(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104029
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】光学系およびそれを有する撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 13/04 20060101AFI20230721BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
G02B13/04 D
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004774
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 匠
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA03
2H087MA07
2H087MA08
2H087NA07
2H087PA10
2H087PA11
2H087PA13
2H087PA16
2H087PA20
2H087PB13
2H087PB14
2H087PB15
2H087PB17
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA22
2H087QA26
2H087QA32
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA36
2H087RA44
(57)【要約】
【課題】広角レンズにおいて、小型軽量で、最至近距離撮影時において高い撮影倍率を得ることが可能でありながら、フォーカシングによる収差変動を抑えた高い光学性能を有する光学系を提供する。
【解決手段】光学系L0は、物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2を有する。無限遠から最至近へのフォーカシングに際し、第1レンズ群は固定で、第2レンズ群は移動する。第1レンズ群は、最も物体側から像側へ順に連続して配置された、2枚の負レンズを含む。第1レンズ群の光軸上の厚さD1、第2レンズ群の光軸上の厚さD2、第1レンズ群の焦点距離f1、第2レンズ群の焦点距離f2、無限遠合焦時の開口絞りの位置から像面までの光軸上の距離PD、無限遠合焦時の光学系の光学全長LDは、所定の条件を満たす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群を有し、フォーカシングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する光学系であって、
無限遠から最至近へのフォーカシングに際し、前記第1レンズ群は固定であり、前記第2レンズ群は移動し、
前記第1レンズ群は、最も物体側から像側へ順に連続して配置された、2枚の負レンズを含み、
前記第1レンズ群の光軸上の厚さをD1、前記第2レンズ群の光軸上の厚さをD2、前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第2レンズ群の焦点距離をf2、前記光学系が無限遠に合焦した状態における開口絞りの位置から像面までの光軸上の距離をPD、前記光学系が無限遠に合焦した状態における前記光学系の光学全長をLDとするとき、
0.6<D1/D2<2.0
-5.2<f1/f2<0.0
0.55<PD/LD<0.80
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
【請求項2】
前記2枚の負レンズの合成焦点距離をf1n2とするとき、
0.0<f1n2/f1<0.4
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記第1レンズ群は、最も物体側から像側へ順に連続して配置された、3枚の負レンズを含み、
前記3枚の負レンズの合成焦点距離をf1n3とするとき、
0.0<f1n3/f1<0.3
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の光学系。
【請求項4】
前記光学系が無限遠に合焦した状態における最も像側に配置されたレンズの像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離の空気換算長をskとするとき、
1.5<D1/sk<5.0
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項5】
前記光学系が無限遠に合焦した状態における最も像側に配置されたレンズの像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離の空気換算長をskとするとき、
1.5<D2/sk<4.5
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項6】
前記光学系が無限遠に合焦した状態における前記第2レンズ群のフォーカス敏感度をESinfとするとき、
0.7<ESinf<1.4
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項7】
前記第2レンズ群の像側に配置された第3レンズ群を更に有し、
前記第3レンズ群の焦点距離をf3とするとき、
0.0<f2/f3<0.5
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項8】
前記光学系の焦点距離をfとするとき、
-15<f1/f<-3
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項9】
前記光学系の焦点距離をfとするとき、
2.0<f2/f<4.0
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項10】
前記光学系が最至近距離に合焦した状態における前記光学系の撮影倍率をβmodとするとき、
0.20<βmod
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項11】
前記光学系の半画角をωとするとき、
90°<2ω<180°
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項12】
前記第2レンズ群において最も物体側に配置されたレンズの物体側のレンズ面の曲率半径をR2f、前記第2レンズ群において最も像側に配置されたレンズの像側のレンズ面の曲率半径をR2rとするとき、
-5.0<R2f/R2r<2.0
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項13】
前記光学系が無限遠に合焦した状態における前記第2レンズ群の最も像側のレンズ面から前記第3レンズ群の最も物体側のレンズ面までの光軸上の距離をL23とするとき、
0.05<L23/LD<0.20
なる条件式を満足することを特徴とする請求項7に記載の光学系。
【請求項14】
前記光学系が無限遠に合焦した状態における最も像側に配置されたレンズの像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離の空気換算長をskとするとき、
0.05<sk/LD<0.22
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項15】
無限遠から最至近へのフォーカシングに際し、前記第3レンズ群は固定であることを特徴とする請求項7または13に記載の光学系。
【請求項16】
前記第1レンズ群は、2枚の正レンズを含むことを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項17】
前記第1レンズ群は、最も物体側から像側へ順に連続して配置された、4枚の負レンズを含むことを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項18】
前記第1レンズ群において、最も像側に配置されたレンズは正の屈折力を有し、該レンズの像側のレンズ面は像側に向かって凸であることを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項19】
前記第1レンズ群は、正の屈折力のレンズと負の屈折力のレンズからなる接合レンズを含むことを特徴とする請求項1から18のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項20】
前記第1レンズ群は、非球面レンズを含むことを特徴とする請求項1から19のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項21】
前記非球面レンズは、前記第1レンズ群において最も物体側に配置されていることを特徴とする請求項20に記載の光学系。
【請求項22】
前記第2レンズ群は、正の屈折力のレンズと負の屈折力のレンズからなる接合レンズを含むことを特徴とする請求項1から21のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項23】
前記第3レンズ群は、正の屈折力の単レンズからなることを特徴とする請求項7,13,15のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項24】
前記光学系は、物体側から像側へ順に配置された、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群からなることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項25】
前記光学系は、物体側から像側へ順に配置された、前記第1レンズ群、第2レンズ群、第3レンズ群からなることを特徴とする請求項1から23のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか一項に記載の光学系と、該光学系によって形成される像を受光する撮像素子を有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系に関し、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、放送用カメラ、銀塩フィルム用カメラ、監視用カメラ等に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像装置に用いられる広角レンズにおいて、レンズ全体が小型でありながら、最至近距離撮影時において高い撮影倍率を得ることが可能なレンズが求められている。また、無限遠から最至近へのフォーカシングに際し、高い光学性能を有するレンズが求められている。
【0003】
広角レンズにおいて、最至近距離撮影時において高い撮影倍率を得るためには、フォーカスレンズ群の移動量を大きくする必要があり、レンズ全体の小型化が困難になる。フォーカスレンズ群の移動量を小さくするためには、フォーカスレンズ群の屈折力を強くする必要があるが、無限遠から最至近へのフォーカシングに際し、高い光学性能を有することが困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/213337号公報
【特許文献2】国際公開第2021/117429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群を有し、フォーカシングに際して、第2レンズ群が移動する光学系を開示している。第1レンズ群の屈折力に対する第2レンズ群の屈折力が弱いため、フォーカシング時の第2レンズ群の移動量が大きくなり、最至近距離撮影時において高い撮影倍率を得るためには、レンズの大型化を招いてしまう。
【0006】
特許文献2は、物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の前群、正の屈折力の後群からなり、フォーカシングに際して後群内の複数の単レンズが移動する光学系を開示している。高い撮影倍率を要する最至近距離撮影時において、複数の単レンズの移動では諸収差の補正が困難であり、高い光学性能が得られない。
【0007】
広角レンズにおいて、小型軽量で、最至近距離において高い撮影倍率が得られ、フォーカシングによる収差変動を抑えた高い光学性能を有する光学系の実現には、フォーカスレンズ群とその物体側に配置されるレンズ群の屈折力と厚さの適正化が重要である。
【0008】
本発明は、広角レンズにおいて、小型軽量で、最至近距離撮影時において高い撮影倍率を得ることが可能でありながら、フォーカシングによる収差変動を抑えた高い光学性能を有す光学系及びそれを有する撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面としての光学系は、物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群を有し、フォーカシングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する光学系であって、無限遠から最至近へのフォーカシングに際し、前記第1レンズ群は固定であり、前記第2レンズ群は移動し、前記第1レンズ群は、最も物体側から像側へ順に連続して配置された、2枚の負レンズを含み、前記第1レンズ群の光軸上の厚さをD1、前記第2レンズ群の光軸上の厚さをD2、前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第2レンズ群の焦点距離をf2、前記光学系が無限遠に合焦した状態における開口絞りの位置から像面までの光軸上の距離をPD、前記光学系が無限遠に合焦した状態における前記光学系の光学全長をLDとするとき、
0.6<D1/D2<2.0
-5.2<f1/f2<0.0
0.55<PD/LD<0.80
なる条件式を満足する。
【0010】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施形態において説明される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、広角レンズにおいて、小型軽量で、最至近距離撮影時において高い撮影倍率を得ることが可能でありながら、フォーカシングによる収差変動を抑えた高い光学性能を有する光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1の光学系の無限遠合焦時における断面図である。
【
図2】実施例1の光学系の無限遠合焦時における収差図である。
【
図3】実施例2の光学系の無限遠合焦時における断面図である。
【
図4】実施例2の光学系の無限遠合焦時における収差図である。
【
図5】実施例3の光学系の無限遠合焦時における断面図である。
【
図6】実施例3の光学系の無限遠合焦時における収差図である。
【
図7】実施例4の光学系の無限遠合焦時における断面図である。
【
図8】実施例4の光学系の無限遠合焦時における収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の光学系及びそれを有する撮像装置の実施例について、添付の図面に基づいて説明する。
【0014】
図1、
図3、
図5、
図7は、それぞれ実施例1乃至4の光学系L0の無限遠合焦時における断面図である。各実施例の光学系L0は、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、放送用カメラ、銀塩フィルム用カメラ、監視用カメラ等の撮像装置に用いられる光学系である。
【0015】
各レンズ断面図において左方が物体側で、右方が像側である。各実施例の光学系L0は複数のレンズ群を有して構成されている。本願明細書においてレンズ群とは、フォーカシングに際して一体的に移動または静止するレンズのまとまりである。すなわち、各実施例の光学系L0では、無限遠から近距離へのフォーカシングに際して隣接するレンズ群同士の間隔が変化する。なお、レンズ群は1枚のレンズから構成されていても良いし、複数のレンズから成っていても良い。また、レンズ群は開口絞りを含んでいても良い。
【0016】
各レンズ断面図において、Liは光学系L0に含まれるレンズ群のうち物体側から数えてi番目(iは自然数)のレンズ群を表している。
【0017】
また、SPは開口絞りである。IPは像面であり、各実施例の光学系L0をデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラの撮影光学系として使用する際にはCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面が配置される。各実施例の光学系L0を銀塩フィルム用カメラの撮影光学系として使用する際には像面IPにはフィルム面に相当する感光面が置かれる。
【0018】
また、各実施例の光学系L0では、フォーカシングに際して、少なくとも第2レンズ群L2を移動させるように構成されている。
【0019】
図2、
図4、
図6、
図8は、それぞれ実施例1乃至4の光学系L0の無限遠合焦時における収差図である。
【0020】
球面収差図においてFnoはFナンバーであり、d線(波長587.6nm)、g線(波長435.8nm)に対する球面収差量を示している。非点収差図においてΔSはサジタル像面における非点収差量、ΔMはメリディオナル像面における非点収差量を示している。歪曲収差図においてd線に対する歪曲収差量を示している。色収差図ではg線における色収差量を示している。ωは撮像半画角(°)である。
【0021】
次に、各実施例の光学系L0における特徴的な構成について述べる。
【0022】
各実施例の光学系L0は、物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2を有する。各実施例の光学系L0は、フォーカシングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する光学系である。無限遠から最至近へのフォーカシングに際し、第1レンズ群L1は移動せず(固定であり)、第2レンズ群L2は移動する。第1レンズ群L1は、最も物体側から像側へ順に連続して配置された、2枚の負の屈折力のレンズ(負レンズ)を含む。
【0023】
さらに、各実施例の光学系L0は以下の条件式(1)乃至(3)を満足する。
【0024】
0.6<D1/D2<2.0 ・・・(1)
-5.2<f1/f2<0.0 ・・・(2)
0.55<PD/LD<0.80 ・・・(3)
ここで、D1は第1レンズ群L1の光軸上の厚さである。D2は第2レンズ群L2の光軸上の厚さである。なお、レンズ群の光軸上の厚さとは、該レンズ群の最も物体側のレンズ面から最も像側のレンズ面までの光軸上の距離である。f1は第1レンズ群L1の焦点距離である。f2は第2レンズ群L2の焦点距離である。PDは、光学系L0が無限遠に合焦した状態における開口絞りSPの位置から像面IPまでの光軸上の距離である。LDは、光学系L0が無限遠に合焦した状態における光学系L0の光学全長(レンズ全長)である。
【0025】
条件式(1)は、第1レンズ群L1の厚さと、第2レンズ群L2の厚さの比を規定したものである。広角レンズにおいて、フォーカシング時に固定されたレンズ群の厚さとフォーカシング時に移動するフォーカスレンズ群の厚さを適切に設定することで、高い光学性能と更なる広角化の両立が可能となる。条件式(1)の上限値を上回ると、光学系L0において最も像側に配置されたレンズ群の正の屈折力が強くなるため、射出瞳が長くなり、シェーディング等の低減が可能となる。しかしながら、その最も像側に配置されたレンズ群の屈折力が強くなるため、レンズ全長の小型化には有利となるが、主に軸外光線によって発生する像面湾曲収差の悪化を招く。条件式(1)の下限値を下回ると、レンズ全長の小型化に有利となるが、軸外光線によって発生する歪曲収差や倍率色収差が悪化する。
【0026】
条件式(2)は、第1レンズ群L1の焦点距離と、第2レンズ群L2の焦点距離の比を規定したものである。フォーカスレンズ群とフォーカスレンズ群より物体側に配置されるレンズ群の焦点距離を適正化することで、フォーカスレンズ群に入射する光線が光軸と平行に近い角度で入射する(アフォーカル光線)ことが可能となる。これにより、フォーカシング時における収差の変動を抑制することができ、光学系L0の小型化と最至近距離撮影時において高い撮影倍率を得ることができる。条件式(2)の上限値を上回ると、第1レンズ群L1の焦点距離が正の値を持つこととなり、全長小型化には有利となるが、レンズ全系の広角化が困難となる。条件式(2)の下限値を下回ると、第1レンズ群L1の焦点距離が長くなり、屈折力が弱くなるため、フォーカス時の収差変動の抑制には有利となるが、前玉の大型化を招く。
【0027】
条件式(3)は、光学系L0が無限遠に合焦した状態における開口絞りSPの位置から像面IPまでの光軸上の距離PDと、光学系L0の光学全長LDの比を規定したものである。開口絞りSPを適切に配置することで、光学系L0の小型化を達成することが可能となる。条件式(3)の上限値を上回ると、開口絞りSPから像面IPまでの距離が光学全長より長くなり、最も物体側のレンズより物体側に開口絞りSPを配置することとなる。これにより広角レンズに適したレンズの配置が困難となる。条件式(3)の下限値を下回ると、バックフォーカスが短くでき、全長小型化に有利だが、レンズ前玉が大型化してしまう。
【0028】
さらに、条件式(1)乃至(3)の数値範囲は、以下の条件式(1a)乃至(3a)の範囲とすることがより好ましい。
【0029】
0.75<D1/D2<1.80 ・・・(1a)
-5.0<f1/f2<0.0 ・・・(2a)
0.56<PD/LD<0.70 ・・・(3a)
また、条件式(1)乃至(3)の数値範囲は、以下の条件式(1b)乃至(3b)の範囲とすることが更に好ましい。
【0030】
0.9<D1/D2<1.5 ・・・(1b)
-4.8<f1/f2<0.0 ・・・(2b)
0.57<PD/LD<0.66 ・・・(3b)
以上のように、各実施例の光学系L0は上記構成と条件式(1)乃至(3)を満たす。これにより、広角レンズにおいて、小型軽量で、最至近距離撮影時において高い撮影倍率を得ることが可能でありながら、フォーカシングによる収差変動を抑えた高い光学性能を有する光学系を実現することができる。
【0031】
次に、各実施例の光学系L0において、満足することが好ましい条件について述べる。各実施例の光学系L0は、以下の条件式(4)から(16)のうち1つ以上を満足することが好ましい。
【0032】
0.0<f1n2/f1<0.4 ・・・(4)
0.0<f1n3/f1<0.3 ・・・(5)
1.5<D1/sk<5.0 ・・・(6)
1.5<D2/sk<4.5 ・・・(7)
0.7<ESinf<1.4 ・・・(8)
0.0<f2/f3<0.5 ・・・(9)
-15<f1/f<-3 ・・・(10)
2.0<f2/f<4.0 ・・・(11)
0.20<βmod ・・・(12)
90°<2ω<180° ・・・(13)
-5.0<R2f/R2r<2.0 ・・・(14)
0.05<L23/LD<0.20 ・・・(15)
0.05<sk/LD<0.22 ・・・(16)
ここで、f1n2は、第1レンズ群L1において、2枚の負レンズが最も物体側から像側へ順に連続して配置された場合の、該2枚の負レンズの合成焦点距離である。f1n3は、第1レンズ群L1において、3枚の負レンズが最も物体側から像側へ順に連続して配置された場合の、該3枚の負レンズの合成焦点距離である。skは、光学系L0が無限遠に合焦した状態における最も像側に配置されたレンズの像側のレンズ面から像面IPまでの光軸上の距離の空気換算長(バックフォーカス)である。ESinfは、光学系L0が無限遠に合焦した状態における第2レンズ群L2のフォーカス敏感度である。なお、任意のレンズ群Liのフォーカス敏感度ESiは、無限遠フォーカシング時におけるレンズ群Liの横倍率をβi、レンズ群Liより像側に配置される全てのレンズ群の合成横倍率をβrとしたとき、ESi=(1-βi2)×βr2で定義される。f3は、第2レンズ群L2より像側に配置される全てのレンズを含むレンズ群を第3レンズ群L3とした場合、該第3レンズ群L3の焦点距離である。fは、光学系L0の焦点距離である。βmodは、光学系L0が最至近距離に合焦した状態における撮影倍率である。ωは、光学系L0の半画角(°)である。R2fは、第2レンズ群L2において最も物体側に配置されたレンズの物体側のレンズ面の曲率半径である。R2rは、第2レンズ群L2において最も像側に配置されたレンズの像側のレンズ面の曲率半径である。L23は、第2レンズ群L2の最も像側のレンズ面から第3レンズ群L3の最も物体側のレンズ面までの光軸上の距離(第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の間隔)である。
【0033】
条件式(4)は、2枚の負レンズの合成焦点距離f1n2と、第1レンズ群L1の焦点距離f1の比を規定したものである。条件式(4)の上限値を上回ると、第1レンズ群L1の屈折力に対する2枚の負レンズの負の屈折力が弱くなり、軸外光線を曲げることができなくなるため、広角化が困難となり、レンズ全体の大型化を招くため好ましくない。条件式(4)の下限値を下回ると、第1レンズ群L1の屈折力に対する2枚の負レンズの負の屈折力が強くなり、広角化に有利となるが、軸外光線によって発生する歪曲収差や倍率色収差が悪化するため好ましくない。
【0034】
条件式(5)は、3枚の負レンズの合成焦点距離f1n3と、第1レンズ群L1の焦点距離f1の比を規定したものである。条件式(5)の上限値を上回ると、第1レンズ群L1の屈折力に対する3枚の負レンズの負の屈折力が弱くなり、軸外光線を曲げることができなくなるため、広角化が困難となり、レンズ全体の大型化を招くため好ましくない。条件式(5)の下限値を下回ると、第1レンズ群L1の屈折力に対する3枚の負レンズの負の屈折力が強くなり、広角化に有利となるが、軸外光線によって発生する歪曲収差や倍率色収差が悪化するため好ましくない。
【0035】
条件式(6)は、第1レンズ群L1の厚さD1とバックフォーカスskの比を規定したものである。条件式(6)の上限値を上回ると、第1レンズ群L1の厚さD1が増大し、撮像素子に近い位置にレンズを配置できなくなるため、像面湾曲や倍率色収差の改善には有利となるが、レンズ全体の大型化を招き、好ましくない。条件式(6)の下限値を下回ると、第1レンズ群L1の厚さD1が減少し、レンズ全体の小型化には有利となるが、像面湾曲や倍率色収差の改善が困難となるので、好ましくない。
【0036】
条件式(7)は、第2レンズ群L2の厚さD2とバックフォーカスskの比を規定したものである。条件式(7)の上限値を上回ると、第2レンズ群L2の厚さD2が増大し、フォーカシングによる諸収差の変動抑制に有利となるが、フォーカスレンズ群である第2レンズ群L2の大型化を招き、好ましくない。条件式(7)の下限値を下回ると、第2レンズ群L2の厚さD2が減少し、フォーカスレンズ群である第2レンズ群L2が小型化することで、フォーカシング速度の高速化に繋がるが、フォーカシングによる諸収差の変動が拡大するため、好ましくない。
【0037】
条件式(8)は、光学系L0が無限遠に合焦した状態における第2レンズ群L2のフォーカス敏感度ESinfを規定したものである。条件式(8)の上限値を上回ると、フォーカシング時のフォーカスレンズ群である第2レンズ群L2の移動量に対する画角の変化が大きくなるため、好ましくない。また、フォーカシング時の球面収差や像面湾曲の変動を抑制することが難しくなるため好ましくない。条件式(8)の下限値を下回ると、フォーカシング時の球面収差や像面湾曲の変化を抑制しやすくなるが、フォーカシング時のフォーカスレンズ群である第2レンズ群L2の移動量が増加し、レンズ全長の大型化を招くため好ましくない。
【0038】
条件式(9)は、第2レンズ群L2の焦点距離f2と第3レンズ群L3の焦点距離f3の比を規定したものである。条件式(9)の上限値を上回ると、第2レンズ群L2の屈折力と第3レンズ群L3の屈折力の比が1に近づき、光学系L0が無限遠に合焦した状態での球面収差や像面湾曲の改善が有利となることで、高画質化に繋がる。しかし、第2レンズ群L2の屈折力が弱くなり、フォーカシング時におけるフォーカス移動量が長くなり、レンズ全体の大型化を招くため、好ましくない。条件式(9)の下限値を下回ると、第2レンズ群L2に対する第3レンズ群L3の屈折力が弱くなり、第3レンズ群L3において軸外光線を曲げることが困難となる。軸外光線の撮像面への入射角度が大きくなると、射出瞳の確保が困難となり、撮像面における色シェーディングが拡大するため、低画質化を招き、好ましくない。
【0039】
条件式(10)は、第1レンズ群L1の焦点距離f1と光学系L0の焦点距離fの比を規定したものである。条件式(10)の上限値を上回ると、第1レンズ群L1の焦点距離が短くなり、レンズ全系の小型化には有利だが、像面湾曲や倍率色収差が悪化するため好ましくない。条件式(10)の下限値を下回ると、第1レンズ群L1の焦点距離が長くなり、像面湾曲や倍率色収差の補正には有利となるが、レンズ全系の小型化が困難となるため好ましくない。
【0040】
条件式(11)は、第2レンズ群L2の焦点距離f2と光学系L0の焦点距離fの比を規定したものである。条件式(11)の上限値を上回ると、第2レンズ群L2の屈折力が弱くなり、フォーカシングによる諸収差の変動が減少するため、高画質化に有利となるが、フォーカシング時のフォーカス移動量が長くなり、レンズ全体の大型化を招くため、好ましくない。条件式(11)の下限値を下回ると、第2レンズ群L2の屈折力が強くなることで、フォーカシング時のフォーカス移動量が短縮され、レンズ全体の小型化と最至近距離撮影時における撮影倍率拡大に有利となる。しかし、フォーカシングによる諸収差の変動が拡大するため、好ましくない。
【0041】
条件式(12)は、光学系L0が最至近距離に合焦した状態における撮影倍率βmodを規定したものである。条件式(12)の下限値を下回ると、最至近距離撮影時における撮影倍率の拡大が見込めないため、好ましくない。
【0042】
条件式(13)は、光学系L0の画角(°)を規定したものである。条件式(13)の上限値を上回ると、所望する画角以上の撮影が可能となり、レンズ全体の大型化を招くため、好ましくない。条件式(13)の下限値を下回ると、広角化が困難となるため、好ましくない。
【0043】
条件式(14)は、第2レンズ群L2において最も物体側に配置されたレンズの物体側のレンズ面の曲率半径R2fと該レンズの像側のレンズ面の曲率半径R2rの比を規定したものである。条件式(14)の上限値を上回ると、第2レンズ群L2の屈折力が弱くなり、フォーカシング時の球面収差の変動抑制には有利となるが、レンズ全長の大型化を招き、好ましくない。条件式(14)の下限値を下回ると、第2レンズ群L2の屈折力が強くなり、レンズ全長の小型化には有利となるが、フォーカシング時の球面収差の変動の拡大を招き好ましくない。
【0044】
条件式(15)は、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の間隔L23と光学全長LDの比を規定したものである。条件式(15)の上限値を上回ると、第2レンズ群L2のレンズ径を小さくすることができ、フォーカスレンズ群である第2レンズ群L2が軽量化するため有利となる。しかし、フォーカシング時における第2レンズ群L2の移動量を確保することが困難となるため、好ましくない。条件式(15)の下限値を下回ると、レンズ全体の小型化を図ることができるが、第2レンズ群L2をフォーカスレンズ群として可動させるために必要なモーター等のメカ部材の配置が難しくなり好ましくない。
【0045】
条件式(16)は、バックフォーカスskと光学全長LDの比を規定したものである。条件式(16)の上限値を上回ると、バックフォーカスskが増大し、撮像素子に近い位置にレンズを配置できなくなるため、像面湾曲や倍率色収差の改善が困難となり、結果として低画質化を招き、好ましくない。条件式(16)の下限値を下回ると、バックフォーカスskが短縮し、より撮像素子に近い位置にレンズを配置できるため、像面湾曲や倍率色収差の改善は有利となるが、シャッター部材等の配置が難しくなり好ましくない。
【0046】
なお、条件式(4)乃至(16)の数値範囲は、以下の条件式(4a)乃至(16a)の範囲とすることがより好ましい。
【0047】
0.05<f1n2/f1<0.35 ・・・(4a)
0.00<f1n3/f1<0.25 ・・・(5a)
1.7<D1/sk<4.5 ・・・(6a)
1.7<D2/sk<4.0 ・・・(7a)
0.75<ESinf<1.20 ・・・(8a)
0.05<f2/f3<0.40 ・・・(9a)
-13<f1/f<-4 ・・・(10a)
2.2<f2/f<3.3 ・・・(11a)
0.22<βmod ・・・(12a)
95°<2ω<180° ・・・(13a)
-4.0<R2f/R2r<1.5 ・・・(14a)
0.06<L23/LD<0.15 ・・・(15a)
0.08<sk/LD<0.20 ・・・(16a)
また、条件式(4)乃至(16)の数値範囲は、以下の条件式(4b)乃至(16b)の範囲とすることがさらに好ましい。
【0048】
0.08<f1n2/f1<0.30 ・・・(4b)
0.0<f1n3/f1<0.2 ・・・(5b)
2.0<D1/sk<4.0 ・・・(6b)
2.0<D2/sk<3.5 ・・・(7b)
0.78<ESinf<1.05 ・・・(8b)
0.10<f2/f3<0.35 ・・・(9b)
-11<f1/f<-5 ・・・(10b)
2.4<f2/f<2.8 ・・・(11b)
0.24<βmod ・・・(12b)
100°<2ω<180° ・・・(13b)
-3.0<R2f/R2r<1.3 ・・・(14b)
0.065<L23/LD<0.100 ・・・(15b)
0.10<sk/LD<0.16 ・・・(16b)
次に、各実施例の光学系L0において、満足することが好ましい構成について述べる。
【0049】
各実施例の光学系L0において、無限遠から最至近へのフォーカシングに際し、第3レンズ群L3は固定であることが好ましい。さらに、無限遠から最至近へのフォーカシングに際し移動するレンズ群は1つのみであることが好ましい。これにより、フォーカス群を移動させるために必要なモーターなどの部品を削減することができるため、軽量化が可能となる。
【0050】
また、各実施例の光学系L0において、第1レンズ群L1は、正の屈折力のレンズ(正レンズ)を2枚有することが好ましい。これにより、第1レンズ群L1で発生する倍率色収差の補正と軸上色収差の補正の両立が可能となる。
【0051】
また、第1レンズ群L1は、最も物体側から像側へ順に連続して配置された、3枚の負レンズを含むことが好ましい。第1レンズ群L1は、最も物体側から像側へ順に連続して配置された、4枚の負レンズ含むことが更に好ましい。これにより、第1レンズ群L1で発生する倍率色収差の補正と広角化の両立が可能となる。
【0052】
また、第1レンズ群L1において、最も像側に配置されたレンズは正の屈折力を有し、該レンズの像側のレンズ面は像側に向かって凸であることが好ましい。これにより、球面収差の補正とレンズ全長小型化の両立が可能となる。
【0053】
また、第1レンズ群L1は、正の屈折力のレンズと負の屈折力のレンズからなる接合レンズを含むことが好ましい。第1レンズ群L1は、正の屈折力のレンズと負の屈折力のレンズからなる接合レンズを2枚有することが更に好ましい。これにより、軸上色収差と倍率色収差の補正を行うことが可能となる。
【0054】
また、第1レンズ群L1は、非球面レンズを含むことが好ましい。該非球面レンズは、第1レンズ群L1において最も物体側に配置されていることが更に好ましい。これにより、主に軸外光線によって発生する像面湾曲のフォーカシングによる変動を適切に補正することが可能となる。
【0055】
また、第2レンズ群L2は、正の屈折力のレンズと負の屈折力のレンズからなる接合レンズを含むことが好ましい。第2レンズ群L2は。正の屈折力のレンズと負の屈折力のレンズからなる接合レンズを2枚有することが更に好ましい。これにより、フォーカシング時における軸上色収差と倍率色収差の変動を抑制することが可能となる。
【0056】
また、第3レンズ群L3は、正の屈折力の1枚のレンズ(単レンズ)から構成されることが好ましい。これにより、射出瞳の確保とレンズ全体の軽量化を両立することが可能となる。
【0057】
また、像振れ補正のために像振れ補正群を光軸に対して垂直方向に移動させて補正する場合には、光学系L0における一部のレンズを光軸に対して垂直方向に移動させてもよい。
【0058】
次に、各実施例の光学系L0について詳細に述べる。
【0059】
実施例1の光学系L0は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3からなる。
【0060】
第1レンズ群L1を構成するレンズは、物体側から像側へ順に、負の非球面レンズ、負レンズ、負レンズ、正レンズ、負レンズと正レンズの接合レンズである。開口絞りSPは第2レンズ群L2の最も物体側に配置されている。第2レンズ群L2を構成するレンズは、物体側から像側へ順に、正レンズと負レンズの接合レンズ、正レンズ、負レンズと正レンズの接合レンズ、負の非球面レンズである。第3レンズ群L3は正の単レンズからなる。
【0061】
実施例2の光学系L0は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3からなる。
【0062】
第1レンズ群L1を構成するレンズは、物体側から像側へ順に、負の非球面レンズ、負レンズ、負レンズ、負レンズと正レンズの接合レンズ、負レンズと正レンズの接合レンズである。開口絞りSPは第2レンズ群L2の最も物体側に配置されている。第2レンズ群L2を構成するレンズは、物体側から像側へ順に、正レンズと負レンズの接合レンズ、正レンズと負レンズの接合レンズ、負レンズ、正レンズ、負の非球面レンズである。第3レンズ群L3は正の単レンズからなる。
【0063】
実施例3の光学系L0は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3からなる。
【0064】
第1レンズ群L1を構成するレンズは、物体側から像側へ順に、負の非球面レンズ、負レンズ、負レンズ、負レンズ、正レンズ、負レンズと正レンズの接合レンズである。開口絞りSPは第2レンズ群L2の最も物体側に配置されている。第2レンズ群L2を構成するレンズは、物体側から像側へ順に、負レンズ、正レンズと負レンズの接合レンズ、正レンズ、正レンズと負レンズの接合レンズ、負レンズと正レンズの接合レンズ、負の非球面レンズである。第3レンズ群L3は正の単レンズからなる。
【0065】
実施例4の光学系L0は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2からなる。
【0066】
第1レンズ群L1を構成するレンズは、物体側から像側へ順に、負の非球面レンズ、負レンズ、負レンズ、正レンズ、負レンズと正レンズの接合レンズである。開口絞りSPは第2レンズ群L2の最も物体側に配置されている。第2レンズ群L2を構成するレンズは、物体側から像側へ順に、負レンズと正レンズの接合レンズ、正レンズ、正レンズと負レンズの接合レンズ、負レンズと正レンズの接合レンズ、負の非球面レンズである。
【0067】
以下に、実施例1乃至4にそれぞれ対応する数値実施例1乃至4を示す。
【0068】
各数値実施例の面データにおいて、rは各光学面の曲率半径、d(mm)は第m面と第(m+1)面との間の軸上間隔(光軸上の距離)を表わしている。ただし、mは光入射側から数えた面の番号である。また、ndは各光学部材のd線に対する屈折率、νdは光学部材のアッベ数を表わしている。なお、ある材料のアッベ数νdは、フラウンホーファ線のd線(587.6nm)、F線(486.1nm)、C線(656.3nm)における屈折率をNd、NF、NCとするとき、
νd=(Nd-1)/(NF-NC)
で表される。
【0069】
なお、各数値実施例において、d、焦点距離(mm)、Fナンバー、半画角(°)は全て各実施例の光学系が無限遠物体に焦点を合わせた時の値である。「バックフォーカス(BF)」は、レンズ最終面(最も像側のレンズ面)から近軸像面までの光軸上の距離を空気換算長により表記したものである。「レンズ全長」は、光学系の最前面(最も物体側のレンズ面)から最終面までの光軸上の距離にバックフォーカスを加えた長さである。「レンズ群」は、複数のレンズから構成される場合に限らず、1枚のレンズから構成される場合も含むものとする。
【0070】
また、光学面が非球面の場合は、面番号の右側に、*の符号を付している。非球面形状は、Xを光軸方向の面頂点からの変位量、hを光軸と垂直な方向の光軸からの高さ、Rを近軸曲率半径、kを円錐定数、A4、A6、A8、A10、A12を各次数の非球面係数とするとき、
x=(h2/R)/[1+{1-(1+k)(h/R)2}1/2 +A4×h4+A6×h6
+A8×h8+A10×h10+A12×h12
で表している。なお、各非球面係数における「e±XX」は「×10±XX」を意味している。
【0071】
[数値実施例1]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1* 80.171 1.60 1.85400 40.4
2* 17.429 12.13
3 28.322 1.60 1.49700 81.5
4 14.876 5.67
5 170.561 1.30 1.49700 81.5
6 26.221 0.37
7 30.433 4.73 1.59551 39.2
8 -51.651 2.35
9 -20.166 1.20 1.49700 81.5
10 17.569 8.71 1.57135 53.0
11 -24.290 (可変)
12(絞り) ∞ 1.88
13 67.872 3.30 1.49700 81.5
14 -17.690 1.00 1.92119 24.0
15 -28.577 8.23
16 20.132 6.57 1.49700 81.5
17 -65.823 0.08
18 38.603 1.00 1.77250 49.6
19 11.923 4.76 1.49700 81.5
20 27.088 4.29
21* -20.649 1.80 1.85400 40.4
22* -25.792 (可変)
23 -65.506 4.31 1.48749 70.2
24 -29.600 (可変)
像面 ∞
非球面データ
第1面
K = 0.00000e+00 A 4=-4.29349e-07 A 6= 1.28741e-08 A 8=-2.67886e-11
A10= 2.93208e-14
第2面
K = 0.00000e+00 A 4=-1.34999e-05 A 6=-4.37562e-08 A 8= 1.81207e-10
A10=-7.75902e-13
第21面
K = 0.00000e+00 A 4= 2.78062e-05 A 6= 1.29191e-06 A 8=-1.62457e-08
A10= 5.22894e-11
第22面
K = 0.00000e+00 A 4= 6.66745e-05 A 6= 1.13310e-06 A 8=-1.14081e-08
A10= 3.72567e-11
各種データ
焦点距離 14.83
Fナンバー 2.91
半画角(°) 52.03
像高 19.00
レンズ全長 105.19
BF 10.83
倍率 ∞ -0.5
d11 10.22 0.56
d22 7.25 16.92
d24 10.83 10.83
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -80.00
2 12 36.66
3 23 106.58
[数値実施例2]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1* 51.981 2.20 1.85400 40.4
2* 20.569 8.08
3 36.511 1.80 1.43875 94.7
4 15.979 4.55
5 24.967 1.80 1.49700 81.5
6 16.463 10.13
7 -17.964 1.20 1.86966 20.0
8 368.738 5.03 1.83481 42.7
9 -22.155 0.20
10 273.200 1.00 1.49700 81.5
11 31.498 5.17 1.92286 18.9
12 -176.232 (可変)
13(絞り) ∞ 1.88
14 34.652 7.62 1.49700 81.5
15 -15.895 1.00 1.89190 37.1
16 -23.257 1.60
17 -64.358 5.80 1.52841 76.5
18 -13.659 1.20 1.83481 42.7
19 -18.337 0.50
20 -22.096 1.20 1.90366 31.3
21 315.102 0.50
22 28.758 7.76 1.52841 76.5
23 -30.985 7.03
24* -42.698 2.00 1.85400 40.4
25* -61.258 (可変)
26 -35.535 2.32 1.48749 70.2
27 -29.600 (可変)
像面 ∞
非球面データ
第1面
K = 0.00000e+00 A 4= 2.73272e-05 A 6=-7.46033e-08 A 8= 1.09580e-10
A10=-5.39795e-14
第2面
K = 0.00000e+00 A 4= 2.55638e-05 A 6=-1.22607e-09 A 8=-3.79502e-10
A10= 8.88604e-13
第24面
K = 0.00000e+00 A 4=-1.02089e-04 A 6= 4.45475e-07 A 8= 2.57836e-10
A10=-4.84481e-12
第25面
K = 0.00000e+00 A 4=-6.24451e-05 A 6= 4.90597e-07 A 8=-1.05304e-10
A10=-2.55556e-12
各種データ
焦点距離 14.70
Fナンバー 2.06
半画角(°) 52.27
像高 19.00
レンズ全長 110.00
BF 12.16
倍率 ∞ -0.25
d12 9.01 5.14
d25 7.25 11.13
d27 12.16 12.16
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -150.00
2 13 37.22
3 26 322.33
[数値実施例3]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1* 46.326 1.60 1.85150 40.8
2* 14.244 5.61
3 26.949 1.60 1.43875 94.7
4 12.294 4.46
5 27.129 1.20 1.43875 94.7
6 13.975 2.94
7 164.743 1.20 1.49700 81.5
8 23.325 0.26
9 27.563 3.77 1.59270 35.3
10 -36.572 0.91
11 -21.172 0.80 1.49700 81.5
12 10.946 7.09 1.56384 60.7
13 -20.157 (可変)
14(絞り) ∞ 1.50
15 -23.993 1.00 1.89286 20.4
16 -91.684 1.50
17 21.948 6.88 1.49700 81.5
18 -11.764 0.80 1.95375 32.3
19 -19.425 1.00
20 69.883 2.40 1.98612 16.5
21 -62.856 0.10
22 27.517 8.18 1.59282 68.6
23 -12.806 1.00 2.00100 29.1
24 -18.451 0.50
25 -22.502 1.00 1.95375 32.3
26 16.604 4.93 1.49700 81.5
27 -41.599 1.00
28* -15.160 1.80 1.85400 40.4
29* -19.821 (可変)
30 -75.683 3.84 1.48749 70.2
31 -29.600 (可変)
像面 ∞
非球面データ
第1面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.89838e-05 A 6=-4.59219e-08 A 8= 1.01446e-10
A10=-6.52209e-14
第2面
K = 0.00000e+00 A 4= 2.09660e-06 A 6=-3.44717e-08 A 8=-6.81241e-11
A10=-4.12512e-13
第28面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.79358e-04 A 6= 1.23745e-06 A 8=-2.96566e-08
A10= 1.24751e-10
第29面
K = 0.00000e+00 A 4= 2.04257e-04 A 6= 1.28357e-06 A 8=-2.24094e-08
A10= 8.78005e-11
各種データ
焦点距離 12.47
Fナンバー 2.83
半画角(°) 56.72
像高 19.00
レンズ全長 90.60
BF 10.19
倍率 ∞ -0.25
d13 4.31 0.35
d29 7.25 11.21
d31 10.19 10.19
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -78.38
2 14 31.44
3 30 97.07
[数値実施例4]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1* 49.186 1.60 1.85400 40.4
2* 14.646 6.53
3 36.397 1.60 1.43875 94.7
4 13.270 5.45
5 95.887 1.20 1.49700 81.5
6 20.374 1.90
7 44.748 3.25 1.83400 37.3
8 -69.471 7.00
9 -24.900 1.00 1.48749 70.2
10 13.067 6.82 1.51823 58.9
11 -18.928 (可変)
12(絞り) ∞ 1.99
13 28.657 9.27 1.52841 76.5
14 -12.183 0.80 1.87070 40.7
15 -21.540 1.00
16 33.419 4.86 1.49700 81.5
17 -19.286 0.49
18 -23.625 6.16 1.85478 24.8
19 -11.418 0.96 1.95375 32.3
20 -46.181 0.50
21 -94.254 0.94 1.83481 42.7
22 12.905 8.06 1.52841 76.5
23 -151.530 2.96
24* -46.831 2.00 1.85400 40.4
25* -42.786 (可変)
像面 ∞
非球面データ
第1面
K = 0.00000e+00 A 4= 9.55905e-06 A 6=-1.43725e-08 A 8= 3.98210e-11
A10=-2.50400e-14
第2面
K = 0.00000e+00 A 4= 8.22924e-08 A 6=-1.60691e-08 A 8=-7.30553e-11
A10= 7.34071e-14
第24面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.00010e-05 A 6= 6.17869e-07 A 8=-6.18367e-09
A10= 1.91334e-11
第25面
K = 0.00000e+00 A 4= 3.26827e-05 A 6= 5.50249e-07 A 8=-4.73191e-09
A10= 1.16696e-11
各種データ
焦点距離 15.00
Fナンバー 2.83
半画角(°) 51.72
像高 19.00
レンズ全長 95.50
BF 14.12
倍率 ∞ -0.25
d11 5.05 1.23
d25 14.12 17.94
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -160.00
2 12 37.37
各数値実施例における種々の値を、以下の表1にまとめて示す。
【0072】
【0073】
[撮像装置]
次に、本発明の光学系を撮像光学系として用いたデジタルスチルカメラ(撮像装置)10の実施例について、
図9を用いて説明する。
図9において、13はカメラ本体、11は実施例1乃至4で説明したいずれかの光学系によって構成された撮影光学系である。12はカメラ本体13に内蔵され、撮影光学系11によって形成された光学像を受光して光電変換するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)である。カメラ本体13はクイックターンミラーを有する所謂一眼レフカメラでも良いし、クイックターンミラーを有さない所謂ミラーレスカメラでも良い。
【0074】
このように本発明の光学系をデジタルスチルカメラ等の撮像装置に適用することにより、レンズが小型である撮像装置を得ることができる。
【0075】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0076】
L0 光学系
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群