(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104062
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】物流倉庫設備
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20230721BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20230721BHJP
B65G 1/10 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G1/00 501C
B65G1/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004826
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】506254879
【氏名又は名称】株式会社PAL
(71)【出願人】
【識別番号】522000566
【氏名又は名称】横矢 重治
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】亀尾 亮介
(72)【発明者】
【氏名】横矢 重治
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022FF21
3F022JJ11
3F522AA02
3F522BB01
3F522BB19
3F522BB25
3F522BB35
3F522CC01
3F522CC02
3F522CC03
3F522CC04
3F522FF05
3F522FF12
3F522GG13
3F522GG18
3F522GG22
3F522GG23
3F522GG34
3F522GG44
3F522GG46
3F522GG47
3F522HH02
3F522HH16
3F522HH18
3F522HH19
3F522HH36
3F522JJ02
3F522KK02
3F522KK07
3F522LL12
3F522LL15
3F522LL51
3F522LL57
(57)【要約】
【課題】従来の物流倉庫設備において、全体処理効率の劇的な向上、倉庫内空間の有効利用、作業現場への安全な往来、を図ること課題とする。
【解決手段】本発明の物流倉庫設備1は、ストックエリアL1、ピックアップエリアL2、パッキングエリアL3、シッピングエリアL4でレイアウトされ、ストックエリアL1及びピックアップエリアL2に、移動棚3を搭載して制御されて走行する自走搬送装置2の共用化した走行領域Rを設けると共に走行領域Rに接する外周位置に作業員による作業領域Wを設ける備えることとした。
を備えた物流倉庫設備。
【効果】倉庫内における例えば搬送設備といった固定設備を省略化でき、省スペース化に寄与すると共に、小規模倉庫で省人化された自動倉庫として容易に運用可能となり、将来的な変更に対して低コストで柔軟かつ容易に対応させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入された商品をばら商品として保管しておくストックエリアと、前記ストックエリアから搬送された商品を取り出すピックアップエリアと、前記ピックアップエリアで取り出した商品を梱包するパッキングエリアと、梱包した商品を出荷するシッピングエリアでレイアウトされた物流倉庫において、
制御されて走行し、基台と、この基台下部に設けた搬送機構と、該基台上に設けられた昇降機構とを備えた自走搬送装置と、
前記ストックエリア、前記ピックアップエリア、において必要な商品を搭載した状態で前記自走搬送装置により移動可能な複数の移動棚と、を備え、
前記ストックエリア及び前記ピックアップエリアに、前記自走搬送装置の共用化した走行領域を設けると共に前記走行領域に接する外周位置に作業員による作業領域を設けた物流倉庫設備。
【請求項2】
前記シッピングエリアに、前記走行領域及び作業領域を設けた請求項1記載の物流倉庫設備。
【請求項3】
前記移動棚から取り出す商品を作業員に教示するピッキング教示手段を前記作業領域に配備した請求項1又は2記載の物流倉庫設備。
【請求項4】
取り出した商品を集約して格納する前記移動棚を作業員に教示するアソート教示手段を前記作業領域に配備した請求項1~3のいずれかに記載の物流倉庫設備。
【請求項5】
前記移動棚の上方から見た外形形状が正方形である請求項1~4のいずれかに記載の物流倉庫設備。
【請求項6】
前記移動棚は、ピックアップ前の商品を収納した保管移動棚と、ピックアップ後の商品を集約して収納した集約移動棚と、が用いられる請求項1~5のいずれかに記載の物流倉庫設備。
【請求項7】
大量かつ高頻度で出荷される商品群を搭載したパレットを保管したパレット保管エリアと、このパレット保管エリアにおいて作業員により必要な商品群をピッキングして前記移動棚に移載する商品群ピックアップエリアを配備し、前記商品群ピックアップエリアには、前記走行領域と前記作業領域とが設けられ、該商品群ピックアップエリアの外周位置に前記パレット保管エリアが設けられた請求項1~6のいずれかに記載の物流倉庫設備。
【請求項8】
前記パレット保管エリアに、少なくとも上下2段に分割されたパレット格納棚を配備し、該パレット格納棚のパレットを移動させるパレット移動手段を配備した請求項7に記載の物流倉庫設備。
【請求項9】
前記ピックアップエリアにおける作業領域は、走行領域により鈎形状に形成され、この鈎形状の内角部位に位置する請求項1~8のいずれかに記載の物流倉庫設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流倉庫内での作業員の安全確保と、作業効率を向上させることができる物流倉庫設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般の物流倉庫のレイアウトは、概ね、倉庫内に商品を受け入れるデリバリーエリアと、デリバリーエリアから納入した商品を保管しておくストックエリアと、ストックエリアから移載された商品を個別に取り出すピックアップエリアと、ピックアップエリアで取り出された商品を梱包などするパッキングエリアと、パッキングエリアの出荷するシッピングエリアで構成されている。このような倉庫では、棚と棚の間を作業員がカートを押しながら商品をピッキングしていた。
【0003】
昨今の物流産業全体の傾向として、無人化・省力化が進み、上記レイアウトにおける各エリアでもそのような設備が導入されている。例えばストックエリアにおいては、上下方向及び左右方向に多数の棚が形成された多段棚が複数のスタッカクレーン用の移動通路を開けて固定配置されている。スタッカクレーンは多段棚への商品の格納と、多段棚から商品を取り出すことを自動で行う装置である(以下、従来の物流倉庫を自動倉庫という)。このような自動倉庫においては、物流倉庫全体の各設備を管理制御する制御部において、各棚の位置管理がなされている。そして、この多段棚の各棚には、納入された商品を収納した商品が収納されている。制御部は、商品と棚を関連付けて記憶して位置管理を行う。
【0004】
上記のような設備が導入された自動倉庫は、例えば特許文献1(特開2009-12668号公報)、特許文献2(特開2017-39596号公報)、特許文献3(特開2018-8775号公報)に示されている。また、作業員の省力化の観点では、上記のスタッカクレーンに代えて、ストックエリアとピックアップエリアとの間で、多段棚が配置された通路を無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)を走行させた自動倉庫も提案されている。AGVは、制御部により必要な商品の商品が収納されている多段棚まで走行し、該多段棚から商品を取り出してピックアップエリアへ商品を移載するものである。
【0005】
さらに、ストックエリアとピックアップエリアの往復の処理効率を図るため、商品を多段棚から取り出す無人搬送車(CTU:Container Transfer Unit )を用いることも提案されている。CTUは、例えば、特許文献4(実用新案登録第3226837号公報)に示されるような構成とされ、同じ又は他の多段棚における高い位置から低い位置にいたる棚から商品をストックエリアにおいて取り出して、取り出した複数の商品をピックアップエリアに運ぶ。
【0006】
ここで、特許文献4に記載のCTUは、概略として、基台と、基台下部に設けたAGVと、基台上に設けられた昇降機構を備えた支柱と、この支柱の一方面側に、多段棚から取り出した商品、または多段棚へ戻す商品、を載置可能に設けた上下方向に多段の格納棚と、支柱の他方面側に、多段の格納棚に向けて昇降可能でかつ商品を多段棚から格納棚へ取り出したり、商品を格納棚から多段棚に戻したりするハンドリング機構と、を備えた構成である。
【0007】
制御部は、プログラムに基づいて、CTUをストックエリアの目的とする多段棚へ向けて走行させ、多段棚から目的とする商品を取り出して、ある段における格納棚に載置し、ピックアップエリアに向けて走行させ、目的とする商品を全て多段棚からCTUの格納棚に取り出した後、ピックアップエリアに走行させる。
【0008】
ピックアップエリアでは、当該エリアに走行してきたCTUの格納棚から作業員が商品を引き出し、引き出した商品から目的とする商品を取り出し、これをシッピングエリアに向かう出荷商品に移載する。制御部は、CTUが運んできた全ての商品から商品を取り出した後、CTUを多段棚へ向けて走行させ、取り出した商品を元の多段棚へ戻すよう制御する。
【0009】
さらに、ここ数年の間では、AGVを使って多数の商品を保管した多段棚を持ち上げ、ピックアップエリアに移動させてピッキングを作業員の前で行うことも行われている。これは従来型の人が移動してピッキングする方式とは異なり、ピッキングすべき商品が作業員の前まで移動して、作業員の移動による負担を軽減させるGTP(Goods to Persons)というコンセプトに基づいている。
【0010】
また、AGVを利用した自動倉庫においても、依然として、ピックアップエリアにて取り出した商品をコンテナに挿入してパッキングエリアにコンベアにて送る、あるいは、パッキングエリアにて梱包した商品をカートに積み込んでシッピングエリアまで人力で搬送するといった作業が行われている。また、シッピングエリアでは、商品の梱包物を出荷方面別に仕分けるソータがあり、ソータ下流端で方面別のかご車に積み込んで方面別に輸送するトラックに搬入するといった作業が行われている。
【0011】
以上のとおり、今までの自動倉庫では、AGVが広く活用されるものの、時間短縮が図られるのはストックエリアからピックアップエリアに至る限られた工程だけであり、全体処理効率の劇的な向上に寄与しなかった。
【0012】
また、従来の自動倉庫は、ピックアップエリア以降の下流工程では、依然としてコンベアやソータ、あるいは人力が用いられており、これら設備のために倉庫内空間を広く使うことができないといった問題がある。
【0013】
さらに、従来の自動倉庫において、作業員は、例えば前方にはAGVが走行し、例えば後方にはコンベアが存在するといった設備に囲まれた狭い空間で作業を強いられており、休憩や交代などで作業場所から移動するにも危険であった。
【0014】
さらに、従来の自動倉庫では、スタッカクレーンやコンベヤといった固定設備が多く、時代の変化に素早く対応できず、かつレイアウト等の自由度が低く、さらには初期投資が大きく、小規模の倉庫では適用が難しいといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2009-12668号公報
【特許文献2】特開2017-39596号公報
【特許文献3】特開2018-8775号公報
【特許文献4】実用新案登録第3226837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
解決しようとする問題は、従来の物流倉庫設備は、依然として全体処理効率の劇的な向上に寄与せず、また、設備のために倉庫内空間を広く使うことができず、さらに、固定設備によってレイアウト等のフレキシブル性を欠くと共に初期投資も大きく、作業員が設備に囲まれた狭い空間で作業を強いられており、休憩や交代などで作業場所から移動するにも危険が伴っていた点である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明の物流倉庫設備は、搬入された商品をばら商品として保管しておくストックエリアと、前記ストックエリアから搬送された商品を取り出すピックアップエリアと、前記ピックアップエリアで取り出した商品を梱包するパッキングエリアと、梱包した商品を出荷するシッピングエリアでレイアウトされた物流倉庫において、制御されて走行し、基台と、この基台下部に設けた搬送機構と、該基台上に設けられた昇降機構とを備えた自走搬送装置と、前記ストックエリア、前記ピックアップエリア、において必要な商品を搭載した状態で前記自走搬送装置により移動可能な複数の移動棚と、を備え、前記ストックエリア及び前記ピックアップエリアに、前記自走搬送装置の共用化した走行領域を設けると共に前記走行領域に接する外周位置に作業員による作業領域を設けることとした。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、自走搬送装置の走行領域を各エリアで共用化しているので、倉庫内における例えば搬送設備といった固定設備を省略化でき、また、自走搬送装置の走行領域に接する外周位置に作業員が作業を行う作業領域を設けることで、固定設備の省略化と相俟って走行領域と相対する方向に作業員が安全に往来することのできる空間を設けることができ、倉庫内空間を有効に使用することができるという利点がある。
【0019】
さらに、本発明は、自走搬送装置の走行領域を各エリアで共用化すると共に、この自走搬送装置により移動棚を移動させる構成としているので、省スペース化に寄与すると共に、小規模倉庫であってもいわゆる省人化された自動倉庫として運用可能となり、また、上記のとおり固定設備の省略と倉庫内空間を有効に使用できることから、将来的な変更に対して低コストで柔軟かつ容易に対応させることができる、という利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の物流倉庫設備のレイアウトを示す図である。
【
図2】(a)、(b)は、本発明の物流倉庫設備における自走搬送装置と保管移動棚を示す図である。
【
図3】本発明の物流倉庫設備におけるピックアップエリアを示す図である。
【
図4】本発明の物流倉庫設備におけるピックアップエリアの詳細を示す図である。
【
図5】本発明の物流倉庫設備におけるパッキングエリアを示す図である。
【
図6】本発明の物流倉庫設備におけるシッピングエリアを示す図である。
【
図7】本発明の物流倉庫設備におけるパレット保管エリアを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、全体処理効率の劇的な向上、倉庫内空間の有効利用、作業現場への安全な往来、を目的とし、この目的を、搬入された商品をばら商品として保管しておくストックエリアと、前記ストックエリアから搬送された商品を取り出すピックアップエリアと、前記ピックアップエリアで取り出した商品を梱包するパッキングエリアと、梱包した商品を出荷するシッピングエリアでレイアウトされた物流倉庫において、制御されて走行し、基台と、この基台下部に設けた搬送機構と、該基台上に設けられた昇降機構とを備えた自走搬送装置と、前記ストックエリア、前記ピックアップエリア、において必要な商品を搭載した状態で前記自走搬送装置により移動可能な複数の移動棚と、を備え、前記ストックエリア及び前記ピックアップエリアに、前記自走搬送装置の共用化した走行領域を設けると共に前記走行領域に接する外周位置に作業員による作業領域を設けることで達成した。
【0022】
すなわち、本発明は、いままで、ストックエリアからピックアップエリア、ピックアップエリアから例えばパッキングエリアやシッピングエリア、といったように各エリア間に跨って倉庫内で固定的に設置していた搬送系の設備を省略化して、自走搬送装置によって移動棚を、各エリアで共用化された走行領域において搬送することとし、かつ自走搬送装置の走行領域と作業員の作業領域とを隔絶することにより、作業員の安全確保と自走搬送装置の高速化による処理能力向上が可能となる。
【0023】
例えば、本発明は、物流倉庫内の床面積の中央部に自走搬送装置の走行領域を取り、この走行領域の外周辺縁部位に作業領域を設ける。走行領域の外周位置は作業領域だけでなく、ストックエリアに商品を搬入するための搬入領域や、シッピングエリアにおける例えばトラックなどとの接続領域が設けられる。
【0024】
そして、自走搬送装置の走行領域は、該自走搬送装置によって移動させることができる例えば移動棚が管理可能に配置されていればよい。移動棚としては例えばストックエリアで商品を収納したもの、ピックアップエリアで出荷用に取り出した商品を収納したもの、シッピングエリアでそのままトラックに積載されるもの、を用意しておく。これら移動棚は管理されているから、制御された自走搬送装置によって各エリアに移動する。作業領域では、自走搬送装置で運ばれて来た移動棚に収納された商品の処理を行う。
【0025】
このようにすることで、各搬送系に係る設備を削減することができると共に似通った動作を行わせる設備を各搬送系に容易する必要がないから倉庫内の床面積を極めて有効かつ広く使うことができるようになり、さらに、作業領域は走行領域に面した部分以外は設備が存在しないので、安全な動線を確保することができる。
【0026】
また、本発明は、上記構成において、前記移動棚から取り出す商品を作業員に教示するピッキング教示手段を前記作業領域に配備してもよい。こうすることで、作業員によるピックアップ作業が迅速となり、結果として自走搬送装置による移動棚の全体の速度アップも可能となる。
【0027】
さらに、本発明は、上記した構成において、取り出した商品を集約して格納する前記移動棚を作業員に教示するアソート教示手段を前記作業領域に配備してもよい。こうすることで、作業員による集約・格納作業が迅速となり、結果として自走搬送装置による移動棚の全体の速度アップも可能となる。
【0028】
また、本発明は、上記構成において、前記移動棚の上方から見た外形形状が正方形であればよい。このようにすることで、自走搬送装置によって運搬される移動棚は、自走搬送装置の基台における中心を軸として方向転換のために回転した際に回転直径が大きくならず、移動棚を載置した自走搬送装置同士のすれ違いや、近接した位置での方向転換が可能となり、走行領域を無駄なく使用することができる。
【0029】
さらに、本発明は、上記構成において、ピックアップ前の商品を収納した保管移動棚と、ピックアップ後の商品を集約して収納した集約移動棚と、が用いるようにしてもよい。
【0030】
このようにすれば、ピックアップエリアにおいて作業員が商品を取り出すべき移動棚か、取り出した商品を集約して格納した移動棚かの判別が容易となり、また、移動棚を搭載した自走搬送装置の走行領域内における往来が分けられるから、該自走搬送装置の走行の煩雑化が緩和できる。
【0031】
また、本発明は、上記構成において、大量かつ高頻度で出荷される商品群を搭載したパレットを保管したパレット保管エリアと、このパレット保管エリアにおいて作業員により必要な商品群をピッキングして前記移動棚に移載する商品群ピックアップエリアを配備し、前記商品群ピックアップエリアには、前記走行領域と前記作業領域とが設けられ、該商品群ピックアップエリアの外周位置に前記パレット保管エリアが設けられてもよい。
【0032】
このようにすれば、大量かつ高頻度で出荷される商品群については商品ピックアップエリアからピックアップエリアへと直接移動する走行ルートを走行領域内に設けることができるので、さらに作業の効率化を図ることができる。
【0033】
さらに、本発明は、上記において、前記パレット保管エリアに、少なくとも上下2段に分割されたパレット格納棚を配備し、該パレット格納棚のパレットを移動させるパレット移動手段を配備した構成であってもよい。
【0034】
このようにすれば、パレット保管エリアにおいて大量かつ高頻度で出荷される商品群が搭載されたパレットを、作業領域近傍(あるいは例えば作業領域に隣接して設けたパレット格納棚)に順次移動させておくことができるので、商品群ピックアップエリアの作業領域で、作業員が商品群を迅速に移動棚に移載することができ、作業効率が向上する。
【0035】
また、本発明は、上記構成において、前記ピックアップエリアにおける作業領域は、走行領域により鈎形状に形成され、この鈎形状の内角部位に位置する構成としてもよい。このようにすれば、鈎形状の一方辺には取り出すべき商品が格納された移動棚を、他方辺には取り出した商品を集約して格納すべき移動棚を、それぞれ待機させることができるので、ピックアップ作業、つまり商品の移載作業を効率良く行うことができる。
【実施例0036】
以下、
図1~
図7を参照して本発明の一実施例について説明する。1は、本発明の物量倉庫設備(以下、設備1という)であり、次のレイアウトとされた物流倉庫L(以下、倉庫Lという)において採用される。
【0037】
倉庫Lは、該倉庫L内に商品Cを受け入れるデリバリーエリア(本実施例では図示無)と、デリバリーエリアから納入した商品Cを保管しておくストックエリアL1と、ストックエリアL1から移載された商品Cを個別に取り出すピックアップエリアL2と、ピックアップエリアL2で取り出された商品Cを梱包するパッキングエリアL3と、梱包後の商品Cを配送される各方面の例えばトラックTに搬送するシッピングエリアL4、大量かつ高頻度で出荷される商品群CAを保管したパレット保管エリアL5及び該パレット保管エリアL5から商品群CAをピックアップエリアL2へ向かう後述移動棚3に移載する商品群ピックアップエリアL5aで構成されている。
【0038】
本発明の物流倉庫設備1は、後述自走搬送装置2の走行領域Rを倉庫Lの床面中央部に配し、この走行領域Rに接する外周位置に、本例ではピックアップエリアL2、パッキングエリアL3、シッピングエリアL4、商品群ピックアップエリアL5a、の作業員による作業領域Wを設けている。
【0039】
走行領域Rには、制御されて走行する自走搬送装置2が複数台配備される。自走搬送装置2は、後述の移動棚3を載せる基台2aと、該基台2a下部に設けた搬送機構2bと、該基台2a上に設けられ、走行領域Rに載置された移動棚3を該走行領域Rの床面から浮かせる昇降機構2cとを備えている。また、自走搬送装置2は、全台各々に固有の識別情報が付されている。
【0040】
また、物流倉庫設備1は、ストックエリアL1、ピックアップエリアL2、パッキングエリアL3、シッピングエリアL4において自走搬送装置2により移動可能な複数の移動棚3が、配備されている。さらに、物流倉庫設備1は、全体を制御する制御部1xを有している。なお、この制御部1xは、実際は図示しない制御室に存在するが、図示においては、無線コントローラーをシンボルとして示すこととする。
【0041】
この移動棚3は、本例では、デリバリーエリアから搬入されて未だピックアップ前のばらの商品C1を収納した保管移動棚3Aと、ピックアップしたばらの商品C1を集約したケースC2、及び本例では、商品群ピックアップエリアL5aにおいて商品群CAを格納する集約移動棚3Bと、ケースC2から取り出して梱包した梱包物C3をシッピングエリアL4へ送る出荷移動棚3Cと、に分けられている。
【0042】
なお、保管移動棚3Aと集約移動棚3B、出荷移動棚3Cとを総称する場合は移動棚3と各々記すこととする。なお、ばらの商品自体を意味する場合は商品Cと記すこととする。すなわち、本例では、商品Cは、扱いと状態に応じて、保管移動棚3Aにあるときは商品C1、集約移動棚3BにあるときはケースC2、出荷移動棚3Cにあるときは梱包物C3と、示している。なお、商品群CAは、1個単位(ばら)ではなく、例えば単一商品につき、1ケース、1ダースのようにまとめて移動する商品Cを意味する。
【0043】
移動棚3は、例えば本例では、
図1のように上方から見た場合、全体の外形形状が正方形とされ、四隅の支柱3aの高さ方向の所定位置に複数の棚板3bを設けた構成とされている。なお前記支柱3aは、下部において自立可能な脚部を兼ねる。保管移動棚3Aの棚板3bにはばらの商品C1が、集約移動棚3Bの棚板3bには商品C1を集約したケースC2又は商品群CAが各々載置される。なお、出荷移動棚3Cの棚板3bには梱包物C3が載置される。
【0044】
移動棚3と商品Cには、全てにそれぞれ固有の識別情報が付されており、また、商品Cにも固有の識別情報が付されている。制御部1xは、どの商品Cが、どの移動棚3に収納されているかを把握し、管理している。
【0045】
保管移動棚3Aは、ストックエリアL1及びピックアップエリアL2に跨る走行領域Rを自走搬送装置2により移動する。集約移動棚3Bは、ピックアップエリアL2及びパッキングエリアL3、商品群ピックアップエリアL5a及びピックアップエリアL2又はパッキングエリアL3に跨る走行領域Rを自走搬送装置2により移動する。出荷移動棚3Cは、パッキングエリアL3及びシッピングエリアL4に跨る走行領域Rを自走搬送装置2により移動する。
【0046】
ただし、走行領域Rにおける保管移動棚3Aと集約移動棚3Bの配置位置や移動ルート(自走搬送装置2の走行ルート)に明確な線引きはなく、自走搬送装置2の制御において後の処理において効率のよい場所に移動してその位置に配置されることもある。
【0047】
移動棚3と自走搬送装置2との関係は、次のとおりである。自走搬送装置2が移動棚3の下部で4脚の支柱3aの中央に位置すると、昇降機構2cが基台2cを上昇させて移動棚3における最下段の棚板3bの下面と基台2cとが当接し、移動棚3b全体が少なくとも床面から支柱3aを浮かす。この状態となると、移動棚3は自走搬送装置2により移動可能な状態となる。
【0048】
走行領域Rは、移動棚3を上方から見た全体外形形状(正方形)にグリッド化されており、各グリッドBの中央に例えば2次元コードSが内装されている。2次元コードSは位置(番地)と紐づけされており、制御部1xは、この位置情報を有した2次元コードSにより、目的とする自走搬送装置2や移動棚3がどのグリッド上に、今、位置しているのかを把握管理している。なお、上記2次元コードSはこれに限定されず、センサであっても構わない。
【0049】
よって、制御部1xは、上記の移動棚3の情報と、自走搬送装置2の情報とに基づいて、あるグリッドB上に位置する自走搬送装置2を、目的とするグリッドB上に位置する移動棚3へ向かわせる制御を行うことができる。また、制御部1xは、移動棚3を搭載した自走搬送装置2をある位置から目的とする例えばピックアップエリアL2の作業領域Wの位置へ移動させたり、ピックアップエリアL2から例えばパッキングエリアL3の作業領域Wへ移動させたりする制御を行うことができる。
【0050】
つまり、本発明の物流倉庫設備1は、走行領域Rには、複数の移動棚3(保管移動棚3A、集約移動棚3B、出荷移動棚3C)と、複数の自走搬送装置2だけが、存在していることになる。作業員の作業する作業領域Wは、走行領域Rに(作業員が)侵入することがなく、また、該走行領域Rに対して明確に区画した位置、つまりグリッドB(及び2次元コードS)の無い位置に設けられている。
【0051】
ピックアップエリアL2、パッキングエリアL3、シッピングエリアL4は、例えば
図4にピックアップエリアL2の場合で示すように、走行領域Rにより鈎形状に形成され、この鈎形状の内角部位に位置する構成とされている。以下、各エリアL2~L5の構成について説明する。
【0052】
(ピックアップエリア)
図3及び
図4に示すピックアップエリアL2における走行領域Rは鈎形状の例えばストックエリアL1と平行した辺位置に保管移動棚3Aが該ストックエリアL1から到着し、例えばストックエリアL1と直交した辺位置に集約移動棚3Bが待機する構成とされている。
【0053】
さらに、
図4に示すように、ピックアップエリアL2には、本例においては、例えば前記鈎形状とされた走行領域Rの交点位置から作業領域Wの対角位置に、保管移動棚3Aから取り出す商品C1を作業員に教示するピッキング教示手段4と、保管移動棚3Aから取り出した商品C1を集約して集約移動棚3Bにおける格納すべきケースC2の位置を作業員に教示するアソート教示手段5とが、一体的に設けられている。
【0054】
ピッキング教示手段4は、制御部1xの制御により、例えばレーザービームを照射して、保管移動棚3Aにおける作業員が取り出す商品C1を教示する。アソート教示手段5は、この商品C1を集約して格納すべき集約移動棚3BにおけるケースC2の位置を教示する。
【0055】
(パッキングエリア)
図5に示すパッキングエリアL3は、本例において例えばピックアップエリアL2と同様に鈎形状とされた走行領域Rの内角部位に位置する構成としている。この内角位置には梱包用テーブルDが配置されている。また、パッキングエリアL3では該鈎形状の例えばストックエリアL1と平行した辺位置にピックアップエリアL2、あるいは商品群ピックアップエリアL5aから集約移動棚3Bが到着し、例えばストックエリアL1と直交した辺位置にシッピングエリアL4へ向かう出荷移動棚3Cが待機する構成とされている。
【0056】
また、パッキングエリアL3には、本例においては例えば上記したピッキング教示手段4が設けられており、集約移動棚3Bにおける梱包すべき商品C1が格納されたケースC2又は商品群CAをレーザービームの照射により教示するように構成されている。また、パッキングエリアL3には、本例においては例えばアソート教示手段5が設けられており、商品C1又は商品群CAの梱包物C3を格納すべき出荷移動棚3Cを教示するように構成されている。
【0057】
そして、パッキングエリアL3では、作業員が、ピックアップエリアL2から自走搬送装置2により搬送された集約移動棚3Bに格納されたケースC2から商品C1を取り出して梱包し、又は商品群ピックアップエリアL5aから集約移動棚3Bに搭載された商品群CAを梱包し、出荷先の各方面に分けた出荷移動棚3Cへ梱包物C3を格納する。
【0058】
(シッピングエリア)
図6に示すシッピングエリアL4は、例えばピックアップエリアL2と同様に鈎形状とされた走行領域Rの内角部位に位置する構成としている。シッピングエリアL4では該鈎形状の例えばストックエリアL1と平行した辺位置にパッキングエリアL3から到着した出荷移動棚3Cが到着し、順次ストックエリアL1と直交した辺位置に自走搬送装置2により移動する。
【0059】
ストックエリアL1と直交した辺位置に自走搬送装置2により移動し、出荷用のトラックTに最も近い最先端位置で、自走搬送装置2が出荷移動棚3Cを昇降機構2cの下降動作によって床面に載置する。そして、作業員が自走搬送装置2の代わりに台車を介在させてトラックTに搬入する。
【0060】
なお、シッピングエリアL4においては、走行エリアRをトラックTの荷台位置まで拡大して、自走搬送装置2によって出荷移動棚3Cを直接搬入するようにしてもよい。
【0061】
(パレット保管エリア)
図7に示すパレット保管エリアL5は、ストックエリアL1と平行した辺位置の自走搬送装置2の走行領域Rに接する外周に位置する商品群ピックアップエリアL5aを介したさらに外周に配備する。つまり、このパレット保管エリアL5だけは、作業領域Wを挟んだ対向方向に走行領域Rとパレット保管エリアL5が設けられた構成となる。
【0062】
本例では、例えば、大量かつ高頻度で出荷される商品群Cについては、そのような商品だけをまとめた商品群CAとしてパレットPに搭載してパレット保管エリアL5に保管している。この商品群CAとは、具体的には1個単位ではなく、例えば1商品、1ダースといったばら商品Cではないという意味である。そして、商品群ピックアップエリアL5aにおいて作業員が、パレット保管エリアL5におけるパレットPから商品群CAを取り出して、走行領域Rで待機する集約移動棚3Bに搭載する作業を行う。
【0063】
なお、パレット保管エリアL5aの作業領域Wにおける商品群CAのピックアップ作業は、本例では、作業員による例を示したが、例えばアーム型のピッキングロボットを配備して行うようにしてもよい。パレット保管エリアL5aの作業領域Wは、他の、ピックアップエリアL2、パッキングエリアL3、シッピングエリアL4と構成が異なり、作業領域WにおいてストックエリアL1と反対の方向が開放されておらず、同方向にパレット格納棚6が存在する。したがって、同作業領域Wにピッキングロボットを配備すれば、省力化と作業員の作業環境の改善が可能となる。
【0064】
すなわち、本例では、商品群ピックアップエリアL5aとは、区画としてストックエリアL1の走行領域Rの集約移動棚3Bの発着部位と、作業領域Wを意味する。そして、パレット保管エリアL5は、区画としては作業領域WのストックエリアL1と反対方向に、大量かつ高頻度で出荷される商品群CAについて保管されるエリアを意味する。
【0065】
パレット保管エリアL5は、本例では、例えば上下2段に分割されたパレット格納棚6を、作業領域WのストックエリアL1と反対方向に一列(こちらを前列という)と、さらに作業領域Wから離反する外周側にもう一列(こちらを後列という)、設けた構成を示している。
【0066】
これら、前列、後列のパレット格納棚6,6の間には、後列のパレット格納棚6から前列のパレット格納棚6にパレットPを移動し、かつ該パレット格納棚6の上段にあるパレットPを下段に移動し、商品群CAが空になったパレットPを所定の位置へ移動させるパレット移動手段7が設けられている。
【0067】
このパレット移動手段7は、本例では、例えばフォークリフトとした例を示すが、例えばいわゆるスタッカクレーンと称する縦横軸に沿って自在にフォークを移動させる設備を設けてもよい。
【0068】
(全体動作の説明)
以上の構成とされた本発明の物流倉庫設備1は、次のように稼働される。ストックエリアL1には、ばらの商品C1を収納した保管移動棚3Aが走行領域Rに一見すると無秩序ながら制御部1xにおいてその位置が把握され管理された状態で載置されている。
【0069】
また、パレット保管エリアL5においては、大量かつ高頻度で出荷される商品群CAを搭載したパレットPがパレット移動手段7により後列から前列のパレット格納棚6の下段に配置されている。
【0070】
この初期状態から作業を開始すると、まず、制御部1xが、オーダーに応じて必要な商品Cを搭載した、ストックエリアL1にある保管移動棚3Aに向けて、該保管移動棚3Aに最も近い自走搬送装置2を向かわせる。
【0071】
制御部1xは、当該保管移動棚3Aの存在する位置に到着、つまり当該保管移動棚3Aの再下段の棚板3bの下面に移動すると、ここで昇降機構2cを動作させて基台2aを上昇させて保管移動棚3Aの支柱3aを走行領域Rの床面から浮上させる。これにより保管移動棚3Aは自走搬送装置2により移動可能となる。この後、制御部1xは搬送機構2bを制御して、最寄りのピックアップエリアL2に当該保管移動棚3Aを移動させる。
【0072】
さらに、制御部1xは、空きのある集約移動棚3Bを上記同様に最寄りの自走搬送装置2によって商品群ピックアップエリアL5aに移動させる。例えば、今、この説明では、大量かつ高頻度の商品も出荷するオーダーがあったとして、商品群ピックアップエリアL5aにおいて前列のパレット格納棚6の下段から商品群CAを取り出して、空きのある集約移動棚3Bに格納する。
【0073】
さらに、このとき、他の自走搬送装置2は、例えばパッキングエリアL3で不要となったような最寄りの空いた集約移動棚3Bに向けて移動している。空いた集約移動棚3Bは制御部1xが管理している。空いた集約移動棚3Bは自走搬送装置2によりパッキングエリアL3からピックアップエリアL2又は商品群ピックアップエリアL5aに移動する。
【0074】
ピックアップエリアL2に当該保管移動棚3Aと集約移動棚3Bが移動すると、ピックアップエリアL2の作業領域Wにおいて、ピッキング教示手段4により保管移動棚3Aにおいて今取り出すべき商品C1を作業者に教示し、ほぼ同時に、アソート教示手段5により取り出した商品C1を集約して格納する集約移動棚3Bにおける位置を作業者に教示する。作業員は、ピッキング教示手段4とアソート教示手段5の各指示に沿って商品Cの移載を行う。
【0075】
ピックアップエリアL2での作業を終えると、今商品が取り出された保管移動棚3Aは、ストックエリアL1の所定位置に戻り、自走搬送装置2が保管移動棚3Aを走行領域Rの床面に載置し、該自走搬送装置2は別の移動棚3の搬送に向かう。
【0076】
一方、ピックアップエリアL2を出発した集約移動棚3Bは、パッキングエリアL3に到着した後、集約移動棚3BのケースC2がピッキング教示手段4によって教示されて作業員が梱包用テーブルDに商品Cを取り出し、ここで作業員が梱包し、梱包後、待機する出荷移動棚3Cにアソート教示手段5の指示に従って作業員が梱包物C3を搭載する。商品群ピックアップエリアL5aから到着した集約移動棚3Bがあれば、ここでピッキング教示手段4に従って梱包し、アソート教示手段5の指示に従って作業員が梱包物C3を出荷移動棚3Cに搭載する。
【0077】
パッキングエリアL3において、梱包作業後の集約移動棚3Bは、空きの集約移動棚3BとしてピックアップエリアL2や商品群ピックアップエリアL5aへ移動する。一方、出荷移動棚3Cは、パッキングエリアL3からシッピングエリアL5に自走搬送装置2によって移動する。なお、ケースC2が搭載されていた集約移動棚3BはピックアップエリアL2へ、商品群CAが直接搭載されていた集約移動棚3Bは商品群ピックアップエリアL5aへ移動する。
【0078】
シッピングエリアL5に到着した出荷移動棚3Cは、各方面に搬送するトラックTの位置する待機位置に到着すると、本例では、自走搬送装置2が当該出荷移動棚3Cを床面に載置した状態でここから別の場所へ向かう。待機位置で載置された出荷移動棚3Cは、本例では、作業員によりトラックTに搬入される。
【0079】
このように、本発明は、ストックエリアL1、ピックアップエリアL2、パッキングエリアL3、シッピングエリアL4で、自走搬送装置2の走行領域Rを共用して、移動棚3を移動させる構成としているので、移動棚3を定位置に配置するという概念が存在せず、つまり、定位置に移動棚3を戻すという処理が不要となるので、物流倉庫内作業の大幅な時間短縮を図ることが可能となる。