(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010402
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】リレー盤
(51)【国際特許分類】
H01H 45/04 20060101AFI20230113BHJP
H02B 1/56 20060101ALI20230113BHJP
H02B 1/04 20060101ALI20230113BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230113BHJP
H05K 7/18 20060101ALN20230113BHJP
【FI】
H01H45/04 A
H02B1/56 A
H02B1/04 Z
H05K7/20 H
H05K7/18 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114517
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】王 駿良
【テーマコード(参考)】
5E322
5G016
【Fターム(参考)】
5E322BA01
5E322BB03
5E322BC02
5E322EA01
5G016CD26
5G016CG09
(57)【要約】
【課題】ケーブルの配線等の作業を簡素化するとともに、リレー盤の製造及び動作試験の効率化を図ることが可能なリレー盤を提供する。
【解決手段】本実施形態によるリレー盤は、筐体と、筐体内に配置され、複数の回路凹部と、回路凹部に接続された制御回路と、を有する基板と、基板の回路凹部に接続されるピンを有するリレーと、リレーを基板に固定する固定部材と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配置され、複数の回路凹部と、前記回路凹部に接続された制御回路と、を有する基板と、
前記基板の前記回路凹部に接続されるリレーピンを有するリレーと、
前記リレーを前記基板に固定する固定部材と、を備えた、リレー盤。
【請求項2】
前記筐体に、前記筐体の内部空間の換気を行う換気装置が設けられている、請求項1に記載のリレー盤。
【請求項3】
前記筐体に、前記基板を前記筐体に対して回動可能に保持する基板フレームが設けられている、請求項1又は2に記載のリレー盤。
【請求項4】
前記基板は、前記リレー側に位置する第1面と前記第1面に対向する第2面とを有し、前記回路凹部は、前記第1面及び前記第2面にそれぞれ設けられている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のリレー盤。
【請求項5】
タイマピンを有するタイマと、
前記タイマの前記タイマピンを前記基板の前記回路凹部に接続するタイマ用固定部材と、をさらに備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のリレー盤。
【請求項6】
前記基板の縁部には、前記縁部から外方に延びる電極が設けられている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のリレー盤。
【請求項7】
前記リレーはメカニカルリレーである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のリレー盤。
【請求項8】
前記リレーは、前記制御回路に接続している前記リレーピンを表示するランプを有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のリレー盤。
【請求項9】
前記固定部材に対して回動可能にアームが取り付けられ、前記アームは前記リレーを前記基板に対して保持する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のリレー盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、リレー盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリレー盤において、各々がソケットに接続された複数のリレー同士は、互いにケーブルを介して接続される。この場合、互いのソケットを接続するためには、ねじなどでケーブルをソケットに固定する必要がある。このような作業は、リレー盤の作成作業や設置据付作業において、作業者の手作業により行われる。
【0003】
また、従来のリレー盤の動作試験において、配線ミスやリレーの不具合等による異常が確認された場合、いったんリレー盤からリレーを取り外し、ケーブルの配線状況やリレーの動作性を確認する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ケーブルの配線等の作業を簡素化するとともに、リレー盤の製造及び動作試験の効率化を図ることが可能なリレー盤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によるリレー盤は、筐体と、前記筐体内に配置され、複数の回路凹部と、前記回路凹部に接続された制御回路と、を有する基板と、前記基板の前記回路凹部に接続されるピンを有するリレーと、前記リレーを前記基板に固定する固定部材と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】一実施形態による基板フレームを示す正面図。
【
図5】
図4のA部拡大図であって、一実施形態による基板を示す正面図及び側面図。
【
図7】一実施形態による基板の電極及びスロットを示す正面図。
【
図8】一実施形態によるリレーを示す正面図、背面図及び側面図。
【
図9】一実施形態による固定部材を示す正面図及び側面図。
【
図10】一実施形態による基板、固定部材及びリレーの組付け方法を示す概略構成図。
【
図11】
図10のB-B線断面図であって、一実施形態による基板、固定部材及びリレーの組付け状態を示す概略断面図。
【
図13】アームが取り付けられた基板、固定部材及びリレーを示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0009】
図1は、一実施形態によるリレー盤を示す斜視図である。本実施形態によるリレー盤1は、例えば、上下水道処理場等の水処理施設や、工場や、エレベータ等の輸送機器などに用いることができる。本実施形態において、リレー盤1は、電気機器の入出力を制御するものであっても良い。
【0010】
図1に示すように、本実施形態によるリレー盤1は、筐体10と、筐体10内に配置された基板20と、基板20に接続されたリレー30と、リレー30を基板20に固定する固定部材40と、を備えている。このうち基板20は、複数の回路凹部21と、回路凹部21に接続された制御回路22と、を有している。また、リレー30は、基板20の回路凹部21に接続されるリレーピン31を有している。
【0011】
図1に示すように、筐体10は、全体として略直方体状の形状を有している。筐体10は、基板20、リレー30及び固定部材40を内部に収容し、保持するものである。筐体10は、金属製であってもよい。
【0012】
筐体10の前面には、筐体開口部10Aが設けられている。筐体開口部10Aは、正面視において長方形の形状を有している。筐体開口部10Aは、リレー盤1の操作者が、筐体10に収納された基板20、リレー30又は固定部材40にアクセスするときに使用することができる。なお、
図1及び
図2に示すように、筐体10の前面に設けられた筐体開口部10Aとは別に、筐体10の後面にも筐体開口部10Aが設けられている。
【0013】
扉11は、筐体開口部10Aの鉛直方向に延びる一辺に開閉可能に取り付けられている。扉11は、正面視で長方形形状を有している。扉11は、筐体開口部10Aを開放するとともに筐体開口部10Aを閉鎖する。なお、扉11は、筐体10の前面及び後面に設けられた筐体開口部10Aに、それぞれ開閉可能に取り付けられている。
【0014】
図1に示されるように、扉11には、下部に位置する扉開口部11Aと、上部に位置する窓部11Bとが設けられている。扉開口部11Aは、扉11が閉じているときに、筐体10の内部空間及び外部空間の換気を可能とするものである。扉開口部11Aには、不織布等からなるフィルタが取り付けられている。これにより、筐体10の内部空間及び外部空間の間で換気を行うことができる。窓部11Bは、扉11が閉じているときに、リレー盤の操作者が筐体10の内部空間を視認可能とするものである。
【0015】
筐体10の上面には、筐体10の内部空間の換気を行う換気装置50が設けられている。換気装置50は、図示しないファンを有していても良い。換気装置50は、ファンを駆動することで、筐体10の内部空間と外部空間との間に、空気の流れを生み出し、筐体10の内部空間及び外部空間の換気を強制的に行う。
【0016】
図2に示されるように、筐体10の内部には、基板フレーム12が回動自在に設けられている。基板フレーム12には、基板20、リレー30及び固定部材40が取り付けられる。基板フレーム12は、基板20、リレー30及び固定部材40を筐体10の内部に保持する。また、基板フレーム12は、筐体10の長手方向に沿って延びる回動軸12aを有しており、基板20、リレー30及び固定部材40を、筐体10に対して回動可能に保持する。この場合、筐体10の内部に2つの基板フレーム12が設けられている。
【0017】
基板フレーム12は、外周に位置する枠体13と、枠体13に連結されたレール14と、を備えている。
【0018】
このうち枠体13は、前後に貫通する開口を有する枠状部材からなる。枠体13は、前後2つの支持枠体13aと、2つの支持枠体13a同士を互いに連結する連結枠体13bと、を有している。支持枠体13aは、正面視において長方形の形状を有し、基板20、リレー30及び固定部材40を囲む。連結枠体13bは、棒状の部材である。連結枠体13bは、前後方向において対向する支持枠体13aを連結する。
【0019】
レール14は、枠体13の上下方向に延び、枠体13の内部に基板20を保持する。基板20を挿入するため、レール14は、上下方向に延びる側面のうち1つの側面に、上下方向に延びる凹部を有している。レール14は、樹脂やゴム等の絶縁体であってもよい。
【0020】
図4及び
図6に示されるように、基板フレーム12には基板20が保持されている。基板20は、板状の部材である。基板20は、リレー30側に位置する第1面20aと、第1面20aに対向する第2面20bとを有している。基板20は、複数のリレー30を保持し、互いに電気的に接続するものである。図示された例において、基板20の第1面20aには、複数(16個)のリレー30を取り付け可能となっている。なお、基板20は、第1面20aに加えて、第2面20bにも複数のリレー30を取り付け可能な構造となっていてもよい。
【0021】
図5(a)(b)に示されるように、基板20は、基板本体19と、基板本体19に配置された複数の回路凹部(回路槽)21と、回路凹部21に接続された制御回路22と、を有している。
【0022】
このうち基板本体19は、全体として略長方形状を有しており、樹脂又はガラス繊維等の絶縁性の材料を含む。また回路凹部21は、基板本体19の面内に規則的に配置されている。回路凹部21は、それぞれリレー30のリレーピン31(後述)に対応する位置に配置されている。
【0023】
図5(a)に示されるように、回路凹部21は、基板20の第1面20a側及び第2面20b側にそれぞれ凹状に形成されている。
図5(a)に示された例において、基板20の厚さ方向における回路凹部21の深さは、基板20の厚さの半分以下であっても良い。また、回路凹部21は、金属等の導電性及び耐熱性を有する部材を含む。例えば回路凹部21には、金属が埋め込まれていても良く、回路凹部21の表面に導電性を有する物質が塗布又はエッチングにより形成されていても良い。
図4乃至
図6に示されるように、各回路凹部21は、正面視において円形の形状を有している。回路凹部21は、基板20に取り付けられるリレー30のリレーピン31の形状に応じて、正面視において例えば楕円形や長方形等の形状を有してもよい。また、本実施形態において、基板20のうち、1つのリレー30が取り付けられる領域には、複数(14個)の回路凹部21が設けられている。
【0024】
図5(a)に示されるように、制御回路22は、少なくとも第1面20a上に設けられた導電性の回路部材である。制御回路22は、基板20上に積層されてもよいし、基板20上に半田付けされてもよい。図示された例において、制御回路22は、基板20の厚さ方向に積層されている。また、
図5(b)に示されるように、制御回路22は、基板20の上下方向や左右方向、並びに、回路凹部21の周方向に沿って設けられている。制御回路22は、基板20において、後述するリレー30の複数のリレーピン31同士を互いに電気的に接続するものである。また、制御回路22は、基板20に取り付けられた複数のリレー30同士を互いに電気的に接続する。このため、制御回路22は、複数の回路凹部21同士を電気的に接続するように配置されている。この場合、制御回路22は、平面視で屈曲する線状に延びているが、直線状又は曲線状に延びていても良く、面状に広がっていても良い。また制御回路22は、各リレー30に対応する領域内で2つ以上の回路凹部21を接続するとともに、基板20の外周まで延びている。制御回路22は、各リレー30に対応する領域内で分岐部を有していても良く、分岐部を有していなくても良い。制御回路22には、基板20上に積層される銅などの導電性を有する金属や、銅などの導電性を有する線状の金属の周囲を樹脂等で被覆されたリード線を用いてもよい。なお、制御回路22は、基板20の第1面20aのみに設けられているが、これに限らず、基板20の第1面20a及び第2面20bの両方に設けられてもよい。
【0025】
なお、
図5(a)(b)に示されるように、基板20は、基板20の厚さ方向に貫通する回路穴24を有してもよい。この回路穴24は、基板20に固定部材40等の他の部材を取り付けるための接続具43(後述)を挿入可能とするものである。
【0026】
図4及び
図6に示すように、基板20の縁部23には、縁部23から外方に延びる電極25が設けられている。電極25は、異なる基板20上に取り付けられたリレー30同士を互いに電気的に接続するものである。
図4及び
図6に示された例において、電極25は、基板20の各縁部23から外方に延びている。電極25には、銅などの導電性を有する部材を用いてもよい。
【0027】
さらに、
図7に示されるように、複数の基板20は、スロット26を介して互いに電気的に接続されてもよい。この場合、互いに隣接する基板20の電極25同士が、スロット26に接続され、これにより互いに電気的に接続される。スロット26は、銅などの導電性を有する部材を有してもよい。
【0028】
次に、基板20に取り付けられるリレー30及び固定部材40の構成について説明する。
【0029】
図8(a)-(c)に示されるように、リレー30は、リレー本体30aと、リレー本体30aから外方に延びるリレーピン31とを有している。このうちリレー本体30aは、略直方体状であり、その一方の面からリレーピン31が突出し、他方の面にはランプ32が設けられている。リレー30は、基板20に取り付けられることで、リレー盤1と電気的に接続されている回路の開閉を行うものである。なお、リレー30は、複数のリレーピン31を有しており、この場合、14本の端子を有している。また、リレー30は、メカニカル(有接点)リレーであってもよい。リレー30は、後述する固定部材40を介して、基板20に取り付け可能である。
図4及び
図6に示された例において、リレー30は、制御回路22が設けられた基板20の第1面20aに取り付けられている。これにより、基板20に取り付けられた複数のリレー30は、回路凹部21及び制御回路22を介して互いに電気的に接続される。
【0030】
複数のリレーピン31は、それぞれ基板20の回路凹部21に接続される。各リレーピン31は、リレー本体30aに収容された接点又は電磁コイル等に電気的に接続されている。リレーピン31は、導電性を有する金属からなっていてもよい。またリレーピン31の先端は、それぞれ回路凹部21に対応して丸みを帯びていても良い。
【0031】
また、
図8(a)、(c)に示すように、リレー30は、ランプ32を有している。ランプ32は、それぞれリレー30のリレーピン31に対応して設けられ、各リレーピン31と電気的に接続されている。ランプ32は、複数のリレーピン31のうち、制御回路22に接続され、通電しているリレーピン31を表示するものである。
図8(a)-(c)に示された例において、リレー30は、14個のランプ32を有している。ランプ32は、LEDランプであってもよい。
【0032】
図10及び
図11は、リレー30を基板20に取り付けた状態を示している。上述したように、基板20の複数の回路凹部21は、それぞれリレー30のリレーピン31に対応する位置に設けられている。このため、基板20に取り付けられたとき、リレー30のリレーピン31の先端は、それぞれ対応する回路凹部21に電気的に接続される。このように、複数のリレーピン31がそれぞれ回路凹部21に接続されることにより、リレー30が制御回路22に接続される。また、複数のリレーピン31のうち、通電しているリレーピン31に対応するランプ32が点灯するので、通電しているリレーピン31を容易に視認することができる。
【0033】
本実施形態において、リレー30はメカニカルリレーであっても良い。メカニカルリレーは、リレー本体30aに内蔵されたコイルに電流が生じると、接点を切り替える。接点切替後のリレー30は、接点切替前のリレー30とは異なる端子間を接続する。すなわち、リレー盤1は、入力素子からの入力に応じて、出力素子の動作を制御するスイッチとして機能することができる。なお、上記コイルに生じる電流は、制御回路22に接続された回路凹部21を介して、対応するリレーピン31から供給される。
【0034】
図9(a)(b)に示すように、固定部材40は、略直方体状の部材からなる。固定部材40は、
図10及び
図11に示されるように、リレー30を基板20に固定する際に基板20とリレー30との間に配置される。固定部材40は、リレー30を基板20に安定的に固定するために用いられる。固定部材40は、樹脂等の絶縁性材料から構成されてもよい。
【0035】
固定部材40は、固定部材40を厚み方向(
図9(b)の左右方向)に貫通する第1貫通穴41及び第2貫通穴42を有している。このうち第1貫通穴41には、リレーピン31が挿入される。リレーピン31が挿入された後、リレーピン31の先端が第1貫通穴41から突出する。このため、固定部材40の厚みは、リレーピン31の長さよりも薄く、リレーピン31を第1貫通穴41に挿入した状態でリレー30が固定部材40から脱落しない程度の厚みであることが好ましい。固定部材40は、リレーピン31の配置に対応する位置に複数の第1貫通穴41を有している。また、第2貫通穴42には、固定部材40を基板20に対して固定するためのネジ等の接続具43が挿入される。図示された例において、第2貫通穴42は、固定部材40の四隅に設けられている。
【0036】
次に、このような構成からなる本実施形態の作用について説明する。
【0037】
まず、上述したリレー盤1を準備する。この場合、リレー盤1には、予めリレー盤1に収容されるリレー30に対応する複数の回路凹部21と制御回路22とを有する基板20が配置される。次に、固定部材40を介してリレー30を基板20に取り付け、リレーピン31を、それぞれ回路凹部21に接続する。
【0038】
この間、まず固定部材40を基板20に固定する。具体的には、接続具43を固定部材40の第2貫通穴42と基板20の回路穴24とに挿入することにより、固定部材40が基板20に取り付けられる。続いて、リレー30を固定部材40に取り付ける。具体的には、リレーピン31を第1貫通穴41に挿入する。
図11に示されるように、リレー本体部30aから離間する方向に延びるリレーピン31の長さは、固定部材40の厚さよりも長い。したがって、第1貫通穴41を貫通したリレーピン31の先端は、リレーピン31が挿入された側とは逆の側に突き出す。このようにして、リレー30が固定部材40に取り付けられる。この際、固定部材40から突き出たリレーピン31の先端が、回路凹部21に接続される。すなわち、基板20の回路凹部21にリレーピン31の先端が接触し、リレーピン31が回路凹部21に電気的に接続される。このとき、リレー30の複数のランプ32のうち、制御回路22に接続されているリレーピン31に対応するランプ32が選択的に点灯する。
【0039】
ところで、一般に配線ミスやリレーの不具合がリレー盤に生じると、リレー内部に電流が生じても端子の切替えが正常に行われず、求められた動作を実現できない異常が生じることがある。動作試験やリレー盤の使用時にこのような異常が発見された場合、従来のリレー盤では、リレーの端子を目視で識別することができないため、一旦リレーをリレー盤から取り外し、ケーブルの配線状況やリレーの動作性を確認し、異常の原因を特定する必要がある。結果として、従来のリレー盤において、異常の原因特定に長時間を要する問題がある。
【0040】
これに対して本実施形態におけるリレー盤1においては、リレー30は、制御回路22に接続している端子を表示するランプ32を有している。すなわち、制御回路22を通じてリレーピン31に生じた電流は、当該リレーピン31と電気的に接続されたランプ32にも生じる。そして、電流の生じたランプ32は、点灯する。すなわち、本実施形態によるリレー盤1において、制御回路22に接続されているリレーピン31を容易に識別することができる。これにより、リレー30のリレーピン31の挙動を確認することで、リレー30を取り外すことなく異常箇所を特定することができる。結果として、このようなリレー盤1によれば、異常の原因特定を短時間で行うことができる。
【0041】
また、本実施形態において、基板20は、複数の回路凹部21と、回路凹部21に接続された制御回路22と、を有する。この場合、複数のリレー30を電気的に接続する基板20を予め作製しておくことにより、リレー30を設置する際の配線作業を省略することができる。例えば、リレーを設置する際に複数の端子の中から使用する端子を選択したり、ソケットに設けられた端子にケーブルをねじなどによって固定したりする必要がない。このため多数のリレー30によって構成されるリレー盤1において、配線作業を簡略化し、リレー盤1の設置に要する時間を短縮するとともに、接続する端子を間違えるリスクを低減することができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、回路凹部21は、基板20の第1面20aと、第1面20aに対向する第2面20bとにそれぞれ設けられている。回路凹部21には、リレーピン31を有するリレー30を接続可能である。これにより、基板20に多数のリレー30を取り付けることができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、基板20の縁部23には、縁部23から外方に延びる電極25が設けられており、制御回路22は、電極25と電気的に接続される。これにより、回路を基板20の外方にも延ばすことができ、より複雑な回路を構築することができる。
【0044】
さらに、
図7に示されるように、異なる基板20の電極25間には、スロット26が設けられているので、異なる基板20に設けられた電極25を互いに電気的に接続することができる。これにより、基板20の制御回路22を他の基板20に対して電気的に接続することができる。これにより、異なる基板20に取り付けられたリレー30同士を電気的に接続し、より複雑な回路を構築することができる。
【0045】
また、上述したように、基板フレーム12は、基板20を筐体10に対して回動可能に保持する。これにより、リレー盤1の操作者は、扉11を開き、基板フレーム12及び基板20を回動させることで、筐体10の前後方向の一方から、基板20の第1面20a及び第2面20bを両方とも視認することができる。
【0046】
ところで、制御回路22及びリレー30に電流が生じると、制御回路22及びリレー30が発熱する場合がある。この場合、制御回路22及びリレー30から熱が放射され、筐体10の内部空間の温度は上昇する。これに対して、本実施形態においては、筐体10の上面に、換気装置50が設けられ、この換気装置50を駆動することにより、筐体10内部の温度上昇した空気が外部に放出される。このとき、相対的に気圧の低下した筐体10内部には、扉開口部11Aからフィルタを介して外部の空気が流入する。このように筐体10の内部の換気が促進される結果、温度上昇による制御回路22やリレー30の不具合を効果的に回避することができる。
【0047】
(変形例)
次に、本実施形態の各種変形例について説明する。
【0048】
上述した実施形態において、基板20が、基板20を貫通しない非貫通凹部である回路凹部21を有する例を示したが、これに限られない。回路凹部21は、基板20を貫通しないものに限らず、基板20の第1面20a及び第2面20b間を貫通するものであってもよい。この場合、リレー30をより確実に基板20に対して固定することができる。
【0049】
上述した実施形態において、基板20にリレー30が取り付けられる例を示したが、これに限られない。基板20には、リレー30に加えて、さらにタイマ61(
図12(a)参照)が取り付けられてもよい。タイマ61は、内蔵されたコイルに電流が生じてから端子が切り替わるまでの時間、又はコイルに電流が生じなくなってから端子が切り替わるまでの時間を遅らせるものである。タイマ61は、基板20の回路凹部21に接続されるタイマピン62を有している。タイマ61として、市販のタイマリレーを用いることができる。このようなリレー盤1は、タイマピン62を有するタイマ61と、タイマピン62を基板20の回路凹部21に接続するタイマ用固定部材63と、をさらに備える。
【0050】
図12(a)(b)に示すように、タイマ用固定部材63は、基板20の回路凹部21に接続されるタイマ用固定部材ピン64と、タイマピン62が挿入されるタイマ貫通穴65と、を有している。タイマ用固定部材ピン64は、回路凹部21に接続することができる。また、タイマ貫通穴65には、タイマピン62が挿入される。タイマ貫通穴65にタイマピン62が挿入されることで、タイマ61とタイマ用固定部材63とが互いに接続される。また、タイマ用固定部材ピン64が回路凹部21に接続されることで、タイマピン62が回路凹部21に接続される。このようなリレー盤1によれば、より複雑な回路を構築することができる。
【0051】
また、
図13に示されるように、固定部材40に対して回動可能にアーム70が取り付けられ、アーム70はリレー30を基板20に対して保持していてもよい。図示された例において、アーム70は、基板20の幅方向に延びている。この場合、2本のアーム70A、70Bが設けられ、一方のアーム70Aは、基板20の幅方向における一端(
図13の左側端部)から他端(
図13の右側端部)まで延び、他方のアーム70Bは、基板20の幅方向における他端(
図13の右側端部)から一端(
図13の左側端部)まで延びている。この2本のアーム70A、70Bは、基板20の幅方向における中央地点で、互いに連結されている。各アーム70A、70Bは、基板20の幅方向における端部に位置する固定部材40に取り付けられている。このようなリレー盤1によれば、リレー30をより確実に基板20に固定することができる。
【0052】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で、実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0053】
1・・・リレー盤、10・・・筐体、10A・・・筐体開口部、11・・・扉、11A・・・扉開口部、12・・・基板フレーム、12a・・・回動軸、13・・・枠体、13a・・・支持枠体、13b・・・連結枠体、14・・・レール、19・・・基板本体、20・・・基板、21・・・回路凹部、22・・・制御回路、23・・・縁部、24・・・回路穴、25・・・電極、30・・・リレー、31・・・リレーピン、32・・・ランプ、40・・・固定部材、41・・・第1貫通穴、42・・・第2貫通穴、43・・・接続具、50・・・換気装置、61・・・タイマ、62・・・タイマピン、63・・・タイマ用固定部材、64・・・タイマ用固定部材ピン、65・・・タイマ貫通穴、70・・・アーム