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特開2023-104267圧縮システム、化学プラント、及び圧縮システムの運転方法
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  • 特開-圧縮システム、化学プラント、及び圧縮システムの運転方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104267
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】圧縮システム、化学プラント、及び圧縮システムの運転方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 27/00 20060101AFI20230721BHJP
   F04B 49/03 20060101ALI20230721BHJP
   F04B 49/02 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
F04D27/00 L
F04B49/03 331
F04B49/02 331D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005147
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】310010564
【氏名又は名称】三菱重工コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄也
(72)【発明者】
【氏名】木内 大輔
(72)【発明者】
【氏名】濱野 邦生
【テーマコード(参考)】
3H021
3H145
【Fターム(参考)】
3H021AA01
3H021BA03
3H021CA04
3H021DA04
3H021DA10
3H021DA12
3H021EA03
3H021EA07
3H021EA15
3H145AA05
3H145AA12
3H145AA25
3H145BA04
3H145CA08
3H145CA23
3H145DA03
3H145DA12
3H145DA15
3H145DA47
3H145EA04
3H145EA17
3H145EA34
3H145EA43
(57)【要約】
【課題】圧縮機の再始動に必要なトルクを低減することができる圧縮システムを提供する。
【解決手段】固定速モータと、固定速モータによって回転し、少なくとも第一ガスと第二ガスとを含む合成ガスを圧縮して圧縮ガスを生成する圧縮機と、合成ガスを構成する第一ガスを圧縮機に供給する第一ラインと、合成ガスを構成する第二ガスを第一ラインへ供給する第二ラインと、圧縮機から吐出された圧縮ガスを流通させる吐出ラインと、圧縮ガスの一部を吐出ラインから第一ラインへ還流させる還流ラインと、第一ラインでの第一ガスの流量を調整可能な第一調整弁と、第二ラインでの第二ガスの流量を調整可能な第二調整弁と、吐出ラインでの圧縮ガスの流量を調整可能な吐出弁と、還流ラインでの圧縮ガスの流量を調整可能な還流弁と、圧縮機の運転状況に基づいて第一調整弁、第二調整弁、吐出弁、及び還流弁を切り替え可能な弁制御装置と、を備える圧縮システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定速モータと、
前記固定速モータによって回転し、少なくとも第一ガスと第二ガスとを含む合成ガスを圧縮して圧縮ガスを生成する圧縮機と、
前記圧縮機に接続され、前記合成ガスの一部を構成する前記第一ガスを前記圧縮機に供給する第一ラインと、
前記第一ラインに接続され、前記合成ガスの一部を構成する前記第二ガスを前記第一ラインへ供給する第二ラインと、
前記圧縮機に接続され、前記圧縮機から吐出された前記圧縮ガスを流通させる吐出ラインと、
前記吐出ラインと前記第一ラインとを接続し、前記圧縮ガスの一部を前記吐出ラインから前記第一ラインへ還流させる還流ラインと、
前記第一ラインでの前記第一ガスの流量を調整可能な第一調整弁と、
前記第二ラインでの前記第二ガスの流量を調整可能な第二調整弁と、
前記吐出ラインでの前記圧縮ガスの流量を調整可能な吐出弁と、
前記還流ラインでの前記圧縮ガスの流量を調整可能な還流弁と、
前記圧縮機の運転状況に基づいて前記第一調整弁、前記第二調整弁、前記吐出弁、及び前記還流弁を切り替え可能な弁制御装置と、
を備え、
前記弁制御装置は、
前記圧縮機に異常があるか否かを判定する判定部と、
前記判定部が前記圧縮機に異常があると判定した場合に、前記固定速モータの運転を停止するモータ制御部と、
前記固定速モータの運転が停止された際に、前記第一調整弁、前記第二調整弁、前記吐出弁、及び前記還流弁での流体の流通状態を流通可能な全開状態と流通不能な全閉状態とに切り替え可能な切替処理部と、
を有し、
前記第一ガスは、第一分子量を有し、
前記第二ガスは、前記第一分子量よりも小さい第二分子量を有し、
前記切替処理部は、前記固定速モータの運転が停止された際に、前記圧縮機の定格運転中の弁状態から第一弁状態に前記第一調整弁、前記第二調整弁、前記吐出弁、及び前記還流弁を切り替え、
前記第一弁状態では、
前記第一調整弁は、前記定格運転中の弁状態である前記全開状態から前記全閉状態に切り替えられ、
前記第二調整弁及び前記吐出弁は、前記定格運転中の弁状態である前記全開状態を維持され、
前記還流弁は、前記定格運転中の弁状態である前記全閉状態から前記全開状態に切り替えられる圧縮システム。
【請求項2】
前記第一ラインへ前記第一ガスが前記圧縮機から逆流することを防ぐ第一逆止弁と、
前記第二ラインへ前記第二ガスが前記圧縮機から逆流することを防ぐ第二逆止弁と、
前記吐出ライン内の前記圧縮ガスが前記圧縮機へ逆流することを防ぐ第三逆止弁と、
を更に備える請求項1に記載の圧縮システム。
【請求項3】
前記切替処理部は、
前記固定速モータの運転の停止後に前記圧縮機のロータの回転が停止した場合に、前記第一調整弁、前記第二調整弁、前記吐出弁、及び前記還流弁を前記第一弁状態から第二弁状態に切り替え、
前記第二弁状態では、
前記第一調整弁及び前記第二調整弁は、前記全閉状態を維持され、
前記吐出弁は、前記全開状態から前記全閉状態に切り替えられ、
前記還流弁は、前記全開状態を維持される請求項1又は2に記載の圧縮システム。
【請求項4】
前記切替処理部は、
前記圧縮機を運転させる場合に、前記固定速モータを始動させるとともに、前記第一調整弁、前記第二調整弁、前記吐出弁、及び前記還流弁を前記第二弁状態から第三弁状態及び第四弁状態の順に切り替え、
前記第三弁状態では、
前記第一調整弁は、前記全閉状態を維持され、
前記第二調整弁は、前記全閉状態から前記全開状態に切り替えられ、
前記還流弁は、前記全開状態を維持され、
前記第四弁状態では、
前記第一調整弁は、前記全閉状態から前記全開状態に切り替えられ、
前記第二調整弁は、前記全開状態を維持され、
前記吐出弁は、前記全閉状態から前記全開状態に切り替えられ、
前記還流弁は、前記全開状態から流量を減少させるように切り替えられる請求項3に記載の圧縮システム。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の圧縮システムと、
前記第一ガスを生成し、該第一ガスを前記第一ラインに供給する第一ガス供給源と、
前記第二ガスを生成し、該第二ガスを前記第二ラインに供給する第二ガス供給源と、
を備える化学プラント。
【請求項6】
固定速モータと、
前記固定速モータによって回転し、少なくとも第一ガスと第二ガスとを含む合成ガスを圧縮して圧縮ガスを生成する圧縮機と、
前記圧縮機に接続され、前記合成ガスの一部を構成する前記第一ガスを前記圧縮機に供給する第一ラインと、
前記第一ラインに接続され、前記合成ガスの一部を構成する前記第二ガスを前記第一ラインへ供給する第二ラインと、
前記圧縮機に接続され、前記圧縮機から吐出された前記圧縮ガスを流通させる吐出ラインと、
前記吐出ラインと前記第一ラインとを接続し、前記圧縮ガスの一部を前記吐出ラインから前記第一ラインへ還流させる還流ラインと、
前記第一ラインでの前記第一ガスの流量を調整可能な第一調整弁と、
前記第二ラインでの前記第二ガスの流量を調整可能な第二調整弁と、
前記吐出ラインでの前記圧縮ガスの流量を調整可能な吐出弁と、
前記還流ラインでの前記圧縮ガスの流量を調整可能な還流弁と、
を備える圧縮システムの運転方法であって、
前記圧縮機に異常があるか否かを判定する異常判定工程と、
前記圧縮機に異常があると判定された場合に、前記固定速モータの運転を停止するモータ制御工程と、
前記固定速モータの運転が停止された際に、前記第一調整弁、前記第二調整弁、前記吐出弁、及び前記還流弁での流体の流通状態を流通可能な全開状態と流通不能な全閉状態とに切り替え可能な切替処理工程と、
を含み、
前記第一ガスは、第一分子量を有し、
前記第二ガスは、前記第一分子量よりも小さい第二分子量を有し、
前記切替処理工程では、前記固定速モータの運転が停止された際に、前記圧縮機の定格運転中の弁状態から第一弁状態に前記第一調整弁、前記第二調整弁、前記吐出弁、及び前記還流弁を切り替え、
前記第一弁状態では、
前記第一調整弁は、前記定格運転中の弁状態である前記全開状態から前記全閉状態に切り替えられ、
前記第二調整弁及び前記吐出弁は、前記定格運転中の弁状態である前記全開状態を維持され、
前記還流弁は、前記定格運転中の弁状態である前記全閉状態から前記全開状態に切り替えられる圧縮システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧縮システム、化学プラント、及び圧縮システムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には化学プラントでLNG等のプロセスガスを圧縮する圧縮装置及びその制御方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-85047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、圧縮装置は、何等かの異常が運転中に発生することで緊急停止されることがある。この際、圧縮装置内にプロセスガスが封入された状態で圧縮装置のロータの回転が停止することがある。この状態で圧縮装置を再始動させた際、圧縮装置のロータの回転に必要なトルクが、圧縮装置の始動時に必要なトルクよりも大きくなる場合がある。
【0005】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、圧縮機の再始動に必要なトルクを低減することができる圧縮システム、化学プラント、及び圧縮システムの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る圧縮システムは、固定速モータと、前記固定速モータによって回転し、少なくとも第一ガスと第二ガスとを含む合成ガスを圧縮して圧縮ガスを生成する圧縮機と、前記圧縮機に接続され、前記合成ガスの一部を構成する前記第一ガスを前記圧縮機に供給する第一ラインと、前記第一ラインに接続され、前記合成ガスの一部を構成する前記第二ガスを前記第一ラインへ供給する第二ラインと、前記圧縮機に接続され、前記圧縮機から吐出された前記圧縮ガスを流通させる吐出ラインと、前記吐出ラインと前記第一ラインとを接続し、前記圧縮ガスの一部を前記吐出ラインから前記第一ラインへ還流させる還流ラインと、前記第一ラインでの前記第一ガスの流量を調整可能な第一調整弁と、前記第二ラインでの前記第二ガスの流量を調整可能な第二調整弁と、前記吐出ラインでの前記圧縮ガスの流量を調整可能な吐出弁と、前記還流ラインでの前記圧縮ガスの流量を調整可能な還流弁と、前記圧縮機の運転状況に基づいて前記第一調整弁、前記第二調整弁、前記吐出弁、及び前記還流弁を切り替え可能な弁制御装置と、を備え、前記弁制御装置は、前記圧縮機に異常があるか否かを判定する判定部と、前記判定部が前記圧縮機に異常があると判定した場合に、前記固定速モータの運転を停止するモータ制御部と、前記固定速モータの運転が停止された際に、前記第一調整弁、前記第二調整弁、前記吐出弁、及び前記還流弁での流体の流通状態を流通可能な全開状態と流通不能な全閉状態とに切り替え可能な切替処理部と、を有し、前記第一ガスは、第一分子量を有し、前記第二ガスは、前記第一分子量よりも小さい第二分子量を有し、前記切替処理部は、前記固定速モータの運転が停止された際に、前記圧縮機の定格運転中の弁状態から第一弁状態に前記第一調整弁、前記第二調整弁、前記吐出弁、及び前記還流弁を切り替え、前記第一弁状態では、前記第一調整弁は、前記定格運転中の弁状態である前記全開状態から前記全閉状態に切り替えられ、前記第二調整弁及び前記吐出弁は、前記定格運転中の弁状態である前記全開状態を維持され、前記還流弁は、前記定格運転中の弁状態である前記全閉状態から前記全開状態に切り替えられる。
【0007】
また、本開示に係る化学プラントは、上記圧縮システムと、前記第一ガスを生成し、該第一ガスを前記第一ラインに供給する第一ガス供給源と、前記第二ガスを生成し、該第二ガスを前記第二ラインに供給する第二ガス供給源と、を備える。
【0008】
また、本開示に係る圧縮システムの運転方法は、固定速モータと、前記固定速モータによって回転し、少なくとも第一ガスと第二ガスとを含む合成ガスを圧縮して圧縮ガスを生成する圧縮機と、前記圧縮機に接続され、前記合成ガスの一部を構成する前記第一ガスを前記圧縮機に供給する第一ラインと、前記第一ラインに接続され、前記合成ガスの一部を構成する前記第二ガスを前記第一ラインへ供給する第二ラインと、前記圧縮機に接続され、前記圧縮機から吐出された前記圧縮ガスを流通させる吐出ラインと、前記吐出ラインと前記第一ラインとを接続し、前記圧縮ガスの一部を前記吐出ラインから前記第一ラインへ還流させる還流ラインと、前記第一ラインでの前記第一ガスの流量を調整可能な第一調整弁と、前記第二ラインでの前記第二ガスの流量を調整可能な第二調整弁と、前記吐出ラインでの前記圧縮ガスの流量を調整可能な吐出弁と、前記還流ラインでの前記圧縮ガスの流量を調整可能な還流弁と、を備える圧縮システムの運転方法であって、前記圧縮機に異常があるか否かを判定する異常判定工程と、前記圧縮機に異常があると判定された場合に、前記固定速モータの運転を停止するモータ制御工程と、前記固定速モータの運転が停止された際に、前記第一調整弁、前記第二調整弁、前記吐出弁、及び前記還流弁での流体の流通状態を流通可能な全開状態と流通不能な全閉状態とに切り替え可能な切替処理工程と、を含み、前記第一ガスは、第一分子量を有し、前記第二ガスは、前記第一分子量よりも小さい第二分子量を有し、前記切替処理工程では、前記固定速モータの運転が停止された際に、前記圧縮機の定格運転中の弁状態から第一弁状態に前記第一調整弁、前記第二調整弁、前記吐出弁、及び前記還流弁を切り替え、前記第一弁状態では、前記第一調整弁は、前記定格運転中の弁状態である前記全開状態から前記全閉状態に切り替えられ、前記第二調整弁及び前記吐出弁は、前記定格運転中の弁状態である前記全開状態を維持され、前記還流弁は、前記定格運転中の弁状態である前記全閉状態から前記全開状態に切り替えられる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、圧縮機の再始動に必要なトルクを低減することができる圧縮システム、化学プラント、及び圧縮システムの運転方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態に係る圧縮システムの構成を示す図である。
図2】本開示の実施形態に係る弁制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
図3】本開示の実施形態に係る弁制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
図4】本開示の実施形態に係る弁制御装置の切替処理部によって切り替わる各種弁の弁状態を示す図である。
図5】本開示の実施形態に係る圧縮システムの運転方法を示すフローチャートである。
図6】本開示の実施形態に係るコンピュータの構成を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態に係る圧縮システム、化学プラント、及び圧縮システムの運転方法を図面に基づき説明する。
【0012】
(化学プラント)
化学プラントは、アンモニアを製造するグリーンアンモニアプラントである。図1に示すように、化学プラント100は、圧縮システム1と、第一ガス供給源20と、第二ガス供給源30と、を備えている。
【0013】
(圧縮システム)
圧縮システム1は、例えば化学プラント100内で発生する作動流体としてのプロセスガス(合成ガス)を圧縮し、昇圧されたこの合成ガスを化学プラント100が有するリアクター等の反応用装置(図示省略)に供給する。
【0014】
圧縮システム1は、圧縮装置10と、第一調整弁22と、第一逆止弁23と、第二調整弁32と、第二逆止弁33と、吐出弁41と、第三逆止弁42と、還流ライン50と、還流弁51と、弁制御装置60と、第一ライン21と、第二ライン31と、吐出ライン40と、を備えている。
【0015】
(圧縮装置)
圧縮装置10は、化学プラント100内で用いられる外部から供給された合成ガスを圧縮するとともに、圧縮した合成ガスを上記反応用装置へ供給する。圧縮装置10は、固定速モータ11と、圧縮機12と、増速機13と、を有している。本実施形態における合成ガスは、少なくとも第一ガスと第二ガスとを含む互いに異なるガスが合成されることで生成される。
【0016】
(固定速モータ)
固定速モータ11は、圧縮機12を駆動するための動力を発生させ、圧縮機12を回転させる圧縮機12の駆動源である。固定速モータ11は、外部から電圧が印加されて、一定の速度(固定速)で回転する。固定速モータ11は、例えば、固定子としてのモータステータと、出力軸11aを有する回転子としてのモータロータと、を有している。
【0017】
モータステータは、固定速モータ11の外部の電流供給源(図示省略)と電気的に接続されている。このモータステータが有するコイルに電流が流れることによって、モータロータを回転させる電磁力が発生する。したがって、固定速モータ11のモータステータに外部から電力が入力されると、モータロータの出力軸11aが回転する。
【0018】
出力軸11aは、水平方向に延びる軸線O回りに回転可能な駆動軸である。以下、この軸線Oが延びる方向を単に「軸線方向Da」と称する。更に、軸線方向Daにおける一方側(図1における右側)を単に「一方側Dar」と称し、他方側(図1における左側)を単に「他方側Dal」と称する。
【0019】
(圧縮機)
圧縮機12は、固定速モータ11によって回転されることで合成ガスを圧縮し、所定の圧力値まで高められた圧縮ガスを生成する回転機械である。圧縮機12は、固定速モータ11よりも一方側Darに配置されている。圧縮機12は、圧縮機ケーシング12bと、圧縮機ロータ12a(ロータ)と、を有している。
【0020】
圧縮機ケーシング12bは、圧縮機12の外殻を成す部材である。圧縮機ケーシング12bは、地面や架台等に固定された圧縮機支持部(図示省略)によって支持され、内部で合成ガスを流通させる。圧縮機ケーシング12bは、合成ガスを吸入するための吸入口(図示省略)と、圧縮ガスを吐出するための吐出口(図示省略)と、を有している。
【0021】
圧縮機ロータ12aは、回転軸と、該回転軸に固定され、圧縮機ケーシング12bの内面とともに合成ガスを圧縮するための圧縮流路を形成する複数段のインペラ(図示省略)と、を有している。
【0022】
回転軸は、固定速モータ11における出力軸11aと同様に軸線O回りに回転可能な回転軸である。回転軸は、例えば軸受装置やシール装置等を介して圧縮機ケーシング12bに回転可能に固定されている。
【0023】
複数段のインペラは、圧縮機ケーシング12bに収容されている。インペラは、軸線方向Daで並ぶように回転軸上に配列されており、回転軸と一体に軸線O回りに回転する。
【0024】
圧縮機12に導入される合成ガスの流れを以下に説明する。圧縮機12における圧縮機ケーシング12bの吸入口には、圧縮装置10から外部へ延びる第一ライン21の一端が接続されている。この第一ライン21を通じて合成ガスが外部から圧縮機ケーシング12bの内部へ供給される。
【0025】
吸入口を通じて圧縮機ケーシング12bの内部に導入された合成ガスは、圧縮機ケーシング12bの内部で高速回転する圧縮機ロータ12aの複数段のインペラによって順次圧縮される。最後段のインペラによって所定の圧力値まで高められて圧縮ガスとなった合成ガスは、圧縮機ケーシング12bの吐出口を通じて圧縮装置10の外部へ吐出される。
【0026】
吐出口には、圧縮ガスを吐出するための吐出ライン40の一端が接続されている。この吐出ライン40を通じて圧縮機ケーシング12bの内部の圧縮ガスが圧縮装置10の外部の上記反応用装置へ供給される。
【0027】
本実施形態では、圧縮機12と固定速モータ11とが増速機13を介して接続されている。増速機13は、圧縮機ロータ12aの回転軸の回転数を固定速モータ11におけるモータロータの出力軸11aの回転数よりも高める可変速増速機である。
【0028】
具体的には、モータロータの出力軸11aにおける一方側Darの端部と、圧縮機ロータ12aの回転軸における他方側Dalの端部とがそれぞれ増速機13が有するギアに接続されている。なお、この増速機13を境にして、圧縮機12における圧縮機ロータ12aの軸線O回りの回転方向は、モータ11の出力軸11aの軸線O回りの回転方向に対して逆向きになる。
【0029】
ここで、化学プラント100が備える第一ガス供給源20及び第二ガス供給源30について説明する。
【0030】
(第一ガス供給源)
第一ガス供給源20は、第一分子量を有する第一ガスを生成し、生成したこの第一ガスを圧縮装置10の圧縮機12に供給する装置である。本実施形態における第一ガス供給源20は、例えば、凝固点の差異を利用して空気から窒素(N)のみを分離する空気分離装置(air separation unit)である。第一ガス供給源20は、空気から分離した窒素を第一ガスとして圧縮装置10における圧縮機12へ供給する。
【0031】
ここで、第一ガス供給源20と圧縮装置10の圧縮機12とは、上記第一ライン21によって接続されている。即ち、第一ライン21の上記一端が圧縮機12の吸入口に接続され、第一ライン21の他端は、第一ガス供給源20に接続されている。したがって、第一ガス供給源20で生成された第一ガスは、この第一ライン21を通じて圧縮機12に供給される。
【0032】
(第二ガス供給源)
第二ガス供給源30は、第一分子量よりも小さい第二分子量を有する第二ガスを生成し、生成したこの第二ガスを第一ライン21内に供給する装置である。本実施形態における第二ガス供給源30は、例えば、水(HO)を電気分解することで水から水素(H)のみを分離する装置である。第二ガス供給源30は、水から分離した水素を第二ガスとして第一ライン21内へ供給する。
【0033】
ここで、第二ガス供給源30と第一ライン21とは、第二ライン31によって接続されている。第二ライン31の一端は、第二ガス供給源30に接続され、第二ライン31の他端は、第一ライン21の中途に接続されている。したがって、第二ガス供給源30で生成された第二ガスは、この第二ライン31を通じて第一ライン21に供給される。
【0034】
したがって、第一ライン21内でこれら第一ガスと第二ガスとが合流することによって合成ガスが生成されている。即ち、第一ガスと第二ガスとは、それぞれ合成ガスの一部を構成している。したがって、本実施形態では、合成ガスは、予め貯蔵されたものではなく、圧縮装置10の直前における第一ライン21内で第一ガスと第二ガスが混ざることで生成されている。
【0035】
(第一調整弁)
第一調整弁22は、第一ライン21の中途に配置されている。第一調整弁22は、第一ライン21内を流れる第一ガスの流量を調整可能な弁である。本実施形態における第一調整弁22は、第一ライン21内における第一ガスを圧縮機12に向かって流通可能にする全開状態と、第一ライン21内における第一ガスを圧縮機12に向かって流通不能にする全閉状態とに切り替え可能なオンオフ弁である。第一調整弁22は、第一ライン21における第二ライン31との接続位置よりも第一ガス供給源20側の第一ライン21に配置されている。
【0036】
(第一逆止弁)
第一逆止弁23は、第一ライン21の中途に配置されている。第一逆止弁23は、第一ガスが圧縮機12から第一ガス供給源20側へ向かって第一ライン21中で逆流することを防ぐ弁である。第一逆止弁23は、第一ライン21における第二ライン31との接続位置と第一調整弁22との間の第一ライン21に配置されている。
【0037】
(第二調整弁)
第二調整弁32は、第二ライン31の中途に配置されている。第二調整弁32は、第二ライン31内を流れる第二ガスの流量を調整可能な弁である。本実施形態における第二調整弁32は、第二ライン31内における第二ガスを第一ライン21に向かって流通可能にする全開状態と、第二ライン31内における第二ガスを第一ライン21に向かって流通不能にする全閉状態とに切り替え可能なオンオフ弁である。
【0038】
(第二逆止弁)
第二逆止弁33は、第二ライン31の中途に配置されている。第二逆止弁33は、第二ガスが第一ライン21を通じて圧縮機12から第二ガス供給源30側へ向かって第二ライン31中で逆流することを防ぐ弁である。第二逆止弁33は、第二ライン31における第二調整弁32よりも第一ライン21側の第二ライン31に配置されている。
【0039】
(吐出弁)
吐出弁41は、吐出ライン40の中途に配置されている。吐出弁41は、吐出ライン40内を流れる圧縮ガスの流量を調整可能な弁である。本実施形態における吐出弁41は、吐出ライン40内における圧縮ガスを反応用装置に向かって流通可能にする全開状態と、吐出ライン40内における圧縮ガスを反応用装置に向かって流通不能にする全閉状態とに切り替え可能なオンオフ弁である。
【0040】
(第三逆止弁)
第三逆止弁42は、吐出ライン40の中途に配置されている。第三逆止弁42は、圧縮ガスが圧縮機12へ向かって吐出ライン40内で逆流することを防ぐ弁である。本実施形態における第三逆止弁42は、吐出ライン40上で圧縮機12とともに吐出弁41を間に挟むように吐出ライン40に配置されている。
【0041】
(還流ライン)
還流ライン50は、吐出ライン40と第一ライン21とに亘るように配置されている。還流ライン50は、吐出ライン40内を流れる圧縮ガスを第一ライン21内へ還流可能なアンチサージラインである。即ち、還流ライン50は、圧縮機12から吐出される圧縮ガスを圧縮機12へ導入される合成ガスに合流させる。
【0042】
還流ライン50の一端は、吐出ライン40における吐出弁41よりも圧縮機12側の吐出ライン40に接続されており、還流ライン50の他端は、第一ライン21における第二ライン31との接続位置よりも圧縮機12側の第一ライン21に接続されている。
【0043】
(還流弁)
還流弁51は、還流ライン50に配置されている。本実施形態における還流弁51は、還流ライン50内を第一ライン21に向かって流れる圧縮ガスの流量を調整可能な流量調整弁(アンチサージバルブ)である。
【0044】
(弁制御装置)
弁制御装置60は、圧縮機12の運転状況に基づいて第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、及び還流弁51を切り替え可能な装置である。図2に示すように、弁制御装置60は、取得部61と、判定部62と、モータ制御部63と、切替処理部64と、を有している。
【0045】
(取得部)
取得部61は、圧縮機12の状態データを所定の時間間隔で取得する。本実施形態における圧縮機12の状態データには、例えば、圧縮機12が有するセンサによる計測結果に基づいて算出された圧縮機ロータ12aの回転数や、圧縮機12内に配置されたセンサによって計測された圧縮流路内における雰囲気の温度、圧縮機12の回転軸を支持する軸受装置が有するセンサによって計測された軸受装置の温度等を採用することができる。
【0046】
ここで、圧縮機ロータ12aの回転数は、例えば、固定速モータ11に印加される電圧が上記センサによって計測され、計測されたこの印加電圧の大きさと増速機13のギア比とに基づいて算出される。
【0047】
したがって、取得部61は、上記の各種センサから信号線等を通じて圧縮機12の状態データを取得する。取得部61は、取得した当該状態データを判定部62へ送信する。以下では、圧縮機12の状態データが圧縮機ロータ12aの回転数である場合を例に説明する。
【0048】
また、取得部61は、固定速モータ11の始動の指示を示す信号を外部から取得する。本実施形態における取得部61は、例えば、弁制御装置60の外部の入力用のインタフェースから送信される始動の指示を示す信号を受け付ける。取得部61は、取得した当該信号をモータ制御部63へ送信する。
【0049】
(判定部)
判定部62は、取得部61が取得した圧縮機12の状態データに基づいて圧縮機12に異常があるか否かを判定する。判定部62は、取得部61から上記状態データを受け付ける。判定部62は、受け付けた圧縮機12の状態データと、判定部62が予め記憶している所定の閾値(第一閾値及び第二閾値)とを比較する。
【0050】
具体的には、判定部62は、当該状態データと、所定の定格回転数を示す第一閾値とを比較する。状態データがこの第一閾値を超えている場合、判定部62は、圧縮機12に異常があると判定する。つまり、圧縮機ロータ12aの回転数が定格回転数よりも上昇してしまっている場合に、判定部62は圧縮機12に異常があると判定する。
【0051】
状態データが第一閾値を超えていない場合、判定部62は、圧縮機12に異常がないと判定する。つまり、圧縮機ロータ12aの回転数が定格回転数以内である場合、判定部62は圧縮機12に異常がないと判定する。判定を終えた判定部62は、圧縮機12の異常の有無を示す信号をモータ制御部63及び切替処理部64へ送信する。
【0052】
また、判定部62は、取得部61が取得した圧縮機12の状態データに基づいて圧縮機12の圧縮機ロータ12aが停止しているか否かを判定する。圧縮機ロータ12aが回転していないことを状態データが示す場合、判定部62は、圧縮機ロータ12aの回転が停止していると判定する。この際、判定部62は、圧縮機ロータ12aが停止している旨を示す信号を切替処理部64へ送信する。
【0053】
また、判定部62は、圧縮機ロータ12aが停止している旨を示す信号を切替処理部64へ送信した後に、圧縮機12が移行状態であるか否かを判定する。具体的には、判定部62は、状態データと、所定の回転数を示す第二閾値とを比較する。
【0054】
本実施形態における第二閾値は、第一閾値よりも小さい。状態データがこの第二閾値を超えた場合、判定部62は、圧縮機12が起動から定格運転へ移行する移行状態であると判定する。この際、判定部62は、圧縮機12が移行状態である旨を示す信号を切替処理部64へ送信する。
【0055】
(モータ制御部)
モータ制御部63は、判定部62が圧縮機12に異常があると判定した場合に、固定速モータ11の運転を停止する。モータ制御部63は、圧縮機12の異常の有無を示す信号を判定部62から受け付ける。
【0056】
当該信号が圧縮機12に異常があることを示す場合、モータ制御部63は、停止の指示を示す信号を固定速モータ11へ送信する。固定速モータ11は、停止の指示を示す信号をモータ制御部63から受け付けた際、回転を停止する。
【0057】
また、モータ制御部63は、始動の指示を示す信号を取得部61から受け付けた際、固定速モータ11を始動させる。具体的には、モータ制御部63は、始動の指示を示す信号を固定速モータ11及び切替処理部64のそれぞれへ同時に送信する。固定速モータ11は、始動の指示を示す信号をモータ制御部63から受け付けた際、回転を開始する。
【0058】
(切替処理部)
切替処理部64は、固定速モータ11の運転が停止された際に、第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、及び還流弁51での流体の流通状態を流通可能な全開状態と流通不能な全閉状態とに切り替える。以下、図3を用いて、切替処理部64が操作する各弁(第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、還流弁51)の弁状態に対応する開閉状態を説明する。
【0059】
切替処理部64は、圧縮機12の異常の有無を示す信号を判定部62から受け付ける。当該信号が圧縮機12に異常がないことを示す場合、切替処理部64は、圧縮機12が定格運転中であると判定し、「定格運転中の弁状態」を示す信号を第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、及び還流弁51のそれぞれへ同時に送信する。
【0060】
第一調整弁22は、定格運転中の弁状態を示す信号を切替処理部64から受け付けた際、全開状態を維持する。第二調整弁32は、定格運転中の弁状態を示す信号を切替処理部64から受け付けた際、全開状態を維持する。
【0061】
吐出弁41は、定格運転中の弁状態を示す信号を切替処理部64から受け付けた際、全開状態を維持する。還流弁51は、定格運転中の弁状態を示す信号を切替処理部64から受け付けた際、全閉状態を維持する。
【0062】
切替処理部64は、判定部62から受け付けた信号が圧縮機12に異常があることを示す場合、「第一弁状態」を示す信号を第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、及び還流弁51のそれぞれへ同時に送信する。
【0063】
第一調整弁22は、第一弁状態を示す信号を切替処理部64から受け付けた際、定格運転中の弁状態である全開状態から全閉状態に切り替わる。第二調整弁32は、第一弁状態を示す信号を切替処理部64から受け付けた際、定格運転中の弁状態である全開状態を維持する。
【0064】
吐出弁41は、第一弁状態を示す信号を切替処理部64から受け付けた際、定格運転中の弁状態である全開状態を維持する。還流弁51は、第一弁状態を示す信号を切替処理部64から受け付けた際、定格運転中の弁状態である全閉状態から全開状態に切り替わる。
【0065】
また、切替処理部64は、判定部62から受け付けた信号が、圧縮機ロータ12aが停止している旨を示す場合、「第二弁状態」を示す信号を第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、及び還流弁51のそれぞれへ同時に送信する。
【0066】
第一調整弁22は、第二弁状態を示す信号を切替処理部64から受け付けた際、第一弁状態である全閉状態を維持する。第二調整弁32は、第二弁状態を示す信号を切替処理部64から受け付けた際、第一弁状態である全開状態から全閉状態に切り替わる。
【0067】
吐出弁41は、第二弁状態を示す信号を切替処理部64から受け付けた際、第一弁状態である全開状態から全閉状態に切り替わる。還流弁51は、第二弁状態を示す信号を切替処理部64から受け付けた際、第一弁状態である全開状態を維持する。
【0068】
また、切替処理部64は、モータ制御部63から受け付けた信号が、始動の指示を示す場合、「第三弁状態」を示す信号を第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、及び還流弁51のそれぞれへ同時に送信する。
【0069】
第一調整弁22は、第三弁状態を示す信号を切替処理部64から受け付けた際、第二弁状態である全閉状態を維持する。第二調整弁32は、第三弁状態を示す信号を切替処理部64から受け付けた際、第二弁状態である全閉状態から全開状態に切り替わる。
【0070】
吐出弁41は、第三弁状態を示す信号を切替処理部64から受け付けた際、第二弁状態である全閉状態から全開状態に切り替わる、又は全閉状態を維持する。還流弁51は、第三弁状態を示す信号を切替処理部64から受け付けた際、第二弁状態である全開状態を維持する。
【0071】
また、切替処理部64は、判定部62から受け付けた信号が、圧縮機12が移行状態である旨を示す場合、「第四弁状態」を示す信号を第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、及び還流弁51のそれぞれへ同時に送信する。
【0072】
第一調整弁22は、第四弁状態を示す信号を切替処理部64から受け付けた際、第三弁状態である全閉状態から全閉状態に切り替わる。第二調整弁32は、第四弁状態を示す信号を切替処理部64から受け付けた際、第三弁状態である全開状態を維持する。
【0073】
吐出弁41は、第四弁状態を示す信号を切替処理部64から受け付けた際、第二弁状態が全開状態である場合、全開状態を維持し、第二弁状態が全閉状態である場合、全閉状態から全開状態に切り替わる。還流弁51は、第四弁状態を示す信号を切替処理部64から受け付けた際、第三弁状態である全開状態から流量を減少させるように切り替わる。
【0074】
(弁制御装置の動作)
続いて、弁制御装置60の動作について図4を参照して説明する。
【0075】
取得部61が圧縮機12の状態データを取得する(ステップS0)。次いで、取得部61が取得した状態データに基づいて、判定部62が圧縮機12に異常があるか否かを判定する(ステップS1)。次いで、圧縮機12に異常があると取得部61が判定した場合に、モータ制御部63が固定速モータ11の運転を停止させる(ステップS2)。
【0076】
次いで、モータ制御部63によって固定速モータ11の運転が停止された際、切替処理部64が第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、及び還流弁51を定格運転中の弁状態から第一弁状態に切り替える(ステップS3)。
【0077】
次いで、取得部61が取得した状態データに基づいて、圧縮機ロータ12aが停止しているか否かを判定部62が判定する(ステップS4)。次いで、圧縮機ロータ12aが停止していると判定部62が判定した際、切替処理部64が第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、及び還流弁51を第一弁状態から第二弁状態に切り替える(ステップS5)。
【0078】
次いで、固定速モータ11の始動の指示を示す信号を取得部61が外部から取得し、モータ制御部63に送信する(ステップS6)。次いで、取得部61から受け付けた始動の指示を示す信号に基づいて、モータ制御部63が固定速モータ11の運転を始動させる(ステップS7)。
【0079】
次いで、モータ制御部63によって固定速モータ11の運転が始動された際、切替処理部64が第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、及び還流弁51を第二弁状態から第三弁状態に切り替える(ステップS8)。
【0080】
次いで、圧縮機12が移行状態であるか否かを判定部62が判定する(ステップS9)。次いで、圧縮機12が移行状態であると判定部62が判定した際、切替処理部64が第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、及び還流弁51を第三弁状態から第四弁状態に切り替える(ステップS10)。
【0081】
(圧縮システムの運転方法)
続いて、上記圧縮システム1の運転方法について図5を参照して説明する。当該運転方法は、第一取得工程S11と、異常判定工程S12と、第一モータ制御工程S13(モータ制御工程)と、第一切替処理工程S14(切替処理工程)と、停止判定工程S15と、第二切替処理工程S16と、第二取得工程S17と、第二モータ制御工程S18と、第三切替処理工程S19と、移行判定工程S20と、第四切替処理工程S21と、を含んでいる。
【0082】
(第一取得工程)
第一取得工程S11は、圧縮機12の状態データを取得する工程である。第一取得工程S11では、圧縮機12に設けられたセンサによって計測された圧縮機12の状態データが取得部61によって取得される。
【0083】
(異常判定工程)
異常判定工程S12は、第一取得工程S11に次いで、圧縮機12に異常があるか否かを判定する工程である。異常判定工程S12では、第一取得工程S11で取得された圧縮機12の状態データと、判定部62が予め記憶している所定の閾値とが比較され、圧縮機12に異常があるか否かを判定部62によって判定される。
【0084】
(第一モータ制御工程)
第一モータ制御工程S13は、異常判定工程S12に次いで、固定速モータ11の運転を停止させる工程である。第一モータ制御工程S13では、異常判定工程S12で圧縮機12に異常があると判定された場合に、モータ制御部63によって固定速モータ11の運転が停止される。
【0085】
(第一切替処理工程)
第一切替処理工程S14は、第一モータ制御工程S13に次いで、第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、及び還流弁51を定格運転中の弁状態から第一弁状態に切り替える工程である。第一切替処理工程S14では、第一モータ制御工程S13で固定速モータ11の運転が停止された際、切替処理部64によって第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、及び還流弁51が定格運転中の弁状態から第一弁状態に切り替わる。
【0086】
(停止判定工程)
停止判定工程S15は、第一切替処理工程S14に次いで、圧縮機ロータ12aが停止しているか否かを判定する工程である。停止判定工程S15では、取得部61によって取得された状態データに基づいて、圧縮機ロータ12aが停止しているか否かが判定部62によって判定される。
【0087】
(第二切替処理工程)
第二切替処理工程S16は、停止判定工程S15に次いで、第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、及び還流弁51を第一弁状態から第二弁状態に切り替える工程である。第二切替処理工程S16では、停止判定工程S15で圧縮機ロータ12aが停止していると判定された際、切替処理部64によって第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、及び還流弁51が第一弁状態から第二弁状態に切り替わる。
【0088】
(第二取得工程)
第二取得工程S17は、第二切替処理工程S16に次いで、固定速モータ11の始動の指示を示す信号を外部から取得する工程である。第二取得工程S17では、固定速モータ11の始動の指示を示す信号を取得部61によって外部から取得される。
【0089】
(第二モータ制御工程)
第二モータ制御工程S18は、第二取得工程S17に次いで、固定速モータ11の運転を始動させる工程である。第二モータ制御工程S18では、第二取得工程S17で取得された固定速モータ11の始動の指示を示す信号に基づいて、モータ制御部63によって固定速モータ11の運転が始動される。
【0090】
(第三切替処理工程)
第三切替処理工程S19は、第二モータ制御工程S18に次いで、第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、及び還流弁51を第二弁状態から第三弁状態に切り替える工程である。第三切替処理工程S19では、第二モータ制御工程S18で固定速モータ11が始動された際、切替処理部64によって第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、及び還流弁51が第二弁状態から第三弁状態に切り替わる。
【0091】
(移行判定工程)
移行判定工程S20は、第三切替処理工程S19に次いで、圧縮機12が移行状態であるか否かを判定する工程である。移行判定工程S20では、取得部61によって取得された状態データに基づいて、圧縮機12が移行状態であるか否かが判定部62によって判定される。
【0092】
(第四切替処理工程)
第四切替処理工程S21は、移行判定工程S20に次いで、第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、及び還流弁51を第三弁状態から第四弁状態に切り替える工程である。第二四切替処理工程では、移行判定工程S20で圧縮機12が移行状態であると判定された際、切替処理部64によって第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、及び還流弁51が第三弁状態から第四弁状態に切り替わる。
【0093】
上記一連の工程を経ることで、圧縮システム1が運転される。
【0094】
(作用効果)
上記実施形態に係る圧縮システム1では、弁制御装置60における判定部62が圧縮機12に異常があると判定した際に、弁制御装置60における切替処理部64が第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、及び還流弁51を定格運転中の弁状態から第一弁状態へ遷移させる。
【0095】
これにより、圧縮機12に何等かの異常が生じて圧縮機12の運転が停止された際(トリップを起こした際)、合成ガスを構成する第一ガスと第二ガスとのうち、分子量の小さい第二ガスのみが第二ライン31及び第一ライン21を通じて圧縮機12へ供給される。
【0096】
本実施形態では、圧縮機12が停止された際、圧縮機ロータ12aは、圧縮機の運転の停止と同時には停止せず、回転数を落としながら停止の状態へ向かう。このため、圧縮機ロータ12aのこの回転に伴って、圧縮機12へ第二ガスが吸入され続ける。
【0097】
このため、圧縮機12内における第二ガスが占める割合を第一ガスよりも高めることができる。つまり、圧縮機12内に存在する合成ガスの分子量を低下させることができる。したがって、圧縮機12の運転が停止された際の圧縮機12内に存在するガスの分子量が低下するため、圧縮機12の再始動に必要なトルクを低減することができる。その結果、固定速モータ11を小型化することができる。
【0098】
また、上記実施形態に係る圧縮システム1では、第一逆止弁23が第一ライン21に配置され、第二逆止弁33が第二ライン31に配置され、第三逆止弁42が吐出ライン40に配置されている。これにより、例えば、圧縮機12が停止した状態で第一調整弁22、第二調整弁32、及び吐出弁41を全開状態とした場合であっても、ガスが逆流することを防ぐことができる。
【0099】
また、上記実施形態に係る圧縮システム1では、弁制御装置60における判定部62が圧縮機12の圧縮機ロータ12aの回転が停止していると判定した場合に、弁制御装置60における切替処理部64が第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、及び還流弁51を第一弁状態から第二弁状態に遷移させる。
【0100】
これにより、第一ライン21及び第二ライン31を通じて圧縮機12へ第二ガスが新たに導入されることがない。また、吐出ライン40を通じて圧縮機12から第一ガスや第二ガス等のガスが他の系統に向かって吐出されることがない。したがって、圧縮機12内で第二ガスが占める割合を一定に保つことができる。
【0101】
また、上記実施形態に係る圧縮システム1では、圧縮機12を始動させる場合に、固定速モータ11を始動させるとともに弁制御装置60における切替処理部64が第一調整弁22、第二調整弁32、吐出弁41、及び還流弁51を第二弁状態から第三弁状態、第四弁状態の順に遷移させる。
【0102】
これにより、再始動時に合成ガスを圧縮機12に供給し始める圧縮システム1の構成と比較して、圧縮機12内のガスの分子量を低く維持した状態で、定格運転中の弁状態へ遷移させることができる。したがって、圧縮機12の再始動に必要なトルクをより低減することができる。
【0103】
また、上記実施形態に係る化学プラント100では、第一ガス供給源20が第一ガスを生成し、生成されたこの第一ガスが第一ライン21を通じて圧縮機12に供給される。そして、第二ガス供給源30が第二ガスを生成し、生成されたこの第二ガスが第二ライン31を通じて第一ライン21に供給される。
【0104】
これにより、例えば、第一ガスと第二ガスとが予め合成された合成ガスを圧縮機12に供給する装置を備える化学プラント100の構成と比較して、圧縮機12に何等かの異常が生じて圧縮機12の運転が停止された際、第二ガスのみを圧縮機12に供給することができる。
【0105】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は実施形態の構成に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
【0106】
尚、図6は、本実施形態に係るコンピュータ1100の構成を示すハードウェア構成図である。
コンピュータ1100は、プロセッサ1110、メインメモリ1120、ストレージ1130、インタフェース1140を備える。
【0107】
上述の弁制御装置60は、コンピュータ1100に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ1130に記憶されている。プロセッサ1110は、プログラムをストレージ1130から読み出してメインメモリ1120に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ1110は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ1120に確保する。
【0108】
プログラムは、コンピュータ1100に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、又は他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。
【0109】
また、コンピュータ1100は、上記構成に加えて、又は上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ1110によって実現される機能の一部又は全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0110】
ストレージ1130の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ1130は、コンピュータ1100のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース1140又は通信回線を介してコンピュータ1100に接続される外部メディアであってもよい。
【0111】
また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ1100に配信される場合、配信を受けたコンピュータ1100が当該プログラムをメインメモリ1120に展開し、上記処理を実行してもよい。上記実施形態では、ストレージ1130は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0112】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。更に、当該プログラムは、前述した機能をストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0113】
また、上記実施形態で説明した弁制御装置60は、第一閾値及び第二閾値が記憶されている記憶部を更に有してもよい。この際、判定部62は、第一閾値及び第二閾値を記憶せず、記憶部が記憶している第一閾値を参照して圧縮機12に異常があるか否かを判定し、記憶部が記憶している第二閾値を参照して圧縮機12が移行状態であるか否かを判定してもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、第一ガスとして窒素(N)を採用し、第二ガスとして水素(H)を採用する構成を例示したが、この構成に限定されることはない。第一ガスにメタン(CH)を採用し、第二ガスに水素を採用する構成であってもよい。この際、圧縮機12は、例えば、化学プラント100内における水素混焼ガスタービンに用いられる燃焼ガスを圧縮するための圧縮機12であってもよい。第一ガスが有する第一分子量が、第二ガスが有する第二分子量よりも大きい構成であればよい。さらに、合成ガスは、少なくとも第一ガスと第二ガスとを含んでいればよく、第一ガス及び第二ガス以外に他のガスを更に含んでいてもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、第二ライン31が第一ライン21に接続され、第二ライン31内を流れる第二ガスが第一ライン21内で第一ライン21内を流れる第一ガスに合流する構成を説明したが、この構成に限定されることはない。例えば、第一ライン21の中途に配置され、第二ライン31に接続されることで第一ガス及び第二ガスを内部で合成するタンクを圧縮システム1が更に備えてもよい。この場合、タンクは、第一ライン21における第一逆止弁23と還流ライン50との間に配置され、第二ライン31は第一ライン21に直接接続されていない。
【0116】
また、上記実施形態では、判定部62が圧縮機12の異常の有無を判定しているが、この構成に限定されることはなく、圧縮システム1を運転する作業者の目視等によって異常の有無が判定されてもよい。
【0117】
<付記>
実施形態に記載の圧縮システム、化学プラント、及び圧縮システムの運転方法は、例えば以下のように把握される。
【0118】
(1)第1の態様に係る圧縮システム1は、固定速モータ11と、前記固定速モータ11によって回転し、少なくとも第一ガスと第二ガスとを含む合成ガスを圧縮して圧縮ガスを生成する圧縮機12と、前記圧縮機12に接続され、前記合成ガスの一部を構成する前記第一ガスを前記圧縮機12に供給する第一ライン21と、前記第一ライン21に接続され、前記合成ガスの一部を構成する前記第二ガスを前記第一ライン21へ供給する第二ライン31と、前記圧縮機12に接続され、前記圧縮機12から吐出された前記圧縮ガスを流通させる吐出ライン40と、前記吐出ライン40と前記第一ライン21とを接続し、前記圧縮ガスの一部を前記吐出ライン40から前記第一ライン21へ還流させる還流ライン50と、前記第一ライン21での前記第一ガスの流量を調整可能な第一調整弁22と、前記第二ライン31での前記第二ガスの流量を調整可能な第二調整弁32と、前記吐出ライン40での前記圧縮ガスの流量を調整可能な吐出弁41と、前記還流ライン50での前記圧縮ガスの流量を調整可能な還流弁51と、前記圧縮機12の運転状況に基づいて前記第一調整弁22、前記第二調整弁32、前記吐出弁41、及び前記還流弁51を切り替え可能な弁制御装置60と、を備え、前記弁制御装置60は、前記圧縮機12に異常があるか否かを判定する判定部62と、前記判定部62が前記圧縮機12に異常があると判定した場合に、前記固定速モータ11の運転を停止するモータ制御部63と、前記固定速モータ11の運転が停止された際に、前記第一調整弁22、前記第二調整弁32、前記吐出弁41、及び前記還流弁51での流体の流通状態を流通可能な全開状態と流通不能な全閉状態とに切り替え可能な切替処理部64と、を有し、前記第一ガスは、第一分子量を有し、前記第二ガスは、前記第一分子量よりも小さい第二分子量を有し、前記切替処理部64は、前記固定速モータ11の運転が停止された際に、前記圧縮機12の定格運転中の弁状態から第一弁状態に前記第一調整弁22、前記第二調整弁32、前記吐出弁41、及び前記還流弁51を切り替え、前記第一弁状態では、前記第一調整弁22は、前記定格運転中の弁状態である前記全開状態から前記全閉状態に切り替えられ、前記第二調整弁32及び前記吐出弁41は、前記定格運転中の弁状態である前記全開状態を維持され、前記還流弁51は、前記定格運転中の弁状態である前記全閉状態から前記全開状態に切り替えられる。
【0119】
これにより、圧縮機12に何等かの異常が生じて圧縮機12の運転が停止された際、合成ガスを構成する第一ガスと第二ガスとのうち、分子量の小さい第二ガスのみが第二ライン31及び第一ライン21を通じて圧縮機12へ供給される。
【0120】
(2)第2の態様に係る圧縮システム1は、(1)の圧縮システム1であって、前記第一ライン21へ前記第一ガスが前記圧縮機12から逆流することを防ぐ第一逆止弁23と、前記第二ライン31へ前記第二ガスが前記圧縮機12から逆流することを防ぐ第二逆止弁33と、前記吐出ライン40内の前記圧縮ガスが前記圧縮機12へ逆流することを防ぐ第三逆止弁42と、を更に備えてもよい。
【0121】
これにより、例えば、圧縮機12が停止した状態で第一調整弁22、第二調整弁32、及び吐出弁41を全開状態とした場合であっても、ガスが逆流することを防ぐことができる。
【0122】
(3)第3の態様に係る圧縮システム1は、(1)又は(2)の圧縮システム1であって、前記切替処理部64は、前記固定速モータ11の運転の停止後に前記圧縮機12のロータの回転が停止した場合に、前記第一調整弁22、前記第二調整弁32、前記吐出弁41、及び前記還流弁51を前記第一弁状態から第二弁状態に切り替え、前記第二弁状態では、前記第一調整弁22及び前記第二調整弁32は、前記全閉状態を維持され、前記吐出弁41は、前記全開状態から前記全閉状態に切り替えられ、前記還流弁51は、前記全開状態を維持されてもよい。
【0123】
これにより、第一ライン21及び第二ライン31を通じて圧縮機12へ第二ガスが新たに導入されることがなく、吐出ライン40を通じて圧縮機12から第一ガスや第二ガス等のガスが他の系統に向かって吐出されることがない。
【0124】
(4)第4の態様に係る圧縮システム1は、(3)の圧縮システム1であって、前記切替処理部64は、前記圧縮機12を運転させる場合に、前記固定速モータ11を始動させるとともに、前記第一調整弁22、前記第二調整弁32、前記吐出弁41、及び前記還流弁51を前記第二弁状態から第三弁状態及び第四弁状態の順に切り替え、前記第三弁状態では、前記第一調整弁22は、前記全閉状態を維持され、前記第二調整弁32は、前記全閉状態から前記全開状態に切り替えられ、前記還流弁51は、前記全開状態を維持され、前記第四弁状態では、前記第一調整弁22は、前記全閉状態から前記全開状態に切り替えられ、前記第二調整弁32は、前記全開状態を維持され、前記吐出弁41は、前記全閉状態から前記全開状態に切り替えられ、前記還流弁51は、前記全開状態から流量を減少させるように切り替えられてもよい。
【0125】
これにより、圧縮機12内のガスの分子量を低く維持した状態で、定格運転中の弁状態へ遷移させることができる。
【0126】
(5)第5の態様に係る化学プラント100は、(1)から(4)のいずれかの圧縮システム1と、前記第一ガスを生成し、該第一ガスを前記第一ライン21に供給する第一ガス供給源20と、前記第二ガスを生成し、該第二ガスを前記第二ライン31に供給する第二ガス供給源30と、を備える。
【0127】
これにより、第一ガスと第二ガスとが予め合成された合成ガスを圧縮機12に供給する装置を備える化学プラント100の構成と比較して、圧縮機12に何等かの異常が生じて圧縮機12の運転が停止された際、第二ガスのみを圧縮機12に供給することができる。
【0128】
(6)第6の態様に係る圧縮システム1の運転方法は、固定速モータ11と、前記固定速モータ11によって回転し、少なくとも第一ガスと第二ガスとを含む合成ガスを圧縮して圧縮ガスを生成する圧縮機12と、前記圧縮機12に接続され、前記合成ガスの一部を構成する前記第一ガスを前記圧縮機12に供給する第一ライン21と、前記第一ライン21に接続され、前記合成ガスの一部を構成する前記第二ガスを前記第一ライン21へ供給する第二ライン31と、前記圧縮機12に接続され、前記圧縮機12から吐出された前記圧縮ガスを流通させる吐出ライン40と、前記吐出ライン40と前記第一ライン21とを接続し、前記圧縮ガスの一部を前記吐出ライン40から前記第一ライン21へ還流させる還流ライン50と、前記第一ライン21での前記第一ガスの流量を調整可能な第一調整弁22と、前記第二ライン31での前記第二ガスの流量を調整可能な第二調整弁32と、前記吐出ライン40での前記圧縮ガスの流量を調整可能な吐出弁41と、前記還流ライン50での前記圧縮ガスの流量を調整可能な還流弁51と、を備える圧縮システム1の運転方法であって、前記圧縮機12に異常があるか否かを判定する異常判定工程S12と、前記圧縮機12に異常があると判定された場合に、前記固定速モータ11の運転を停止するモータ制御工程と、前記固定速モータ11の運転が停止された際に、前記第一調整弁22、前記第二調整弁32、前記吐出弁41、及び前記還流弁51での流体の流通状態を流通可能な全開状態と流通不能な全閉状態とに切り替え可能な切替処理工程と、を含み、前記第一ガスは、第一分子量を有し、前記第二ガスは、前記第一分子量よりも小さい第二分子量を有し、前記切替処理工程では、前記固定速モータ11の運転が停止された際に、前記圧縮機12の定格運転中の弁状態から第一弁状態に前記第一調整弁22、前記第二調整弁32、前記吐出弁41、及び前記還流弁51を切り替え、前記第一弁状態では、前記第一調整弁22は、前記定格運転中の弁状態である前記全開状態から前記全閉状態に切り替えられ、前記第二調整弁32及び前記吐出弁41は、前記定格運転中の弁状態である前記全開状態を維持され、前記還流弁51は、前記定格運転中の弁状態である前記全閉状態から前記全開状態に切り替えられる。
【符号の説明】
【0129】
1…圧縮システム 10…圧縮装置 11…固定速モータ 11a…出力軸 12…圧縮機 12a…圧縮機ロータ 12b…圧縮機ケーシング 13…増速機 20…第一ガス供給源 21…第一ライン 22…第一調整弁 23…第一逆止弁 30…第二ガス供給源 31…第二ライン 32…第二調整弁 33…第二逆止弁 40…吐出ライン 41…吐出弁 42…第三逆止弁 50…還流ライン 51…還流弁 60…弁制御装置 61…取得部 62…判定部 63…モータ制御部 64…切替処理部 100…化学プラント 1100…コンピュータ 1110…プロセッサ 1120…メインメモリ 1130…ストレージ 1140…インタフェース Da…軸線方向 Dar…一方側 Dal…他方側 O…軸線 S11…第一取得工程 S12…異常判定工程 S13…第一モータ制御工程 S14…第一切替処理工程 S15…停止判定工程 S16…第二切替処理工程 S17…第二取得工程 S18…第二モータ制御工程 S19…第三切替処理工程 S20…移行判定工程 S21…第四切替処理工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6