(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104065
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】バスバーユニット
(51)【国際特許分類】
H02K 3/50 20060101AFI20230721BHJP
H02K 3/04 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
H02K3/50 A
H02K3/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004830
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100102853
【弁理士】
【氏名又は名称】鷹野 寧
(72)【発明者】
【氏名】福島 剛典
【テーマコード(参考)】
5H603
5H604
【Fターム(参考)】
5H603AA09
5H603CA01
5H603CA10
5H603CB11
5H603CB18
5H603FA01
5H604AA05
5H604CC01
5H604DB01
5H604QB01
(57)【要約】
【課題】バスバーユニットとターミナルユニットの接続部の軸方向寸法を削減すると共に、ターミナルユニットの位置決め精度の向上を図る。
【解決手段】モータ1は、ステータコア21の一端側に配され、銅製のバスバー29が合成樹脂製の本体部28に埋設されたバスバーユニット24を有する。バスバーユニット24の本体部28には、外部電源と電気的に接続される接続端子34を備えたターミナルユニット31が取り付けられる。本体部28の端部28aには、バスバー29の一部が露出した状態で配置される凹部39が設けられている。ターミナルユニット31には、凹部39と嵌合し露出状態のバスバー29に臨んで配置される突起部38が突設されている。ターミナルユニット31は、突起部38の先端面38aがバスバー29に直接対向する形でバスバーユニット24に取り付けられる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアの一端側に配され、合成樹脂製の本体部と、前記本体部と一体化されステータコイルと電気的に接続される金属製のバスバーと、を有し、前記本体部に、外部電源と電気的に接続される接続端子を備えたターミナルユニットが取り付けられるバスバーユニットであって、
前記本体部は、前記バスバーの一部が露出した状態で配置される凹部を備え、
前記ターミナルユニットは、前記凹部と嵌合し露出状態の前記バスバーに臨んで配置される突起部を備えることを特徴とするバスバーユニット。
【請求項2】
ステータコアの一端側に配され、合成樹脂製の本体部と、前記本体部と一体化されステータコイルと電気的に接続される金属製のバスバーと、を有し、前記本体部に、外部電源と電気的に接続される接続端子を備えたターミナルユニットが取り付けられるバスバーユニットであって、
前記ターミナルユニットは、前記接続端子の一部が露出した状態で配置される凹部を備え、
前記本体部は、前記凹部と嵌合し露出状態の前記バスバーに臨んで配置される突起部を備えることを特徴とするバスバーユニット。
【請求項3】
請求項1又は2記載のバスバーユニットにおいて、
前記凹部は、該凹部の径方向及び周方向を囲む壁部を有し、
前記突起部は、前記壁部によって径方向及び周方向の移動が規制された状態で前記凹部に取り付けられることを特徴とするバスバーユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータの給電用バスバーユニットに関し、特に、バスバーユニットとそれに取り付けられるターミナルユニットとの間の接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラシレスモータでは、コイルへの給電手段として、バスバーと呼ばれる金属製の導電部材を備えたバスバーユニットを用いる場合がある。特許文献1に記載されているように、バスバーユニットは一般に、略円環状に形成された樹脂モールド体に、複数のバスバーを互いに絶縁された状態で埋設した構成となっている。例えば、コイルをスター結線方式にて結線する場合、樹脂モールド体には、各相のコイルに給電を行うための複数の相用バスバーと、中性点(コモン)を成す中性点用バスバーとが埋設され、バスバーユニットが構成される。
【0003】
また、バスバーユニットとモータ給電部(外部電源)との電気的接続のため、バスバーユニットにさらにターミナルユニットが取り付けられる場合がある。その際、モータのレイアウト上、ターミナルユニットをバスバーユニットの軸方向端面に配置する構成が想定され、そこでは、バスバーユニットの端面にターミナルユニットが取り付けられる。
図8は、従来の接合構造にてターミナルユニットをバスバーユニット端面に取り付けた状態を示す説明図、
図9は、
図8の場合のバスバーとターミナルユニットの断面イメージを示す説明図である。
【0004】
図8に示すように、バスバーユニット61の端面(図中上面)には、バスバーユニットとは別体に形成されたターミナルユニット62が取り付けられる。バスバーユニット61には、各相用の給電端子63が複数個(ここでは、3相分の3個と各相接続用1個の計4個)設けられており、各給電端子63は、バスバー64と一体に形成され電気的に導通している。また、ターミナルユニット62にも各相用の接続端子65が複数個設けられており、各接続端子65は、バスバーユニット61上にターミナルユニット62を載置すると、同相の各給電端子63と対向する。
【0005】
一方、
図9に示すように、バスバーユニット61とターミナルユニット62は、両者間に設けられた嵌合接合部66にて接続される。嵌合接合部66は、バスバーユニット61側に形成された凹溝67と、ターミナルユニット62側に凸設された突起部68とから構成されており、ターミナルユニット62は、突起部68を凹溝67に嵌め込むことにより、径方向に位置決めされた状態でバスバーユニット61上に取り付けられる。そして、この状態で各接続端子65と給電端子63をそれぞれ溶接することにより、外部電源とバスバー64とが電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、
図8,9の構成の場合、バスバーユニット61とターミナルユニット62の接続部の軸方向高さが嵌合接合部66の厚さ分だけ大きくなる。すなわち、嵌合接合部66では、バスバーユニット61側の凹溝67の底部に設けられた樹脂被覆部分69とターミナルユニット62側の突起部68が重なる形となる。このため、その分だけモータの軸方向寸法が大きくなってしまうという問題があった。また、
図8,9の構成では、径方向の位置決めは可能であるものの、周方向に正確に位置決めするためには、別の位置決め構造がさらに必要になる、という問題もあった。
【0008】
本発明の目的は、バスバーユニットとターミナルユニットの接続部の軸方向寸法を削減すると共に、ターミナルユニットの位置決め精度の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のバスバーユニットは、ステータコアの一端側に配され、合成樹脂製の本体部と、前記本体部と一体化されステータコイルと電気的に接続される金属製のバスバーと、を有し、前記本体部に、外部電源と電気的に接続される接続端子を備えたターミナルユニットが取り付けられるバスバーユニットであって、前記本体部は、前記バスバーの一部が露出した状態で配置される凹部を備え、前記ターミナルユニットは、前記凹部と嵌合し露出状態の前記バスバーに臨んで配置される突起部を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の他のバスバーユニットは、ステータコアの一端側に配され、合成樹脂製の本体部と、前記本体部と一体化されステータコイルと電気的に接続される金属製のバスバーと、を有し、前記本体部に、外部電源と電気的に接続される接続端子を備えたターミナルユニットが取り付けられるバスバーユニットであって、前記ターミナルユニットは、前記接続端子の一部が露出した状態で配置される凹部を備え、前記本体部は、前記凹部と嵌合し露出状態の前記バスバーに臨んで配置される突起部を備えることを特徴とする。
【0011】
前記バスバーユニットにおいて、前記凹部に該凹部の径方向及び周方向を囲む壁部を設け、前記壁部によって径方向及び周方向の移動が規制された状態で前記突起部を前記凹部に取り付けるようにしても良い。これにより、前記突起部と前記凹部を嵌合させることにより、前記バスバーユニットと前記ターミナルユニットとの間が精度良く位置決めされる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のバスバーユニットによれば、バスバーユニットの本体部に、バスバーの一部が露出した状態で配置される凹部を設けると共に、バスバーユニットに取り付けられるターミナルユニットに、バスバーユニットの凹部と嵌合し露出状態のバスバーに臨んで配置される突起部を設けたので、突起部とバスバーが対向する状態でターミナルユニットをバスバーユニットに取り付けることができる。このため、従来のバスバーユニットに存在するバスバーの樹脂被覆部分の厚みを削減することができ、その分、従来よりもステータの軸方向寸法を小さくでき、モータの短軸化を図ることが可能となる。
【0013】
本発明の他のバスバーユニットによれば、ターミナルユニットに、接続端子の一部が露出した状態で配置される凹部を設けると共に、バスバーユニットの本体部に、ターミナルユニットの凹部と嵌合し露出状態の接続端子に臨んで配置される突起部を設けたので、突起部と接続端子が対向する状態でターミナルユニットをバスバーユニットに取り付けることができる。このため、従来のバスバーユニットに存在するバスバーの樹脂被覆部分の厚みを削減することができ、その分、従来よりもステータの軸方向寸法を小さくでき、モータの短軸化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態1であるバスバーユニットを用いたモータの構成を示す説明図である。
【
図2】
図1のモータにおけるステータの構成を示す説明図である。
【
図3】(a)は、
図1のモータにおけるステータコイルの巻装形態を示す説明図、(b)は、従来のステータコイルの巻装形態を示す説明図である。
【
図4】本発明の一実施の形態であるバスバーユニットに使用されるターミナルユニットの構成を示す説明図である。
【
図5】
図4のターミナルユニットをバスバーユニットに取り付ける際の様子を示す説明図である。
【
図6】
図4のターミナルユニットをバスバーユニットに取り付けたときのバスバーとターミナルユニットの断面イメージを示す説明図である。
【
図7】本発明の実施の形態2であるバスバーユニットを用いた場合におけるバスバーとターミナルユニットの断面イメージを示す説明図である。
【
図8】従来の接合構造にてターミナルユニットをバスバーユニット端面に取り付けた状態を示す説明図である。
【
図9】
図8の場合におけるバスバーとターミナルユニットの断面イメージを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1であるバスバーユニットを採用したブラシレスモータ1(以下、モータ1と略記する)の断面図である。
図1に示すように、モータ1は、外側にステータ(固定子)2、内側にロータ(回転子)3を配したインナーロータ型のブラシレスモータとなっており、例えば電動パワーステアリング装置の駆動源として使用される。
【0016】
図1に示すように、ステータ2は、鉄等にて有底円筒状に形成されたモータハウジング4の内側に圧入等によって固定される。モータハウジング4の
図1において右端側の開口部には、ベアリング5aを保持するためのベアリングホルダプレート6が取り付けられている。また、同左端側にはベアリング5bが取り付けられている。ベアリング5aは、ベアリングホルダプレート6の中央部に取り付けられたベアリングホルダ7に、ベアリング5bは、モータハウジング4の底部中央に形成されたベアリング固定部8にそれぞれ固定されている。ベアリング5a,5bにはロータシャフト(回転軸)9が軸支されている。ステータ2の内側には、ロータシャフト9に固定されたロータ3が回転自在に挿入されている。
【0017】
ロータ3は、ロータシャフト9に固定されたロータコア11と、ロータコア11の外周部に取り付けられた複数個(ここでは10個)のマグネット12、マグネット12の外周に取り付けられた飛散防止用のマグネットカバー13と、を備えている。ロータコア11は、電磁鋼板等にて形成された円形の薄板状コアプレート(鋼板材)を複数枚積層させた構成となっており、ロータシャフト9に圧入固定される。
【0018】
ロータコア11の図中左端部には、ロータシャフト9に固定される形でマグネットホルダ14が取り付けられている。マグネットホルダ14には、軸方向沿って延びる10個のホルダアーム(図示せず)が設けられている。ホルダアームはロータコア11の外周部に配設されており、マグネット12は、ホルダアームに挟持された状態でロータコア11の外周に等間隔で取り付けられる。マグネット12の外側にはさらに、鉄等にて形成されたマグネットカバー13がマグネット12を覆うように取り付けられる。
【0019】
ロータシャフト9の図中右端側には、モータ1の回転角度を検出するためのセンサマグネット15が取り付けられている。センサマグネット15は、ロータシャフト9の図中右端部に圧入固定されたセンサマグネットホルダ16に接着固定されている。また、ロータシャフト9の同左端側には、モータ1によって駆動される被動装置(図示せず)に接続されるジョイント17が取り付けられている。
【0020】
図2は、ステータ2の構成を示す説明図である。
図2に示すように、ステータ2は、ステータコア21と、ステータコア21のティース22に巻装されたステータコイル23(以下、コイル23と略記する)、ステータコア21に取り付けられたバスバーユニット24と、を備えている。ステータコア21は、電磁鋼板等にて形成された薄板材を積層して形成されており、複数個(本実施形態においては12個)のティース22が径方向内側に向かって突設されている。隣接するティース22の間にはスロット25が形成されており、ステータ2は12スロット構成となっている。これにより、本実施形態のモータ1は、10極12スロット(10P12S)構成となっている。
【0021】
ステータコア21には合成樹脂製のインシュレータ26が取り付けられており、インシュレータ26の外側にはコイル23が巻装されている。コイル23は、スロット25を介してティース22に巻装される。
図3は、コイル23の巻装形態を示す説明図である。モータ1では、同相のコイル23が隣接して配置され(コイル23p,23q)、1本の銅線で連続して巻線される。この場合、隣接する同相コイル23p,23qは互いに巻線方向を逆にする必要があり、
図3(a)に示すように、コイル23p側の始点Sから巻き始め、コイル23pを巻き終わった後、渡り線27を経て隣のティース22の内径側に移り、コイル23qを巻いて終点Fにて巻き終わる形で巻装される。
【0022】
ここで、従来のモータでは、ステータコア外径側の始点Sから1つ目のコイル71pを巻き始める場合、
図3(b)に示すように、コイル71pを巻き終わった後、渡り線72をティース外径側に導入してコイル71qを巻装している。ところが、このような巻線形態の場合、コイル71qの最外径部位に渡り線72が存在しているため、コイルを巻けない領域Zが生じてしまう。このため、スロット73内に無駄な空間(領域Zの部分)ができ、コイル占積率が低下してしまうという問題があった。
【0023】
これに対し、当該モータ1のコイル23は、
図3(a)に示すように、2つ目のコイル23qの巻線の始点がコア内径側に設定されており、渡り線27はコイル23p側から隣接するティース22の先端部分に導入され、コイル23qが巻装される。その結果、スロット25内に領域Zのような無駄な空間が生ぜず、渡り線27の影響を受けることなく2つ目のコイル23qを巻くことができる。したがって、コイル占積率の向上が図られ、両コイル23p,23qを同等の占積率にて巻装することが可能となる。また、占積率向上に伴い、コイル巻き太りも抑制でき、分割コア採用時におけるコア集結時の隣接コイル同士の接触も抑えられる。
【0024】
ステータコア21の一端側(モータハウジング4の右端開口側)には、バスバーユニット24が取り付けられている。バスバーユニット24は、合成樹脂製の本体部28内に金属製(銅製)のバスバー29がインサート成形にて埋設された構成となっている。バスバー29は、モータ1の相数に対応した個数(ここでは、U相,V相,W相分の3個と各相接続用1個の計4個)設けられている。各バスバー29の外周部には、複数個の給電用端子29aが径方向外側に向かって突設されており、バスバーユニット24から突出している。給電用端子29aは、ステータコア21側から引き出されたコイル23の端部23aが溶接される。各コイル23は、その相に対応した給電用端子29aと電気的に接続される。ステータコア21は、バスバーユニット24を取り付けた後、モータハウジング4内に圧入固定される。
【0025】
また、バスバーユニット24には、外部電源との接続に用いられるターミナルユニット31が取り付けられている。バスバーユニット24の本体部28の端部(
図1においては右端部、
図2においては上端部)28aには、ターミナルユニット取付部32が設けられており、ターミナルユニット31はこのターミナルユニット取付部32に接合される。
図4はターミナルユニット31の構成を示す説明図、
図5はターミナルユニット31をバスバーユニット24に取り付ける際の状態を示す説明図、
図6は、ターミナルユニット31をバスバーユニット24に取り付けたときのバスバー29とターミナルユニット31の断面イメージを示す説明図である。
【0026】
図4に示すように、ターミナルユニット31は、合成樹脂製の基体部33と、基体部33に取り付けられた接続端子34とから構成されている。基体部33には、銅製の接続端子34が3個(34U,34V,34W)取り付けられている。接続端子34は、全体が略コの字形となっており、長短の端子片34a,34bと、両端子片34a,34bをつなぐベース部34cとからなり、ベース部34cにて基体部33と固定されている。接続端子34の長い端子片34aは、バスバーユニット24の径方向外側に配され、
図1に示すように、外部電源接続用のハーネス35の電源端子36と接続される。また、短い端子片34bは、バスバーユニット24の径方向内側に配され、バスバーユニット24上にターミナルユニット31を取り付けると、各相バスバー29の給電端子37(37U,37V,37W)と対向する。
【0027】
ターミナルユニット31の
図4において下面側には、突起部38が突設されている。突起部38は、バスバーユニット24のターミナルユニット取付部32に形成された凹部39と嵌合するようになっており、凹部39と突起部38によって嵌合接合部41が形成される。この場合、ターミナルユニット取付部32の凹部39は、バスバーユニット24の本体部端部28aを一部切り欠く形で設けられており、凹部39の底部では、バスバー29の一部が露出した状態となっている。凹部39の径方向外側は外周壁(壁部)42、同内側は内周壁(壁部)43となっている。また、凹部39の周方向端部は、側壁(壁部)44,45となっている。
【0028】
ターミナルユニット31は、凹部39に突起部38を嵌め込むことにより、露出状態のバスバー29を覆う形でターミナルユニット取付部32に取り付けられる。そして、この状態でバスバー29の各相の給電端子37U,37V,37Wと、ターミナルユニット31の各端子片34bをそれぞれ溶接する。これにより、外部電源と各相バスバー29とが電気的に接続され、各相コイル23への給電が可能となる。
【0029】
このように、モータ1では、ターミナルユニット取付部32の凹部39にて、バスバー29が外部に臨んで配された状態となっている。前述のように、
図8,9のような従来の構成では、バスバー64の上方に樹脂被覆部分69があるため、その分、嵌合接合部66の厚みが大きくなる。これに対し、バスバーユニット24では、バスバー29が凹部39内にて露出状態となっており、その上方に樹脂被覆部分が存在しない。このため、
図6に示すように、ターミナルユニット31は、突起部38の先端面38aがバスバー29に直接対向あるいは密接する形でバスバーユニット24に取り付けられる。その結果、モータ1では、
図9の樹脂被覆部分69相当の厚みが削減され、その分、
図9の構成に比して嵌合接合部41の厚さが抑えられる。これにより、モータ1は、従来よりもステータ2の軸方向寸法を小さくでき、モータの短軸化を図ることが可能となる。
【0030】
また、凹部39は、径方向に外周壁42と内周壁43が、周方向に側壁44,45が設けられている。つまり、凹部39は四方を壁部によって囲まれた形となっており、そこにターミナルユニット31の突起部38が、径方向及び周方向の移動が規制された状態で取り付けられる。このため、ターミナルユニット31は、径方向のみならず、周方向にも位置決めされた状態でターミナルユニット取付部32に装着される。したがって、モータ1では、突起部38を凹部39に嵌め込むだけでターミナルユニット31が位置決めされ、ターミナルユニット31の位置決め精度の向上が図られる。その結果、別途位置決め構造を設けることなく、ターミナルユニット31をモータ内に精度良く配置することが可能となる。
【0031】
(実施の形態2)
前述の実施の形態1では、バスバーユニット24側を凹部39、ターミナルユニット31側を突起部38としたが、凹凸関係を逆にし、バスバーユニット24側に突起部、ターミナルユニット31に凹部を設けても良い。
図7は、本発明の実施の形態2であるバスバーユニットを用いた場合におけるバスバーとターミナルユニットの断面イメージを示す説明図である。なお、実施の形態2では、実施の形態1と同様の部分、部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0032】
図7に示すように、実施の形態2のバスバーユニット51では、バスバーユニット51側に突起部52、ターミナルユニット53側に凹部54が設けられている。凹部54は周囲を壁部にて囲まれている(ここでは、径方向の側壁55,56のみ表示、内・外周壁は図示せず)。凹部54には、接続端子34の一部(ベース部34cの一部)が外部に露出した状態で配置されている。一方、バスバーユニット51の本体部28には、突起部52を備えたターミナルユニット取付部57が設けられており、突起部52と凹部54を嵌合させることにより、ターミナルユニット53がバスバーユニット51に装着される。
【0033】
バスバーユニット51では、接続端子34が凹部54内にて露出状態となっており、その下方に樹脂被覆部分が存在しない。このため、
図7に示すように、ターミナルユニット53は、バスバーユニット51の突起部52の先端面52aが接続端子34に直接対向あるいは密接する形でバスバーユニット51に取り付けられる。したがって、バスバーユニット51においても、
図9の樹脂被覆部分69相当の厚みが削減され、その分、ステータ2の軸方向寸法を小さくでき、モータの短軸化を図ることが可能となる。
【0034】
また、凹部54も、実施の形態1の凹部39と同様に四方を壁部によって囲まれた形となっており、そこにバスバーユニット51の突起部52が、径方向及び周方向の移動が規制された状態で取り付けられる。このため、ターミナルユニット53は、径方向のみならず、周方向にも位置決めされた状態でターミナルユニット取付部57に装着される。すなわち、実施の形態1と同様に、突起部52を凹部54に嵌め込むだけでターミナルユニット53が位置決めされ、ターミナルユニット53の位置決め精度の向上が図られ、別途位置決め構造を設けることなく、ターミナルユニット53をモータ内に精度良く配置することが可能となる。
【0035】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、前述のモータ1は、10P12S構成を採用しているが、本発明は、例えば、14P12S構成のブラシレスモータにも適用可能である。さらに、隣接するコイルが同相の場合、必ずしも
図3(a)の巻線形態を採用する必要はなく、同(b)のような巻線形態を採用することも可能である。加えて、本発明は、隣接するコイルが同相とならないような極スロット構成のブラシレスモータにも適用可能であり、その場合には
図3(a)の巻線形態は採用しない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、電動パワーステアリング装置用のモータ以外にも、オイルポンプや電動のブレーキシステム、ハイブリッド車や電気自動車などにも適用可能である。また、本発明のモータは、自動車関連のみならず、家電製品や産業機械など、他の電気機械・機器にも適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 ブラシレスモータ
2 ステータ
3 ロータ
4 モータハウジング
5a,5b ベアリング
6 ベアリングホルダプレート
7 ベアリングホルダ
8 ベアリング固定部
9 ロータシャフト
11 ロータコア
12 マグネット
13 マグネットカバー
14 マグネットホルダ
15 センサマグネット
16 センサマグネットホルダ
17 ジョイント
21 ステータコア
22 ティース
23 ステータコイル
23a 端部
23p,23q コイル(同相)
24 バスバーユニット
25 スロット
26 インシュレータ
27 渡り線
28 本体部
28a 本体部端部
29 バスバー
29a 給電用端子
31 ターミナルユニット
32 ターミナルユニット取付部
33 基体部
34 接続端子
34a 長い端子片
34b 短い端子片
34c ベース部
35 ハーネス
36 電源端子
37 給電端子
37U,37V,37W 給電端子
38 突起部
38a 先端面
39 凹部
41 嵌合接合部
42 外周壁(壁部)
43 内周壁(壁部)
44 側壁(壁部)
45 側壁(壁部)
51 バスバーユニット
52 突起部
52a 先端面
53 ターミナルユニット
54 凹部
55 側壁(壁部)
56 側壁(壁部)
57 ターミナルユニット取付部
61 バスバーユニット
62 ターミナルユニット
63 給電端子
64 バスバー
65 接続端子
66 嵌合接合部
67 凹溝
68 突起部
69 樹脂被覆部分
71p,71q コイル
72 渡り線
73 スロット
S 巻線始点
F 巻線終点
Z 領域