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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104210
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/262 20210101AFI20230721BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20230721BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20230721BHJP
【FI】
H01M50/262 S
H01M50/209
H01M50/291
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005072
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】村石 康輔
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA07
5H040AA12
5H040AT02
5H040AY08
5H040CC34
5H040CC38
5H040NN01
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】電池スタックのケース部材内への収納し易さを確保しつつ、電池スタックがケース部材から離脱することを抑制できる電池パックを提供する。
【解決手段】本開示の一態様は、電池パック1において、エンドプレート22における外側面71が電池ケース12の壁部52に接するようにして、電池スタック11が電池ケース12内に収納されるものであって、電池パック1における電池セル31の積層方向の断面にて、電池積層体21は、下側に凸に湾曲し、電池ケース12の壁部52は、上下方向に平行に延びるように形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池スタックと、
前記電池スタックを収納する箱状のケース部材と、
を有する電池パックにおいて、
前記電池スタックは、
積層される複数の電池セルと、隣接する前記電池セルの間に配置されるスペーサとから構成される電池積層体と、
前記電池積層体における前記電池セルの積層方向の両端に接するように配置される一対のエンドプレートと、
を備え、
前記ケース部材は、
前記電池スタックよりも下側に位置する底部と、
前記底部の外周縁部から上側に向けて延びる壁部と、
を備え、
前記エンドプレートにおける前記電池積層体とは反対側の面が前記ケース部材の前記壁部に接するようにして、前記電池スタックが前記ケース部材内に収納されるものであって、
前記電池パックにおける前記電池セルの積層方向の断面にて、
前記電池積層体は、下側に凸に湾曲し、
前記ケース部材の前記壁部は、上下方向に平行に延びるように形成されていること、
を特徴とする電池パック。
【請求項2】
請求項1の電池パックにおいて、
前記電池セルは、長方形または略長方形に形成され、
前記エンドプレートは、
前記エンドプレートにおける前記電池積層体と接する面が、下側から上側に向かうに連れて前記ケース部材の内側に傾斜するように形成され、
かつ、
前記エンドプレートにおける前記ケース部材の前記壁部と接する面が、上下方向に平行に形成されており、
前記スペーサは、当該スペーサにおける前記電池セルの積層方向の厚みが、前記スペーサの下端部から前記スペーサの上端部に向かうに連れて徐々に小さくなるように形成されていること、
を特徴とする電池パック。
【請求項3】
請求項1の電池パックにおいて、
前記電池セルは、長方形または略長方形に形成され、
前記エンドプレートは、
前記エンドプレートにおける前記電池積層体と接する面および前記ケース部材の前記壁部と接する面が上下方向に平行に形成されるようにして、長方形または略長方形に形成されており、
前記スペーサとして、第1スペーサと第2スペーサとが使用されており、
前記第1スペーサは、当該第1スペーサにおける前記電池セルの積層方向の厚みが、前記第1スペーサの下端部から前記第1スペーサの上端部に向かうに連れて徐々に大きくなるように形成され、
前記第2スペーサは、当該第2スペーサにおける前記電池セルの積層方向の厚みが、前記第2スペーサの下端部から前記第2スペーサの上端部に向かうに連れて徐々に小さくなるように形成され、
前記電池セルの積層方向に沿って配列される複数の前記スペーサについて、
前記スペーサの配列方向の少なくとも両端に前記第1スペーサが配置され、
前記第1スペーサに対して前記ケース部材の内側に前記第2スペーサが配置されていること、
を特徴とする電池パック。
【請求項4】
電池スタックと、
前記電池スタックを収納する箱状のケース部材と、
を有する電池パックにおいて、
前記電池スタックは、
積層される複数の電池セルと、隣接する前記電池セルの間に配置されるスペーサとから構成される電池積層体と、
前記電池積層体における前記電池セルの積層方向の両端に接するように配置される一対のエンドプレートと、
を備え、
前記ケース部材は、
前記電池スタックよりも下側に位置する底部と、
前記底部の外周縁部から上側に向けて延びる壁部と、
を備え、
前記エンドプレートにおける前記電池積層体とは反対側の面が前記ケース部材の前記壁部に接するようにして、前記電池スタックが前記ケース部材内に収納されるものであって、
前記電池パックにおける前記電池セルの積層方向の断面にて、
前記電池積層体は、下側に凸に湾曲し、
前記ケース部材の前記壁部は、下側から上側に向かうに連れて前記ケース部材の外側に傾斜するように形成されていること、
を特徴とする電池パック。
【請求項5】
請求項4の電池パックにおいて、
前記電池セルは、長方形または略長方形に形成され、
前記エンドプレートは、
前記エンドプレートにおける前記電池積層体と接する面が、下側から上側に向かうに連れて前記ケース部材の内側に傾斜するように形成され、
かつ、
前記エンドプレートにおける前記ケース部材の前記壁部と接する面が、下側から上側に向かうに連れて前記ケース部材の外側に傾斜するように形成されており、
前記スペーサは、当該スペーサにおける前記電池セルの積層方向の厚みが、前記スペーサの下端部から前記スペーサの上端部に向かうに連れて徐々に小さくなるように形成されていること、
を特徴とする電池パック。
【請求項6】
請求項4の電池パックにおいて、
前記電池セルは、長方形または略長方形に形成され、
前記エンドプレートは、
前記エンドプレートにおける前記電池積層体と接する面が、上下方向に平行に形成され、
かつ、
前記エンドプレートにおける前記ケース部材の前記壁部と接する面が、下側から上側に向かうに連れて前記ケース部材の外側に傾斜するように形成されており、
前記スペーサとして、第1スペーサと第2スペーサとが使用されており、
前記第1スペーサは、当該第1スペーサにおける前記電池セルの積層方向の厚みが、前記第1スペーサの下端部から前記第1スペーサの上端部に向かうに連れて徐々に大きくなるように形成され、
前記第2スペーサは、当該第2スペーサにおける前記電池セルの積層方向の厚みが、前記第2スペーサの下端部から前記第2スペーサの上端部に向かうに連れて徐々に小さくなるように形成され、
前記電池セルの積層方向に沿って配列される複数の前記スペーサについて、
前記スペーサの配列方向の少なくとも両端に前記第1スペーサが配置され、
前記第1スペーサに対して前記ケース部材の内側に前記第2スペーサが配置されていること、
を特徴とする電池パック。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1つの電池パックにおいて、
前記電池スタックは、前記電池セルの積層方向に圧縮された状態で、前記ケース部材内に収納されていること、
を特徴とする電池パック。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つの電池パックにおいて、
前記ケース部材の前記底部の上面が下側に凸に湾曲していること、
を特徴とする電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
電池パックに関する従来技術として、特許文献1には、電池ケースの壁部(側壁)を下側に向かうに連れて外側に広がるアンダー形状にして、電池スタックが電池ケースから離脱することを抑制しようとする電池パックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-95895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図7に示すように、特許文献1に開示される電池パックでは、電池ケース112の壁部152がアンダー形状となっている。そのため、電池スタック111を電池ケース112内へ収納する時には、電池スタック111の圧縮量δ0を大きくする必要がある。そのため、電池スタック111が圧縮し難い(電池スタック111のばね定数が高い)場合には、電池スタック111を電池ケース112内へ収納できないおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は上記した課題を解決するためになされたものであり、電池スタックのケース部材内への収納し易さを確保しつつ、電池スタックがケース部材から離脱することを抑制できる電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本開示の一形態は、電池スタックと、前記電池スタックを収納する箱状のケース部材と、を有する電池パックにおいて、前記電池スタックは、積層される複数の電池セルと、隣接する前記電池セルの間に配置されるスペーサとから構成される電池積層体と、前記電池積層体における前記電池セルの積層方向の両端に接するように配置される一対のエンドプレートと、を備え、前記ケース部材は、前記電池スタックよりも下側に位置する底部と、前記底部の外周縁部から上側に向けて延びる壁部と、を備え、前記エンドプレートにおける前記電池積層体とは反対側の面が前記ケース部材の前記壁部に接するようにして、前記電池スタックが前記ケース部材内に収納されるものであって、前記電池パックにおける前記電池セルの積層方向の断面にて、前記電池積層体は、下側に凸に湾曲し、前記ケース部材の前記壁部は、上下方向に平行に延びるように形成されていること、を特徴とする。
【0007】
この態様によれば、電池積層体が下側に凸に湾曲しているので、電池パックが振動や衝撃を受けたときに、電池積層体が上下に移動し難い。そのため、電池積層体を備える電池スタックが上下に変位することを抑制できる。したがって、電池スタックがケース部材から離脱することを抑制できる。
【0008】
また、ケース部材の壁部は、上下方向に平行に延びるように形成されている、すなわち、特許文献1のようなアンダー形状には形成されていない。そのため、電池スタックを圧縮してケース部材内に収納する時に、電池スタックの圧縮量を小さくできる。したがって、電池スタックが圧縮し難い(電池スタックのばね定数が高い)場合であっても、電池スタックをケース部材内へ収納できる。ゆえに、電池スタックのケース部材内への収納し易さを確保できる。
【0009】
上記の態様においては、前記電池セルは、長方形または略長方形に形成され、前記エンドプレートは、前記エンドプレートにおける前記電池積層体と接する面が、下側から上側に向かうに連れて前記ケース部材の内側に傾斜するように形成され、かつ、前記エンドプレートにおける前記ケース部材の前記壁部と接する面が、上下方向に平行に形成されており、前記スペーサは、当該スペーサにおける前記電池セルの積層方向の厚みが、前記スペーサの下端部から前記スペーサの上端部に向かうに連れて徐々に小さくなるように形成されていること、が好ましい。
【0010】
この態様によれば、下端部から上端部に向かうに連れて厚みが徐々に小さくなるスペーサと、電池積層体と接する面が下側から上側に向かうに連れてケース部材の内側に傾斜するエンドプレートとを使用することにより、容易に電池積層体を下側に凸に湾曲させることができる。
【0011】
上記の態様においては、前記電池セルは、長方形または略長方形に形成され、前記エンドプレートは、前記エンドプレートにおける前記電池積層体と接する面および前記ケース部材の前記壁部と接する面が上下方向に平行に形成されるようにして、長方形または略長方形に形成されており、前記スペーサとして、第1スペーサと第2スペーサとが使用されており、前記第1スペーサは、当該第1スペーサにおける前記電池セルの積層方向の厚みが、前記第1スペーサの下端部から前記第1スペーサの上端部に向かうに連れて徐々に大きくなるように形成され、前記第2スペーサは、当該第2スペーサにおける前記電池セルの積層方向の厚みが、前記第2スペーサの下端部から前記第2スペーサの上端部に向かうに連れて徐々に小さくなるように形成され、前記電池セルの積層方向に沿って配列される複数の前記スペーサについて、前記スペーサの配列方向の少なくとも両端に前記第1スペーサが配置され、前記第1スペーサに対して前記ケース部材の内側に前記第2スペーサが配置されていること、が好ましい。
【0012】
この態様によれば、エンドプレートの形状を長方形または略長方形といった簡易な形状にしつつ、2種類のスペーサ(すなわち、第1スペーサと第2スペーサ)を使用して、容易に電池積層体を下側に凸に湾曲させることができる。
【0013】
上記課題を解決するためになされた本開示の他の形態は、電池スタックと、前記電池スタックを収納する箱状のケース部材と、を有する電池パックにおいて、前記電池スタックは、積層される複数の電池セルと、隣接する前記電池セルの間に配置されるスペーサとから構成される電池積層体と、前記電池積層体における前記電池セルの積層方向の両端に接するように配置される一対のエンドプレートと、を備え、前記ケース部材は、前記電池スタックよりも下側に位置する底部と、前記底部の外周縁部から上側に向けて延びる壁部と、を備え、前記エンドプレートにおける前記電池積層体とは反対側の面が前記ケース部材の前記壁部に接するようにして、前記電池スタックが前記ケース部材内に収納されるものであって、前記電池パックにおける前記電池セルの積層方向の断面にて、前記電池積層体は、下側に凸に湾曲し、前記ケース部材の前記壁部は、下側から上側に向かうに連れて前記ケース部材の外側に傾斜するように形成されていること、を特徴とする。
【0014】
この態様によれば、電池積層体が下側に凸に湾曲しているので、電池パックが振動や衝撃を受けたときに、電池積層体が上下に移動し難い。そのため、電池積層体を備える電池スタックが上下に変位することを抑制できる。したがって、電池スタックがケース部材から離脱することを抑制できる。
【0015】
また、ケース部材の壁部が、下側から上側に向かうに連れてケース部材の外側に傾斜するように形成されている、すなわち、特許文献1のようなアンダー形状には形成されていない。そのため、電池スタックを圧縮してケース部材内に収納する時に、電池スタックの圧縮量を小さくできる。したがって、電池スタックが圧縮し難い場合であっても、電池スタックをケース部材内へ収納できる。ゆえに、電池スタックのケース部材内への収納し易さを確保できる。
【0016】
また、ケース部材の壁部が下側から上側に向かうに連れてケース部材の外側に傾斜するように形成されており、ケース部材の成形時の抜き勾配が確保されているので、ケース部材の生産性を向上できる。
【0017】
上記の態様においては、前記電池セルは、長方形または略長方形に形成され、前記エンドプレートは、前記エンドプレートにおける前記電池積層体と接する面が、下側から上側に向かうに連れて前記ケース部材の内側に傾斜するように形成され、かつ、前記エンドプレートにおける前記ケース部材の前記壁部と接する面が、下側から上側に向かうに連れて前記ケース部材の外側に傾斜するように形成されており、前記スペーサは、当該スペーサにおける前記電池セルの積層方向の厚みが、前記スペーサの下端部から前記スペーサの上端部に向かうに連れて徐々に小さくなるように形成されていること、が好ましい。
【0018】
この態様によれば、下端部から上端部に向かうに連れて厚みが徐々に小さくなるスペーサと、電池積層体と接する面が下側から上側に向かうに連れてケース部材の内側に傾斜するエンドプレートとを使用することにより、容易に電池積層体を下側に凸に湾曲させることができる。
【0019】
上記の態様においては、前記電池セルは、長方形または略長方形に形成され、前記エンドプレートは、前記エンドプレートにおける前記電池積層体と接する面が、上下方向に平行に形成され、かつ、前記エンドプレートにおける前記ケース部材の前記壁部と接する面が、下側から上側に向かうに連れて前記ケース部材の外側に傾斜するように形成されており、前記スペーサとして、第1スペーサと第2スペーサとが使用されており、前記第1スペーサは、当該第1スペーサにおける前記電池セルの積層方向の厚みが、前記第1スペーサの下端部から前記第1スペーサの上端部に向かうに連れて徐々に大きくなるように形成され、前記第2スペーサは、当該第2スペーサにおける前記電池セルの積層方向の厚みが、前記第2スペーサの下端部から前記第2スペーサの上端部に向かうに連れて徐々に小さくなるように形成され、前記電池セルの積層方向に沿って配列される複数の前記スペーサについて、前記スペーサの配列方向の少なくとも両端に前記第1スペーサが配置され、前記第1スペーサに対して前記ケース部材の内側に前記第2スペーサが配置されていること、が好ましい。
【0020】
この態様によれば、エンドプレートにおけるケース部材の壁部と接する面をケース部材の壁部の傾斜に合わせて形成しつつ、2種類のスペーサ(すなわち、第1スペーサと第2スペーサ)を使用して、容易に電池積層体を下側に凸に湾曲させることができる。
【0021】
上記の態様においては、前記電池スタックは、前記電池セルの積層方向に圧縮された状態で、前記ケース部材内に収納されていること、が好ましい。
【0022】
この態様によれば、より確実に、電池スタックがケース部材から離脱することを抑制できる。
【0023】
上記の態様においては、前記ケース部材の前記底部の上面が下側に凸に湾曲していること、が好ましい。
【0024】
この態様によれば、安定して電池積層体が下側に凸に湾曲した状態を維持できる。
【発明の効果】
【0025】
本開示の電池パックによれば、電池スタックのケース部材内への収納し易さを確保しつつ、電池スタックがケース部材から離脱することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態の電池パックの全体斜視図(概要図)である。
図2】第1実施例における図1のA-A断面図である。
図3】第1実施例にて電池スタックを電池ケースに収納する様子を示す図である。
図4】第2実施例における図1のA-A断面図である。
図5】第3実施例における図1のA-A断面図である。
図6】第4実施例における図1のA-A断面図である。
図7】特許文献1にて電池スタックを電池ケースに収納する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示の電池パックの実施形態について説明する。
【0028】
<電池パックの全体概要について>
まず、本実施形態の電池パック1の全体概要について説明する。
【0029】
図1に示すように、本実施形態の電池パック1は、電池スタック11と、当該電池スタック11を収納する箱状の電池ケース12と、を有する。なお、電池ケース12は、本開示の「ケース部材」の一例である。
【0030】
電池スタック11は、電池積層体21と一対のエンドプレート22とを備えている。
【0031】
電池積層体21は、図1に示すX方向に積層されて配置される複数の角型の電池セル31と、隣接する電池セル31の間に配置されるスペーサ32とにより構成されている。なお、本実施形態では、2つの電池スタック11が図1に示すY方向に並んで配置されている。
【0032】
電池セル31は、その上面41に、2つの電極端子42を備えている。2つの電極端子42は、一方が正極端子であり、他方が負極端子である。
【0033】
一対のエンドプレート22は、電池積層体21における電池セル31の積層方向の両端に接するようにして配置されている。
【0034】
電池ケース12は、上方が開放された箱状の部材であり、底部51と、壁部52と、を備えている。
【0035】
底部51は、電池スタック11よりも下側(Z方向の下側)に位置している。また、壁部52は、電池スタック11の両側(X方向およびY方向の両側)に位置している。そして、壁部52は、底部51の外周縁部61(図2等参照)から、電池パック1の高さ方向(Z方向)に上側に向けて延びるようにして形成されている。
【0036】
このような電池ケース12は、底部51と壁部52とによって囲われて形成される電池スタック11の収納空間を2つ備えている。そして、この2つの収納空間の各々に、電池スタック11が収納されている。
【0037】
<電池スタックと電池ケースの実施例について>
次に、電池スタック11と電池ケース12の実施例について説明する。
【0038】
(第1実施例)
まず、第1実施例について説明する。
【0039】
図2に示すように、電池スタック11は、そのエンドプレート22における外側面71(すなわち、電池積層体21とは反対側の面)が電池ケース12の壁部52に接するようにして、電池ケース12内に収納されている。なお、電池スタック11は、電池セル31の積層方向に圧縮された状態で、電池ケース12内に収納されている。
【0040】
そして、本実施例では、図2に示す断面にて、すなわち、電池パック1における電池セル31の積層方向の断面(図1のA-A断面図)にて、電池積層体21は、下側に凸に湾曲している。また、電池ケース12の底部51の上面81も、下側に凸に湾曲している。
【0041】
また、電池ケース12の壁部52は、上下方向(Z方向)に平行に延びるように形成されている。
【0042】
また、エンドプレート22における内側面72(すなわち、電池積層体21と接する面)は、下側から上側に向かうに連れて電池ケース12の内側に傾斜するように形成されている。一方、エンドプレート22における外側面71は、上下方向に平行に形成されている。なお、電池セル31は、長方形または略長方形に形成されている。
【0043】
スペーサ32は、当該スペーサ32における電池セル31の積層方向の厚みTが、下端部91から上端部92に向かうに連れて徐々に小さくなるように形成されている。なお、エンドプレート22の下端面73とスペーサ32の下端部91は、電池ケース12の底部51の上面81に接している。
【0044】
このように本実施例では、電池積層体21が下側に凸に湾曲しているので、電池パック1が振動や衝撃を受けたときに、電池積層体21が上下に移動し難い。そのため、電池積層体21を備える電池スタック11が上下に変位することを抑制できる。したがって、電池スタック11が電池ケース12から離脱することを抑制できる。
【0045】
また、電池ケース12の壁部52は、上下方向に平行に延びるように形成されている、すなわち、特許文献1のようなアンダー形状には形成されていない。そのため、図3に示すように、電池スタック11を圧縮(加圧)して電池ケース12内に収納する時に、電池スタック11の圧縮量δ1(<δ0)を小さくできる。したがって、電池スタック11が圧縮し難い(電池スタック11のばね定数が高い)場合であっても、電池スタック11を電池ケース12内へ収納できる。ゆえに、電池スタック11の電池ケース12内への収納し易さを確保できる。
【0046】
また、電池ケース12の壁部52は、上下方向に平行に延びるように形成すればよく、特許文献1のような複雑なアンダー形状に形成しなくてよい。そのため、電池ケース12を安価に製造できる。
【0047】
また、下端部91から上端部92に向かうに連れて厚みTが徐々に小さくなるスペーサ32と、内側面72が下側から上側に向かうに連れて電池ケース12の内側に傾斜するエンドプレート22とを使用することにより、容易に電池積層体21を下側に凸に湾曲させることができる。
【0048】
(第2実施例)
次に、第2実施例について説明するが、主に第1実施例と異なる点を説明する。
【0049】
本実施例では、図4に示す断面にて、すなわち、電池パック1における電池セル31の積層方向の断面(図1のA-A断面図)にて、第1実施例と同様に、電池積層体21は、下側に凸に湾曲している。
【0050】
一方、第1実施例とは異なる点として、エンドプレート22は、当該エンドプレート22における内側面72および外側面71が上下方向に平行に形成されるようにして、長方形または略長方形に形成されている。
【0051】
また、スペーサ32として、第1スペーサ32Aと第2スペーサ32Bとが使用されている。具体的には、第1スペーサ32Aは、当該第1スペーサ32Aにおける電池セル31の積層方向の厚みTが、下端部91から上端部92に向かうに連れて徐々に大きくなるように形成されている。また、第2スペーサ32Bは、当該第2スペーサ32Bにおける電池セル31の積層方向の厚みTが、下端部91から上端部92に向かうに連れて徐々に小さくなるように形成されている。
【0052】
そして、このように電池セル31の積層方向に沿って配列される複数のスペーサ32について、当該スペーサ32の配列方向の少なくとも両端に第1スペーサ32Aが配置され、第1スペーサ32Aに対して電池ケース12の内側に第2スペーサ32Bが配置されている。図4に示す例では、具体的には、スペーサ32の配列方向の両端の部分とその一つ内側(電池ケース12の内側)の部分にて、合計4個の第1スペーサ32Aが配置されている。また、これらの第1スペーサ32Aよりも電池ケース12の内側の部分にて、合計4個の第2スペーサ32Bが配置されている。
【0053】
このように本実施例では、エンドプレート22の形状を長方形または略長方形といった簡易な形状にしつつ、2種類のスペーサ32(すなわち、第1スペーサ32Aと第2スペーサ32B)を使用して、容易に電池積層体21を下側に凸に湾曲させることができる。
【0054】
(第3実施例)
次に、第3実施例について説明するが、主に第1,2実施例と異なる点を説明する。
【0055】
本実施例では、図5に示す断面にて、すなわち、電池パック1における電池セル31の積層方向の断面(図1のA-A断面図)にて、第1,2実施例と同様に、電池積層体21は、下側に凸に湾曲している。
【0056】
一方、第1,2実施例と異なる点として、電池ケース12の壁部52が、下側から上側に向かうに連れて電池ケース12の外側に傾斜するように形成されている。ここで、壁部52の傾斜角θは、例えば、0°よりも大きく、かつ、10°以内とする。なお、傾斜角θは、図5に示すように、上下方向に対して壁部52が電池ケース12の外側に傾斜する角度であって、電池ケース12の成形時の抜き勾配となる。
【0057】
また、このように傾斜する電池ケース12の壁部52に対応するようにして、エンドプレート22における外側面71が、下側から上側に向かうに連れて電池ケース12の外側に傾斜するように形成されている。
【0058】
なお、エンドプレート22における内側面72は、下側から上側に向かうに連れて電池ケース12の内側に傾斜するように形成されている。また、スペーサ32は、当該スペーサ32における電池セル31の積層方向の厚みTが、下端部91から上端部92に向かうに連れて徐々に小さくなるように形成されている。
【0059】
このように本実施例では、電池積層体21が下側に凸に湾曲しているので、電池パック1が振動や衝撃を受けたときに、電池積層体21が上下に移動し難い。そのため、電池積層体21を備える電池スタック11が上下に変位することを抑制できる。したがって、電池スタック11が電池ケース12から離脱することを抑制できる。
【0060】
また、電池ケース12の壁部52が、下側から上側に向かうに連れて電池ケース12の外側に傾斜するように形成されている、すなわち、特許文献1のようなアンダー形状には形成されていない。そのため、電池スタック11を圧縮して電池ケース12内に収納する時に、電池スタック11の圧縮量を小さくできる。したがって、電池スタック11が圧縮し難い場合であっても、電池スタック11を電池ケース12内へ収納できる。ゆえに、電池スタック11の電池ケース12内への収納し易さを確保できる。
【0061】
また、電池ケース12の壁部52が下側から上側に向かうに連れて電池ケース12の外側に傾斜するように形成されており、電池ケース12の成形時の抜き勾配が確保されているので、電池ケース12の生産性を向上できる。
【0062】
また、下端部91から上端部92に向かうに連れて厚みTが徐々に小さくなるスペーサ32と、内側面72が下側から上側に向かうに連れて電池ケース12の内側に傾斜するエンドプレート22とを使用することにより、容易に電池積層体21を下側に凸に湾曲させることができる。
【0063】
(第4実施例)
次に、第4実施例について説明するが、主に第1,2,3実施例と異なる点を説明する。
【0064】
本実施例では、図6に示すように、傾斜する電池ケース12の壁部52に対応するようにして、エンドプレート22における外側面71が、下側から上側に向かうに連れて電池ケース12の外側に傾斜するように形成されている。また、エンドプレート22における内側面72が、上下方向に平行に形成されている。さらに、スペーサ32として、第1スペーサ32Aと第2スペーサ32Bとが使用されている。
【0065】
このように本実施例では、エンドプレート22における外側面71を電池ケース12の壁部52の傾斜に合わせて形成しつつ、2種類のスペーサ32(すなわち、第1スペーサ32Aと第2スペーサ32B)を使用して、容易に電池積層体21を下側に凸に湾曲させることができる。
【0066】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【0067】
例えば、電池ケース12の底部51の下面82(図2等参照)は、下側に凸に湾曲していてもよく、あるいは、製造上の観点から、下側に凸に湾曲させないようにしてもよい(例えば、平坦面でもよい)。また、スペーサ32の下端部91と電池ケース12の底部51の上面81とは、接していなくてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 電池パック
11 電池スタック
12 電池ケース
21 電池積層体
22 エンドプレート
31 電池セル
32 スペーサ
32A 第1スペーサ
32B 第2スペーサ
51 底部
52 壁部
61 外周縁部
71 外側面
72 内側面
81 上面
91 下端部
92 上端部
T 厚み
δ0,δ1 圧縮量
θ 傾斜角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7