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特開2023-104276超音波検査装置及び超音波検査システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104276
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】超音波検査装置及び超音波検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/265 20060101AFI20230721BHJP
   G01N 29/24 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
G01N29/265
G01N29/24
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005165
(22)【出願日】2022-01-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】516047175
【氏名又は名称】三菱重工パワーインダストリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】白井 友和
(72)【発明者】
【氏名】脇谷 一元
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047AB01
2G047BA03
2G047BB02
2G047BB06
2G047BC07
2G047BC11
2G047DB18
2G047GB04
2G047GJ08
2G047GJ11
(57)【要約】
【課題】配管の状態について多様な検査を行うことを可能とする超音波検査装置を提供する。
【解決手段】配管を超音波によって検査するための超音波検査装置であって、ケーブルと、複数の超音波センサと、複数の超音波センサを保持するセンサホルダと、モータと、モータが発生させた回転力をセンサホルダに伝達するように構成された回転力伝達装置と、ケーブルに取り付けられたプローブと、を備える。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を超音波によって検査するための超音波検査装置であって、
ケーブルと、
複数の超音波センサと、前記複数の超音波センサを保持するセンサホルダと、モータと、前記モータが発生させた回転力を前記センサホルダに伝達するように構成された回転力伝達装置と、を含み、前記ケーブルに取り付けられたプローブと、
を備える、超音波検査装置。
【請求項2】
前記回転力伝達装置は、前記センサホルダと前記モータとの間に設けられたスリップリングを含む、請求項1に記載の超音波検査装置。
【請求項3】
前記回転力伝達装置は、
前記スリップリングを回転可能に収容するスリップリング収容部と、
前記スリップリングの前方側に接続された第1のフレキシブルシャフトと、
前記スリップリングよりも前方側において前記スリップリング収容部と前記第1のフレキシブルシャフトとの間をシールする少なくとも1つのシール部材と、をさらに含む、請求項2に記載の超音波検査装置。
【請求項4】
前記プローブは、
前記センサホルダにおける前記複数の超音波センサよりも前方側において前記センサホルダに対して回転可能に構成された前方側支持部と、
前記前方側支持部の外周面に設けられた前方側ブラシ部であって、前記前方側支持部の前記外周面に植設されて前記センサホルダの軸線に対して直交する方向に沿って延在する複数の毛束群を含む前方側ブラシ部と、
前記センサホルダにおける前記複数の超音波センサよりも後方側において前記センサホルダに対して回転可能に構成された後方側支持部と、
前記後方側支持部の外周面に設けられた後方側ブラシ部であって、前記後方側支持部の前記外周面に植設されて前記センサホルダの前記軸線に対して直交する方向に沿って延在する複数の毛束群を含む後方側ブラシ部と、をさらに含む、
請求項2又は3に記載の超音波検査装置。
【請求項5】
前記プローブは、
前記センサホルダにおける前記複数の超音波センサよりも後方側において前記センサホルダに対して回転可能に構成された後方側支持部と、
前記センサホルダの後方側に接続された第2のフレキシブルシャフトと、
前記第2のフレキシブルシャフトを回転可能に収容する第2のフレキシブルシャフト収容部と、
前記後方側支持部と前記第2のフレキシブルシャフト収容部の間に前記第2のフレキシブルシャフトを囲むように配置された引張ばねと、をさらに含む、請求項2乃至4の何れか1項に記載の超音波検査装置。
【請求項6】
前記複数の超音波センサは、前記プローブの周方向において互いに離れて配置された複数の第1超音波センサを含む、請求項1乃至5の何れか1項に記載の超音波検査装置。
【請求項7】
前記複数の超音波センサは、前記プローブの軸方向において互いに離れて配置された複数の第2超音波センサを含む、請求項1乃至6の何れか1項に記載の超音波検査装置。
【請求項8】
前記複数の超音波センサは、前記配管の内面に対して垂直な方向に沿って超音波を発信するように構成された第3超音波センサを含む、請求項1乃至7の何れか1項に記載の超音波検査装置。
【請求項9】
前記複数の超音波センサは、焦点距離が互いに異なる複数の超音波センサを含む、請求項1乃至5の何れか1項に記載の超音波検査装置。
【請求項10】
前記配管はライフル管であり、
前記複数の超音波センサは、前記配管の内面側の位置に焦点を結ぶように構成された内面用超音波センサと、前記内面用超音波センサよりも焦点距離が大きい少なくとも1つの超音波センサとを含む、請求項9に記載の超音波検査装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの超音波センサは、前記配管の外面側の位置に焦点を結ぶように構成された外面用超音波センサと、前記内面用超音波センサの焦点距離と前記外面用超音波センサの焦点距離の間の焦点距離を有する中間超音波センサとを含む、請求項10に記載の超音波検査装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の超音波検査装置と、
前記ケーブルを前記配管の中に送り込むためのケーブル送り装置と、
前記ケーブル送り装置及び前記モータを制御し、前記ケーブルを前記配管の内部で移動させるとともに前記センサホルダを前記配管の軸線の周りに回転させるように構成された制御部と、
を備える、超音波検査システム。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか1項に記載の超音波検査装置と、
前記配管の軸方向の各位置における前記配管の周方向の各位置について、前記複数の超音波センサの各々から超音波波形の波形データを取得する波形データ取得部と、
前記複数の超音波センサの各々から取得した前記配管の軸方向の各位置における前記配管の周方向の各位置についての前記波形データに基づいて、前記配管の状態を解析する解析部と、
を備える、超音波検査システム。
【請求項14】
前記配管はライフル管であり、
前記ライフル管の内面は、谷部と、前記谷部よりも前記ライフル管の径方向における内側に突出する山部とを含み、
前記複数の超音波センサは、前記配管の内面側の位置に焦点を結ぶように構成された内面用超音波センサと、前記内面用超音波センサよりも焦点距離が大きい少なくとも1つの超音波センサとを含み、
前記解析部は、
前記内面用超音波センサから取得した前記波形データと、前記少なくとも1つの超音波センサの各々から取得した波形データとに基づいて、前記配管の軸方向の各位置における前記配管の周方向の各位置について前記配管の肉厚を計測するように構成された、請求項13に記載の超音波検査システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの超音波センサは、前記配管の外面側の位置に焦点を結ぶように構成された外面用超音波センサと、前記内面用超音波センサの焦点距離と前記外面用超音波センサの焦点距離の間の焦点距離を有する中間超音波センサとを含み、
前記解析部は、
前記内面用超音波センサから取得した前記波形データから得られる前記内面用超音波センサと前記ライフル管の内面との水距離のデータに基づいて、前記山部と前記谷部との境界の位置を特定するように構成された境界位置特定部と、
前記中間超音波センサから取得した前記波形データから得られる前記ライフル管の肉厚のデータから、前記境界位置特定部によって特定された前記境界の位置に対応するデータを除去するように構成されたフィルタリング部と、
前記フィルタリング部で前記肉厚のデータから前記境界の位置に対応する前記データを除去することで得られたデータと、前記外面用超音波センサから取得した前記波形データから得られる前記ライフル管の外面減肉部の肉厚データと、に基づいて、前記配管の軸方向の各位置における前記配管の周方向の各位置についての前記配管の肉厚を示す肉厚マップを生成するように構成された肉厚マップ生成部と、
を備える、請求項14に記載の超音波検査システム。
【請求項16】
前記内面用超音波センサから取得した前記波形データから得られる前記内面用超音波センサと前記ライフル管の内面との水距離のデータと、前記肉厚マップ生成部によって生成した前記肉厚マップとに基づいて、前記配管の断面図を生成するように構成された断面図生成部を更に備える、請求項15に記載の超音波検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波検査装置及び超音波検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラの伝熱管などの配管に対して、減肉や疲労割れなどの損傷の有無を確認するための検査が行われる。従来の目視点検や定点肉厚測定では配管の代表部位しか検査されないので、配管の健全性を確認するには不十分である。配管を外部から検査する場合には、配管の設置環境、設置態様などに応じて検査環境を整えるための付帯工事が生じ、多大なコストが生じる虞がある。このため、配管の検査装置を配管の内部に挿入し、配管を内部から検査することが行われることがある。配管の検査装置は、ケーブルと、ケーブルの先端に取り付けられたプローブと、を備える。
【0003】
配管における減肉や疲労割れなどの損傷の有無を非破壊で検査する装置として超音波検査装置が知られている。特許文献1には、超音波センサおよび該超音波センサからの超音波を反射させる反射鏡を備える超音波検査装置が開示されている。この超音波検査装置は、超音波センサから照射された超音波を反射鏡で反射して配管の内壁面に照射し、内壁面で反射した超音波が反射鏡で再び反射されて超音波センサに戻るように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-184542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の超音波検査装置が有する超音波センサの数は1つであるため、検査可能な項目が限定的であり、配管の状態を詳細に把握するためにより多様な検査を行うことが求められる。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態は、配管の状態について多様な検査を行うことを可能とする超音波検査装置及び超音波検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の少なくとも一実施形態に係る超音波検査装置は、
配管を超音波によって検査するための超音波検査装置であって、
ケーブルと、
複数の超音波センサと、前記複数の超音波センサを保持するセンサホルダと、モータと、前記モータが発生させた回転力を前記センサホルダに伝達するように構成された回転力伝達装置と、を含み、前記ケーブルに取り付けられたプローブと、
を備える。
【0008】
上記目的を達成するため、本開示の少なくとも一実施形態に係る超音波検査システムは、
上記超音波検査装置と、
前記配管の軸方向の各位置における前記配管の周方向の各位置について、前記複数の超音波センサの各々から超音波波形の波形データを取得する波形データ取得部と、
前記複数の超音波センサの各々から取得した前記配管の軸方向の各位置における前記配管の周方向の各位置についての前記波形データに基づいて、前記配管の状態を解析する解析部と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、配管の状態について多様な検査を行うことを可能とする超音波検査装置及び超音波検査システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る超音波検査システム2の概略構成を示す図である。
図2】複数の超音波センサ14の各々の検査範囲を配管3の軸線Lの周りに螺旋状の軌道に沿って移動させる様子を示す図である。
図3】波形データ取得部24によって波形データを取得するピッチを説明するための図である。
図4図1に示した超音波検査装置4に適用可能なプローブ10の一例を示す概略断面図である。
図5図4に示される前方側ブラシ部71のセンサホルダ16の軸線LBに対して直交する断面を概略的に示す概略断面図である。
図6】複数の超音波センサ14の配置の例を説明するための図である。
図7】複数の超音波センサ14の配置の例を説明するための図である。
図8】ライフル管3Aの内面の段差が超音波検査に与える影響を説明するための図である。
図9図8の周方向における位置(a)での超音波センサの出力信号(超音波波形)を示す図である。
図10図8の周方向における位置(c)での超音波センサの出力信号(超音波波形)を示す図である。
図11】内面用超音波センサ141の焦点距離F1を説明するための図である。
図12】中間超音波センサ142の焦点距離F2を説明するための図である。
図13】外面用超音波センサ143の焦点距離F3を説明するための図である。
図14】内面用超音波センサ141の出力信号(超音波波形)の一例を示す図である。
図15】中間超音波センサ142の出力信号(超音波波形)の一例を示す図である。
図16】外面用超音波センサ143の出力信号(超音波波形)の一例を示す図である。
図17】軸方向の各位置における周方向の各位置について、内面用超音波センサ141とライフル管3Aの内面31との水距離を示すライフル管内面データ(水距離データ)である。
図18】軸方向の各位置における周方向の各位置について、中間超音波センサ142の出力信号に基づいて計測したライフル管肉厚データ(肉厚マップ)を示す図である。
図19】軸方向の各位置における周方向の各位置について、外面用超音波センサ143の出力信号に基づいて計測したライフル管肉厚データ(肉厚マップ)を示す図である。
図20図1に示した制御装置5の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図21】ライフル管3Aの肉厚を示す肉厚マップを作成するフローの一例を示す図である。
図22】真の肉厚マップの一例を示す図である。
図23】肉厚グラフの一例を示す図である。
図24図23における軸方向位置Aでのライフル管の断面図である。
図25図23における軸方向位置Bでのライフル管の断面図である。
図26図23における軸方向位置Cでのライフル管の断面図である。
図27】制御装置5のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0012】
(超音波検査システムの概略構成)
図1は、一実施形態に係る超音波検査システム2の概略構成を示す図である。
超音波検査システム2は、超音波検査装置4、制御装置5を備える。
【0013】
超音波検査装置4は、ケーブル8と、ケーブル8の先端に取り付けられたプローブ10と、ケーブル8を配管3の中に送り込むためのケーブル送り装置12とを含む。超音波検査装置4は配管3の内部を水等の液体で満たした状態で配管3の内部にプローブ10及びケーブル8を送り込む水浸式の超音波検査装置である。配管3の種類は特に限定されないが、例えばボイラ等に用いられる熱交換器の伝熱管等であってもよい。
【0014】
ケーブル8は、ケーブル送り装置12によって配管3の内部に送り込まれて配管3の内部を配管3の軸方向に沿って移動する。プローブ10は、複数の超音波センサ14と、複数の超音波センサ14を保持するセンサホルダ16と、センサホルダ16を回転させるためのモータ18とを含む。また、プローブ10は、配管3の内面に当接することでプローブ10の軸線を配管3の軸線に一致させるように構成された位置決め部20を含む。以下では、配管3の軸方向すなわちプローブ10の軸方向を単に「軸方向」と記載し、配管3の周方向すなわちプローブ10の周方向を単に「周方向」と記載し、配管3の径方向すなわちプローブ10の径方向を単に「径方向」と記載する。
【0015】
ケーブル送り装置12は、ケーブル8を送り出すことでケーブル8及びプローブ10を配管3の内部に送り込み、ケーブル8を巻き戻すことでケーブル8及びプローブ10を配管3の内部から回収するように構成されている。
【0016】
制御装置5は、制御部6、波形データ取得部24及び解析部26を含む。
制御部6は、ケーブル送り装置12及びモータ18を制御して、ケーブル8を配管3の内部で移動させるとともにセンサホルダ16を配管3の軸線の周りに回転させる。制御部6は、ケーブル送り装置12におけるケーブル8の送り量を制御することにより、軸方向における複数の超音波センサ14の各々の位置を制御し、モータ18の回転を制御することにより周方向における複数の超音波センサ14の各々の位置を制御する。制御部6は、複数の超音波センサ14の各々を配管3の軸線Lの周りに螺旋状の軌道に沿って移動させることにより、複数の超音波センサ14の各々の検査範囲を軸線Lの周りに螺旋状の軌道に沿って移動させる(図2参照)。
【0017】
図3に示すように、波形データ取得部24は、軸方向の各位置における周方向の各位置について、複数の超音波センサ14の各々から超音波波形の波形データを取得する。すなわち、波形データ取得部24は、上記螺旋状の軌道の各位置について、軸方向における所定のピッチd1及び周方向における所定のピッチd2で、複数の超音波センサ14の各々から超音波波形の波形データを取得する。ここで、軸方向のピッチd1と周方向のピッチd2とは異なっていてもよい。波形データ取得部24は、上記螺旋状の軌道の各位置について、軸方向の位置と周方向の位置とに紐付けられた波形データを取得する。
【0018】
解析部26は、波形データ取得部24によって複数の超音波センサ14の各々から取得した軸方向の各位置における周方向の各位置についての波形データに基づいて、配管3の状態を解析する。解析部26の機能の詳細については後述する。
【0019】
上記超音波検査装置4によれば、ケーブル8に取り付けられたプローブ10を配管3の内部で移動させながらセンサホルダ16をモータ18で回転させることにより、軸方向の各位置における周方向の各位置について複数の超音波センサ14の各々からの超音波を用いた検査を行うことができる。このため、複数の超音波センサ14の各々の配置や特性(例えば焦点距離等)等に応じて配管3の状態について多様な検査を行うことができる。
【0020】
(プローブの構成例)
図4は、図1に示した超音波検査装置4に適用可能なプローブ10の一例を示す概略断面図である。幾つかの実施形態では、上述した配管の検査装置1のプローブ10は、図4に示されるような、配管3を検査する際に複数の超音波センサ14をプローブ10の周方向に沿って回転させるように構成されたヘリカルスキャン式プローブ10からなる。以下、プローブ10の軸方向において配管3に先に挿入される側を前方側と定義し、上記前方側とは反対側を後方側と定義する。
【0021】
プローブ(ヘリカルスキャン式プローブ)10は、図4に示されるように、超音波の発信と受信が可能な複数の超音波センサ14と、複数の超音波センサ14を保持するセンサホルダ16と、センサホルダ16を回転させるためのモータ18と、モータ18が発生させた回転力をセンサホルダ16に伝達するように構成された回転力伝達装置65と、を含む。
【0022】
複数の超音波センサ14の各々は、水浸超音波法(水浸UT)に用いられる水浸探触子であり、該水浸探触子は、受信部と発信部が1つになった一振動子探触子であって、圧電振動子を含む一振動子探触子である。超音波検査システム2は、複数の超音波センサ14の各圧電振動子に送信信号を供給するパルサー(不図示)と、複数の超音波センサ14の各圧電振動子から受信信号を入力するレシーバ(不図示)と、をさらに含む。
【0023】
回転力伝達装置65は、センサホルダ16とモータ18との間に設けられたスリップリング66と、スリップリング66(具体的には、リング部661)を回転可能に収容するスリップリング収容部67と、を有する。スリップリング66は、図4に示されるように、少なくとも1つのリング部661と、少なくとも1つのブラシ部662と、を含み、リング部661とブラシ部662の間で電力(動力)と電気通信信号を伝達するように構成されている。具体的には、リング部661は、回転力伝達装置65のモータ18の回転力を伝達するための回転力伝達軸部651が挿通した状態で回転力伝達軸部651に固定される。リング部661は、電源ケーブル663及び信号ケーブル664を介して制御装置5と電気的に接続されている。ブラシ部662は、スリップリング66を収容するスリップリング収容部67に固定されている。ブラシ部662は、回転するリング部661上を滑ることで、リング部661が回転しても回転しないようになっている。ブラシ部662は、信号ケーブル(不図示)を介して複数の超音波センサ14の各圧電振動子と電気的に接続されている。
【0024】
幾つかの実施形態では、上述した配管の検査装置1の回転力伝達装置65は、図4に示されるように、スリップリング66の前方側に接続された第1のフレキシブルシャフト68と、スリップリング66よりも前方側においてスリップリング収容部67と第1のフレキシブルシャフト68との間をシールする少なくとも1つのシール部材69と、をさらに有する。第1のフレキシブルシャフト68は、可撓性を有する。
【0025】
図示される実施形態では、スリップリング収容部67は、スリップリング66の前方側に突出して第1のフレキシブルシャフト68の後方端部の外周側を覆う前方側突出部671を有する。上述した少なくとも1つのシール部材69は、前方側突出部671と第1のフレキシブルシャフト68との間に配置されて、前方側突出部671と第1のフレキシブルシャフト68との間をシールする。図8に示される実施形態では、少なくとも1つのシール部材69は、少なくとも1つのOリング69A、又は少なくとも1つ(図示例では二つ)のオムニシール(登録商標)69Bの少なくとも一方を含む。
【0026】
上記の構成によれば、少なくとも1つのシール部材69により、スリップリング66よりも前方側においてスリップリング収容部67と第1のフレキシブルシャフト68との間をシールすることで、スリップリング66などに配管2内の水(流体)が悪影響を及ぼすことを抑制できる。
【0027】
幾つかの実施形態では、上述したプローブ(ヘリカルスキャン式プローブ)10は、図4に示されるように、センサホルダ16における複数のセンサ14よりも前方側においてセンサホルダ16に対して回転可能に構成された前方側支持部70と、前方側支持部70の外周面701に設けられた前方側ブラシ部71と、センサホルダ16における複数のセンサ14よりも後方側においてセンサホルダ16に対して回転可能に構成された後方側支持部72と、後方側支持部72の外周面721に設けられた後方側ブラシ部73と、をさらに含む。
【0028】
前方側ブラシ部71は、前方側支持部70の外周面701に植設されてセンサホルダ16の軸線LBに対して直交する方向に沿って延在する複数の毛束群711を含む。後方側ブラシ部73は、後方側支持部72の外周面721に植設されてセンサホルダ16の軸線LBに対して直交する方向に沿って延在する複数の毛束群731を含む。
【0029】
図示される実施形態では、センサホルダ16は、複数のセンサ14が取り付けられた中央部161と、中央部161よりも前方側に突出する中央部161よりも小径の前方側小径部162と、中央部161よりも後方側に突出する中央部161よりも小径の後方側小径部163と、を含む。プローブ10は、少なくとも1つ(図示例では、二つ)の前方側軸受702と、少なくとも1つ(図示例では、二つ)の後方側軸受722と、をさらに含む。少なくとも1つの前方側軸受702及び少なくとも1つの後方側軸受722の各々は、内輪と、外輪と、内輪と外輪との間に設けられた複数の転動体と、を有する。
【0030】
少なくとも1つの前方側軸受702は、前方側支持部70と前方側小径部162との間に設けられて、外輪が前方側支持部70に支持され、内輪が前方側小径部162に支持される。これにより、前方側支持部70が、前方側小径部162(センサホルダ16)に対して回転自在になっている。少なくとも1つの後方側軸受722は、後方側支持部72と後方側小径部163との間に設けられて、外輪が後方側支持部72に支持され、内輪が後方側小径部163に支持される。これにより、後方側支持部72が、後方側小径部163(センサホルダ16)に対して回転自在になっている。
【0031】
図5は、図4に示される前方側ブラシ部71のセンサホルダ16の軸線LBに対して直交する断面を概略的に示す概略断面図である。複数の毛束群711の各々は、図4及び図5に示されるように、センサホルダ16の軸線方向(プローブ10の軸方向)及び周方向において互いに離れて配置されている。複数の毛束群731の各々は、複数の毛束群711の各々と同様に、センサホルダ16の軸線方向及び周方向において互いに離れて配置されている。
【0032】
図示される実施形態では、前方側ブラシ部71は、前方側支持部70の外周面701に内周面が嵌合する環状部材712をさらに含む。後方側ブラシ部73は、後方側支持部72の外周面721に内周面が嵌合する環状部材732をさらに含む。環状部材712及び環状部材732は、好ましくは金属や強化プラスチックからなる。
【0033】
上記の構成によれば、前方側ブラシ部71の複数の毛束群711および後方側ブラシ部73の複数の毛束群731により、プローブ10を調芯でき、プローブ10を配管3の中心に保持できる。プローブ10を配管3の中心に保持することで、プローブ10と配管3との間の摩擦を低減でき、ケーブル8を送るためにケーブル8に加えられる推力を、ケーブル8の進行方向に進む推進力として効率良く利用できる。これにより、ケーブル8が配管3の内面に引っ掛かることを抑制できるため、プローブ10の配管3への挿入性を向上できる。
【0034】
また、上記の構成によれば、超音波検査装置4は、センサホルダ16をケーブル8の周方向に回転させるヘリカルスキャン式プローブ10を備えるものであるが、前方側ブラシ部71や後方側ブラシ部73をセンサホルダ16に対して回転可能とすることで、センサホルダ16の回転に関わらず前方側ブラシ部71や後方側ブラシ部73によるプローブ10の調芯機能を発揮できる。
【0035】
幾つかの実施形態では、上述したプローブ(ヘリカルスキャン式プローブ)10は、センサホルダ16の後方側に接続された第2のフレキシブルシャフト74と、第2のフレキシブルシャフト74を回転可能に収容する第2のフレキシブルシャフト収容部75と、後方側支持部72と第2のフレキシブルシャフト収容部75の間に第2のフレキシブルシャフト74を囲むように配置された引張ばね(引張コイルばね)76と、をさらに含む。第2のフレキシブルシャフト74は、可撓性を有する。
【0036】
図示される実施形態では、プローブ10は、第1のフレキシブルシャフト68の前方側端部と第2のフレキシブルシャフト74の後方側端部を接続するカップリング77と、第2のフレキシブルシャフト収容部75に支持されて、第2のフレキシブルシャフト74の後方側端部を回転可能に支持する軸受78と、をさらに含む。引張ばね76は、後方側支持部72と第2のフレキシブルシャフト収容部75との間が広がろうとしたときに、復元力を生じさせる。
【0037】
上記の構成によれば、引張ばね76により、プローブ10の過度の撓みを抑制でき、これによってプローブ10が配管3の内面に引っ掛かることを抑制できるため、プローブ10の配管3への挿入性を向上できる。
【0038】
(複数の超音波センサの配置例)
ここで、図1に示した複数の超音波センサ14の配置の例について図6及び図7を用いて説明する。
【0039】
図6及び図7は、一実施形態における複数の超音波センサ14の配置を説明するための図である。複数の超音波センサ14は、図6に示されるように、プローブ10の周方向において互いに離れて配置された複数の超音波センサ14A,14Bを含んでいてもよい。超音波検査システム2は、複数の超音波センサ14A,14Bの各々が、斜角探傷により自ら発信した超音波の反射波を受信することで、配管3の内面31に形成された配管3の軸方向に沿って延びる内面割れ31Aや、配管3の外面33に形成された配管3の軸方向に沿って延びる外面割れ33Aを検知できる。また、超音波センサ14A,14Bの各々の出力に基づいて、例えば内面欠陥の位置・エコー感度、外面欠陥の位置・エコー感度、水距離、内面31のエコー感度、溶接部からの信号等を検知してもよい。
【0040】
また、複数の超音波センサ14A、14Bは、一方のセンサ14Aが発信した超音波の反射波(腐食部分において減衰・散乱した反射波)を他方のセンサ14Bが受信してもよい。超音波検査システム2は、他方のセンサ14Bが受信した受信信号の変化を取得することで、複数の超音波センサ14における受信信号の感度補正や、超音波ピッチキャッチ法を用いた内面割れ31Aや外面割れ33Aの割れ深さの測定が可能となる。
【0041】
また、複数の超音波センサ14は、図7に示されるように、プローブ10の軸方向において互いに離れて配置された複数の超音波センサ14C,14Dをさらに含んでいてもよい。超音波検査システム2は、複数の超音波センサ14C,14Dの各々が、斜角探傷により自ら発信した超音波の反射波を受信することで、配管3の内面31に形成された配管3の周方向に沿って延びる内面割れ31Bや、配管3の外面33に形成された配管3の周方向に沿って延びる外面割れ33Bを検知できる。
【0042】
また、複数の超音波センサ14C、14Dは、一方のセンサ14Cが発信した超音波の反射波(腐食部分において減衰・散乱した反射波)を他方のセンサ14Dが受信してもよい。超音波検査システム2は、他方のセンサ14Dが受信した受信信号の変化を取得することで、配管3の外面減肉の検知や、超音波ピッチキャッチ法を用いた内面割れ31Bや外面割れ33Bの割れ深さの測定が可能となる。
【0043】
複数の超音波センサ14は、図7に示されるように、垂直探傷法により自ら発信した超音波の反射波を受信する超音波センサ14Eをさらに含んでいてもよい。超音波検査システム2は、超音波センサ14Eによって配管3の内面31に対して垂直な方向に沿って超音波を発信して配管3の肉厚を測定することで、配管3の内面減肉(内面に凹部等が形成されることにより肉厚が小さくなった部分)の検知が可能となる。また、超音波センサ14Eの出力に基づいて、例えば肉厚、水距離、内面31の凹み量、内面31のエコー感度、外面33のエコー感度、エコーの減衰量等を検知してもよい。
【0044】
(ライフル管を超音波検査装置で検査する場合に生じる課題)
ここで、配管3としてのライフル管3Aを水浸式の超音波検査装置で検査する場合に生じる課題について図8図10を用いて説明する。
図8は、ライフル管3Aの内面31の段差S12が超音波検査に与える影響を説明するための図であり、ライフル管3Aにおける軸方向と直交する断面の一部を周方向に展開して示している。図9は、図8の周方向における位置(a)での超音波センサの出力信号(超音波波形)を示す図である。図10は、図8の周方向における位置(c)での超音波センサの出力信号(超音波波形)を示す図である。
【0045】
図8に示すように、ライフル管3Aは、ライフル管3Aの内面31から突出して軸方向に向かうにつれて周方向に捻じれる少なくとも1つ(図示例では、複数)の螺旋リブ311を有する。ライフル管3Aの内面31は、谷部S1と、谷部S1よりも径方向における内側に突出する山部S2(螺旋リブ311)とを周方向に交互に含んでおり、谷部S1と山部S2との境界には段差S12が形成されている。
【0046】
このようなライフル管3Aの内面31に超音波センサ14から超音波を照射する場合、図8の位置(a)では超音波センサ14による超音波の照射範囲Eに谷部S1のみが含まれるのに対し、図8の位置(b)~(d)の各々では超音波センサ14による超音波の照射範囲Eに段差S12が含まれる。
【0047】
図8の位置(a)の場合のように超音波の照射範囲Eに谷部S1のみが含まれて段差S12が含まれない場合には、図9に示すように、超音波センサ14から出力される超音波波形から、谷部S1から反射された超音波であるS1波とライフル管3Aの外面33から反射された超音波であるB1波を適切に検出することができる。このため、位置(a)では、超音波センサ14から谷部S1までの水距離を、超音波センサ14が超音波を出してからS1波が検出されるまでの時間tS1に基づいて適切に算出することができ、ライフル管3Aの肉厚を、S1波が検出されてからB1波が検出されるまでの時間tB1に基づいて適切に算出することができる。なお、上記時間tS1は、例えば超音波センサ14が超音波を出してから超音波センサ14によって検出される超音波のエコー高さが閾値H1を超えるまでの時間であってもよい。また、上記時間tB1は、例えば超音波センサ14によって検出される超音波のエコー高さが閾値H1を超えてから閾値H2を超えるまでの時間であってもよい。
【0048】
図8の位置(b)~位置(d)の場合のように超音波の照射範囲Eに段差S12が含まれる場合には、例えば図10に示すように、超音波センサ14から出力される超音波波形には、S1波、B1波及び山部S2から反射された超音波であるS2波が含まれる。この場合、ライフル管3Aの肉厚を、誤ってS1波とS2波との時間差に基づいて算出してしまう可能性がある。したがって、超音波の照射範囲Eに段差S12が含まれる場合には、肉厚の計測データとして誤データが出力されることがある。
【0049】
以下では、上述した誤データの出力に係る課題を解決するための構成及び検査方法について説明する。
【0050】
(複数の超音波センサの構成例)
幾つかの実施形態では、例えば図1等に示した超音波検査装置4の複数の超音波センサ14は、焦点距離(焦点深度)が互いに異なる複数の超音波センサ14を含む。具体的には、例えば図11図13に示すように、超音波検査装置4の複数の超音波センサ14は、内面用超音波センサ141、中間超音波センサ142及び外面用超音波センサ143を含む。
【0051】
図11に示すように、内面用超音波センサ141は、ライフル管3Aの内面31側(例えばライフル管3Aの厚さ方向における谷部S1と外面33との中央位置P1よりも内面31側)の位置に超音波の焦点を結ぶような超音波の焦点距離F1(焦点深度)を有する。内面用超音波センサ141は、好ましくは、ライフル管3Aの内面31の位置(例えばライフル管3Aの内面31における谷部S1の位置)に超音波の焦点を結ぶような超音波の焦点距離F1を有する。
【0052】
図12に示すように、中間超音波センサ142は、内面用超音波センサ141の焦点距離F1と外面用超音波センサ143の焦点距離F3の間の焦点距離F2を有する。中間超音波センサ142は、ライフル管3Aの厚さ方向においてライフル管3Aの内面31と外面33との間の位置に超音波の焦点を結ぶような超音波の焦点距離F2を有する。
【0053】
図13に示すように、外面用超音波センサ143は、ライフル管3Aの外面33側(例えばライフル管3Aの厚さ方向における谷部S1と外面33との中央位置P1よりも外面33側)の位置に超音波の焦点を結ぶような超音波の焦点距離(焦点深度)を有する。外面用超音波センサ143は、好ましくは、ライフル管3Aの外面33の位置に超音波の焦点を結ぶような超音波の焦点距離F3を有する。
【0054】
(各超音波センサから得られる超音波波形の例)
図14は、内面用超音波センサ141の出力信号(超音波波形)の一例を示す図であり、図11において超音波の照射範囲Eに段差S12が含まれるような位置に内面用超音波センサ141があるときの内面用超音波センサ141の出力信号を示している。
【0055】
図14に示すように、内面用超音波センサ141の超音波波形では、超音波の照射範囲E(図11参照)に段差S12が含まれていても、S1波及びS2波のうち一方(図示する例ではS2波)のエコー高さは他方(図示する例ではS1波)のエコー高さ及びB1波のエコー高さの各々よりも十分に小さくなる。これは、内面用超音波センサ141から照射された超音波が内面31の位置において焦点を結ぶように絞られており、段差S12の影響を受けにくいためである。このため、内面用超音波センサ141が超音波を出してからS1波及びS2波のうち上記他方を検出するまで(図示する例ではエコー高さが閾値H1を超えるまで)の時間tS1に基づいて内面用超音波センサ142とライフル管3Aの内面31との水距離を精度良く計測することができ、内面31の形状を精度良く計測することができる。
【0056】
図15は、中間超音波センサ142の出力信号(超音波波形)の一例を示す図であり、図12において超音波の照射範囲Eにライフル管3Aの内面減肉部34(内面31に腐食等により形成された局所的な凹部)が含まれるような位置に中間超音波センサ142があるときの中間超音波センサ142の出力信号を示している。
【0057】
図15に示すように、超音波の照射範囲Eに内面減肉部34(図12参照)が含まれている場合に内面減肉部34から反射した超音波であるS1a波が検出されるため、内面減肉部34の位置におけるライフル管3Aの肉厚をB1波とS1a波との時間差tB1(例えばエコー高さが閾値H1を超えてからその後に閾値H2を超えるまでの時間差)に基づいて精度良く計測することができる。また、図12に示す中間超音波センサ142は、図11に示す内面用超音波センサ141と比較して焦点距離が大きいため、ライフル管3Aの肉厚をエコー高さが閾値H1を超えてからその後に閾値H2を超えるまでの時間差に基づいて精度良く計測することができる。
【0058】
図16は、外面用超音波センサ143の出力信号(超音波波形)の一例を示す図であり、図13において超音波の照射範囲Eにライフル管3Aの外面減肉部35(内面31に腐食等により形成された局所的な凹部)が含まれるような位置(図視する例では山部S2がある周方向位置)に外面用超音波センサ143があるときの外面用超音波センサ143の出力信号を示している。
【0059】
図16に示すように、超音波の照射範囲Eに外面減肉部35が含まれている場合に外面減肉部35から反射した超音波としてB1波が検出されるため、外面減肉部35の位置におけるライフル管3Aの肉厚をB1波とS1波又はS2波との時間差(エコー高さが閾値H1を超えてからその後に閾値H2を超えるまでの時間差)に基づいて精度良く計測することができる。
【0060】
(各超音波センサの超音波波形から得られるデータの例)
図17は、軸方向の各位置における周方向の各位置について、内面用超音波センサ141の出力信号(超音波波形)に基づいて計測した内面用超音波センサ141とライフル管3Aの内面31との水距離を示すライフル管内面データ(水距離データ)である。この内面用超音波センサ141は、上述したようにライフル管3Aの内面31の位置に超音波の焦点を結ぶような超音波の焦点距離F1を有する。このため、内面用超音波センサ141の出力信号に基づいて計測した水距離データは、上記段差S12の影響による誤データを含みにくい。したがって、図17に示すように、内面用超音波センサ141の出力信号に基づいて内面用超音波センサ142とライフル管3Aの内面31との水距離を示すライフル管内面データを精度良く計測することができ、ライフル管3Aの内面31の谷部S1、山部S2及びそれらの境界の段差S12の位置を精度良く計測することができる。
【0061】
図18は、軸方向の各位置における周方向の各位置について、中間超音波センサ142の出力信号(超音波波形)に基づいて計測したライフル管3Aの肉厚(残肉厚)を示すライフル管肉厚データである。図18に示すように、中間超音波センサ142の出力信号に基づいてライフル管3Aの肉厚を計測する場合、谷部S1、山部S2及び内面減肉部34を検出することはできているが、外面減肉部35を検出することは外面減肉部35のサイズや形状によっては困難となりやすい。すなわち、中間超音波センサ142の出力信号に基づいてライフル管3Aの肉厚を計測する場合、ライフル管3Aに内面減肉部34が形成されている場合であってもライフル管3Aの肉厚を精度良く計測することができるが、ライフル管3Aに外面減肉部35が形成されている場合には、外面減肉部35の位置におけるライフル管3Aの肉厚の計測の精度は低下する傾向がある。
【0062】
図19は、軸方向の各位置における周方向の各位置について、外面用超音波センサ143の出力信号(超音波波形)に基づいて計測したライフル管3Aの肉厚(残肉厚)を示すライフル管肉厚データである。図19に示すように、外面用超音波センサ143の出力信号に基づいてライフル管3Aの肉厚を計測する場合、外面減肉部35を精度良く検出することができる一方で、谷部S1と山部S2との境界の段差S12における疑似信号(上述の誤データ)が検出されやすく、段差S12近傍における肉厚の計測の精度は低下する傾向がある。
【0063】
(複数の超音波センサを用いた肉厚マップの生成方法)
以下では、上述の内面用超音波センサ141、中間超音波センサ142及び外面用超音波センサ143の各々から得られるデータを比較合成してライフル管3Aの肉厚マップを生成する方法を説明する。
【0064】
図20は、図1に示した制御装置5の機能的な構成の一例を示すブロック図である。図21は、軸方向の各位置における周方向の各位置でのライフル管3Aの肉厚を示す肉厚マップを作成するフローの一例を示す図である。図21に示すフローの各ステップは、図20に示した制御装置5によって実行される。
【0065】
図20に示す制御装置5における制御部6、波形データ取得部24及び解析部26の各々の機能の概要は上述した通りであり、重複する説明は省略する。図20に示す解析部26は、詳細には、以下で説明する境界位置特定部40、フィルタリング部42、肉厚マップ生成部44及び断面図生成部46を備える。
【0066】
図21に示すように、S101において、解析部26は、軸方向の各位置における周方向の各位置で内面用超音波センサ141から得られる超音波波形の波形データから、軸方向の各位置における周方向の各位置について内面用超音波センサ141とライフル管3Aの内面31との水距離のデータを採取する。また、S101において、解析部26は、軸方向の各位置における周方向の各位置で中間超音波センサ142から得られる超音波波形の波形データから、軸方向の各位置における周方向の各位置についてライフル管3Aの肉厚のデータを採取する。また、S101において、解析部26は、軸方向の各位置における周方向の各位置で外面用超音波センサ143から得られる超音波波形の波形データから、軸方向の各位置における周方向の各位置についてライフル管3Aの肉厚のデータを採取する。
【0067】
S102において、境界位置特定部40は、軸方向の各位置における周方向の各位置について採取した内面用超音波センサ141とライフル管3Aの内面31との水距離のデータから、ライフル管3Aの内面31における谷部S1と山部S2の境界の位置(段差S12の位置)を特定して摘出する。
【0068】
S103において、フィルタリング部42は、S101で中間超音波センサ142から得られる波形データから採取したライフル管3Aの肉厚のデータ(軸方向の各位置における周方向の各位置についての肉厚データ)から、境界位置特定部40によって摘出された上記境界の位置(段差S12の位置)に対応する疑似データをフィルタリング(除去)する。
【0069】
S104において、フィルタリング部42は、S101で外面用超音波センサ143から得られる波形データから採取したライフル管3Aの肉厚のデータ(軸方向の各位置における周方向の各位置についての肉厚データ)から、境界位置特定部40によって摘出された境界の位置(段差S12の位置)に対応するデータをフィルタリング(除去)する。そして、該フィルタリングによって得られたデータ(外面用超音波センサ143から得られる波形データから採取したライフル管3Aの肉厚のデータから、境界位置特定部40によって摘出された境界の位置に対応するデータを除去することで得られたデータ)から、ライフル管3Aの外面33に形成された外面減肉部35の位置と外面減肉部35の位置におけるライフル管3Aの肉厚とを示す外面減肉部データを摘出する。
【0070】
S105において、S103のフィルタリングによって得られたデータ(中間超音波センサ142から得られる波形データから採取したライフル管3Aの肉厚のデータから、境界位置特定部40によって摘出された境界の位置に対応するデータを除去することで得られたデータ)と、S104で摘出された外面減肉部データとを合成することにより、軸方向の各位置における周方向の各位置についてのライフル管3Aの肉厚を示す真の肉厚マップ(例えば図22参照)を肉厚マップ生成部44が生成する。具体的には、肉厚マップ生成部44は、S103のフィルタリングによって得られた肉厚のデータに対して、外面減肉部データが示す外面減肉部35の位置について、外面減肉部データが示す肉厚に置換することにより、上記真の肉厚マップを生成する。図22に示す真の肉厚マップでは、段差S12の位置の誤データが除去されており、内面減肉部34及び外面減肉部35を含む各部の肉厚が精度良く示されている。
【0071】
S106において、S101で採取した軸方向の各位置における周方向の各位置についての内面用超音波センサ142とライフル管3Aの内面31との水距離のデータと、肉厚マップ生成部44によって生成した真の肉厚マップと、に基づいて、断面図生成部46がライフル管3Aの軸方向に直交する断面図を生成する。また、解析部26は、上記真の肉厚マップに基づいて、軸方向の位置と、軸方向の各位置におけるライフル管3Aの肉厚の最小値との関係を示す肉厚グラフ(図23参照)を生成してもよい。図24図26は、それぞれ、図23における軸方向位置A~Cでのライフル管3Aの断面図であり、断面図生成部46によって生成された断面図の例である。上記超音波検査システム2によれば、図24図26に示すように、内面31に谷部S1と山部S2とを有するライフル管3Aにおいて内面減肉部34や外面減肉部35が形成されている場合であっても、内面減肉部34及び外面減肉部35を適切に検出してライフル管3Aの軸方向に直交する断面図を精度良く生成することができる。
【0072】
ここで、図21を用いて説明した手法が奏する効果について説明する。
図8等に示したように、ライフル管3Aの内面31における谷部S1と山部S2の境界には段差S12が形成されるため、超音波センサ14による超音波の照射範囲Eに段差S12が含まれる場合には、超音波センサ14から出力される超音波波形には、谷部S1からの反射波であるS1波、山部S2からの反射波であるS2波、ライフル管3Aの外面33からの反射波であるB1波が含まれる。このため、従来の超音波検査方法では、ライフル管3Aの肉厚が、誤ってS1波とS2波との時間差に基づいて計測されてしまう可能性があり、肉厚を精度良く計測することが困難であった。
【0073】
これに対し、図21に示した手法によれば、内面用超音波センサ141から取得した波形データから得られる内面用超音波センサ141とライフル管3Aの内面31との水距離のデータに基づいて、谷部S1と山部S2との境界の位置(段差S12の位置)を境界位置特定部40で特定することができる。このため、中間超音波センサ142から取得した波形データから採取したライフル管3Aの肉厚のデータから、境界位置特定部40によって特定された境界の位置に対応するデータをフィルタリング部42で除去して、ライフル管3Aの肉厚を精度良く計測することができる。さらに、ライフル管3Aの外面33の位置に焦点を結ぶように構成された外面用超音波センサ143を用いて外面減肉部35の肉厚データを精度良く計測できるため、フィルタリング部42のフィルタリングによって得られたデータ(中間超音波センサ142から得られる波形データから採取したライフル管3Aの肉厚のデータから、境界位置特定部40によって摘出された境界の位置に対応するデータを除去することで得られたデータ)と、外面用超音波センサ143から取得した波形データから得られる上述の外面減肉部データとを合成することにより、ライフル管3Aについて精度の良い真の肉厚マップ(例えば図23参照)を生成することができる。
【0074】
また、断面図生成部46により、内面用超音波センサ141とライフル管3Aの内面31との水距離のデータと上記真の肉厚マップとに基づいて、ライフル管3Aの精度の良い断面図(例えば図24図26参照)を生成することができる。
【0075】
なお、上述した制御装置5を実現するハードウェア構成は特に限定されないが、例えば図27に示すように、制御装置5は、プロセッサ52、RAM(Random Access Memory)53、ROM(Read Only Memory)54、HDD (Hard Disk Drive)55、入力I/F56、及び出力I/F57を含み、これらがバス58を介して互いに接続されたコンピュータを用いて構成されてもよい。この場合、制御装置5は、制御装置5の各機能を実現するプログラムをコンピュータが実行することにより構成されてもよい。制御装置5における各部の機能は、例えばROM54に保持されるプログラムをRAM53にロードしてプロセッサ52で実行するとともに、RAM53やROM54におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現されてもよい。なお、制御装置5のハードウェア構成は上記に限定されず、制御回路と記憶装置との組み合わせ等を含んでいてもよい。また、制御装置5の各機能部は、1箇所に集約したハードウェア構成により実現されてもよいし、複数箇所に分散したハードウェア構成により実現されてもよい。
【0076】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0077】
例えば、上述した実施形態では、配管3の一例としてライフル管3Aを例示したが、上述した超音波検査システム2は、ライフル管3Aに限らず、スムース管、二重管、肉盛り管、スタッド管等の検査に適用可能である。
【0078】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0079】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る超音波検査装置(例えば上述の超音波検査装置4)は、
配管(例えば上述の配管3、ライフル管3A)を超音波によって検査するための超音波検査装置であって、
ケーブル(例えば上述のケーブル8)と、
複数の超音波センサ(例えば上述の複数の超音波センサ14,14A,14B,14C,14D,14E,141,142,143)と、前記複数の超音波センサを保持するセンサホルダ(例えば上述のセンサホルダ16)と、モータ(例えば上述のモータ18)と、、前記モータが発生させた回転力を前記センサホルダに伝達するように構成された回転力伝達装置(例えば上述の回転力伝達装置65)と、を含み、前記ケーブルに取り付けられたプローブ(例えば上述のプローブ10)と、
を備える。
【0080】
上記(1)に記載の超音波検査装置によれば、ケーブルに取り付けられたプローブを配管の内部で移動させながらセンサホルダをモータで回転させることにより、配管の軸方向の各位置における配管の周方向の各位置について複数の超音波センサの各々からの超音波を用いた検査を行うことができる。このため、複数の超音波センサの各々の配置や特性(例えば焦点距離等)等に応じて配管の状態について多様な検査を行うことができる。
【0081】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の超音波検査装置において、
前記回転力伝達装置は、前記センサホルダと前記モータとの間に設けられたスリップリング(例えば上述のスリップリング66)を含む。
【0082】
上記(2)に記載の超音波検査装置によれば、センサホルダを介して複数の超音波センサを回転させつつ複数の超音波センサとの電気的な接続を実現することができる。
【0083】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)に記載の超音波検査装置において、
前記回転力伝達装置は、
前記スリップリングを回転可能に収容するスリップリング収容部(例えば上述のスリップリング収容部67)と、
前記スリップリングの前方側に接続された第1のフレキシブルシャフト(例えば上述の第1のフレキシブルシャフト68)と、
前記スリップリングよりも前方側において前記スリップリング収容部と前記第1のフレキシブルシャフトとの間をシールする少なくとも1つのシール部材(例えば上述のシール部材69)と、をさらに含む。
【0084】
上記(3)に記載の超音波検査装置によれば、少なくとも1つのシール部材により、スリップリングよりも前方側においてスリップリング収容部と第1のフレキシブルシャフトとの間をシールすることで、スリップリングなどに配管内の流体が悪影響を及ぼすことを抑制できる。
【0085】
(4)幾つかの実施形態では、上記(2)又は(3)に記載の超音波検査装置において、
前記プローブは、
前記センサホルダにおける前記複数の超音波センサよりも前方側において前記センサホルダに対して回転可能に構成された前方側支持部(例えば上述の前方側支持部70)と、
前記前方側支持部の外周面に設けられた前方側ブラシ部(例えば上述の前方側ブラシ部71)であって、前記前方側支持部の前記外周面に植設されて前記センサホルダの軸線に対して直交する方向に沿って延在する複数の毛束群(例えば上述の毛束群711)を含む前方側ブラシ部と、
前記センサホルダにおける前記複数の超音波センサよりも後方側において前記センサホルダに対して回転可能に構成された後方側支持部(例えば上述の後方側支持部72)と、
前記後方側支持部の外周面に設けられた後方側ブラシ部であって、前記後方側支持部の前記外周面に植設されて前記センサホルダの前記軸線に対して直交する方向に沿って延在する複数の毛束群(例えば上述の毛束群731)を含む後方側ブラシ部(例えば上述の後方側ブラシ部73)と、をさらに含む。
【0086】
上記(4)に記載の超音波検査装置によれば、前方側ブラシ部の複数の毛束群および後方側ブラシ部の複数の毛束群により、プローブを調芯でき、プローブを配管の中心に保持できる。プローブを配管の中心に保持することで、プローブと配管との間の摩擦を低減でき、ケーブルを送るためにケーブルに加えられる推力を、ケーブルの進行方向に進む推進力として効率良く利用できる。これにより、ケーブルが配管の内面に引っ掛かることを抑制できるため、プローブの配管への挿入性を向上できる。
また、上記(4)の構成によれば、超音波検査装置は、センサホルダをケーブルの周方向に回転させるヘリカルスキャン式のプローブを備えるものであるが、前方側ブラシ部や後方側ブラシ部をセンサホルダに対して回転可能とすることで、センサホルダの回転に関わらず前方側ブラシ部や後方側ブラシ部によるプローブの調芯機能を発揮できる。
【0087】
(5)幾つかの実施形態では、上記(2)乃至(4)の何れかに記載の超音波検査装置において、
前記プローブは、
前記センサホルダにおける前記複数の超音波センサよりも後方側において前記センサホルダに対して回転可能に構成された後方側支持部(例えば上述の後方側支持部72)と、
前記センサホルダの後方側に接続された第2のフレキシブルシャフト(例えば上述の第2のフレキシブルシャフト74)と、
前記第2のフレキシブルシャフトを回転可能に収容する第2のフレキシブルシャフト収容部(例えば上述の第2のフレキシブルシャフト収容部75)と、
前記後方側支持部と前記第2のフレキシブルシャフト収容部の間に前記第2のフレキシブルシャフトを囲むように配置された引張ばね(例えば上述の引張ばね76)と、をさらに含む。
【0088】
上記(5)に記載の超音波検査装置によれば、引張ばねにより、プローブの過度の撓みを抑制でき、これによってプローブが配管の内面に引っ掛かることを抑制できるため、プローブの配管への挿入性を向上できる。
【0089】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかに記載の超音波検査装置において、
前記複数の超音波センサは、前記プローブの周方向において互いに離れて配置された複数の第1超音波センサ(例えば上述の複数の超音波センサ14A,14B)を含む。
【0090】
上記(6)に記載の超音波検査装置によれば、複数の第1超音波センサの各々が、斜角探傷により自ら発信した超音波の反射波を受信することで、配管の内面に形成された配管の軸方向に沿って延びる内面割れや、配管の外面に形成された配管の軸方向に沿って延びる外面割れを検知できる。また、複数の第1超音波センサは、一方のセンサが発信した超音波の反射波(腐食部分において減衰・散乱した反射波)を他方のセンサが受信してもよい。この場合、他方のセンサが受信した受信信号の変化を取得することで、複数の超音波センサにおける受信信号の感度補正や、超音波ピッチキャッチ法を用いた内面割れや外面割れの割れ深さの測定が可能となる。
【0091】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかに記載の超音波検査装置において、
前記複数の超音波センサは、前記プローブの軸方向において互いに離れて配置された複数の第2超音波センサ(例えば上述の複数の超音波センサ14C,14D)を含む。
【0092】
上記(7)に記載の超音波検査装置によれば、複数の第2超音波センサの各々が、斜角探傷により自ら発信した超音波の反射波を受信することで、配管の内面に形成された配管の周方向に沿って延びる内面割れや、配管の外面に形成された配管の周方向に沿って延びる外面割れを検知できる。また、複数の第2超音波センサは、一方のセンサが発信した超音波の反射波(腐食部分において減衰・散乱した反射波)を他方のセンサが受信してもよい。この場合、他方のセンサが受信した受信信号の変化を取得することで、配管の外面減肉の検知や、超音波ピッチキャッチ法を用いた内面割れや外面割れの割れ深さの測定が可能となる。
【0093】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の何れかに記載の超音波検査装置において、
前記複数の超音波センサは、前記配管の内面に対して垂直な方向に沿って超音波を発信するように構成された第3超音波センサ(例えば上述の超音波センサ14E)を含む。
【0094】
上記(8)に記載の超音波検査装置によれば、第3超音波センサによって配管の内面に対して垂直な方向に沿って超音波を発信して配管の肉厚を測定することで、例えば配管の内面減肉部(内面に凹部等が形成されることにより肉厚が小さくなった部分)の検知が可能となる。
【0095】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかに記載の超音波検査装置において、
前記複数の超音波センサは、焦点距離が互いに異なる複数の超音波センサ(例えば上述の複数の超音波センサ141,142,143)を含む。
【0096】
上記(9)に記載の超音波検査装置によれば、焦点距離が互いに異なる複数の超音波センサを用いて、配管の肉厚方向において互いに異なる位置のデータを精度良く取得することができる。
【0097】
(10)幾つかの実施形態では、上記(9)の何れかに記載の超音波検査装置において、
前記配管はライフル管(例えば上述のライフル管3A)であり、
前記複数の超音波センサは、前記配管の内面側の位置に焦点を結ぶように構成された内面用超音波センサ(例えば上述の内面用超音波センサ141)と、前記内面用超音波センサよりも焦点距離が大きい少なくとも1つの超音波センサ(例えば上述の中間超音波センサ142、外面用超音波センサ143)とを含む。
【0098】
ライフル管の内面における谷部と山部との境界には段差が形成されるため、超音波の照射範囲に段差が含まれる場合には、超音波センサから出力される超音波波形には、谷部からの反射波であるS1波、山部からの反射波であるS2波、ライフル管の外面からの反射波であるB1波が含まれる。このため、従来の超音波検査方法では、ライフル管の肉厚が、誤ってS1波とS2波との時間差に基づいて計測されてしまう可能性があり、肉厚を精度良く計測することが困難であった。
これに対し、上記(10)に記載の超音波検査装置によれば、ライフル管の内面側の位置に焦点を結ぶように構成された内面用超音波センサを用いて、内面用超音波センサとライフル管の内面との水距離を精度良く計測することができる。このため、ライフル管の内面の形状を精度良く計測することができ、内面の段差の位置を特定することができる。したがって、内面用超音波センサよりも焦点距離が大きい少なくとも1つの超音波センサを用いて計測したライフル管の肉厚から内面の段差の位置の誤データを例えば除去等することにより、ライフル管の肉厚を精度良く計測することが可能となる。
【0099】
(11)幾つかの実施形態では、上記(10)の何れかに記載の超音波検査装置において、
前記少なくとも1つの超音波センサは、前記配管の外面側の位置に焦点を結ぶように構成された外面用超音波センサ(例えば上述の外面用超音波センサ143)と、前記内面用超音波センサの焦点距離と前記外面用超音波センサの焦点距離の間の焦点距離を有する中間超音波センサ(例えば上述の中間超音波センサ142)とを含む。
【0100】
上記(11)に記載の超音波検査装置によれば、外面用超音波センサはライフル管の外面減肉部を精度良く検出することができ、中間超音波センサはライフル管の内面減肉部を精度良く検出することができる。したがって、ライフル管が内面減肉部と外面減肉部の両方を含んでいる場合であっても、これらのセンサのデータを用いてライフル管の肉厚を精度良く計測することができる。
【0101】
(12)本開示の一実施形態に係る超音波検査システムは、
上記(1)乃至(11)の何れかに記載の超音波検査装置と、
前記ケーブルを前記配管の中に送り込むためのケーブル送り装置(例えば上述のケーブル送り装置12)と、
前記ケーブル送り装置及び前記モータを制御し、前記ケーブルを前記配管の内部で移動させるとともに前記センサホルダを前記配管の軸線の周りに回転させるように構成された制御部(例えば上述の制御部6)と、
を備える。
【0102】
上記(12)に記載の超音波検査システムによれば、ケーブルに取り付けられたプローブを配管の内部で移動させながらセンサホルダをモータで回転させるように制御部が制御することにより、配管の軸方向の各位置における配管の周方向の各位置について複数の超音波センサの各々からの超音波を用いた検査を行うことができる。このため、複数の超音波センサの各々の配置や特性(例えば焦点距離等)等に応じて配管の状態の多様な検査を行うことができる。
【0103】
(13)本開示の一実施形態に係る超音波検査システムは、
上記(1)乃至(12)の何れかに記載の超音波検査装置と、
前記配管の軸方向の各位置における前記配管の周方向の各位置について、前記複数の超音波センサの各々から超音波波形の波形データを取得する波形データ取得部(例えば上述の波形データ取得部24)と、
前記複数の超音波センサの各々から取得した前記配管の軸方向の各位置における前記配管の周方向の各位置についての前記波形データに基づいて、前記配管の状態を解析する解析部(例えば上述の解析部26)と、
を備える。
【0104】
上記(13)に記載の超音波検査装置によれば、複数の超音波センサの各々から取得した配管の軸方向の各位置における配管の周方向の各位置についての波形データに基づいて、配管の状態について多様な検査を行うことができる。
【0105】
(14)幾つかの実施形態では、上記(13)に記載の超音波検査装置において、
前記配管はライフル管(例えば上述のライフル管3A)であり、
前記ライフル管の内面は、谷部(例えば上述の谷部S1)と、谷部よりも前記ライフル管の径方向における内側に突出する山部(例えば上述の山部S2)とを含み、
前記複数の超音波センサは、前記配管の内面側の位置に焦点を結ぶように構成された内面用超音波センサ(例えば上述の内面用超音波センサ141)と、前記内面用超音波センサよりも焦点距離が大きい少なくとも1つの超音波センサ(例えば上述の中間超音波センサ142、外面用超音波センサ143)とを含み、
前記解析部は、
前記内面用超音波センサから取得した前記波形データと、前記少なくとも1つの超音波センサの各々から取得した波形データとに基づいて、前記配管の軸方向の各位置における前記配管の周方向の各位置について前記配管の肉厚を計測するように構成される。
【0106】
ライフル管の内面における谷部と山部との境界には段差が形成されるため、超音波の照射範囲に段差が含まれる場合には、超音波センサから出力される超音波波形には、谷部からの反射波であるS1波、山部からの反射波であるS2波、ライフル管の外面からの反射波であるB1波が含まれる。このため、従来の超音波検査方法では、ライフル管の肉厚が、誤ってS1波とS2波との時間差に基づいて計測されてしまう可能性があり、肉厚を精度良く計測することが困難であった。
これに対し、上記(14)に記載の超音波検査装置によれば、ライフル管の内面側の位置に焦点を結ぶように構成された内面用超音波センサから取得した波形データを用いて、内面用超音波センサとライフル管の内面との水距離を精度良く計測することができる。このため、ライフル管の内面の形状を精度良く計測することができ、内面の段差の位置を特定することができる。したがって、内面用超音波センサよりも焦点距離が大きい少なくとも1つの超音波センサから取得した波形データを用いて計測したライフル管の肉厚から内面の段差の位置の誤データを例えば除去等することにより、ライフル管の肉厚を精度良く計測することが可能となる。
【0107】
(15)幾つかの実施形態では、上記(14)に記載の超音波検査装置において、
前記少なくとも1つの超音波センサは、前記配管の外面側の位置に焦点を結ぶように構成された外面用超音波センサ(例えば上述の外面用超音波センサ143)と、前記内面用超音波センサの焦点距離と前記外面用超音波センサの焦点距離の間の焦点距離を有する中間超音波センサ(例えば上述の中間超音波センサ142)とを含み、
前記解析部は、
前記内面用超音波センサから取得した前記波形データから得られる前記内面用超音波センサと前記ライフル管の内面との水距離のデータに基づいて、前記山部と前記谷部との境界の位置を特定するように構成された境界位置特定部(例えば上述の境界位置特定部40)と、
前記中間超音波センサから取得した前記波形データから得られる前記ライフル管の肉厚のデータから、前記境界位置特定部によって特定された前記境界の位置に対応するデータを除去するように構成されたフィルタリング部(例えば上述のフィルタリング部42)と、
前記フィルタリング部で前記肉厚のデータから前記境界の位置に対応する前記データを除去することで得られたデータと、前記外面用超音波センサから取得した前記波形データから得られる前記ライフル管の外面減肉部の肉厚データと、に基づいて、前記配管の軸方向の各位置における前記配管の周方向の各位置についての前記配管の肉厚を示す肉厚マップを生成するように構成された肉厚マップ生成部(例えば上述の肉厚マップ生成部44)と、
を備える。
【0108】
上記(15)に記載の超音波検査装置によれば、内面用超音波センサから取得した波形データから得られる内面用超音波センサとライフル管の内面との水距離のデータに基づいて、谷部と山部との境界の位置を境界位置特定部で特定することができる。このため、中間超音波センサから取得した波形データから採取したライフル管の肉厚のデータから、境界位置特定部によって特定された境界の位置に対応するデータをフィルタリング部で除去して、ライフル管の肉厚を精度良く計測することができる。さらに、配管の外面側の位置に焦点を結ぶように構成された外面用超音波センサを用いて外面減肉部の肉厚データを精度良く計測できるため、フィルタリング部のフィルタリングによって得られたデータ(中間超音波センサから得られる波形データから採取したライフル管の肉厚のデータから、境界位置特定部によって摘出された境界の位置に対応するデータを除去することで得られたデータ)と、外面用超音波センサから取得した波形データから採取したライフル管の外面減肉部の肉厚データとに基づいて、精度の良い肉厚マップを生成することができる。
【0109】
(16)幾つかの実施形態では、上記(15)に記載の超音波検査装置において、
前記内面用超音波センサから取得した前記波形データから得られる前記内面用超音波センサと前記ライフル管の内面との水距離のデータと、前記肉厚マップ生成部によって生成した前記肉厚マップとに基づいて、前記配管の断面図を生成するように構成された断面図生成部(例えば上述の断面図生成部46)を更に備える。
【0110】
上記(16)に記載の超音波検査装置によれば、内面用超音波センサとライフル管の内面との水距離のデータと肉厚マップとに基づいて、ライフル管の精度の良い断面図を生成することができる。
【符号の説明】
【0111】
2 超音波検査システム
3 配管
3A ライフル管
4 超音波検査装置
5 制御装置
6 制御部
8 ケーブル
10 プローブ
12 ケーブル送り装置
14,14A,14B,14C,14D,14E,141,142,143 超音波センサ
16 センサホルダ
18 モータ
20 位置決め部
24 波形データ取得部
26 解析部
31 内面
31A,31B 内面割れ
33 外面
33A,33B 外面割れ
34 内面減肉部
35 外面減肉部
311 螺旋リブ
40 境界位置特定部
42 フィルタリング部
44 肉厚マップ生成部
46 断面図生成部
52 プロセッサ
53 RAM
54 ROM
55 HDD
56 入力I/F
57 出力I/F
58 バス
65 回転力伝達装置
66 スリップリング
67 スリップリング収容部
68 第1のフレキシブルシャフト
69 シール部材
70 前方側支持部
71 前方側ブラシ部
72 後方側支持部
73 後方側ブラシ部
74 第2のフレキシブルシャフト
75 第2のフレキシブルシャフト収容部
76 引張ばね
77 カップリング
78 軸受
E 照射範囲
F1,F2,F3 焦点距離
H1,H2 閾値
L 軸線
P1 中央位置
S1 谷部
S2 山部
S12 段差
B1,tS1 時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
【手続補正書】
【提出日】2022-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を超音波によって検査するための超音波検査装置であって、
ケーブルと、
複数の超音波センサと、前記複数の超音波センサを保持するセンサホルダと、モータと、前記モータが発生させた回転力を前記センサホルダに伝達するように構成された回転力伝達装置と、を含み、前記ケーブルに取り付けられたプローブと、
備え
前記複数の超音波センサは、焦点距離が互いに異なる複数の超音波センサを含み、
前記配管はライフル管であり、
前記複数の超音波センサは、前記配管の内面側の位置に焦点を結ぶように構成された内面用超音波センサと、前記内面用超音波センサよりも焦点距離が大きい少なくとも1つの超音波センサとを含む、超音波検査装置。
【請求項2】
前記回転力伝達装置は、前記センサホルダと前記モータとの間に設けられたスリップリングを含む、請求項1に記載の超音波検査装置。
【請求項3】
前記回転力伝達装置は、
前記スリップリングを回転可能に収容するスリップリング収容部と、
前記スリップリングの前方側に接続された第1のフレキシブルシャフトと、
前記スリップリングよりも前方側において前記スリップリング収容部と前記第1のフレキシブルシャフトとの間をシールする少なくとも1つのシール部材と、をさらに含む、請求項2に記載の超音波検査装置。
【請求項4】
前記プローブは、
前記センサホルダにおける前記複数の超音波センサよりも前方側において前記センサホルダに対して回転可能に構成された前方側支持部と、
前記前方側支持部の外周面に設けられた前方側ブラシ部であって、前記前方側支持部の前記外周面に植設されて前記センサホルダの軸線に対して直交する方向に沿って延在する複数の毛束群を含む前方側ブラシ部と、
前記センサホルダにおける前記複数の超音波センサよりも後方側において前記センサホルダに対して回転可能に構成された後方側支持部と、
前記後方側支持部の外周面に設けられた後方側ブラシ部であって、前記後方側支持部の前記外周面に植設されて前記センサホルダの前記軸線に対して直交する方向に沿って延在する複数の毛束群を含む後方側ブラシ部と、をさらに含む、
請求項2又は3に記載の超音波検査装置。
【請求項5】
前記プローブは、
前記センサホルダにおける前記複数の超音波センサよりも後方側において前記センサホルダに対して回転可能に構成された後方側支持部と、
前記センサホルダの後方側に接続された第2のフレキシブルシャフトと、
前記第2のフレキシブルシャフトを回転可能に収容する第2のフレキシブルシャフト収容部と、
前記後方側支持部と前記第2のフレキシブルシャフト収容部の間に前記第2のフレキシブルシャフトを囲むように配置された引張ばねと、をさらに含む、請求項2乃至4の何れか1項に記載の超音波検査装置。
【請求項6】
前記複数の超音波センサは、前記プローブの周方向において互いに離れて配置された複数の第1超音波センサを含む、請求項1乃至5の何れか1項に記載の超音波検査装置。
【請求項7】
前記複数の超音波センサは、前記プローブの軸方向において互いに離れて配置された複数の第2超音波センサを含む、請求項1乃至6の何れか1項に記載の超音波検査装置。
【請求項8】
前記複数の超音波センサは、前記配管の内面に対して垂直な方向に沿って超音波を発信するように構成された第3超音波センサを含む、請求項1乃至7の何れか1項に記載の超音波検査装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの超音波センサは、前記配管の外面側の位置に焦点を結ぶように構成された外面用超音波センサと、前記内面用超音波センサの焦点距離と前記外面用超音波センサの焦点距離の間の焦点距離を有する中間超音波センサとを含む、請求項1乃至8の何れか1項に記載の超音波検査装置。
【請求項10】
請求項1乃至の何れか1項に記載の超音波検査装置と、
前記ケーブルを前記配管の中に送り込むためのケーブル送り装置と、
前記ケーブル送り装置及び前記モータを制御し、前記ケーブルを前記配管の内部で移動させるとともに前記センサホルダを前記配管の軸線の周りに回転させるように構成された制御部と、
を備える、超音波検査システム。
【請求項11】
請求項1乃至の何れか1項に記載の超音波検査装置と、
前記配管の軸方向の各位置における前記配管の周方向の各位置について、前記複数の超音波センサの各々から超音波波形の波形データを取得する波形データ取得部と、
前記複数の超音波センサの各々から取得した前記配管の軸方向の各位置における前記配管の周方向の各位置についての前記波形データに基づいて、前記配管の状態を解析する解析部と、
を備える、超音波検査システム。
【請求項12】
前記ライフル管の内面は、谷部と、前記谷部よりも前記ライフル管の径方向における内側に突出する山部とを含み、
前記複数の超音波センサは、前記配管の内面側の位置に焦点を結ぶように構成された内面用超音波センサと、前記内面用超音波センサよりも焦点距離が大きい少なくとも1つの超音波センサとを含み、
前記解析部は、
前記内面用超音波センサから取得した前記波形データと、前記少なくとも1つの超音波センサの各々から取得した波形データとに基づいて、前記配管の軸方向の各位置における前記配管の周方向の各位置について前記配管の肉厚を計測するように構成された、請求項11に記載の超音波検査システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの超音波センサは、前記配管の外面側の位置に焦点を結ぶように構成された外面用超音波センサと、前記内面用超音波センサの焦点距離と前記外面用超音波センサの焦点距離の間の焦点距離を有する中間超音波センサとを含み、
前記解析部は、
前記内面用超音波センサから取得した前記波形データから得られる前記内面用超音波センサと前記ライフル管の内面との水距離のデータに基づいて、前記山部と前記谷部との境界の位置を特定するように構成された境界位置特定部と、
前記中間超音波センサから取得した前記波形データから得られる前記ライフル管の肉厚のデータから、前記境界位置特定部によって特定された前記境界の位置に対応するデータを除去するように構成されたフィルタリング部と、
前記フィルタリング部で前記肉厚のデータから前記境界の位置に対応する前記データを除去することで得られたデータと、前記外面用超音波センサから取得した前記波形データから得られる前記ライフル管の外面減肉部の肉厚データと、に基づいて、前記配管の軸方向の各位置における前記配管の周方向の各位置についての前記配管の肉厚を示す肉厚マップを生成するように構成された肉厚マップ生成部と、
を備える、請求項12に記載の超音波検査システム。
【請求項14】
前記内面用超音波センサから取得した前記波形データから得られる前記内面用超音波センサと前記ライフル管の内面との水距離のデータと、前記肉厚マップ生成部によって生成した前記肉厚マップとに基づいて、前記配管の断面図を生成するように構成された断面図生成部を更に備える、請求項13に記載の超音波検査システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
図16は、外面用超音波センサ143の出力信号(超音波波形)の一例を示す図であり、図13において超音波の照射範囲Eにライフル管3Aの外面減肉部35(外面33に腐食等により形成された局所的な凹部)が含まれるような位置(図視する例では山部S2がある周方向位置)に外面用超音波センサ143があるときの外面用超音波センサ143の出力信号を示している。