(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104311
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】太陽電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0224 20060101AFI20230721BHJP
H01L 31/0747 20120101ALI20230721BHJP
H01L 21/288 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
H01L31/04 260
H01L31/06 455
H01L21/288 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005220
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】藤本 貴久
【テーマコード(参考)】
4M104
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104AA07
4M104AA08
4M104BB04
4M104BB05
4M104BB08
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5F151AA02
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5F251HA03
(57)【要約】
【課題】製造プロセスの簡略化を図りつつ、太陽電池の性能向上が可能な太陽電池の製造方法を提供する。
【解決手段】太陽電池の製造方法は、下地層29l,39lの材料膜を形成する工程と、第1領域7と第2領域8との境界における下地層の材料膜上にレジストを形成する工程と、レジストをマスクとして利用するめっき法を用いて、パターン化されためっき層29u,39uを形成する工程と、めっき層および下地層の材料膜を加熱するアニール工程と、レジストを除去する工程と、めっき層をマスクとして利用するエッチング法を用いて、パターン化された下地層29l,39lを形成する工程と、をこの順で含む。アニール工程では、めっき層の露出表面に酸化膜が形成され、下地層形成工程では、めっき層の露出表面に形成された酸化膜が除去される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、前記半導体基板の一方主面側の一部である第1領域に順に積層された第1導電型半導体層および第1金属電極層と、前記半導体基板の前記一方主面側の他の一部である第2領域に順に積層された第2導電型半導体層および第2金属電極層とを備える裏面電極型の太陽電池の製造方法であって、
前記第1金属電極層および前記第2金属電極層の各々は、下地層とめっき層とを有し、
前記太陽電池の製造方法は、
前記半導体基板の前記一方主面側の前記第1導電型半導体層および前記第2導電型半導体層の上に、前記第1領域および前記第2領域に跨って一連の前記下地層の材料膜を形成する下地層材料膜形成工程と、
前記第1領域と前記第2領域との境界における前記下地層の材料膜の上にレジストを形成するレジスト形成工程と、
前記レジストをマスクとして利用するめっき法を用いて、前記第1領域および前記第2領域の各々における前記下地層の材料膜の上に、パターン化された前記めっき層を形成するめっき層形成工程と、
前記めっき層および前記下地層の材料膜を加熱するアニール工程と、
前記レジストを除去するレジスト除去工程と、
前記めっき層をマスクとして利用するエッチング法を用いて、前記下地層の材料膜をエッチングすることにより、前記第1領域および前記第2領域の各々に、パターン化された前記下地層を形成する下地層形成工程と、
をこの順で含み、
前記アニール工程では、前記めっき層の露出表面に酸化膜が形成され、
前記下地層形成工程では、前記めっき層の露出表面に形成された前記酸化膜が除去される、
太陽電池の製造方法。
【請求項2】
前記レジスト形成工程では、パターン印刷法を用いて、樹脂材料および溶媒を含む印刷材料を印刷して硬化させて、パターン化された前記レジストを形成する、
請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項3】
前記アニール工程における加熱温度は、前記レジスト形成工程における硬化時の温度よりも高い、請求項2に記載の太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面電極型の太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池として、裏面側のみに電極が形成された裏面電極型(バックコンタクト型、裏面接合型ともいう。)の太陽電池が知られている。このような太陽電池は、半導体基板と、半導体基板の裏面側に順に積層された第1導電型半導体層および第1電極層と、半導体基板の裏面側の他の一部に順に積層された第2導電型半導体層および第2電極層とを備える。第1電極層と第2電極層とは、金属電極層を含み、短絡を防止するために互いに分離される。
【0003】
特許文献1には、レジストをマスクとして用いるめっき法を用いて金属電極層を形成する製造プロセスが開示されている。この製造プロセスでは、
・裏面全面に形成された下地層(シード層)上の、電極層分離箇所にレジストを形成し、
・その後、レジストをマスクとして分離されためっき層を形成し、
・その後、レジストを除去し、電極層分離箇所の下地層をエッチングする。
これにより、下地層とめっき層とからなる分離された金属電極層を形成する。このように、めっき法を用いて金属電極層を形成する製造プロセスによれば、太陽電池の製造プロセスの簡略化が可能である。
【0004】
一方、特許文献2には、めっき層の結晶化の促進を目的として、めっき層を加熱する技術が開示されている。このように、めっき層を加熱することにより、めっき層の結晶化が促進し、めっき層の低抵抗化が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2019/139020号
【特許文献2】特開平6-295662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載のめっき層の結晶化の技術を、特許文献1に記載の太陽電池の製造プロセスに適用して、金属電極層(めっき層および下地層)の低抵抗化を図り、太陽電池の出力向上、すなわち太陽電池の性能向上を図ることが考えられる。
【0007】
しかし、例えば、特許文献1に記載の太陽電池の製造プロセスの最後に、特許文献2に記載のめっき層の結晶化の技術を適用すると、加熱工程(アニール工程)において、金属電極層(めっき層および下地層)の露出表面が酸化され、金属電極層の露出表面に酸化膜が形成されてしまう。そのため、金属電極層と配線部材とのコンタクト抵抗が増大し、太陽電池の出力低下、すなわち太陽電池の性能低下が生じてしまう。すると、金属電極層と配線部材とのコンタクト抵抗の増大による太陽電池の性能低下によって、金属電極層の低抵抗化による太陽電池の性能向上の効果が低減してしまう。
【0008】
本発明は、製造プロセスの簡略化を図りつつ、太陽電池の性能向上が可能な太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る太陽電池の製造方法は、半導体基板と、前記半導体基板の一方主面側の一部である第1領域に順に積層された第1導電型半導体層および第1金属電極層と、前記半導体基板の前記一方主面側の他の一部である第2領域に順に積層された第2導電型半導体層および第2金属電極層とを備える裏面電極型の太陽電池の製造方法であって、前記第1金属電極層および前記第2金属電極層の各々は、下地層とめっき層とを有し、前記太陽電池の製造方法は、前記半導体基板の前記一方主面側の前記第1導電型半導体層および前記第2導電型半導体層の上に、前記第1領域および前記第2領域に跨って一連の前記下地層の材料膜を形成する下地層材料膜形成工程と、前記第1領域と前記第2領域との境界における前記下地層の材料膜の上にレジストを形成するレジスト形成工程と、前記レジストをマスクとして利用するめっき法を用いて、前記第1領域および前記第2領域の各々における前記下地層の材料膜の上に、パターン化された前記めっき層を形成するめっき層形成工程と、前記めっき層および前記下地層の材料膜を加熱するアニール工程と、前記レジストを除去するレジスト除去工程と、前記めっき層をマスクとして利用するエッチング法を用いて、前記下地層の材料膜をエッチングすることにより、前記第1領域および前記第2領域の各々に、パターン化された前記下地層を形成する下地層形成工程と、をこの順で含む。前記アニール工程では、前記めっき層の露出表面に酸化膜が形成され、前記下地層形成工程では、前記めっき層の露出表面に形成された前記酸化膜が除去される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、製造プロセスの簡略化を図りつつ、太陽電池の性能向上が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る太陽電池を裏面側からみた図である。
【
図2】
図1に示す太陽電池におけるII-II線断面図である。
【
図3】
図2に示す太陽電池における部分IIIの一例の拡大断面図である。
【
図4A】本実施形態に係る太陽電池の製造方法における半導体層形成工程を示す図である。
【
図4B】本実施形態に係る太陽電池の製造方法における透明電極層材料膜形成工程および金属電極層の下地層材料膜形成工程を示す図である。
【
図4C】本実施形態に係る太陽電池の製造方法におけるレジスト形成工程を示す図である。
【
図4D】本実施形態に係る太陽電池の製造方法における金属電極層のめっき層形成工程を示す図である。
【
図4E】本実施形態に係る太陽電池の製造方法におけるアニール工程を示す図である。
【
図4F】本実施形態に係る太陽電池の製造方法におけるレジスト除去工程を示す図である。
【
図4G】本実施形態に係る太陽電池の製造方法における透明電極層形成工程および金属電極層の下地層形成工程を示す図である。
【
図5】
図4Cおよび
図4Dに示す太陽電池の製造方法におけるレジスト形成工程および金属電極層のめっき層形成工程における部分Vの一例の拡大断面図である。
【
図6】比較例に係る太陽電池の製造方法であって、製造プロセスの最後に行うアニール工程の一例の断面図であって、
図1に示すII-II線相当の断面図である。
【
図7A】
図3に示す本実施形態に係る太陽電池の一例の部分拡大断面図であって、
図2に示す部分III相当の拡大断面図である。
【
図7B】本実施形態の変形例に係る太陽電池の一例の部分拡大断面図であって、
図2に示す部分III相当の拡大断面図である。
【
図7C】本実施形態の変形例に係る太陽電池の一例の部分拡大断面図であって、
図2に示す部分III相当の拡大断面図である。
【
図7D】本実施形態の変形例に係る太陽電池の一例の部分拡大断面図であって、
図2に示す部分III相当の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。また、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。
【0013】
(太陽電池)
図1は、本実施形態に係る太陽電池を裏面側からみた図であり、
図2は、
図1に示す太陽電池におけるII-II線断面図である。
図1および
図2に示す太陽電池1は、裏面電極型(バックコンタクト型、裏面接合型ともいう。)であってヘテロ接合型の太陽電池である。
【0014】
太陽電池1は、2つの主面を備える半導体基板11を備え、半導体基板11の主面において第1領域7と第2領域8とを有する。以下では、半導体基板11の主面のうちの受光する側の主面を受光面とし、半導体基板11の主面のうちの受光面の反対側の主面(一方主面)を裏面とする。
【0015】
第1領域7は、いわゆる櫛型の形状をなし、櫛歯に相当する複数のフィンガー部7fと、櫛歯の支持部に相当するバスバー部7bとを有する。バスバー部7bは、半導体基板11の一方の辺部に沿って第1方向(X方向)に延在し、フィンガー部7fは、バスバー部7bから、第1方向に交差する第2方向(Y方向)に延在する。
【0016】
同様に、第2領域8は、いわゆる櫛型の形状であり、櫛歯に相当する複数のフィンガー部8fと、櫛歯の支持部に相当するバスバー部8bとを有する。バスバー部8bは、半導体基板11の一方の辺部に対向する他方の辺部に沿って第1方向(X方向)に延在し、フィンガー部8fは、バスバー部8bから、第2方向(Y方向)に延在する。
【0017】
フィンガー部7fとフィンガー部8fとは、第2方向(Y方向)に延在する帯状をなしており、第1方向(X方向)に交互に設けられている。なお、第1領域7および第2領域8は、ストライプ状に形成されてもよい。
【0018】
図2に示すように、太陽電池1は、半導体基板11の受光面側に順に積層されたパッシベーション層13および光学調整層15を備える。また、太陽電池1は、半導体基板11の裏面側の一部(第1領域7)に順に積層されたパッシベーション層23、第1導電型半導体層25および第1電極層27を備える。また、太陽電池1は、半導体基板11の裏面側の他の一部(第2領域8)に順に積層されたパッシベーション層33、第2導電型半導体層35および第2電極層37を備える。
【0019】
半導体基板11は、単結晶シリコンまたは多結晶シリコン等の結晶シリコン材料で形成される。半導体基板11は、例えば結晶シリコン材料にn型ドーパントがドープされたn型の半導体基板である。なお、半導体基板11は、例えば結晶シリコン材料にp型ドーパントがドープされたp型の半導体基板であってもよい。n型ドーパントとしては、例えばリン(P)が挙げられる。p型ドーパントとしては、例えばホウ素(B)が挙げられる。半導体基板11は、受光面側からの入射光を吸収して光キャリア(電子および正孔)を生成する光電変換基板として機能する。
【0020】
半導体基板11の材料として結晶シリコンが用いられることにより、暗電流が比較的に小さく、入射光の強度が低い場合であっても比較的高出力(照度によらず安定した出力)が得られる。
【0021】
半導体基板11は、裏面側に、テクスチャ構造と呼ばれるピラミッド型の微細な凹凸構造を有していてもよい。これにより、半導体基板11に吸収されず通過してしまった光の回収効率が高まる。
【0022】
また、半導体基板11は、受光面側に、テクスチャ構造と呼ばれるピラミッド型の微細な凹凸構造を有していてもよい。これにより、受光面において入射光の反射が低減し、半導体基板11における光閉じ込め効果が向上する。
【0023】
パッシベーション層13は、半導体基板11の受光面側に形成されている。パッシベーション層23は、半導体基板11の裏面側の第1領域7に形成されている。パッシベーション層33は、半導体基板11の裏面側の第2領域8に形成されている。パッシベーション層13,23,33は、例えば真性(i型)アモルファスシリコン材料を主成分とする材料で形成される。パッシベーション層13,23,33は、半導体基板11で生成されたキャリアの再結合を抑制し、キャリアの回収効率を高める。
【0024】
光学調整層15は、半導体基板11の受光面側のパッシベーション層13上に形成されている。光学調整層15は、入射光の反射を防止する反射防止層として機能するとともに、半導体基板11の受光面側およびパッシベーション層13を保護する保護層として機能する。光学調整層15は、例えば酸化珪素(SiO)、窒化珪素(SiN)、または酸窒化珪素(SiON)のようなそれらの複合物等の絶縁体材料で形成される。
【0025】
第1導電型半導体層25は、パッシベーション層23上に、すなわち半導体基板11の裏面側の第1領域7に形成されている。一方、第2導電型半導体層35は、パッシベーション層33上に、すなわち半導体基板11の裏面側の第2領域8に形成されている。すなわち、第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35は、帯状の形状をなし、Y方向に延在する。第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35とは、X方向に交互に並んでいる。第2導電型半導体層35の一部は、隣接する第1導電型半導体層25の一部の上に重なっていてもよい(図示省略)。
【0026】
第1導電型半導体層25は、例えばアモルファスシリコン材料で形成される。第1導電型半導体層25は、例えばアモルファスシリコン材料にp型ドーパント(例えば、上述したホウ素(B))がドープされたp型の半導体層である。
【0027】
第2導電型半導体層35は、例えばアモルファスシリコン材料で形成される。第2導電型半導体層35は、例えばアモルファスシリコン材料にn型ドーパント(例えば、上述したリン(P))がドープされたn型の半導体層である。なお、第1導電型半導体層25がn型の半導体層であり、第2導電型半導体層35がp型の半導体層であってもよい。
【0028】
第1電極層27は、第1導電型半導体層25上に、すなわち半導体基板11の裏面側の第1領域7に形成されている。一方、第2電極層37は、第2導電型半導体層35上に、すなわち半導体基板11の裏面側の第2領域8に形成されている。すなわち、第1電極層27および第2電極層37は、帯状の形状をなし、Y方向に延在する。第1電極層27と第2電極層37とは、X方向に交互に設けられている。
【0029】
第1電極層27は、第1導電型半導体層25上に順に積層された第1透明電極層28および第1金属電極層29を有する。一方、第2電極層37は、第2導電型半導体層35上に順に積層された第2透明電極層38および第2金属電極層39を有する。第1金属電極層29は、下地層29lとめっき層29uとの2層構造であり、第2金属電極層39は、下地層39lとめっき層39uとの2層構造である。
【0030】
第1透明電極層28および第2透明電極層38は、透明な導電性材料で形成される。透明導電性材料としては、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムおよび酸化スズの複合酸化物)、ZnO(Zinc Oxide:酸化亜鉛)等が挙げられる。
【0031】
第1金属電極層29における下地層29lおよび第2金属電極層39における下地層39lは、例えばスパッタリング等のPVD法を用いて形成された銀、銅、アルミニウム等の金属材料を含む。一方、第1金属電極層29におけるめっき層29uおよび第2金属電極層39におけるめっき層39uは、例えばめっき法を用いて形成された銀、銅、ニッケル等の金属材料を含む。
【0032】
第1電極層27および第2電極層37は、第2方向(Y方向)に延在する帯状をなしており、第1方向(X方向)に交互に並んでいる。すなわち、第1透明電極層28および第2透明電極層38は、第2方向(Y方向)に延在する帯状をなしており、第1方向(X方向)に交互に並んでいる。また、第1金属電極層29および第2金属電極層39は、第2方向(Y方向)に延在する帯状をなしており、第1方向(X方向)に交互に並んでいる。第1透明電極層28と第2透明電極層38とは互いに分離されており、第1金属電極層29と第2金属電極層39とも互いに分離されている。
【0033】
図3は、
図2に示す太陽電池における部分IIIの一例の拡大断面図である。後述するように、第1金属電極層29におけるめっき層29uおよび第2金属電極層39におけるめっき層39uを形成する際のレジストとして、パターン印刷レジストを用いる場合、
図3に示すような構造となってもよい。
【0034】
図3に示すように、第1金属電極層29における下地層29lとめっき層29uとの間における、少なくとも第1領域7と第2領域8との境界側の端部には、樹脂膜41が偏在していてもよい。
【0035】
詳説すれば、下地層29lは、比較的に薄く、半導体基板11の凹凸構造(テクスチャ構造)に応じた凹凸構造を有している。樹脂膜41は、下地層29lの少なくとも端部における凹凸構造の谷部とめっき層29uとの間に介在している。樹脂膜41は、海島構造の海状に(すなわち連続して)形成されていてもよいし、海島構造の島状に(すなわち連続せずに)形成されていてもよい。下地層29lの少なくとも端部における凹凸構造の谷部は、樹脂膜41によって平坦化されていると好ましい。
【0036】
一方、下地層29lの少なくとも端部における凹凸構造の山部は、めっき層29uと接している。また、下地層29lの端部以外における凹凸構造の谷部および山部は、めっき層29uと接している。
【0037】
同様に、第2金属電極層39における下地層39lとめっき層39uとの間における、少なくとも第1領域7と第2領域8との境界側の端部には、樹脂膜41が偏在していてもよい。
【0038】
詳説すれば、下地層39lは、比較的に薄く、半導体基板11の凹凸構造(テクスチャ構造)に応じた凹凸構造を有している。樹脂膜41は、下地層39lの少なくとも端部における凹凸構造の谷部とめっき層39uとの間に介在している。樹脂膜41は、海島構造の海状に(すなわち連続して)形成されていてもよいし、海島構造の島状に(すなわち連続せずに)形成されていてもよい。下地層39lの少なくとも端部における凹凸構造の谷部は、樹脂膜41によって平坦化されていると好ましい。
【0039】
一方、下地層39lの少なくとも端部における凹凸構造の山部は、めっき層39uと接している。また、下地層39lの端部以外における凹凸構造の谷部および山部は、めっき層39uと接している。
【0040】
(太陽電池の製造方法)
次に、
図4A~
図4Gを参照して、本実施形態に係る太陽電池の製造方法について説明する。
図4Aは、本実施形態に係る太陽電池の製造方法における半導体層形成工程を示す図であり、
図4Bは、本実施形態に係る太陽電池の製造方法における透明電極層材料膜形成工程および金属電極層の下地層材料膜形成工程を示す図である。また、
図4Cは、本実施形態に係る太陽電池の製造方法におけるレジスト形成工程を示す図であり、
図4Dは、本実施形態に係る太陽電池の製造方法における金属電極層のめっき層形成工程を示す図である。また、
図4Eは、本実施形態に係る太陽電池の製造方法におけるアニール工程を示す図であり、
図4Fは、本実施形態に係る太陽電池の製造方法におけるレジスト除去工程を示す図である。また、
図4Gは、本実施形態に係る太陽電池の製造方法における透明電極層形成工程および金属電極層の下地層形成工程を示す図である。
図4A~
図4Gでは、半導体基板11の裏面側を示し、半導体基板11の表面側を省略する。
【0041】
まず、
図4Aに示すように、半導体基板11の裏面側の一部に、具体的には第1領域7に、パッシベーション層23および第1導電型半導体層25を形成する(半導体層形成工程)。例えば、CVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側の全てにパッシベーション層材料膜および第1導電型半導体層材料膜を製膜した後、フォトリソグラフィ技術または印刷技術を用いて生成するレジスト、またはメタルマスク、を利用したエッチング法を用いて、パッシベーション層23および第1導電型半導体層25をパターニングしてもよい。
【0042】
なお、p型半導体層材料膜に対するエッチング溶液としては、例えばオゾンを含有するフッ酸、または硝酸とフッ酸の混合液のような酸性溶液が挙げられ、n型半導体層材料膜に対するエッチング溶液としては、例えば水酸化カリウム水溶液のようなアルカリ性溶液が挙げられる。
【0043】
または、CVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側にパッシベーション層および第1導電型半導体層を積層する際に、マスクを用いて、パッシベーション層23および第1導電型半導体層25の製膜およびパターニングを同時に行ってもよい。
【0044】
次に、半導体基板11の裏面側の他の一部に、具体的には第2領域8に、パッシベーション層33および第2導電型半導体層35を形成する(半導体層形成工程)。例えば、上述同様に、CVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側の全てにパッシベーション層材料膜および第2導電型半導体層材料膜を製膜した後、フォトリソグラフィ技術または印刷技術を用いて生成するレジスト、またはメタルマスク、を利用したエッチング法を用いて、パッシベーション層33および第2導電型半導体層35をパターニングしてもよい。
【0045】
または、CVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側にパッシベーション層および第2導電型半導体層を積層する際に、マスクを用いて、パッシベーション層33および第2導電型半導体層35の製膜およびパターニングを同時に行ってもよい。
【0046】
なお、この半導体層形成工程において、半導体基板11の受光面側の全面に、パッシベーション層13を形成してもよい(図示省略)。
【0047】
次に、
図4Bに示すように、第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35上に、第1領域7および第2領域8に跨って一連の透明電極層材料膜28Zを形成する(透明電極層材料膜形成工程)。透明電極層材料膜28Zの形成方法としては、例えばCVD法またはPVD法等が用いられる。
【0048】
次に、透明電極層材料膜28Z上に、すなわち第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35上に、第1領域7および第2領域8に跨って一連の下地層材料膜29lZを形成する(下地層材料膜形成工程)。下地層材料膜29lZの形成方法としては、例えばスパッタリング等のPVD法が用いられる。
【0049】
次に、
図4Cに示すように、第1領域7と第2領域8との境界における下地層材料膜29lZ上に、レジスト40を形成する(レジスト形成工程)。レジスト40の形成方法としては、特に限定されないが、例えばフォトリソグラフィ法または印刷法が挙げられる。これらの中でも、製造プロセスの簡略化の観点で、印刷法が好ましい。特に、スクリーン印刷またはグラビア印刷のようなプレス印刷、またはインクジェット印刷のような吐出印刷等のパターン印刷法が好ましい。
【0050】
パターン印刷法では、樹脂材料および溶媒を含む印刷材料を印刷して焼成(硬化)することにより、パターン化されたレジスト40を形成する。レジストの焼成時(硬化時)の温度としては、例えば80℃以上140℃以下である。このとき、
図5に示すように、印刷材料における樹脂材料が染み出してなる樹脂膜41が、下地層材料膜29lZの凹凸構造(テクスチャ構造)の谷部に形成される。
【0051】
樹脂膜41は、
図5に示すように、レジスト40の間、すなわち第1領域7および第2領域8の全てにおける凹凸構造の谷部に形成されてもよいし、
図3に示すように、レジスト40の間における、第1領域7と第2領域8との境界側の端部に凹凸構造の谷部に形成されてもよい。
【0052】
次に、
図4Dに示すように、レジスト40をマスクとして利用するめっき法を用いて、第1領域7における下地層材料膜29lZ上に、パターン化されためっき層29uを形成し、第2領域8における下地層材料膜29lZ上に、パターン化されためっき層39uを形成する(めっき金属電極層形成工程)。なお、レジスト40がパターン印刷レジストである場合、
図5に示すように、めっき層29uが、下地層材料膜29lZの少なくとも端部における凹凸構造の谷部における樹脂膜41の上、および、下地層材料膜29lZにおける凹凸構造の山部の上、に形成される。
【0053】
次に、
図4Eに示すように、大気雰囲気下で、半導体基板11を加熱することによって、めっき層29u,39uおよび下地層材料膜29lZを加熱するアニールを行う(アニール工程)。これにより、めっき層29u,39uおよび下地層材料膜29lZ(すなわち、下地層29l,39l)の結晶化が促進される。アニール工程における加熱温度は、上述したレジスト形成工程におけるレジストの焼成時(硬化時)の温度よりも高いことが好ましい。例えば、加熱温度は、110℃以上250℃以下であると好ましく、130℃以上200℃以下であるとより好ましく、140℃以上170℃以下であると更に好ましい。加熱温度が110℃未満であると、アニール効果が十分に得られない。一方、加熱温度が250℃を超えると、アモルファスシリコンの膜質が低下する可能性があり、また、後述するレジスト除去工程においてレジストの剥離性が低下する可能性がある。このとき、めっき層29u,39uの露出表面が酸化され、めっき層29u,39uの露出表面に酸化膜29Oが形成される。
【0054】
次に、
図4Fに示すように、レジスト40を除去する(レジスト除去工程)。レジスト除去溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性水溶液が用いられる。
【0055】
次に、
図4Gに示すように、めっき層29uおよびめっき層39uをマスクとして利用するエッチング法を用いて、下地層材料膜29lZおよび透明電極層材料膜28Zをエッチングすることにより、第1領域7に、パターン化された第1透明電極層28および下地層29lを形成し、第2領域8に、パターン化された第2透明電極層38および下地層39lを形成する(透明電極層形成工程、および、下地層形成工程)。このとき、めっき層29u,39uの露出表面に形成された酸化膜29Oが除去される。これにより、下地層29lとめっき層29uとからなる第1金属電極層29、および、下地層39lとめっき層39uとからなる第2金属電極層39が形成される。また、第1透明電極層28と第1金属電極層29とからなる第1電極層27、および、第2透明電極層38および第2金属電極層39とからなる第2電極層37が形成される。
【0056】
下地層材料膜29lZおよび透明電極層材料膜28Zの同時エッチングのエッチング溶液としては、例えば透明電極層材料膜28ZがITOで下地層材料膜29lZが銅である場合には、過硫酸アンモニウム(過硫安)等の酸化剤と塩酸(HCl)等の酸性溶液との混合溶液が挙げられる。
【0057】
その後、半導体基板11の受光面側の全面に、光学調整層15を形成する(図示省略)。以上の工程により、
図1および
図2に示す本実施形態の裏面電極型の太陽電池1が得られる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の太陽電池の製造方法によれば、めっき法を用いて金属電極層29,39におけるめっき層29u,39uを形成する。更には、レジスト40をマスクとして用いるめっき法を用いて、直接に(製膜とパターニングとを同時に行い)、金属電極層29,39におけるめっき層29u,39uを形成する。これにより、太陽電池の製造プロセスの簡略化および低コスト化が可能である。
【0059】
また、本実施形態の太陽電池の製造方法によれば、めっき法において、パターン印刷法を用いて、樹脂材料および溶媒を含む印刷材料を印刷して焼成(硬化)することにより、直接に(製膜とパターニングとを同時に行い)、パターン化されたレジスト40を形成してもよい。これにより、例えばフォトリソグラフィ技術を用いたレジスト形成と比較して、レジスト形成の簡略化および低コスト化が可能である。そのため、太陽電池の製造プロセスの簡略化および低コスト化が可能である。
【0060】
また、本実施形態の太陽電池の製造方法によれば、金属電極層29,39の材料として、比較的に高価な公知のAgペーストに代えて、比較的に安価な金属、例えばCuを用いてもよい。これにより、太陽電池の低コスト化が可能である。
【0061】
更に、本実施形態の太陽電池の製造方法によれば、アニール工程によって、金属電極層29,39(めっき層29u,39uおよび下地層29l,39l)の結晶化が促進されるため、電極層27,37の低抵抗化が可能となり、太陽電池1の出力向上、すなわち太陽電池1の性能向上が可能となる。
【0062】
ところで、金属電極層(めっき層および下地層)の結晶化が目的であれば、一般には、アニール工程は、製造プロセスの最後、すなわち下地層のエッチング工程後に行われることが考えられる。しかし、アニール工程が下地層のエッチング工程後に行われると、
図6に示すように、アニール工程において、金属電極層29,39(めっき層29u,39uおよび下地層29l,39l)の露出表面が酸化され、金属電極層29,39の露出表面に酸化膜29Oが形成されてしまう。そのため、電極層27,37と配線部材とのコンタクト抵抗が増大し、太陽電池1の出力低下、すなわち太陽電池1の性能低下が生じてしまう。すると、電極層27,37と配線部材とのコンタクト抵抗の増大による太陽電池1の性能低下によって、電極層27,37の低抵抗化による太陽電池1の性能向上の効果が低減してしまう(問題点1)。
【0063】
また、下地層のエッチング工程後では、第1領域7と第2領域8との境界領域において半導体層25(23),35(33)が露出している。そのため、アニール工程が下地層のエッチング工程後に行われると、
図6に示すように、アニール工程において、金属電極層29,39を構成するCuが半導体層25(23),35(33)および半導体基板11に拡散してしまう。Cuが半導体層25(23),35(33)および半導体基板11に拡散すると、太陽電池1の光電変換特性の低下、すなわち太陽電池1の信頼性の低下が生じてしまう(問題点2)。
【0064】
上述した問題点1に関し、本実施形態の太陽電池の製造方法によれば、アニール工程が下地層のエッチング工程前に行われるため、アニール工程において、金属電極層29,39(めっき層29u,39uおよび下地層29l,39l)の露出表面が酸化されて、金属電極層29,39の露出表面に酸化膜29Oが形成されても(
図4F)、その後の下地層のエッチング工程において、金属電極層29,39の露出表面の酸化膜29Oが除去される(
図4G)。そのため、金属電極層29,39の露出表面の酸化膜29Oに起因して、電極層27,37と配線部材とのコンタクト抵抗が増大することがなく、太陽電池1の出力低下、すなわち太陽電池1の性能低下が生じることがない。したがって、電極層27,37の低抵抗化による太陽電池1の性能向上の効果が低減することがない。
【0065】
上述した問題点2に関し、本実施形態の太陽電池の製造方法によれば、アニール工程が下地層のエッチング工程前に行われるため、すなわち、第1領域7と第2領域8との境界領域において半導体層25(23),35(33)が露出していない下地層のエッチング工程前にアニール工程が行われるため(
図4F)、アニール工程において、金属電極層29,39を構成するCuが拡散しても、半導体層25(23),35(33)および半導体基板11には拡散されない。したがって、Cuの拡散に起因して、太陽電池1の光電変換特性の低下、すなわち太陽電池1の信頼性の低下が生じることがない。
【0066】
また、本実施形態の太陽電池の製造方法によれば、アニール工程においてめっき層29u,39uの結晶化が促進されるため、その後の下地層のエッチング工程において、めっき層29u,39uがエッチングされ難くなり、マスクとした好適に機能する。
【0067】
更に、本実施形態の太陽電池の製造方法によれば、アニール工程がレジスト剥離工程前に行われるため、アニール工程において、めっき層29u,39uの結晶化の促進により半導体基板が反ることを(例えば、
図4Eにおいて上に凸の弧状)、めっき層29u,39uの間に存在するレジスト40によって抑制することができる。これにより、後の下地層のエッチング工程において、薬液処理のためのカセットに半導体基板をセットし易くする。
【0068】
また、アニール工程において、下地層29l,39lがレジスト40の覆われ酸化されないため(
図4E)、後の下地層のエッチング工程において、均一なエッチングを行うことができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更および変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、
図3に示すように、第1金属電極層29における下地層29lとめっき層29uとの間、および、第2金属電極層39における下地層39lとめっき層39uとの間であって、凹凸構造の谷部に、樹脂膜41が偏在している太陽電池を例示した。しかし、本発明はこれに限定されず、太陽電池の製造プロセスにおけるエッチング度合いによって、様々な形態の太陽電池が考えられる。ここで、以下に説明する太陽電池の比較例との比較のために、
図3に示す本実施形態に係る太陽電池の一例の部分拡大断面図であって、
図2に示す部分IIIの拡大断面図を、
図7Aに示し直す。
図7Aでは、
図3において、第1導電型半導体層25とパッシベーション層23とを纏めて示す。
図7B~
図7Dは、本実施形態の変形例に係る太陽電池の一例の部分拡大断面図であって、
図2に示す部分III相当の拡大断面図である。
【0070】
図7Bに示すように、太陽電池1では、第1金属電極層29における下地層29lとめっき層29uとの間、および、第2金属電極層39における下地層39lとめっき層39uとの間であって、凹凸構造の谷部に偏在していた樹脂膜41がエッチングされて除去されていてもよい。例えば、上述したレジスト除去工程において、樹脂膜41がエッチングされて除去される。
【0071】
これにより、太陽電池1では、第1金属電極層29における、少なくとも第1領域7と第2領域8との境界側の端部において、凹凸構造の谷部におけるめっき層29uの下には、空間が存在していてもよい。より詳説すれば、第1金属電極層29の少なくとも端部において、凹凸構造の谷部におけるめっき層29uの下には、下地層29lが存在しており、凹凸構造の谷部における下地層29lとめっき層29uとの間には、樹脂膜41が介在せず、空間が介在していてもよい。
【0072】
同様に、太陽電池1では、第2金属電極層39における、少なくとも第1領域7と第2領域8との境界側の端部において、凹凸構造の谷部におけるめっき層39uの下には、空間が存在していてもよい。より詳説すれば、第2金属電極層39の少なくとも端部において、凹凸構造の谷部におけるめっき層39uの下には、下地層39lが存在しており、凹凸構造の谷部における下地層39lとめっき層39uとの間には、樹脂膜41が介在せず、空間が介在していてもよい。
【0073】
或いは、
図7Cに示すように、太陽電池1では、更に、下地層29l,39lがエッチングされて除去されていてもよく、更に、透明電極層28,38がエッチングされて除去されていてもよい。例えば、上述した透明電極層形成工程および下地層形成工程において、下地層29l,39lおよび透明電極層28,38がエッチングされて除去される。
【0074】
これにより、太陽電池1では、第1金属電極層29の少なくとも端部において、凹凸構造の谷部におけるめっき層29uの下には、樹脂膜41および下地層29lが存在せず、空間が存在してもよい。或いは、太陽電池1では、第1金属電極層29の少なくとも端部において、凹凸構造の谷部におけるめっき層29uの下には、樹脂膜41、下地層29lおよび透明電極層28が存在せず、空間が存在してもよい。
【0075】
同様に、太陽電池1では、第2金属電極層39の少なくとも端部において、凹凸構造の谷部におけるめっき層39uの下には、樹脂膜41および下地層39lが存在せず、空間が存在してもよい。或いは、太陽電池1では、第2金属電極層39の少なくとも端部において、凹凸構造の谷部におけるめっき層39uの下には、樹脂膜41、下地層39lおよび透明電極層38が存在せず、空間が存在してもよい。
【0076】
或いは、
図7Dに示すように、太陽電池1では、第1金属電極層29における下地層29lとめっき層29uとの間、および、第2金属電極層39における下地層39lとめっき層39uとの間であって、凹凸構造の谷部に偏在していた樹脂膜41はエッチングされずに残り、下地層29l,39lがエッチングされて除去されていてもよく、更に、透明電極層28,38がエッチングされて除去されていてもよい。上述したように、例えば、上述した透明電極層形成工程および下地層形成工程において、下地層29l,39lおよび透明電極層28,38がエッチングされて除去される。
【0077】
これにより、太陽電池1では、第1金属電極層29の少なくとも端部において、凹凸構造の谷部におけるめっき層29uの下には、樹脂膜41が存在しており、下地層29lが存在せず、凹凸構造の谷部における樹脂膜41の下には、空間が存在していてもよい。或いは、太陽電池1では、第1金属電極層29の少なくとも端部において、凹凸構造の谷部におけるめっき層29uの下には、樹脂膜41が存在しており、下地層29lおよび透明電極層28が存在せず、凹凸構造の谷部における樹脂膜41の下には、空間が存在していてもよい。
【0078】
同様に、太陽電池1では、第2金属電極層39の少なくとも端部において、凹凸構造の谷部におけるめっき層39uの下には、樹脂膜41が存在しており、下地層39lが存在せず、凹凸構造の谷部における樹脂膜41の下には、空間が存在していてもよい。或いは、太陽電池1では、第2金属電極層39の少なくとも端部において、凹凸構造の谷部におけるめっき層39uの下には、樹脂膜41が存在しており、下地層39lおよび透明電極層38が存在せず、凹凸構造の谷部における樹脂膜41の下には、空間が存在していてもよい。
【0079】
また、上述した実施形態では、透明電極層と金属電極層とを含む電極層を備える太陽電池の製造方法を例示した。しかし、本発明はこれに限定されず、金属電極層のみを含む電極層を備える太陽電池の製造方法にも適用可能である。
【0080】
また、上述した実施形態では、結晶シリコン材料を用いた太陽電池の製造方法を例示したが、これに限定されない。例えば、ガリウムヒ素(GaAs)等の種々の材料を用いた太陽電池の製造方法にも適用可能である。
【0081】
また、上述した実施形態では、
図2に示すようにヘテロ接合型の太陽電池の製造方法を例示した。しかし、本発明はこれに限定されず、ホモ接合型の太陽電池等の種々の太陽電池の製造方法にも適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 太陽電池
7 第1領域
7f フィンガー部
7b バスバー部
8 第2領域
8f フィンガー部
8b バスバー部
11 半導体基板
13,23,33 パッシベーション層
15 光学調整層
25 第1導電型半導体層
27 第1電極層
28 第1透明電極層
28Z 透明電極層材料膜
29 第1金属電極層
29l 下地層
29lZ 下地層材料膜
29u めっき層
29O 酸化膜
35 第2導電型半導体層
37 第2電極層
38 第2透明電極層
39 第2金属電極層
39l 下地層
39u めっき層
40 レジスト
41 樹脂膜