(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104313
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】使用者の外国籍社員雇用適正評価システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20230721BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005224
(22)【出願日】2022-01-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】519353857
【氏名又は名称】株式会社One Terrace
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100195877
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻木 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 大輔
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA08
(57)【要約】
【課題】 使用者の外国籍社員雇用の適正さを評価するシステムを提供すること。
【解決手段】 使用者の外国籍社員雇用適正評価システムは、通信回線に接続されるメインサーバと、外国籍社員雇用の適正さに関する複数の評価項目からなる評価項目群を有する評価項目群データベースと、複数の評価項目それぞれの重要度を表す複数の重み係数を有する重み係数データベースとを有し、メインサーバは、通信回線を介して使用者から複数の評価項目それぞれに対応する複数の回答からなる回答群を受信し、複数の回答に、肯定的な第1回答、肯定、否定以外の第3回答及び否定的な第2回答の順に値が低くなる達成度を割り当て、複数の回答に割り当てられた複数の達成度と、複数の評価項目それぞれに対応する複数の重み係数とを用いて算出される評価値に従って使用者の外国籍社員雇用の適正さを段階評価する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインサーバと、評価項目群データベースと、重み係数データベースとを有し、
前記評価項目群データベースと前記重み係数データベースは前記メインサーバに接続され、
前記メインサーバは通信回線に接続され、
前記評価項目群データベースは、外国籍社員雇用の適正さに関する複数の評価項目からなる評価項目群を有し、
前記重み係数データベースは、前記複数の評価項目それぞれの重要度を表す複数の重み係数を有し、
前記メインサーバは、前記通信回線を介して使用者に前記評価項目群を送信し、前記通信回線を介して前記使用者から回答群を受信し、
前記回答群は前記複数の評価項目それぞれに対応する複数の回答からなり、
前記複数の回答はそれぞれ、対応する評価項目に対して肯定的な第1回答、前記対応する評価項目に対して否定的な第2回答、及び前記第1、第2回答以外の第3回答から選ばれるいずれか1つであり、
前記メインサーバは、前記複数の回答に、前記第1回答、前記第3回答及び前記第2回答の順に値が低くなる達成度を割り当て、前記複数の回答に割り当てられた複数の達成度と、前記複数の評価項目それぞれに対応する前記複数の重み係数とを用いて算出される評価値に従って前記使用者の外国籍社員雇用の適正さを段階評価することを特徴とする使用者の外国籍社員雇用適正評価システム。
【請求項2】
請求項1に記載の使用者の外国籍社員雇用適正評価システムにおいて、
前記評価値として、下記式に従って算出される第1加重平均を用いることを特徴とする使用者の外国籍社員雇用適正評価システム。
第1加重平均=[Σ(達成度×重み係数)]÷[Σ重み係数]
【請求項3】
請求項2に記載の使用者の外国籍社員雇用適正評価システムにおいて、
前記複数の評価項目はN階層(Nは2以上の整数)に階層化され、前記N階層は下から順に第1~第N階層とし、前記第1~第N階層はそれぞれ2以上の項目を有し、前記第1~第N階層に属する2以上の項目をそれぞれ第1~第N階層の項目群とし、
第K階層(Kは2≦K≦Nを満たす整数)の項目群の一項目は2以上の第K-1階層の項目を有し、
第K-1階層の前記2以上の項目それぞれの、前記第K階層の項目群の前記一項目に対する重要度を第K-1階層の重み係数とし、
前記第1階層の項目群を前記複数の評価項目としたとき、前記複数の回答に前記達成度が割り当てられて、前記第2階層の項目群の前記一項目の前記評価値が前記第1加重平均により求められることを特徴とする使用者の外国籍社員雇用適正評価システム。
【請求項4】
請求項3に記載の使用者の外国籍社員雇用適正評価システムにおいて、
Nは3以上の整数であり、Mを3≦M≦Nを満たす整数としたとき、
前記第M階層の前記一項目の前記評価値として、下記式に従って算出される第2加重平均を用いることを特徴とする使用者の外国籍社員雇用適正評価システム。
第M階層の一項目の評価値=第2加重平均=[Σ(第M-1階層の一項目の評価値×第M-1階層の重み係数)]÷[Σ第M-1階層の重み係数]
【請求項5】
請求項4に記載の使用者の外国籍社員雇用適正評価システムにおいて、
前記第N階層の項目群の前記評価値の合計値に従って前記使用者の外国籍社員雇用の適正さを総合評価することを特徴とする使用者の外国籍社員雇用適正評価システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の使用者の外国籍社員雇用適正評価システムにおいて、
回答群データベースと、評価結果データベースとをさらに有し、
前記回答群データベースと前記評価結果データベースは前記メインサーバに接続され、
前記メインサーバは、前記回答群データベースに前記回答群を保存し、前記通信回線を介して前記使用者に前記段階評価の評価結果を送信し、前記評価結果データベースに前記評価結果を保存することを特徴とする使用者の外国籍社員雇用適正評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、使用者の外国籍社員雇用適正評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、外国籍社員を雇用する企業等の使用者(以下、単に「使用者」という。)が増えてきている。しかし、使用者は、外国籍社員の雇用に際し、意識的又は無意識に憲法、民法、刑法、労働法等の国内法令に違反することがある。また、使用者は、国際条約や、ビジネスと人権に関する指導原則:国連「保護、尊重及び救済」枠組実施、持続可能な開発目標(SDGs)を核とする持続可能な開発のための2030アジェンダ、OECD多国籍企業行動指針、ILO多国籍企業宣言といった国際文書に規定される企業の責任を知らないことがある。
【0003】
一方、外国籍社員も、就職に際し、使用者の外国籍社員雇用の適正さを知らないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、使用者は、国内法令並びに国際条約及び国際文書に規定される企業の責任に照らして外国籍社員雇用の適正さを知りたい。一方、外国籍社員も、就職に際し、使用者の外国籍社員雇用の適正さを知りたい。ここで、特許文献1は、日本企業で働こうとする外国人の日本の働く文化への適応力を評価するシステムを提供する。しかし、使用者の外国籍社員雇用の適正さを評価するシステムはこれまで提供されてこなかった。
【0006】
本開示は、上記実状を鑑みてなされたものであり、使用者の外国籍社員雇用適正評価システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一の態様は、
メインサーバと、評価項目群データベースと、重み係数データベースとを有し、
前記評価項目群データベースと前記重み係数データベースは前記メインサーバに接続され、
前記メインサーバは通信回線に接続され、
前記評価項目群データベースは、外国籍社員雇用の適正さに関する複数の評価項目からなる評価項目群を有し、
前記重み係数データベースは、前記複数の評価項目それぞれの重要度を表す複数の重み係数を有し、
前記メインサーバは、前記通信回線を介して使用者に前記評価項目群を送信し、前記通信回線を介して前記使用者から回答群を受信し、
前記回答群は前記複数の評価項目それぞれに対応する複数の回答からなり、
前記複数の回答はそれぞれ、対応する評価項目に対して肯定的な第1回答、前記対応する評価項目に対して否定的な第2回答、及び前記第1、第2回答以外の第3回答から選ばれるいずれか1つであり、
前記メインサーバは、前記複数の回答に、前記第1回答、前記第3回答及び前記第2回答の順に値が低くなる達成度を割り当て、前記複数の回答に割り当てられた複数の達成度と、前記複数の評価項目それぞれに対応する前記複数の重み係数とを用いて算出される評価値に従って前記使用者の外国籍社員雇用の適正さを段階評価することを特徴とする使用者の外国籍社員雇用適正評価システムに関する。
【0008】
このシステムにより、使用者の外国籍社員雇用の適正さを評価することができる。
【0009】
本開示の一の態様では、
前記評価値として、下記式に従って算出される第1加重平均を用いることが好ましい。
加重平均=[Σ(達成度:100%、0%、1~99%の間の数値から選ばれるいずれか1つ×重み係数)]÷[Σ重み係数]
【0010】
評価値として第1加重平均を用いることにより、使用者の外国籍社員雇用の適正さについて、より現実に即した評価を行うことができる。
【0011】
本開示の一の態様では、
前記複数の評価項目はN階層(Nは2以上の整数)に階層化され、前記N階層は下から順に第1~第N階層とし、前記第1~第N階層はそれぞれ2以上の項目を有し、前記第1~第N階層に属する2以上の項目をそれぞれ第1~第N階層の項目群とし、
第K階層(Kは2≦K≦Nを満たす整数)の項目群の一項目は2以上の第K-1階層の項目を有し、
第K-1階層の前記2以上の項目それぞれの、前記第K階層の項目群の前記一項目に対する重要度を第K-1階層の重み係数とし、
前記第1階層の項目群を前記複数の評価項目としたとき、前記複数の回答に前記達成度が割り当てられて、前記第2階層の項目群の一項目の前記評価値が前記第1加重平均により求められることが好ましい。
【0012】
評価項目がN階層(Nは2以上の整数)に階層化される場合、第1加重平均を第2階層の項目群の一項目の評価値として用いることにより、より現実に即した評価を簡単に行うことができる。
【0013】
本開示の一の態様では、
Nは3以上の整数であり、Mを3≦M≦Nを満たす整数としたとき、
前記第M階層の前記一項目の前記評価値として、下記式に従って算出される第2加重平均を用いることを特徴とする使用者の外国籍社員雇用適正評価システム。
第M階層の一項目の評価値=第2加重平均=[Σ(第M-1階層の一項目の評価値×第M-1階層の重み係数)]÷[Σ第M-1階層の重み係数]
【0014】
評価項目がN階層(Nは3以上の整数)に階層化される場合、第M階層(Mは3≦M≦Nを満たす整数)の一項目の評価値を、より現実に即した総合評価を行うことができる。
【0015】
本開示の一の態様では、
前記第N階層の項目群の前記評価値の合計値に従って前記使用者の外国籍社員雇用の適正さを総合評価することが好ましい。
【0016】
使用者の外国籍社員雇用の適正さを、より現実に即した総合評価を行うことができる。
【0017】
本開示の一の態様では、
回答群データベースと、評価結果データベースとをさらに有し、
前記回答群データベースと前記評価結果データベースは前記メインサーバに接続され、
前記メインサーバは、前記回答群データベースに前記回答群を保存し、前記通信回線を介して前記使用者に段階評価の評価結果を送信し、前記評価結果データベースに前記評価結果を保存することが好ましい。
【0018】
メインサーバは、回答群データベースに使用者から受信した回答群を保存することにより、回答群を蓄積し、活用することができる。また、メインサーバが通信回線を介して使用者に評価結果を送信することにより、使用者は使用者自身の外国籍社員雇用の適正さを知ることができる。また、メインサーバは、評価結果データベースに評価結果を保存することにより、評価結果を蓄積し、活用することができる。評価結果によって、使用者は外国籍社員雇用の改善方法を考えたり、外国籍社員雇用の適正さをアピールし、優秀な外国籍社員の雇用につなげたりすることができる。一方、外国籍社員は、就職に際し、使用者の外国籍社員雇用の適正さを知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】4階層(N=4)に階層化された評価項目群の構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成のすべてが本開示の解決手段として必須であるとは限らない。
【0021】
図1は、本開示の使用者の外国籍社員雇用適正評価システム10の一実施形態を示す。使用者の外国籍社員雇用適正評価システム10は、メインサーバ11と、評価項目群データベース12と、重み係数データベース13とを有する。評価項目群データベース12と重み係数データベース13はメインサーバ11に接続され、メインサーバ11は通信回線14に接続される。評価項目群データベース12は、外国籍社員雇用の適正さに関する複数の評価項目からなる評価項目群を有し、重み係数データベース13は、複数の評価項目それぞれに対応する複数の重み係数を有する。外国籍社員雇用の適正さは、例えば、外国籍社員の採用、労務、人事制度、人材マネジメント、働きがい、人権及び社内合意(第4階層の項目群)に関する適正さを含む。メインサーバ11は、通信回線14を介して使用者15に評価項目群を送信し、通信回線14を介して使用者15から回答群を受信する。回答群は複数の評価項目それぞれに対応する複数の回答からなり、複数の回答はそれぞれ、対応する評価項目に対して肯定的な第1回答、対応する評価項目に対して否定的な第2回答、及び第1、第2回答以外の第3回答である。肯定的な第1回答、否定的な第2回答、及び第1、第2回答以外の第3回答としては、例えば、それぞれ「はい又はあてはまる」、「いいえ又はあてはまらない」及び「該当なし又は取り組み中」が挙げられる。メインサーバ11は、複数の回答に、第1回答、第3回答及び第2回答の順に値が低くなる達成度を割り当てる。例えば、「はい又はあてはまる」には100%、「いいえ又はあてはまらない」には0%及び「該当なし又は取り組み中」には1~99%の間の数値(例えば、50%)を割り当てる。メインサーバ11は、複数の回答に割り当てられた複数の達成度と、複数の評価項目に対応する複数の重み係数とを用いて算出される評価値に従って使用者15の外国籍社員雇用の適正さを段階評価する。評価値の算出方法は、特に限定されないが、例えば、加重平均を算出する下記式を用いて評価値を算出すると、計算対象の複数の評価項目について、より現実に即した評価を行うことができる。
評価値(第1加重平均)=[Σ(達成度×重み係数)]÷[Σ重み係数]
【0022】
本実施形態の使用者の外国籍社員雇用適正評価システム10は、回答群データベース16と、評価結果データベース17と、使用者データベース18とをさらに有してもよい。回答群データベース16と評価結果データベース17と使用者データベース18はメインサーバ11に接続される。メインサーバ11は、回答群データベース16に複数の回答からなる回答群を保存し、通信回線14を介して使用者15に段階評価の評価結果を送信し、評価結果データベース17に評価結果を保存し、通信回線14を介して使用者15から使用者15に関する使用者情報を受信し、使用者データベース18に保存する。
【0023】
メインサーバ11は、回答群データベース16に使用者15から受信した回答群を保存することにより、回答群を蓄積し、活用することができる。また、メインサーバ11が通信回線14を介して使用者15に評価結果を送信することにより、使用者15は使用者15自身の外国籍社員雇用の適正さを知ることができる。また、メインサーバ11は、評価結果データベース17に評価結果を保存することにより、評価結果を蓄積し、活用することができる。評価結果によって、使用者15は、外国籍社員雇用の改善方法を考えたり、外国籍社員雇用の適正さをアピールし、優秀な外国籍社員の雇用につなげたりすることができる。一方、外国籍社員は、就職に際し、使用者15の外国籍社員雇用の適正さを知ることができる。
【0024】
使用者15とは、外国籍の社員や技能実習生を雇用する、企業、団体及び個人のことをいう。使用者15は、ここでは、日本で登記されている企業や団体、個人(日本企業)、並びに、日本で登記されている企業や団体、個人が直接又は間接的に出資している企業(日系企業)を主として想定しているが、日本企業、日系企業に限定されない。
【0025】
使用者15は、通信回線14に接続される使用者端末19を介して外国籍社員の雇用(採用、労務、人事制度、人材マネジメント、働きがい、人権及び社内合意)の適正さに関する評価項目群に対する複数の回答や使用者15に関する使用者情報を入力し、メインサーバ11は、通信回線14を介して複数の回答からなる回答群や使用者15に関する使用者情報を受信する。使用者端末19としては、例えば、パーソナルコンピューター、スマートフォン、タブレット端末等の情報機器が挙げられる。
【0026】
外国人とは、国籍が、使用者15が登記されている国又は使用者15が主として営業活動を行っている国とは異なる者をいう。外国籍社員とは、使用者15の外国人従業員をいい、正規社員、派遣社員、請負労働者、パートタイム、特定技能社員、技能実習生等を含み、雇用形態を問わない。
【0027】
評価者20とは、使用者の外国籍社員雇用適正評価システム10を用いて使用者15の外国籍社員雇用の適正さの評価を行う企業、団体若しくは機関又はそれらの担当者をいう。評価者20は、評価者端末21を用いてメインサーバ11を操作する。評価者端末21はメインサーバ11に直接接続されてもよいし、通信回線14を介してメインサーバ11に接続されてもよい。
【0028】
メインサーバ11は、一台のサーバで構成されてもよいし、複数台のサーバで構成されてもよい。メインサーバ11は、プロセッサと、メモリ等の記憶手段とを備える。メインサーバ11は、記憶手段から読み出した可読命令に従って、使用者15の外国籍社員雇用適正の評価を行う。メインサーバ11は、各種データベースと接続され、各種データベースに保存された情報を読み出すことができる。評価項目群データベース12、重み係数データベース13、回答群データベース16、評価結果データベース17及び/又は使用者データベース18は、1又は2以上のデータベースに統合されてもよい。
【0029】
以下、使用者の外国籍社員雇用適正評価システム10の処理工程を具体的に説明する。
【0030】
[新規登録工程]
使用者15は、使用者端末19を用い、通信回線14を介して使用者の外国籍社員雇用適正評価システム10にアクセスする。使用者15が未登録の場合、使用者15はメインサーバ11に使用者15の使用者情報を送信する。使用者情報としては、例えば、使用者15の企業名、団体名又は機関名、担当者名、連絡先電話番号、連絡先e-mailアドレス、使用者15の業態や社員構成等が挙げられる。メインサーバ11は、企業IDとパスワードを作成し、使用者15の使用者情報と共に使用者データベース18に新規登録し、通信回線14を介して使用者15に企業IDとパスワードを送信する。使用者情報の一部、例えば、使用者15の業態や社員構成といった使用者15に関する詳細情報については、新規登録後に別途使用者データベース18に登録を行ってもよい。企業IDは、2以上の使用者15を識別するために使用者15ごとに付される特定桁数の数字、アルファベット又は記号の組み合わせである。使用者15が使用者データベース18に登録済みの場合、使用者15は通信回線14を介してメインサーバ11に企業IDとパスワードを送信し、メインサーバ11は使用者データベース18に登録されている企業ID、パスワードと照合することにより、新規登録工程を省略し、次の工程に進む。
【0031】
[評価項目群の送信工程]
メインサーバ11は、通信回線14を介して使用者15に外国籍社員の雇用(採用、労務、人事制度、人材マネジメント、働きがい、人権及び社内合意)の適正さに関する複数の評価項目からなる評価項目群を送信する。
【0032】
図2に評価項目群の構成例22を示す。本実施形態の評価項目群は、4階層(N=4)に階層化されるが、これに限定されない。4階層は下から順に第1~第4階層とする。最上位の第4階層(第N階層)は、外国籍社員の採用、労務、人事制度、人材マネジメント、働きがい、人権及び社内合意といった2以上の項目(第4階層の項目群23)を有する。第4階層の項目群23の一項目は、2以上のアセスメント項目(第3階層の項目群24)を有する。例えば、第4階層の項目「採用」は、募集、選考、労働条件といった2以上のアセスメント項目(第3階層の項目群24)を有し、第4階層の項目「労務」は、在留資格、安全衛生、生活環境、社内体制といった2以上のアセスメント項目(第3階層の項目群24)を有する。一のアセスメント項目(第3階層の項目群24の一項目)は2以上の第2階層の項目(第2階層の項目群25)を有する。第2階層の項目群25の一項目は、さらに、2以上の第1階層の項目を有し、第1階層の項目群26は評価項目群によって構成される。第4階層の項目「労務」、アセスメント項目(第3階層の項目)「在留資格」に属する第2階層の項目群25の一項目(「第2階層の項目A」という)に属する複数の評価項目(第1階層の項目群26)を以下に例示する。
(1)内定後、在留カードの原本表裏両面のコピーを取得している。(40%)
(2)在留資格欄の在留資格が何かを確認している。(10%)
(3)就労資格の有無欄が「就労可」となっているか確認している。(20%)
(4)就労資格の有無欄が「就労不可」の場合、裏面の資格外活動許可欄にて「許可」されていることを確認している。(10%)
(5)在留期間欄が有効期限内であることを確認している。(10%)
(6)在留カード等番号欄の番号を、出入国在留管理庁のウェブサイトの「在留カード等番号失効情報照会」で在留カード等番号が失効していないかを確認している。(10%)
なお、評価項目(1)~(6)の右側に括弧内に記した%割合については後の[評価工程]で説明する。
【0033】
評価項目の内容は、回答が「はい又は当てはまる」、「いいえ又は当てはまらない」及び「該当なし又は取り組み中」から選ばれるいずれか1つとなる質問とする。
【0034】
メインサーバ11は、評価項目(1)~(6)のような複数の評価項目からなる評価項目群を使用者15に送信するが、評価項目(1)~(6)は、使用者15が外国籍社員の在留資格を確認していなければ回答時間が無駄になる。したがって、評価項目(1)~(6)を使用者15に送信する前に、第2階層の項目Aに関する以下の設問を使用者15に送信してもよい。
設問:採用する外国人材が日本国内にいる場合は、現在保有している在留資格の確認をしている。
【0035】
上記設問に対する回答が「はい又はあてはまる」といった肯定の場合に評価項目(1)~(6)を使用者15に送信する。他の評価項目群も同様である。
【0036】
評価項目群の送信方法は、特に限定されないが、メインサーバ11は、例えば、評価項目群を表示するアセスメント画面のURL(Uniform Resource Locator)を記載したe-mailを、使用者データベース18に登録された使用者15の連絡先e-mailアドレスに送信してもよい。使用者15は、使用者端末19を用いてURLのアセスメント画面にアクセスすることにより、アセスメント画面に表示される評価項目群を閲覧することができる。また、メインサーバ11は、評価項目群を記載又は添付したe-mailを送信してもよい。さらに、通信回線14を介するオンラインミーティングにより、評価者20が使用者15に口頭で伝えてもよいし、使用者端末19に評価項目群を表示させてもよい。
【0037】
[回答群の受信工程]
メインサーバ11は、通信回線14を介して使用者15から回答群を受信する。回答群は複数の評価項目それぞれに対応する複数の回答からなり、複数の回答はそれぞれ、対応する評価項目に対して「はい又はあてはまる」(肯定的な第1回答)、「いいえ又はあてはまらない」(否定的な第2回答)及び「該当なし又は取り組み中」(第1、第2回答以外の第3回答)から選ばれるいずれか1つである。
【0038】
複数の回答の入力方法は、特に限定されないが、例えば、メインサーバ11は、評価項目群を表示するアセスメント画面に、評価項目ごとに「はい(あてはまる)」「いいえ(あてはまらない)」「該当なし(取り組み中)」といった選択形式のラジオボタンと、補足説明や具体的な事例の自由記述欄とを表示させ、使用者15は、該当するラジオボタンをクリックし、必要に応じて自由記述欄にテキストをタイプ入力し、通信回線14を介してメインサーバ11に送信してもよい。また、使用者15は、回答群を記載又は添付したe-mailを作成し、メインサーバ11に送信してもよい。さらに、通信回線14を介するオンラインミーティングにより、使用者15が評価者20に口頭で回答したものを、評価者20が評価者端末21を用いてメインサーバ11に入力してもよい。
【0039】
メインサーバ11は、回答群を回答群データベース16に保存し、使用者15に回答の受領を通知する。
【0040】
[確認、修正工程]
評価者20は評価者端末21を用いてメインサーバ11にアクセスする。メインサーバ11は使用者データベース18と回答群データベース16を呼び出し、回答が完了した使用者15のリストを評価者端末21に表示する。評価者20は評価を行う使用者15を選択する。メインサーバ11は、評価者端末21に使用者15の複数の回答を表示する。評価者20は、複数の回答が「はい又はあてはまる」(肯定的な第1回答)、「いいえ又はあてはまらない」(否定的な第2回答)及び「該当なし又は取り組み中」(第1、第2回答以外の第3回答)から選ばれるいずれか1つであることを確認し、自由記述欄の補足説明や具体的な事例を考慮し、必要に応じて回答を修正する。修正の必要がない場合は、評価者20の確認、修正工程を省略してもよい。
【0041】
[評価工程]
重み係数データベース13は、複数の評価割合(重み係数)と、複数のウエイト値(第2階層の重み係数)とを有する。評価割合(重み係数)は、複数の評価項目それぞれの、第2階層の項目群25の一項目に対する重要度を表したものである。前述の評価項目(1)~(6)の右側に括弧内に記した%表示の数値がそれに当たる。評価項目(1)~(6)の評価割合(重み係数)を合計すると、ここでは100%であるが、これに限定されない。ウエイト値(第2階層の重み係数)は、第2階層の項目群25の、第3階層の項目群24の一項目に対する重要度を10~50の数値で表したものであるが、この数値範囲に限定されない。重み係数データベース13は、必要に応じて第3階層の項目群の重み係数を有してもよい。第3階層の重み係数は、第3階層の項目群24の、第4階層の項目群23の一項目に対する重要度を表したものである。
【0042】
(第1ステップ)
メインサーバ11は、修正後の回答群の複数の回答に、「はい又はあてはまる」(肯定的な第1回答)の場合は100%の達成度、「いいえ又はあてはまらない」(否定的な第2回答)の場合は0%の達成度及び「該当なし又は取り組み中」(第1、第2回答以外の第3回答)の場合は1~99%の間の数値の達成度から選ばれるいずれか1つを割り当て、複数の回答に割り当てられた複数の達成度を回答群データベース16又は評価結果データベース17に保存する。「該当なし又は取り組み中」(第1、第2回答以外の第3回答)の場合の1~99%の間の数値の達成度は、実状に著しく反しなければ特に限定されないが、ここでは、50%とする。
【0043】
(第2ステップ)
メインサーバ11は、評価得点(第2階層の一項目の評価値)を、第1加重平均を求める下記式に従って算出する。
評価得点(第2階層の一項目の評価値)=第1加重平均=[Σ(達成度:100%、0%、50%から選ばれるいずれか1つ×評価割合(重み係数))]÷[Σ評価割合(重み係数)]
【0044】
評価項目(1)~(6)の達成度が、例えば、それぞれ100%、0%、50%、100%、0%、50%であると仮定すると、評価項目(1)~(6)が属する第2階層の項目Aの評価得点(第2階層の一項目の評価値)は以下のようになる。
評価得点(第2階層の一項目の評価値)=第1加重平均=(100%×40%+0%×10%+50%×20%+100%×10%+0%×10%+50%×10%)÷(40%+10%+20%+10%+10%+10%)=(40+0+25+10+0+5)÷100%=80点
【0045】
ここで、[Σ評価割合(重み係数)]は100%であり、評価得点(第1階層の一項目の評価値)に影響しないため、計算を下記式に簡略化してもよい。
評価得点(第2階層の一項目の評価値)=第1加重平均=[Σ(達成度:100%、0%、50%から選ばれるいずれか1つ×評価割合(重み係数))]
【0046】
(第3ステップ)
メインサーバ11は、第2階層の項目群25それぞれの適正さを、評価得点(第2階層の一項目の評価値)90点以上を「S」、80点以上を「A」、60点以上を「B」、40点以上を「C」、40点未満を「D」の5段階で評価し、B以上を適正と判定する。これらの段階評価の数と点数、適正判定の対象は例示であり、これらに限定されない。第3ステップは省略してもよい。
【0047】
(第4ステップ)
メインサーバ11は、アセスメント項目の適正指数(第3階層の一項目の評価値)を、第2加重平均を求める下記式に従って算出する。
適正指数(第3階層の一項目の評価値)=第2加重平均=[Σ(評価得点(第2階層の一項目の評価値)×ウエイト値(第2階層の重み係数))]÷[Σウエイト値(第2階層の重み係数)]
【0048】
アセスメント項目X(第3階層の項目群24の一項目)に属する第2階層の項目群25が、例えば、A~Dの4つであり、それぞれの評価得点(第2階層の一項目の評価値)とウエイト値(第2階層の重み係数)が表1の内容であると仮定すると、第2階層の項目A~Dが属するアセスメント項目Xの適正指数(第3階層の一項目の評価値)は以下のようになる。
【表1】
適正指数(第3階層の一項目の評価値)=(80×20+50×10+0×10+100×10)÷(20+10+10+10)=(1600+500+0+1000)÷50=3100÷50=62点
【0049】
(第5ステップ)
メインサーバ11は、複数のアセスメント項目(第3階層の項目群24)それぞれの適正さを、適正指数(第3階層の一項目の評価値)90点以上を「S」、80点以上を「A」、60点以上を「B」、40点以上を「C」、40点未満を「D」の5段階で評価し、B以上を適正と判定する。これらの段階評価の数と点数、適正判定の対象は例示であり、これらに限定されない。
【0050】
(第6ステップ)
メインサーバ11は、第4階層の一項目の評価値を、第2加重平均を求める下記式に従って算出する。
第4階層の一項目の評価値=第2加重平均=[Σ(適正指数(第3階層の一項目の評価値)×アセスメント項目の重み係数(第3階層の重み係数))]÷[Σアセスメント項目の重み係数(第3階層の重み係数)]
ここでは、アセスメント項目の重み係数(第3階層の重み係数)を等しく1とし、第4階層の一項目の評価値を加算平均(100点満点)で求める。
【0051】
第4階層の項目群23の一項目に属するアセスメント項目(第3階層の項目群24)が、例えば、X~Yの2つであり、それぞれの適正指数(第3階層の一項目の評価値)と第3階層の重み係数が表2の内容であると仮定すると、アセスメント項目(第3階層の項目)X~Yが属する第4階層の一項目の評価値は以下のようになる。
【表2】
第4階層の一項目の評価値=(62×1+80×1)÷(1+1)=142÷2=71点
【0052】
(第7ステップ)
メインサーバ11は、複数の第4階層の項目群23それぞれの適正さを、加算平均(第3階層の一項目の評価値)90点以上を「S」、80点以上を「A」、60点以上を「B」、40点以上を「C」、40点未満を「D」の5段階で評価し、B以上を適正と判定する。これらの段階評価の数と点数、適正判定の対象は例示であり、これらに限定されない。第7ステップは省略してもよい。
【0053】
(第8ステップ)
メインサーバ11は、第4階層(第N階層)の項目群23の評価値の合計値(700点満点)を算出する。
【0054】
第4階層の項目群23が、例えば、外国籍社員の採用、労務、人事制度、人材マネジメント、働きがい、人権及び社内合意の7つであり、それぞれの第4階層の一項目の評価値が表3の内容であると仮定すると、第4階層の項目群23の評価値の合計値は以下のようになる。
【表3】
第4階層の項目群23の評価値の合計値=71+85+80+90+67+75+92=560点
【0055】
(第9ステップ)
メインサーバ11は、使用者15の外国籍社員雇用の適正さを、第4階層(第N階層)の項目群23の評価値の合計値630点以上を「S」、560点以上を「A」、420点以上を「B」、280点以上を「C」、280点未満を「D」の5段階で評価し、B以上を適正と判定する。これらの段階評価の数と点数、適正判定の対象は例示であり、これらに限定されない。
【0056】
[評価結果の保存、送信工程]
メインサーバ11は、以上の評価結果を評価結果データベース17に保存し、通信回線14を介して使用者15に評価完了を通知する。使用者15は、使用者端末19を用い、通信回線14を介してメインサーバ11にアクセスし、評価結果を閲覧してもよい。メインサーバ11は、評価結果を記載又は添付したe-mailを使用者15に送信してもよい。
【0057】
メインサーバ11は、評価結果の他、外国籍社員の雇用に関する持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)や達成度、評価結果に対する講評、適正雇用に向けたアドバイスを企業端末に送信してもよい。評価結果によって、使用者15は外国籍社員雇用の改善方法を考えたり、外国籍社員雇用の適正さをアピールし、優秀な外国籍社員の雇用につなげたりすることができる。一方、外国籍社員は、就職に際し、使用者の外国籍社員雇用の適正さを知ることができる。
【0058】
以上は、評価項目群を4階層(N=4)に階層化した場合を説明したが、階層化しない(N=1)場合、例えば、下記式を用いて算出される評価値に従って前記使用者の外国籍社員雇用の適正さを段階評価してもよい。
評価値=Σ(達成度×重み係数)
達成度:複数の回答それぞれに、肯定的な第1回答、肯定、否定以外の第3回答及び否定的な第2回答の順に値が低くなるように割り当てられた数値(例えば、100%、50%、0%)
重み係数:複数の評価項目それぞれの、評価項目群に対する重要度
【0059】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれる。例えば、明細書において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、本実施形態の構成も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 使用者の外国籍社員雇用適正評価システム、11 メインサーバ、12 評価項目群データベース、13 重み係数データベース、14 通信回線、15 使用者、16 回答群データベース、17 評価結果データベース、18 使用者データベース、19 使用者端末、20 評価者、21 評価者端末、22 評価項目群の構成例、23 第4階層の項目群、24 第3階層の項目群、25 第2階層の項目群、26 第1階層の項目群(評価項目群)