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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104074
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】排泄物検知装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 17/00 20060101AFI20230721BHJP
   E03D 9/00 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
A47K17/00
E03D9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004849
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】西村 健志
(72)【発明者】
【氏名】宮本 真人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真悟
(72)【発明者】
【氏名】柿田 幸佑喜
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
【Fターム(参考)】
2D037EB00
2D038KA06
(57)【要約】
【課題】排泄物の有無に関する処理の負担を軽減し、且つ、記憶部の保存容量を節約する排泄物検知装置を提供する。
【解決手段】排泄物を受けるボウル部22の内部を所定周期で撮像する光学センサ14と、撮像された画像データが記憶される記憶部16と、一定時間ごとに前記画像データをもとに前記ボウル部内に落下中の排泄物の有無を判別する画像処理部15と、を有し、前記画像処理部は、排泄物ありの場合は、排泄物ありの判別に用いた前記画像データとその後の一定時間分の前記画像データとを前記記憶部に保存する一方、排泄物なしの場合は、排泄物なしの判別に用いた前記画像データとその後の一定時間分の前記画像データとを前記記憶部に保存しない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄物を受けるボウル部の内部を所定周期で撮像する光学センサと、
撮像された画像データが記憶される記憶部と、
一定時間ごとに前記画像データをもとに前記ボウル部内に落下中の排泄物の有無を判別する画像処理部と、を有し、
前記画像処理部は、排泄物ありの場合は、排泄物ありの判別に用いた前記画像データとその後の一定時間分の前記画像データとを前記記憶部に保存する一方、排泄物なしの場合は、排泄物なしの判別に用いた前記画像データとその後の一定時間分の前記画像データとを前記記憶部に保存しないことを特徴とする排泄物検知装置。
【請求項2】
請求項1において、
排泄物の有無の判別用の閾値データを有しており、
前記画像処理部は、前記排泄物の有無を、前記光学センサで撮像された前記画像データと前記閾値データとの比較により判別することを特徴とする排泄物検知装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記一定時間は、約5秒であることを特徴とする排泄物検知装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排泄物検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来には、使用者の排泄物に関する画像データを収集し、収集した画像データを記憶部に記憶する便器が知られている。
【0003】
この種の装置として例えば特許文献1のものが挙げられる。特許文献1のものは、便器内に設けられた受光部が受光した画像データを記憶した後、記憶した画像データが落下中の大便からの反射光に基づく画像データではないと解析した場合は、記憶した画像データを削除するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6773187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、受光した画像データを一旦記憶してからその画像データが大便からの反射光か否かを解析し、その結果、大便からの反射光ではない場合は、該当画像データを削除する処理を行う。特許文献1では受光した画像データはすべて解析されるため、その解析の処理による負担がかかり、画像データの蓄積に時間がかかる懸念がある。また、画像データはデータサイズが大きいため、撮像したすべての画像データを記憶部に保存すると、記憶部の保存容量がすぐになくなる懸念がある。
【0006】
本開示は、上記事情を鑑みて提案されたもので、排泄物の有無に関する処理の負担を軽減し、且つ、記憶部の保存容量を節約する排泄物検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の排泄物検知装置は、排泄物を受けるボウル部の内部を所定周期で撮像する光学センサと、撮像された画像データが記憶される記憶部と、一定時間ごとに前記画像データをもとに前記ボウル部内に落下中の排泄物の有無を判別する画像処理部と、を有し、前記画像処理部は、排泄物ありの場合は、排泄物ありの判別に用いた前記画像データとその後の一定時間分の前記画像データとを前記記憶部に保存する一方、排泄物なしの場合は、排泄物なしの判別に用いた前記画像データとその後の一定時間分の前記画像データとを前記記憶部に保存しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示の排泄物検知装置は上述した構成とされるため、排泄物の有無に関する処理の負担を軽減し、且つ、記憶部の保存容量を節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係る排泄物検知装置の基本ブロック図である。
図2】同排泄物検知装置の概略縦断面図である。
図3】同排泄物検知装置における光学センサの設置位置の2例を示す図であり、(a)は模式平面図、(b)は模式側面図である。
図4】同排泄物検知装置における基本処理の流れを示す図である。
図5】(a)は本開示の他の実施形態に係る排泄物検知装置及びそれが用いられる便器装置の基本ブロック図であり、(b)は同便器装置の内部を模式的に示した模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1に示す実施形態に係る排泄物検知装置1は、便器装置1に排泄物を検知する構成を組み込んだものである。また、図5に示す実施形態に係る排泄物検知装置40は、便器装置4の便器本体に着脱可能な便座装置40に排泄物を検知する構成を組み込んだものである。なお、排泄物検知装置1,40は便器装置、便座装置に後付できるものであってもよい。
【0011】
まず、排泄物検知装置1の基本構成について、図1図4を参照しながら説明する。
本排泄物検知装置1は、排泄物を受けるボウル部22の内部を所定周期で撮像する光学センサ14と、撮像された画像データが記憶される記憶部16とを有する。さらに、本排泄物検知装置1は、一定時間ごとに画像データをもとにボウル部22内に落下中の排泄物の有無を判別する画像処理部15を有する。画像処理部15は、排泄物ありの場合は、排泄物ありの判別に用いた画像データとその後の一定時間分の画像データとを記憶部16に保存する。一方、画像処理部15は、排泄物なしの場合は、排泄物なしの判別に用いた画像データとその後の一定時間分の画像データとを記憶部16に保存しない構成になっている。
次に、排泄物検知装置(便器装置)1の詳細な構成について説明する。
【0012】
便器装置1は、図1に示すように、各種プログラムの実行制御をなす制御部11を備えている。制御部11は、CPU等で構成されており、各種プログラムとともに便器装置1の各部の動作を制御、監視をする。
【0013】
便器装置1は、計時部12、人感センサ13、光学センサ14、画像処理部15、記憶部16を備えている。さらに便器装置1は、便器洗浄部23、便蓋開閉検知部31、便蓋駆動部32、便蓋操作部33、便座開閉検知部35、便座駆動部36、便座操作部37、着座センサ38、洗浄操作部39等を備えている。
【0014】
計時部12は、画像処理部15が光学センサ14の撮像した画像データから排泄物の有無を判別するタイミングである一定時間などの各種時間を計測する。
【0015】
人感センサ13はトイレ室内の人の有無状態を検知するセンサであり、信号の状態変化の検知により入室/退室タイミングを検出することができる。人感センサ13としては、例えば、便座34の軸部近傍に設けた赤外線センサや超音波センサ、電波センサなどが挙げられる。
【0016】
光学センサ14は、排泄物を受けるボウル部22の内部を所定周期で撮像する。この光学センサ14は、撮影制御をなす制御回路(不図示)を備えている。光学センサ14の制御回路は、受光素子(不図示)に対して、20~240回/秒の間隔、望ましくは20~120回/秒の間隔で電子シャッタを開く制御を行って撮像する構成となっている。また、光学センサ14は、撮像した画像データを一時保存するための例えば揮発性メモリなどの一時メモリ(不図示)を備えている。光学センサ14の一時メモリは、新しい画像データが撮像されるたびに、あるいは一定量の画像データが保存されると、日時が古い画像データから順次削除する構成となっている。また、光学センサ14は、後述する画像処理部15が落下中の排泄物なしの判別がされたときに、一時メモリ内の画像データをすべて削除する構成であってもよい。なお、光学センサ14は、後述する画像処理部15によって落下中の排泄物ありの判別がされると、その後の一定時間の間に撮像された画像データが記憶部16に保存される。記憶部16に保存された画像データは、光学センサ14の一時メモリから削除される構成であってもよい。
【0017】
画像処理部15は、光学センサ14が撮影した画像データをもとにボウル部22内に落下中の排泄物の有無を判別する。本実施形態では、画像処理部15は、排泄物の有無を、光学センサ14で撮像された画像データと、便器装置1が有する排泄物の有無の判別用の閾値データとの比較により判別する。閾値データとしては、例えば人が便座34に座った状態及び座っていない状態のそれぞれにおいて、排泄物(大便Aや尿)が落下していない状態におけるボウル部22内の様子を便器装置1に設けられた光学センサ14によって撮像した画像データなどが用いられる。また、本実施形態において画像処理部15が排泄物の有無を判別するのに使用される画像データは、光学センサ14の一時メモリに一時保存されたなかで最も日時が新しい画像データである。画像処理部15は、閾値データと画像データとを比較し、差が大きい場合(差が所定以上の場合)には落下中の排泄物ありと判別し、差が小さい場合(差が所定未満の場合)には落下中の排泄物なしと判別する。また、落下中の排泄物の有無の判別は、例えば色情報によるものであってもよい。判別用の画像データに黄色や茶色などの排泄物に関する色情報が所定以上含まれていれば、画像処理部15は落下中の排泄物ありと判別してもよい。
【0018】
記憶部16は、光学センサ14が撮像した画像データ等を保存するための例えば不揮発性メモリ(不図示)を備えた構成となっている。また、記憶部16には、画像処理部15が排泄物の有無の判別に用いられる閾値データなどが保存されている。なお、閾値データは、記憶部16とは別に画像処理部15に設けられた不揮発性メモリに保存されている構成であってもよい。
【0019】
便器洗浄部23、ボウル部22内に洗浄水を供給してボウル部22内を洗浄する。便器洗浄部23の詳しい構成については後述する。
【0020】
便蓋開閉検知部31は、便蓋30の開閉状態を検知するセンサである。便蓋駆動部32は、便蓋操作部33による便蓋30の開閉指示や、各種タイミングにより自動で便蓋30の開閉を行う。また、便座開閉検知部35は、便座34の開閉状態を検知するセンサである。便座駆動部36は、便座操作部37による便座34の開閉指示や、各種タイミングにより自動で便座34の開閉を行う。
【0021】
着座センサ38は便座34に対する人の着座/離座を検知するセンサであり、信号の状態変化の検知により着座/離座タイミングを検出することができる。なお、離座タイミングを検出することでボウル部22の自動洗浄を実施する構成であってもよい。
【0022】
洗浄操作部39は、ボウル部22の洗浄の指示を、制御部11を介して便器洗浄部23に対して出力する大便用洗浄ボタン39aおよび小便用洗浄ボタン39bを備えている。便器装置1は、便器本体20に設けられた本体操作部(不図示)と、便器本体20から離れた位置に設けられたリモコン(不図示)とを備え、洗浄操作部39は本体操作部、リモコンのいずれにも配されていることが望ましい。これらには、各種の操作や設定などができる操作スイッチや操作ボタンなども設けてある。リモコンとしては赤外線通信のものが好適に用いられる。リモコンには送信部(不図示)、便器本体20には受信部(不図示)が設けられている。
【0023】
また、大便用洗浄ボタン39aおよび小便用洗浄ボタン39bの両方を設けずに、1つの洗浄ボタンで洗浄指示を出力する構成としてもよい。その場合には、ボウル部22への洗浄水の水量としては、大便用大容量、小便用小容量の区別がなく、大便用大容量の1種類のみとされる。
【0024】
ボウル部22の洗浄の指示は、洗浄操作部39の操作以外にも、着座センサ38により検知された、着座中から離座への状態変化も洗浄の指示とする構成であってもよい。その場合は、人が着座中のときに便座34から立ち上がった際には、洗浄ボタンの操作に代えて自動洗浄がなされる。
【0025】
次に、便器洗浄部23やその他の便器内外部構造の各部などについて、図2を参照しながら説明する。便器装置1は、トイレ空間内の床9や壁などに固定される腰掛式の洋風便器装置である。この便器装置1の便器本体20は、上方に向けて開口したボウル部22がスカート部21に囲まれるように内装され、ボウル部22の上側にはボウル部22の開口面に対し起倒自在とした、相互に同一の回転軸とした便座34、便蓋30を備えている。
【0026】
スカート部21の内部空間には、ボウル部22内の汚水を排出するとともに、給水口24からボウル部22内に洗浄水を供給しボウル部22内を洗浄する便器洗浄部23が配されている。この便器洗浄部23は給水機構と排水機構とを有する。
【0027】
給水機構は、給水口24と、水道管(不図示)から供給される洗浄水をボウル部22内に給水口24を通じて供給する洗浄水供給路25と、洗浄水供給路25の途中に配され、ボウル部22への給水を供給又は遮断する給水弁26とを備えている。
【0028】
便器装置1は、排水機構として図2に示す可動式のトラップ27を有している。このトラップ27は、駆動部270によって回動されて排水状態または封水状態を形成する。図例のトラップ27は封水状態での位置にあり、排水状態ではトラップ27の開放端27aが排水口28を向くように回動する。なお、トラップ27はトラップケース271に囲まれて、汚水や臭気が周囲に漏れないようになっている。または排水機構としては、サイホン式やサイホンゼット式、サイホンボルテックス式、洗い落とし式などであってもよい。また図例では、便器装置1を、水洗タンク(ロータンク)を備えていない、水道直結式のタンクレスタイプとした例を示しているが、水洗タンクを備えた構成であってもよい。
【0029】
前述の光学センサ14は、例えば図3(a)に示すように、便座34の下面側のリム29(図2参照)の空洞内や近傍に配されればよく、それらでボウル部22内に排泄された落下中の排泄物を撮像できるようになっている。また図3(b)に示すように、光学センサ14はボウル部22の後部壁に埋め込まれてもよく、それにより落下する便や尿を撮像してもよい。またボウル部22には、光学センサ14のほかに、臭いセンサや電波センサなどを設けて、排泄物の種々の情報を検出できるようにしてもよい。なお、図3(a)(b)では、排泄物として大便Aを図示しているが、排泄物としては小便でもよい、
【0030】
また、便座34の軸部近傍には、ボウル部22の中央部に向けて出没自在としたノズル(不図示)が設けられ、そのノズルより水が吐出され、その吐出水により人体の局部が洗浄される局部洗浄装置(不図示)を便器装置1は備える。
【0031】
次に、画像処理部15による光学センサ14が撮像した画像データの処理の一動作例について、図4のフローチャートS100~S105に沿って説明する。なお、以下の説明では、図4の動作ステップについて、「ステップS×××」と記述するところを、符号のみの「S×××」と略記した。また、図4のフローチャートの動作例は一例であり、図4のフローチャートの動作に限定されるものではない。
【0032】
まず、光学センサ14は、人感センサ13による入室者の不検知から検知への状態変化がトリガーとなって駆動し、前述したような20~120回/秒などの所定周期で繰り返し撮像を行う。そして、人感センサ13による入室者の検知から不検知への状態変化がトリガーとなって光学センサ14は停止する。図4に示すフローチャートは、光学センサ14が駆動している間、つまりは入室者が入室してから退室するまでの間、5秒などの一定時間の周期で図4のフローチャートに示す動作が実行される。
【0033】
なお、入室者の検知は、人感センサ13によるものに限定されることはなく、例えば、トイレ室の照明の点灯によって入室者を検知する構成としてもよい。また、便蓋開閉検知部31が便蓋30の閉状態から開状態への状態変化を検知することによって入室者を検知する構成であってもよい。また、排泄物検知装置1が排泄物として大便Aのみを対象としたものであれば、着座センサ38による着座の検知によって入室者の検知としてもよい。入室者の検知が人感センサ13以外によるものであれば、入室者の不検知も当然に人感センサ13以外のものによってされる。
【0034】
光学センサ14による撮像が開始されると、画像処理部15は、制御部11と計時部12との協働による周期(一定時間)起動により、一定時間ごとに、本実施形態では5秒ごとに、図4のフローチャートに示した動作を実行する(S100)。一定時間としては特に限定されないが1秒~10秒の間が望ましく、さらには本実施形態のように約5秒程度が望ましい。
【0035】
まず画像処理部15は、落下中の排泄物ありのフラグのオン・オフ情報を参照する(S101)。S101で参照される排泄物ありのフラグは、後述するS103のステップにおける落下中の排泄物の有無に応じて決定されたフラグのオン・オフである。つまり、S101では、前回サイクルの図4の動作の実行時において決定された排泄物ありのフラグのオン・オフが参照される。そのため、入室者の検知から初めて図4のフローチャートが実行される時では、排泄物ありのフラグはオフである(S101のN)。落下中の排泄物ありのフラグがオンのときには、落下中の排泄物ありの判別に使用された画像データと落下中の排泄物ありの判別がされた後の一定時間の間に撮像された画像データが記憶部16に保存される(S101のY、S102)。
【0036】
次に、画像処理部15は、ボウル部22へ落下中の排泄物の有無を判別する(S103)。本実施形態の画像処理部15は、光学センサ14の一時メモリに一時的に保存されている画像データと、記憶部16に保存されている閾値データとを比較して排泄物の有無を判別する。このステップにおける落下中の排泄物の有無の判別によって、次回サイクルの図4の動作の実行時において、光学センサ14が撮像した画像データが記憶部16に保存されるかが決定される。
【0037】
落下中の排泄物なしの場合、落下中の排泄物ありのフラグがオフとなる(S103のN、S105)。そして、落下中の排泄物の有無の判別に用いた画像データと、その後の一定時間(本実施形態では5秒)の間に撮像された画像データは、次回サイクルでは記憶部16に保存されない(S101のN)。つまりは、落下中の排泄物の有無の判別に用いられた画像データと、5秒後に再び実行される図4の動作までの間に撮像された画像データは記憶部16に保存されない。
【0038】
画像処理部15はボウル部22内へ落下中の排泄物ありと判別すると、落下中の排泄物ありのフラグがオンとなる(S103のY、S104)。そして、落下中の排泄物の有無の判別に用いられた画像データと、5秒後に再び実行される図4の動作までの間に撮像された画像データは、排泄物ありのフラグがオン状態なので、記憶部16に保存される(S101のY、S102)。
【0039】
なお、落下中の排泄物ありと判別された場合、その後の一定時間の間に撮像された画像データのすべてが記憶部16に保存される。それらの画像データのなかに落下中の排泄物がないものが含まれていたとしても記憶部16に保存される。
【0040】
そして入室者の退室(入室者の検知から不検知への状態変化)を人感センサ13などで検知すると、便器装置1は光学センサ14の駆動を停止し、さらに図4の動作の起動も停止する。
【0041】
このように、入室者が入室してから退室するまでの間、便器装置1は図4のS100~S105の動作を繰り返し行い、落下中の排泄物の有無に応じて撮像された画像データの記憶部16への保存の要否を画像処理部15が判別する。
【0042】
なお、保存対象の排泄物の画像データが大便Aのものに限られる場合、図4の一定時間ごとの処理は、人の入室から退室までの間でなくてもよい。図4の一定時間ごとの処理は、便座34への着座(着座センサ38のオン)から離座(着座センサ38のオフ)までの間に限定して起動されるようにしてもよい。
【0043】
本実施形態の便器装置1は、人の入室を検知してから光学センサ14が前述した所定周期で連続撮像する。便器装置1は、この連続撮像で撮像した画像データのすべてを記憶部16に保存せず、排泄物ありの判別があった場合にのみ、判別に用いた画像データとその後の一定時間の間に撮像された画像データを記憶部16に保存する構成となっている。そのため、記憶部16の保存容量を節約し、記憶部16の保存容量がすぐになくなることを回避することができる。また、便器装置1に搭載する記憶部16の記憶容量を小さいものにすることもできる。
【0044】
また、本実施形態の便器装置1は、光学センサ14が撮像したすべての画像データに対して排泄物の有無を判別するのではなく、一定時間ごとに撮像された画像データに対してのみ排泄物の有無を判別する。そのため、撮像された画像データのすべてに対して排泄物の有無を判別するようなものと比べて、画像処理部15の排泄物の有無の判別による処理の負担を軽減することができる。
【0045】
また、記憶部16に保存される画像データは、撮像された日時などの情報が紐づけされて保存されてもよい。また、保存された画像データに撮像されている排泄物の状態を分析し、その分析した情報(分析情報)を記憶部16に保存する機能を備える便器装置1であってもよい。また、便器装置1が臭いセンサや電波センサなどの各種センサを備えるものであれば、それらが検出した情報と合わせて排泄物を分析するものであってもよい。排泄物を分析することにより、入室者の健康状態などを分析することができる。
【0046】
また、便器装置1は、記憶部16に保存された画像データや分析情報などを、ネットワークを介して外部の記憶装置に送信する遠距離通信部や、赤外線通信などで入室者のスマートフォンなどの端末装置に送信する近距離通信部が設けられているものであってもよい。また、USBメモリなどの外部の記憶媒体のコネクタに接続するための接続端子が設けられるものであってもよい。また、前述の排泄物の分析する機能は便器装置1に備えずに、外部の記憶装置や端末装置が備えるアプリが画像データに撮像されている排泄物を分析するものであってもよい。なお、近距離通信部や接続端子は、便器本体20に設けられた本体操作部や便器本体20から離れた位置に設けられたリモコンなどに設けられてよい。
【0047】
排泄物検知装置1は以上のものに限られず、便器装置1の便座34と便蓋30とが一体として取り換え可能な便座装置が排泄物検知装置40である構成であってもよい。図5(a)(b)にもとづいて、本発明の他の実施形態に係る排泄物検知装置(便座装置)40が組み込まれた便器装置4の基本構成について説明する。なお本実施形態では、図5(b)に可動式のトラップ27を例示したが、便器本体がサイホン式のトラップを有したものや、その他の方式のものにも適用可能である。
【0048】
便座装置40は、便器装置4の便器本体(便座装置40を除く部位)とは着脱可能な別体とされている。便座装置40は、便蓋50、便蓋開閉検知部51、便蓋駆動部52、便蓋操作部53、便座54、便座開閉検知部55、便座駆動部56、便座操作部57、着座センサ58、洗浄操作部59を備えている。さらに便座装置40は、便座側制御部41、便座側計時部42、光学センサ43、人感センサ44、画像処理部45、記憶部46を備えている。また、便座装置40、便器本体間では信号の送受が可能とされている。なお、便座装置40が人感センサ44を備えない構成であってもよい。その場合は、便器本体が備える人感センサにより入室者を検知するものであってもよい。また、入室者の検知も人感センサによって行われることに限定されず、例えばトイレ室の照明の点灯によって入室者を検知する構成としてもよく、便蓋開閉検知部51が便蓋50の開状態への状態変化を検知することによって入室者を検知する構成であってもよい。
【0049】
なお、便座装置40を除く便器装置4(便器本体)の構成は図1のものとおおむね同様であるため、詳細な説明は省略する。また、便座装置40が備える、便蓋50、便蓋開閉検知部51、便蓋駆動部52、便蓋操作部53、便座54、便座開閉検知部55、便座駆動部56、便座操作部57、着座センサ58についても図1のものとおおむね同様であり、その説明は省略する。
【0050】
図5の便座装置40は、便器装置4の便器洗浄部23に対しボウル部22の洗浄指示が出力できる構成とされている。具体的には、便座装置40は、洗浄操作部59より洗浄の指示があったときに、便座側制御部41がこれを受けて、便器本体側の制御部11を通じて、便器洗浄部23を制御してボウル部22の洗浄ができるようになっている。また、便座側制御部41が直接、便器洗浄部23を制御する構成としてもよい。
【0051】
この便器装置4も、図1の便器装置1と同様に、図4の動作が可能とされている。すなわち、人感センサ44などにより入室者を検知すれば、光学センサ43により連続撮像を行い、落下中の排泄物の有無を画像処理部45が判別する。そして、排泄物ありの場合は、判別に用いた画像データとその後の一定時間に撮像された画像データを記憶部46に保存し、排泄物なしの場合は、判別に用いた画像データとその後の一定時間に撮像された画像データを記憶部46に保存しない構成となっている。そして、入室者が退室すれば、光学センサ43の駆動を停止する。
【0052】
なお、便座装置40としては図5のものには限らない。便座装置40としては例えば、局部洗浄装置を備えた構成であってもよいし、種々(例えば局部洗浄装置)の操作や設定ができる便座用操作部(不図示)を有する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 排泄物検知装置(便器装置)
11 制御部
12 計時部
13 人感センサ
14 光学センサ
15 画像処理部
16 記憶部
20 便器本体
22 ボウル部
4 便器装置
40 排泄物検知装置(便座装置)
41 便座側制御部
42 便座側計時部
43 光学センサ
44 人感センサ
45 画像処理部
46 記憶部

図1
図2
図3
図4
図5