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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104028
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】火葬炉
(51)【国際特許分類】
   F23G 1/00 20060101AFI20230721BHJP
【FI】
F23G1/00 P
F23G1/00 F
F23G1/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004768
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】594128360
【氏名又は名称】村瀬炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103975
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 雄至
(57)【要約】
【課題】 本発明は、火葬の全工程において未燃焼物の発生を低減して遺体の円滑な燃焼を行なうことができ、火葬時間の短縮化を図ることができる火葬炉を提供する。
【解決手段】 本発明の火葬炉は、遺体を納めた柩を搬入する主燃焼炉と、上記主燃焼炉に接続されて上記主燃焼炉で発生する未燃焼物を燃焼する再燃焼炉と、上記再燃焼炉から排出された排気ガスを冷却する熱交換器とを備え、上記熱交換器において上記排気ガスの冷却によって生成した加熱空気を二次燃焼用空気として上記再燃焼炉に供給していることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺体を納めた柩を搬入する主燃焼炉と、
上記主燃焼炉に接続されて上記主燃焼炉で発生する未燃焼物を含む燃焼ガスを燃焼させる再燃焼炉と、
上記再燃焼炉から排出された排気ガスを冷却する熱交換器とを備え、
上記熱交換器において上記排気ガスとの熱交換によって生成した加熱空気を二次燃焼用空気として上記再燃焼炉に供給していることを特徴とする火葬炉。
【請求項2】
熱交換器は、再燃焼炉から排出された排気ガスを流通させる排気ガス流通路と、上記排気ガスを冷却する冷却空気を流通させる冷却空気流通路とを有し、上記排気ガス流通路内の排気ガスと上記冷却空気流通路内の冷却空気との間で非接触にて熱交換し、上記冷却空気による上記排気ガスの冷却と、上記冷却空気の加熱による二次燃焼用空気の生成を行なっていることを特徴とする請求項1に記載の火葬炉。
【請求項3】
二次燃焼用空気は、再燃焼炉内にて旋回するように供給されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の火葬炉。
【請求項4】
再燃焼炉における主燃焼炉からの燃焼ガスの流入口側に二次燃焼用空気の供給口が配設されていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の火葬炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火葬炉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から遺体の火葬処理には、炉前室と燃焼炉との間に棺台車を往復移動可能に配設し、葬送参列者による礼拝が行なわれた後、遺体を納めた柩を棺台車に載せて燃焼炉内に納入して所定時間燃焼処理を行い、次に、棺台車を引き出して収骨するという方法が一般的に行なわれている。
【0003】
柩に納められた遺体を燃焼炉にて火葬処理を行なうにあたり、燃焼炉内に十分な空気が供給されず、遺体の燃焼が不十分になるという問題がある。そして、遺体の火葬処理を十分なものとするには火葬処理の時間を長くする必要があるという問題がある。
【0004】
そこで、特許文献1には、主燃焼炉と再燃焼炉とを備え、再燃焼炉に排気筒を連結している火葬炉において、主再両燃焼炉の外壁が個々にそれぞれ間隔を隔ててケーシングで包被してあり、各ケーシングに外気吸入口と排出口とを設け、両排出口を合流し吸引ファンを介して延長する誘導管が二叉に分岐してあり、その一方の分岐管がタイマーで所定時間開放する第1バルブを介して、主燃焼炉内に向って設けた複数のノズルに連結し、他方の分岐管を前記第1バルブの閉鎖後に開放する第2バルブと排気ファンを介して排気筒に連結している火葬炉が提案され、主燃焼炉に熱気を噴入し、主燃焼炉における燃焼を促進させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平5-669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、火葬炉は、主燃焼炉に熱気を供給しているが、火葬開始から15分以内の火葬初期は、主燃焼炉内の温度が十分に上昇していないと共に、柩や副葬品の燃焼が行なわれるため、遺体の燃焼が不十分になり、未燃焼物が発生するという問題点を有する。
【0007】
又、主燃焼炉の内壁と柩との間に存在する空間の容積が十分に広くないと共に、柩及び副葬品の燃焼も生じるため、遺体を燃焼させるための燃焼用空気が不十分となり、未燃焼物が発生するという問題を生じる。
【0008】
燃焼用空気を多量に供給したとしても、主燃焼炉の内壁と柩との間に存在する空間の容積が十分に広くないため、主燃焼炉からの排気と共に燃焼用空気も排気されるため、やはり遺体燃焼のための燃焼用空気の不足が生じ、未燃焼物が発生する。
【0009】
そして、上記火葬炉は、主燃焼炉において未燃焼物が発生するため、燃焼用空気が主燃焼炉内に均一に供給されず、遺体の燃焼が不十分となり、未燃焼物の発生の原因となっている。
【0010】
又、上記火葬炉は、主燃焼炉及び再燃焼炉の壁部の熱を利用しているため、供給される燃焼用空気(熱気)の温度は低く、主燃焼炉に燃焼用空気を供給すると、主燃焼炉内の温度が却って低下し、遺体の円滑な燃焼が阻害されるという問題を生じると共に、主燃焼炉及び再燃焼炉の壁部の熱が奪われ、主燃焼炉及び再燃焼炉内の温度が低下するという問題も生じる。
【0011】
本発明は、火葬の全工程において未燃焼物の発生を低減して遺体の円滑な燃焼を行なうことができ、火葬時間の短縮化を図ることができる火葬炉を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の火葬炉は、
遺体を納めた柩を搬入する主燃焼炉と、
上記主燃焼炉に接続されて上記主燃焼炉で発生する未燃焼物を含む燃焼ガスを燃焼させる再燃焼炉と、
上記再燃焼炉から排出された排気ガスを冷却する熱交換器とを備え、
上記熱交換器において上記排気ガスとの熱交換によって生成した加熱空気を二次燃焼用空気として上記再燃焼炉に供給していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、再燃焼炉に二次燃焼用空気を供給しているので、遺体から発生する水蒸気の影響を低減させながら、再燃焼炉においてススなどの未燃焼物の燃焼を十分に行うことができる。
【0014】
再燃焼炉には、遺体や棺台車などの障害物がなく、再燃焼炉内に燃焼用空気を均一に且つ十分に供給することができ、主燃焼炉で生じた燃焼ガス中に含まれる未燃焼物の燃焼を円滑に行なうことができる。
【0015】
再燃焼炉に供給される二次燃焼用空気は、再燃焼炉において発生した高温の排気ガスと熱交換することによって生成されたものであり、十分な熱量でもって加熱されたものである。従って、二次燃焼用空気は、十分に高い温度に加熱されており、再燃焼炉の燃焼効率を低下させることなく、再燃焼炉内において未燃焼物の燃焼を十分に行うことができる。
【0016】
このように、本発明の火葬炉は、再燃焼炉に二次燃焼用空気を供給することによって、遺体の燃焼が不十分となり易い燃焼初期においても、未燃焼物の燃焼を十分に行うことができ、火葬の全過程において、未燃焼物の含有量の少ない排気ガスの排出を可能とすることができる。
【0017】
更に、本発明の火葬炉は、再燃焼炉における未燃焼物の燃焼を短時間のうちに行うことができるので、再燃焼炉内にて燃焼によって生成した排気ガスの滞留時間の短縮化を図ることができる。そして、主燃焼炉にて燃焼によって生成した燃焼ガスの再燃焼炉への流入を速やかに行うことができ、主燃焼炉に燃焼のための新鮮な空気を円滑に供給することができ、主燃焼炉における遺体の燃焼を促進させて火葬時間の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】火葬炉の主燃焼炉及び再燃焼炉を示した断面図である。
図2】火葬炉の主燃焼炉及び再燃焼炉を示した断面図である。
図3】火葬炉の主燃焼炉及び再燃焼炉を示した断面図である。
図4】火葬炉の全体構成を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の火葬炉の一例を図面を参照しつつ説明する。図1~3に示したように、火葬炉1は、遺体を納めた柩Hを上載した棺台車Cを搬入し、棺台車Cに上載した柩内の遺体を燃焼するための主燃焼室A11を有する主燃焼炉A1と、主燃焼炉の上方に副煙道A3を介して設けられ且つ主燃焼炉A1にて生じた燃焼ガスを再燃焼させるための再燃焼室A21を有する再燃焼炉A2とを備えており、主燃焼室A11と再燃焼室A21とは副煙道A3を介して連結、連通した状態に構成されている。なお、主燃焼炉A1は、ロストル式であってもよい。
【0020】
主燃焼炉A1の主燃焼室A11には主燃焼炉バーナーA12が配設されていると共に、再燃焼炉A2の再燃焼室A21には再燃焼炉バーナーA22が配設されている。再燃焼炉バーナーA22は、後述する燃焼ガスの流入口A24に対向して配設されており、再燃焼炉バーナーA22の燃焼炎は、燃焼ガスの流入口A24を通じて再燃焼室A21内に到達し、再燃焼室A21内の燃焼ガスを燃焼させるように構成されている。
【0021】
主燃焼炉A1の主燃焼室A11の左右側壁部内には再燃焼炉A2方向(図1~3において上下方向)に指向した左右側煙道A13、A13が形成されている。左右側煙道A13、A13は、その一端が副煙道A3の一端部に連結、連通していると共に、他端が主燃焼炉A1の主燃焼室A11の左右側壁部の内面に開口A131、A131して主燃焼室A11内に連通している。
【0022】
副煙道A3の他端は、再燃焼炉A2の再燃焼室A21における他端壁部A23に内外方向に貫通して形成された燃焼ガスの流入口A24に連結、連通し、再燃焼室A21内に連結、連通している。従って、主燃焼炉A1の主燃焼室A11と再燃焼炉A2の再燃焼室A21とは、左右側煙道A13、A13及び副煙道A3を介して連結、連通した状態に構成されている。
【0023】
そして、図4に示した通り、再燃焼炉A2の再燃焼室A21には、一端壁部A25は格子状に形成され、多数の貫通孔A251が内外面間に亘って貫通して形成されている。再燃焼室A21には、一端側(燃焼ガスの流入口A24の反対側)にて排気流路3の一端が連結、連通されていると共に、排気流路3の他端が、熱交換器2における後述する排気ガス流通路21の一端に連結、連通しており、再燃焼炉A2の再燃焼室A21と熱交換器2とは排気流路3を介して連結、連通している。
【0024】
熱交換器2は、再燃焼炉A2の再燃焼室A21にて生じて、再燃焼室A21から排出された排気ガスを流通させる排気ガス流通路21と、この排気ガス流通路21を取り囲むように配設された冷却空気流通路22とを有している。
【0025】
冷却空気流通路22の一側部には、一端部に外気を冷却空気として吸引する外気吸引ファン23aが設けられた外気取込流路23の他端が連結、連通されており、外気吸引ファン23aを駆動させることによって、外気を冷却空気として外気取込流路23を通じて冷却空気流通路22内に取り込むように構成されている。更に、冷却空気流通路22の他側部には、加熱空気排出路4の一端が連結、連通されており、加熱空気排出路4の他端は、後述する排気ガス排出路5に連結、連通されている。
【0026】
又、熱交換器2の排気ガス流通路21の他端には、排気ガス排出路5の一端が連結、連通され、排気ガス排出路5の他端は、外部に開口して排出口51とされており、この排出口51を通じて、熱交換器2にて冷却された排気ガスを外部に排出可能に構成されている。
【0027】
排気ガス排出路5にはフィルター装置6が介装されている。このフィルター装置6は、酸化チタンなどの含む除去フィルターを備え、この除去フィルター中に排気ガスを通過させることによって、排気ガス中に含まれている有害物質(例えば、ダイオキシンなど)の分解又は吸着などを行ない、有害物質の低減化を図っている。
【0028】
熱交換器2では、外気取込流路23を通じて冷却空気流通路22内に取り込んだ冷却空気と、排気ガス流通路21内を流通する排気ガスとの間で、排気ガス流通路21を介して非接触にて熱交換が行なわれ、排気ガス流通路21内を流通する排気ガスが冷却されると共に、熱交換によって冷却空気流通路22内の冷却空気は加熱されて加熱空気となるように構成されている。冷却空気流通路22内の外気と、排気ガス流通路21内の排気ガスとは直接接触しないため、冷却空気流通路22内の外気(加熱空気)に排気ガスが混入しないように構成されている。
【0029】
そして、加熱空気排出路4は、その途中において分岐され、加熱空気排出路4内を流通する加熱空気を二次燃焼用空気として再燃焼炉A2の再燃焼室A21内に供給するための燃焼用空気供給路7とされている。
【0030】
再燃焼炉A2の再燃焼室A21内に供給される二次燃焼用空気の温度を調整するために、燃焼用空気供給路7に、この燃焼用空気供給路7内に外気を取り込むための調整空気供給路8の一端が連結、連通されていてもよい。この調整空気供給路8の他端には調整空気供給ファン81が設けられており、調整空気供給ファン81を駆動させることによって、燃焼用空気供給路7内の二次燃焼用空気にこの二次燃焼用空気の温度を調整するための外気を供給可能に構成している。
【0031】
なお、燃焼用空気供給路7及び調整空気供給路8にはそれぞれ、バルブ7a、8aが介装されており、燃焼用空気供給路7内を流通する二次燃焼用空気の流通量と、調整空気供給路8内を流通する外気の流通量とを調整可能にしている。
【0032】
燃焼用空気供給路7の一端部は複数個(例えば、図3では3個)に分岐して分岐端部71、71・・・に形成され、各分岐端部71は、再燃焼炉A2の再燃焼室A21内における燃焼ガスの流入口A24の開口部近傍に開口した状態に配設されている。燃焼用空気供給路7の分岐端部71の開口部71a、即ち、二次燃焼用空気の供給口71aは、再燃焼室A21内の燃焼ガスの流れ方向(図2及び3において紙面に直交する方向、図1において右から左方向)を中心とした仮想円Fの周方向(接線方向)に指向した状態に配設されており、複数個の二次燃焼用空気の供給口71a、71a・・・から供給(噴出)された二次燃焼用空気は、再燃焼室A21内において、再燃焼室A21内の燃焼ガスの流れ(移動)方向を中心として円を描くように旋回させて供給される。
【0033】
又、主燃焼炉A1の前方には、主燃焼炉A1での遺体の火葬処理後に棺台車Cを冷却させるための冷却室Dと、葬送参列者が礼拝するための炉前室Eとが配設されている。冷却室D及び炉前室Eには、冷却及び換気のために外気が供給されている。冷却室D及び/又は炉前室Eのそれぞれに、外気供給流路D1、E1の一端を連結、連通すると共に、外気供給流路D1、E1の他端を排気流路3に連結、連通し、冷却室D及び/又は炉前室Eに供給された外気を排気流路3内を流通する排気ガスに混合させることによって、排気ガスの温度を調整してもよい。なお、図4では、外気供給流路D1、E1の一端部を合流させて一個の流路とした上で排気流路3に連結、連通させているが、外気供給流路D1、E1の一端部を合流させることなく、外気供給流路D1、E1の一端部をそれぞれ、排気流路3に連結、連通させてもよい。
【0034】
図4では、1個の主燃焼炉A1及び再燃焼炉A2に対して1個の熱交換器2及びフィルター装置6を設けた場合を説明したが、主燃焼炉A1及び再燃焼炉A2を複数個、配設し、複数個の主燃焼炉A1及び再燃焼炉A2が1個の熱交換器2及びフィルター装置6を共用してもよい。このような場合は、一の再燃焼炉A2に接続している排気流路3に、他の再燃焼炉A2の再燃焼室A21に接続している排気流路3’の他端を連結、連通させて、複数個の再燃焼炉A2の再燃焼室A21にて発生した排気ガスを合流させた上で、熱交換器2に供給し、又、燃焼用空気供給路7を再燃焼炉A2の数だけ分岐して各再燃焼炉A2の再燃焼室A21内のそれぞれに連結、連通し、二次燃焼用空気を供給するようにすればよい。
【0035】
次に、火葬炉1の使用要領について説明する。遺体を納めた柩Hを上載した棺台車Cを主燃焼炉A1の主燃焼室A11内に搬入した後、主燃焼炉A1の主燃焼炉バーナーA12及び再燃焼炉A2の再燃焼炉バーナーA22を点火して柩Hに納めた遺体の火葬を開始する。
【0036】
主燃焼炉A1の主燃焼室A11内での遺体を納めた柩Hの燃焼に伴って燃焼ガスが発生する。火葬の開始15分程度までの火葬初期では、主燃焼室A11内の温度が十分に上昇していないこと、柩Hや副葬品の燃焼があること、柩Hの存在などのため主燃焼炉A1の主燃焼室A11内の空気量が不十分であることなどの理由のため、ススなどの未燃焼物を含む燃焼ガスが発生する。
【0037】
この未燃焼物を含む燃焼ガスは、主燃焼室A11内に開口している左右側煙道A13、A13と、この左右側煙道A13、A13に連結、連通している副煙道A3とを介して、再燃焼炉A2の再燃焼室A21内に燃焼ガスの流入口A24を通じて流入する。主燃焼室A11内で生じる燃焼ガスは、上述の通り、主燃焼室A11内に滞留することなく、再燃焼室A21内に移動するので、主燃焼室A11内に新しい燃焼用の空気を円滑に供給することができ、主燃焼室A11内での燃焼を促進させることができる。
【0038】
再燃焼炉A2の再燃焼室A21には、熱交換器2にて排気ガスとの熱交換によって冷却空気が加熱されて加熱空気とされ、この加熱空気が二次燃焼用空気として燃焼用空気供給路7を通じて再燃焼炉A2の再燃焼室A21内に供給されている。熱交換器2における熱交換によって外気を加熱して加熱空気としており、外気を加熱するための燃焼を別途必要とせず、省エネルギー化を図ることができる。
【0039】
再燃焼炉A2の再燃焼室A21内に燃焼用空気供給路7を通じて供給される二次燃焼用空気は予め加熱されているので、再燃焼炉A2の再燃焼室A21内の温度が低下することが概ね防止されており、再燃焼室A21内での燃焼ガスの燃焼を円滑に行なって未燃焼物の燃焼を効率良く行なうことができ、未燃焼物の低減化と火葬時間の短縮化を図ることができる。
【0040】
そして、二次燃焼用空気は、燃焼用空気供給路7の二次燃焼用空気の供給口71aから、再燃焼室A21内の燃焼ガスの流れ(移動)方向を中心とした仮想円Fの周方向に指向させて噴出されており、再燃焼室A21内において、円を描くように旋回させて供給される。
【0041】
従って、二次燃焼用空気は、燃焼ガスの流入口A24から排気流路3の接続部方向(他端側から一端側方向)へと向かう燃焼ガスをその流動を妨げることなく流動方向に対して直交する面に沿って円を描くように旋回、攪拌させており、燃焼ガスと二次燃焼用空気とを十分に混合させながら、再燃焼炉バーナーA22でもって燃焼ガスを燃焼させて未燃焼物の燃焼を促進させることができる。再燃焼炉A2の再燃焼室A21内には、棺台車Cなどの障害物はなく、燃焼ガスと二次燃焼用空気とを混合させるために十分な容量を有しており、再燃焼室A21において、燃焼ガスと二次燃焼用空気とを十分に混合させることができる。
【0042】
更に、二次燃焼用空気は、再燃焼室A21の燃焼ガスの流入口A24近傍にて再燃焼室A21内に供給されており、燃焼ガスが再燃焼室A21内を流動する上で、流動上流側にて再燃焼室A21内に供給していることから、燃焼ガスが再燃焼室A21内を流動する初期段階で燃焼ガスと二次燃焼用空気とを十分に混合させることができ、再燃焼室A21内にて燃焼ガスを十分に燃焼させて未燃焼物の燃焼を促進させることができる。
【0043】
又、再燃焼炉バーナーA22を再燃焼室A21の燃焼ガスの流入口A24に対向した状態に配設しており、燃焼ガスを二次燃焼用空気と混合させた上で効果的に燃焼させて未燃焼物の燃焼を促進させることができる。
【0044】
そして、再燃焼炉A2の再燃焼室A21にて燃焼された燃焼ガスは排気ガスとして再燃焼室A21の一端壁部A25の貫通孔A251を通じて排気流路3に排出され、排気流路3を通じて熱交換器2の排気ガス流通路21内に供給される。なお、排気ガス流通路21内の排気ガスの温度が高すぎて熱交換器2やフィルター装置6を破損する虞れがある場合は、必要に応じて、外気を外気供給流路D1、E1を通じて排気流路3内に供給して排気ガスの温度が調整される。
【0045】
一方、熱交換器2の冷却空気流通路22には、外気吸引ファン23aを駆動させることによって外気取込流路23を通じて外気が冷却空気として供給されている。
【0046】
そして、熱交換器2において、排気ガス流通路21内の排気ガスと、冷却空気流通路22内の冷却空気とが非接触にて熱交換を行い、排気ガスが冷却された後、フィルター装置6にて有害物質が除去又は低減された上で、排気ガス排出路5を通じて排出口51から外部に排出される。排気ガス排出路5の排出口51から排出される排気ガスは、未燃焼物の含有量が低減化されているため、環境的に優れている。
【0047】
一方、熱交換器2において、冷却空気流通路22内の冷却空気は、排気ガス流通路21内の排気ガスと非接触にて熱交換を行って加熱されて加熱空気とされ、この加熱空気は加熱空気排出路4及び排気ガス排出路5を通じて排出口51から外部に排出される。熱交換器2にて生成した加熱空気は、排気ガスと接触していないため、排気ガスに起因した不純物の混入は回避されており、熱交換器2内での熱交換による熱エネルギーは、不純物の加熱に用いられることはなく、冷却空気の加熱に効率良く用いられ、高い温度を有する加熱空気を効率良く生成することができる。
【0048】
そして、加熱空気排出路4内に排出された加熱空気の一部は、上述の如く、二次燃焼用空気として燃焼用空気供給路7に供給され、燃焼用空気供給路7を通じて再燃焼炉A2の再燃焼室A21内に供給されて燃焼ガスの燃焼に用いられる。なお、二次燃焼用空気の温度を調整する必要がある場合は、調整空気供給ファンを駆動させると共にバルブ7a、8aの開閉度を調整し、調整空気供給路8を通じて外気を燃焼用空気供給路7内に供給して二次燃焼用空気の温度を調整すればよい。
【0049】
このように、再燃焼炉A2の再燃焼室A21における燃焼ガスの燃焼に用いられる空気として、予め高温に加熱された二次燃焼用空気を供給しているので、再燃焼室A21での燃焼ガスの燃焼を促進させることができ、短時間のうちに未燃焼物を十分に燃焼させて低減化を図ることができる。
【0050】
又、二次燃焼用空気を加熱するための熱エネルギーとして、再燃焼炉A2の再燃焼室A21から排出された排気ガスの冷却時の熱交換により生じる熱エネルギーを利用しているので、主燃焼炉の主燃焼室A11及び再燃焼炉A2の再燃焼室A21の温度を下げることはなく、主燃焼室A11及び再燃焼室A21内の温度を高く維持して燃焼効率を高く維持することができ、排気ガス中に含まれる未燃焼物の低減化を効果的に図ることができると共に、省エネルギー化も図ることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 火葬炉
2 熱交換器
3 排気流路
4 加熱空気排出路
5 排気ガス排出路
6 フィルター装置
7 燃焼用空気供給路
8 調整空気供給路
21 排気ガス流通路
22 冷却空気流通路
23 外気取込流路
51 排出口
71 分岐端部
81 調整空気供給ファン
A1 主燃焼炉
A11 主燃焼室
A13 左右側煙道
A2 再燃焼炉
A21 再燃焼室
A22 再燃焼炉バーナー
A23 他端壁部
A24 燃焼ガスの流入口
A3 副煙道
C 棺台車
H 柩
図1
図2
図3
図4