(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104292
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】検査システム、管理装置、検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20230721BHJP
G01N 21/88 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
G06T7/00 610C
G01N21/88 J
G06T7/00 350C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005187
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】鹿江 央聖
【テーマコード(参考)】
2G051
5L096
【Fターム(参考)】
2G051AA07
2G051AB03
2G051CA04
2G051EB05
2G051ED21
5L096BA03
5L096DA02
5L096FA06
5L096HA11
5L096JA11
5L096KA04
5L096KA15
(57)【要約】
【課題】検査対象物の表面に顕在化した異常を効率良く検査することを課題とする。
【解決手段】管理装置30は、深層距離学習により学習済モデルを生成し、学習用画像を学習済モデルに入力し、学習済モデルから出力される学習用画像の特徴量を次元圧縮した2次元特徴量に基づいて、2次元平面上の境界データを特定し、学習済データ及び境界データを含む判定条件データを検査装置10及び検査装置20に送信する。検査装置10は、カメラ11で検査対象となるパネルPを撮像した入力画像を学習済モデルに入力し、学習済モデルから入力画像の特徴量が出力されたならば、この特徴量を次元圧縮した2次元特徴量と2次元平面上の境界データとに基づいて、検査対象物であるパネルPがワレ品であるか否かを検査する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習用画像を用いて学習済モデルを生成する管理装置と、検査対象物の表面を撮像した入力画像を前記学習済モデルに入力し、該学習済モデルから出力される情報に基づいて前記検査対象物の異常を検査する検査装置とを有する検査システムであって、
前記管理装置は、
学習用画像を用いた教師無し学習による深層距離学習により学習済モデルを生成する学習済モデル生成手段と、
前記学習済モデルから出力される学習用画像の特徴量を次元圧縮した次元圧縮後特徴量に基づいて、境界を特定する境界特定手段と
を備え、
前記検査装置は、
前記学習済モデルから出力される前記入力画像の特徴量を次元圧縮した次元圧縮後特徴量と前記境界に係る情報とに基づいて、前記検査対象物の表面に顕在化した異常を検査する検査手段
を備えたことを特徴とする検査システム。
【請求項2】
前記検査装置は、
前記検査手段による検査結果を報知する報知手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記学習済モデル生成手段は、
前記学習用画像の特徴量を出力する所定のベースネットワークと、
表面に異常が顕在化しない対象物を撮像した複数の第1画像と、前記対象物とは異なる物体を撮像した複数の第2画像とを前記ベースネットワークに入力し、前記第1画像の特徴量と前記第2画像の特徴量との距離が離れるように深層距離学習を行って前記学習済モデルを生成する生成手段と
を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記境界特定手段は、
表面に異常が顕在化しない対象物を撮像した複数の第1画像及び前記表面に異常が顕在化した対象物を撮像した複数の第3画像を前記学習済モデルに入力し、該学習済モデルから出力された複数の特徴量を取得する第1の特徴量取得手段と、
前記学習済モデルにから出力された複数の特徴量をそれぞれ2次元特徴量に次元圧縮する第1の次元圧縮手段と、
前記複数の第1画像の2次元特徴量と前記複数の第3画像の2次元特徴量とに基づいて、境界を抽出する境界抽出手段と
を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の検査システム。
【請求項5】
前記境界抽出手段は、
前記複数の第1画像の2次元特徴量の全て含み、前記複数の第2画像の2次元特徴量を全て含まない領域を抽出することを特徴とする請求項4に記載の検査システム。
【請求項6】
前記検査手段は、
前記検査対象物を撮像した第4画像を前記学習済モデルに入力し、該学習済モデルから出力された特徴量を取得する第2の特徴量取得手段と、
前記学習済モデルにから出力された特徴量を2次元特徴量に次元圧縮する第2の次元圧縮手段と、
前記検査対象物の2次元特徴量と前記2次元平面上の境界に係る情報とに基づいて、前記検査対象物の表面に顕在化した異常の有無を判定する判定手段と
を備えたことを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の検査システム。
【請求項7】
学習用画像を用いた教師無し学習により学習済モデルを生成する管理装置であって、
前記学習用画像の特徴量を出力する所定のベースネットワークと、
表面に異常が顕在化しない対象物を撮像した複数の第1画像と、前記対象物とは異なる物体を撮像した複数の第2画像とを前記ベースネットワークに入力し、前記第1画像の特徴量と前記第2画像の特徴量との距離が離れるように深層距離学習を行って前記学習済モデルを生成する生成手段と
を備えたことを特徴とする管理装置。
【請求項8】
表面に異常が顕在化しない対象物を撮像した複数の第1画像及び前記表面に異常が顕在化した対象物を撮像した複数の第3画像を前記学習済モデルに入力し、該学習済モデルから出力された複数の特徴量を取得する特徴量取得手段と、
前記学習済モデルから出力された複数の特徴量をそれぞれ2次元特徴量に次元圧縮する次元圧縮手段と、
前記複数の第1画像の2次元特徴量と前記複数の第3画像の2次元特徴量とに基づいて、境界を抽出する境界抽出手段と
を備えたことを特徴とする請求項7に記載の管理装置。
【請求項9】
検査対象物の表面を撮像した入力画像を学習済モデルに入力し、該学習済モデルから出力される情報に基づいて前記検査対象物の異常を検査する検査装置であって、
前記学習済モデルから出力される前記入力画像の特徴量を次元圧縮した2次元特徴量と前記2次元平面上の境界に係る情報とに基づいて、前記検査対象物の表面に顕在化した異常を検査する検査手段と、
前記検査手段による検査結果を報知する報知手段と
を備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項10】
学習用画像を用いて学習済モデルを生成する管理装置と、検査対象物の表面を撮像した入力画像を前記学習済モデルに入力し、該学習済モデルから出力される情報に基づいて前記検査対象物の異常を検査する検査装置とを有する検査システムにおける検査方法であって、
前記管理装置が、学習用画像を用いた教師無し学習による深層距離学習により学習済モデルを生成する学習済モデル生成工程と、
前記管理装置が、前記学習済モデルから出力される学習用画像の特徴量を次元圧縮した次元圧縮後特徴量に基づいて、境界を特定する境界特定工程と、
前記検査装置が、前記学習済モデルから出力される前記入力画像の特徴量を次元圧縮した次元圧縮後特徴量と前記境界に係る情報とに基づいて、前記検査対象物の表面に顕在化した異常を検査する検査工程と
を含むことを特徴とする検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物の表面に顕在化した異常を効率良く検査することができる検査システム、管理装置、検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばプレス生産ラインにてパネルの生産を行う場合に、パネルにワレが発生する場合がある。このため、プレス生産ラインに所在する検査員が、目視によりパネルのワレを検出し、ワレが存在するパネルを取り除く作業を行ってきた。
【0003】
このように、検査員による目視検査を行う場合には、ワレが存在するパネルを見逃してしまう可能性がある。このため、深層学習を用いて対象物の外観に生じた欠陥を検出する従来技術が知られている。例えば、特許文献1には、照明条件を変えながら被検査物を撮像して複数の画像を取得し、複数の画像を学習済モデルに入力することにより、被検査物の外観に生じた輝度異常部を抽出し、輝度異常部の形状に基づいて形状特徴量を取得し、形状特徴量を評価して輝度異常部が欠陥か否かを判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる特許文献1のものは、深層学習により生成した学習済モデルにより被検査物の外観に生じた異常を抽出する必要がある。深層学習において精度を求めれば求めるほど、膨大な数の教師データ(画像と正解データ)を用いて教師有り学習を行わねばならず、効率的ではない。
【0006】
このため、パネルにワレが生じているか否かをいかに効率良く検査するかが重要な課題となっている。かかる課題は、パネルに生じたワレだけではなく、検査対象物に生じた異常を検査する場合にも同様に生ずる課題である。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであって、検査対象物の表面に顕在化した異常を効率良く検査することができる検査システム、管理装置、検査装置及び検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、学習用画像を用いて学習済モデルを生成する管理装置と、検査対象物の表面を撮像した入力画像を前記学習済モデルに入力し、該学習済モデルから出力される情報に基づいて前記検査対象物の異常を検査する検査装置とを有する検査システムであって、前記管理装置は、学習用画像を用いた教師無し学習による深層距離学習により学習済モデルを生成する学習済モデル生成手段と、前記学習済モデルから出力される学習用画像の特徴量を次元圧縮した次元圧縮後特徴量に基づいて、境界を特定する境界特定手段とを備え、前記検査装置は、前記学習済モデルから出力される前記入力画像の特徴量を次元圧縮した次元圧縮後特徴量と前記境界に係る情報とに基づいて、前記検査対象物の表面に顕在化した異常を検査する検査手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記検査装置は、前記検査手段による検査結果を報知する報知手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記学習済モデル生成手段は、前記学習用画像の特徴量を出力する所定のベースネットワークと、表面に異常が顕在化しない対象物を撮像した複数の第1画像と、前記対象物とは異なる物体を撮像した複数の第2画像とを前記ベースネットワークに入力し、前記第1画像の特徴量と前記第2画像の特徴量との距離が離れるように深層距離学習を行って前記学習済モデルを生成する生成手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記境界特定手段は、表面に異常が顕在化しない対象物を撮像した複数の第1画像及び前記表面に異常が顕在化した対象物を撮像した複数の第3画像を前記学習済モデルに入力し、該学習済モデルから出力された複数の特徴量を取得する第1の特徴量取得手段と、前記学習済モデルにから出力された複数の特徴量をそれぞれ2次元特徴量に次元圧縮する第1の次元圧縮手段と、前記複数の第1画像の2次元特徴量と前記複数の第3画像の2次元特徴量とに基づいて、境界を抽出する境界抽出手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記境界抽出手段は、前記複数の第1画像の2次元特徴量の全て含み、前記複数の第2画像の2次元特徴量を全て含まない領域を抽出することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記検査手段は、前記検査対象物を撮像した第4画像を前記学習済モデルに入力し、該学習済モデルから出力された特徴量を取得する第2の特徴量取得手段と、前記学習済モデルにから出力された特徴量を2次元特徴量に次元圧縮する第2の次元圧縮手段と、前記検査対象物の2次元特徴量と前記2次元平面上の境界に係る情報とに基づいて、前記検査対象物の表面に顕在化した異常の有無を判定する判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、学習用画像を用いた教師無し学習により学習済モデルを生成する管理装置であって、前記学習用画像の特徴量を出力する所定のベースネットワークと、表面に異常が顕在化しない対象物を撮像した複数の第1画像と、前記対象物とは異なる物体を撮像した複数の第2画像とを前記ベースネットワークに入力し、前記第1画像の特徴量と前記第2画像の特徴量との距離が離れるように深層距離学習を行って前記学習済モデルを生成する生成手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、表面に異常が顕在化しない対象物を撮像した複数の第1画像及び前記表面に異常が顕在化した対象物を撮像した複数の第3画像を前記学習済モデルに入力し、該学習済モデルから出力された複数の特徴量を取得する特徴量取得手段と、前記学習済モデルから出力された複数の特徴量をそれぞれ2次元特徴量に次元圧縮する次元圧縮手段と、前記複数の第1画像の2次元特徴量と前記複数の第3画像の2次元特徴量とに基づいて、境界を抽出する境界抽出手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、検査対象物の表面を撮像した入力画像を学習済モデルに入力し、該学習済モデルから出力される情報に基づいて前記検査対象物の異常を検査する検査装置であって、前記学習済モデルから出力される前記入力画像の特徴量を次元圧縮した2次元特徴量と前記2次元平面上の境界に係る情報とに基づいて、前記検査対象物の表面に顕在化した異常を検査する検査手段と、前記検査手段による検査結果を報知する報知手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、学習用画像を用いて学習済モデルを生成する管理装置と、検査対象物の表面を撮像した入力画像を前記学習済モデルに入力し、該学習済モデルから出力される情報に基づいて前記検査対象物の異常を検査する検査装置とを有する検査システムにおける検査方法であって、前記管理装置が、学習用画像を用いた教師無し学習による深層距離学習により学習済モデルを生成する学習済モデル生成工程と、前記管理装置が、前記学習済モデルから出力される学習用画像の特徴量を次元圧縮した次元圧縮後特徴量に基づいて、境界を特定する境界特定工程と、前記検査装置が、前記学習済モデルから出力される前記入力画像の特徴量を次元圧縮した次元圧縮後特徴量と前記境界に係る情報とに基づいて、前記検査対象物の表面に顕在化した異常を検査する検査工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、検査対象物の表面に顕在化した異常を効率良く検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る検査システムのシステム構成を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した管理装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した管理装置による学習済モデルの生成の概要を説明するための説明図である。
【
図4】
図4は、
図2に示した管理装置による境界データ抽出の概要を説明するための説明図である。
【
図5】
図5は、2次元平面上の良品パネル画像の特徴量、ワレ品パネル画像の特徴量及び境界の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、
図1に示した検査装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、
図6に示した制御部による制御の概要を説明するための説明図である。
【
図8】
図8は、2次元平面を用いた良品判定、ワレ品判定の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、
図2に示した管理装置による学習済モデルの生成手順を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、
図2に示した管理装置による境界データの抽出手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、
図6に示した検査装置による判定手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本実施形態に係る検査システム、管理装置、検査装置及び検査方法の実施形態を説明する。本実施形態では、管理装置30が学習済モデル及び境界情報を生成してこれらの情報を含む判定条件情報を検査装置10,20に送信し、検査装置10,20がプレス生産ラインLを通過するパネルPが良品であるかワレ品であるかを判定する場合について説明することとする。なお、以下に示す実施形態では、説明の便宜上、画像データを単に「画像」と記載することとする。
【0021】
<検査システムのシステム構成>
本実施形態に係る検査システムのシステム構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る検査システムのシステム構成を示す図である。同図に示すように、この検査システムは、プレス生産ラインL上を搬送されるパネルPのワレを検査するシステムである。本実施形態に記載するパネルPの「ワレ」とは、例えば車体の一部に用いるパネルの表面に顕在化する亀裂を意味する。パネルPは、
図1の左上部から右下部に向けて搬送される状況を示している。
【0022】
本実施形態に係る検査システムは、管理装置30と、検査装置10及び検査装置20を有する。管理装置30は、バックヤードに配設された一種のサーバ装置であり、検査装置10及び検査装置20を管理する。具体的には、管理装置30は、良品である良品パネル画像とファッション商品画像とを含む学習用画像をベースネットワークに入力して教師無し学習による深層距離学習(Deep Metric Learning)を行って学習済モデルを生成する(S1)。この深層距離学習自体は公知技術であるため、ここではその詳細な説明を省略する。なお、かかる深層距離学習を行う場合に、ファッション商品画像である必要はなく、良品パネルと異なる物品で特徴量に違いが生ずる物品の画像を学習用画像とすることもできる。
【0023】
その後、例えば3000枚の良品パネル画像と、3000枚のワレ品パネル画像とを学習済モデルに入力して、それぞれの特徴量(3次元以上)を取得し、この特徴量を次元圧縮して2次元特徴量を算定する。良品パネル画像の2次元特徴量とワレ品パネル画像の2次元特徴量を2次元平面上にプロットし、良品パネル画像の特徴量とワレ品パネル画像の特徴量との境界データを抽出する(S2)。そして、学習済モデル及び境界データを含む判定条件データを検査装置10及び検査装置20に送信する(S3)。
【0024】
検査装置10は、プレス生産ラインL上を搬送されるパネルPにワレが生じているか否かを検査する装置である。具体的には、管理装置30から送信された判定条件データを受信したならば、この判定条件データに含まれる学習済モデル及び境界データを記憶部に記憶する(S4)。
【0025】
そして、カメラ11によりプレス生産ラインL上を搬送されるパネルPの入力画像を撮像し(S5)、この入力画像を学習済モデルに投入して特徴量を抽出し、この特徴量(3次元以上)を次元圧縮した2次元の特徴量と境界データを用いて良品判定を行い(S6)、パネルPがワレ品であると判定された場合には、光、合成音又はコマンド送信で係員に報知する(S7)。良品判定の詳細な説明は後述する。
【0026】
なお、検査装置20についても、検査装置10と同様の処理を行う。具体的には、カメラ21によりプレス生産ラインL上を搬送されるパネルPの入力画像を撮像し、この入力画像を学習済モデルに投入して特徴量を抽出し、この特徴量(3次元以上)を次元圧縮した2次元の特徴量と境界データを用いて良品判定を行い、パネルPがワレ品であると判定された場合には、光又は合成音で報知する。
【0027】
このように、本実施形態に係る検査システムは、学習用画像を用いて学習済モデルを生成する管理装置30と、パネルPの表面を撮像した入力画像を学習済モデルに入力し、該学習済モデルから出力される情報に基づいてパネルPがワレ品であるか否かを検査する検査装置とを有する検査システムである。管理装置30は、所定の深層距離学習(教師無し学習)により学習済モデルを生成するとともに、学習用画像(良品パネル画像、ファッション商品画像)を学習済モデルに入力し、学習済モデルから出力される学習用画像の特徴量を次元圧縮した2次元特徴量に基づいて、2次元平面上の境界データを特定する。そして、学習済データ及び境界データを含む判定条件データを検査装置10及び検査装置20に送信する。検査装置10は、カメラ11で検査対象となるパネルPを撮像した入力画像を学習済モデルに入力し、学習済モデルから入力画像の特徴量が出力されたならば、この特徴量を次元圧縮した2次元特徴量と2次元平面上の境界データとに基づいて、検査対象物であるパネルPがワレ品であるか否かを検査する。そして、パネルPがワレ品であると判定された場合には、光又は合成音で報知する。これにより、検査対象物であるパネルPの表面にワレが顕在化しているか否かを効率良く検査することができる。
【0028】
<管理装置30の構成>
次に、
図1に示した管理装置30の構成を説明する。
図2は、
図1に示した管理装置30の構成を示す機能ブロック図である。この管理装置30は、学習済モデルの生成と境界データの抽出とを行い、学習済モデル及び境界データを含む判定条件データを検査装置10及び検査装置20に送信する装置である。
【0029】
図2に示すように、管理装置30は、入力部31と、表示部32と、通信I/F部33と、記憶部34と、制御部35とを有する。入力部31は、キーボード又はマウス等の入力デバイスであり、表示部32は、液晶パネル又はディスプレイなどからなる表示デバイスである。通信I/F部33は、検査装置10,20と通信を行うためのインタフェース部である。
【0030】
記憶部34は、ハードディスク装置又は不揮発性メモリなどからなる記憶デバイスであり、ベースネットワーク34a、良品パネル画像34b、ファッション商品画像34c、学習済モデル34d、ワレ品パネル画像34e及び境界データ34fを記憶する。
【0031】
ベースネットワーク34aは、学習済モデルを生成するための元になるニューラルネットワークである。このベースネットワーク34aとしては、例えばモバイルアプリケーションのように制御された環境で機能するように設計された「MobileNetV21」等を用いることができる。なお、MobileNetV21以外のベースネットワークを用いることもできる。
【0032】
良品パネル画像34bは、あらかじめワレの無いパネルを撮像した画像であり、例えば3000枚の良品パネル画像34bが記憶部に記憶される。かかる良品パネル画像34bは、
図1に示したカメラ11又はカメラ21で良品パネルを撮像した画像を検査装置10又は20から受信して記憶部34に記憶すればよい。
【0033】
ファッション商品画像34cは、検査対象となるパネルと全く異質のファッション商品を撮像した画像である。このファッション商品画像34cは、教師無し学習による深層距離学習を行って学習済モデル34dを生成するときに用いられる。かかるファッション商品画像34cは、WEB上の任意のHTTPサーバから取得したものでよい。
【0034】
学習済モデル34dは、学習用画像(良品パネル画像34b、ファッション商品画像34c)を用いた教師無し学習による深層距離学習により生成された学習済モデルである。この学習済モデル34dは、何らかの画像が入力されると、この画像の特徴量(3次元以上)が出力される。
【0035】
ワレ品パネル画像34eは、表面にワレがあるパネルを撮像した画像であり、例えば3000枚のワレ品パネル画像34eが記憶部に記憶される。ここで、実際のプレス生産現場では、多くのワレ品パネルが発生しないため、実際のワレ品パネルの画像ではなく、良品パネル画像のワレが生じる部位に大小のワレを付したものをワレ品パネル画像34eとすることができる。
【0036】
境界データ34fは、複数の良品パネル画像34bの特徴量をそれぞれ次元圧縮した複数の2次元特徴量と、複数のワレ品パネル画像34eの特徴量をそれぞれ次元圧縮した複数の2次元特徴量とを2次元平面上にプロットし、複数の良品パネル画像34bの2次元特徴量と複数のワレ品パネル画像34eの2次元特徴量との境界を示すデータである。
【0037】
かかる境界のデータを求める場合には、局所外れ値因子法(Local Outlier Factor)又はテンプレートマッチングなどの周知技術を用いることができる。局所外れ値因子法を用いる場合には、あるオブジェクトの局所密度をその近傍群の局所密度と比較することにより、密度が同程度であるような領域と、周囲と比べて密度が有意に低い点(外れ値)を特定する処理を行う。また、テンプレートマッチングを行う場合には、例えば、楕円形状を含むマスクパターンを2次元平面上で平行移動、拡大縮小、変形及び回転させ、境界をなす楕円形状を特定する。この際、楕円の長軸の長さ、短軸の長さ、頂点座標、中心座標、焦点座標が境界データとなる。ただし、境界データ34fは、局所外れ値因子法又はテンプレートマッチング以外の周知技術により求めることもできる。境界をなす画素位置を特定できればよい。
【0038】
制御部35は、管理装置30の全体制御を行う制御部であり、学習処理部36、境界特定部37及び判定条件データ送信部38を有する。実際には、学習処理部36、境界特定部37及び判定条件データ送信部38に対応するプログラムを記憶部34などに記憶しておき、これらのプログラムをメモリにロードして、CPUで実行することで、対応するプロセスを実行させることになる。
【0039】
学習処理部36は、学習用画像とベースネットワーク34aを用いて教師無し学習を行うことにより、学習済モデル34dを生成する処理部である。
図3は、
図2に示した管理装置30による学習済モデルの生成の概要を説明するための説明図である。同図に示すように、良品パネル画像34bとファッション商品画像34cを学習用画像としてベースネットワーク34aに投入し、教師無し学習による深層距離学習を行うことにより、学習済モデル34dを生成する。これにより、良品パネル画像34bは特徴量の値が近づき、良品パネル画像34bとファッション商品画像34cの特徴量の値が離れるように重みが自動調整される。
【0040】
この深層距離学習は公知技術であり、(1)2サンプルを1組にして距離を学習するコントラスティブロス(contrastive loss)、(2)3サンプルを1組にして距離を学習するトリプレットロス(triplet loss)、(3)クラス分類にマージンの層を加えて距離を学習するクラス分類誤差などを用いることができる。
【0041】
境界特定部37は、例えば3000枚の良品パネル画像34bの2次元特徴量と、3000枚のワレ品パネル画像34eの2次元特徴量の境界を特定する処理部である。
図4は、
図2に示した管理装置30による境界データ抽出の概要を説明するための説明図であり、
図5は、2次元平面上の良品パネル画像34bの特徴量、ワレ品パネル画像34eの特徴量及び境界の一例を示す図である。
【0042】
図4に示すように、良品パネル画像34bとワレ品パネル画像34eを順次学習済モデル34dに入力したならば、学習済モデル34dから各画像に対応する高次元(3次元以上)の特徴量が出力される。
【0043】
境界特定部37は、各画像の特徴量(高次元)の次元圧縮処理を行って、2次元特徴量を算定する。そして、
図5(a)に示すように、2次元特徴量を2次元平面上に画像の種別が分かるようにプロットする。その後、
図5(b)に示すように、各良品パネル画像34bの2次元特徴量と、各ワレ品パネル画像34eの2次元特徴量の境界を特定する。ここでは、楕円形状を含むマスクパターンを2次元平面上で平行移動、拡大縮小、変形及び回転させ、境界をなす楕円形状を特定する。これにより、楕円の長軸の長さ、短軸の長さ、頂点座標、中心座標、焦点座標を含む境界データを抽出することができる。
【0044】
判定条件データ送信部38は、学習済モデル34d及び境界データを含む判定条件データを検査装置10及び検査装置20に送信する処理部である。
【0045】
<検査装置10の構成>
次に、
図1に示した検査装置10の構成を説明する。ここでは検査装置10の構成のみを説明するが、検査装置20の構成も同様のものとなる。
図6は、
図1に示した検査装置10の構成を示す機能ブロック図である。
図6に示すように、検査装置10は、カメラ11と接続され、操作部12、表示部13、報知部14、通信I/F部15、記憶部16及び制御部17を有する。
【0046】
カメラ11は、プレス生産ラインLの所定の位置を通過するパネルPの入力画像を撮像する撮像装置であり、CCD(Charge Coupled Device)等の半導体素子からなる。ここでは、カメラ11は、白黒濃淡画像を撮像することとするが、カラー画像であってもよい。
【0047】
操作部12は、各種の操作ボタンからなる操作部であり、表示部13は、液晶パネル等の表示デバイスである。報知部14は、例えば赤色光の発光、合成音の出力又はコマンド送信により、ワレ品パネルの存在を係員に報知する報知部である。通信I/F部15は、管理装置30と通信を行うためのインタフェース部である。
【0048】
記憶部16は、ハードディスク装置又は不揮発性メモリなどからなる記憶デバイスであり、学習済モデル16a、境界データ16b、良品判定結果16cを記憶する。学習済モデル16aは、管理装置30から送信された判定条件データに含まれる学習済モデルである。
【0049】
境界データ16bは、管理装置30から送信された判定条件データに含まれる境界データである。良品判定結果16cは、検査対象となるパネルPが良品パネルと判定したか、ワレ品パネルであると判定したかの判定結果を示す履歴データである。
【0050】
制御部17は、検査装置10の全体制御を行う制御部であり、特徴量抽出部17a、次元圧縮処理部17b、良品判定処理部17c及び報知制御部17dを有する。実際には、特徴量抽出部17a、次元圧縮処理部17b、良品判定処理部17c及び報知制御部17dに対応するプログラムを記憶部16などに記憶しておき、これらのプログラムをメモリにロードして、CPUで実行することで、対応するプロセスを実行させることになる。
【0051】
図7は、
図6に示した制御部17による制御の概要を説明するための説明図であり、
図8は、2次元平面を用いた良品判定、ワレ品判定の一例を示す図である。
図7及び
図8を参照して、制御部17の各機能部を説明する。
【0052】
特徴量抽出部17aは、カメラ11によりプレス生産ラインL上を搬送されるパネルPを撮像した入力画像の特徴量(3次元以上)を抽出する処理部である。具体的には、
図7に示すように、入力画像を学習済モデル16aに入力したならば、学習済モデル16aから入力画像に対応する特徴量(3次元以上)が出力される。
【0053】
次元圧縮処理部17bは、
図7に示すように、入力画像の高次元(3次元以上)の特徴量を次元圧縮して2次元特徴量を生成する処理部である。かかる次元圧縮の手法として、例えばUMAP(Uniform Manifold Approximation and Projection for Dimension Reduction)を用いることができる。UMAPは公知技術であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0054】
良品判定処理部17cは、入力画像の2次元特徴量と境界データを用いてパネルPが良品であるかワレ品であるかを判定する処理部である。具体的には、
図8(a)に示すように、入力画像の2次元特徴量が境界の範囲内である場合には「良品」であると判定し、
図8(b)に示すように、入力画像の2次元特徴量が境界の範囲外である場合には「ワレ品」であると判定する。
【0055】
報知制御部17dは、パネルPがワレ品であると判定された場合に、光、合成音又はコマンド送信で係員に報知する処理部である。
【0056】
<学習処理手順>
次に、
図2に示した管理装置30による境界情報の抽出手順について説明する。
図9は、
図2に示した管理装置30による学習済モデルの生成手順を示すフローチャートである。ここでは、記憶部34内にベースネットワーク34a、良品パネル画像34b及びファッション商品画像34cが記憶されているものとする。記憶部34に記憶される良品パネル画像34b及びファッション商品画像34cは、例えばそれぞれ3000枚あるものとする。また、ここでは2サンプルを1組にして距離を学習するコントラスティブロスによる深層距離学習を行う場合を示すこととする。なお、教師無し学習を行うため、正解データを入力する必要はない。
【0057】
図9に示すように、管理装置30は、記憶部34に記憶したベースネットワーク34aを読み込み(ステップS101)、深層距離学習の準備を行う。その後、記憶部34に記憶した良品パネル画像34bを読み込み(ステップS102)、記憶部34に記憶したファッション商品画像34cを読み込む(ステップS103)。
【0058】
その後、良品パネル画像34bとファッション商品画像34cとをベースネットワーク34aに入力し(ステップS104)、教師データを用いることなく距離学習(深層距離学習)を行う(ステップS105)。これにより、ベースネットワーク34a内の重みが修正される。
【0059】
ここで、他の良品パネル画像34bが記憶部34に存在する場合には(ステップS106;Yes)、ステップS102に移行して同様の処理を繰り返し、他の良品パネル画像34bが記憶部34に存在しない場合には(ステップS106;No)、処理を終了する。上記一連の処理を行うことにより、学習済モデル34dが生成されるため、この学習済モデル34dを記憶部34に記憶する。
【0060】
<境界データの抽出手順>
次に、
図2に示した管理装置30による境界データの抽出手順について説明する。
図10は、
図2に示した管理装置30による境界データの抽出手順を示すフローチャートである。ここでは、記憶部34内に良品パネル画像34b及びワレ品パネル画像34eが記憶されているものとする。記憶部34に記憶される良品パネル画像34b及びワレ品パネル画像34eは、例えば3000枚あるものとする。また、記憶部34から読み出された学習済モデル34dが主記憶メモリ上に記憶されているものとする。
【0061】
図10に示すように、管理装置30は、記憶部34に記憶された良品パネル画像34b又はワレ品パネル画像34eを読み込み(ステップS201)、主記憶メモリ上の学習済モデル34dに入力する(ステップS202)。これにより、学習済モデル34dから高次元(3次元以上)の特徴量が出力される(ステップS203)。
【0062】
その後、UMAP等を用いて特徴量を2次元特徴量に次元圧縮し(ステップS204)、主記憶メモリ上の2次元平面の座標位置に2次元特徴量をプロットする(ステップS205)。そして、未処理の良品パネル画像34b又はワレ品パネル画像34eが存在するならば(ステップS206;Yes)、ステップS210に移行して同様の処理を行う。
【0063】
これに対して、未処理の良品パネル画像34b及びワレ品パネル画像34eが存在しない場合には(ステップS206;No)、境界抽出処理を行う(ステップS207)。具体的には、楕円形状を含むマスクパターンを2次元平面上で平行移動、拡大縮小、変形及び回転させ、境界をなす楕円形状を特定し、楕円の長軸の長さ、短軸の長さ、頂点座標、中心座標、焦点座標を含む境界データ34fを記憶部34に記憶する。
【0064】
そして、記憶部34に記憶した学習済モデル34d及び境界データ34fを含む判定条件データを検査装置10及び検査装置20に送信する(ステップS208)。
【0065】
<判定手順>
次に、
図6に示した検査装置10による判定手順について説明する。なお、ここでは説明の便宜上その説明を省略するが、検査装置20も同様の判定手順となる。
図11は、
図6に示した検査装置10による判定手順を示すフローチャートである。ここでは、管理装置30から送信された判定条件データに含まれる学習済モデル及び境界データが記憶部16に記憶されているものとする。また、記憶部16から読み出された学習済モデル16a及び境界データ16bが主記憶メモリ上に記憶されているものとする。
【0066】
図11に示すように、検査装置10は、カメラ11によりプレス生産ラインLの所定の位置を通過するパネルPの入力画像を撮像したならば(ステップS301)、この入力画像を主記憶メモリ上の学習済モデル16aに入力する(ステップS302)。これにより、学習済モデル34dから入力画像に対応する高次元の特徴量が出力される(ステップS303)。
【0067】
検査装置10は、入力画像の特徴量(高次元)の次元圧縮処理を行って(ステップS304)、2次元特徴量を算定する。そして、主記憶メモリ上に設けた2次元平面上に入力画像の2次元特徴量をプロットする(ステップS305)。
【0068】
そして、
図8(a)に示したように、入力画像の2次元特徴量が境界内であるならば(ステップS306;Yes)、パネルPは良品であると判定する(ステップS307)。これに対して、
図8(b)に示したように、入力画像の2次元特徴量が境界外であるならば(ステップS306;No)、パネルPはワレ品であると判定し(ステップS308)、ワレ品が発生した旨を光、合成音又は係員の携帯端末へのコマンド送信により係員に報知する(ステップS309)。そして、所定の終了操作を受け付けない場合には(ステップS310;No)、ステップS301に移行して同様の処理を繰り返し、所定の終了操作を受け付けたならば(ステップS310;Yes)、処理を終了する。
【0069】
上述してきたように、本実施形態では、管理装置30は、学習用画像を用いた教師無し学習による深層距離学習により学習済モデル34dを生成するとともに、学習済モデル34dから出力される学習用画像の特徴量を次元圧縮した2次元特徴量に基づいて、2次元平面上の境界データ34fを生成し、学習済モデル及び境界データを含む判定条件データを検査装置10及び検査装置20に通知し、検査装置10は、学習済モデル16aから出力される入力画像の特徴量を次元圧縮した2次元特徴量と2次元平面上の境界データ16bとに基づいて、パネルPが良品であるかワレ品であるかを判定し、ワレ品である場合に係員に報知するよう構成したので、検査対象物であるパネルPのワレの有無を効率良く検査することができる。
【0070】
なお、上記の実施形態では、2台の検査装置10及び検査装置20を用いる場合を示したが、1台の検査装置のみを用いる場合、3台以上の検査装置を用いる場合も同様に構成することができる。また、上記の実施形態では、管理装置30において学習済モデルと境界データを生成する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、検査装置10において学習済モデルと境界データを生成することもできる。また、クラウド上で学習済モデルと境界データを生成することもできる。
【0071】
また、上記の実施形態では、2次元特徴量に次元圧縮する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、3次元以上の特徴量に次元圧縮することもできる。ただし、次元数が多くなればなるほど計算量は増加する。また、1次元の特徴量に次元圧縮することもできる。
【0072】
また、上記の実施形態では、楕円形状を用いて境界を求める場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、円、四角形、六角形等の任意の形状を用いて境界を求めることができる。また、境界をなす画素位置の座標位置の集合を境界データとすることもできる。
【0073】
また、上記の実施形態では、異常を報知する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、異常を報知せず、検査結果を異常割合算出等の演算などに使用する場合に適用することもできる。
【0074】
また、本実施形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の検査システム、管理装置、検査装置及び検査方法は、検査対象物の表面に顕在化した異常を効率良く検査する場合に有用である。
【符号の説明】
【0076】
L プレス生産ライン
P パネル
10,20 検査装置
11,21 カメラ
12 操作部
13 表示部
14 報知部
15 通信I/F部
16 記憶部
16a 学習済モデル
16b 境界データ
16c 良品判定結果
17 制御部
17a 特徴量抽出部
17b 次元圧縮処理部
17c 良品判定処理部
17d 報知制御部
30 管理装置
31 入力部
32 表示部
33 通信I/F部
34 記憶部
34a ベースネットワーク
34b 良品パネル画像
34c ファッション商品画像
34d 学習済モデル
34e ワレ品パネル画像
34f 境界データ
35 制御部
36 学習処理部
37 境界特定部
37a 特徴量抽出部
37b 次元圧縮処理部
37c 境界抽出部
38 判定条件データ送信部