(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104061
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】有機汚泥等の処理装置
(51)【国際特許分類】
C02F 11/00 20060101AFI20230721BHJP
B09B 3/30 20220101ALI20230721BHJP
C02F 11/13 20190101ALI20230721BHJP
【FI】
C02F11/00 C
B09B3/00 Z
C02F11/00 A ZAB
C02F11/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004825
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】521403258
【氏名又は名称】創亜株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092163
【弁理士】
【氏名又は名称】穴見 健策
(72)【発明者】
【氏名】森谷 仁志
【テーマコード(参考)】
4D004
4D059
【Fターム(参考)】
4D004AA02
4D004AA03
4D004AA04
4D004CA04
4D004CA15
4D004CA22
4D004CA42
4D004CA48
4D004CB05
4D004CB13
4D004CB28
4D004CB31
4D004CB43
4D004CB46
4D059AA07
4D059BD11
4D059BJ02
4D059BJ04
4D059BJ07
4D059BK01
4D059BK11
4D059CA15
4D059CA16
4D059CB06
4D059CC01
4D059CC02
(57)【要約】
【課題】簡単な構成により十分な量の有機汚泥等を受け入れて乾燥、減量処理を確実に行える有機汚泥等の処理装置を提供する。
【解決手段】内部を枠体により閉鎖した一方向に長い第1のケースと、第1のケース内に配置された第1スクリュウ羽根と、を含む第1スクリュウコンベアと、第1のケースに並設され内部を枠体により閉鎖した一方向に長い第2のケースと、第2のケース内に配置される第2スクリュウ羽根と、を含む第2スクリュウコンベアと、第1と第2のケースの両端部側どうしで内部が相互に連通する前後連通路と、第1及び又は第2スクリュウコンベアによる有機汚泥等の搬送中に有機汚泥等を加熱する加熱装置と、無限搬送路を含む。無限搬送路により搬送中の有機汚泥等を加熱、攪拌しながら乾燥、減容処理する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を枠体により閉鎖した一方向に長い第1のケースと、第1のケース内に配置されケースの一端から他端側に向かう往路において有機汚泥等を搬送する第1スクリュウ羽根と、を含む第1スクリュウコンベアと、
第1のケースに並設され内部を枠体により閉鎖した一方向に長い第2のケースと、
第2のケース内に配置され第1のケースの他端側から一端側に向かう復路において有機汚泥等を搬送する第2スクリュウ羽根と、を含む第2スクリュウコンベアと、
第1と第2のケースの両端側に設けられそれぞれの両端部側どうしで両ケースの内部が相互に連通する前後連通路と、
第1及び又は第2スクリュウコンベアによる有機汚泥等の搬送中に第1及び又は第2のケース内の有機汚泥等を加熱する加熱装置と、を含み、
第1、第2スクリュウコンベアと前後連通路を介して有機汚泥等の搬送処理を無限に行う無限搬送路を含むことを特徴とする有機汚泥等の処理装置。
【請求項2】
第1及び第2のスクリュウコンベアは無軸のスクリュウ羽根を有する無軸スクリュウコンベアであることを特徴とする請求項1記載の有機汚泥等の処理装置。
【請求項3】
1つのケース内を縦方向に2分割するように中央に仕切板を設けてそれぞれ閉鎖空間を形成する第1と第2のケースを形成し、
仕切板の長手方向両端側に第1と第2のケース内を連通する開口を設け、該両開口を前後連通路とすることを特徴とする請求項1又は2記載の有機汚泥等の処理装置。
【請求項4】
第1のケースと第2のケースは側面視X字状に配置されており、それぞれ搬送端から並設するケース側への連通路が下がり傾斜で設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の有機汚泥等の処理装置。
【請求項5】
第1、第2スクリュウコンベアのスクリュウ羽根にはその回動時に有機汚泥等を切り返しつつ攪拌する切り返し攪拌器が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の有機汚泥等の処理装置。
【請求項6】
ケースに設けられケース外の空気をケース内に導入する空気の取入口と、
第1及び第2のケース内の空気を消臭しつつ外部に排出する消臭排出装置と、を含み、
空気の取入口と消臭排出装置とを介して第1及び第2のスクリュウコンベアによる有機汚泥等の搬送と合わせてケース内の空気を強制的にケース外に排気する排気経路を形成することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の有機汚泥等の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品残渣や食材屑等の生ごみ、有機スラリーその他の有機廃棄物の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日々の家庭から排出される生ごみや食材ゴミは各自治体の管理のもとに一般廃棄物として焼却等処理される一方、事業活動に伴って発生した泥状の物質である汚泥は産業廃棄物として排出事業者に処理責任が求められる。食品加工工場等からは日々多量の食品、食材屑等の残渣、加工工程で排出される液状のスラリー等が排出され、これらのうち焼却処理されなかったものは埋め立て等の処理がなされる。有機汚泥や食品加工工場等から排出される有機廃棄物には処理の方法や程度により肥料や飼料として有価物となり得るが存在する。また、焼却処理時にも可能な限り減量化して処理することで国連において採択されたSDGsの国際開発目標の実現に寄与し得る。従来、例えば生ごみの乾燥処理について特許文献1の装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は生ごみの真空搬送乾燥装置に係り、生ゴミの輸送と乾燥処理とを組み合わせた技術が記載されている。特許文献1の装置は、生ごみをスラリー化するための粉砕機1の吐出口を配管4に接続し、その配管により入口弁5を介して真空乾燥機6に負圧吸引させ、圧縮機7による減圧下で蒸発させて真空乾燥機6内の生ごみを乾燥させるものである。しかしながら、特許文献1の装置は、生ごみの貯留容器2と真空乾燥機6とを接続する配管4の真空度管理や粉砕器弁3、入口弁5、真空乾燥機6等の開閉制御が必要で装置全体が大型化し高コストで装置の維持管理作業負荷が大きく、小、中規模事業者が日々排出する有機汚泥等の処理には適していない。また、真空度調整等のために装置全体の立ち上げに時間が掛かり、日々排出の多量の有機汚泥等処理を簡易迅速に行うことは困難であるという問題があった。また、配管4の目詰まりにより生ごみスラリーが途中で詰まり搬送が円滑に行えなくなるおそれがあり、詰まりを生じた場合の故障個所特定や修復作業が困難で時間もかかる問題があった。また、従来、攪拌装置や加熱装置を内部に設置した処理機体内に生ごみ等を投入し、加熱攪拌しながら生ごみ等を減容処理するものが公知であるが、単に加熱攪拌のみでは生ゴミ等を乾燥し減容することについて有効な効果を上げることができなかった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、簡単な構成
により十分な量の有機汚泥等を受け入れて乾燥、減量処理を確実に行えると共に、必要な際に迅速に立ち上げ運転させて日々排出の有機汚泥等処理を行うことのできる有機汚泥等の処理装置を提供することにある。また、本発明は、低コストで装置の故障が少なくまたメンテナンスが簡単で装置管理の労力、時間、コストを低減し得る有機汚泥等の処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、内部を枠体により閉鎖した一方向に長い第1のケース12と、第1のケース内に配置されケースの一端から他端側に向かう往路Fにおいて有機汚泥等を搬送する第1スクリュウ羽根40と、を含む第1スクリュウコンベア10と、第1のケース12に並設され内部を枠体により閉鎖した一方向に長い第2のケース52と、第2のケース52内に配置され第1のケース12の他端側から一端側に向かう復路Rにおいて有機汚泥等を搬送する第2スクリュウ羽根51と、を含む第2スクリュウコンベア50と、第1と第2のケースの両端側に設けられそれぞれの両端部側どうしで両ケースの内部が相互に連通する前後連通路22、57と、第1及び又は第2スクリュウコンベア10、50による有機汚泥等の搬送中に第1及び又は第2のケース12、52内の有機汚泥等を加熱する加熱装置100と、を含み、第1、第2スクリュウコンベア10,50と前後連通路22、57を介して有機汚泥等の搬送処理を無限に行う無限搬送路150を含む有機汚泥等の処理装置1から構成される。
【0007】
その際、第1及び第2のスクリュウコンベア10,50は無軸のスクリュウ羽根40,51を有する無軸スクリュウコンベアであることとするとよい。
【0008】
また、1つのケース内を縦方向に2分割するように中央に仕切板(16)を設けてそれぞれ閉鎖空間Pを形成する第1と第2のケース12、52を形成し、仕切板(16)の長手方向両端側に第1と第2のケース12、52内を連通する開口22a、57aを設け、該両開口22a、57aを前後連通路22,57としてもよい。
【0009】
また、第1のケース12と第2のケース52は側面視X字状に配置されており、それぞれ搬送端から並設するケース側への連通路218、256が下がり傾斜で設けられていることとするとよい。
【0010】
さらに、第1、第2スクリュウコンベア10,50、213、253のスクリュウ羽根40,51にはその回動時に有機汚泥等を切り返しつつ攪拌する切り返し攪拌器20が設けられているとよい。
【0011】
さらに、ケース12,52、212、252に設けられケース外の空気をケース内に導入する空気の取入口24と、第1及び第2のケース12,52、212、252内の空気を消臭しつつ外部に排出する消臭排出装置70、216と、を含み、空気の取入口24と消臭排出装置70、216とを介して第1及び第2のスクリュウコンベア10、50、213,253による有機汚泥等の搬送と合わせてケース内の空気を強制的にケース外に排気する排気経路Zを形成するとなおよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の有機汚泥等の処理装置によれば、簡単な構成により十分な量の有機汚泥等の乾燥、減量処理を確実に行うことができる。また、装置の故障が少なくまたメンテナンスが簡単で装置管理の労力、時間、コストを低減し得る。さらに、有機汚泥等の投入、排出を簡単かつ短時間で行なえ作業者負担を軽減させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)は、本発明の有機汚泥等の処理装置の第1実施形態のケース本体枠部分の一部を破断して示した概略側面図である。(b)は、排気経路を示した模式図である。
【
図2】(a)は、
図1の装置のケース本体枠部分を破断して示した平面図、(b)は、
図1の装置の右側面図、(c)は、
図1の装置の左側面図、(d)は、無限搬送路を示す模式図である。
【
図3】
図1の装置の無軸スクリュウコンベアのケース本体枠部分を破断して示した一部省略説明図である。
【
図4】スクリュウコンベアの羽根に取り付けられた切り返し撹拌器の一部省略拡大説明図である。
【
図5】
図1の装置の加熱装置としてのヒートパイプ装置の断面説明図である。
【
図6】
図1の装置のケースの拡大断面説明図である。
【
図7】本発明の有機汚泥等の処理装置の第2実施形態の概略構成を示した側面説明図である。
【
図8】(a)は、
図7の装置の概略構成を示した平面説明図、(b)は、
図7のA-A、B-B線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しつつ本発明に係る有機汚泥等の処理装置の実施形態について説明する。
【0015】
本発明に係る有機汚泥等の処理装置は、有機汚泥の乾燥装置や生ごみ残渣処理機として利用できる装置である。有機汚泥は、例えば食品加工工場の生鮮野菜や果物、魚介類、肉製品製造工程等で排出される種々の搾り粕、焼酎粕、下水等の主にスラリー状の廃棄物である。生ゴミ残渣処理機は、野菜のカット工場、漁協等の魚介類加工場、その他の食品加工工場等から排出される生野菜、果物、魚介類等の一部を含む残渣物に発酵菌投与等を行いながら減容処理する装置である。
【0016】
図1ないし
図7は、本発明の実施形態による有機汚泥等の処理装置1について説明しており、
図1、
図2において、装置1は、第1スクリュウコンベア10と、第2スクリュウコンベア50と、前後連通路22、57と、加熱装置100と、無限搬送路150と、を含む。
【0017】
第1及び第2スクリュウコンベア10、50は、有機汚泥等の処理対象物を一定方向に搬送する搬送手段であり、特に、搬送路を内部閉鎖空間に配置してケースで覆った密閉空間内で搬送しつつ搬送方向に向けて空気も一緒に友連れ誘導する。第1スクリュウコンベア10は、一方向に長い第1ケース12と、第1ケース12内に収容配置され一方向に長く設けられた第1スクリュウ羽根40と、を含む。第2スクリュウコンベア50は、一方向に長い第2ケース52と、第2ケース52内に収容配置され一方向に長く設けられた第2スクリュウ羽根51と、を含む。特に本実施形態において、第1、第2スクリュウコンベア10,50は、後述するように回転中心部にシャフトを有さないシャフトレススクリュウコンベア、すなわち無軸スクリュウコンベアから構成されている。
【0018】
この実施形態において、第1、第2のケース12、52は、例えば鋼板からなる枠体により形成され、一方向に長い中空管として設けられている。第1、第2のケース12、52は、
図2(a)平面図に示すように、平行に配置されている。なお、第1及び第2ケース12、52は必ずしも平行に配置される必要はなく、角度を有する状態で並設配置されていてもよい。また、本実施形態においては第1,第2ケース12、52は長さ及び断面サイズはほぼ同一で形成されており、また底部が同一平面上に存在するように高さ位置は同じに設定されている。特に、本実施形態では、第1及び第2のケース12,52は、支持枠11を介して着地させた一端側から他端側へ向けて例えば10度程度の所要の上り勾配で支持されて設置されている。そして、搬送端側のケースの他端側は末端開閉蓋装置9が取り付けられている。このように、第1及び第2のケース12,52の一端側を着地させ、傾斜配置して他端側を高位に支持することにより、有機汚泥等の投入処理を低位置で行い、投入工程を小さな動力負荷で簡易に行えると共に、高位置で排出できるのでケース内での残渣物等の回収や洗浄等を軽易な労力で行うことができる。なお、第1、第2のケース12、52のそれぞれは内部に閉鎖空間Pを形成する。
【0019】
本実施形態において、第1及び第2のケース12,52全体を1つのケース体として構成し、仕切り側壁と外側の両側壁とを製造段階で一体的に製作している。すなわち、本実施形態において、1つのケース内を縦方向に2分割するように中央に仕切板としての仕切り側壁16を設けてそれぞれ閉鎖空間を形成する第1と第2のケースを形成する。第1及び第2のケース12,52は
図2(b)、
図6に示すように、断面U字形形状の管本体13、53と、管の上面を閉鎖する蓋部14、54とで内部を密閉して設けられている。第1及び第2のケース12,52は一端から他端側へ直状に長く形成されている。第1及び第2のケース12、52のそれぞれの内部はそれぞれ気密で分離されており相互に流通しない別の空間を形成している。
【0020】
なお、第1及び第2のケース12,52は各々別個の一端から他端側へ直状に長く形成された管体として構成し、第1及び第2のケース12,52の側壁同士を密着接合させて一体化して構成してもよい。これによって、U字形の管本体13,53の接合された側壁部が共通の側壁となり、この共通の側壁が第1及び第2のケース12、52の内部をそれぞれ気密分離するように仕切る仕切り側壁16を形成している。
【0021】
第2ケースのそれぞれに収容配置されている第1、第2スクリュウ羽根40、51は、
図3に示すように中心線に沿って連続螺旋状に形成された羽根体であり、それぞれのケース12,52の一端から他端にかけて連続して長く設けられている。第1、第2スクリュウ羽根40、51はそれぞれ回転軸としての中心シャフトを設けていないいわゆる無軸スクリュウコンベアの無軸スクリュウ羽根であり、実施形態において、
図2(b)に示すように、スクリュウ羽根の羽根回転径が各ケースのU字下面側の円弧曲面に沿う程度の半径サイズでケースに収容されて配置されている。第1、第2スクリュウ羽根40、51は、特殊鋼板材を専用機で螺旋状に捻じり曲げ形成したものを長手方向に連結して形成したものであり、片端側を軸受で受け、ケースの底面で支持した状態で回動する。第1、第2スクリュウ羽根40、51は、
図3に示すように無軸のため、各羽根ピッチあたりの有機汚泥等BSの搬送量が多い。また故障が少なくメンテナンスも容易であり装置の管理コストも安価に維持し得る。なお、本発明の実施についての形態としては、その他、中心にシャフトを有する有軸のスクリュウ羽根を含むスクリュウコンベアで構成してもよい。
【0022】
本実施形態において、スクリュウ羽根40、51の羽根面には、
図4に示すように基部17と攪拌部18とを含む切り返し撹拌器20が取り付けられている。切り返し撹拌器20は、スクリュウ羽根40、51の羽根面に取り付けられ羽根面から突出する突起その他羽根回動時に汚泥等に接触して団粒化した汚泥等を切り返しつつ攪拌する有機汚泥等の切り返し攪拌手段であり、該切り返し撹拌器20は羽根の一周期ごと、その他の間隔で、任意の数が羽根面に取り付けられている。したがって、スクリュウ羽根の回転ごとに切り返し撹拌器20による有機汚泥等の切り返し攪拌作用が行われ、その際に空気を有機汚泥等の内部に取り込ませる。
【0023】
実施形態において、第1、第2ケース12,52の、低位端の外部にそれぞれ駆動モータ15、55が連結接続されており、それぞれ第1、第2ケース12,52内の第1、第2スクリュウ羽根40、51の一端に駆動軸を連結させてそれぞれの羽根を相互に逆回転駆動させる。実施例において、第1スクリュウ羽根40は有機汚泥等をF方向(往路方向)に搬送させるように回転するとともに、第2スクリュウ羽根51は、R方向(復路方向)へ搬送させるように回転駆動する。なお、モータの回転方向を切り替えて第1,第2ケース12,52内の有機汚泥等の周回方向を逆転させるように回転させることも可能である。
【0024】
図1に示すように、第1及び第2ケース12,52の両端側に前後連通路22,57が設けられている。前連通路22は、第1及び第2ケース12,52の低位側(実施形態では低位端)に設けられており、両ケース12,52の低位側においてそれぞれのケースの内部を相互に連通させる。本実施形態において、それぞれのケース内を左右に分割させるように設けられた仕切り側壁16の低位端を含む部位に低位開口22aが設けられており、開口22aを介して第1、第2ケース12,52の低位端側の内部空間が連通している。低位開口22aを介して有機汚泥等は相互のケース内を流動することができるようになっている。
【0025】
後連通路57は、第1及び第2ケース12,52の高位側(実施形態では高位端)に設けられており、両ケース12,52の高位側においてそれぞれのケースの内部を相互に連通させる。本実施形態において、仕切り側壁16の高位端を含む部位に高位開口57aが設けられており、高位開口57aを介して第1、第2ケース12,52の高位端側の内部空間が連通している。高位開口57aを介して有機汚泥等は相互のケース内を流動することができる。これによって、第1及び第2ケース12,52と、前後連通路22,57を介して閉鎖された内部空間の周回路が形成され、第1,第2スクリュウコンベア10、50の搬送駆動により搬送物は周回移動することとなる。第1,第2スクリュウコンベア10、50と前後連通路22,57とにより無限搬送路150が形成される(
図2(d)参照)。
【0026】
実施形態において、前後連通路22,57は、仕切り側壁16に単に開口22a、57aを設けることにより前後連通路を形成している。実施形態において22a、57aは縦断面視でケースの略上半分よりやや低い底辺位置で矩形に形成されており、開口の底辺がスクリュウ羽根40、51の略回転中心位置となるように設けられている。
【0027】
図1,
図2(a)において、第1ケース12の低位端外部側に有機汚泥等の供給装置30が設けられるとともに、第1ケース12の低位端側に供給装置30から供給される有機汚泥等を第1ケース12内に投入する投入部19が設けられている。
【0028】
投入部19は、第1ケース12の低位端側の蓋部14に開口された図示しない落下口に連通する上部投入開口21と破砕装置23と、空気の取入口24と、を含む。上部投入開口21は外部から例えば連続供給される有機汚泥等を受け入れて落下口を経由して第1ケース12内に導入させる手段である。破砕装置23は、野菜くず、魚介くずその他の固形物を回転カッター等の手段により破砕ないしは粉砕して下流側に送給させる。空気の取入口24は、ケース外の空気をケース12内に導入するものであり、消臭排出装置70の排風部72の吸引力により取入口24から外気をケース内に導入させる。なお、スクリュウコンベアによる有機汚泥等の搬送、後述する加熱装置によるケース内の加熱による加熱空気の上昇等により消臭排出装置側へ新鮮外気を友連れしながらケース内に外気を誘導させる効果を有する。
【0029】
図1、
図2(a)、(c)において、有機汚泥等の供給装置30は、各地から収集されてきた有機汚泥等を回収する投入ホッパ31と、投入ホッパ31に投入される有機汚泥等を第1ケース12の投入部19へ搬送する送り装置32と、を含む。実施形態において第1ケース12の低位端近傍に架台33が設置されており、架台33に支持されて投入ホッパ31と、送り装置32が設けられている。投入ホッパ31は、断面逆三角形の公知の投入手段であり、開閉蓋34と、付勢装置35により必要に応じてホッパ上面を開閉する。ホッパ31のスロープ下端の縮径された開口に上面を臨ませて搬送コンベア32aが横方向に長く設置されている。搬送コンベア32aは送り装置32であり、コンベアの送り駆動用モータ29を介して投入ホッパ31に投入された有機汚泥等を横送り搬送させる。この実施形態において、搬送コンベア32aも搬送路をケースにより覆われた内部閉鎖型の搬送装置で構成されている。
【0030】
搬送コンベア32aの搬送先端部は、
図1、
図2(a)に示すように第1ケース12の投入部19部分まで伸設されて上部投入開口21に臨んで設けられており、これによって、搬送コンベア32aにより搬送されてくる有機汚泥等は投入部19の投下通路を介して第1ケース12の第1スクリュウ羽根40上に落下する。この際、固形物を多く含む食品残渣等の場合には投入部19の破砕装置23の回転カッター等が起動されて破砕した状態で有機汚泥等を第1スクリュウ羽根上に投下させる。
【0031】
図1、
図2(b)、
図5,
図6に示すように第1、第2スクリュウコンベア10、50には加熱装置100が取り付けられて第1、第2ケース12、52内を加熱させている。本実施形態において、加熱装置100は、ヒートパイプ装置(熱サイホン装置)101で構成されている。ヒートパイプ装置101は、
図5に示すように例えば直径50mm程度の外管102内に内管103を二重管状に配置させ、外管の両端を密閉させ、さらに内外管102,103間の空隙Sに作動用液体104を封入させたものであり、油等の駆動用加熱流体107を内管103内に通流させるとアルコール等の高揮発性の作動液104の蒸発、冷却作用によるパイプ外面側への熱伝導と空隙S内の熱循環を介してパイプ周囲を例えば110℃程度までに加熱ないしは加温させる。実施形態において、金属バンドその他の図示しない固定手段を介してヒートパイプ装置101の外管102がその表面を第1及び第2ケース12、52の外表面に密着するように取り付けられている。さらに、
図1(a)、
図2(b)、
図6に示すようにヒートパイプ装置101の外管102の外面全体はグラスウール等の断熱材105により被覆されており、これによってヒートパイプ装置101の外管から外部の外気側へ熱が漏出するのを遮断し、ヒートパイプ装置101により生成される熱を第1、第2ケース12,52に専ら伝達させて加熱するようにしている。実施形態において、第1,第2ケース12,52の離隔側壁外面や底面には数本から数十本の外管102が近接して平行に並設されている。
【0032】
図1、
図2(c)において、第1ケース12の近傍にヒートパイプ装置101の駆動流体供給装置106が設けられている。駆動流体供給装置106は、ヒートパイプ装置101の内管103内において駆動用流体107を流通供給させる装置であり、本実施形態において駆動用流体に例えば汎用の機械油等を用いる場合のオイルタンクポンプ機106Aが用いられている。オイルタンクポンプ機106Aは、オイルタンクと、タンク内のオイルを加熱するヒータと、加熱されたオイルを吐出圧により外部に吐出供給する装置であり、図示を省略しているが、第1、第2ケース12、52の外面に密着して平行に取り付けられたヒートパイプ装置101の各内管に接続しこれらを収束して接続された吐出管から、駆動流体としての加熱オイルを各ヒートパイプ装置の内管103に供給し、これにより各ケース12,52を加熱して同ケース12,52内の有機汚泥等並びに空間を加熱する。
【0033】
図1、
図2(a)において、第1ケース12の高位端寄り位置には消臭排出装置70が設けられている。消臭排出装置70は、各ケース12,52内の空気を消臭しつつ外部に排出する手段であり、第1、第2の両ケースにそれぞれ接続させて2個設けてもよい。実施形態において、第1ケース12の高位端寄り位置に1個取り付けられている。実施形態の消臭排出装置70は、第1ケース12内の有機汚泥等の臭気を含む空気を通流させつつ消臭する消臭部71と、消臭部71で消臭した空気を強制的に大気に排出する排風部72,とを含む消臭ユニット73を含む。消臭部71は、有機汚泥等の強い悪臭成分を捕捉して中和、分解することにより臭いを無臭化する部位であり、実施形態においては、例えば焼成セラミックを通気性ケースに収容したものが適用されている。消臭ユニット73は、第1ケースの蓋部14に設けられた開口に連通する通気路74を介して第1ケース内部に連通しており、ブロア等からなる排気口72bを有する排風部72を駆動することにより消臭ユニット73を介した消臭空気を大気に排出する。
【0034】
これによって、
図1(b)に示すように、第1ケース12の一端側に設けた空気の取入口24と、第1ケース12内の搬送経路と、第1ケース12の他端側に設けた消臭排出装置70の排気口72bにより排気経路Zが形成される。排気経路Zは有機汚泥等物質から放出される悪臭と蒸気を含む空気を加熱条件下で大気に放出し処理対象としての有機汚泥等の乾燥を促進する。この際、第1、第2スクリュウコンベア10、50を搬送駆動させるので第1,第2スクリュウ羽根40,51によるケース内の空気全体を消臭排出装置70方向へ友連れし湿度を含む空気の大気への放出を促進させる。これによって、第1、第2ケース12,52内の多湿の空気を効果的に外部に排出させることで有機汚泥等の乾燥を実効化させ得る。また、有機汚泥等の供給装置30は投入ホッパ31と搬送コンベア等の送り装置32を設けることにより処理対象の投入と同時に第1スクリュウコンベアのケース内に供給するから有機汚泥等の連続投入が可能であると共に、第1,第2スクリュウコンベア10、50と前後連通路22,57との無限搬送路150を介して処理材を搬送移動させその際のスクリュウ羽根の回転ごとに攪拌する動きを繰り返すので材の切り返し攪拌を十分に行うことができ、これによって、有機汚泥等の乾燥減容化の実効を図ることができる。
【0035】
本実施形態では、第1及び第2のケース10,14は、支持枠18を介して着地させた一端側から他端側へ向けて所要の上り勾配で支持されて設置しているが、本発明の有機汚泥等の処理装置は、この支持形態のみの構成に限定されるものではなく、例えば、両ケースを地面上に平置きして無限に周回可能なループ状の搬送経路で実施してもよい。
【0036】
次に、第1実施形態に係る有機汚泥等の処理装置1の作用について説明すると、有機汚泥等の供給装置30、第1、第2スクリュウコンベア10,50の駆動モータ29、15、55、並びに加熱装置100を起動させて投入ホッパ31に処理対象の有機汚泥等を投入し送り装置32の搬送コンベア32aにより横送り搬送する。搬送される有機汚泥等は、第1ケース12の投入部19において、上部投入開口21から第1ケース12の低位端側に重力落下する。このとき、第1ケース内の起動中の第1スクリュウコンベア10に向けて有機汚泥等は落下しその際、第1スクリュウ羽根40の無軸スクリュウ羽根の各ピッチ間隙に有機汚泥等は収容されつつ第1スクリュウ羽根40と共に回動されながら上位搬送方向に向けて斜め上方向に搬送される。この際、第1スクリュウ羽根40の羽根面に取り付けられた切り返し撹拌器20により各羽根ピッチ単位で有機汚泥等は切替し攪拌される。さらに、加熱装置100のヒートパイプ装置101により第1ケース12自体が加熱されており、これによって、有機汚泥中の水分が効果的に蒸発し有機汚泥等は有効に乾燥される。さらに、第1、第2ケース12,52全体はそれぞれ気密閉鎖されているが第1ケース12の汚泥等投入端寄り位置には空気取入口24が接続されて外気が導入されると共に、ケース12内の一方向に長い傾斜上り搬送経路を通ってケースの高位側(この実施形態ではケースの搬送高位端寄り)に消臭排出装置70が設けられてケース内空気を消臭しつつ外気に強制排出させている。この時、ケース内のスクリュウコンベアを介した一方向に長い搬送駆動により外気を友連れして誘引し消臭排出装置70のブロアにより強制排気される排気ルートを形成するから、常にケース内より低湿度の新鮮空気を導入しつつケース内の有機汚泥等にこれらを混入させて常時消臭排出装置70から大気に放出させることにより有機汚泥等の乾燥処理を実効化させる。
【0037】
また、第1、第2ケース12,52の前後連通路22,57を介して平行に配置された第1、第2ケース内はループ状に内部が連通して無限搬送路150を形成しているので、第1,第2スクリュウコンベア10、50の駆動モータ15,55を相互に逆回転させて往路進行と復路進行方向に搬送させることにより、投入される有機汚泥等はこれに沿って必要な処理時間について搬送されつつ処理される。前後連通路22,57における有機汚泥等は、単に第1ケース12内の有機汚泥等を搬送して搬送端側において有機汚泥等を押し出して後連通路57の開口から隣接の第2ケース52内に流体移動あるいは移行させる。
【0038】
所要時間の装置1の運転後、所望の乾燥減容が達成されたと判断されると、高位端側の開閉蓋装置9の開閉蓋を開放し、その直下に収容ケース等を配置しておき、その状態でさらに第1、第2スクリュウコンベア10,50を回転駆動させると乾燥、減容された有機汚泥等を搬送力によって回収することができる。
【0039】
次に、
図7,8に基づき本発明の第2の実施形態について説明するが、第1実施形態と同一の構成部材については同一の符合を付し、その詳細な説明は省略する。第2実施形態の有機汚泥等の処理装置2は、
図7に示すように第1及び第2ケース212及び252は、側面視X字状に配置されている。第1及び第2ケース212,252は、平面視では第1実施形態と同様に平行に配置されている。
【0040】
すなわち、この実施形態では、第1ケース212は、左端側が高位で右端側が低位に配置される一方、第2ケース252は、左端側が低位で右端側が高位に配置されている。また、第1ケース212の駆動モータ214は、ケース高位側左端に連結接続されていると共に、第2ケース252の駆動モータ254も、ケース高位側右端に連結接続されている。それぞれのケース212、252に第1スクリュウコンベア213、第2スクリュウコンベア253が配置されている。
図7,8に示すように、第1ケース212は高位の左端側から低位の右端側に向けてU字管の深さ幅を緩傾斜でしだいに大きくするように側面視ラッパ状に拡大するU字管として構成されると共に、第2ケース252は、高位の右端側から低位の左端側に向けてU字管の深さ幅を緩傾斜でしだいに大きくするように側面視ラッパ状に拡大するU字管として構成されている。
【0041】
この実施形態では第1及び第2ケース212,252は、それぞれ個別に一方向に長い閉鎖管体を製作し、
図8に示すように両ケース212,252は隣接する側壁間に間隔Dを設けるように支持枠11に固定されて配置されている。また、
図8に示すように、この実施形態では消臭排出装置216は、各ケースの長手中央位置で2つのケース全体の幅方向中央位置上面に取り付けられている。この消臭排出装置216は第1実施形態と同様の構成であり、排風部及び消臭部を含む消臭ユニットを備えている。そして、図示しないが第1、第2ケース212、252の内部空間と連通させる通気路を介してそれぞれ第1,第2ケース212,252と連通接続されている。また、
図7において、有機汚泥等の処理終了後の排出用開閉蓋装置219が第2ケース252の搬送端すなわち、高位端に設けられている。その他、有機汚泥等の供給装置30や駆動流体供給装置106の構成は第1実施形態と同様である。
【0042】
この第2実施形態で特徴的なことは、第1のケースと第2のケースは側面視X字状に配置されており、それぞれ搬送端から並設するケース側への連通路が下がり傾斜で設けられていることである。
図7,8において、装置の右端側は、第2ケース252の高位側から隣接の第1ケース212の低位側に向けて急な下り勾配で後連通路218が設けられると共に、装置の左端側は第1ケース212の高位側から隣接の第2ケース252の低位側に向けて急な下り勾配で前連通路256が設けられている。前後連通路218は、第1、第2ケースの両端部がいずれも高位から低位の急勾配でそれぞれの側壁の開口に管路220の両端を連通固定させて形成されている。
【0043】
これによって、前後連通路256,218においていずれも高位から低位側へ急傾斜で管路220が設けられているので、有機汚泥等の搬送時にいずれもケースの両端側で急角度で有機汚泥等が落下する結果、有機汚泥等の大きな攪拌効果が得られる。第2実施形態の装置の場合、各スクリュウ羽根40、51に取り付けた複数の切り返し攪拌器20によるスクリュウ羽根の回動ごとの攪拌に加え、ケース両端側の連通路218,256による急勾配落下により大きな攪拌効果が得られ、これにより加熱装置100を介してケース内に投入される有機汚泥等の全体を満遍なく乾燥させることができる。
【0044】
なお、図示を省略しているが、第2実施形態の第1,第2スクリュウコンベア213,253も加熱装置100が取り付けられて、それぞれ第1、第2ケース212、252の
内部空間を加熱により、搬送中の有機汚泥等BSを加熱乾燥させる。すなわち、第1、第2ケース212、252の外面に長手方向に沿ってヒートパイプ装置101の外管が所要間隔を空けて複数並設された状態でそれぞれケース外面に密着して固定されている。
【0045】
次に、第2実施形態の有機汚泥等の処理装置2の作用について説明すると、有機汚泥等の供給装置30、第1、第2スクリュウコンベア10,50の駆動モータ214、254並びに加熱装置100を起動させて投入ホッパ31に処理対象の有機汚泥等を投入し送り装置32の搬送コンベア32aにより横送り搬送する。搬送される有機汚泥等は、第2ケース252の投入部19において、上部投入開口21から第2ケース252の低位端側に重力落下する。このとき、第2ケース内の起動中の第2スクリュウコンベア253に向けて有機汚泥等は落下しその際、第2スクリュウ羽根40の無軸スクリュウ羽根の各ピッチ間隙に有機汚泥等は収容されつつ第2スクリュウ羽根40と共に回動されながら上位搬送方向に向けて斜め上方向に搬送される。この際、第2スクリュウ羽根40の羽根面に取り付けられた切り返し撹拌器20により各羽根ピッチ単位で有機汚泥等は切替し攪拌される。さらに、加熱装置100のヒートパイプ装置101により第2ケース252自体が加熱されており、これによって、有機汚泥中の水分が効果的に蒸発し有機汚泥等は有効に乾燥される。
【0046】
さらに、第1実施形態と同様に、第2ケース252の汚泥等投入端寄り位置には空気取入口24が接続されて外気が導入されると共に、ケース12内の一方向に長い傾斜上り搬送経路を通ってケースの高位側(この実施形態ではケースの搬送略中央部)に消臭排出装置70が設けられてケース内空気を消臭しつつ外気に強制排出させている。この時、ケース内のスクリュウコンベアを介した一方向に長い搬送駆動により外気を友連れして誘引し消臭排出装置70のブロアにより強制排気される排気ルートを形成するから、常にケース内より低湿度の新鮮空気を導入しつつケース内の有機汚泥等にこれらを混入させて常時消臭排出装置70から大気に放出させることにより有機汚泥等の乾燥処理を実効化させる。
【0047】
第2実施形態の装置2においても第2ケースから第1ケースへの有機汚泥等の移動は第2ケース側からの搬送による押し込み動作により強制的に有機汚泥等を前後連通路218,256を通って隣の第1ケース212側に移動させる。そして、前後連通路256,218においていずれも有機汚泥等は高位から低位側へ急傾斜で隣接のケース内に落下移動する結果、これらの部分において有機汚泥等の大きな攪拌が行われる。また、第2実施形態の装置の場合、各スクリュウ羽根40、51に取り付けた複数の切り返し攪拌器20によるスクリュウ羽根の回動ごとの攪拌に加え、ケース両端側の連通路218,256による急勾配落下により大きな攪拌効果が得られ、これにより加熱装置100を介してケース内に投入される有機汚泥等の全体を満遍なく乾燥させることができる。
【0048】
また、所要時間の装置1の運転後、所望の乾燥減容が達成されたと判断されると、高位端側の開閉蓋を含む末端開閉蓋装置9を開放し、その直下に収容ケース等を配置しておき、その状態でさらに第1、第2スクリュウコンベア213,253を回転駆動させると搬送力によって乾燥、減容された有機汚泥等を回収することができる。
【0049】
なお、上記の実施形態では、流体化したスラリー状の有機汚泥の処理の場合を例に説明したが、本発明の有機汚泥等の処理装置は、これにのみ限定されるものではない。例えば、実施形態の装置の第1ケース等に処理対象物を投入すると同時あるいは予めで有機物等の分解菌の担体をケース内に投入しておき、野菜くずその他の有機残渣物の処理装置として利用することが可能である。
【0050】
上記のように、本発明の有機汚泥等の処理装置は、内部を本体枠により閉鎖した一方向に長い第1のケースと、第1のケース内に配置されケースの一端から他端側に向かう往路において有機汚泥等を搬送する第1スクリュウ羽根と、を含む第1スクリュウコンベアと、第1のケースに並設され内部を本体枠により閉鎖した一方向に長い第2のケースと、第2のケース内に配置され第1のケースの他端側から一端側に向かう復路において有機汚泥等を搬送する第2スクリュウ羽根と、を含む第2スクリュウコンベアと、第1と第2のケースの両端側に設けられそれぞれの両端部側どうしで内部が相互に連通する前後連通路と、第1及び又は第2スクリュウコンベアによる有機汚泥等の搬送中に第1及び又は第2のケース内の有機汚泥等を加熱する加熱装置と、を含み、第1、第2スクリュウコンベアと前後連通路を介して有機汚泥等の搬送処理を無限に行う無限搬送路を含むことにより、一方向に長い搬送路を複数含み有機汚泥等を加熱下で回転移動させつつ必要に応じた長時間連続運転により有機汚泥等を確実かつ十分に乾燥させ、同時に減容させることができる。乾燥された有機汚泥等の処理物は植物の肥料や動物飼料原料として有効利用が望める。
【0051】
また、第1及び第2のスクリュウコンベアは無軸のスクリュウ羽根を有する無軸スクリュウコンベアであることにより、単位長あたりの有機汚泥等の搬送量を多く確保しそれらの回転移動による攪拌、切り返し効果により多湿状態の有機汚泥等を有効に乾燥させることができる。また、コンベアの装置の故障が少なくメンテナンス作業、並びコスト低減に資する。
【0052】
また、1つのケース内を縦方向に2分割するように中央に仕切板を設けてそれぞれ閉鎖空間を形成する第1と第2のケースを形成し、仕切り板の両端側に第1と第2のケース内を連通する開口を設け、該両開口を前後連通路とすることにより、第1と第2のケースとそれぞれの両端側で内部を連通させることにより簡単な構成で有機汚泥等を無限ループ状に移動させる無限搬送路を形成することができる。
【0053】
また、第1のケースと第2のケースは側面視X字状に配置されており、それぞれ搬送端から並設するケース側への連通路が下がり傾斜で設けられていることにより、コンベア回転による有機汚泥等の攪拌、切り返しと、一つのケースから他のケースへの移行時に前後連通路における急峻な落下動作により有機汚泥等の攪拌、切り返し効果を効果的に行え、有機汚泥等の加熱乾燥と減容の実効を図れる。
【0054】
また、第1、第2スクリュウコンベアのスクリュウ羽根にはその回動時に有機汚泥等を切り返しつつ攪拌する切り返し攪拌器が設けられていることにより、スクリュウ羽根の回転ごとに切り返し攪拌器を取り付けた羽根部分で個別の攪拌、切り返しを行えるのでスクリュウ羽根全体の回転、スクリュウ羽根面等に設けたアングル材等による局部攪拌、さらに前後連通路による落下攪拌等を通じてケース内部において加熱下で十分な有機汚泥等の攪拌切り返し作用を実現し、有機汚泥等の乾燥、減容を確実に行うことが可能である。
【0055】
また、ケースに設けられケース外の空気をケース内に導入する空気の取入口と、第1及び第2のケース内の空気を消臭しつつ外部に排出する消臭排出装置と、を含み、空気の取入口と消臭排出装置とを介して第1及び第2のスクリュウコンベアによる有機汚泥等の搬送と合わせてケース内の空気を強制的にケース外に排気する排気経路を形成することにより、一方向に長い搬送路で有機汚泥等をスクリュウ羽根の単位スペースに収容しつつ攪拌切り返し、かつ加熱、搬送移動させ、この間に新鮮な低湿度空気を有機汚泥等の中に混合して含有させこれらを強制的に大気放出するサイクルを実現させて有機汚泥等の乾燥、減容の実効を図ることができる。
【0056】
以上説明した本発明の有機汚泥等の処理装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の本質を逸脱しない範囲において、他の実施形態を用いるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の有機汚泥等の処理装置は、スラリー状の汚泥を多く含む有機汚泥等の乾燥処理や、野菜くず等の残渣処理、その他有機物の減容装置等に用いて有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1、2 有機汚泥等の処理装置
(第1実施形態)
10 第1スクリュウコンベア
12 第1ケース
15 駆動モータ
16 仕切り側壁
18 攪拌部
19 投入部
20 切り返し攪拌器
22 前連通路
22a 低位開口
23 破砕装置
24 空気取入口
29 送り駆動用モータ
30 有機汚泥等の供給装置
31 投入ホッパ
32 送り装置
33 架台
40 第1スクリュウ羽根
50 第2スクリュウコンベア
51 第2スクリュウ羽根
52 第2ケース
55 駆動モータ
57 後連通路
57a 高位開口
70 消臭排出装置
71 消臭部
72 排風部(ブロワー)
72b 排気口
73 消臭ユニット
74 通気路
100 加熱装置
101 ヒートパイプ装置
102 外管
103 内管
104 作動液
105 断熱材
106 駆動流体供給装置
150 無限搬送路
(第2実施形態)
212 第1ケース
213 第1スクリュウコンベア
214 駆動モータ
216 消臭排出装置
218 後連通路
252 第2ケース
253 第2スクリュウコンベア
254 駆動モータ
256 前連通路
D ケース側壁間間隔
P 閉鎖空間
Z 排気経路