(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104113
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】浮体、浮体における差圧制御方法
(51)【国際特許分類】
B63J 2/04 20060101AFI20230721BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
B63J2/04
F24F7/007 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004917
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】香月 哲幸
(72)【発明者】
【氏名】加藤 秀総
【テーマコード(参考)】
3L056
【Fターム(参考)】
3L056BD07
(57)【要約】
【課題】複数の区画における差圧のバランスを自動的に容易に維持する。
【解決手段】浮体は、複数の区画を有する浮体本体と、複数の区画に接続された給気ダクトと、給気ダクトに設けられ、給気ダクトにおける給気量を調整する給気ダンパーと、複数の区画に接続された排気ダクトと、排気ダクトに設けられ、排気ダクトにおける排気量を調整する排気ダンパーと、給気ダクトを介して複数の区画に給気する給気ユニットと、排気ダクトを介して複数の区画から排気する排気ユニットと、複数の区画の各圧力を検出する第一圧力センサーと、第一圧力センサーが検出した複数の区画の各圧力の差分に基づいて、給気ダンパー及び排気ダンパーの少なくとも一方を制御して、複数の区画同士の差圧を調整する制御装置と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の区画を有する浮体本体と、
複数の前記区画に接続された給気ダクトと、
前記給気ダクトに設けられ、前記給気ダクトにおける給気量を調整する給気ダンパーと、
複数の前記区画に接続された排気ダクトと、
前記排気ダクトに設けられ、前記排気ダクトにおける排気量を調整する排気ダンパーと、
前記給気ダクトを介して複数の前記区画に給気する給気ユニットと、
前記排気ダクトを介して複数の前記区画から排気する排気ユニットと、
複数の前記区画の圧力を検出する第一圧力センサーと、
前記第一圧力センサーが検出した複数の前記区画の各圧力の差分に基づいて、前記給気ダンパー及び前記排気ダンパーの少なくとも一方を制御して、複数の前記区画同士の差圧を調整する制御装置と、
を備える浮体。
【請求項2】
前記給気ダクトから複数の前記区画への各給気圧力を検出する第二圧力センサーと、
複数の前記区画から前記排気ダクトへの各排気圧力を検出する第三圧力センサーと、をさらに備え、
前記制御装置は、前記第二圧力センサーが検出した給気圧力と前記第三圧力センサーが検出した排気圧力との差分に基づいて、前記給気ダンパー及び前記排気ダンパーの少なくとも一方を制御して、前記給気ダクトにおける給気圧力と前記排気ダクトにおける排気圧力との差圧を調整する
請求項1に記載の浮体。
【請求項3】
前記給気ユニットから複数の前記区画への給気圧力を検出する第四圧力センサーと、
前記給気ユニットにおける給気量を調整する給気量調整部と、をさらに備え、
前記給気量調整部は、前記第四圧力センサーが検出した前記給気ユニットからの給気圧力に基づいて、前記給気ユニットからの給気量が予め設定された目標給気量となるよう、前記給気ユニットにおける給気量を調整する
請求項1又は2に記載の浮体。
【請求項4】
複数の前記区画から前記排気ユニットへの排気圧力を検出する第五圧力センサーと、
前記排気ユニットにおける排気量を調整する排気量調整部と、をさらに備え、
前記排気量調整部は、前記第五圧力センサーが検出した前記排気ユニットへの排気圧力に基づいて、前記排気ユニットにおける排気量が予め設定された目標排気量となるよう、前記排気ユニットにおける排気量を調整する
請求項3に記載の浮体。
【請求項5】
前記排気量調整部は、前記第五圧力センサーが検出した前記排気ユニットへの排気圧力に基づいて、前記排気ユニットにおける排気量が、予め設定された最低排気量以上となるよう、前記排気ユニットにおける排気量を調整する
請求項4に記載の浮体。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の浮体における差圧制御方法であって、
複数の前記区画の圧力を検出するステップと、
検出された複数の前記区画の各圧力の差分に基づいて、複数の前記区画における各給気圧力、及び各排気圧力の少なくとも一方を制御して、複数の前記区画同士の差圧を調整するステップと、を含む浮体における差圧制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、浮体、浮体における差圧制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第一の部屋と、第一の部屋の気圧よりも低い気圧の第二の部屋との間の差圧を保持する差圧保持システムの構成が開示されている。この差圧保持システムは、差圧ダンパーと、通風抵抗発生装置と、差圧計測装置と、演算制御装置と、を備えている。差圧ダンパーは、第一の部屋における気圧によって開くことで第一の部屋から第二の部屋への気体の流れを生じさせる。通風抵抗発生装置は、差圧ダンパーを通じて第二の部屋に給気される気体に対して通風抵抗を生じさせる。差圧計測装置は、第一の部屋と第二の部屋との間の差圧を計測する。演算制御装置は、差圧計測装置により計測された計測差圧に基づき、差圧ダンパーを通じて第二の部屋に給気される気体に対する通風抵抗を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された構成では、第一の部屋から第二の部屋へと空気を供給している。これに対し、船舶等の浮体においては、2以上の複数の区画に対し、所定の差圧(のバランス)を維持しながら給気を行う必要がある。このような場合、特許文献1に記載の構成では、複数の区画における差圧のバランスを維持しながら適切に給気を行うことが困難になるという課題がある。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、複数の区画における差圧のバランスを容易に維持することができる浮体、浮体における差圧制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る浮体は、浮体本体と、給気ダクトと、給気ダンパーと、排気ダクトと、排気ダンパーと、給気ユニットと、排気ユニットと、第一圧力センサーと、制御装置と、を備える。前記浮体本体は、複数の区画を有している。前記給気ダクトは、複数の前記区画に接続されている。前記給気ダンパーは、前記給気ダクトに設けられ、前記給気ダクトにおける給気量を調整する。前記排気ダクトは、複数の前記区画に接続されている。前記排気ダンパーは、前記排気ダクトに設けられ、前記排気ダクトにおける排気量を調整する。前記給気ユニットは、前記給気ダクトを介して複数の前記区画に給気する。前記排気ユニットは、前記排気ダクトを介して複数の前記区画から排気する。前記第一センサーは、複数の前記区画の圧力を検出する。前記制御装置は、前記第一圧力センサーが検出した複数の前記区画の圧力の差分に基づいて、前記給気ダンパー及び前記排気ダンパーの少なくとも一方を制御して、複数の前記区画同士の差圧を調整する。
【0007】
本開示に係る浮体における差圧制御方法は、上記した浮体の差圧制御方法であって複数の前記区画の圧力を検出するステップと、複数の前記区画同士の差圧を調整するステップと、を含む。複数の前記区画同士の差圧を調整するステップでは、検出された複数の前記区画の各圧力の差分に基づいて、複数の前記区画における各給気圧力、及び各排気圧力の少なくとも一方を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の浮体、浮体における差圧制御方法によれば、複数の区画における差圧のバランスを容易に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態に係る浮体の側面図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る浮体に設けられた差圧調整システムの構成を示す図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る制御装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る制御装置の差圧制御部の機能ブロック図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る制御装置の室内空気量調整部の機能ブロック図である。
【
図6】本開示の実施形態に係る浮体における差圧制御方法の手順を示すフローチャートである。
【
図7】本開示の実施形態に係る浮体における差圧制御方法において、給気ユニットの制御方法の手順を示すフローチャートである。
【
図8】本開示の実施形態に係る浮体における差圧制御方法において、排気ユニットの制御方法の手順を示すフローチャートである。
【
図9】本開示の実施形態に係る浮体における差圧制御方法において、区画における給気圧力と排気圧力との調整方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態に係る浮体、浮体における差圧制御方法について、
図1~
図9を参照して説明する。
(船舶の構成)
図1に示すように、本開示の実施形態における浮体としての船舶(浮体)1は、浮体本体としての船体(浮体本体)2と、差圧調整システム10と、を備える。なお、本実施形態では、主機等により航行可能なフェリー、客船等の船舶1を浮体の一例として説明する。
【0011】
船体2は、その外殻をなす、一対の舷側3A,3Bと、船底4と、上甲板5と、を有している。舷側3A,3Bは、左右舷側をそれぞれ形成する一対の舷側外板を備える。船底4は、これら舷側3A,3Bを接続する船底外板を備える。これら一対の舷側3A,3B及び船底4により、船体2の外殻は、船首尾方向FAに直交する断面においてU字状を成している。上甲板5は、外部に露出する全通甲板である。船体2には、上甲板5上に、居住区を有する上部構造7が形成されている。
【0012】
船体2は、複数の区画8を有している。複数の区画8は、上下に隣り合う甲板、船首尾方向FAに延びる縦通隔壁、及び船幅方向に延びる横置隔壁(何れも図示せず)等によってそれぞれ区画されており、互いに連通していない。複数の区画8の用途は、何ら限定されるものではなく、様々な用途に用いることができる。複数の区画8は、船体2内の同層に設けられていてもよいし、船体2内の異なる層に設けられていてもよい。また、複数の区画8は上部構造7に設けられていてもよい。
【0013】
(差圧調整システムの構成)
図2に示すように、差圧調整システム10は、ダクト部20と、給気ユニット40と、排気ユニット50と、制御装置60と、を少なくとも備えている。
【0014】
ダクト部20は、複数の区画8に個別に設けられている。各区画8のダクト部20は、給気ダクト21と、給気ダンパー22と、排気ダクト23と、排気ダンパー24と、第一圧力センサー31と、第二圧力センサー32と、第三圧力センサー33と、をそれぞれ備えている。
【0015】
給気ダクト21は、給気ユニット40の主給気ダクト41から分岐し、各区画8に接続されている。各区画8の給気ダクト21は、給気ユニット40からの給気を、区画8内に送り込む。
給気ダンパー22は、給気ダクト21に設けられている。給気ダンパー22は、給気ダクト21内で開閉可能に設けられている。給気ダンパー22は、その開度を調整することで、給気ダクト21における各区画8内への給気量を調整する。
【0016】
排気ダクト23は、各区画8に接続されている。複数の区画8の排気ダクト23は、排気ユニット50の主排気ダクト51に接続されている。排気ダクト23は、排気ダクト23に発生する負圧により、各区画8内の空気を吸引して区画8の外部に排気する。
排気ダンパー24は、排気ダクト23内で開閉可能に設けられている。排気ダンパー24は、その開度を調整することで、排気ダクト23における各区画8からの排気量を調整する。
【0017】
第一圧力センサー31は、各区画8内に設けられている。第一圧力センサー31は、各区画8内の圧力を検出する。第一圧力センサー31は、検出した各区画8内の圧力のデータ(圧力値)を、後述する差圧制御部70に出力する。
第二圧力センサー32は、給気ダクト21において、給気ダンパー22よりも下流側に設けられている。第二圧力センサー32は、給気ダクト21から各区画8への給気圧力を検出する。第二圧力センサー32は、検出した各区画8への給気圧力のデータ(圧力値)を、後述する室内空気量調整部80に出力する。
【0018】
第三圧力センサー33は、排気ダクト23において、排気ダンパー24よりも上流側に設けられている。第三圧力センサー33は、各区画8から排気ダクト23への排気圧力を検出する。第三圧力センサー33は、検出した各区画8からの排気圧力のデータ(圧力値)を、後述する室内空気量調整部80に出力する。
ここで、第一圧力センサー31、第二圧力センサー32、第三圧力センサー33としては、圧力伝送器(PT)を例示できる。
【0019】
本実施形態の給気ユニット40、排気ユニット50、及び制御装置60は、何れも空気調整室9内に設けられている。この空気調整室9は、船体2内に配置されている。
【0020】
給気ユニット40は、給気ダクト21を介して複数の区画8に給気する。給気ユニット40は、フィルタ42と、コイル43と、給気ファン44と、給気量調整部45と、を備えている。フィルタ42は、外部から取り込んだ空気を通過させることで、空気中の異物等を除去する。コイル43は、熱源(図示せず)に接続され、フィルタ42を経た空気の温度を調整する。給気ファン44は、モータ(図示せず)によって駆動される。給気ファン44は、主給気ダクト41に接続されている。給気ファン44は、フィルタ42、コイル43を経た空気を、主給気ダクト41を介して複数の区画8の給気ダクト21に送り込む。
【0021】
給気量調整部45は、給気ユニット40における、複数の区画8に対する(総)給気量を調整する。給気量調整部45は、給気ファン44のモータを駆動するインバータ(図示せず)と、インバータの動作を制御するインバータ制御部(図示せず)と、を備えている。給気量調整部45は、インバータ制御部によりインバータの動作を制御することで給気ファン44の回転数を調整し、給気ユニット40から複数の区画8への給気量を調整する。
【0022】
ここで、本実施形態の差圧調整システム10は、第四圧力センサー34をさらに備えている。この第四圧力センサー34は、給気ユニット40から複数の区画8への給気圧力を検出する。具体的には、第四圧力センサー34は、給気ファン44の出口側となる、主給気ダクト41内の圧力を検出する。本実施形態の第四圧力センサー34としては、例えば、圧力伝送器(PT)を例示できる。
【0023】
給気量調整部45は、第四圧力センサー34が検出した給気ユニット40からの給気圧力に基づいて、フィードバック制御を行う。給気量調整部45は、給気ユニット40からの給気圧力に基づき、給気ユニット40からの給気量が予め設定された目標給気量となるよう、給気ファン44の作動を制御し、給気ユニット40における給気量を調整する。
【0024】
排気ユニット50は、複数の区画8から、排気ダクト23を介して各区画8内の空気を排気する。排気ユニット50は、排気ファン54と、排気量調整部55と、を備えている。排気ファン54は、モータ(図示せず)によって駆動される。排気ファン54は、主排気ダクト51に接続されている。排気ファン54は、各区画8の排気ダクト23、及び主排気ダクト51を介して、複数の区画8内の空気を吸い込むことで、区画8からの排気を行う。
【0025】
排気量調整部55は、排気ユニット50における、複数の区画8からの(総)排気量を調整する。排気量調整部55は、排気ファン54のモータを駆動するインバータ(図示せず)と、インバータの動作を制御するインバータ制御部(図示せず)と、を備えている。排気量調整部55は、インバータ制御部によりインバータの動作を制御することで排気ファン54の回転数を調整し、排気ユニット50から複数の区画8への給気量を調整する。
【0026】
ここで、本実施形態の差圧調整システム10は、第五圧力センサー35をさらに備えている。この第五圧力センサー35は、複数の区画8から排気ユニット50への排気圧力を検出する。具体的には、第五圧力センサー35は、排気ファン54の入口側となる、主排気ダクト51内の圧力を検出する。本実施形態の第五圧力センサー35としては、例えば、圧力伝送器(PT)を例示できる。
【0027】
排気量調整部55は、第五圧力センサー35が検出した排気ユニット50における排気圧力に基づいて、フィードバック制御を行う。排気量調整部55は、排気ユニット50における排気圧力に基づき、排気ユニット50における排気量が予め設定された目標排気量となるよう、排気ファン54の作動を制御し、排気ユニット50における排気量を調整する。また、排気量調整部55は、第五圧力センサー35が検出した排気ユニット50への排気圧力に基づいて、排気ユニット50における排気量が、予め設定された最低排気量以上となるよう、排気ファン54の作動を制御し、排気ユニット50における排気量を調整する。
【0028】
(ハードウェア構成図)
図3に示すように、制御装置60は、CPU61(Central Processing Unit)、ROM62(Read Only Memory)、RAM63(Random Access Memory)、HDD64(Hard Disk Drive)、信号送受信モジュール65を備えるコンピュータである。
【0029】
(機能ブロック図)
図4、
図5に示すように、制御装置60のCPU61は予めROM62やHDD64等に記憶されているプログラムを実行することにより、差圧制御部70、室内空気量調整部80の各機能構成を実現する。なお、本実施形態では、差圧制御部70と、室内空気量調整部80との機能構成を、一つの制御装置60(コンピュータ)で実現する構成としたが、差圧制御部70と、室内空気量調整部80との機能構成は、個別の制御装置60でプログラムを実行することで実現してもよい。
【0030】
図4に示すように、差圧制御部70は、データ受信部71と、入力受付部72と、差圧設定部73と、差圧調整部74と、指令出力部75と、の機能構成を備えている。
データ受信部71は、第一圧力センサー31からの各区画8内の圧力のデータを、信号送受信モジュール65を介して受信する。
【0031】
入力受付部72は、キーボード、タッチパッド等の外部入力手段(図示せず)による、各区画8の圧力、及び複数の区画8間の差圧の目標値の外部からの入力を受け付ける。入力受付部72には、例えば、複数の区画8のうち、一の区画8Aにおける圧力の目標値が入力される。さらに、入力受付部72には、複数の区画8のうち、一の区画8Aに対する、他の区画8B、8C、…の各々の差圧の目標値が入力される。
【0032】
差圧設定部73は、入力された各区画8の圧力、及び差圧の目標値に基づき、給気ユニット40における複数の区画8に対する総給気量と、排気ユニット50における複数の区画8からの総排気量とを算出する。差圧設定部73は、算出された給気ユニット40における総給気量を示す指令値を生成する。また、差圧設定部73は、算出された排気ユニット50における総排気量を示す指令値を生成する。
また、差圧設定部73は、各区画8の圧力、及び差圧の目標値を、後述する室内空気量調整部80に伝達する。
【0033】
差圧調整部74は、第一圧力センサー31が検出した各区画8の圧力の差分を監視する。差圧調整部74は、各区画8の第一圧力センサー31から送信される、各区画8の圧力のデータを、予め定められた時間毎に平均化する。差圧調整部74は、平均化した各区画8の圧力のデータを、室内空気量調整部80に伝達する。
【0034】
指令出力部75は、差圧設定部73で算出された給気ユニット40における総給気量を示す指令値を、信号送受信モジュール65を介して、給気ユニット40の給気量調整部45に出力する。また、指令出力部75は、差圧設定部73で算出された排気ユニット50における総排気量を示す指令値を、排気ユニット50の排気量調整部55に出力する。
【0035】
図5に示すように、室内空気量調整部80は、データ受信部81と、差圧目標値受付部82と、ダンパー開度設定部83と、ダンパー開度調整部84と、指令出力部85と、を機能的に備えている。
データ受信部81は、第二圧力センサー32からの各区画8への給気圧力のデータ、及び第三圧力センサー33による各区画8からの排気圧力のデータを、信号送受信モジュール65を介して受信する。
差圧目標値受付部82は、差圧設定部73から伝達される、各区画8の圧力、及び差圧の目標値を、受け付ける。
【0036】
ダンパー開度設定部83は、差圧目標値受付部82で受け付けた各区画8の圧力、及び差圧の目標値に基づき、各区画8の給気ダンパー22、及び排気ダンパー24の開度を設定する。ダンパー開度設定部83は、設定された各区画8の給気ダンパー22、及び排気ダンパー24の開度を示す指令値を生成する。
【0037】
ダンパー開度調整部84は、第二圧力センサー32が検出した給気圧力と第三圧力センサー33が検出した排気圧力との差分を監視する。ダンパー開度調整部84は、第二圧力センサー32が検出した給気圧力と第三圧力センサー33が検出した排気圧力との差分が、予め設定された差分の範囲から逸脱した場合、給気ダンパー22及び排気ダンパー24の少なくとも一方を制御して、給気ダクト21における給気圧力と排気ダクト23における排気圧力との差圧を自動的に調整する。
【0038】
また、ダンパー開度調整部84は、第一圧力センサー31が検出した各区画8の圧力の差分に基づいて、各区画8同士の差圧を自動的に調整する。ダンパー開度調整部84は、各区画8の圧力の差分が差圧設定部73で設定された差分に対し予め設定された範囲から逸脱した場合に、給気ダンパー22及び前記排気ダンパー24の少なくとも一方を制御して、各区画8同士の差圧を調整する。
【0039】
指令出力部85は、ダンパー開度設定部83で生成された、設定された各区画8の給気ダンパー22、及び排気ダンパー24の開度を示す指令値を、信号送受信モジュール65を介して、各区画8の給気ダンパー22、及び排気ダンパー24に出力する。
【0040】
(船舶における差圧制御方法の手順)
図6に示すように、本実施形態に係る船舶1の差圧制御方法S1は、差圧を設定するステップS2と、給気ユニット40、及び排気ユニット50を作動させるステップS3と、各区画8の圧力を検出するステップS4と、各区画8同士の差圧を調整するステップS5と、差圧調整システム10の作動を終了するステップS6と、を含む。
【0041】
差圧を設定するステップS2では、差圧調整システム10の起動時に、差圧制御部70の入力受付部72が、キーボード、タッチパッド等の外部入力手段(図示せず)により、各区画8の圧力、及び複数の区画8間の差圧の目標値の外部からの入力を受け付ける。例えば、複数の区画8のうち、一の区画8Aにおける圧力の目標値が入力される。さらに、複数の区画8のうち、一の区画8Aに対する、他の区画8B、8C、…の各々の差圧の目標値が入力される。差圧設定部73は、入力された各区画8の圧力、及び差圧を、差圧の目標値として設定する。
【0042】
給気ユニット40、及び排気ユニット50を作動させるステップS3では、差圧設定部73が、ステップS2で設定された差圧の目標値に基づき、給気ユニット40における複数の区画8に対する総給気量と、排気ユニット50における複数の区画8からの総排気量とを算出する。差圧設定部73は、算出された給気ユニット40における総給気量を示す指令値を生成する。また、差圧設定部73は、算出された排気ユニット50における総排気量を示す指令値を生成する。
【0043】
指令出力部75は、差圧設定部73で算出された給気ユニット40における総給気量を示す指令値を、給気ユニット40の給気量調整部45に出力する。指令値を受けた給気量調整部45は、差圧設定部73で算出された給気ユニット40における総給気量に対応した回転数で、給気ファン44を作動させる。給気ファン44の作動により、給気ユニット40から主給気ダクト41,給気ダクト21を介して、複数の区画8に給気がなされる。
【0044】
また、指令出力部75は、差圧設定部73で算出された排気ユニット50における総排気量を示す指令値を、排気ユニット50の排気量調整部55に出力する。指令値を受けた排気量調整部55は、差圧設定部73で算出された排気ユニット50における総排気量に対応した回転数で、排気ファン54を作動させる。排気ファン54の作動により、各区画8から排気ダクト23、主排気ダクト51を介して、排気がなされる。
【0045】
また、ステップS3では、差圧設定部73が、各区画8の圧力、及び差圧の目標値を、室内空気量調整部80に伝達する。室内空気量調整部80では、差圧目標値受付部82が、差圧設定部73から伝達される、各区画8の圧力、及び差圧の目標値を受け取る。ダンパー開度設定部83は、差圧目標値受付部82で受け付けた各区画8の圧力、及び差圧の目標値に基づき、各区画8の給気ダンパー22、及び排気ダンパー24の開度を設定する。ダンパー開度設定部83は、設定された各区画8の給気ダンパー22、及び排気ダンパー24の開度を示す指令値を生成する。ダンパー開度設定部83で生成された、各区画8の給気ダンパー22、及び排気ダンパー24の開度を示す指令値は、指令出力部85により、各区画8の給気ダンパー22、及び排気ダンパー24に出力される。各区画8の給気ダンパー22、及び排気ダンパー24は、出力された指令値に基づいた開度で、給気ダクト21、排気ダクト23内の流路を開く。
このようにして、給気ユニット40から、各区画8に給気がなされるとともに、各区画8から排気ユニット50への排気がなされる。
【0046】
各区画8の圧力を検出するステップS4では、第一圧力センサー31により、各区画8内の圧力を検出する。第一圧力センサー31で検出された各区画8の圧力のデータは、差圧制御部70に送信される。差圧制御部70では、データ受信部71が、第一圧力センサー31からの各区画8内の圧力のデータを受信する。差圧調整部74は、第一圧力センサー31が検出した各区画8の圧力の差分を監視する。差圧調整部74は、各区画8の第一圧力センサー31から送信される、各区画8の圧力のデータを、予め定められた時間毎に平均化する。差圧調整部74は、平均化した各区画8の圧力のデータを、室内空気量調整部80に伝達する。
【0047】
各区画8同士の差圧を調整するステップS5では、室内空気量調整部80が、差圧調整部74から伝達された各区画8の圧力のデータを受け取ると、ダンパー開度調整部84が、各区画8の圧力の差分に基づいて、各区画8同士の差圧を自動的に調整する。ダンパー開度調整部84は、各区画8の圧力の差分が、差圧設定部73で設定された所定の範囲から逸脱していた場合に、給気ダンパー22及び前記排気ダンパー24の少なくとも一方の開度を制御して、各区画8への給気量、各区画8からの排気量を調整する。給気ダンパー22及び前記排気ダンパー24の少なくとも一方の開度を変更した区画8では、区画8内の圧力が変化する。これによって、各区画8同士の差圧が調整される。
【0048】
差圧調整システム10では、差圧調整システム10の作動を終了するまで、上記のステップS4とステップS5とを、予め設定された所定時間毎に繰り返し実行する。
また、外部から、差圧調整システム10の作動を終了する指令がなされた場合、差圧調整システム10の作動を終了するステップS6が実行される。差圧調整システム10の作動を終了するステップS6では、差圧制御部70が、給気ユニット40、及び排気ユニット50に対し、作動を終了する指令を、給気ユニット40の給気量調整部45、排気ユニット50の排気量調整部55に出力する。指令を受けた給気量調整部45は、給気ファン44の作動を終了させる。排気量調整部55は、排気ファン54の作動を終了させる。これにより、給気ユニット40からの給気、及び排気ユニット50における排気が停止される。
【0049】
(給気ユニット、排気ユニットの作動の制御手順)
本実施形態に係る船舶1における差圧制御方法S1では、差圧調整システム10が作動している間、給気ユニット40、及び排気ユニット50の作動は、以下のようにして制御されている。
給気ユニット40では、上記のステップS4において、差圧設定部73で算出された給気ユニット40における総給気量を示す指令値を受けると、
図7に示すように、給気量調整部45が、給気ユニット40における総給気量に対応した回転数で、給気ファン44を作動させる(ステップS11)。
第四圧力センサー34は、給気ユニット40から複数の区画8への給気圧力を検出する(ステップS12)。第四圧力センサー34は、検出した給気圧力のデータを、給気量調整部45に出力する。
給気量調整部45は、第四圧力センサー34が検出した給気ユニット40からの給気圧力が、予め設定された目標給気量に対応した圧力に到達したか否かを判定する(ステップS13)。給気圧力が目標給気量に対応した圧力に到達していない場合、給気ファン44の回転数を、予め定めた回転数分だけ上昇させる(ステップS14)。給気量調整部45は、給気圧力が目標給気量に対応した圧力に到達するまで、ステップS12~ステップS14を繰り返す。給気圧力が目標給気量に対応した圧力に到達した場合、給気量調整部45は、給気ファン44の回転数を維持する(ステップS15)。
【0050】
一方で、排気ユニット50では、上記のステップS4において、差圧設定部73で算出された排気ユニット50における総排気量を示す指令値を受けると、
図8に示すように、排気ユニット50の排気量調整部55が、排気ユニット50における総排気量に対応した回転数で、排気ファン54を作動させる(ステップS21)。
第五圧力センサー35は、排気ユニット50における複数の区画8からの排気圧力を検出する(ステップS22)。第五圧力センサー35は、検出した排気圧力のデータを、排気量調整部55に出力する。
排気量調整部55は、第五圧力センサー35が検出した排気ユニット50における排気圧力が、予め設定された目標排気量に対応した圧力に到達したか否かを判定する(ステップS23)。排気圧力が目標排気量に対応した圧力に到達していない場合、排気ファン54の回転数を、予め設定された回転数分だけ上昇させる(ステップS24)。排気量調整部55は、排気圧力が目標排気量に対応した圧力に到達するまで、ステップS22からステップS24を繰り返す。排気圧力が目標排気量に対応した圧力に到達した場合、排気量調整部55は、排気ファン54の回転数を維持する(ステップS25)。
【0051】
また、排気量調整部55は、第五圧力センサー35が検出した排気ユニット50における排気圧力に基づいて、排気ユニット50における排気量が、予め設定された最低排気量以上であるか否かを判定する(ステップS26)。その結果、排気ユニット50における排気量が、予め設定された最低排気量以上である場合、ステップS22に戻り、所定時間毎に処理を繰り返す。
ステップS26において、排気ユニット50における排気量が、予め設定された最低排気量未満であった場合、排気量調整部55は、排気ファン54の回転数を、予め設定された回転数分だけ上昇させる(ステップS27)。
【0052】
また、排気量調整部55は、給気ユニット40の給気量調整部45に対し、排気ファン54の回転数を上昇させたことを示す信号を出力する。給気量調整部45は、排気量調整部55から排気ファン54の回転数を上昇させたことを示す信号を受け取ると、排気ファン54の回転数の上昇分に対応した分だけ、給気ファン44の回転数を上昇させる。これにより、給気ユニット40からの総給気量と、排気ユニット50における総排気量との差分を、排気ファン54の回転数の上昇前と同等に維持する。なお、排気ファン54の回転数の上昇にともなう給気ファン44の回転数の上昇は、給気量調整部45ではなく、差圧制御部70で制御するようにしてもよい。
【0053】
(各区画における圧力調整の手順)
本実施形態に係る船舶1における差圧制御方法S1では、差圧調整システム10が作動している間、各区画8において、給気ダンパー22、及び排気ダンパー24の開度は、以下のようにして制御されている。
図9に示すように、各区画8において、第二圧力センサー32は、給気ダクト21から各区画8への給気圧力を検出する。第三圧力センサー33は、各区画8から排気ダクト23への排気圧力を検出する。第二圧力センサー32は、検出した各区画8への給気圧力のデータを、室内空気量調整部80に出力する。第三圧力センサー33は、検出した各区画8からの排気圧力のデータ(圧力値)を、室内空気量調整部80に出力する。
【0054】
室内空気量調整部80では、データ受信部81が、第二圧力センサー32からの各区画8への給気圧力のデータ、及び第三圧力センサー33による各区画8からの排気圧力のデータを受信する(ステップS31)。
【0055】
ダンパー開度調整部84は、第二圧力センサー32が検出した給気圧力と第三圧力センサー33が検出した排気圧力との差分を監視する(ステップS32)。ダンパー開度調整部84は、第二圧力センサー32が検出した給気圧力と第三圧力センサー33が検出した排気圧力との差分が、予め設定された差分の範囲内に収まっているか否かを判定する(ステップS33)。その結果、第二圧力センサー32が検出した給気圧力と第三圧力センサー33が検出した排気圧力との差分が、予め設定された差分の範囲内に収まっている場合、ステップS31に戻り、処理を繰り返す。
第二圧力センサー32が検出した給気圧力と第三圧力センサー33が検出した排気圧力との差分が、予め設定された差分の範囲から逸脱した場合、ダンパー開度調整部84は、給気ダクト21における給気圧力と排気ダクト23における排気圧力との差圧を調整する(ステップS34)。これには、給気ダンパー22及び排気ダンパー24の少なくとも一方の開度を、予め設定された分(単位開度)だけ変更する。その後、ステップS32に戻り、ステップS33で、第二圧力センサー32が検出した給気圧力と第三圧力センサー33が検出した排気圧力との差分が、予め設定された差分の範囲内に収まるまで、同様の処理を繰り返す。
これにより、各区画8における第二圧力センサー32が検出した給気圧力と第三圧力センサー33が検出した排気圧力との差分が適切に維持される。
【0056】
(作用効果)
上記実施形態の浮体1、及び浮体1における差圧制御方法S1では、制御装置60は、第一圧力センサー31が検出した各区画8の圧力の差分に基づいて、給気ダンパー22及び排気ダンパー24の少なくとも一方を制御する。これにより、給気ダクト21における給気量、及び排気ダクト23における排気量が調整される。したがって、各区画8同士の差圧を自動的に調整することができる。その結果、複数の区画8における差圧のバランスを容易に維持することが可能となる。
【0057】
上記実施形態では、第二圧力センサー32が、各区画8における給気ダクト21からの給気圧力を検出する。第三圧力センサー33が、各区画8から排気ダクト23への排気圧力を検出する。制御装置60は、各区画8における給気圧力と排気圧力との差分に基づいて、給気ダンパー22及び排気ダンパー24の少なくとも一方を制御する。これにより、給気ダクト21における給気圧力と、排気ダクト23における排気圧力との差圧を、予め設定された範囲内に自動的に調整することができる。
【0058】
上記実施形態では、第四圧力センサー34が、給気ユニット40から複数の区画8への給気圧力を検出する。給気量調整部45は、給気ユニット40から複数の区画8への給気圧力に基づいて、フィードバック制御を行うことで、給気ユニット40における給気量を調整する。これにより、給気ユニット40からの給気量が予め設定された目標給気量となるよう自動的に調整される。
【0059】
上記実施形態では、第五圧力センサー35が、複数の区画8から排気ユニット50への排気圧力を検出する。排気量調整部55は、排気ユニット50への排気圧力に基づいてフィードバック制御を行うことで、排気ユニット50における排気量を調整する。これにより、排気ユニット50からの排気量が予め設定された目標排気量となるよう、自動的に調整される。
【0060】
上記実施形態では、排気量調整部55は、排気ユニット50における排気量が、予め設定された最低排気量以上となるよう、排気ユニット50における排気量を調整する。これにより、排気ユニット50における排気量を、最低排気量以上に維持しつつ、排気量調整部55を自動的に調整することができる。
【0061】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
上記実施形態では、第一圧力センサー31、第二圧力センサー32、第三圧力センサー33として、圧力伝送器を用いるようにしたが、これに限られない。第一圧力センサー31、第二圧力センサー32、第三圧力センサー33としては、圧力伝送器以外の各種圧力センサーを用いることも可能である。
上記実施形態では、給気ユニット40、排気ユニット50、及び制御装置60は、空気調整室9内に設けられているようにしたが、これに限られない。給気ユニット40、排気ユニット50、及び制御装置60は、船体2内の複数個所に分散して配置されていてもよい。
また、上記実施形態では、浮体として主機等により航行可能な船舶1を例示したが、これに限られるものではない。本開示の構成は、例えば、航行のための動力源を備えない浮体にも適用可能である。
【0062】
<付記>
実施形態に記載の浮体1、浮体1における差圧制御方法S1は、例えば以下のように把握される。
【0063】
(1)第1の態様に係る浮体1は、複数の区画8を有する浮体本体2と、複数の前記区画8に接続された給気ダクト21と、前記給気ダクト21に設けられ、前記給気ダクト21における給気量を調整する給気ダンパー22と、複数の前記区画8に接続された排気ダクト23と、前記排気ダクト23に設けられ、前記排気ダクト23における排気量を調整する排気ダンパー24と、前記給気ダクト21を介して複数の前記区画8に給気する給気ユニット40と、前記排気ダクト23を介して複数の前記区画8から排気する排気ユニット50と、複数の前記区画8の圧力を検出する第一圧力センサー31と、前記第一圧力センサー31が検出した複数の前記区画8の各圧力の差分に基づいて、前記給気ダンパー22及び前記排気ダンパー24の少なくとも一方を制御して、複数の前記区画8同士の差圧を調整する制御装置60と、を備える。
浮体1の例としては、船舶や浮体構造物が挙げられる。
【0064】
このように構成することで、各区画8同士の差圧を自動的に調整することができる。その結果、複数の区画8における差圧のバランスを容易に維持することが可能となる。
【0065】
(2)第2の態様に係る浮体1は、(1)の浮体1であって、前記給気ダクト21から複数の前記区画8への各給気圧力を検出する第二圧力センサー32と、複数の前記区画8から前記排気ダクト23への各排気圧力を検出する第三圧力センサー33と、をさらに備え、前記制御装置60は、前記第二圧力センサー32が検出した給気圧力と前記第三圧力センサー33が検出した排気圧力との差分に基づいて、前記給気ダンパー22及び前記排気ダンパー24の少なくとも一方を制御して、前記給気ダクト21における給気圧力と前記排気ダクト23における排気圧力との差圧を調整する。
これにより、給気ダクト21における給気圧力と、排気ダクト23における排気圧力との差圧を、予め設定された範囲内に自動的に調整することができる。
【0066】
(3)第3の態様に係る浮体1は、(1)又は(2)の浮体1であって、前記給気ユニット40から複数の前記区画8への給気圧力を検出する第四圧力センサー34と、前記給気ユニット40における給気量を調整する給気量調整部45と、をさらに備え、前記給気量調整部45は、前記第四圧力センサー34が検出した前記給気ユニット40からの給気圧力に基づいて、前記給気ユニット40からの給気量が予め設定された目標給気量となるよう、前記給気ユニット40における給気量を調整する。
これにより、給気ユニット40からの給気量が予め設定された目標給気量となるよう自動的に調整される。
【0067】
(4)第4の態様に係る浮体1は、(3)の浮体1であって、複数の前記区画8から前記排気ユニット50への排気圧力を検出する第五圧力センサー35と、前記排気ユニット50における排気量を調整する排気量調整部55と、をさらに備え、前記排気量調整部55は、前記第五圧力センサー35が検出した前記排気ユニット50への排気圧力に基づいて、前記排気ユニット50における排気量が予め設定された目標排気量となるよう、前記排気ユニット50における排気量を調整する。
これにより、排気ユニット50からの排気量が予め設定された目標排気量となるよう、自動的に調整される。
【0068】
(5)第5の態様に係る浮体1は、(4)の浮体1であって、前記排気量調整部55は、前記第五圧力センサー35が検出した前記排気ユニット50への排気圧力に基づいて、前記排気ユニット50における排気量が、予め設定された最低排気量以上となるよう、前記排気ユニット50における排気量を調整する。
これにより、排気ユニット50における排気量を、最低排気量以上に維持しつつ、排気量調整部55を自動的に調整することができる。
【0069】
(6)第6の態様に係る浮体1は、(1)から(5)の何れか一つの浮体1における差圧制御方法S1であって、複数の前記区画8の圧力を検出するステップS3と、検出された複数の前記区画8の各圧力の差分に基づいて、複数の前記区画8における給気圧力、及び排気圧力の少なくとも一方を制御して、複数の前記区画8同士の差圧を調整するステップS4と、を含む。
これにより、複数の区画8同士の差圧を自動的に調整することができる。その結果、複数の区画8における差圧のバランスを容易に維持することが可能となる。
【符号の説明】
【0070】
1…船舶(浮体) 2…船体(浮体本体) 3A、3B…舷側 4…船底 5…上甲板 7…上部構造 8、8A、8B、8C…区画 9…空気調整室 10…差圧調整システム 20…ダクト部 21…給気ダクト 22…給気ダンパー 23…排気ダクト 24…排気ダンパー 31…第一圧力センサー 32…第二圧力センサー 33…第三圧力センサー 34…第四圧力センサー 35…第五圧力センサー 40…給気ユニット 41…主給気ダクト 42…フィルタ 43…コイル 44…給気ファン 45…給気量調整部 50…排気ユニット 51…主排気ダクト 54…排気ファン 55…排気量調整部 60…制御装置 61…CPU 62…ROM 63…RAM 64…HDD 65…信号送受信モジュール 70…差圧制御部 71…データ受信部 72…入力受付部 73…差圧設定部 74…差圧調整部 75…指令出力部 80…室内空気量調整部 81…データ受信部 82…差圧目標値受付部 83…ダンパー開度設定部 84…ダンパー開度調整部 85…指令出力部