(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104145
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】計算機システム及び予測モデルの学習方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0202 20230101AFI20230721BHJP
G06Q 10/04 20230101ALI20230721BHJP
【FI】
G06Q30/02 310
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004964
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000153546
【氏名又は名称】ロジスティード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 成
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 高志
(72)【発明者】
【氏名】尾白 大知
(72)【発明者】
【氏名】松本 紀子
(72)【発明者】
【氏名】鴨志田 亮太
(72)【発明者】
【氏名】山元 龍
(72)【発明者】
【氏名】植木 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】劉 齊
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049BB01
(57)【要約】
【課題】精度の高いアイテムの需要予測を実現可能なモデルを生成する。
【解決手段】計算機システムはモデル情報及び実績情報を保持する。モデル情報は第1アイテムの需要を予測する第1モデルの情報を含む。計算機システムは、第1モデルを用いて、第1期間における第2アイテムの需要予測を算出し、実績情報から、第1期間と同じ時間幅の第2期間における第2アイテムの需要実績を取得し、第2アイテムの需要予測及び第2アイテムの需要実績に基づいて、出荷量の誤差が大きい、第1期間内の第1解析期間及び第2期間内の第2解析期間を特定し、第1解析期間における第1アイテムの出荷量のピークの発生時期と、第2解析期間における第2アイテムの出荷量のピークの発生時期とを解析し、解析の結果に基づいて定義された特徴量を含むモデルの学習を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの計算機を備える計算機システムであって、
アイテムの需要を予測するモデルを管理するためのモデル情報と、前記アイテムの需要実績を管理するための実績情報と、を保持し、
前記モデル情報は、第1アイテムの需要を予測する第1モデルの情報を含み、
前記少なくとも一つの計算機は、
前記第1モデルを用いて、第1期間における第2アイテムの需要予測を算出し、
前記実績情報から、前記第1期間と同じ時間幅の第2期間における前記第2アイテムの需要実績を取得し、
前記第2アイテムの需要予測及び前記第2アイテムの需要実績に基づいて、出荷量の誤差が大きい、前記第1期間内の第1解析期間及び前記第2期間内の第2解析期間を特定し、
前記第1解析期間における前記第1アイテムの出荷量のピークの発生時期と、前記第2解析期間における前記第2アイテムの出荷量のピークの発生時期とを解析し、
前記解析の結果に基づいて定義された特徴量を含むモデルの学習を実行することを特徴とする計算機システム。
【請求項2】
請求項1に記載の計算機システムであって、
前記少なくとも一つの計算機は、
時系列に沿って単位時間幅で、前記第2アイテムの需要予測及び需要実績の誤差を算出し、
前記誤差が閾値より大きく、かつ、前記第2アイテムの出荷量のピークが存在する前記第1期間の部分期間を前記第1解析期間として特定し、
前記誤差が閾値より大きく、かつ、前記第2アイテムの出荷量のピークが存在する前記第2期間の部分期間を前記第2解析期間として特定することを特徴とする計算機システム。
【請求項3】
請求項2に記載の計算機システムであって、
前記少なくとも一つの計算機は、
前記第1モデルに基づいて、前記第1解析期間における前記第1アイテムの出荷量のピークの発生時期に関連する特徴量を削除候補特徴量として特定し、
前記第2アイテムの需要実績に基づいて、前記第2解析期間における前記第2アイテムの出荷量のピークの発生時期に関連する特徴量を追加候補特徴量として生成し、
前記削除候補特徴量及び前記追加候補特徴量に基づいて、特徴量変更パターンを生成し、
前記特徴量変更パターンに基づいて定義された特徴量を含むモデルを学習することを特徴とする計算機システム。
【請求項4】
請求項3に記載の計算機システムであって、
前記少なくとも一つの計算機は、
前記第1解析期間及び前記第2解析期間のペアを生成し、
前記第1解析期間における前記第1アイテムの出荷量のピークの発生時期に関連する特徴量に基づいて、前記追加候補特徴量を生成することを特徴とする計算機システム。
【請求項5】
請求項3に記載の計算機システムであって、
前記少なくとも一つの計算機は、
前記学習によって生成されたモデルの予測精度を評価し、
前記評価の結果に基づいて、モデルが扱う前記特徴量を選択し、
選択された前記特徴量を提示することを特徴とする計算機システム。
【請求項6】
少なくとも一つの計算機を有する計算機システムが実行する予測モデルの学習方法であって、
前記計算機システムは、アイテムの需要を予測するモデルを管理するためのモデル情報と、前記アイテムの需要実績を管理するための実績情報と、を保持し、
前記モデル情報は、第1アイテムの需要を予測する第1モデルの情報を含み、
前記少なくとも一つの計算機が、前記第1モデルを用いて、第1期間における第2アイテムの需要予測を算出し、
前記少なくとも一つの計算機が、前記実績情報から、前記第1期間と同じ時間幅の第2期間における前記第2アイテムの需要実績を取得する第1のステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、前記第2アイテムの需要予測及び前記第2アイテムの需要実績に基づいて、出荷量の誤差が大きい、前記第1期間内の第1解析期間及び前記第2期間内の第2解析期間を特定する第2のステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、前記第1解析期間における前記第1アイテムの出荷量のピークの発生時期と、前記第2解析期間における前記第2アイテムの出荷量のピークの発生時期とを解析する第3のステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、前記解析の結果に基づいて定義された特徴量を含むモデルの学習を実行する第4のステップと、を含むことを特徴とする予測モデルの学習方法。
【請求項7】
請求項6に記載の予測モデルの学習方法であって、
前記第2のステップは、
前記少なくとも一つの計算機が、時系列に沿って単位時間幅で、前記第2アイテムの需要予測及び需要実績の誤差を算出するステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、前記誤差が閾値より大きく、かつ、前記第2アイテムの出荷量のピークが存在する前記第1期間の部分期間を前記第1解析期間として特定するステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、前記誤差が閾値より大きく、かつ、前記第2アイテムの出荷量のピークが存在する前記第2期間の部分期間を前記第2解析期間として特定するステップと、を含むことを特徴とする予測モデルの学習方法。
【請求項8】
請求項7に記載の予測モデルの学習方法であって、
前記第3のステップは、
前記少なくとも一つの計算機が、前記第1モデルに基づいて、前記第1解析期間における前記第1アイテムの出荷量のピークの発生時期に関連する特徴量を削除候補特徴量として特定する第5のステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、前記第2アイテムの需要実績に基づいて、前記第2解析期間における前記第2アイテムの出荷量のピークの発生時期に関連する特徴量を追加候補特徴量として生成する第6のステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、前記削除候補特徴量及び前記追加候補特徴量に基づいて、特徴量変更パターンを生成する第7のステップと、を含み、
前記第4のステップは、前記少なくとも一つの計算機が、前記特徴量変更パターンに基づいて定義された特徴量を含むモデルを学習するステップを含むことを特徴とする予測モデルの学習方法。
【請求項9】
請求項8に記載の予測モデルの学習方法であって、
前記第6のステップは、
前記少なくとも一つの計算機が、前記第1解析期間及び前記第2解析期間のペアを生成するステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、前記第1解析期間における前記第1アイテムの出荷量のピークの発生時期に関連する特徴量に基づいて、前記追加候補特徴量を生成するステップと、を含むことを特徴とする予測モデルの学習方法。
【請求項10】
請求項8に記載の予測モデルの学習方法であって、
前記少なくとも一つの計算機が、前記学習によって生成されたモデルの予測精度を評価するステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、前記評価の結果に基づいて、モデルが扱う前記特徴量を選択するステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、選択された前記特徴量を提示するステップと、を含むことを特徴とする予測モデルの学習方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイテムの需要を予測するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫における労働、在庫、及び補充等の計画を決定するために、予測モデルを用いたアイテムの需要の予測技術が利用されている。予測モデルが扱う特徴量は、予測モデルを構築時に決定される。
【0003】
倉庫で扱うアイテム又は倉庫全体の出荷パターンは、時間の経過とともに変化するため、特徴量が予測に寄与しなくなる可能性がある。また、新しい倉庫又は新しいアイテムに既存の予測モデルを適用する場合、予測対象にあわせて特徴量を調整する必要がある。
【0004】
特徴量の調整には多くの労力を要するという課題がある。この課題に対して、特許文献1に記載の技術が知られている。
【0005】
特許文献1には、「将来の需要量を予測する需要予測方法は、需要量の実測値と需要量の増減に影響を及ぼす外部要因である説明変数とに基づいて構築された予測モデルに過去の説明変数の実測値を入力することにより算出された過去の需要量の予測値と、過去の需要量の実測値との誤差を算出するステップ(S1)と、算出された誤差が異常値に該当するか否かを判断するステップ(S2)と、誤差が異常値に該当すると判断された場合、新たな説明変数を取得するステップ(S3)と、取得された新たな説明変数に基づいて予測モデルを更新するステップ(S4)と、更新された予測モデルを用いて新たに将来の需要量を予測するステップ(S5)とを含む。」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術では、ユーザが入力した特徴量又は既存の他のモデルの特徴量を取得している。ユーザ入力の場合、コストが大きいという問題がある。他のモデルの特徴量を取得する場合、必ずしも予測対象の予測に寄与する特徴量とは限らない。
【0008】
本発明は、予測精度を向上させるための予測モデルの特徴量の調整方法に関する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。少なくとも一つの計算機を備える計算機システムであって、アイテムの需要を予測するモデルを管理するためのモデル情報と、前記アイテムの需要実績を管理するための実績情報と、を保持し、前記モデル情報は、第1アイテムの需要を予測する第1モデルの情報を含み、前記少なくとも一つの計算機は、前記第1モデルを用いて、第1期間における第2アイテムの需要予測を算出し、前記実績情報から、前記第1期間と同じ時間幅の第2期間における前記第2アイテムの需要実績を取得し、前記第2アイテムの需要予測及び前記第2アイテムの需要実績に基づいて、出荷量の誤差が大きい、前記第1期間内の第1解析期間及び前記第2期間内の第2解析期間を特定し、前記第1解析期間における前記第1アイテムの出荷量のピークの発生時期と、前記第2解析期間における前記第2アイテムの出荷量のピークの発生時期とを解析し、前記解析の結果に基づいて定義された特徴量を含むモデルの学習を実行する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、予測精度の向上に寄与する特徴量を含むモデルを生成することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1の需要予測システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】実施例1の計算機の機能部の詳細を説明する図である。
【
図3】実施例1の出荷履歴管理情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】実施例1の解析期間情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】実施例1の特徴量情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】実施例1の特徴量調整部が実行する処理の概要を説明するフローチャートである。
【
図7A】実施例1の特徴量調整部が実行する変更パターン生成処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図7B】実施例1の特徴量調整部が実行する変更パターン生成処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図8】実施例1の特徴量調整部が実行する検証処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図9A】実施例1の表示部が表示する画面の一例を示す図である。
【
図9B】実施例1の表示部が表示する画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。以下に説明する発明の構成において、同一又は類似する構成又は機能には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」等の表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数又は順序を限定するものではない。図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、及び範囲等は、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、及び範囲等を表していない場合がある。したがって、本発明では、図面等に開示された位置、大きさ、形状、及び範囲等に限定されない。
【実施例0013】
図1は、実施例1の需要予測システムの構成の一例を示す図である。
【0014】
需要予測システムは、少なくとも一つの計算機100から構成される計算機システムである。計算機100は、CPU110、IOインタフェース111、ネットワークインタフェース112、主記憶装置113、及び副記憶装置114を有する。各ハードウェアはバスを介して互いに接続される。
【0015】
CPU110は、主記憶装置113に格納されるプログラムを実行する。CPUがプログラムにしたがって処理を実行することによって、特定の機能を実現する機能部(モジュール)として動作する。以下の説明では、機能部を主語に処理を説明する場合、CPUが当該機能部を実現するプログラムを実行していることを示す。
【0016】
IOインタフェース111は外部装置と接続するためのインタフェースである。計算機100は、IOインタフェース111を介して入力装置101及び出力装置102と接続する。入力装置101は、キーボード、マウス、及びタッチパネル等である。出力装置102は、ディスプレイ及びプリンタ等である。
【0017】
ネットワークインタフェース112は、ネットワーク103を介して外部装置と接続するためのインタフェースである。ネットワーク103は、WAN(Wide Area Network)及びLAN(Local Area Network)等である。ネットワーク103の接続形式は有線及び無線のいずれでもよい。
【0018】
主記憶装置113は、CPU110が実行するプログラム及びプログラムが使用するデータを格納する。また、主記憶装置113は、プログラムが一時的に使用するワークエリアを含む。主記憶装置113は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等である。
【0019】
主記憶装置113は、入力部120、予測部121、特徴量調整部122、及び表示部123を実現するプログラムを格納する。なお、主記憶装置113は、OS(Operating System)等、図示しないプログラムを格納しているが、本実施例では省略している。
【0020】
入力部120は、入力装置101又はネットワーク103を介して、ユーザからの各種入力を受け付ける。予測部121は、予測期間におけるアイテムの需要を予測し、予測の結果を出力する。予測期間は、アイテムの需要を予測する時間範囲であり、例えば、年、月、及び週である。なお、予測期間はこれらに限定されない。予測期間は予め設定されているものとする。特徴量調整部122は、既存の予測モデルの予測精度が悪化した場合、又は、既存の予測モデルを用いて新たな予測対象に適用する予測モデルを生成する場合、既存の予測モデルの特徴量を調整する。表示部123は、出力装置102を介して、ユーザに対して予測の結果及び特徴量に関する情報等を提示する。なお、計算機100は、ネットワーク103を介して通信可能に接続されたユーザ端末からデータを受信することで、ユーザからの入力を受け付け、かつ、出力装置102で出力すべき出力をユーザ端末に送信することで、ユーザ端末にデータを出力してもよい。
【0021】
副記憶装置114は、データを永続的に格納する。副記憶装置114は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)等である。
【0022】
副記憶装置114は、出荷履歴管理情報130、入力データ管理情報131、及び予測モデル管理情報132を格納する。なお、副記憶装置114には、アイテムの特性を管理する情報等、図示しない情報を格納しているが、本実施例では省略している。
【0023】
出荷履歴管理情報130は、過去のアイテムの出荷に関するデータ(出荷履歴)を格納する。出荷履歴には計測期間におけるアイテムの出荷量等が含まれる。計測期間は、例えば、日、週、及び月等である。なお、計測期間はこれらに限定されない。出荷履歴管理情報130のデータ構造については
図2を用いて説明する。
【0024】
入力データ管理情報131は、予測モデルに入力する入力データを格納する。入力データは、例えば、アイテム種別、アイテムの入荷量、アイテムの出荷量、及びセールの有無等の項目の値を含む。予測モデルに直接入力データを入力してもよいし、前処理が実行された入力データを入力してもよい。なお、出荷履歴そのものを入力データとして扱ってもよい。この場合、入力データ管理情報131は出荷履歴管理情報130と同一視できる。
【0025】
予測モデル管理情報132は、アイテムの需要を予測する数学的モデル(予測モデル)の定義情報を格納する。予測モデル管理情報132には、特徴量に関する情報と、アイテムの種別及びカテゴリ等のアイテムの特性、並びに、倉庫の特性に応じたモデルの定義情報とが格納される。予測モデルは、例えば、決定木及びニューラルネットワーク等である。なお、本発明は、予測モデルの種別及び構造に限定されない。
【0026】
なお、需要予測システムは、複数の計算機100から構成されてもよい。この場合、複数の計算機100に機能部が分散して配置される。例えば、一つの計算機100に入力部120が配置され、一つの計算機100に予測部121が配置され、一つの計算機100に特徴量調整部122が配置され、一つの計算機100に表示部123が配置される。
【0027】
なお、主記憶装置113に格納されるプログラム及びデータは副記憶装置114に格納されてもよい。この場合、CPU110は、副記憶装置114からプログラム及びデータを読み出し、主記憶装置113に格納する。
【0028】
図2は、実施例1の計算機100の機能部の詳細を説明する図である。
【0029】
入力部120は、第2アイテムの第1期間の入力データを含む入力データ情報211を予測部121に入力し、第2アイテムの第2期間の出荷履歴を含む出荷履歴情報212を特徴量調整部122に入力し、第1アイテムの予測モデル213を予測部121及び特徴量調整部122に入力する。なお、入力データ情報211の計測期間は、出荷履歴情報212の計測期間と同一である。また、第1期間の時間幅は、第2期間の時間幅と同一である。第1期間の時間幅は、例えば、1年である。
【0030】
ここで、アイテム及び期間の組合せは以下のいずれかである。
(パターン1)第1アイテム及び第2アイテムは同一であるが、第1期間及び第2期間が異なる。
(パターン2)第1期間及び第2期間は同一であるが、第1アイテム及び第2アイテムが異なる。
(パターン3)第1アイテム及び第2アイテムが異なり、かつ、第1期間及び第2期間が異なる。
【0031】
パターン1は、既存モデルの予測精度の低下に伴って、特徴量を調整する場面を想定したものである。パターン2及びパターン3は、新規アイテムの予測モデルを生成する場面を想定したものである。
【0032】
予測部121は、第1アイテムの予測モデル213を取得し、入力データ情報211を予測モデル213に入力することによって予測出荷量情報214を生成し、特徴量調整部122に出力する。
【0033】
特徴量調整部122の解析期間特定部201は、出荷履歴情報212及び予測出荷量情報214に基づいて解析期間を抽出し、解析期間情報215を生成する。解析期間は、計測期間より短い期間であって、特徴量に関する解析を行う期間である。
【0034】
変更パターン生成部202は、解析期間における二つの出荷パターンの違いに基づいて、既存モデルからの特徴量の変更パターンを生成し、変更パターンリスト216として出力する。
【0035】
検証部203は、予測モデル213及び変更パターンリスト216に基づいて予測モデル213の特徴量を変更して、予測モデル213の学習を実行する。また、検証部203は、予測部121に更新された予測モデル213を用いた予測を実行させる。検証部203は、出荷量の予測結果に基づいて、予測精度の向上に寄与する特徴量を特定し、新たな予測モデルに使用する特徴量を選択する。検証部203は、処理の結果を特徴量情報217として表示部123に出力する。
【0036】
表示部123は、特徴量調整部122から出力された特徴量情報217に基づいて、特徴量に関する情報を提示する。
【0037】
なお、計算機100が有する各機能部については、複数の機能部を一つの機能部にまとめてもよいし、一つの機能部を機能毎に複数の機能部に分けてもよい。例えば、変更パターン生成部202が解析期間特定部201を有してもよい。
【0038】
なお、入力部120は、入力データ情報211の代わりに、予測モデル213を用いた予測との誤差が小さい第2アイテムの出荷履歴情報を特徴量調整部122に入力してもよい。この場合、解析期間特定部201は、二つの出荷履歴に基づいて解析期間を抽出する。
【0039】
図3は、実施例1の出荷履歴管理情報130のデータ構造の一例を示す図である。
【0040】
出荷履歴管理情報130は、複数のアイテムの出荷履歴を格納する。具体的には、出荷履歴管理情報130は、アイテムID301、出荷日302、及び出荷量303を含むエントリを格納する。一つのエントリが一つの出荷履歴に対応する。
図3に示す出荷履歴管理情報130には、計測期間が一日である出荷履歴が格納される。
【0041】
アイテムID301は、アイテムの識別情報を格納するフィールドである。出荷日302は、アイテムの出荷日を格納するフィールドである。出荷量303は、一日のアイテムの出荷量を格納するフィールドである。
【0042】
図4は、実施例1の解析期間情報215のデータ構造の一例を示す図である。
【0043】
解析期間情報215は、期間ID401、解析期間402、及び相違パターン403を含むエントリを格納する。一つのエントリが一つの解析期間に対応する。
【0044】
期間ID401は解析期間の識別情報を格納するフィールドである。解析期間402は、解析期間を格納するフィールドである。相違パターン403は、二つの出荷領の時系列の違いのパターンを示す値を格納するフィールドである。相違パターン403には「第1」及び「第2」のいずれかが格納される。「第1」は、第2アイテムの出荷予測の時系列の方に特徴的なピークがあることを表す。「第2」は、第2アイテムの出荷履歴の時系列の方に特徴的なピークがあることを表す。
【0045】
以下の説明では、相違パターン403が「第1」である解析期間を第1タイプ解析期間と記載し、相違パターン403が「第2」である解析期間を第2タイプ解析期間と記載する。
【0046】
図5は、実施例1の特徴量情報217のデータ構造の一例を示す図である。
【0047】
特徴量情報217は、特徴量名501、特徴量説明502、対応特徴量名503、及び新規フラグ504を含むエントリを格納する。一つのエントリが一つの特徴量に対応する。
【0048】
特徴量名501は、特徴量の名称を格納するフィールドである。特徴量説明502は、特徴量の意味、特徴量が取り得る値等、特徴量に関する説明を格納するフィールドである。対応特徴量名503は、特徴量の生成時に使用した特徴量の名称を格納するフィールドである。新規フラグ504は、新たに生成された特徴量であるか否かを示すフラグを格納するフィールドである。新規フラグ504には、新たに生成された特徴量であることを示す「1」及び既存特徴量であることを示す「0」のいずれかが格納される。
【0049】
図6は、実施例1の特徴量調整部122が実行する処理の概要を説明するフローチャートである。
【0050】
特徴量調整部122は、第2アイテムの予測出荷量情報214及び第2アイテムの出荷履歴情報212を取得する(ステップS101)。
【0051】
次に、特徴量調整部122の解析期間特定部201は、予測出荷量情報214及び出荷履歴情報212に基づいて解析期間を特定し、解析期間情報215を生成する(ステップS102)。具体的には、以下のような処理が実行される。
【0052】
(S102-1)解析期間特定部201は、変数t1に予測出荷量情報214の第1期間の開始日時を設定し、変数t2に出荷履歴情報212の第2期間の開始日時を設定する。
【0053】
(S102-2)解析期間特定部201は、予測出荷量情報214から、変数t1から処理時間範囲分の出荷予測の時系列を取得し、出荷履歴情報212から、変数t2から処理時間範囲分の出荷履歴の時系列を取得する。ここで、処理時間範囲は、第1期間より短い期間であって、任意に設定できる。処理時間範囲は、例えば、1ヶ月である。
【0054】
(S102-3)解析期間特定部201は、処理時間範囲内の各計測期間の出荷量の誤差の絶対値を算出し、また、誤差の絶対値の合計を算出する。
【0055】
(S102-4)解析期間特定部201は、誤差の絶対値の合計が第1閾値より大きく、かつ、計測期間の出荷量の誤差の絶対値の最大値が第2閾値より大きいか否かを判定する。第1閾値及び第2閾値は任意に設定できる。例えば、平均誤差の2倍を第1閾値として設定できる。
【0056】
(S102-5)前述の条件を満たす場合、解析期間特定部201は、時間範囲を解析期間として解析期間情報215に登録する。相違パターン403の値は誤差に基づいて設定される。すなわち、出荷履歴の時系列の方にピークがある場合、相違パターン403は「第2」となり、出荷予測の時系列の方にピークがある場合、相違パターン403は「第1」となる。
【0057】
(S102-6)解析期間特定部201は、変数t1及び変数t2に処理時間範囲を加算する。
【0058】
(S102-7)解析期間特定部201は、変数t1が第1期間の終了時刻を経過しておらず、かつ、変数t2が第2期間の終了時刻を経過しいないか否かを判定する。前述の条件を満たさない場合、解析期間特定部201は、S102-2に戻り、同様の処理を実行する。前述の条件を満たさない場合、解析期間特定部201はステップS102の処理を終了する。
【0059】
以上のように、本実施例では、誤差が大きく、かつ、第2アイテムの出荷履歴の時系列及び出荷予測の時系列のいずれかに特徴的なピークが存在する期間が解析期間として抽出される。
【0060】
次に、特徴量調整部122の変更パターン生成部202は、変更パターン生成処理を実行する(ステップS103)。変更パターン生成処理の詳細は
図7A及び
図7Bを用いて説明する。
【0061】
次に、特徴量調整部122の検証部203は、検証処理を実行し(ステップS104)、特徴量情報217を表示部123に出力する(ステップS105)。検証処理の詳細は
図8を用いて説明する。
【0062】
図7A及び
図7Bは、実施例1の特徴量調整部122が実行する変更パターン生成処理の一例を説明するフローチャートである。
【0063】
変更パターン生成部202は、解析期間情報215を参照し、第1タイプ解析期間のみが存在するか否かを判定する(ステップS201)。
【0064】
第1タイプ解析期間のみが存在する場合、変更パターン生成部202は第1タイプ解析期間のループ処理を開始する(ステップS202)。具体的には、変更パターン生成部202は第1タイプ解析期間を一つ選択する。
【0065】
変更パターン生成部202は、予測出荷量情報214の選択した第1タイプ解析期間の出荷予測の時系列に基づいて追加候補特徴量を生成する(ステップS203)。
【0066】
具体的には、変更パターン生成部202は、出荷量が最大となる日時(ピーク日時)に関する特徴量を追加候補特徴量として生成する。当該特徴量は、例えば、セール日を表すフラグであり、現在の日時がセール日の場合「1」となり、現在の日時がセール日でない場合「0」となる。
【0067】
変更パターン生成部202は、全ての第1タイプ解析期間について処理が完了したか否かを判定する(ステップS204)。
【0068】
全ての第1タイプ解析期間について処理が完了していない場合、変更パターン生成部202は、ステップS202に戻り、同様の処理を実行する。
【0069】
全ての第1タイプ解析期間について処理が完了した場合、変更パターン生成部202は、変更パターンを生成する(ステップS205)。変更パターンは、識別情報と、一つ以上の特徴量の識別情報とから構成される。変更パターン生成部202は、生成した変更パターンを変更パターンリスト216に登録する。
【0070】
具体的には、変更パターン生成部202は、既存の特徴量と、一つ以上の追加候補特徴量とを含む変更パターンを生成する。複数の追加候補特徴量が存在する場合、二つ以上の変更パターンが生成される。なお、生成する変更パターンの数に上限を設けてもよい。なお、変更パターンには、既存の特徴量がそのまま含まれる。
【0071】
ステップS201において、第1タイプ解析期間以外の解析期間を含むと判定された場合、変更パターン生成部202は、第2タイプ解析期間のみが存在するか否かを判定する(ステップS206)。
【0072】
第2タイプ解析期間のみが存在する場合、変更パターン生成部202は第2タイプ解析期間のループ処理を開始する(ステップS207)。具体的には、変更パターン生成部202は第2タイプ解析期間を一つ選択する。
【0073】
変更パターン生成部202は、出荷履歴情報212の選択した第2タイプ解析期間の出荷履歴の時系列に基づいて削除候補特徴量を特定する(ステップS208)。
【0074】
具体的には、変更パターン生成部202は、出荷量が最大となる日時(ピーク日時)に関する特徴量を削除候補特徴量として特定する。
【0075】
変更パターン生成部202は、全ての第2タイプ解析期間について処理が完了したか否かを判定する(ステップS209)。
【0076】
全ての第2タイプ解析期間について処理が完了していない場合、変更パターン生成部202は、ステップS207に戻り、同様の処理を実行する。
【0077】
全ての第2タイプ解析期間について処理が完了した場合、変更パターン生成部202は、変更パターンを生成する(ステップS210)。変更パターン生成部202は、生成した変更パターンを変更パターンリスト216に登録する。
【0078】
具体的には、変更パターン生成部202は、既存の特徴量から一つ以上の削除候補特徴量を削除した変更パターンを生成する。複数の削除候補特徴量が存在する場合、二つ以上の変更パターンが生成される。なお、生成する変更パターンの数に上限を設けてもよい。なお、変更パターンには、削除候補特徴量以外の既存の特徴量がそのまま含まれる。
【0079】
ステップS206において、第1タイプ解析期間及び第2タイプ解析期間を含むと判定された場合、変更パターン生成部202は、第1タイプ解析期間及び第2タイプ解析期間を組み合わせて期間ペアを生成する(ステップS211)。
【0080】
変更パターン生成部202は、期間ペアのループ処理を開始する(ステップS212)。具体的には、変更パターン生成部202は期間ペアを一つ選択する。
【0081】
変更パターン生成部202は、追加候補特徴量を生成し、また、削除候補特徴量を特定する(ステップS213)。追加候補特徴量の生成方法はステップS203と同様の方法であり、また、削除候補特徴量の特定方法はステップS208と同様の方法である。なお、追加候補特徴量の生成において、変更パターン生成部202は、削除候補特徴量に基づいて、追加候補特徴量を生成してもよい。例えば、第2タイプ解析期間の第1日目に関する特徴量が削除候補特徴量である場合、変更パターン生成部202は、第1タイプ解析期間の第1日目に関する特徴量を追加候補特徴量として生成する。
【0082】
変更パターン生成部202は、全ての期間ペアについて処理が完了したか否かを判定する(ステップS214)。
【0083】
全ての期間ペアについて処理が完了していない場合、変更パターン生成部202は、ステップS212に戻り、同様の処理を実行する。
【0084】
全ての期間ペアについて処理が完了した場合、変更パターン生成部202は、変更パターンを生成する(ステップS215)。変更パターン生成部202は、生成した変更パターンを変更パターンリスト216に登録する。
【0085】
具体的には、変更パターン生成部202は、一つ以上の追加候補特徴量を追加し、また、既存の特徴量から一つ以上の削除候補特徴量を削除した変更パターンを生成する。なお、生成する変更パターンの数に上限を設けてもよい。なお、変更パターンには、削除候補特徴量以外の既存の特徴量がそのまま含まれる。
【0086】
図8は、実施例1の特徴量調整部122が実行する検証処理の一例を説明するフローチャートである。
【0087】
検証部203は、予測モデル213及び変更パターンリスト216を取得し(ステップS301)、また、第2アイテムの入力データ情報211及び出荷履歴情報を取得する(ステップS302)。第2アイテムの出荷履歴情報は予測の正解データとして扱われる。
【0088】
検証部203は、変更パターンのループ処理を開始する(ステップS303)。具体的には、検証部203は変更パターンを一つ選択する。
【0089】
検証部203は、変更パターンに基づいて特徴量を設定し、予測モデル213の学習処理を実行する(ステップS304)。これによって、既存の予測モデル213から新たな予測モデルが生成される。なお、学習方法は公知の方法を用いればよいため詳細な説明は省略する。
【0090】
検証部203は、新たな予測モデル及び入力データ情報211を予測部121に入力し、予測の実行を指示する(ステップS305)。検証部203は、予測部121から予測出荷量情報214を取得する。
【0091】
検証部203は、第2アイテムの出荷履歴情報及び予測出荷量情報214に基づいて新たな予測モデルの評価指標を算出する(ステップS306)。例えば、検証部203は、出荷実績と出荷予測との間の平均二乗誤差を算出する。
【0092】
検証部203は、全ての変更パターンについて処理が完了したか否かを判定する(ステップS307)。
【0093】
全ての変更パターンについて処理が完了していない場合、検証部203は、ステップS303に戻り、同様の処理を実行する。
【0094】
全ての変更パターンについて処理が完了した場合、検証部203は、評価指標に基づいて特徴量を選択する(ステップS308)。例えば、検証部203は、予測精度が最も向上する変更パターンに基づいて特徴量を選択してもよいし、検証部203は、予測精度が向上する複数の変更パターンを組み合わせて、特徴量を選択してもよい。
【0095】
図9A及び
図9Bは、実施例1の表示部123が表示する画面の一例を示す図である。
【0096】
表示部123は、特徴量情報217に基づいて画面900を表示するための表示情報を生成する。
【0097】
画面900には、特徴量情報217が表示される。ユーザが、追加候補特徴量をダブルクリックした場合、表示部123は、
図9Bに示すような画面910を表示する。
【0098】
画面910には、アイテムの出荷予測を示すグラフが表示される。追加候補特徴量に対応する日時を示すシンボルと、追加候補特徴量の生成に用いた既存特徴量に対応する日時を示すシンボルとが、グラフに重畳して表示される。
【0099】
なお、変更パターン及び評価指標を画面900に表示し、ユーザが特徴量を選択できるようにしてもよい。
【0100】
本発明によれば、特徴量調整部122は、任意期間におけるアイテムの出荷量の予測精度の向上に寄与する特徴量を選択し、予測精度が高い予測モデルを生成することができる。
【0101】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成に追加、削除、置換することが可能である。
【0102】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、本発明は、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をコンピュータに提供し、そのコンピュータが備えるプロセッサが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
【0103】
また、本実施例に記載の機能を実現するプログラムコードは、例えば、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Python、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
【0104】
さらに、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することによって、それをコンピュータのハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、コンピュータが備えるプロセッサが当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしてもよい。
【0105】
上述の実施例において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていてもよい。