IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社の特許一覧

特開2023-104229接続監視装置、充電器および接続監視方法
<>
  • 特開-接続監視装置、充電器および接続監視方法 図1
  • 特開-接続監視装置、充電器および接続監視方法 図2
  • 特開-接続監視装置、充電器および接続監視方法 図3
  • 特開-接続監視装置、充電器および接続監視方法 図4
  • 特開-接続監視装置、充電器および接続監視方法 図5
  • 特開-接続監視装置、充電器および接続監視方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104229
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】接続監視装置、充電器および接続監視方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20230721BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230721BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20230721BHJP
   B60L 53/60 20190101ALI20230721BHJP
   B60W 10/26 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
H02J7/02 B
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
B60L53/14
B60L53/60
B60W10/26 900
B60W10/26 ZHV
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005097
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】ニデックモビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】城▲崎▼ 勉
【テーマコード(参考)】
3D202
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
3D202AA10
3D202BB25
3D202CC00
3D202DD44
3D202EE28
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503EA09
5G503FA03
5G503GD03
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BE02
5H125CD03
5H125DD02
5H125EE41
(57)【要約】
【課題】充電ケーブルの車両への電気的な接続状態に応じた処理を行う。
【解決手段】充電コントローラ(6)は、車両(10)に搭載される高圧バッテリ(5)へ電力を供給する着脱可能な充電ケーブル(30)の車両(10)への接続を監視する。充電コントローラ(6)は、充電ケーブル(30)の車両(10)への電気的な接続および非接続のそれぞれの開始タイミングを検知する検知部(62)と、連続する一定の検知期間のそれぞれにおいて連続して検知された1組の接続および非接続の開始タイミングの検知回数を計数する計数部(63)と、検知期間内に連続して検知された1組の接続および非接続の開始タイミングの間の開始時時間間隔を計測する計測部(64)と、検知回数が所定値以上である場合、開始時時間間隔が所定時間以上であるときと、開始時時間間隔が所定時間未満であるときとで異なる処理を実行する実行部(65)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される蓄電池へ電力を供給する着脱可能な充電ケーブルの前記車両への接続を監視する接続監視装置であって、
前記充電ケーブルの前記車両への電気的な接続および非接続のそれぞれの開始タイミングを検知する検知部と、
連続する一定の検知期間のそれぞれにおいて連続して検知された1組の前記接続および前記非接続の前記開始タイミングの検知回数を計数する計数部と、
前記検知期間内に連続して検知された1組の前記接続および前記非接続の前記開始タイミングの間の開始時時間間隔を計測する計測部と、
前記検知回数が所定値以上である場合、前記開始時時間間隔が所定時間以上であるときと、前記開始時時間間隔が前記所定時間未満であるときとで異なる処理を実行する実行部と、を備えていることを特徴とする接続監視装置。
【請求項2】
前記実行部は、前記開始時時間間隔が前記所定時間以上である場合に、前記蓄電池への充電が行われているか否かを判定する判定部を有しており、当該判定部により前記蓄電池への充電が行われていないと判定されると、充電ができないことを報知する報知情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の接続監視装置。
【請求項3】
前記実行部は、前記開始時時間間隔が前記所定時間以上である場合に、前記蓄電池への充電が行われているか否かを判定する判定部を有しており、当該判定部により前記蓄電池への充電が行われていると判定されると、充電が行われていることを警告する警告情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の接続監視装置。
【請求項4】
前記実行部は、前記開始時時間間隔が前記所定時間未満である場合に、充電を禁止することを特徴とする請求項1に記載の接続監視装置。
【請求項5】
車両に搭載される充電器であって、
請求項1から4のいずれか1項に記載の接続監視装置を備えていることを特徴とする充電器。
【請求項6】
車両に搭載される充電器へ充電するために前記車両に接続される充電ケーブルの前記車両への接続を監視する接続監視方法であって、
前記充電ケーブルの前記車両への電気的な接続および非接続のそれぞれの開始タイミングを検知する検知工程と、
連続する一定の検知期間のそれぞれにおいて連続して検知された1組の前記接続および前記非接続の前記開始タイミングの検知回数を計数する計数工程と、
前記検知期間内に連続して検知された1組の前記接続および前記非接続の前記開始タイミングの間の開始時時間間隔を計測する計測工程と、
前記検知回数が所定値以上である場合、前記開始時時間間隔が所定時間以上であるときと、前記開始時時間間隔が前記所定時間未満であるときとで異なる処理を実行する実行工程と、を含んでいることを特徴とする接続監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電ケーブルの車両への接続状態を監視する接続監視装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車などの車両に搭載された蓄電池を充電する充電システムにおいて、外部の電源装置と車両とを接続する充電ケーブルを介して充電が行われる。このような充電システムには、充電が適正に行われていることを監視し、異常が生じた場合には、そのことをユーザが確認できるようにしたものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、充電ケーブルの接続が不完全である場合に、充電動作を禁止するとともに、不完全な接続状態に起因して充電動作が行なわれなかったことを記憶しておき、充電が実行されなかった要因を事後的に認識可能とすることが開示されている。また、特許文献2には、バッテリの充電時に、充電用の給電線に制御電力を供給する給電制御が実行されている状態で、報知装置を介して充電に関する情報をユーザに報知することにより、充電中に発生した異常の原因を適切にユーザに伝えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-162176号公報
【特許文献2】特開2011-72081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、充電ケーブルは、充電のために車両に接続されてからは、充電が終了するまで接続が解除されることはない。しかしながら、以下のように、充電途中であっても、充電ケーブルの接続が解除されたり、接続し直されたりすることが想定される。
【0006】
例えば、充電ができない状況において、ユーザが、そのことを理解できずに、充電ケーブルの車両への接触不良が原因となって充電ができないと誤解して、充電ケーブルの車両への接続と接続解除とを繰り返すことが想定される。また、第三者がいたずらの目的で故意に充電ケーブルの接続を解除したり接続し直したりすることも想定される。
【0007】
また、充電ケーブルが正しく車両に接続されているにも関わらず、電源装置の故障などにより、電気的な充電ケーブルの接続状態が断続することも想定される。このような接続状態の断続は、充電が行われていない場合でも、充電ケーブルが車両に接続されていれば生じることが想定される。このように充電ケーブルの接続状態が断続すると、車両側の故障を誘発するおそれがある。
【0008】
上述した特許文献1および2に開示された技術では、このように想定されることに対して何らかの対応を行うことについては考慮されていない。
【0009】
本発明の一態様は、充電ケーブルの車両への電気的な接続状態に応じた処理を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る接続監視装置は、車両に搭載される蓄電池へ電力を供給する着脱可能な充電ケーブルの前記車両への接続を監視する接続監視装置であって、前記充電ケーブルの前記車両への電気的な接続および非接続のそれぞれの開始タイミングを検知する検知部と、連続する一定の検知期間のそれぞれにおいて連続して検知された1組の前記接続および前記非接続の前記開始タイミングの検知回数を計数する計数部と、前記検知期間内に連続して検知された1組の前記接続および前記非接続の前記開始タイミングの間の開始時時間間隔を計測する計測部と、前記検知回数が所定値以上である場合、前記開始時時間間隔が所定時間以上であるときと、前記開始時時間間隔が前記所定時間未満であるときとで異なる処理を実行する実行部と、を備えている。
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る接続監視方法は、車両に搭載される充電器へ充電するために前記車両に接続される充電ケーブルの前記車両への接続を監視する接続監視方法であって、前記充電ケーブルの前記車両への電気的な接続および非接続のそれぞれの開始タイミングを検知する検知工程と、連続する一定の検知期間のそれぞれにおいて連続して検知された1組の前記接続および前記非接続の前記開始タイミングの検知回数を計数する計数工程と、前記検知期間内に連続して検知された1組の前記接続および前記非接続の前記開始タイミングの間の開始時時間間隔を計測する計測工程と、前記検知回数が所定値以上である場合、前記開始時時間間隔が所定時間以上であるときと、前記開始時時間間隔が前記所定時間未満であるときとで異なる処理を実行する実行工程と、を含んでいる。
【0012】
通常、充電中における充電ケーブルの電気的な接続と非接続とが、充電時間と比べて短い期間に連続して生じることがないため、連続して検知された1組の接続および非接続の開始タイミングの検知回数が所定値以上である場合、異常な状態と判断できる。
【0013】
上記構成によれば、開始時時間間隔の長さが所定時間以上である場合、連続して検知された接続および非接続の開始タイミングが人為的な操作により生じたものであると判断することができる。一方、上記開始時時間間隔の長さが所定時間未満である場合、連続して検知された接続および非接続の開始タイミングが充電のための機器の故障などにより生じたものであると判断することができる。したがって、開始時時間間隔の長さが所定時間以上であるか否かに応じて異なる処理を実行させることにより、接続状態に応じて適切な処理を実行することができる。
【0014】
前記接続監視装置において、前記実行部は、前記開始時時間間隔が前記所定時間以上である場合に、前記充電器への充電が行われているか否かを判定する判定部を有しており、当該判定部により前記充電器への充電が行われていないと判定されると、充電ができないことを報知する報知情報を出力してもよい。
【0015】
充電ができない状況において、ユーザは、そのことを理解できずに、充電ケーブルの車両への接触不良が原因となって充電ができないと誤解して、充電ケーブルの車両への抜き差しを繰り返すことが想定される。上記構成によれば、上述したように、連続して検知された接続および非接続の開始タイミングが人為的な操作時に生じたものであると判断することができる。この場合、充電が行われていないと判定されると、報知情報に基づいて充電ができないことを報知することができる。これにより、ユーザは、充電できないことを理解して、充電ケーブルの抜き差しを止めることができる。
【0016】
前記接続監視装置において、前記実行部は、前記開始時時間間隔が前記所定時間以上である場合に、前記充電器への充電が行われているか否かを判定する判定部を有しており、当該判定部により前記充電器への充電が行われていると判定されると、充電が行われていることを警告する警告情報を出力してもよい。
【0017】
充電が行われている状況において充電ケーブルが抜き差しされるのは、第三者によるいたずらが想定される。上記構成によれば、上述したように、連続して検知された接続および非接続の開始タイミングが人為的な操作時に生じたものであると判断することができる。この場合、充電が行われていると判定されると、警告情報に基づいて警告を発することができる。これにより、第三者によるいたずらの継続を抑止することができる。また、ユーザは、警告により、充電ケーブルにいたずらが行われたことを理解して、充電ケーブルの状態を確認することができる。
【0018】
前記接続監視装置において、前記実行部は、前記開始時時間間隔が前記所定時間未満である場合に、充電を禁止してもよい。
【0019】
上記構成によれば、上述したように、上記開始時時間間隔の長さが所定時間未満である場合、連続して検知された接続および非接続の開始タイミングが充電のための機器の故障などにより生じたものであると判断することができる。この場合、充電が行われているか否かに関わらず、充電を禁止する。これにより、充電が行われている場合は、接続の開始タイミングと非接続の開始タイミングとが短い間隔で繰り返されることによる車両側の二次故障の誘発を防止することができる。また、接続の開始タイミングと非接続の開始タイミングとが短い間隔で繰り返されることで、車両側の予備電力が増大するために低消費電力モードへ移行できずに12Vバッテリが切れることを回避することも可能になる。一方、充電が行われていない場合、蓄電器の電圧が低下することにより、再度充電が必要となったとき、充電が再開する可能性があるが、充電を禁止することで、充電の再開を阻止することができる。
【0020】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る充電器は、上記いずれかの接続監視装置を備えている。
【0021】
上記構成によれば、充電ケーブルの電気的な接続状態に応じた処理を行う充電器を提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様によれば、充電ケーブルの車両への電気的な接続状態に応じた処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る充電システムの構成を示すブロック図である。
図2】上記充電システムにおける充電コントローラによる充電ケーブルの接続の監視動作の手順を示すフローチャートである。
図3】上記充電コントローラが充電ケーブルの車両への接続を連続する検知期間ごとに監視しているときに、連続する接続および非接続の開始タイミングが検知されなかった状態を示す図である。
図4】上記充電コントローラが充電ケーブルの車両への接続を連続する検知期間ごとに監視しているときに、連続する接続および非接続の開始タイミングが検知された状態を示す図である。
図5】上記充電コントローラが充電ケーブルの車両への接続を連続する検知期間ごとに監視しているときに、連続する接続および非接続の開始タイミングが検知された他の状態を示す図である。
図6】上記充電コントローラが充電ケーブルの車両への接続を連続する検知期間ごとに監視しているときに、連続する接続および非接続の開始タイミングが検知されたさらに他の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態に係る充電器1を含む充電システム100について、図1図6を参照して詳細に説明する。
【0025】
〈充電システムの構成〉
図1は、本発明の一実施形態に係る充電システム100の構成を示すブロック図である。
【0026】
図1に示すように、充電システム100は、車両10と、EVSE(Electric Vehicle Supply Equipment)20と、充電ケーブル30とを備えている。
【0027】
EVSE20は、車両10に充電のための電力を供給する電源装置である。EVSE20は、家屋等の電源アウトレットから取得された電力に基づいて車両10に供給する電力を出力する。あるいは、EVSE20は、充電スタンドなどに設けられた電源装置であってもよい。
【0028】
EVSE20は、コントロールパイロット信号および接続確認信号を生成する。コントロールパイロット信号は、車両10に給電可能な定格電流を示すパルス信号である。接続確認信号は、充電ケーブル30の車両10への接続状態を示す信号である。
【0029】
充電ケーブル30は、EVSE20から車両10へ電力および制御信号を伝送する着脱可能なケーブルである。このため、充電ケーブル30は、交流電力を伝送する電力線と、制御信号を伝送する信号線とを内蔵している。また、充電ケーブル30は、一端にプラグ31が設けられるとともに、他端に充電ガン32が設けられている。プラグ31は、EVSE20の図示しないコンセントに接続される。充電ガン32は、車両10に設けられた充電ポート11に接続される。充電ガン32の充電ポート11への接続は、車両10内部に設けられたコントロールパネルのロックボタンを操作することによりロックすることができる。
【0030】
充電ガン32の内部には、上述した接続確認信号を伝送する信号線とグランドとの間に抵抗が設けられ、充電ガン32が充電ポート11に接続されると、上記抵抗に他の抵抗が直列に付加される回路が設けられている。この回路により、充電ガン32が充電ポート11に接続されていない状態では、接続確認信号の電圧は規定値であり、充電ガン32が充電ポート11に接続されている状態では、抵抗の分圧により接続確認信号の電圧が規定値より低下する。
【0031】
車両10は、充電のために、車両10に搭載される機器として、充電器1と、制御装置2と、表示装置3と、スピーカ4と、高圧バッテリ5(蓄電池)とを備えている。
【0032】
充電器1は、高圧バッテリ5への充電を行うとともに、充電の管理および制御を行う。充電器1は、充電コントローラ6(接続監視装置)と、電圧変換部7と、リレー8とを有している。
【0033】
充電コントローラ6は、充電の管理および制御を行うために、制御部61を有している。制御部61は、制御装置2からの制御指令に基づいて、充電の管理および制御を行う。制御部61は、電圧変換部7の動作制御およびリレー8の開閉制御を行う。
【0034】
また、充電コントローラ6は、充電ケーブル30の車両10への接続を監視する接続監視装置として機能するために、検知部62と、計数部63と、計測部64と、実行部65とを有している。
【0035】
検知部62は、充電ケーブル30の車両10への電気的な接続および非接続のそれぞれが開始する開始タイミングを検知する。検知部62は、当該開始タイミングを検知するために、充電ガン32から充電ポート11を経由して入力される接続確認信号の電圧を監視する。検知部62は、接続確認信号の電圧が規定値に変化したタイミングを接続の開始タイミングとして検知し、接続確認信号の電圧が規定値より低下したタイミングを非接続の開始タイミングとして検知する。
【0036】
計数部63は、カウンタを有しており、連続する一定の検知期間のそれぞれにおいて、連続して検知された1組の接続および非接続の開始タイミングの検知回数を計数する。例えば、検知期間において、接続の開始タイミングと非接続の開始タイミングとが連続して1回ずつ検知された場合、連続して検知された1組の接続および非接続の開始タイミングの検知回数は1回である。接続および非連続の開始タイミングの検知順序はこの順であってもよいし、逆であってもよい。
【0037】
計数部63は、上記の検知期間を計時するためにタイマを有している。計数部63は、充電を行うために最初に充電ケーブル30すなわち充電ガン32が充電ポート11に接続されたときに計時を開始し、上記の検知期間を計時するごとにタイマをリセットして、計時を再開するという動作を繰り返す。また、計数部63は、計時を開始すると同時にカウンタによる計数を開始し、タイマのリセットと同期してカウンタをリセットすることにより、計数を再開するという動作を繰り返す。
【0038】
上記の検知期間は、少なくとも、人が、充電ポート11に接続されている充電ガン32を取り外してから充電ポート11に接続する操作、および充電ガン32を充電ポート11に接続してから取り外す操作が可能となる時間が確保されるように設定される。また、検知期間は、人による連続する充電ケーブル30の接続および取り外しを1回の操作として、その操作回数すなわち検知回数が少なくとも所定値であるように設定される。
【0039】
計測部64は、上記の検知期間内に連続して検知された1組の接続および非接続の開始タイミングの間の時間間隔である開始時時間間隔を計測する。計測部64は、検知期間の開始または終了のタイミングを、計数部63からの通知により認識する。計測部64は、最初の接続の開始タイミングが検知されると同時に計数部63が検知期間の計時を開始するとともに開始時時間間隔の計測を開始し、検知期間内に交互に接続および非接続の開始タイミングが検知されるごとに開始時時間間隔を計測する。また、計測部64は、検知期間が終了すると、開始時時間間隔の計測をリセットし、次の検知期間における最初の接続または非接続の開始タイミングの検知により開始時時間間隔の計測を開始する。
【0040】
実行部65は、計数部63により計数された検知回数が所定値以上である場合、計測部64により計測された開始時時間間隔が所定時間以上であるときと、開始時時間間隔が所定時間未満であるときとで異なる処理を実行する。また、実行部65は、開始時時間間隔が所定時間以上である場合に、高圧バッテリ5への充電が行われているか否かを判定する判定部651を有している。判定部651は、制御部61から受ける、充電が行われているか否かの通知に基づいて充電が行われているか否かを判定する。実行部65は、判定部651により、充電が行われていないと判定されると、充電ができないことを報知する報知情報を出力する。また、実行部65は、充電が行われていると判定されると、充電が行われていることを警告する警告情報を出力する。
【0041】
電圧変換部7は、充電ポート11から入力される交流電圧を直流に変換するとともに、高圧充電電圧にまで昇圧する。リレー8は、電圧変換部7と高圧バッテリ5との間の電路を開閉する。
【0042】
制御装置2は、車両10の全体を制御する主制御装置(図示せず)と情報を交換することにより、高圧バッテリ5の充電の管理および制御を行う。制御装置2は、例えば、充電電圧などの制御指令を制御部61に与える。制御装置2は、判定部651からの報知情報に基づいて、充電ができないことを表示出力するための充電不可情報を表示データとして表示装置3に出力するとともに、充電ができないことを音で出力するための充電不可情報を音信号としてスピーカ4に出力する。制御装置2は、判定部651からの警告情報に基づいて、充電が行われていることを表示出力するための充電中情報を表示データとして表示装置3に出力するとともに、充電が行われていることを音で出力するための充電中情報を音信号としてスピーカ4に出力する。
【0043】
〈充電コントローラの動作〉
次に、接続監視方法による充電コントローラ6の動作について説明する。図2は、充電システム100における充電コントローラ6による充電ケーブル30の接続の監視動作の手順を示すフローチャートである。ここでは、特に、検知部62により、充電ケーブル30の車両10への電気的な接続および非接続のそれぞれの開始タイミングが検知される場合の処理の手順について説明する。
【0044】
図2に示すように、まず、検知部62は、接続確認信号の電圧に基づいて、接続および非接続のそれぞれの開始タイミングを検知する(ステップS1,検知工程)。検知部62により、検知期間に連続して1組の接続および非接続の開始タイミングが検知されると、続くステップS2において、計数部63は、連続して検知された1組の接続および非接続の開始タイミングの検知回数を計数する(計数工程)。
【0045】
また、ステップS2において、計測部64は、検知期間内に連続して検知された1組の接続および非接続の開始タイミングの開始時時間間隔を計測する(計測工程)。
【0046】
次いで、実行部65は、計数部63により、検知期間において計数された検知回数が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS3)。実行部65は、ステップS3において、検知期間における検知回数が所定値以上であると判定すると(YES)、開始時時間間隔が所定時間以上であるか否かを判定する(ステップS4)。また、実行部65は、ステップS3において、検知期間における検知回数が所定値以上でないと判定すると(NO)、処理をステップS1に戻す。
【0047】
実行部65は、ステップS4において、開始時時間間隔が所定時間以上であると判定すると(YES)、判定部651は、充電中であるか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5において判定部651により充電中でないと判定されると(NO)、実行部65は、制御装置2に報知情報を出力して、充電不可情報を出力することを制御装置2に要求して(ステップS6;実行工程)、処理を終える。
【0048】
制御装置2は、報知情報に基づく要求を受けて、充電できないことを含む車両10の状態、例えば車両10の故障を表す画面の表示データを充電不可情報として表示装置3に出力する。また、制御装置2は、報知情報に基づく要求を受けて、上記の車両10の状態を音で出力する音信号を充電不可情報としてスピーカ4に出力する。これにより、表示装置3は上記の画面を表示し、スピーカ4は上記の音を出力する。ユーザは、表示装置3に表示された画面およびスピーカ4により出力された音の少なくともいずれか一方に基づいて、充電できないことを認識できる。
【0049】
ステップS5において判定部651により充電中であると判定されると(YES)、実行部65は、制御装置2に警告情報を出力して、充電中情報を出力することを制御装置2に要求して(ステップS7;実行工程)、処理を終える。
【0050】
制御装置2は、警告情報に基づく要求を受けて、充電が行われていることを表す画面の表示データを充電中情報として表示装置3に出力する。また、制御装置2は、報知情報に基づく要求を受けて、充電が行われていることを音で表す音信号を充電中情報としてスピーカ4に出力する。音信号は、警告音であってもよいし、「充電中です」というような音声を出力する音声信号であってもよい。これにより、表示装置3は上記の画面を表示し、スピーカ4は上記の音を出力する。したがって、充電ケーブル30を操作している第三者に対して、表示装置3に表示された画面およびスピーカ4により出力された音の少なくともいずれか一方に基づいて、充電が行われていることを認識させて警告することができる。
【0051】
実行部65は、ステップS4において、開始時時間間隔が所定時間以上でないと判定すると(NO)、充電を禁止する指令を制御部61に出力して(ステップS8;実行工程)、処理を終える。制御部61は、当該指令を受けて、電圧変換部7の動作を停止させるとともに、リレー8を開くように制御する。
【0052】
〈検知回数計数および開始時時間間隔計測の具体例〉
続いて、計数部63による検知回数の計数および計測部64による開始時時間間隔の計測の具体例について説明する。
【0053】
図3は、充電コントローラ6が充電ケーブル30の車両10への接続を連続する検知期間ごとに監視しているときに、連続する接続および非接続の開始タイミングが検知されなかった状態を示す図である。図4は、充電コントローラ6が充電ケーブル30の車両10への接続を連続する検知期間ごとに監視しているときに、連続する接続および非接続の開始タイミングが検知された状態を示す図である。図5は、充電コントローラ6が充電ケーブル30の車両10への接続を連続する検知期間ごとに監視しているときに、連続する接続および非接続の開始タイミングが検知された他の状態を示す図である。図6は、充電コントローラ6が充電ケーブル30の車両10への接続を連続する検知期間ごとに監視しているときに、連続する接続および非接続の開始タイミングが検知されたさらに他の状態を示す図である。
【0054】
図3に示すように、まず、接続開始タイミングtcで、充電ケーブル30の充電ガン32が充電ポート11へ最初に接続されると、検知部62により接続の開始タイミングが検知されることで計数部63による計時が開始する。計数部63により検知期間Tが計時される間に充電ケーブル30が充電ポート11から取り外されない場合、次の検知期間Tが計時される。ここで、検知期間Tは例えば30秒に設定されるものとする。なお、検知期間Tの設定は、30秒に限定されないことは勿論である。
【0055】
この検知期間Tにおいて、非接続開始タイミングtdで充電ケーブル30が充電ポート11から取り外されると、検知部62により非接続の開始タイミングが検知されるが、前の検知期間T内で連続して1組の接続および非接続の開始タイミングが検知されない。したがって、この場合は、計数部63による検知回数の検知および計測部64による開始時時間間隔の計測は行われない。
【0056】
図4に示すように、接続開始タイミングtc1で接続の開始タイミングが検知されてからの検知期間Tにおいて、非接続開始タイミングtd1で非接続の開始タイミングが検知される。また、同じ検知期間Tにおいて、非接続開始タイミングtd1に続いて接続開始タイミングtc2で接続の開始タイミングが検知され、接続開始タイミングtc2に続いて非接続開始タイミングtd2で非接続の開始タイミングが検知される。
【0057】
この場合、接続開始タイミングtc1で検知された接続の開始タイミングおよび非接続開始タイミングtd1で検知された非接続の開始タイミングが、連続する1組として計数部63により1回の検知回数が計数される。また、非接続開始タイミングtd1で検知された非接続の開始タイミングおよび接続開始タイミングtc2で検知された接続の開始タイミングが、連続する1組として1回の検知回数が計数される。また、接続開始タイミングtc1で検知された接続の開始タイミングおよび非接続開始タイミングtd2で検知された非接続の開始タイミングが、連続する1組として1回の検知回数が計数される。したがって、この場合では、検知期間Tにおいて、検知回数として「3」が計上される。また、計測部64により、連続する2つのタイミングの開始時時間間隔T1~T3が計測される。
【0058】
したがって、図4に示す場合、所定値が例えば2回に設定されていれば、実行部65により、開始時時間間隔T1~T3が所定値以上であると判定され、かつ判定部651により、充電中でないと判定されると、報知情報が制御装置2に出力される。所定時間が例えば1秒に設定されている場合、人が充電ケーブル30を充電ポート11に接続して取り外したり、取り外してから接続したりするのに要する時間は、通常、当該所定時間の1秒より長い。したがって、連続して検知された1組の接続および非接続の開始タイミングが人の操作によって生じたものであることが判断できる。
【0059】
また、この場合は、検知期間Tに複数回にわたり上記の操作が行われる。したがって、充電ができない状況において、ユーザが、そのことを理解できずに、充電ケーブル30の車両10への接触不良が原因となって充電ができないと誤解して、充電ケーブル30の車両10への接続と取り外しとを繰り返すことが想定される。よって、表示装置3およびスピーカ4により車両10の状態を報知することで、ユーザは充電できないことを認識することができる。
【0060】
図5に示す場合では、検知期間Tにおいて、接続開始タイミングtcで検知された接続の開始タイミングと、非接続開始タイミングtdで検知された非接続の開始タイミングとが連続する1組として1回の検知回数が計数されるのみである。この場合も、開始時時間間隔T11により、1秒の所定時間に対して、連続して検知された1組の接続および非接続の開始タイミングが人の操作によって生じたものであることが判断できる。また、所定値が例えば1回に設定されていると、実行部65により、開始時時間間隔Tが所定値以上であると判定され、かつ判定部651により、充電中であると判定されると、警告情報が制御装置2に出力される。
【0061】
この場合は、第三者がいたずらの目的で故意に充電ケーブル30を充電ポート11から取り外すことが想定される。よって、表示装置3およびスピーカ4の出力により充電が行われていることを警告として発することにより、第三者によるいたずらの継続を抑止することができる。なお、検知期間Tに複数回にわたり故意に充電ケーブル30の接続および取り外しの操作が故意に繰り返されることも想定されるので、その場合は、図4に示す例のように所定値を設定すればよい。
【0062】
図6に示す場合では、検知期間Tにおいて、接続開始タイミングtcで検知された接続の開始タイミングと、非接続開始タイミングtdで検知された非接続の開始タイミングとが連続する1組として複数回の検知回数が計数される。この場合は、開始時時間間隔T12が例えば100ミリ秒といった極めて短い時間であるので、1秒の所定時間に対して、連続して検知された1組の接続および非接続の開始タイミングがEVSE20の故障などにより生じたものであると判断できる。
【0063】
この場合、充電が行われているか否かに関わらず、実行部65による指令に基づいて、制御部61が充電を禁止する。これにより、充電が行われている場合は、接続の開始タイミングと非接続の開始タイミングとが短い間隔で繰り返されることによる車両10側の二次故障の誘発を防止することができる。また、接続の開始タイミングと非接続の開始タイミングとが短い間隔で繰り返されることで、車両10側の予備電力が増大するために低消費電力モードへ移行できずに12Vバッテリが切れることを回避することも可能になる。一方、充電が行われていない場合、高圧バッテリ5の電圧が低下することにより、再度充電が必要となったとき、充電が再開する可能性があるが、充電を禁止することで、充電の再開を阻止することができる。
【0064】
〔ソフトウェアによる実現例〕
充電コントローラ6の機能は、充電コントローラ6としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、充電コントローラ6の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0065】
この場合、充電コントローラ6は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御ユニット(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御ユニットと記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記実施形態で説明した各機能が実現される。
【0066】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、充電コントローラ6が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して充電コントローラ6に供給されてもよい。
【0067】
また、上記各部の機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各部として機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0068】
また、上記実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御ユニットで動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0069】
〔付記事項〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。また、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1 充電器
5 高圧バッテリ(蓄電池)
6 充電コントローラ(接続監視装置)
10 車両
30 充電ケーブル
62 検知部
63 計数部
64 計測部
65 実行部
651 判定部
T 検知期間
図1
図2
図3
図4
図5
図6