(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104162
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】制御システム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/54 20060101AFI20230721BHJP
【FI】
H04M3/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004989
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】筒見 拓也
(72)【発明者】
【氏名】イ サンウォン
【テーマコード(参考)】
5K201
【Fターム(参考)】
5K201AA05
5K201AA10
5K201BC08
5K201BC14
5K201BC28
5K201CB05
5K201CD05
5K201EC06
(57)【要約】
【課題】 電話の転送が行われ、かつRBTの間にガイダンスが挿入される等の場合であっても、適切に発信元のユーザに転送を隠蔽する。
【解決手段】 AS10は、移動体通信システムに含まれる制御システムであって、移動体通信システムは、発信端末から着信端末との間の呼接続を確立するための発信信号を受信して、着信先毎に予め設定された転送先に応じて発信信号を転送すると共に、着信先に対応するRBTを発信端末に送出し、AS10は、転送される発信信号に、発信端末に送出されるRBTに対応する着信先を示す着信先情報を付与する付与部11と、発信端末へのRBTの送出を中止させる制御を行う中止制御部12と、発信端末に対するRBTの送出が中止された後に、着信先情報によって示される着信先に対応するRBTを再度、発信端末に送出するように制御する再送制御部13とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体通信システムに含まれる制御システムであって、
前記移動体通信システムは、発信端末から着信端末との間の呼接続を確立するための発信信号を受信して、着信先毎に予め設定された転送先に応じて発信信号を転送すると共に、着信先に対応するRBTを発信端末に送出し、
前記制御システムは、
転送される発信信号に、前記発信端末に送出されるRBTに対応する着信先を示す着信先情報を付与する付与部と、
前記発信端末へのRBTの送出を中止させる制御を行う中止制御部と、
前記中止制御部の制御によって前記発信端末に対するRBTの送出が中止された後に、前記付与部によって付与された着信先情報によって示される着信先に対応するRBTを再度、発信端末に送出するように制御する再送制御部と、
を備える制御システム。
【請求項2】
前記中止制御部は、前記発信端末へのRBTの送出を中止させる制御を行った後、前記発信端末へRBT以外の音声を送出する制御を行い、
前記再送制御部は、前記中止制御部の制御によって前記発信端末へRBT以外の音声が送出された後に、RBTを再度、発信端末に送出するように制御する、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記RBT以外の音声は、着信先に関するガイダンスである請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記付与部は、着信先情報を発信信号の転送履歴の情報に含めて発信信号に付与する請求項1~3の何れか一項に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信システムに含まれる制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、在宅勤務中にもオフィスへの電話を他の電話番号で着信するため、移動体通信システムの転送電話サービスが利用されている。移動体通信システムにおいて、発信先に対して転送先が設定されている場合、発信元からの電話は転送先に転送される。転送先にも更に別の転送先が設定されている場合、発信元からの電話は更に別の転送先に転送される。転送先でも転送処理が連続的に行われる場合を多段転送と呼ぶ。
【0003】
転送電話では、標準規定上、電話を転送する事実を発信元に知らせない機能を転送元(転送先が設定されている発信先)で設定する(以下、隠蔽設定と呼ぶ)ことが可能である(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TS 24.604 V16.0.0:“Communication Diversion (CDIV) using IP Multimedia (IM) Core Network (CN) subsystem;Protocol specification”,Mar.2020.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
転送を隠蔽する機能は、例えば、転送先において受信応答が行われるまで、転送元が発信元にRBT(リングバックトーン)を流し続け、発信元にあたかも着信端末を呼出中であるようにみせかけることで実現される。
【0006】
移動体通信システムにおいて、RBTは、着信先となる電話番号毎に設定することができる。従って、電話の転送が行われる場合に、RBTは、転送先毎に異なるものとなり得る。このような状況においても、転送処理の隠蔽が達成されるよう、発信元には、隠蔽設定した最初の転送元に対応するRBTが送出されて、転送が行われても以降の転送先に対応するRBTは送出されない。
【0007】
しかしながら、多段転送時にRBT送出中に転送先に対応するガイダンスが挿入される場合には、転送の隠蔽ができない可能性がある。例えば、転送先に関する情報をガイダンスとして発信元に送出する場合である。
【0008】
発信時に行われる、発信元へのRBT又はガイダンス等の音声の送出には、発信元と移動体通信システムに含まれる音声の送出元との間にメディアリソースが確立されて、確立されたメディアリソースが用いられて行われる。メディアリソースは、発信元あたり1つしか確立できないという制約があるため、ガイダンスを挿入する場合にはRBT用のメディアリソースを解放して、ガイダンス用のメディアリソースが確立される。ガイダンスが終了すると、その後、RBT用のメディアリソースが改めて確立されてRBTが発信元に送出される。
【0009】
ガイダンス前に送出されるRBTは、上記の通り、最初の転送元に対応するRBTである。ガイダンス後は、移動体通信システムでは転送先に対応する処理が行われるが、通常、この際にガイダンス前に何れの電話番号に対応するRBTが送出されていたか把握できない。従って、例えば、ガイダンス後に転送先に対応するRBTを送出することとすると、最初の転送元に対応するRBTと転送先に対応するRBTとが異なるおそれがある。これらのRBTが異なっていると、発信元のユーザに聞こえるRBTがガイダンスの前後で異なったものとなる。このため、発信元のユーザは、異なるRBTを聞くこととなり、電話が転送されていることを認識してしまう可能性がある。即ち、転送の隠蔽が適切に行えないおそれがある。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、電話の転送が行われ、かつRBTの間にガイダンスが挿入される等の場合であっても、適切に発信元のユーザに転送を隠蔽することができる制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明に係る制御システムは、移動体通信システムに含まれる制御システムであって、移動体通信システムは、発信端末から着信端末との間の呼接続を確立するための発信信号を受信して、着信先毎に予め設定された転送先に応じて発信信号を転送すると共に、着信先に対応するRBTを発信端末に送出し、制御システムは、転送される発信信号に、発信端末に送出されるRBTに対応する着信先を示す着信先情報を付与する付与部と、発信端末へのRBTの送出を中止させる制御を行う中止制御部と、中止制御部の制御によって発信端末に対するRBTの送出が中止された後に、付与部によって付与された着信先情報によって示される着信先に対応するRBTを再度、発信端末に送出するように制御する再送制御部と、を備える。
【0012】
本発明に係る制御システムでは、着信先情報が用いられることで、送出の中止前のRBTと、発信信号の転送後に再送されるRBTとを同一の着信先に対応するものとすることができる。従って、本発明に係る制御システムによれば、電話の転送が行われ、かつRBTの間にガイダンスが挿入される等の場合であっても、適切に発信元のユーザに転送を隠蔽することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電話の転送が行われ、かつRBTの間にガイダンスが挿入される等の場合であっても、適切に発信元のユーザに転送を隠蔽することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る制御システムであるAS(Application Server)を含む移動体通信システムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る制御システムであるASの機能構成を示す図である。
【
図3】発信信号に付与される転送履歴の情報の例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る制御システムであるASを含む移動体通信システムで実行される処理を示すシーケンス図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る制御システムであるASのハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面と共に本発明に係る制御システムの実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1に本実施形態に係る制御システムであるAS10(AS10-1,AS10-2,…,AS10-nの総称)を示す。AS10は、移動体通信システム1に含まれるシステム(ノード、装置)である。移動体通信システム1は、移動機端末であるUE(User Equipment)2に移動通信機能を提供するシステム(通信網)である。移動体通信システム1は、例えば、IMS(IP Multimedia Subsystem)に準拠したシステムである。但し、移動体通信システム1は、本実施形態と同様の枠組みで実施し得るシステムであれば、IMS以外のシステムであってもよい。
【0017】
移動体通信システム1は、UE2に電話機能を提供する。移動体通信システム1は、UE2と別のUE2との間に電話機能に用いられる呼接続を確立する。移動体通信システム1は、発信端末であるUE2から着信端末である別のUE2に対する発信信号を受信して別のUE2に対する呼び出しを行い、呼び出しに対して別のUE2が応答すると呼接続を確立する。移動体通信システム1は、着信先毎に予め設定された転送先に発信端末からの発信を転送する。即ち、移動体通信システム1は、転送電話の機能を有している。移動体通信システム1は、転送電話のために着信先毎に予め設定された転送先に応じて発信信号を転送する。また、移動体通信システム1は、発信端末からの発信があった際にRBTを発信端末に送出する。移動体通信システム1は、例えば、SIP(Session Initiation Protocol)によって上記の電話機能を提供する。但し、SIP以外で電話機能が提供されてもよい。
【0018】
UE2は、ユーザによって用いられて、移動体通信システム1を介して移動体通信を行う機能を有する装置である。UE2は、例えば、従来の携帯電話機又はスマートフォンである。移動体通信システム1の通信事業者から提供されるSIMカード(Subscriber Identity Module Card)がUE2に挿入されることで、UE2は、移動体通信システム1を介した移動体通信が可能となる。SIMカードには、電話番号であるMSISDN(Mobile Subscriber ISDN Number)が設定されている。移動体通信システム1は、発信元(発信端末)及び着信先(着信端末)をMSISDNで識別する。UE2は、移動体通信システム1によって別のUE2との間で確立された呼接続を介して音声通信を行う。
【0019】
図1に示すように、移動体通信システム1は、本実施形態に係る制御システムであるAS10に加えて、CSCF(Call Session Control Function)20(CSCF20-1,CSCF20-2,…,CSCF20-nの総称)と、MRF(Media Resource Function)30(MRF30-1,MRF30-2,…,MRF30-nの総称)とを備える。
【0020】
AS10は、移動体通信の音声に係る付加サービス(例えば、転送電話及び留守番電話)の制御を行う装置(ノード)である。CSCF20は、移動体通信の音声に係る音声呼制御を行う装置(ノード)である。MRF30は、UE2に対してメディア情報である音声(例えば、RBT及びガイダンス)を送出する装置(ノード)である。
【0021】
図1に示すように、移動体通信システム1は、AS10、CSCF20及びMRF30をそれぞれ複数備えている。UE2のMSISDN毎に、処理を行うAS10、CSCF20及びMRF30が予め設定される。当該設定は、例えば、MSISDNの番号帯、UE2の地理的な位置又は各装置(ノード)の処理負荷等に基づいて行われる。
図1に示すように、移動体通信システム1は、MSISDN毎のAS10、CSCF20及びMRF30の組である呼処理システム100(呼処理システム100-1,呼処理システム100-2,…,呼処理システム100-nの総称)を有する。各呼処理システム100の中ではAS10及びMRF30それぞれとCSCF20とが接続されている。異なる呼処理システム100のCSCF20同士が接続されている。これらの接続を介して装置(ノード)間の電話に係る信号のやり取りが行われる。
【0022】
移動体通信システム1を構成する各装置10,20,30は、サーバ装置等のコンピュータによって構成されている。また、移動体通信システム1は、通常、従来の移動体通信システムに含まれる上記以外の装置も含む。なお、上記の転送電話及びRBTの発信端末の送出の機能を含む移動体通信システム1の機能は、以下に説明する機能を除いて従来と同様のものであってもよい。
【0023】
引き続いて、本実施形態に係る制御システムであるAS10の機能を説明する。また、以下では、AS10の機能に対応するCSCF20及びMRF30の機能も説明する。
図2に示すようにAS10は、付与部11と、中止制御部12と、再送制御部13とを備えて構成される。
【0024】
付与部11は、転送される発信信号に、発信端末に送出されるRBTに対応する着信先を示す着信先情報を付与する機能部である。付与部11は、着信先情報を発信信号の転送履歴の情報に含めて発信信号に付与してもよい。付与部11は、AS10が発信信号に係るRBTの送出を最初にMRF30に指示すると共に発信信号の転送をCSCF20に指示する際の機能部である。
【0025】
UE2から別のUE2を着信先とする発信信号(例えば、SIP_INVITE、SIP呼)が送信されると、移動体通信システム1では以下の処理が行われる。移動体通信システム1では、当該発信信号が受信される。発信信号には、発信元及び着信先のMSISDNが含まれている。また、移動体通信システム1では、HLR(Home Location Register)等によって、MSISDNと、当該MSISDNについて処理を行うAS10、CSCF20及びMRF30とが予め対応付けられて記憶されている。移動体通信システム1では、予め記憶された上記の情報に基づいて、発信信号が、着信先のMSISDNについて処理を行うCSCF20に送信される。なお、以下に示す発信信号が転送される際も、上記と同様に移動体通信システム1に記憶された対応付けの情報に基づいて、転送先のMSISDNについて処理を行うCSCF20に送信される。CSCF20は、送信された発信信号を受信して、自身と同じ呼処理システム100のAS10に送信する。
【0026】
AS10は、発信信号を受信する。AS10は、発信信号に含まれる着信先のMSISDNを参照して、当該着信先に対して設定されている転送先のMSISDNを取得する。移動体通信システム1では、HLR等によって、着信先のMSISDN毎に転送先のMSISDNが予め記憶されている。なお、記憶されている転送先のMSISDNがない着信先のMSISDNについては、転送は行われない。AS10は、移動体通信システム1に予め記憶された上記の情報を取得する。
【0027】
着信先に転送先が設定されている場合、AS10は、自身と同じ呼処理システム100のCSCF20(発信信号をAS10に送信したCSCF20)に、発信信号を転送先のMSISDNについて処理を行うCSCF20に送信するよう指示する。AS10から指示を受けたCSCF20は、指示に従って発信信号を送信(転送)する。例えば、
図1において、発信信号の宛先(転送元)のMSISDNが、呼処理システム100-1によって処理される「MSN1」であり、転送先が呼処理システム100-2によって処理される「MSN2」である場合、CSCF20-1からCSCF20-2に発信信号が転送される。転送先である着信先に更に転送先が設定されている場合、上記と同様に更に発信信号の転送が行われる。
【0028】
発信信号の転送が行われる際、AS10は、発信信号に、転送履歴の情報(例えば、規格で規定されるHistory-infoの情報)を付与する。転送履歴の情報には、転送先及び転送元を示す情報である、それぞれのMSISDNが含められる。また、転送履歴の情報には、転送元の順番、即ち、当該発信信号について転送が複数回行われる場合、複数回のうちの何度目の転送元であるかを示す情報が含められる。
【0029】
図3に転送履歴の情報の例を示す。
図3(a)は、1回の転送が行われる場合(その後更に転送が行われてもよい)の例である。
図3(b)は、複数回の転送が行われる場合の例である。「宛先」が、転送先のMSISDN(
図3(a)のMSN2、
図3(b)のMSNn)である。なお、発信信号について転送が複数回行われる場合、「宛先」は、AS10によって、最新の転送先のMSISDNに書き換えられる。「転送履歴」が、転送元のMSISDN及び当該転送元の順番の組み合わせである。
図3(a)の転送履歴の情報では、1回目の転送元(index=1)がMSN1である。
図3(b)の転送履歴の情報では、1回目の転送元(index=1)がMSN1であり、2回目の転送元(index=2)がMSN2である。
【0030】
また、発信信号を受信したAS10は、発信元のUE2にRBTを送出するように制御を行う。AS10は、自身と同じ呼処理システム100のMRF30に、発信元のUE2にRBTを送出するよう指示する。MRF30へのRBT送出の指示は、CSCF20を経由して行われる。指示を受けたMRF30は、発信元のUE2にRBTを送出する。RBTの送出は、以下のように行われる。
【0031】
MRF30は、着信先のMSISDN毎に、発信元のUE2に送出するRBT(の音源)を予め記憶しておく。AS10からの指示には、着信先のMSISDNが含まれる。AS10から指示を受けたMRF30は、まず、発信元のUE2との間に音声を送出するための接続であるメディアリソースを確立する。MRF30は、確立したメディアリソースを介して、着信先のMSISDNに対応するRBTを発信元のUE2に送出する。発信元のUE2は、RBTを受信して音声出力、即ち、鳴動させる。MRF30からのRBTの送出、即ち、発信元のUE2でのRBTの鳴動は、別の呼処理システム100への発信信号の転送が行われた後も継続して行われる。
【0032】
発信信号が転送される場合、AS10は、転送の前の段階でRBTの送出が行われていたら、RBTの送出の制御を行わない。後述するように、RBTの送信のためのメディアリソースの解放が行われる場合には、RBTの再送の制御を行う。AS10は、転送の前の段階でRBTの送出が行われていなかったら、RBTの送出の制御を行う。この場合、その時点の着信先(転送先)のMSISDNに対応するRBTを送出するように制御する。
【0033】
着信先のMSISDNに転送先が設定されている場合、移動体通信システム1では、発信信号の転送が行われる際に、発信元のUE2に、別のMSISDNに電話の転送が行われる旨の音声のガイダンスが送出されてもよい。この場合、AS10は、自身と同じ呼処理システム100のMRF30に、発信元のUE2にガイダンスを送出するよう指示する。指示を受けたMRF30は、発信元のUE2にガイダンスを送出する。ガイダンスの送出は、以下のように行われる。MRF30は、ガイダンス(の音源)を予め記憶しておく。AS10から指示を受けたMRF30は、RBTの送信と同様にメディアリソースを確立し、確立したメディアリソースを介して、ガイダンスを発信元のUE2に送出する。なお、メディアリソースは、発信元のUE2あたり1つしか確立できない。
【0034】
また、発信元のUE2にガイダンスを送出するか否かは、着信先のMSISDN毎に予め設定されていてもよい。即ち、着信先のMSISDN毎にガイダンスのオン又はオフの設定がなされていてもよい。例えば、この設定は、着信先のMSISDNのユーザによって行われる。移動体通信システム1では、HLR等によって、着信先のMSISDN毎に上記の設定が記憶されている。AS10は、上記の設定を参照して、発信元のUE2にガイダンスを送出するか否かを判断する。
【0035】
ガイダンスをオフとすることで、電話を転送する事実を発信元のUE2のユーザに隠蔽することができる。ガイダンスがオフとなっている場合、AS10は、発信元のUE2にRBTを送出するように制御する。ガイダンスがオンとなっている場合、AS10は、発信元のUE2にガイダンスのみを送出するように制御してもよい(即ち、RBTを送出しない)し、ガイダンス終了後にRBTを送出するように制御してもよい。
【0036】
ガイダンスのみを送出するように制御する場合、上述したように転送先のAS10が、転送先のMSISDNに対応するRBTを送出するように制御する。この場合、ガイダンス用のメディアリソースは解放され、RBTを送出するMRF30は、RBT用のメディアリソースを確立してガイダンスの送出に用いる。
【0037】
AS10がMRF30にRBTの送出を指示する場合、付与部11は、転送される発信信号に、発信元のUE2(発信端末)に送出されるRBTに対応する着信先を示す着信先情報を付与する。例えば、付与部11は、着信先情報を発信信号の転送履歴の情報に含めて発信信号に付与する。但し、着信先情報の発信信号への付与は、転送履歴の情報に含める以外の方法で行われてもよい。
【0038】
図3(a)及び
図3(b)に転送履歴の情報に含められる着信先情報の例を示す。「RBT送出段数」が、着信先情報に相当する情報である。「RBT送出段数」は、RBTが送出された際の転送の回数を示している。付与部11は、発信信号に付与されている転送履歴の情報を参照することで、RBTが送出された際の転送の回数を把握できる。RBTに対応する着信先は、「RBT送出段数」によって示される回数における転送時の転送元のMSISDNである。転送履歴の情報の「RBT送出段数」と「転送履歴」とから、RBTに対応する着信先のMSISDNを特定することができる。
【0039】
図3(a)及び
図3(b)に示されるように「RBT送出段数」が1である場合、「転送履歴」の1回目の転送元(index=1)の転送元のMSISDNであるMSN1が、RBTに対応する着信先のMSISDNである。
【0040】
発信信号に含まれる着信先のMSISDNがMSN1であり、MSN1の転送先のMSISDNがMSN2であり、MSN1に対応するRBTが発信元のUE2に送出される場合、転送履歴の情報は、
図3(a)に示すものとなる。例えば、MSISDNがMSN1に係る呼処理は、呼処理システム100-1によって行われ、MSISDNがMSN2に係る呼処理は、呼処理システム100-2によって行われる場合、MRF30-1からRBTが発信元のUE2に送出され、また、
図3(a)に示す転送履歴の情報が付与された発信信号が、AS10-1の指示によってCSCF20-1からCSCF20-2に送信される。
【0041】
更に、複数回の転送が行われ、転送先のMSISDNがMSNnである場合、転送履歴の情報は、
図3(b)に示すものとなる。また、MSISDNがMSNnに係る呼処理は、呼処理システム100-nによって行われる場合、
図3(b)に示す転送履歴の情報が付与された発信信号が、CSCF20-nに送信される。
【0042】
中止制御部12は、発信端末へのRBTの送出を中止させる制御を行う機能部である。中止制御部12は、発信端末へのRBTの送出を中止させる制御を行った後、発信端末へRBT以外の音声を送出する制御を行ってもよい。RBT以外の音声は、着信先に関するガイダンスであってもよい。
【0043】
中止制御部12及び再送制御部13は、上記の付与部11とは異なり、AS10が転送される発信信号を受信すると共に発信信号に係るRBTの送出を再度MRF30に指示する際の機能部である。従って、1つの発信信号について、互いに異なるAS10に備えられる付与部11と中止制御部12及び再送制御部13とによる処理が行われ得る。即ち、複数のAS10によって本実施形態に係る制御システムが実現し得る。
【0044】
発信信号が転送されると、転送先のCSCF20が転送された発信信号を受信する。CSCF20は、転送された発信信号を自身と同じ呼処理システム100のAS10に送信する。発信信号が送信された呼処理システム100に含まれるAS10は、発信信号を受信する。AS10は、着信先のMSISDNに対応する音声のガイダンスを発信元のUE2に送出するか否かを判断する。移動体通信システム1では、HLR等によって、着信先のMSISDN毎に発信元のUE2にガイダンスを送出するか否かの設定が記憶されている。
【0045】
このガイダンスは、例えば、着信先に関する情報を発信元のUE2のユーザに通知するものである。ユーザは、UE2から音声出力されるガイダンスを聞くことで電話の発信を継続するかどうかを判断することができる。このガイダンスは、上述した別のMSISDNに電話の転送が行われる旨の音声のガイダンスとは異なっていてもよい。このガイダンスは、移動体通信システム1の通信事業者によって設定されたものであってもよい。このガイダンスは、発信信号が転送された否かにかかわらず、発信元のUE2に送出されるものであってもよい。AS10は、上記の設定を参照して、発信元のUE2にガイダンスを送出するか否かを判断する。
【0046】
発信信号が転送されたものであり(即ち、発信信号に転送履歴の情報が付与されており)、かつ、AS10が、発信元のUE2にガイダンスを送出すると判断した場合、中止制御部12は、以下のように機能する。発信信号の転送前からMRF30からRBTが発信元のUE2に送出されている場合には、RBTの送出にメディアリソースが確保されているため、ガイダンスの送信のためにメディアリソースを解放する必要がある。そのため、中止制御部12は、以下のように発信元のUE2へのRBTの送出を中止させる。なお、発信信号が転送されたものではない場合、それ以前にRBTの送出は行われておらず、RBTの送出の中止は不要である。
【0047】
中止制御部12は、発信信号に含まれる転送履歴の情報を参照して、RBTに対応する着信先のMSISDNを特定する。中止制御部12は、RBTに対応する着信先のMSISDNについての処理を行う呼処理システム100のMRF30、即ち、発信元のUE2にRBTを送出しているMRF30に、発信元のUE2へのRBTの送出の中止を指示する。MRF30へのRBT送出中止の指示は、MRF30と同じ呼処理システム100のCSCF20及びAS10を経由して行われる。
【0048】
指示先のMRF30は、中止制御部12からの指示を受け付けて、発信元のUE2へのRBTの送出を中止すると共にRBTの送出のためのメディアリソースを解放する。MRF30は、RBTの送出中止及びメディアリソースの解放を行うと指示に対する応答を中止制御部12に送信する。中止制御部12は、当該応答を受信し、自身と同じ呼処理システム100のMRF30に、発信元のUE2にガイダンスを送出するよう指示する。
【0049】
MRF30は、着信先のMSISDN毎に、発信元のUE2に送出するガイダンス(の音源)を予め記憶しておく。AS10からの指示には、着信先のMSISDNが含まれる。AS10から指示を受けたMRF30は、まず、発信元のUE2との間に音声を送出するための接続であるメディアリソースを確立する。MRF30は、確立したメディアリソースを介して、着信先のMSISDNに対応するガイダンスを発信元のUE2に送出する。MRF30は、ガイダンスの送出を終了するとメディアリソースを解放する。
【0050】
なお、新たに発信元のUE2に送出される音声は、着信先(転送先)に関するガイダンスとしたが、当該音声はRBT以外の音声であればよい。また、新たに発信元のUE2に送出される音声は、着信先(転送先)から更に別の転送先に転送が行われる場合の転送が行われる旨の音声のガイダンスであってもよい。
【0051】
再送制御部13は、中止制御部12の制御によって発信端末に対するRBTの送出が中止された後に、付与部11によって付与された着信先情報によって示される着信先に対応するRBTを再度、発信端末に送出するように制御する機能部である。再送制御部13は、中止制御部12の制御によって発信端末へRBT以外の音声が送出された後に、RBTを再度、発信端末に送出するように制御してもよい。
【0052】
中止制御部12による制御によるガイダンスの送出の終了後、再送制御部13は、再度、発信元のUE2にRBTを送出するように制御を行う。また、中止制御部12による制御によるガイダンスの送出の終了後に、再送制御部13は、発信元のUE2から発信を継続する旨のユーザの操作(例えば、予め設定された情報の送信の操作)を受け付けたら、再度、発信元のUE2にRBTを送出するように制御を行ってもよい。
【0053】
再送制御部13は、発信信号に含まれる転送履歴の情報を参照して、RBTに対応する着信先のMSISDNを特定する。再送制御部13は、RBTに対応する着信先のMSISDNについての処理を行う呼処理システム100のMRF30、即ち、RBTの送出中止前に、発信元のUE2にRBTを送出していたMRF30に、発信元のUE2へのRBTの再度の送出を指示する。MRF30へのRBT送出再開の指示は、MRF30と同じ呼処理システム100のCSCF20及びAS10を経由して行われる。
【0054】
指示先のMRF30は、再送制御部13からの指示を受け付けて、発信元のUE2との間に音声を送出するための接続であるメディアリソースを確立する。MRF30は、確立したメディアリソースを介して、着信先のMSISDNに対応するRBTを再度、発信元のUE2に送出する。
【0055】
以降の着信先のUE2への呼び出し、及び発信元のUE2と着信先のUE2との呼接続の確立等の電話機能を実現するための処理は、従来と同様に行われる。以上が、本実施形態に係る制御システムであるAS10の機能である。
【0056】
引き続いて、
図4のシーケンス図を用いて、本実施形態に係る制御システムであるAS10を含む移動体通信システム1で実行される処理(AS10が行う動作方法を含む処理)を説明する。本処理は、UE2から電話の発信が行われる際の処理である。
【0057】
本処理では、UE2から移動体通信システム1に対して、発信信号が送信される(S01)。ここでは、発信信号に設定されている着信先のMSISDNは、「MSN1」であるとする。移動体通信システム1では、着信先の「MSN1」を処理する呼処理システム100-1のCSCF20-1に、発信信号が送信される。発信信号は、CSCF20-1によって受信されて、CSCF20-1からAS10-1に送信される。続いて、AS10-1からCSCF20-1を経由して、MRF30-1へのRBT送出の指示が行われる(S02)。
【0058】
続いて、指示を受けたMRF30-1によって、発信元のUE2との間にメディアリソースが確立されて、着信先のMSISDNに対応するRBTが、メディアリソースを介して発信元のUE2に送出される(S03)。
【0059】
発信信号の着信先のMSISDNである「MSN1」には、転送先のMSISDNである「MSN2」が設定されているとする。上記の処理(S02,S03)の一方で、AS10-1によって、発信信号に転送履歴の情報が付与される(S04)。また、この際、AS10-1の付与部11によって、着信先情報が転送履歴の情報に含められて、発信信号に付与される。この際の転送履歴の情報は、
図3(a)に示すものとなる。続いて、AS10-1から、CSCF20-1に発信信号の送信が指示される(S05)。続いて、指示を受けたCSCF20-1によって、転送先の「MSN2」を処理する呼処理システム100-2のCSCF20-2に、発信信号が送信される(S06)。発信信号は、CSCF20-2によって受信されて、CSCF20-2からAS10-2に送信される。
【0060】
発信信号の着信先のMSISDNである「MSN2」には、更に設定されているとする。AS10-2によって、発信信号に転送履歴の情報が付与される(S07)。続いて、AS10-2から、CSCF20-2に発信信号の送信が指示される(S08)。続いて、指示を受けたCSCF20-2によって、転送先のMSISDNを処理する呼処理システム100のCSCF20に、発信信号が送信される(S09)。発信信号の転送が繰り返し行われ、転送先のMSISDNである「MSNn」を処理する呼処理システム100-nのCSCF20-nに、発信信号が送信される。
【0061】
発信信号は、CSCF20-nによって受信されて、CSCF20-nからAS10-nに送信される。この際の発信信号に付与されている転送履歴の情報は、
図3(b)に示すものとなる。発信信号の着信先(転送先)の「MSNn」には、発信元のUE2にガイダンスを送出する設定がされている。
【0062】
AS10-nの中止制御部12によって、発信信号に含まれる転送履歴の情報が参照されて、発信元のUE2にRBTを送出しているMRF30-1に、発信元のUE2へのRBTの送出の中止が指示される(S10)。MRF30-1へのRBT送出中止の指示は、CSCF20-n、CSCF20-1、AS10-1及びCSCF20-1を順に経由して行われる。
【0063】
続いて、指示先のMRF30-1によって、中止制御部12からの指示が受け付けられて、発信元のUE2へのRBTの送出が中止されると共にRBTの送出のためのメディアリソースが解放される(S11)。
【0064】
AS10-nの中止制御部12では、MRF30-1から指示に対する応答が受信されると、CSCF20-nを経由して、MRF30-nに、発信元のUE2へのガイダンスの送出が指示される(S12)。続いて、指示を受けたMRF30-nによって、発信元のUE2との間にメディアリソースが確立されて、着信先のMSISDNに対応するガイダンスが、メディアリソースを介して発信元のUE2に送出される(S13)。
【0065】
ガイダンスが送信されたUE2では、ガイダンスが音声出力される。ガイダンスの終了後、ユーザによって、UE2に対して発信元のUE2から電話の発信を継続する旨の操作が行わると、UE2によって当該操作が受け付けられる(S14)。操作が受け付けられた旨の情報は、UE2からAS10-nに送信される。
【0066】
AS10-nの再送制御部13では、当該情報が受信される。続いて、再送制御部13によって、発信信号に含まれる転送履歴の情報が参照されて、発信元のUE2にRBTを送出していたMRF30-1に、発信元のUE2へのRBTの送出の再開を指示する(S15)。MRF30-1へのRBT送出再開の指示は、CSCF20-n、CSCF20-1、AS10-1及びCSCF20-1を順に経由して行われる。
【0067】
続いて、指示を受けたMRF30-1によって、発信元のUE2との間にメディアリソースが確立されて、着信先のMSISDNに対応するRBTが、メディアリソースを介して発信元のUE2に再度、送出される(S16)。
【0068】
上記の処理(S15,S16)の一方で、AS10-nからCSCF20-nへの呼処理の指示が行われて(S17)、CSCF20-nによって呼処理が実行される(S18)。ここで指示されて実行される呼処理(S17,S18)は、更なる発信端末の転送又は着信先(転送先)のUE2への呼び出し等であり、従来と同様に行われる。以降、従来と同様の処理が行われて、発信元のUE2と着信先(転送先)のUE2との呼接続が確立されて、電話に係る通信が行われる。以上が、本実施形態に係る制御システムであるAS10を含む移動体通信システム1で実行される処理である。
【0069】
本実施形態では着信先情報が用いられることで、送出の中止前のRBTと、発信信号の転送後に再送されるRBTとを同一の着信先に対応するものとすることができる。本実施形態の着信先情報を用いない構成において、多段転送が行われる場合には、上述したように、発信元のユーザは、異なるRBTを聞くこととなり、電話が転送されていることを認識してしまう可能性がある。即ち、転送の隠蔽が適切に行えないおそれがある。これに対して、本実施形態では、上記の事態を防止することができる。従って、本実施形態によれば、電話の転送が行われ、かつRBTの間にガイダンスが挿入される等の場合であっても、適切に発信元のユーザに転送を隠蔽することができる。また、移動体通信システム1の事業者の観点からは、上記のように適切にガイダンスを挿入することで、移動体通信システムにおけるサービスの幅を広げることができる。
【0070】
また、本実施形態のようにRBTの送出を中止する制御を行った後、発信元のUE2へ、ガイダンス等のRBT以外の音声を送出する制御を行い、その後にRBTの再送の制御を行うこととしてもよい。また、当該音声は、着信先に関するガイダンスであることとしてもよい。この構成によれば、上述したように適切にガイダンス等の挿入を行うことができる。また、多段転送が行われる場合等に、着信先に関する情報を発信元のユーザに伝えることができる。その結果、移動体通信システムにおける発信信号の転送に係る処理を適切に行うことができる。但し、RBTの送出の中止及び再送は、RBT以外の音声の送出以外の目的で行われてもよい。
【0071】
また、本実施形態のように着信先情報は、発信信号の転送履歴の情報(例えば、上述したように規格で規定されるHistory-infoの情報)に含めて発信信号に付与されてもよい。この構成によれば、既存の情報に本実施形態に係る情報を加えることで、容易かつ確実に本実施形態を実現することができる。但し、着信先情報の発信信号への付与は、上記以外の方法で行われてもよい。
【0072】
なお、本実施形態に係る制御システムは、AS10としたが、制御システムは、移動体通信システムに含まれるものであって、上述した機能を実現するものであれば、AS10以外であってもよい。
【0073】
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0074】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0075】
例えば、本開示の一実施の形態におけるAS10は、本開示の方法の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。
図5は、本開示の一実施の形態に係るAS10のハードウェア構成の一例を示す図である。上述のAS10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。また、本実施形態に係るCSCF20、MRF30及びUE2等のハードウェア構成も、ここで説明するものであってもよい。
【0076】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。AS10のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0077】
AS10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0078】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。例えば、上述のAS10における各機能は、プロセッサ1001によって実現されてもよい。
【0079】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、AS10における各機能は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0080】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0081】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。AS10が備える記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0082】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。例えば、上述のAS10における各機能は、通信装置1004によって実現されてもよい。
【0083】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0084】
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0085】
また、AS10は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0086】
情報の通知は、本開示において説明した態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block)))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
【0087】
本開示において説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G(4th generation mobile communication system)、5G(5th generation mobile communication system)、FRA(Future Radio Access)、NR(new Radio)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも一つに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせ等)適用されてもよい。
【0088】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0089】
情報等は、上位レイヤ(又は下位レイヤ)から下位レイヤ(又は上位レイヤ)へ出力され得る。複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
【0090】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0091】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0092】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0093】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0094】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0095】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0096】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0097】
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、チャネル及びシンボルの少なくとも一方は信号(シグナリング)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、コンポーネントキャリア(CC:Component Carrier)は、キャリア周波数、セル、周波数キャリアなどと呼ばれてもよい。
【0098】
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0099】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
【0100】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々なチャネル(例えば、PUCCH、PDCCHなど)及び情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々なチャネル及び情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
【0101】
本開示においては、「移動局(MS:Mobile Station)」、「ユーザ端末(user terminal)」、「ユーザ装置(UE:User Equipment)」、「端末」などの用語は、互換的に使用され得る。
【0102】
移動局は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、又はいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0103】
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0104】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
【0105】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0106】
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0107】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0108】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0109】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1…移動体通信システム、10…AS、11…付与部、12…中止制御部、13…再送制御部、100…呼処理システム、1001…プロセッサ、1002…メモリ、1003…ストレージ、1004…通信装置、1005…入力装置、1006…出力装置、1007…バス。