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特開2023-104279スイッチ装置およびスイッチシステム
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  • 特開-スイッチ装置およびスイッチシステム 図1
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  • 特開-スイッチ装置およびスイッチシステム 図3
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  • 特開-スイッチ装置およびスイッチシステム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104279
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】スイッチ装置およびスイッチシステム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20230721BHJP
   B60Q 1/00 20060101ALI20230721BHJP
   H01H 25/04 20060101ALN20230721BHJP
【FI】
B60R16/02 630B
B60Q1/00 C
H01H25/04 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005168
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 政弘
(72)【発明者】
【氏名】各務 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】三坂 圭司
(72)【発明者】
【氏名】千葉 佳男
(72)【発明者】
【氏名】畑田 洋佑
【テーマコード(参考)】
3K339
5G031
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339AA32
3K339BA26
3K339BA30
3K339CA01
3K339CA22
3K339CA24
3K339FA02
3K339FA11
3K339FA12
3K339FA13
3K339GB01
3K339HA22
3K339HA27
3K339KA02
3K339KA39
3K339MC17
3K339MC77
5G031AS23H
5G031GS22
5G031HU02
5G031HU55
(57)【要約】
【課題】移動体に搭載された照明装置の動作状態の切り替えが予期せずなされる事態の発生を抑制する。
【解決手段】可動体111は、操作力が加えられることにより第一位置P1から第二位置P2へ移動可能である。戻し機構112は、前記操作力が解除されると可動体111を第一位置P1へ復帰させる。コントローラ113は、可動体111が第一位置P1にあるときに移動体に搭載された照明装置23を第一動作状態にし、可動体111が第二位置P2において所定の時間長さ以上保持された後に第一位置P1まで移動されると、照明装置23を第二動作状態に変更する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されるスイッチ装置であって、
操作力が加えられることにより第一位置から第二位置へ移動可能である可動体と、
前記操作力が解除されると前記可動体を前記第一位置へ復帰させる戻し機構と、
前記可動体が前記第一位置にあるときに前記移動体に搭載された照明装置を第一動作状態にし、前記可動体が前記第二位置において所定の時間長さ以上保持された後に前記第一位置まで移動されると、当該照明装置を第二動作状態に変更するコントローラと、
を備えている、
スイッチ装置。
【請求項2】
前記第二動作状態は複数の動作状態を含んでおり、
前記可動体が前記第二位置に保持される時間長さに基づいて前記複数の動作状態の一つが選択される、
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記照明装置は、前照灯と車幅灯を含んでおり、
前記第二動作状態は、前記前照灯が消灯され、かつ前記車幅灯が点灯される状態を含んでいる、
請求項1または2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記可動体は、軸を中心として回動可能である、
請求項1から3のいずれか一項に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
移動体に搭載されるスイッチシステムであって、
スイッチ装置と、
コントローラと、
を含んでおり、
前記スイッチ装置は、
操作力が加えられることにより第一位置から第二位置へ移動可能である可動体と、
前記操作力が解除されると前記可動体を前記第一位置へ復帰させる戻し機構と、
を備えており、
前記コントローラは、前記可動体が前記第一位置にあるときに前記移動体に搭載された照明装置を第一動作状態にし、前記可動体が前記第二位置において所定の時間長さ以上保持された後に前記第一位置まで移動されると、当該照明装置を第二動作状態に変更する、
スイッチシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に搭載されるスイッチ装置およびスイッチシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、移動体の一例である車両に搭載されるスイッチ装置を開示している。当該スイッチ装置は、ユーザから操作力が加えられることにより軸を中心として回動可能である可動体を備えている。可動体の位置に応じて、車両に搭載された照明装置の動作状態が切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/194212号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、移動体に搭載された照明装置の動作状態の切り替えが予期せずなされる事態の発生を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための一態様は、移動体に搭載されるスイッチ装置であって、
操作力が加えられることにより第一位置から第二位置へ移動可能である可動体と、
前記操作力が解除されると前記可動体を前記第一位置へ復帰させる戻し機構と、
前記可動体が前記第一位置にあるときに前記移動体に搭載された照明装置を第一動作状態にし、前記可動体が前記第二位置において所定の時間長さ以上保持された後に前記第一位置まで移動されると、当該照明装置を第二動作状態に変更するコントローラと、
を備えている。
【0006】
上記目的を達成するための一態様は、移動体に搭載されるスイッチシステムであって、
スイッチ装置と、
コントローラと、
を含んでおり、
前記スイッチ装置は、
操作力が加えられることにより第一位置から第二位置へ移動可能である可動体と、
前記操作力が解除されると前記可動体を前記第一位置へ復帰させる戻し機構と、
を備えており、
前記コントローラは、前記可動体が前記第一位置にあるときに前記移動体に搭載された照明装置を第一動作状態にし、前記可動体が前記第二位置において所定の時間長さ以上保持された後に前記第一位置まで移動されると、当該照明装置を第二動作状態に変更する。
【0007】
上記の各態様に係る構成によれば、可動体を第二位置まで移動させ、かつその位置で所定の時間長さ以上保持するという意図的な二段階操作を行なわない限り、照明装置を第二動作状態にすることができない。意図せず可動体が第二位置まで移動されることがあっても、操作力が直ちに解除されれば戻し機構により可動体が第一位置に復帰されるので、照明装置は第一動作状態を維持する。したがって、照明装置の動作状態の切り替えが予期せずなされる事態の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るスイッチシステムが搭載される車両を例示している。
図2図1のスイッチ装置の一部の外観を例示している。
図3図1のスイッチシステムの機能構成と動作を例示している。
図4図3のコントローラにより実行される処理の流れの一例を示している。
図5図3のコントローラにより実行される処理の流れの別例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付の図面を参照しつつ、実施形態例について以下詳細に説明する。以下の説明に用いられる各図面においては、各要素を認識可能な大きさとするために縮尺が適宜変更されている。
【0010】
図1は、一実施形態に係るスイッチシステム10が搭載される車両20を例示している。車両20は、移動体の一例である。スイッチシステム10は、スイッチ装置11を含んでいる。
【0011】
スイッチ装置11は、車両20のステアリングホイール21の付近に配置されている。本例においては、スイッチ装置11は、車両20に搭載された方向指示器を作動させるために運転者によって操作されるレバースイッチである。
【0012】
図2は、スイッチ装置11の一部の外観を例示している。スイッチ装置11は、可動体111を備えている。可動体111は、レバースイッチの先端部に配置されている。可動体111は、運転者から操作力が加えられることにより軸Aを中心として回動可能である。可動体111は、車両20に搭載された照明装置の動作状態を切り替えるために運転者により操作される。
【0013】
具体的には、図3に例示されるように、可動体111は、第一位置P1と第二位置P2の間を回動可能である。車両20に搭載された照明装置23は、前照灯231と車幅灯232を含んでいる。可動体111の第一位置P1は、照明装置23の第一動作状態に対応付けられている。可動体111の第二位置P2は、照明装置23の第二動作状態に対応付けられている。
【0014】
第一動作状態においては、車両20の周囲環境の明るさに応じて前照灯231と車幅灯232が自動的に点消灯される。第二動作状態においては、前照灯231が消灯される一方で車幅灯232が点灯される。
【0015】
スイッチ装置11は、戻し機構112を備えている。戻し機構112は、可動体111に対する操作力が解除されると、可動体111を第一位置P1へ復帰させるように構成されている。すなわち、運転者が可動体111から手を放すと、可動体111は、その時点での位置に依らず、第一位置P1まで回動する。戻し機構112は、いわゆるモーメンタリ型のスイッチを構成するための周知の機構により実現可能である。
【0016】
スイッチ装置11は、コントローラ113を備えている。コントローラ113は、可動体111が第一位置P1にあるときに第一制御信号S1を出力するように構成されている。第一制御信号S1は、照明装置23を第一動作状態にするように構成されている。
【0017】
可動体111の回動位置の検出は、周知の技術を用いて実現されうる。例えば、第一位置P1に対応する位置と第二位置P2に対応する位置に配置された電気的接点を通じて検出がなされてもよいし、ロータリエンコーダ技術を用いて可動体111の回動量が検出されてもよい。
【0018】
コントローラ113は、可動体111が第二位置P2において所定の時間長さ以上保持された後に第一位置P1に移動したことが検出されると、第二制御信号S2を出力するように構成されている。所定の時間長さの例としては、1秒が挙げられる。第二制御信号S2は、照明装置23を第二動作状態にするように構成されている。
【0019】
具体的には、コントローラ113は、可動体111が第二位置P2まで回動されてからの時間長さを計測するように構成される。当該時間長さは、電気的接点が用いられる場合における可動体111が第二位置P2にあることに対応する電気的状態の継続時間に基づいて特定されうる。あるいは、ロータリエンコーダ技術が用いられる場合における可動体111が第二位置P2にあることを示す検出状態の継続時間に基づいて特定されうる。
【0020】
図4は、上記のように構成されたコントローラ113により実行される処理の流れを例示している。初期状態において、可動体111は、第一位置P1にあるものとする。
【0021】
コントローラ113は、可動体111が第一位置P1にある事実に基づき、照明装置23を第一動作状態にする第一制御信号S1を出力する。すなわち、車両20の周囲環境の明るさに応じた前照灯231と車幅灯232の自動的点消灯動作が有効化される(STEP11)。
【0022】
続いて、コントローラ113は、可動体111が第二位置P2に移動されたかを判断する(STEP12)。可動体111が第二位置P2に移動されたと判断されるまで、当該処理が繰り返される(STEP12においてNO)。
【0023】
可動体111が第二位置P2に移動されたと判断されると(STEP12においてYES)、コントローラ113は、計時を開始する(STEP13)。
【0024】
続いて、コントローラ113は、可動体111が第一位置P1に移動されたかを判断する(STEP14)。可動体111が第一位置P1に移動されたと判断されるまで、当該処理が繰り返される(STEP14においてNO)。
【0025】
可動体111が第一位置P1に移動されたと判断されると(STEP14においてYES)、コントローラ113は、計時を終了する(STEP15)。この状態は、可動体111に対する操作力が解除され、戻し機構112によって可動体111が第一位置P1へ復帰された状態に対応している。
【0026】
続いて、コントローラ113は、計時結果が所定の時間長さ以上であるかを判断する(STEP16)。
【0027】
計時結果が所定の時間長さ未満であると判断されると(STEP16においてNO)、処理はSTEP11に戻り、照明装置23の第一動作状態が引き続き有効とされる。この状態は、例えば運転者が意図せず可動体111を回動させてしまい、すぐに操作力が解除された場合に対応している。
【0028】
計時結果が所定の時間長さ以上であると判断されると(STEP16においてYES)、コントローラ113は、照明装置23を第二動作状態にする第二制御信号S2を出力する。すなわち、前照灯231が消灯され、車幅灯232が点灯される(STEP17)。
【0029】
上記のような構成によれば、可動体111を第二位置P2まで回動させ、かつその位置で所定の時間長さ以上保持するという意図的な二段階操作を行なわない限り、照明装置23を第二動作状態にすることができない。意図せず可動体111が第二位置P2まで回動されることがあっても、操作力が直ちに解除されれば戻し機構112により可動体111が第一位置P1に復帰されるので、照明装置23は第一動作状態を維持する。したがって、照明装置23の動作状態の切り替えが予期せずなされる事態の発生を抑制できる。
【0030】
第一動作状態と異なる第二動作状態は、選択可能な複数の状態を含んでもよい。例えば、前照灯231と車幅灯232の双方が消灯される状態が選択されうる。図5は、このような構成においてコントローラ113により実行されうる処理の流れを例示している。図4に例示された処理の流れと共通する処理要素については同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0031】
本例においては、可動体111が第二位置P2まで回動された後に第一位置P1に復帰されたと判断された場合、計時結果が第一時間長さ以上であるかが判断される(STEP26)。第一時間長さの例としては、1秒が挙げられる。
【0032】
計時結果が第一時間長さ未満であると判断されると(STEP26においてNO)、処理はSTEP11に戻り、照明装置23の第一動作状態が引き続き有効とされる。この状態は、例えば運転者が意図せず可動体111を回動させてしまい、すぐに操作力が解除された場合に対応している。
【0033】
計時結果が第一時間長さ以上であると判断されると(STEP26においてYES)、コントローラ113は、計時結果が第二時間長さ以上であるかを判断する(STEP27)。第二時間長さの例としては、3秒が挙げられる。
【0034】
計時結果が第一時間長さ以上第二時間長さ未満であると判断されると(STEP27においてNO)、コントローラ113は、照明装置23に前照灯231を消灯させ車幅灯232を点灯させる第二制御信号S2を出力する(STEP28)。
【0035】
計時結果が第二時間長さ以上であると判断されると(STEP27においてYES)、コントローラ113は、照明装置23に前照灯231と車幅灯232を消灯させる第二制御信号S2を出力する(STEP29)。
【0036】
すなわち、可動体111が第二位置P2に保持される時間長さに基づいて、第一動作状態と異なる複数の第二動作状態の一つが選択されうる。このような構成によれば、部品点数の増加を伴うことなく、照明装置23により多様な動作状態をとらせることが可能になる。
【0037】
これまで説明した各種の機能を有するコントローラ113は、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの上記のコンピュータプログラムを実行可能な専用集積回路によって実現されうる。
【0038】
コントローラ113は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、コントローラ113は、スイッチ装置11とは独立して車両20に搭載されている各種の制御装置(ECU)の少なくとも一部として提供されうる。
【0039】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0040】
上記の実施形態に係るスイッチ装置11は、ステアリングホイール21の付近に配置されており、軸Aを中心として回動可能な可動体111を備えている。しかしながら、スイッチ装置11は、車両20の乗員による操作が可能な適宜の箇所に配置されうる。また、可動体111は、第一位置P1と第二位置P2の間で移動可能であれば、直線状または弧状の経路上を変位するスライダの形態もとりうる。
【0041】
上記の実施形態においては、可動体111の第一位置P1は、車両20の周囲環境の明るさに応じて前照灯231と車幅灯232が自動的に点消灯される動作状態に対応付けれられている。可動体111の第二位置P2は、少なくとも前照灯231が消灯される動作状態に対応付けられている。しかしながら、第一位置P1と第二位置P2の各々に対応付けられる照明装置23の動作状態は、適宜に定められうる。当該動作状態には、車両20に搭載される前照灯231と車幅灯232以外の灯具の動作が含まれてもよい。
【0042】
上記の実施形態においては、スイッチシステム10は、車室を有する車両20に搭載されている。しかしながら、スイッチシステム10は、二つ以上の車輪を備えた鞍乗型あるいはスクータ型の車両に搭載されうる。あるいは、スイッチシステム10は、鉄道、航空機、船舶などの移動体にも搭載されうる。
【符号の説明】
【0043】
10:スイッチシステム、11:スイッチ装置、111:可動体、112:戻し機構、113:コントローラ、114:ボタン、20:車両、23:照明装置、231:前照灯、232:車幅灯、A:軸、P1:第一位置、P2:第二位置
図1
図2
図3
図4
図5