(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104037
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】制御回路
(51)【国際特許分類】
H02P 8/22 20060101AFI20230721BHJP
A61B 8/00 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
H02P8/22
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004786
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】竹岸 滋
【テーマコード(参考)】
4C601
5H580
【Fターム(参考)】
4C601BB15
4C601EE09
5H580AA10
5H580BB09
5H580CA02
5H580CA12
5H580CA16
5H580FA14
5H580FA24
5H580FA35
5H580FB01
5H580GG04
(57)【要約】
【課題】ステッピングモータを高速駆動させつつ、ステッピングモータをマイクロステップで制御することを可能にする。
【解決手段】所定数のレジスタ値を記憶する記憶部11と、記憶部11に記憶されている所定数のレジスタ値のそれぞれに対応する期間が経過する度に、マイクロステップクロック信号を生成する生成部121と、生成部121が所定数のマイクロステップクロック信号を生成する度に、記憶部11に記憶されている所定数のレジスタ値を更新する更新部123と、生成部が生成したマイクロステップクロック信号に基づく相電流をステッピングモータに供給することにより、ステッピングモータのステップ角を所定数に分割したマイクロステップ角だけステッピングモータのロータを回転させる回転制御部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステッピングモータをマイクロステップで制御する制御回路であって、
前記ステッピングモータのステップ周波数を指定するための所定数のレジスタ値を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記所定数のレジスタ値のそれぞれに対応する期間が経過する度に、マイクロステップクロック信号を生成する生成部と、
前記生成部が前記所定数の前記マイクロステップクロック信号を生成する度に、前記記憶部に記憶されている前記所定数のレジスタ値を更新する更新部と、
前記生成部が生成した前記マイクロステップクロック信号に基づく相電流を前記ステッピングモータに供給することにより、前記ステッピングモータのステップ角を前記所定数に等分したマイクロステップ角だけ前記ステッピングモータのロータを回転させる回転制御部と、
を備える制御回路。
【請求項2】
前記生成部は、前記ステッピングモータが等速駆動する等速駆動モードにおいて前記記憶部に記憶されている第1所定数のレジスタ値のそれぞれに対応する期間が経過する度に前記マイクロステップクロック信号を生成し、前記ステッピングモータが加減速駆動する加減速駆動モードにおいて前記記憶部に記憶されている前記第1所定数より小さい第2所定数のレジスタ値のそれぞれに対応する期間が経過する度に前記マイクロステップクロック信号を生成し、
前記回転制御部は、前記等速駆動モードにおいて前記生成部が生成した前記マイクロステップクロック信号に基づく前記相電流を前記ステッピングモータに供給することにより、前記ステッピングモータのステップ角を前記第1所定数に等分した第1マイクロステップ角だけ前記ステッピングモータのロータを回転させ、前記加減速駆動モードにおいて前記生成部が生成した前記マイクロステップクロック信号に基づく前記相電流を前記ステッピングモータに供給することにより、前記ステッピングモータのステップ角を前記第2所定数に等分した第2マイクロステップ角だけ前記ステッピングモータのロータを回転させる、
請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】
前記所定数より少ない数の基準値と、補正値とを算出し、算出した前記基準値のいずれかと、算出した前記補正値とを用いる演算により前記所定数のレジスタ値を算出する算出部をさらに備え、
前記更新部は、前記生成部が前記所定数の前記マイクロステップクロック信号を生成する度に、前記記憶部に記憶されている前記所定数のレジスタ値を、前記算出部が算出した前記所定数のレジスタ値により更新する、
請求項1に記載の制御回路。
【請求項4】
前記算出部は、算出した前記基準値に前記補正値を加算又減算することに基づく前記基準値の線形補間により、前記所定数のレジスタ値を算出する、
請求項3に記載の制御回路。
【請求項5】
前記回転制御部は、超音波プローブに搭載された音響レンズを揺動させる前記ステッピングモータの前記ロータを回転させる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステッピングモータを制御するための制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
ステッピングモータのトルク制御を効果的に行うために、ステッピングモータの電気角を複数段階のマイクロステップで制御することが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ステッピングモータをマイクロステップで制御する場合、それぞれのマイクロステップに対応するマイクロステップパルスをステッピングモータに入力する必要があり、このマイクロステップパルスの周期を1パルスごとに設定する必要がある。しかしながら、ステッピングモータを高速駆動させる場合には、マイクロステップパルスの周期を設定するのに要する時間が不足することに起因して、ステッピングモータのマイクロステップ制御を実現できないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、ステッピングモータを高速駆動させつつ、ステッピングモータをマイクロステップで制御することを可能にする制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の制御回路は、ステッピングモータをマイクロステップで制御する制御回路であって、前記ステッピングモータのステップ周波数を指定するための所定数のレジスタ値を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている前記所定数のレジスタ値のそれぞれに対応する期間が経過する度に、マイクロステップクロック信号を生成する生成部と、前記生成部が前記所定数の前記マイクロステップクロック信号を生成する度に、前記記憶部に記憶されている前記所定数のレジスタ値を更新する更新部と、前記生成部が生成した前記マイクロステップクロック信号に基づく相電流を前記ステッピングモータに供給することにより、前記ステッピングモータのステップ角を前記所定数に等分したマイクロステップ角だけ前記ステッピングモータのロータを回転させる回転制御部と、を備える。
【0007】
前記生成部は、前記ステッピングモータが等速駆動する等速駆動モードにおいて前記記憶部に記憶されている第1所定数のレジスタ値のそれぞれに対応する期間が経過する度に前記マイクロステップクロック信号を生成し、前記ステッピングモータが加減速駆動する加減速駆動モードにおいて前記記憶部に記憶されている前記第1所定数より小さい第2所定数のレジスタ値のそれぞれに対応する期間が経過する度に前記マイクロステップクロック信号を生成し、前記回転制御部は、前記等速駆動モードにおいて前記生成部が生成した前記マイクロステップクロック信号に基づく前記相電流を前記ステッピングモータに供給することにより、前記ステッピングモータのステップ角を前記第1所定数に等分した第1マイクロステップ角だけ前記ステッピングモータのロータを回転させ、前記加減速駆動モードにおいて前記生成部が生成した前記マイクロステップクロック信号に基づく前記相電流を前記ステッピングモータに供給することにより、前記ステッピングモータのステップ角を前記第2所定数に等分した第2マイクロステップ角だけ前記ステッピングモータのロータを回転させてもよい。
【0008】
前記制御回路は、前記所定数より少ない数の基準値と、補正値とを算出し、算出した前記基準値のいずれかと、算出した前記補正値とを用いる演算により前記所定数のレジスタ値を算出する算出部をさらに備え、前記更新部は、前記生成部が前記所定数の前記マイクロステップクロック信号を生成する度に、前記記憶部に記憶されている前記所定数のレジスタ値を、前記算出部が算出した前記所定数のレジスタ値により更新してもよい。
【0009】
前記算出部は、算出した前記基準値に前記補正値を加算又減算することに基づく前記基準値の線形補間により、前記所定数のレジスタ値を算出してもよい。前記回転制御部は、超音波プローブに搭載された音響レンズを揺動させる前記ステッピングモータの前記ロータを回転させてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ステッピングモータをより高速で駆動させつつ、ステッピングモータをマイクロステップで制御することを可能にするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態の検査システムの概要を示す。
【
図3】回転制御部がステッピングモータに供給する相電流の変化を示す。
【
図5】生成部によるマイクロステップクロック信号の生成のタイミングの例を示す。
【
図6】算出部による周期コンペアレジスタの算出のタイミングを説明するための図である。
【
図7】第2の実施形態の生成部によるマイクロステップクロック信号の生成の例を示す。
【
図8】算出部による周期コンペアレジスタ値の算出方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
[検査システムの概要]
図1は、第1の実施形態の検査システムSの概要を示す。検査システムSは、例えば、患者の体内の病変等を超音波により探査するために用いられるシステムである。検査システムSは、上位装置1と、上位装置1に接続された超音波プローブ2とを備える。
【0013】
上位装置1は、ケーブルにより超音波プローブ2と接続されている。超音波プローブ2は、例えば、患者の体内の病変を探査するための超音波を発生させる。超音波プローブ2は、超音波を収束するための超音波レンズ(不図示)を内蔵のステッピングモータで
図1中の矢印で示すように揺動させることにより、患者の体内等を走査するように超音波ビームを形成させる。
【0014】
超音波プローブ2は、制御回路20を備える。制御回路20は、ステッピングモータの巻き線に供給する電流を段階的に増減させることにより、ステップ角度を分割するマイクロステップでステッピングモータを制御する。
図1では制御回路20は超音波プローブ2内に配置しているが、プローブ2の端部形状が小さい場合には上位装置1内に配置することでも構わない。制御回路20の配置はプローブ2の形状やノイズに影響するケーブル長等を考慮して決定する。
【0015】
制御回路20は、所定数の周期コンペアレジスタ値の配列を参照して、内蔵されたタイマーが出力するカウンタ値が次の周期コンペアレジスタ値より大きくなる度に、マイクロステップクロック信号を生成する(
図1中の(1))。制御回路20は、生成したマイクロステップクロック信号に基づく相電流をステッピングモータに供給することにより(
図1中の(2))、マイクロステップ単位でステッピングモータのロータを回転させ、超音波ビームをなめらかに走査させることを可能にする。
【0016】
制御回路20は、所定数のマイクロステップクロック信号を生成する度に、記憶部に記憶されている所定数の周期コンペアレジスタ値の配列を更新する(
図1中の(3))。このようにして、制御回路20は、所定数の周期コンペアレジスタ値の配列を一括して更新するので、一つのマイクロステップクロック信号を生成する度に周期コンペアレジスタ値を更新する場合に比べて、一つの周期コンペアレジスタ値当たりの更新に要する時間を短縮することができる。このため、制御回路20は、ステッピングモータを比較的高速で駆動させている状態においても周期、コンペアレジスタ値を更新する時間が不足することに起因してマイクロステップが実現できなくなることを抑制することができる。
【0017】
[超音波プローブ2]
図2は、超音波プローブ2の構成を示す。超音波プローブ2は、制御回路20及びステッピングモータ21を備える。制御回路20は、第1制御素子201及び第2制御素子202を備える。第1制御素子201は、例えば、マイクロプロセッサである。第2制御素子202は、例えば、モータドライバIC(Integrated Circuit)である。第2制御素子202は、記憶部221、DAC(Digital Analog Converter)222及び回転制御部223を備える。
【0018】
図2の例では、ステッピングモータ21は、2相ステッピングモータである。また、ステッピングモータ21は、これに限定されず、5相ステッピングモータであってもよい。ステッピングモータ21は、超音波プローブ2に搭載された音響レンズを揺動させる。
【0019】
第1制御素子201は、ステッピングモータ21のステップ周波数を指示するマイクロステップクロック信号を生成する。第1制御素子201は、生成したマイクロステップクロック信号を第2制御素子202へ出力する。
【0020】
記憶部221は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を含む記憶媒体である。記憶部221は、回転制御部223が実行するプログラムを記憶している。
【0021】
DAC222は、回転制御部223が生成したデジタル制御信号をアナログ電流に変換する。本明細書の例では、DAC222は、複数のDACにより構成されている。DAC222は、ステッピングモータ21のA相巻き線にケーブル22を介して接続されている。DAC222は、ステッピングモータ21のB相巻き線にケーブル23を介して接続されている。DAC222は、回転制御部223が出力するデジタル制御信号に基づいて、ステッピングモータ21のA相巻き線及びB相巻き線にそれぞれ相電流を供給する。
【0022】
回転制御部223は、DAC222に接続されている。回転制御部223は、ステッピングモータ21に相電流をDAC222により供給する。回転制御部223は、第1制御素子201が生成したマイクロステップクロック信号に基づく相電流をステッピングモータ21に供給することにより、マイクロステップ角だけステッピングモータ21のロータを回転させる。マイクロステップ角は、ステッピングモータ21のステップ角を所定数に等分した角度である。
【0023】
図3(a)及び
図3(b)は、回転制御部223がステッピングモータ21に供給する相電流の変化を示す。
図3(a)は、ステッピングモータ21のA相巻き線に供給される電流の変化を示す。
図3(b)は、ステッピングモータ21のB相巻き線に供給される電流の変化を示す。
【0024】
図3(a)に示すように、回転制御部223は、0A(アンペア)と最大値との間で複数の値をとるように、ステッピングモータ21のA相巻き線に供給されるA相電流を制御する。同様に、回転制御部223は、
図3(b)に示すように、ステッピングモータ21のB相巻き線に供給されるB相電流を制御する。
図3(b)に示すB相電流のグラフは、位相が90度進んでいる点を除き、
図3(a)に示すA相電流のグラフと同様である。回転制御部223は、マイクロステップ単位でステッピングモータ21のロータを回転させることにより、正弦波に近い波形になるようにA相電流及びB相電流を制御するので、ステップ駆動に伴う振動及び騒音を抑制することができる。
【0025】
[第1制御素子201の構成]
図4は、第1制御素子201の構成を示す。第1制御素子201は、記憶部11及び制御部12を備える。記憶部11は、ROM及びRAM等を含む記憶媒体である。記憶部11は、制御部12が実行するプログラムを記憶している。記憶部11には、ステッピングモータ21のステップ周波数を指定するための所定数の周期コンペアレジスタ値の配列が記憶されている。所定数は、例えば、超音波プローブ2に要求される検査精度に応じて定められる。
【0026】
所定数の周期コンペアレジスタ値は、それぞれ異なる値であってもよい。所定数の周期コンペアレジスタの一部又は全てが同じ値であってもよい。記憶部11には、ステッピングモータ21のステップ周波数を指定するための所定数のオートリロードレジスタ値の配列が記憶されている。本明細書の例では、周期コンペアレジスタ値は、対応するオートリロードレジスタ値の2分の1の値である。制御部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。制御部12は、記憶部11が記憶しているプログラムを実行することにより、生成部121、算出部122、更新部123及び出力部124として機能する。
【0027】
生成部121は、各種の信号を生成する。生成部121は、記憶部11に記憶されている所定数の周期コンペアレジスタ値のそれぞれに対応する期間が経過する度に、マイクロステップクロック信号を生成する。
【0028】
図5は、生成部121によるマイクロステップクロック信号の生成のタイミングの例を示す。
図5には、第1制御素子201に搭載されたタイマー(不図示)が出力するカウンタ値と、マイクロステップクロック信号のオンオフの状態とを示す。
図5中の上向きの矢印は、生成部121が分割割込信号を生成するタイミングを示す。
【0029】
図5に示すように、タイマーが出力するカウンタ値は、0から一定のペースで増加する。生成部121は、記憶部11に記憶されている所定数の周期コンペアレジスタ値の配列を参照して、次の周期コンペアレジスタ値(
図5中のCCR値)とカウンタ値とが一致したときに、マイクロステップクロック信号をオン状態からオフ状態に切り替える。
【0030】
生成部121は、記憶部11に記憶されている所定数のオートリロードレジスタ値(
図5中のARR値)の配列を参照して、次のオートリロードレジスタ値とカウンタ値とが一致したときに、マイクロクロック信号をオフ状態からオン状態に切り替える。生成部121は、次のオートリロードレジスタ値とカウンタ値とが一致したときに、カウンタ値を0にリロードし、
図5中の上向きの矢印で示すように、分割割込信号を生成する。タイマーのカウンタ値が0にリロードされてから次にカウンタ値が0にリロードされるまでのマイクロステップ周期を
図5に示す。
【0031】
生成部121は、マイクロステップに対応していないステッピングモータをステップ単位で回転させるためのフルステップクロック信号を生成する。生成部121は、フルステップクロック信号がオフ状態からオン状態に立ちあがるタイミングで全体割込信号を生成する。生成部121は、生成したマイクロステップクロック信号及びフルステップクロック信号を出力部124へ出力する。生成部121は、生成した分割割込信号及び全体割込信号を算出部122へ出力する。
【0032】
算出部122は、所定数の周期コンペアレジスタ値の配列を算出する。例えば、算出部122は、ステッピングモータ21のステップ周波数を増加させる場合には、周期コンペアレジスタ値を順に小さくする。一方、算出部122は、ステッピングモータ21のステップ周波数を減少させる場合には、周期コンペアレジスタ値を順に大きくする。
【0033】
算出部122は、生成部121が所定数のマイクロステップクロック信号を生成する度に、所定数の周期コンペアレジスタ値を算出する。
図6は、算出部122による周期コンペアレジスタの算出のタイミングを説明するための図である。
図6には、マイクロステップクロック信号のオンオフの状態と、
図6中の上向き矢印は、分割割込信号の生成タイミングと、全体割込信号の生成タイミングとを示す。
図6には、マイクロステップクロック信号のパルス幅が一定の例を示すが、マイクロステップクロック信号のパルス幅は、対応する周期コンペアレジスタ値に応じてばらつく。
【0034】
図6の例では、算出部122は、生成部121が1番目からN番目までのN個のマイクロステップクロック信号を生成する度に、N個の周期コンペアレジスタ値を生成する。算出部122は、生成部121が全体割込信号を生成したタイミングでN個の周期コンペアレジスタ値の算出を開始する。算出したN個の周期コンペアレジスタ値は、次の全体割込信号が生成されるタイミング以降のマイクロステップクロック信号のオンオフの切替えタイミングの決定に用いられる。算出部122は、算出した周期コンペアレジスタ値の配列を更新部123へ出力する。
【0035】
更新部123は、生成部121が所定数のマイクロステップクロック信号を生成する度に、記憶部11に記憶されている所定数の周期コンペアレジスタ値を、算出部122が算出した所定数の周期コンペアレジスタ値により更新する。
図6の例では、更新部123は、生成部121が1番目からN番目までのN個のマイクロステップクロック信号を生成する間において算出部122がN個の周期コンペアレジスタ値の配列を算出した後に、算出したN個の周期コンペアレジスタ値の配列を記憶部11に記憶させることにより周期コンペアレジスタ値を更新する。このとき、更新部123は、次の全体割込信号が生成される前に、算出したN個の周期コンペアレジスタ値の配列を記憶部11に記憶させる。
【0036】
また、更新部123は、算出部122がN個全ての周期コンペアレジスタ値を算出した後に、算出したN個の周期コンペアレジスタ値の配列を記憶部11に記憶させる処理を開始する例に限定されない。例えば、更新部123は、算出部122が一部の周期コンペアレジスタ値を算出したタイミングで周期コンペアレジスタ値の配列を記憶部11に記憶させる処理を開始してもよい。
【0037】
記憶部11に記憶されたN個の周期コンペアレジスタ値は、次の全体割込信号が生成されるタイミング以降のマイクロステップクロック信号のオンオフの切替えタイミングの決定のために生成部121より利用される。また、更新部123は、記憶部11に記憶されている周期コンペアレジスタ値を更新する例に限定されない。例えば、更新部123は、記憶部11に記憶されているオートリロードレジスタ値を更新してもよい。
【0038】
図4の出力部124は、ケーブルを介して、第2制御素子202と通信する。出力部124は、生成部121が生成したマイクロステップクロック信号を第2制御素子202へ出力する。
【0039】
[第1の実施形態の検査システムSによる効果]
第1の実施形態の検査システムSによれば、算出部122及び更新部123は、所定数の周期コンペアレジスタの配列を一括して更新するので、一つのマイクロステップクロック信号を生成する度に周期コンペアレジスタの配列を更新する場合に比べて、一つの周期コンペアレジスタ当たりの更新に要する時間を短縮することができる。このため、算出部122及び更新部123は、ステッピングモータ21を比較的高速で駆動させている状態においても、周期コンペアレジスタ値を更新する時間が不足することに起因してマイクロステップが実現できなくなることを抑制することができる。
【0040】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、回転制御部223は、ステッピングモータ21が等速駆動する等速駆動モードと、ステッピングモータ21が加減速駆動する加減速駆動モードとにおいて同じマイクロステップ角単位でステッピングモータ21のロータを回転させる場合の例について説明した。第2の実施形態では、回転制御部223が、等速駆動モードと、加減速駆動モードとにおいて異なるマイクロステップ角単位でステッピングモータ21のロータを回転させる例について説明する。
【0041】
生成部121は、等速駆動モードにおいて記憶部11に記憶されている第1所定数の周期コンペアレジスタ値のそれぞれに対応する期間が経過する度に第1マイクロステップクロック信号を生成する。生成部121は、等速駆動モードにおいて記憶部11に記憶されている第1所定数の周期コンペアレジスタ値の配列を参照して、内蔵されたタイマーが出力するカウンタ値が次の周期コンペアレジスタ値より大きくなる度に、第1マイクロステップクロック信号を生成する。
【0042】
生成部121は、加減速駆動モードにおいて記憶部11に記憶されている第2所定数の周期コンペアレジスタ値のそれぞれに対応する期間が経過する度に第2マイクロステップクロック信号を生成する。第2所定数は、第1所定数より小さい。生成部121は、加減速駆動モードにおいて記憶部11に記憶されている第2所定数の周期コンペアレジスタ値の配列を参照して、内蔵されたタイマーが出力するカウンタ値が次の周期コンペアレジスタ値より大きくなる度に、第2マイクロステップクロック信号を生成する。
【0043】
回転制御部223は、等速駆動モードにおいて生成部121が生成した第1マイクロステップクロック信号に基づく相電流をステッピングモータ21に供給することにより、第1マイクロステップ角だけステッピングモータ21のロータを回転させる。第1マイクロステップ角は、ステッピングモータ21のステップ角を第1所定数に等分した値である。
【0044】
回転制御部223は、加減速駆動モードにおいて生成部121が生成した第2マイクロステップクロック信号に基づく相電流をステッピングモータ21に供給することにより、第2マイクロステップ角だけステッピングモータのロータを回転させる。第2マイクロステップ角は、ステッピングモータ21のステップ角を第2所定数に等分した値である。
【0045】
図7は、第2の実施形態の生成部121によるマイクロステップクロック信号の生成の例を示す。
図7には、マイクロステップクロック信号のオンオフの状態と、ステッピングモータ21の回転速度の変化を示す。
図7に示すように、生成部121は、ステッピングモータ21の回転速度が所定の起動回転速度から定常回転速度まで上昇する間、加減速駆動モードで動作し、第1マイクロステップクロック信号を生成する。起動回転速度は、ステッピングモータ21の起動直後の回転速度である。起動回転速度は、一例としては0rpmである。定常回転速度は、例えば、マイクロステップでステッピングモータ21を制御する場合の回転速度の最大値である。
【0046】
生成部121は、ステッピングモータ21の回転速度が定常回転速度に到達すると、等速駆動モードで動作し、第2マイクロステップクロック信号を生成する。生成部121は、ステッピングモータ21の回転速度が定常回転速度から起動回転速度まで減少する間、加減速駆動モードで動作し、第1マイクロステップクロック信号を生成する。
【0047】
回転制御部223は、加減速駆動モードでは第1マイクロステップ角単位でステッピングモータ21のロータを回転させ、等速駆動モードでは第1マイクロステップ角より小さい第2マイクロステップ角単位でステッピングモータ21のロータを回転させる。このようにして、回転制御部223は、超音波プローブ2による超音波画像の生成等が行われない加減速駆動モードにおいて周期コンペアレジスタ値を更新する時間が不足することを抑制することができる。一方、生成部121は、超音波プローブ2による超音波画像の生成等が行われる等速駆動モードでは、ステップ駆動に伴う振動及び騒音を抑制し、検査精度を向上させることができる。
【0048】
<第3の実施形態>
第3の実施形態では、算出部122が補正値を用いて周期コンペアレジスタ値を算出する場合の例について説明する。第3の実施形態では、算出部122は、所定数より少ない数の基準値と、補正値とを算出する。所定数より少ない数は、本明細書の例では、2つである。算出部122は、算出した基準値に基づいて、補正値を算出する。例えば、算出部122は、補正値=(2つの基準値の差)/(所定数―1)...(1)により補正値を算出する。
【0049】
算出部122は、算出した基準値のいずれかと、算出した補正値とを用いる演算により所定数の周期コンペアレジスタ値を算出する。例えば、算出部122は、算出した基準値に補正値を加算又減算することに基づく基準値の線形補間により、所定数の周期コンペアレジスタ値を算出する。
図8は、算出部122による周期コンペアレジスタ値(
図8中のCCR値)の算出方法を説明するための図である。
図8には、マイクロステップクロック信号のオンオフの状態と、フルステップクロック信号のオンオフの状態と、を示す。
図8中の上向きの矢印は、分割割込信号の生成タイミングと、全体割込信号の生成タイミングとを示す。
【0050】
図8中の黒丸は、算出部122が周期コンペアレジスタ値として算出した基準値を用いて生成部121が生成したマイクロステップクロック信号の生成タイミングを示す。
図8中の白丸は、基準値に補正値を加算することにより算出された周期コンペアレジスタ値を用いて生成部121が生成したマイクロステップクロック信号の生成タイミングを示す。
【0051】
図8の例では、算出部122は、基準値として第1基準値及び第2基準値を算出する。算出部122は、第1基準値を1番目の周期コンペアレジスタ値とし、第2基準値をN番目の周期コンペアレジスタ値とする。算出部122は、k番目(k=2、3、・・・、N-1)の周期コンペアレジスタ値を、(k番目の周期コンペアレジスタ値)=((k―1)番目の周期コンペアレジスタ値)+補正値により算出する。また、算出部122は、k番目の周期コンペアレジスタ値を、(k番目の周期コンペアレジスタ値)=((k―1)番目の周期コンペアレジスタ値)-補正値によりそれぞれ算出してもよい。
【0052】
このようにして、算出部122は、加減速駆動モードにおいて補正値を用いた線形補間により所定数の周期コンペアレジスタ値を算出する。算出部122は、等速駆動モードでは、第1の実施形態と同様の方法により周期コンペアレジスタ値を算出する。
【0053】
[第3の実施形態の検査システムSによる効果]
第3の実施形態の検査システムSによれば、算出部122は、所定数の周期コンペアレジスタ値を線形補間により算出するので、周期コンペアレジスタ値を算出するのに要する時間を短縮することができる。このため、算出部122は、所定数の周期コンペアレジスタ値を算出するのに要する時間が不足することに起因してマイクロステップが実現できなくなることを抑制することができる。
【0054】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0055】
1 上位装置
2 超音波プローブ
11 記憶部
12 制御部
20 制御回路
21 ステッピングモータ
22 ケーブル
23 ケーブル
121 生成部
122 算出部
123 更新部
124 出力部
201 第1制御素子
202 第2制御素子
221 記憶部
222 DAC
223 回転制御部
IC モータドライバ
S 検査システム