴を説明するための図である。
図3(A)は従来技術に係るカプセル83に加熱ブレード91が挿入された状態を示し、
図3(B)は本実施例に係るカプセル13に加熱ブレード91が挿入された状態を示している。カートリッジが加熱式擬似喫煙具9に装填された状態において、加熱ブレード91は、カプセル83又はカプセル13の軸方向における範囲Bを占める。
【0054】
図3(A)に示される領域R81~R83は、カートリッジ8を巻材81の軸に垂直な平面で切断した断面におけるカプセル83の収容空間の面積が巻材81の中空部の面積と実質的に等しいか否か、という視点で区分した領域である。
【0055】
領域R82は、断面におけるカプセル83の収容空間の面積が巻材81の中空部の面積と実質的に等しい領域である。すなわち、巻材81(又は巻材11)の内径をDとすると、領域R82におけるカプセル83の外径は実質的にDと等しい。なお、巻材81(又は巻材11)の内径は7mm程度である。そして、カプセル83(又はカプセル13)の壁の厚さは100~150μm程度であり、巻材81の内径又はカプセル83の外径と比較し、せいぜい2%程度であり、無視できる程度に小さい。従って、領域R82におけるカプセル83の内径も、実質的に巻材81の内径Dと等しい。
【0056】
一方、領域R81と領域R83は、断面におけるカプセル83の収容空間の面積が巻材81の中空部の面積より実質的に小さい領域である。すなわち、領域R81又は領域R83におけるカプセル83の外径又は内径は、巻材81の内径Dより実質的に小さい。ここで、実質的に小さいとは、直径において概ね10%以上、断面積において概ね20%以上、小さいことを意味するものとする。
【0057】
カプセル83の範囲Bにあたる部分のうち、断面におけるカプセル83の収容空間の面積が巻材81の中空部の面積より実質的に小さい領域(領域R83)は、1/2未満(
図4(A)の例では約1/3)である。
【0058】
図3(B)に示される領域R11~R13は、カートリッジ1を巻材11の軸に垂直な平面で切断した断面におけるカプセル13の収容空間の面積が巻材11の中空部の面積と実質的に等しいか否か、という視点で区分した領域である。
【0059】
領域R12は、断面におけるカプセル13の収容空間の面積が巻材11の中空部の面積と実質的に等しい領域である。一方、領域R11と領域R13は、断面におけるカプセル13の収容空間の面積が巻材11の中空部の面積より実質的に小さい領域である。すなわち、領域R11又は領域R13におけるカプセル13の外径又は内径は、巻材11の内径Dより実質的に小さい。
【0060】
カプセル13の範囲Bにあたる部分のうち、断面におけるカプセル13の収容空間の面積が巻材11の中空部の面積より実質的に小さい領域(領域R13)は、1/2以上(
図3(B)の例では全て)である。
【0061】
また、
図3(B)に示されるように、カプセル13は、範囲Bの全域において、カートリッジ1を巻材11の軸に垂直な平面で切断した断面におけるカプセル13の収容空間の面積が、加熱ブレード91が挿入される側に向かい小さくなる、という形状を備えている。
【0062】
このように、カプセル13は、従来技術に係るカプセル83と比較し、カプセル内の加熱ブレード91が占める範囲B内において、軸に垂直な平面で切断した断面における収容空間の面積が巻材の中空部の面積よりも実質的に小さい領域が1/2以上を占めるため、同じ量の加熱対象物を収容した場合、加熱ブレード91の表面の広い範囲において加熱対象物が加熱ブレード91に接することになる。
【0063】
図4は、カートリッジ8とカートリッジ1において、カプセル内に同じ量の加熱対象物が収容されている場合に、加熱ブレード91に加熱対象物が接する領域の広さが異なる点を示した図である。
図4(A)はカートリッジ8の場合を示し、
図4(B)はカートリッジ1の場合を示している。
図4に示されるように、カートリッジ1の方が、カートリッジ8よりも広い領域で加熱ブレード91に加熱対象物が接することになる。その結果、カートリッジ1によれば、より効率的に加熱対象物の加熱が行われる。
【0064】
[2.第2実施例]
続いて、本発明の第2実施例に係るカートリッジ2を説明する。
図5は、カートリッジ2の構造を示す断面図(巻材11の軸を含む平面で切断した断面図)である。なお、
図5において、巻材11は厚さ方向の比率を実際より大きく描いている。
図5において、カートリッジ2がカートリッジ1と共通に備える構成部には、
図1における符号と同じ符号が用いられている。カートリッジ2は、第1実施例に係るカートリッジ1と比較し、以下の点が異なっている。
(1)カプセルの形状が異なる。
(2)巻材の内側面とカプセルの外側面との間に配置されたスペーサを備える。
【0065】
以下、カートリッジ2がカートリッジ1と異なる上記(1)(2)について説明する。
【0066】
カートリッジ2は、カートリッジ1が備えるカプセル13に代えて、カプセル23を備える。カプセル23は、従来技術に係るカートリッジ8が備えるカプセル83の大きさを、軸方向の長さは変えずに、軸に垂直な平面で切断した断面における直径を小さくした形状をしている。以下、例として、カプセル23の円筒形状の部分の直径を約5mmとする。
【0067】
図6は、カプセル23の収容空間の直径と巻材11の内径の関係を示した図である。
図6に示されるように、加熱式擬似喫煙具9にカートリッジ2が装填された状態において、カプセル23の軸方向における加熱ブレード91が占める範囲Bの全領域において、巻材11の軸に垂直な平面で切断した断面におけるカプセル23の収容空間の面積が巻材11の中空部の面積より実質的に小さくなっている。すなわち、巻材11の中空部の直径が約7mmであるのに対し、カプセル23の円筒形状の部分における収容空間の直径が約5mmである。
【0068】
上記のように、巻材11とカプセル23の直径は実質的に異なるため、巻材11とカプセル23の間には空間が生じる。従って、巻材11にカプセル23を直接、接着剤等により固定することはできない。そのため、カートリッジ2は、巻材11とカプセル23の間を埋めるスペーサ25を備えている。スペーサ25は、厚さが約1mmの円筒形状の部材である。製造を容易にするために、スペーサ25は多少の弾性がある素材でできていることが望ましいが、スペーサの役割を果たす限りいずれの素材がスペーサ25に採用されてもよい。
【0069】
図7は、カートリッジ8とカートリッジ2において、カプセル内に同じ量の加熱対象物が収容されている場合に、加熱ブレード91に加熱対象物が接する領域の広さが異なる点を示した図である。
図7(A)はカートリッジ8の場合を示し、
図7(B)はカートリッジ2の場合を示している。
図7に示されるように、カートリッジ2の方が、カートリッジ8よりも広い領域で加熱ブレード91に加熱対象物が接することになる。その結果、カートリッジ2によれば、より効率的に加熱対象物の加熱が行われる。
【0070】
[3.第3実施例]
続いて、本発明の第3実施例に係るカートリッジ3を説明する。
図8は、カートリッジ3の構造を示す断面図(巻材11の軸を含む平面で切断した断面図)である。なお、
図8において、巻材11は厚さ方向の比率を実際より大きく描いている。
図8において、カートリッジ3がカートリッジ1と共通に備える構成部には、
図1における符号と同じ符号が用いられている。カートリッジ3は、第1実施例に係るカートリッジ1と比較し、以下の点が異なっている。
(1)カプセルの形状が異なる。
(2)カプセルの内側面に接するように配置された補充部材を備える。
【0071】
以下、カートリッジ3がカートリッジ1と異なる上記(1)(2)について説明する。
【0072】
カートリッジ3は、カートリッジ1が備えるカプセル13に代えて、カプセル33を備える。カプセル33は、従来技術に係るカートリッジ8が備えるカプセル83と同じ形状をしている。すなわち、カプセル33の円筒形状の部分の直径は約7mmである。
【0073】
また、カートリッジ3は、外径が約7mm、厚さが約1mmの円筒形状の補充部材35を備える。補充部材35は、その外側面がカプセル33の内側面に接するように、カプセル33内に収容されている。補充部材35は、カプセル33の内部の空間の一部を占めることにより、カプセル33の収容空間を狭める役割を果たす部材である。加熱対象物14は、主に補充部材35の内側に形成される収容空間に収容される。
【0074】
製造を容易にするために、補充部材35は多少の弾性がある素材でできていることが望ましいが、カプセル33の収容空間を狭める役割を果たす限りいずれの素材が補充部材35に採用されてもよい。
【0075】
図9は、カプセル33の収容空間の直径と巻材11の内径の関係を示した図である。
図9に示されるように、加熱式擬似喫煙具9にカートリッジ2が装填された状態において、カプセル33の軸方向における加熱ブレード91が占める範囲Bのほぼ全領域において、巻材11の軸に垂直な平面で切断した断面におけるカプセル33の収容空間の面積が巻材11の中空部の面積より実質的に小さくなっている。すなわち、巻材11の中空部の直径が約7mmであるのに対し、カプセル33の円筒形状の部分における収容空間の直径が約5mmである。
【0076】
図10は、カートリッジ8とカートリッジ3において、カプセル内に同じ量の加熱対象物が収容されている場合に、加熱ブレード91に加熱対象物が接する領域の広さが異なる点を示した図である。
図10(A)はカートリッジ8の場合を示し、
図10(B)はカートリッジ3の場合を示している。
図10に示されるように、カートリッジ3の方が、カートリッジ8よりも広い領域で加熱ブレード91に加熱対象物が接することになる。その結果、カートリッジ3によれば、より効率的に加熱対象物の加熱が行われる。
[4.第4実施例]
続いて、本発明の第4実施例に係るカートリッジ4を説明する。
図11は、カートリッジ4の構造を示す断面図(巻材11の軸を含む平面で切断した断面図)である。なお、
図11において、巻材11は厚さ方向の比率を実際より大きく描いている。カートリッジ4は、上述した第3実施例に係るカートリッジ3と比較し、補充部材の形状が異なる点を除き、構成が共通している。
図11において、カートリッジ4がカートリッジ3と共通に備える構成部には、
図8における符号と同じ符号が用いられている。
【0077】
図11に示されるように、カートリッジ4は、カートリッジ3が備える補充部材35に代えて、補充部材45を備える。補充部材45は、カプセル33の円筒形状の部分に加え、カプセル33のキャップ部側の中空の半球形状の部分においてもカプセル33の内側面に接するように、カプセル33内に配置されている。すなわち、補充部材45は、円筒形状の部分と、その一方の開口を塞ぐように円筒形状の部分と一体に成形された中空の半球形状の部分とで構成されている。
【0078】
補充部材45は、少なくとも中空の半球形状の部分において、接着剤等によりカプセル33に固定されている。
【0079】
カートリッジ4が加熱式擬似喫煙具9に装填される際、加熱ブレード91がカプセル33と共に補充部材45を突き破ることができる程度に、補充部材45は容易に破断可能な素材である必要がある。
【0080】
加熱式擬似喫煙具9にカートリッジ4が装填された状態において、カプセル33の軸方向における加熱ブレード91が占める範囲Bの全領域において、巻材11の軸に垂直な平面で切断した断面におけるカプセル33の収容空間の面積が巻材11の中空部の面積より実質的に小さくなっている。
【0081】
また、補充部材45には、加熱ブレード91によりカプセル33のキャップ部側に開けられる孔を塞ぐ役割がある。そのため、補充部材45には、力を加えられると容易に変形し、その力から開放されると元の形状に近づく弾性を備える素材が用いられる。
【0082】
図12は、カートリッジ4が、加熱式擬似喫煙具9に装填される様子を示した図である。
図12(A)はカートリッジ4が加熱式擬似喫煙具9に装填される前の状態を示し、
図12(B)はカートリッジ4が加熱式擬似喫煙具9に装填された状態を示し、
図12(C)は加熱式擬似喫煙具9に装填されていたカートリッジ4が取り外された状態を示している。
図12(B)に示されるように、カートリッジ4が加熱式擬似喫煙具9に装填される際、補充部材45に加熱ブレード91が突き刺さり、補充部材45に孔が開くと共に、加熱ブレード91により補充部材45の形状が変形する。その後、カートリッジ4が加熱式擬似喫煙具9から取り外される際、加熱ブレード91が補充部材45から引き抜かれると、
図12(C)に示されるように、補充部材45は変形前の元の形状に近づき、加熱ブレード91によってカプセル33に開けられ、加熱ブレード91が貫通していた孔を塞ぐ。
【0083】
上記の役割を果たすために、補充部材45には、例えばスポンジ、ゴム等の弾性素材が採用され得るが、これに限られない。
【0084】
カートリッジ4によれば、カートリッジ3と同様に、従来技術に係るカートリッジ8と比較し、より効率的に加熱対象物の加熱が行われる。また、カートリッジ4によれば、加熱式擬似喫煙具9からカートリッジ4が取り外される際に、加熱ブレード91によりカプセル33に開けられた孔から加熱対象物14がこぼれ落ちにくい。
【0085】
[5.変形例]
上述した実施例は、本発明の技術的思想の範囲内で様々に変形することができる。以下にそれらの変形の例を示す。なお、以下の2以上の変形例が組み合わされてもよい。
【0086】
(1)上述した実施例において、カートリッジが備える巻材の形状は円筒形状であるものとしたが、これに限られない。加熱式擬似喫煙具9の凹部に装填可能である限り、巻材の形状は正六角筒形状等であってもよい。その場合、巻材の形状に応じて、フィルタ、カプセル、スペーサ等の形状も適宜、変更されてよい。
【0087】
(2)本発明に係るカートリッジが備えるカプセルの収容空間の形状及び大きさは、上述した実施例に例示したものに限られない。すなわち、巻材の軸方向における、加熱式擬似喫煙具にカートリッジが装填された状態において加熱式擬似喫煙具の加熱ブレードが挿入される範囲内において、カートリッジを巻材の軸に垂直な平面で切断した断面におけるカプセルの収容空間の面積が巻材の中空部の面積より実質的に小さい領域が1/2以上である、という条件を満たし、加熱式擬似喫煙具9に対するカートリッジの装填を阻害せず、カートリッジが加熱式擬似喫煙具9に装填された状態において加熱ブレード91の少なくとも一部を収容する限り、カプセルの収容空間の形状及び大きさはどのようなものであってもよい。
【0088】
図13は、上述した実施例に係るカートリッジが備えるカプセルの形状と異なる形状のカプセルを備える、本発明に係るカートリッジを例示した図である。
【0089】
(3)カプセルの壁の厚さによって、カートリッジを巻材の軸に垂直な平面で切断した断面におけるカプセルの収容空間の面積が、巻材の中空部の面積より実質的に小さい領域を有するように構成されてもよい。
【0090】
図14は、カプセルの壁を肉厚にすることにより、カプセルの収容空間の面積が、巻材の中空部の面積より実質的に小さい領域を有するように構成された一変形例に係るカートリッジ5の構造を示す断面図(巻材11の軸を含む平面で切断した断面図)である。なお、
図14において、巻材11は厚さ方向の比率を実際より大きく描いている。カートリッジ5は、上述した第1実施例に係るカートリッジ1と比較し、カプセルの形状が異なる点を除き、構成が共通している。
図14において、カートリッジ5がカートリッジ1と共通に備える構成部には、
図1における符号と同じ符号が用いられている。
【0091】
図14(A)に示すカートリッジ5は、従来技術に係るカートリッジ8のカプセル83と外形が同じであるが、壁の厚さがいずれの部分においても約1mmであるカプセル53Aを備える。このように、カプセル53Aは肉厚であるため、カートリッジ2が備えるスペーサ25や、カートリッジ3が備える補充部材35等を備えずとも、カートリッジを巻材の軸に垂直な平面で切断した断面におけるカプセルの収容空間の面積が巻材の中空部の面積より実質的に小さい領域が、加熱ブレード91が占める範囲の1/2以上となっている。
【0092】
カプセル53Aの壁は上述したように肉厚であるため、カプセル53Aの素材によっては、カートリッジ5が加熱式擬似喫煙具9に装填される際、加熱ブレード91によりカプセル53Aに孔があきにくく、ユーザがカートリッジ5を加熱式擬似喫煙具9に強く押し込む必要が生じたり、カプセル53Aの加熱ブレード91が当たる部分が大きく潰れたりする場合がある。そのような不都合を低減するために、カプセル53Aには、加熱ブレード91が貫通する部分における壁に、加熱ブレード91の挿入をガイドする孔、切り目、及び、凹みの少なくとも1つが設けられてもよい。
【0093】
図15は、加熱ブレード91の挿入をガイドする孔(
図15(A))、切り目(
図15(B))、及び、凹み(
図15(C))が設けられたカプセル53Aの、軸を含む平面で切断した断面図と、加熱ブレード91がカプセル53Aに向かう方向に見た底面図である。
図15(A)の例では、加熱ブレード91が貫通する部分に円錐台形状の孔Hが設けられている。
図15(B)の例では、加熱ブレード91が貫通する部分に十字の切り目Cが設けられている。
図15(C)の例では、加熱ブレード91が貫通する部分に半球形状の凹みEが設けられている。なお、これらの孔、切り目、凹みの形状や大きさは例示であって、任意に変更されてよい。
【0094】
なお、上述した実施例に係るカートリッジが備えるカプセルにおいて、加熱ブレード91がスムーズにカプセルに挿入されるように、加熱ブレード91が貫通する部分における壁に、加熱ブレード91の挿入をガイドする孔、切り目、及び、凹みの少なくとも1つが設けられてもよい。
【0095】
また、
図14(B)に示すカートリッジ5が備えるカプセル53Bは、加熱ブレード91が貫通する部分における壁の厚さが、他の部分における壁の厚さより薄くなるように成形されている。すなわち、カートリッジ5を巻材11の軸に垂直な平面で切断した断面におけるカプセル53Bの収容空間の面積が巻材11の中空部の面積より実質的に小さい領域におけるカプセル53Bの壁の厚さと比較し、加熱ブレード91が貫通する部分におけるカプセル53Bの壁の厚さが薄い。そのため、カートリッジ5が加熱式擬似喫煙具9に装填される際、加熱ブレード91によりカプセル53Bに容易に孔があく。
【0096】
(4)上述した第4実施例に係るカートリッジ4の補充部材45は、カプセルの収容空間を実質的に狭める役割と、加熱ブレード91によりカプセルに開けられた孔を塞ぐ役割を果たす。これに代えて、本発明に係るカートリッジが、加熱ブレード91によりカプセルに開けられた孔を塞ぐ役割は果たすが、カプセルの収容空間を狭める役割は実質的に果たさない補充部材を備えてもよい。
【0097】
図16は、この変形例に係るカートリッジ6の構造を示す断面図(巻材11の軸を含む平面で切断した断面図)である。なお、
図16において、巻材11は厚さ方向の比率を実際より大きく描いている。カートリッジ6は、上述した第4実施例に係るカートリッジ4と比較し、補充部材の形状が異なる点を除き、構成が共通している。
図16において、カートリッジ6がカートリッジ4と共通に備える構成部には、
図11における符号と同じ符号が用いられている。
【0098】
図16に示されるように、カートリッジ6は、カートリッジ4が備える補充部材45に代えて、補充部材65を備える。補充部材65は、補充部材45が有する円筒形状の部分を備えず、中空の半球形状の部分のみで構成されている。補充部材65は、カプセル33のキャップ部側の中空の半球形状の部分の内側面上に、接着剤等により固定されている。
【0099】
図16に示されるように、カプセル33の内側空間の容量に対し、補充部材65の体積は無視できる程度に小さい。従って、従来技術に係るカートリッジ8と比較した場合、カートリッジ6の加熱対象物に対する加熱の効率に実質的な差はない。しかしながら、カートリッジ6によれば、加熱ブレード91がカプセル33に開けた孔を補充部材65が塞ぐため、加熱式擬似喫煙具9からカートリッジ6が取り外される際に、加熱ブレード91によりカプセル33に開けられた孔から加熱対象物14がこぼれ落ちにくい、という効果が得られる。
【0100】
(5)上述した実施例において、カートリッジが備える、フィルタ及びカプセルの少なくとも一部を収容する筒状部材は巻材であるものとしたが、この筒状部材は、フィルタ及びカプセルの少なくとも一部を巻く構造の部材でなくてもよい。また、この筒状部材の素材は紙巻きタバコで採用されている紙に限られない。例えば、プラスチック等により筒状に成形された部材が巻材に代えて用いられてもよい。
【0101】
(6)カプセルの素材は、医薬用カプセルと同様の素材であってもよいし、異なる素材であってもよい。すなわち、カプセルの素材は、加熱ブレード91により加熱された際に発火をしたり有害ガスを発したりしない素材であり、カプセルの形状を保てる素材である限り、いずれの素材であってもよい。
【符号の説明】
【0102】
1…カートリッジ、2…カートリッジ、3…カートリッジ、4…カートリッジ、5…カートリッジ、6…カートリッジ、7…カートリッジ、8…カートリッジ、9…加熱式擬似喫煙具、11…巻材、12…フィルタ、13…カプセル、14…加熱対象物、23…カプセル、25…スペーサ、33…カプセル、35…補充部材、45…補充部材、65…補充部材、71…巻材、72…フィルタ、73…加熱対象物、81…巻材、82…フィルタ、83…カプセル、84…加熱対象物、91…加熱ブレード、131…ボディ部、132…キャップ部、831…ボディ部、832…キャップ部。
【手続補正書】
【提出日】2021-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の部材である筒状部材と、
前記筒状部材に少なくとも一部が収容されるカプセルと、
前記カプセルに収容され、前記カプセル内で加熱されて喫煙者に吸引される蒸気又はエアロゾルを発する加熱対象物と
を備える、前記カプセル内に挿入されて前記カプセル内で前記加熱対象物を内側から加熱する加熱ブレードを有する内側直加熱方式の加熱式擬似喫煙具用のカートリッジであって、
前記筒状部材の軸方向における、前記加熱式擬似喫煙具に前記カートリッジが装填された状態において前記加熱式擬似喫煙具の前記加熱ブレードが挿入される範囲内において、前記カートリッジを前記筒状部材の軸に垂直な平面で切断した断面における前記カプセルの収容空間の面積が前記筒状部材の中空部の面積より20%以上小さい領域が1/2以上である
カートリッジ。
【請求項2】
前記筒状部材の軸方向における、前記加熱式擬似喫煙具に前記カートリッジが装填された状態において前記加熱式擬似喫煙具の前記加熱ブレードが挿入される範囲の全域において、前記カートリッジを前記筒状部材の軸に垂直な平面で切断した断面における前記カプセルの収容空間の面積が、前記加熱ブレードが挿入される側に向かい小さくなる
請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記筒状部材の内側面と前記カプセルの外側面との間に配置されたスペーサを備える
請求項1又は2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記カプセルの内側面に接するように配置された補充部材を備える
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記補充部材は、前記加熱式擬似喫煙具に前記カートリッジが装填される際に前記カプセルに挿入される前記加熱ブレードにより変形し、前記加熱式擬似喫煙具から前記カートリッジが取り外される際に変形前の形状に近づき前記加熱ブレードが貫通していた前記カプセルの孔を塞ぐ
請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記カプセルの壁の厚さによって、前記カートリッジを前記筒状部材の軸に垂直な平面で切断した断面における前記カプセルの収容空間の面積が前記筒状部材の中空部の面積より20%以上小さい領域を有する
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記カートリッジを前記筒状部材の軸に垂直な平面で切断した断面における前記カプセルの収容空間の面積が前記筒状部材の中空部の面積より20%以上小さい領域における前記カプセルの壁の厚さと比較し、前記加熱ブレードが貫通する部分における前記カプセルの壁の厚さが薄い
請求項6に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記加熱ブレードが貫通する部分における前記カプセルの壁に、前記加熱ブレードの挿入をガイドする孔、切り目、及び、凹みの少なくとも1つが設けられている
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項9】
筒状の部材である筒状部材と、
前記筒状部材に少なくとも一部が収容されるカプセルと、
前記カプセルに収容され、加熱されて喫煙者に吸引される蒸気又はエアロゾルを発する加熱対象物と
を備える、前記カプセル内に挿入されて前記加熱対象物を内側から加熱する加熱ブレードを有する内側直加熱方式の加熱式擬似喫煙具用のカートリッジであって、
前記カプセルの内側面に接するように配置された補充部材を備え、
前記補充部材は、前記加熱式擬似喫煙具に前記カートリッジが装填される際に前記カプセルに挿入される前記加熱ブレードにより変形し、前記加熱式擬似喫煙具から前記カートリッジが取り外される際に変形前の形状に近づき前記加熱ブレードが貫通していた前記カプセルの孔を塞ぐ
カートリッジ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
上述した課題を解決するため、本発明は、筒状の部材である筒状部材と、前記筒状部材に少なくとも一部が収容されるカプセルと、前記カプセルに収容され、前記カプセル内で加熱されて喫煙者に吸引される蒸気又はエアロゾルを発する加熱対象物とを備える、前記カプセル内に挿入されて前記カプセル内で前記加熱対象物を内側から加熱する加熱ブレードを有する内側直加熱方式の加熱式擬似喫煙具用のカートリッジであって、前記筒状部材の軸方向における、前記加熱式擬似喫煙具に前記カートリッジが装填された状態において前記加熱式擬似喫煙具の前記加熱ブレードが挿入される範囲内において、前記カートリッジを前記筒状部材の軸に垂直な平面で切断した断面における前記カプセルの収容空間の面積が前記筒状部材の中空部の面積より20%以上小さい領域が1/2以上であるカートリッジを第1の態様として提案する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
第1乃至第5のいずれかの態様に係るカートリッジにおいて、前記カプセルの壁の厚さによって、前記カートリッジを前記筒状部材の軸に垂直な平面で切断した断面における前記カプセルの収容空間の面積が前記筒状部材の中空部の面積より20%以上小さい領域を有する、という構成が第6の態様として採用されてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
第6の態様に係るカートリッジにおいて、前記カートリッジを前記筒状部材の軸に垂直な平面で切断した断面における前記カプセルの収容空間の面積が前記筒状部材の中空部の面積より20%以上小さい領域における前記カプセルの壁の厚さと比較し、前記加熱ブレードが貫通する部分における前記カプセルの壁の厚さが薄い、という構成が第7の態様として採用されてもよい。