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  • 特開-空気調和装置の室外ユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104046
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】空気調和装置の室外ユニット
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/14 20110101AFI20230721BHJP
【FI】
F24F1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004800
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 良美
(72)【発明者】
【氏名】川端 立慈
(72)【発明者】
【氏名】清水 章吾
(72)【発明者】
【氏名】松井 大
(72)【発明者】
【氏名】広田 正宣
【テーマコード(参考)】
3L054
【Fターム(参考)】
3L054BA05
3L054BB02
(57)【要約】
【課題】熱交換器の腐食を抑制できる空気調和装置の室外ユニットを提供する。
【解決手段】側面に扁平管62が接続されるヘッダパイプ52、54を備える熱交換器と、扁平管を通過する空気を送り出すファンと複数の熱交換器とファンとを内部に収める筐体10と、を備え、複数の熱交換器は、ファンによる気流の風上側から風下側に沿って並べて配置され、風下側に配置される熱交換器のヘッダパイプ54は、風上側に配置される熱交換器の扁平管62に隣り合って配置され、風下側に配置される熱交換器のヘッダパイプ54の風上側を覆う被覆部材90が設けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に扁平管が接続されるヘッダパイプを備える熱交換器と、
前記扁平管を通過する空気を送り出すファンと
複数の前記熱交換器と前記ファンとを内部に収める筐体と、を備え、
複数の前記熱交換器は、前記ファンによる気流の風上側から風下側に沿って並べて配置され、
風下側に配置される前記熱交換器の前記ヘッダパイプは、風上側に配置される前記熱交換器の前記扁平管に隣り合って配置され、
風下側に配置される前記熱交換器の前記ヘッダパイプの風上側を覆う被覆部材が設けられる
ことを特徴とする空気調和装置の室外ユニット。
【請求項2】
前記筐体は、前記熱交換器よりも上方に位置する固定部材が設けられ、
前記被覆部材は、前記ヘッダパイプの風上側を覆う被覆部と、
前記被覆部の上部に設けられる上方固定部とを備え、
前記被覆部は、前記上方固定部を介して前記固定部材に取り付けられることで前記筐体に固定される
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置の室外ユニット。
【請求項3】
前記被覆部材は、前記被覆部の下部に設けられる下方固定部を備え、
前記被覆部は、前記下方固定部を介して前記筐体の底面に取り付けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の空気調和装置の室外ユニット。
【請求項4】
前記被覆部は、前記熱交換器と同等以下の電位となる金属材料、または非金属材料で形成される
ことを特徴とする請求項3に記載の空気調和装置の室外ユニット。
【請求項5】
前記上方固定部と前記下方固定部とは、前記被覆部よりも縦弾性係数と降伏点とが大きい材料で形成される
ことを特徴とする請求項4に記載の空気調和装置の室外ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和装置の室外ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、熱交換器におけるヘッダー集合管への塩害による腐食の発生を抑制する室外機を開示する。この室外機は、ヘッダー集合管を有する熱交換器と、この熱交換器を収容すると共に、その外部から熱交換器側へ空気を取り込む吸気口を有する筐体と、吸気口とヘッダー集合管との間に設けられて吸気口から取り込まれた気流がヘッダー集合管に到達するのを遮る形状を有する遮蔽部材とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-137126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、熱交換器の腐食を抑制できる空気調和装置の室外ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における空気調和装置の室外ユニットは、側面に扁平管が接続されるヘッダパイプを備える熱交換器と、扁平管を通過する空気を送り出すファンと複数の熱交換器とファンとを内部に収める筐体と、遮蔽部材とを備え、複数の熱交換器は、ファンによって送り出される風の風上側から風下側に沿って並べて配置され、風下側に配置される熱交換器のヘッダパイプは、風上側に配置される熱交換器の扁平管に隣り合って配置され、遮蔽部材は、風下側に配置される熱交換器のヘッダパイプの風上側を覆うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、遮蔽部材によって、ファンに送り出される風の風下側に位置する熱交換器のヘッダパイプがファンに送り出される風から遮られる。そのため、熱交換器の腐食を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の実施の形態1に係る空気調和装置の室外ユニットの斜視図
図2】室外ユニットの内部構造を模式的に示す平面図
図3】ファンに送り出される風の風下側に位置する室外熱交換器を風下側から視た斜視図
図4】ファンに送り出される風の風下側に位置する室外熱交換器を風上側から視た斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、室外ユニットにおいて、熱交換器におけるヘッダパイプへの塩害による腐食の発生を抑制する技術があった。この室外ユニットは、扁平管とヘッダパイプとを有する熱交換器と、熱交換器に空気を送り出すファンと、熱交換器とファンとを収容し、外部から熱交換器側へ空気を取り込む吸気口を有する筐体を備える。さらに、この室外ユニットは、吸気口とヘッダパイプとの間に設けられ、吸気口から取り込まれた空気がヘッダパイプに到達するのを遮る形状を有する遮蔽部材とを有する。
これにより、室外ユニットは、筐体における吸気口とヘッダパイプとの間に、吸気口から取り込まれた空気がヘッダパイプに到達するのを遮る形状の遮蔽部材を有する。このため筐体の外部から吸気口を介してヘッダパイプに向かう空気が遮蔽部材により遮られ、ヘッダパイプでの塩害による腐食の発生を抑制できる。
【0009】
ところで、室外ユニットでは、ファンによって送り出される空気の風上側から風下側に沿って、熱交換器が複数列存在し、且つ風下側に位置する熱交換器のヘッダパイプが風上側の熱交換器の扁平管と隣り合うものがある。このような場合、従来の構成では、風下側のヘッダパイプが風上側の扁平管を通過した空気に含まれる結露水等の水分に直接晒されるため、ヘッダパイプの腐食が進行することがある。このような課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、図1図4を用いて、実施の形態1を説明する。各図に示す符号FRは、設置面に設置されて通常使用される状態における室外ユニットの前方を示し、符号UPは、当該室外ユニットの上方を示し、符号LHは、当該室外ユニットの左方を示す。以下の説明において、各方向は、これらの室外ユニットの方向に沿った方向である。
【0012】
[1-1.構成]
[1-1-1.室外ユニットの構成]
図1は、本実施の形態に係る空気調和装置の室外ユニット1の斜視図である。
本実施の形態の空気調和装置は、室内ユニットに収められた室内熱交換器と、室外ユニット1に収められた圧縮機5や膨張弁、室外熱交換器50、80等で形成された冷凍回路を備える。空気調和装置は、この冷凍回路に冷媒を流通させることで、室内ユニットが設けられた被調和空間の空調を行うものである。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態の室外ユニット1は、側面に配置された室外熱交換器50を通して内部に空気を吸い込み、当該空気を冷媒と熱交換して他の側面から吹き出す、所謂サイドフロー方式、あるいは横吹き型と呼ばれる室外機である。
【0014】
図2は、室外ユニット1の内部構造を模式的に示す平面図である。図2では、説明の便宜上、前面吸気口15と側面吸気口17との下縁を形成する底板12の縁部と、排気口19の縁部を形成する背面板18の所定箇所を一点鎖線で示す。また、図2では、空気の流れの方向である気流方向A1、A2を二点鎖線で示す。
室外ユニット1は、図1図2に示すように、長手方向が左右方向に沿って延びる箱状の筐体10を備える。本実施の形態では、筐体10の各部は、いずれも鋼板によって形成される。
筐体10は、当該筐体10の底面を形成する底板12と、天面を形成する天板14と、前面を形成する前面板16と、背面を形成する背面板18と、左側面を形成する左側板11と、右側面を形成する右側板13とを備える。
【0015】
図1に示すように、前面板16には、前面吸気口15が設けられる。前面吸気口15は、筐体10の外部から内部に空気が吸い込まれる矩形の開口である。前面板16において、前面吸気口15は、右側板13よりも左側板11に接近した位置に設けられる。
前面板16において、前面吸気口15の右側板13側の縁部に接近した位置には、貫通孔である複数の締結孔20が設けられている。これらの締結孔20は、筐体10の上下方向に沿って延びる同一直線上に並ぶように設けられる。本実施の形態では、前面板16には、3つの締結孔20が設けられる。
【0016】
左側板11には、側面吸気口17が設けられる。側面吸気口17は、前面吸気口15と同様に、筐体10の内部に空気が吸い込まれる矩形の開口である。左側板11において、側面吸気口17は、背面板18よりも前面板16に接近した位置に設けられる。
左側板11において、側面吸気口17の背面板18側の縁部に接近した位置には、前面板16と同様に、筐体10の上下方向に沿って延びる同一直線上に並ぶように、3つの締結孔20が設けられている。
【0017】
図2に示すように、背面板18には、排気口19が設けられる。この排気口19は、筐体10の内部に吸い込まれた空気が当該筐体10の外部に吹き出される開口である。
なお、上述した前面吸気口15や側面吸気口17、及び排気口19には、フィルタや格子状の保護部材が設けられていてもよい。
【0018】
筐体10の内部空間Sは、仕切板21によって2つの空間に仕切られる。この仕切板21は、筐体10の上下方向に沿って所定の高さ寸法で延びると共に、筐体10の前後方向に沿って延びる板状部材である。仕切板21は、下端が底板12に連結されることで筐体10に固定される。仕切板21は、筐体10の前面側に位置する端部が前面板16に連結され、筐体10の背面側に位置する端部が背面板18に連結される。
これによって、筐体10の内部には、仕切板21を挟んで、当該筐体10の右側面側に位置する機械室S1と、当該筐体10の左側面側に位置する送風機室S2との2つの空間が設けられる。
【0019】
機械室S1には、圧縮機5や、膨張弁、冷媒配管等の冷凍回路を構成する部材や、各種の電気部品等が収められる。
送風機室S2には、送風ファン30と室外熱交換器50、80とが収められる。
送風ファン30は、回転駆動することで筐体10の外部から空気を送風機室S2に導入し、室外熱交換器50を流れる冷媒と熱交換させた後、再び筐体10の外部に放出する軸流ファンである。この送風ファン30は、ファンモータ32と羽根車34とを備える。
ファンモータ32は、羽根車34を回転させる駆動部であり、当該ファンモータ32は、羽根車34が取り付けられる駆動軸36を備えている。
羽根車34は、ファンモータ32によって回転されることで、軸流方向に空気を送り出す回転部品である。
【0020】
送風ファン30は、回転駆動をすると、空気を室外ユニット1の外部から筐体10の内部、すなわち送風機室S2に流入させる。具体的には、空気は、図2の気流方向A1、A2に示すように、主に前面吸気口15、及び側面吸気口17から送風機室S2に流入する。
【0021】
送風ファン30は、送風機室S2に設けられるファン支持部材40によって固定される。このファン支持部材40は、一対の支柱42と、モータ取付部材44と、固定板46とを備える。
一対の支柱42は、いずれも底板12の上面から上方に向かって起立して延びる柱状の部材である。これらの一対の支柱42は、筐体10の左右方向に沿って、互いに所定の間隔を空けて並べて配置される。
モータ取付部材44は、ファンモータ32を保持する部材である。このモータ取付部材44は、一対の支柱42に挟み込まれるように取り付けられる。モータ取付部材44は、底板12から所定の高さ寸法で離間する位置で一対の支柱42に取り付けられる。
【0022】
固定板46は、一対の支柱42の上端を固定する部材である。この固定板46は、平面が筐体10の底面に対向し、且つ長手方向が筐体10の前後方向に沿って延びるように配置される板状部材である。固定板46は、例えばねじ締結等によって、前面板16と、背面板18とのそれぞれに長手方向の両端が連結されて筐体10に固定される。筐体10に固定された固定板46は、室外熱交換器50の上端よりも上方に配置される。
なお、固定板46は、前面板16側に位置する端部が室外熱交換器50の上端に係合することで固定されてもよい。
【0023】
筐体10の底面に対向する固定板46の平面には、一対の支柱42の上端が連結される。これによって、一対の支柱42は、固定板46を介して筐体10に固定される。
本実施の形態の固定板46は、板金によって形成される。
【0024】
ファン支持部材40は、ファンモータ32がモータ取付部材44に取り付けられることで送風ファン30を支持する。ファン支持部材40に固定された送風ファン30は、羽根車34が排気口19に対向し、且つ駆動軸36の先端が排気口19に向かう位置に配置される。
【0025】
[1-1-2.室外熱交換器の構成]
室外熱交換器50、80は、室内機から供給される冷媒を蒸発させる蒸発器、或いは、冷媒を凝縮させるコンデンサとして機能する熱交換器である。
室外熱交換器50と室外熱交換器80とは、同一の構造を備え、長手方向における長さ寸法が互いに異なる。
本実施の形態の室外熱交換器50は、全体として平面視で略L字状に形成される。一方、室外熱交換器80は、長手方向における長さ寸法が室外熱交換器50よりも短く、平面視で線状に形成される。
以下、室外熱交換器80の構造について説明するが、室外熱交換器50の構造についても同様の構成であり、その説明を省略する。
【0026】
図3は、送風ファン30に送り出される風の風下側に位置する室外熱交換器80を風下側から視た斜視図である。図4は、送風ファン30に送り出される風の風下側に位置する室外熱交換器80を風上側から視た斜視図である。図3図4では、説明の便宜上、室外熱交換器50を一点鎖線で表す。
図3図4に示すように、室外熱交換器80は、一対のヘッダパイプ52、54と、複数の扁平管62と、複数のフィン64とを備える。
本実施の形態において、室外熱交換器80が備えるこれらの部材は、いずれもアルミニウム、あるいはアルミニウム合金で形成される。
【0027】
ヘッダパイプ52、54は、いずれも筐体10の上下方向沿って延びる中空の柱状部材である。本実施の形態では、ヘッダパイプ52、54は、いずれも円柱状に形成される。これらのヘッダパイプ52、54は、室外熱交換器80の両端にそれぞれが設けられる。
一方のヘッダパイプ52には、室外熱交換器80における冷媒の流入口、または流出口として機能する複数の冷媒配管が接続される。
【0028】
複数の扁平管62は、内部に冷媒が流れる流路が設けられる扁平な長尺部材である。
各扁平管62は、各ヘッダパイプ52、54の長手方向に沿って、それぞれの長手方向が互いに平行となるように並べられた状態で、当該扁平管62の両端のそれぞれが各ヘッダパイプ52、54の各側面51、53に接続される。
すなわち、ヘッダパイプ52、54の各側面51、53の所定箇所には、当該ヘッダパイプ52の長手方向に沿って、互いに所定の間隔を空けて、各扁平管62の一方の端部が一列に並べて接続される。
このため、各扁平管62の長手方向は、室外熱交換器80の長手方向に一致する。
【0029】
各扁平管62は、それぞれの幅方向が互いに平行となるように各ヘッダパイプ52、54に接続される。
なお、室外熱交換器50が備える扁平管62は、長手方向における長さ寸法が室外熱交換器80が備える扁平管よりも長く形成される。また、室外熱交換器50が備える扁平管62は、平面視で略L字状に曲げられて形成される。
【0030】
複数のフィン64は、各扁平管62のそれぞれを挿通可能な複数の挿通孔が平面に設けられた平板部材である。各扁平管62は、各フィン64に挿通された状態で、各ヘッダパイプ52、54に接続される。すなわち、各フィン64は、長手方向、及び幅方向が各扁平管62の長手方向に直交した状態で配置される。このように配置された各フィン64の長手方向は、各ヘッダパイプ52、54の長手方向に一致する。
本実施の形態では、一対のヘッダパイプ52、54と、複数の扁平管62と、複数のフィン64とは、ロウ付けによって互いに固定される。
【0031】
図2に示すように、送風機室S2において、室外熱交換器50は、長手方向が前面板16と、左側板11とに沿って配置される。この室外熱交換器50は、前面吸気口15の右側板13側の縁部に接近した位置にヘッダパイプ52が配置され、側面吸気口17の背面板18側の縁部に接近した位置にヘッダパイプ54が配置される。そして、室外熱交換器50は、前面板16と左側板11とで形成される筐体10の角部23に接近するように屈曲されて配置される。
【0032】
一方、室外熱交換器80は、送風機室S2において、長手方向が前面板16と、室外熱交換器50とに沿って配置される。この室外熱交換器80は、室外熱交換器50を挟んで前面板16の反対側に配置される。このように配置された室外熱交換器80は、室外熱交換器50よりも送風ファン30に接近した位置に配置される。
【0033】
室外熱交換器80のヘッダパイプ52は、室外熱交換器50のヘッダパイプ52に隣り合う位置に配置される。具体的には、室外熱交換器80のヘッダパイプ52は、室外熱交換器50のヘッダパイプ52を挟んで、前面板16の反対側に配置される。
【0034】
室外熱交換器80のヘッダパイプ54は、図1図2に示すように、筐体10の正面視で、前面吸気口15に重なる位置に配置される。このヘッダパイプ54は、室外熱交換器50を挟んで前面吸気口15の反対側に配置されると共に、当該室外熱交換器50の扁平管62やフィン64に隣り合って配置される。
【0035】
このように配置された室外熱交換器50は、図1に示すように、前面吸気口15と側面吸気口17を介して、各扁平管62と複数のフィン64との大部分が筐体10から露出する。一方、ヘッダパイプ52は、前面板16によって筐体10の外部から遮蔽され、ヘッダパイプ54は、左側板11によって筐体10の外部から遮蔽される。
【0036】
これに対して、室外熱交換器80は、室外熱交換器50を挟んで前面吸気口15の反対側に配置されるため、室外熱交換器50によって、全体が筐体10の外部から遮蔽される。
【0037】
室外ユニット1は、室外熱交換器50、80を筐体10に固定する固定部材70、370を備える。
具体的には、複数の固定部材370によって室外熱交換器50、80の各ヘッダパイプ52が前面板16に固定され、複数の固定部材70によって室外熱交換器50のヘッダパイプ54が前面板16に固定される。本実施の形態では、各ヘッダパイプ52、54は、いずれも3つの固定部材70によって固定される。
このように筐体10に固定された各ヘッダパイプ52、54は、いずれも長手方向が筐体10の上下方向に沿って配置される。
【0038】
[1-1-3.被覆部材の構成]
【0039】
図3、4に示すように、室外ユニット1は、被覆部材90を備える。
被覆部材90は、室外熱交換器80のヘッダパイプ54の側面51の所定箇所を被覆する部材である。
被覆部材90は、被覆部92と、上方固定部94と、下方固定部96とを備える。
【0040】
上方固定部94は、固定板46に取り付けられる平板部材である。この上方固定部94は、所定の長さ寸法を備え、一方の端部が固定板46の室外熱交換器80の上方に位置する箇所に、例えばねじ固定等で固定される。
【0041】
すなわち、被覆部材90は、固定板46によって固定される。このため、固定板46は、被覆部材90の固定部材として機能する。
さらに、室外ユニット1では、被覆部材90の上端が固定板46によって固定されることで、天板14に貫通孔等を設けることなく、被覆部材90を筐体10に固定することができる。
【0042】
固定板46に固定された上方固定部94は、室外熱交換器80の長手方向に沿って延び、当該上方固定部94の他方の端部が室外熱交換器80のヘッダパイプ54の上方に配置される。
上方固定部94の他方の端部は、当該端部が備える平面が室外熱交換器80のヘッダパイプ54の上端に対向するように配置され、当該平面には篏合溝93が設けられる。この篏合溝93は、平面視で前面板16と、左側板11とに沿った略L字状に形成される溝である。篏合溝93は、平面視で、室外熱交換器80のヘッダパイプ54から離間した位置に配置される。
【0043】
下方固定部96は、底板12に固定される平板部材である。この下方固定部96は、平面が底板12に接するように当該底板12に固定される。下方固定部96は、室外熱交換器80のヘッダパイプ54の下方において、当該ヘッダパイプ54の下端に対向する位置に配置される。
下方固定部96は、室外熱交換器80のヘッダパイプ54の下端に対向する平面を備え、当該平面には、篏合溝95が設けられる。この篏合溝95は、篏合溝93と同様に、平面視で前面板16と、左側板11とに沿った略L字状に形成される溝である。篏合溝95は、篏合溝93と同様に、平面視で、室外熱交換器80のヘッダパイプ54から離間した位置に配置される。
なお、下方固定部96には、排水孔や傾斜部等、結露水や雨水等の滞留を抑制するための排水構造が設けられてもよい。
【0044】
上述した上方固定部94と、下方固定部96とは、室外熱交換器80のヘッダパイプ54から離間した位置に設けられる。このため、上方固定部94と、下方固定部96とは、イオン化傾向に係らず、剛性が高く、保持部72よりも縦弾性係数と降伏点とが大きい材料で形成される。このような材料には、例えば鋼板等がある。
これによって、例えば圧縮機5の駆動に伴う振動等が生じた場合であっても、上方固定部94と、下方固定部96とは、が筐体10から離脱することや、変形することが抑制される。このため、被覆部材90が配置位置から逸れることが抑制される。
【0045】
被覆部92は、長手方向から視て、L字状となるように平板が折り曲げられて形成される板状部材である。この被覆部92は、長手方向において、ヘッダパイプ54の長手方向における長さ寸法と略同一の長さ寸法を備える。被覆部92は、折り曲げられた一方の平面を形成する第1被覆板97と、他方の平面を形成する第2被覆板99とを備える。第1被覆板97と、第2被覆板99とは、それぞれの幅方向が互いに直交する。
【0046】
被覆部92は、ヘッダパイプ54や扁平管62を含む室外熱交換器50、80を形成するアルミニウムに対して、イオン化傾向が同等、あるいはイオン化傾向が高い金属材料、すなわちアルミニウムと同等以下の電位となる金属材料によって全体が形成される。このような金属材料には、例えば亜鉛(Zn)等がある。
このように、室外熱交換器80を形成する金属材料よりも同等以下の電位となる金属材料で被覆部92が形成されることで、被覆部92が室外熱交換器80に接した場合であっても、室外熱交換器80では、結露水や雨水等の滞留した水分が促進する異種金属接触による腐食進行を抑制できる。
【0047】
被覆部92は、長手方向における一方の端部が上方固定部94の篏合溝93に嵌め込まれ、長手方向における他方の端部が下方固定部96の篏合溝95に嵌め込まれることで筐体10に固定される。これによって、被覆部92は、室外熱交換器80のヘッダパイプ54の長手方向に沿って延びるように配置される。
【0048】
被覆部92は、上方固定部94と、下方固定部96とによって固定されることで、室外熱交換器80のヘッダパイプ54から所定の間隔を空けて配置される。
これによって、被覆部92が室外熱交換器80のヘッダパイプ54に接触することが抑制される。このため、被覆部92と室外熱交換器80のヘッダパイプ54との間に結露水や雨水等の水分が滞留することが抑制される。そして、室外ユニット1では、当該水分によるヘッダパイプ54の腐食を抑制できる。
【0049】
図4に示すように、被覆部92は、上方固定部94と、下方固定部96とによって固定されると、第1被覆板97が室外熱交換器50と、室外熱交換器80のヘッダパイプ54との間に配置される。この第1被覆板97は、室外熱交換器50と、前面吸気口15とに対向して配置される。すなわち、第1被覆板97は、室外熱交換器50、及び前面吸気口15から室外熱交換器80のヘッダパイプ54を遮蔽する。
【0050】
同様に、被覆部92は、上方固定部94と、下方固定部96とによって固定されると、第2被覆板99が側面吸気口17に対向して配置される。図2に示すように、送風機室S2において、この第2被覆板99は、室外熱交換器50を挟んで側面吸気口17の反対側に配置される。すなわち、第2被覆板99は、室外熱交換器50、及び側面吸気口17から室外熱交換器80のヘッダパイプ54を遮蔽する。
【0051】
これによって、ヘッダパイプ54は、当該ヘッダパイプ54の側面53のうち、送風ファン30による気流の風上側が被覆部92に覆われる。このため、室外熱交換器80のヘッダパイプ54は、送風ファン30が駆動した場合に、当該送風ファン30により送り出される気流から遮蔽される。
【0052】
[1-2.動作]
以上のように構成された室外ユニット1について、その動作を以下説明する。
【0053】
まず、空気調和装置における冷媒の流れについて説明する。
空気調和装置の暖房運転の場合、室外ユニット1が作動を開始すると、圧縮機5が駆動される。圧縮機5は、冷凍回路に封入された冷媒を圧縮し、各冷媒配管を経由してガス冷媒を送り出す。このガス冷媒は、室内熱交換器で熱を放出して凝縮された後、冷媒配管を通って膨張弁に流入し、当該膨張弁によって減圧され、室外熱交換器50、80に流入する。室外熱交換器50、80に流入した冷媒は、各ヘッダパイプ52、54を介して、各扁平管62を流れる。
【0054】
ここで、室外ユニット1が作動を開始すると、圧縮機5に先行して送風ファン30が回転駆動を開始する。回転駆動する送風ファン30は、図2の気流方向A1、A2に示すように、空気を室外ユニット1の外部から筐体10の内部、すなわち送風機室S2に流入させる。具体的には、空気は、主に前面吸気口15、及び側面吸気口17から送風機室S2に流入する。送風機室S2に流入する空気は、室外熱交換器50、80の長手方向と、上下方向に直交する方向、換言すれば扁平管62の幅方向に沿って、各扁平管62と、各フィン64の間を通過する。
室外熱交換器50を流れる冷媒は、扁平管62において、送風ファン30により送り出された空気と熱交換をすることで吸熱して蒸発する。
【0055】
これによって、複数の扁平管62の内部を流れる冷媒と、複数のフィン64の間を流れる空気との熱交換が促進される。
扁平管62で蒸発した冷媒は、冷媒配管を介して圧縮機5に戻る。
冷媒と熱交換された空気は、送風ファン30によって、排気口19から筐体10の外部に排出される。
【0056】
上述した動作を繰り返すことで、室外ユニット1は、室外の空気から冷凍回路に熱を吸収し、室内に送り出す。
なお、空気調和装置が冷房運転を行う場合、冷凍回路の冷媒の循環方向は、暖房運転の場合の逆向きとなり、室外熱交換器50は、凝縮器として機能する。
【0057】
上述した動作を行う室外ユニット1では、送風ファン30による気流に乗って筐体10の外部から雨水や大気中の水分が入り込むことがある。また、室外熱交換器50では、冷媒の熱交換に伴って表面に結露水等の水分が生じることがある。上述の通り、室外熱交換器80のヘッダパイプ54は、室外熱交換器50よりも風下側に位置し、且つ当該室外熱交換器50が備える扁平管62、及びフィン64に隣り合った位置に配置される。このため、筐体10に入り込んだ雨水や大気中の水分、結露水等の水分は、送風ファン30による気流に乗って、室外熱交換器80のヘッダパイプ54に向かう。
【0058】
本実施の形態における室外熱交換器80のヘッダパイプ54は、当該ヘッダパイプ54の側面53のうち、送風ファン30による気流における風上側が被覆部92によって覆われる。これによって、室外熱交換器80のヘッダパイプ54は、筐体10に入り込んだ雨水や大気中の水分、結露水等の水分から遮蔽される。このため、室外ユニット1では、室外熱交換器80のヘッダパイプ54に当該水分付着することが抑制され、当該ヘッダパイプ54の腐食を抑制できる。
【0059】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、室外ユニット1は、側面51、53に扁平管62が接続されるヘッダパイプ52、54を備える室外熱交換器50、80と、扁平管62を通過する空気を送り出す送風ファン30と、複数の室外熱交換器50、80と送風ファン30とを内部に収める筐体10と、を備える。複数の室外熱交換器50、80は、送風ファン30による気流の風上側から風下側に沿って並べて配置される。風下側に配置される室外熱交換器80のヘッダパイプ54は、風上側に配置される室外熱交換器50の扁平管62に隣り合って配置される。そして、室外ユニット1には、風下側に配置される室外熱交換器80のヘッダパイプ54の風上側を覆う被覆部材90が設けられる。
【0060】
これにより、室外熱交換器80のヘッダパイプ54は、当該ヘッダパイプ54の側面53のうち、室外熱交換器50、及び前面吸気口15に対向する面と、室外熱交換器50、及び側面吸気口17に対向する面とが被覆部材90によって覆われる。そして、室外熱交換器80のヘッダパイプ54は、筐体10に入り込んだ雨水や大気中の水分、結露水等の水分から遮蔽される。そのため、室外ユニット1では、室外熱交換器80のヘッダパイプ54に当該水分付着することが抑制され、当該ヘッダパイプ54の腐食を抑制できる。
【0061】
本実施の形態のように、筐体10は、室外熱交換器50、80よりも上方に位置する固定板46が設けられ、被覆部材90は、ヘッダパイプ52、54の風上側を覆う被覆部92と、被覆部92の上部に設けられる上方固定部94とを備える。そして、被覆部92は、上方固定部94を介して固定板46に取り付けられることで筐体10に固定されるようにしてもよい。
これにより、天板14に貫通孔等を設けることなく、被覆部材90を筐体10に固定することができる。そのため、室外ユニット1では、筐体10の内部に外気や水分が浸入することが抑制される。
【0062】
本実施の形態のように、被覆部材90は、被覆部92の下部に設けられる下方固定部96を備え、被覆部92は、下方固定部96を介して筐体10の底板12に取り付けられるようにしてもよい。
これにより、被覆部材90は、室外熱交換器80のヘッダパイプ54から所定の間隔を空けて配置される。そのため、被覆部92と室外熱交換器80のヘッダパイプ54との間に結露水や雨水等の水分が滞留することが抑制される。
【0063】
本実施の形態のように、被覆部92は、室外熱交換器50、80と同等以下の電位となる金属材料、または非金属材料で形成されるようにしてもよい。
これにより、被覆部92は、アルミニウムよりも卑な金属、あるいはアルミニウムと同等に卑な金属で形成される。そのため、保持部72がヘッダパイプ54を保持する箇所では、結露水や雨水等の滞留した水分が促進する異種金属接触による腐食進行を抑制できる。
【0064】
本実施の形態のように、上方固定部94と下方固定部96とは、被覆部92よりも縦弾性係数と降伏点とが大きい材料で形成されるようにしてもよい。
これにより、例えば圧縮機5の駆動に伴う振動等が生じた場合であっても、上方固定部94と下方固定部96とが筐体10から離脱することや、変形することが抑制される。そのため、被覆部材90が配置位置から逸れることが抑制される。
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0065】
被覆部92は、ヘッダパイプ52、54を形成する材料と同等以下の電位となる金属材料に限らず、セラミック材や樹脂材等の非金属材料によって形成されていてもよい。
これによって、被覆部92がヘッダパイプ52を保持する箇所では、結露水や雨水等の滞留した水分が促進する異種金属接触による腐食進行を抑制できる。
【0066】
また例えば、被覆部92には、不動態被膜の形成や、ヘッダパイプ52、54を形成する材料と同等以下の電位となる金属を用いたメッキ処理、あるいは樹脂コーティングを行ってもよい。この場合、被覆部92は、ヘッダパイプ52、54を形成する材料と同等以上の電位となる金属材料であってもよい。
また、これらの処理は、上方固定部94、及び下方固定部96に施してもよい。
【0067】
上述した実施の形態において、上方固定部94は、固定板46に取り付けられるとした。しかしながらこれに限らず、上方固定部94は、例えば、仕切板21等の筐体10の内部に設けられる他の部材であってもよい。また例えば、上方固定部94は、筐体10に直接取り付けられていてもよい。
【0068】
上述した実施の形態において、被覆部材90は、被覆部92と、上方固定部94と下方固定部96とを備え、被覆部92は、上方固定部94と下方固定部96とによって固定されるとした。しかしながらこれに限らず、被覆部材90は、被覆部92において、室外熱交換器80のヘッダパイプ54に対向する面に当該ヘッダパイプ54を保持する保持部を備えてもよい。この場合、被覆部92は、保持部が当該ヘッダパイプ54を保持することで固定される。さらにこの場合、被覆部材90は、上方固定部94、及び下方固定部96が省略されていてもよい。
【0069】
上述した実施の形態において、室外ユニット1は、横吹き型の熱交換ユニットであるとした。しかしながらこれに限らず、室外ユニット1は、例えば、筐体10の側面側から空気が吸い込まれ、筐体10の上部から上方に空気が吹き出される、所謂上吹き型の熱交換ユニットであってもよい。
【0070】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本開示は、ヘッダパイプが他の熱交換器の扁平管やフィンに隣接して配置される室外ユニットに適用可能である。具体的には、複数の扁平管熱交換器を備える室外ユニット等に、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 室外ユニット
10 筐体
30 送風ファン(ファン)
46 固定板(固定部材)
50 室外熱交換器(熱交換器)
51、53 側面
52、54 ヘッダパイプ
62 扁平管
64 フィン
70、370 固定部材
80 室外熱交換器
90 被覆部材
92 被覆部
93、95 篏合溝
94 上方固定部
96 下方固定部
97 第1被覆板
99 第2被覆板
図1
図2
図3
図4