(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010432
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】異物除去装置
(51)【国際特許分類】
F03B 7/00 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
F03B7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114558
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】村田 渉
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 農
【テーマコード(参考)】
3H072
【Fターム(参考)】
3H072AA13
3H072BB16
3H072BB32
3H072CC65
3H072CC71
3H072CC76
(57)【要約】
【課題】駆動装置を用いることなく、水流に同伴する異物を除去する。
【解決手段】異物除去装置は、第1の回転体と、第2の回転体と、第1の回転体と第2の回転体とに巻き掛けられた無端状のベルトと、を備える。また、異物除去装置は、ベルトに固定された、水流の流れの方向に延びるブレードと、ブレードに掛けられた異物を回収する異物回収部と、を備える。ブレードは、ベルトの走行方向とは反対側に設けられた圧力面と、走行方向の側に設けられた負圧面と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水流に同伴する異物を除去する異物除去装置であって、
前記水流内に設けられた、第1回転軸線を中心に回転可能な第1の回転体と、
前記水流の上方に設けられた、前記第1回転軸線に沿って延びる第2回転軸線を中心に回転可能な第2の回転体と、
前記第1の回転体と前記第2の回転体とに巻き掛けられた、所定の走行方向に走行可能な無端状のベルトと、
前記ベルトに固定された、前記水流の流れの方向に延びるブレードと、
前記ブレードに掛けられた前記異物を回収する異物回収部と、を備え、
前記ブレードは、前記ベルトの前記走行方向とは反対側に設けられた圧力面と、前記走行方向の側に設けられた負圧面と、を有する、異物除去装置。
【請求項2】
前記ブレードは、前記ベルトの前記走行方向に複数並んで配置されている、請求項1に記載の異物除去装置。
【請求項3】
前記水流の流れの方向における前記ブレードの両端は、鈍頭状に形成されている、請求項1または2に記載の異物除去装置。
【請求項4】
前記異物回収部は、前記ブレードに掛けられた前記異物が回収されて載置される異物回収台を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の異物除去装置。
【請求項5】
前記第2の回転体は、前記水流の流れの方向において、前記第1の回転体の下流側に配置され、
前記ベルトは、前記第1の回転体から前記第2の回転体に向かう第1部分と、前記第2の回転体から前記第1の回転体に向かう、前記水流の流れの方向において前記第1部分の下流側に配置された第2部分と、を含み、
前記異物回収台は、前記水流の流れの方向において、前記ベルトの前記第2部分の下流側に配置される、請求項4に記載の異物除去装置。
【請求項6】
前記異物回収台は、上方から見たときに前記ブレードが走行する走行領域と部分的に重なっている、請求項5に記載の異物除去装置。
【請求項7】
前記異物回収台は、基部と、前記基部から前記ブレードの側に突出した突出部と、を含み、
前記突出部は、前記ベルトの前記走行方向で見たときに前記ブレードが走行する走行領域の両側に配置されている、請求項4または5に記載の異物除去装置。
【請求項8】
前記異物回収台は、前記ブレードが走行する走行領域内に配置された、前記ブレードと接触する回収台側接触部分を含み、
前記ブレードは、前記異物回収台と接触するブレード側接触部分を含み、
前記ブレード側接触部分の弾性率は、前記回収台側接触部分の弾性率よりも小さい、請求項4から6のいずれか一項に記載の異物除去装置。
【請求項9】
前記異物回収台は、前記ブレードが走行する走行領域内に配置された、前記ブレードと接触する回収台側接触部分を含み、
前記ブレードは、前記異物回収台と接触するブレード側接触部分を含み、
前記回収台側接触部分の弾性率は、前記ブレード側接触部分の弾性率よりも小さい、請求項4から6のいずれか一項に記載の異物除去装置。
【請求項10】
前記水流の流れの方向において、前記第1の回転体の上流側に、前記第1の回転体に向かって流れる前記水流の流速を低減する壁部が設けられている、請求項1から9のいずれか一項に記載の異物除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
異物除去装置は、河川や水路を流れる水流に同伴する流木やビニール等の異物を除去する装置である。異物除去装置として、カッター板が設けられた回転筒を回転駆動して、カッター板により異物を掻き上げて除去する装置が知られている。また、異物除去装置として、櫛歯(レーキ)が取り付けられた無端状チェーンを駆動して、レーキをスクリーンの下部から上部に移動させてスクリーンの表面に溜まった異物を掻き上げて除去する装置(レーキ式スクリーン装置)が知られている。
【0003】
しかしながら、上述した異物除去装置はいずれも、モータを含む駆動装置により駆動されるものであった。そのため、異物除去装置の設置場所の周辺に駆動装置に電力を供給するための電源設備を要し、山奥等の電源設備が設けられていない場所に異物除去装置を設置することが困難な場合があった。また、駆動装置に含まれる減速ギヤ等から発せられる騒音が問題となることもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、駆動装置を用いることなく、水流に同伴する異物を除去することができる異物除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施の形態による異物除去装置は、水流に同伴する異物を除去する異物除去装置である。異物除去装置は、水流内に設けられた、第1回転軸線を中心に回転可能な第1の回転体と、水流の上方に設けられた、第1回転軸線に沿って延びる第2回転軸線を中心に回転可能な第2の回転体と、を備える。また、異物除去装置は、第1の回転体と第2の回転体とに巻き掛けられた、所定の走行方向に走行可能な無端状のベルトと、ベルトに固定された、水流の流れの方向に延びるブレードと、ブレードに掛けられた異物を回収する異物回収部と、を備える。ブレードは、ベルトの走行方向とは反対側に設けられた圧力面と、走行方向の側に設けられた負圧面と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本実施の形態によれば、駆動装置を用いることなく、水流に同伴する異物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態による異物除去装置を示す側面図である。
【
図3】
図3は、
図1のベルトの第1部分に配置されたブレードを示す拡大図である。
【
図4】
図4は、
図1のベルトの第2部分に配置されたブレードを示す拡大図である。
【
図5】
図5は、第2の実施の形態による異物除去装置を示す側面図である。
【
図6】
図6は、
図5の異物回収台をベルトの走行方向で見た部分拡大図である。
【
図7】
図7は、第3の実施の形態による異物除去装置を説明する図である。
【
図8】
図8は、第4の実施の形態による異物除去装置を説明する図である。
【
図9】
図9は、第5の実施の形態による異物除去装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施の形態による異物除去装置について説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
まず、
図1~
図4を参照して、第1の実施の形態による異物除去装置について説明する。本実施の形態による異物除去装置は、水流に同伴する流木やビニール等の異物を除去する装置である。異物除去装置は、河川や水路に設置される。
【0011】
図1に示すように、本実施の形態による異物除去装置1は、水流2内に設けられた第1の回転体10と、水流2の上方に設けられた第2の回転体20と、第1の回転体10と第2の回転体20とに巻き掛けられた無端状のベルト30と、を備えている。
【0012】
図1および
図2に示すように、第1の回転体10は、第1の回転軸11と、第1の回転軸11に設けられた第1の歯車12と、を有している。
【0013】
第1の回転軸11は、第1回転軸線13に沿って延びている。第1回転軸線13は、水流2の流れの方向(X方向)および鉛直方向(Z方向)に直交する方向(Y方向)に延びている。第1の回転軸11の両端は、陸地4に埋設された構造物5内に設けられた軸受14に支持されている。これにより、第1の回転軸11は、第1回転軸線13を中心に回転可能になっている。
【0014】
第1の歯車12は、第1の回転軸11に支持されている。図示された例においては、3つの第1の歯車12a、12b、12cが配置されている。第1の歯車12aは、
図2における左側に配置されている。第1の歯車12bは、
図2における中央部に配置されている。第1の歯車12cは、
図2における右側に配置されている。
【0015】
第1の歯車12は、平歯車やはすば歯車等の外歯歯車であり、円盤状の胴体部15と、胴体部15の外周に所定の間隔(ピッチ)で設けられた複数の外歯16と、を有している。第1の歯車12の外歯16は、後述するベルト30の内歯34と噛み合っている。第1の歯車12の胴体部15の中央部には、Y方向に第1の回転軸11が貫通しており、第1の歯車12は、第1の回転軸11と共に第1回転軸線13を中心に回転する。
【0016】
第2の回転体20は、水流2の上方に配置されている。第2の回転体20は、X方向において、第1の回転体10の下流側に配置されていてもよい。第2の回転体20は、第2の回転軸21と、第2の回転軸21に設けられた第2の歯車22と、を有している。
【0017】
第2の回転軸21は、第2回転軸線23に沿って延びている。第2回転軸線23は、第1回転軸線13に沿って延びている。第2の回転軸21の両端は、陸地4に埋設された構造物5内に設けられた軸受24に支持されている。これにより、第2の回転軸21は、第2回転軸線23を中心に回転可能になっている。
【0018】
第2の歯車22は、第2の回転軸21に支持されている。図示された例においては、3つの第1の歯車12a、12b、12cに対応するように、3つの第2の歯車22a、22b、22cが配置されている。第2の歯車22aは、Y方向において、第1の歯車12aとほぼ同じ位置に配置されている。第2の歯車22bは、Y方向において、第1の歯車12bとほぼ同じ位置に配置されている。第2の歯車22cは、Y方向において、第1の歯車12cとほぼ同じ位置に配置されている。
【0019】
第2の歯車22も、第1の歯車12と同様、平歯車やはすば歯車等の外歯歯車であり、円盤状の胴体部25と、胴体部25の外周に所定の間隔(ピッチ)で設けられた複数の外歯26と、を有している。第2の歯車22の外歯26の形状は、第1の歯車12の外歯16の形状とほぼ同じであってもよい。第2の歯車22の外歯26は、後述するベルト30の内歯34と噛み合っている。第2の歯車22の胴体部25の中央部には、Y方向に第2の回転軸21が貫通しており、第2の歯車22は、第2の回転軸21と共に第2回転軸線23を中心に回転する。
【0020】
ベルト30は、無端状であり、第1の回転体10と第2の回転体20とに所定の張力を持って巻き掛けられている。図示された例においては、3つの第1の歯車12a、12b、12cと3つの第2の歯車22a、22b、22cとに対応するように、3つのベルト30a、30b、30cが配置されている。すなわち、第1の歯車12aと第2の歯車22aとにベルト30aが巻き掛けられ、第1の歯車12bと第2の歯車22bとにベルト30bが巻き掛けられ、第1の歯車12cと第2の歯車22cとにベルト30cが巻き掛けられている。
【0021】
ベルト30は、歯付ベルトであり、ベルト部分33と、ベルト部分33の内側に所定の間隔(ピッチ)で設けられた複数の内歯34と、を有している。ベルト30の内歯34の形状は、第1の歯車12の外歯16の形状および第2の歯車22の外歯26の形状とほぼ同じであってもよい。第1の歯車12に巻き掛けられている部分では、ベルト30の内歯34は、第1の歯車12の外歯16と噛み合っている。また、第2の歯車22に巻き掛けられている部分では、ベルト30の内歯34は、第2の歯車22の外歯26と噛み合っている。これにより、ベルト30が走行すると、その動力が第1の回転体10および第2の回転体20に伝わり、第1の回転体10および第2の回転体20も回転するようになっている。
【0022】
ベルト30は、走行方向Sに走行可能に構成されている。図示された例においては、走行方向Sは、
図1における時計回りである。ベルト30は、第1の回転体10から第2の回転体20に向かう第1部分31と、第2の回転体20から第1の回転体10に向かう、X方向において第1部分31の下流側に配置された第2部分32と、を含んでいる。ベルト30の第1部分31は、第2の回転体20に向かい、第2の回転体20周りで曲がった後、第2部分32として、第1の回転体10に向かう。ベルト30の第2部分32は、第1の回転体10に向かい、第1の回転体10周りで曲がった後、第1部分31として、第2の回転体20に向かう。このように、ベルト30は、第1の回転体10と第2の回転体20との間で循環して走行する。
【0023】
また、
図1に示すように、本実施の形態による異物除去装置1は、ベルト30に固定されたブレード40と、異物3を回収する異物回収部50と、を備えている。
【0024】
ブレード40は、翼形状であり、ベルト30に固定されてX方向に延びている。ブレード40は、X方向において下流側に向かって下方に傾斜するように設けられていてもよい。図示された例においては、ブレード40は、ベルト30の走行方向Sに複数並んで配置されている。しかしながら、このことに限定されず、1つのブレード40のみが配置されていてもよい。図示された例においては、10数個のブレード40が走行方向Sに並んで配置されている。
【0025】
図2に示すように、1つのブレード40が、2つのベルト30によって支持されていてもよい。図示された例においては、ブレード40は、複数のブレード40aと、複数のブレード40bと、を含んでいる。ブレード40aは、
図2における左側に配置されたベルト30aと、
図2における中央部に配置されたベルト30bとによって支持されている。ブレード40bは、
図2における中央部に配置されたベルト30bと、
図2における右側に配置されたベルト30cとによって支持されている。
図2に示すように、ブレード40aとブレード40bは、Z方向において交互に配置されていてもよい。ブレード40の中央部には、Y方向に延びる支持軸41が設けられている。支持軸41の両端は、ベルト30のベルト部分33をY方向に貫通するとともに、その先端部分が、ベルト部分33に対してリベット止めされている。このように、ブレード40は、2つのベルト30によってしっかりと固定されている。このため、ブレード40は、水流2の流れによる抵抗を受けた場合であっても、ベルト30に対してX方向へ移動したり、支持軸41周りに搖動したりすることが抑制される。
【0026】
ブレード40は、圧力面42と、負圧面43と、を有している。圧力面42は、ほぼ平坦状の平坦面を有していてもよく、負圧面43は、圧力面42の側とは反対側に湾曲した湾曲面を有していてもよい。X方向において圧力面42と負圧面43とを接続する部分、すなわちX方向におけるブレード40の両端は、鈍頭状に形成されていてもよい。圧力面42は、ベルト30の走行方向Sとは反対側を向いており、負圧面43は、ベルト30の走行方向Sの側を向いている。図示された例においては、ベルト30の第1部分31に配置されたブレード40の圧力面42は下方を向き、その負圧面43は上方を向いている。一方、ベルト30の第2部分32に配置されたブレード40の圧力面42は上方を向き、その負圧面43は下方を向いている。
【0027】
ブレード40は、水流2の流れによって生じる、圧力面42の側の圧力と負圧面43の側の圧力との間の圧力差によって、圧力面42の側から負圧面43の側に揚力Fを受けるようになっている。より具体的には、
図3に示すように、ベルト30の第1部分31に配置されたブレード40では、ブレード40の下方に設けられた圧力面42の側の圧力は、相対速度Wa、流入角度δaで流入する水流2によって高められる。これにより、圧力面42の側の圧力と負圧面43の側の圧力との間に圧力差が生じ、ブレード40に上方に向かう揚力Fが働く。また、
図4に示すように、ベルト30の第2部分32に配置されたブレード40では、ブレード40の上方に設けられた圧力面42の側の圧力は、相対速度Wc、流入角度δcで流入する水流2によって高められる。これにより、圧力面42の側の圧力と負圧面43の側の圧力との間に圧力差が生じ、ブレード40に下方に向かう揚力Fが働く。
図3および
図4において、水流2の相対速度Wa、Wb、Wc、Wdは、水流2の絶対速度Va、Vb、Vc、Vdとブレード40の移動速度Uとの速度ベクトルの差により求めることができる。
【0028】
このような揚力Fを受けることにより、ブレード40は、ベルト30に随伴して、走行領域R内を走行することができる。すなわち、ベルト30の第1部分31に配置されたブレード40は、上方に揚力Fを受けて、第2の回転体20に向かって走行する。ブレード40は、第2の回転体20周りで曲がって、ベルト30の第2部分32に配置される。そして、ベルト30の第2部分32に配置されたブレード40は、下方に揚力Fを受けて、第1の回転体10に向かって走行する。続いて、ブレード40は、第1回転体10周りで曲がって、再びベルト30の第1部分31に配置される。このように、ブレード40は、水流2の流れによって生じた揚力Fを利用して、走行領域R内を循環して走行する。
【0029】
ブレード40は、走行領域R内を走行している間、走行領域R内に流入した、水流2に同伴する流木やビニール等の異物3を、ブレード40に引っ掛けることができる。これにより、ブレード40は、水流2内の異物3を捕捉することができる。
【0030】
ブレード40を構成する材料は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を含んでいてもよい。これにより、ブレード40の強度を高めつつ、ブレード40を軽量化することができる。
【0031】
異物回収部50は、ブレード40に掛けられた異物3を回収するように構成されている。異物回収部50は、ブレード40に掛けられた異物3が回収されて載置される異物回収台51を有していてもよい。異物回収台51は、異物3が載置される、上方を向いた主面を有していてもよい。本実施の形態においては、異物回収台51は、X方向において、ベルト30の第2部分32の下流側に配置されている。また、異物回収台51は、上方から見たときにブレード40の走行領域Rと部分的に重なっている。異物回収台51は、X方向において下流側に向かって下方に傾斜するように配置されていてもよい。
【0032】
ブレード40は、第2の回転体20周りで曲がる際、負圧面43が上方を向いた状態から負圧面43が下方を向いた状態に反転する。このとき、ブレード40に掛けられた異物3は、ブレード40から落下することができる。本実施の形態においては、異物回収台51は、上方から見たときにブレード40の走行領域Rと部分的に重なっている。このため、落下した異物3は、異物回収台51に載置されることができる。異物回収台51に載置された異物3は、不図示の任意の除去手段により除去されてもよい。
【0033】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0034】
異物除去装置1に流れてきた水流2は、ベルト30の第1部分31に配置されたブレード40に相対速度Wa、流入角度δaで流入する。水流2は、第1部分31に配置されたブレード40の下方に設けられた圧力面42の側の圧力を高める。これにより、ブレード40には、上方に向かう揚力Fが働く。水流2は、第1部分31に配置されたブレード40から相対速度Wbで流出する。次に、水流2は、ベルト30の第2部分32に配置されたブレード40に相対速度Wc、流入角度δcで流入する。水流2は、第2部分32に配置されたブレード40の上方に設けられた圧力面42の側の圧力を高める。これにより、ブレード40には、下方に向かう揚力Fが働く。その後、水流2は、第2部分32に配置されたブレード40から相対速度Wdで流出する。
【0035】
揚力Fを受けることにより、ブレード40は、ベルト30に随伴して、走行領域R内を走行する。ブレード40が走行領域R内を走行している間、走行領域R内に流入した、水流2に同伴する流木やビニール等の異物3が、ブレード40に引っ掛かる。第1部分31に配置されたブレード40は、異物3が掛けられた状態で走行し、第2の回転体20に向かう。第2部分32に配置されたブレード40も、異物3が掛けられた状態で走行し、第1回転体10周りで曲がって第1部分31に配置され、第2の回転体20に向かう。
【0036】
ブレード40は、第2の回転体20周りで曲がる際、負圧面43が上方を向いた状態から負圧面43が下方を向いた状態に反転する。このとき、ブレード40に掛けられた異物3は、ブレード40から落下する。落下した異物3は、異物回収台51に載置される。異物回収台51に載置された異物3は、その後、不図示の任意の除去手段により除去される。
【0037】
このようにして、異物除去装置1は、ブレード40により水流2に同伴する流木やビニール等の異物3を捕捉して、異物回収部50によりブレード40に掛けられた異物を回収する。
【0038】
このように本実施の形態によれば、ブレード40は、ベルト30に固定されるとともに水流2の流れの方向に延びており、また、ベルト30の走行方向Sとは反対側に設けられた圧力面42と、走行方向Sの側に設けられた負圧面43と、を有している。このことにより、ブレード40は、水流2の流れによって生じる、圧力面42の側の圧力と負圧面43の側の圧力との間の圧力差によって、圧力面42の側から負圧面43の側に揚力Fを受けることができる。そして、ブレード40は、このような揚力Fを受けることにより、ベルト30に随伴して走行することができる。このため、異物除去装置1は、ベルト30を駆動するための駆動装置を用いることなく、水流2に同伴する異物3を除去することができる。この結果、山奥等の電源設備が設けられていない場所にも、異物除去装置1を設置することができる。また、駆動装置に含まれる減速ギヤ等から騒音が発せられることを防止することができる。
【0039】
また、本実施の形態によれば、ブレード40は、ベルト30に固定されている。このことにより、ブレード40は、水流2の流れによる抵抗を受けた場合であっても、ベルト30に対してX方向へ移動したり、支持軸41周りに搖動したりすることが抑制される。このため、例えば、異物3がブレード40の可動部に挟まり、装置が破損するという事態を回避することができる。また、ブレード40の可動部の故障や劣化も回避することができる。このように、信頼性の高い異物除去装置1を提供することができる。
【0040】
また、本実施の形態によれば、ブレード40は、ベルト30の走行方向Sに複数並んで配置されている。このことにより、水流2内の異物3を複数のブレード40により効率的に捕捉することができるとともに、複数のブレード40がそれぞれ揚力Fを受けるため、ベルト30を効率的に走行させることができる。
【0041】
また、本実施の形態によれば、水流2の流れの方向におけるブレード40の両端は、鈍頭状に形成されている。このことにより、ビニール等の異物3がブレード40に絡まりにくくなっている。このため、ブレード40に掛けられた異物3を、異物回収部50により回収することが容易になっている。
【0042】
また、本実施の形態によれば、異物回収台51は、X方向において、ベルト30の第2部分32の下流側に配置されているとともに、上方から見たときにブレード40の走行領域Rと部分的に重なっている。このことにより、第2の回転体20周りで反転したブレード40から落下した異物3が、異物回収台51に載置されることができる。このように、簡易な構成により、ブレード40に掛けられた異物3を回収することができる。
【0043】
(第2の実施の形態)
次に、
図5および
図6を参照して、第2の実施の形態による異物除去装置について説明する。
【0044】
図5および
図6に示す第2の実施の形態においては、異物回収台は、基部と、基部からブレードの側に突出した突出部と、を含み、突出部は、ベルトの走行方向で見たときにブレードが走行する走行領域の両側に配置されている点が主に異なり、他の構成は、
図1~
図4に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図5および
図6において、
図1~
図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0045】
本実施の形態では、
図5に示すように、Y方向で見たときに、異物回収台51のブレード40の側の端部が、ブレード40の走行領域Rと部分的に重なっている。この異物回収台51の端部を走行方向Sで見ると、
図6に示すように、異物回収台51は、基部52と、基部52からブレード40の側に突出した突出部53と、を含んでいる。突出部53は、走行方向Sで見たときにブレード40の走行領域Rの両側に配置されている。換言すると、異物回収台51は、走行方向Sで見たときに、ブレード40と干渉しないように、ブレード40の走行領域Rの部分が切り欠かれている。ブレード40の走行領域Rと異物回収台51の突出部53との間には、間隙Δxが設けられている。ブレード40の走行領域Rと異物回収台51の基部52との間には、間隙Δyが設けられている。この間隙Δxおよび間隙Δyは、いずれも微小に設定されていてもよい。
【0046】
本実施の形態によれば、ビニール等の異物3がブレード40に張り付いている場合であっても、異物3のブレード40の走行領域Rからはみ出している部分を、異物回収台51の基部52または突出部53と接触させることができる。このことにより、ブレード40に張り付いた異物3を、異物回収台51との間の摩擦力により、ブレード40から引き剥がすことができる。このため、ビニール等のブレード40に張り付き易い異物3も効果的に回収することができる。
【0047】
(第3の実施の形態)
次に、
図7を参照して、第3の実施の形態による異物除去装置について説明する。
【0048】
図7に示す第3の実施の形態においては、異物回収台は、ブレードの走行領域内に配置された、ブレードと接触する回収台側接触部分を含み、ブレードは、異物回収台と接触するブレード側接触部分を含み、ブレード側接触部分の弾性率は、回収台側接触部分の弾性率よりも小さい点が主に異なり、他の構成は、
図1~
図4に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図7において、
図1~
図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0049】
本実施の形態では、
図7の左図に示すように、異物回収台51は、ブレード40の走行領域R内に配置されている。これにより、
図7の中央図に示すように、ブレード40と異物回収台51とが接触するようになっている。異物回収台51は、ブレード40と接触する回収台側接触部分54を含んでいる。回収台側接触部分54は、異物回収台51の他の部分と一体的に形成されていてもよいし、別部材として取り付けられていてもよい。ブレード40は、異物回収台51と接触するブレード側接触部分44を含んでいる。ブレード側接触部分44は、ブレード40の他の部分と一体的に形成されていてもよいし、別部材として取り付けられていてもよい。
【0050】
本実施の形態では、ブレード40のブレード側接触部分44の弾性率は、異物回収台51の回収台側接触部分54の弾性率よりも小さくなっている。より具体的には、例えば、ブレード側接触部分44を構成する材料は、ゴム等の弾性部材を含んでいてもよく、回収台側接触部分54を構成する材料は、鋼等の金属部材を含んでいてもよい。この場合、ブレード40のブレード側接触部分44と異物回収台51の回収台側接触部分54とが接触したときに、
図7の中央図に示すように、ブレード側接触部分44を撓ませることができる。これにより、ブレード40に張り付いた異物3を、所定の押圧力で回収台側接触部分54に押し付けることができ、
図7の右図に示すように、ブレード40から引き剥がすことができる。
【0051】
このように本実施の形態によれば、ビニール等の異物3がブレード40に張り付いている場合であっても、ブレード側接触部分44と回収台側接触部分54とが接触したときに、異物3を回収台側接触部分54に押し付けることができる。このことにより、ブレード40に張り付いた異物3を、ブレード40から効果的に引き剥がすことができる。このため、ビニール等のブレード40に張り付き易い異物3も効果的に回収することができる。
【0052】
(第4の実施の形態)
次に、
図8を参照して、第4の実施の形態による異物除去装置について説明する。
【0053】
図8に示す第4の実施の形態においては、異物回収台は、ブレードの走行領域内に配置された、ブレードと接触する回収台側接触部分を含み、ブレードは、異物回収台と接触するブレード側接触部分を含み、回収台側接触部分の弾性率は、ブレード側接触部分の弾性率よりも小さい点が主に異なり、他の構成は、
図1~
図4に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図8において、
図1~
図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0054】
本実施の形態では、
図8の左図に示すように、異物回収台51は、ブレード40の走行領域R内に配置されている。これにより、
図8の中央図に示すように、ブレード40と異物回収台51とが接触するようになっている。異物回収台51は、ブレード40と接触する回収台側接触部分54を含んでいる。回収台側接触部分54は、異物回収台51の他の部分と一体的に形成されていてもよいし、別部材として取り付けられていてもよい。ブレード40は、異物回収台51と接触するブレード側接触部分44を含んでいる。ブレード側接触部分44は、ブレード40の他の部分と一体的に形成されていてもよいし、別部材として取り付けられていてもよい。
【0055】
本実施の形態では、異物回収台51の回収台側接触部分54の弾性率は、ブレード40のブレード側接触部分44の弾性率よりも小さくなっている。より具体的には、例えば、回収台側接触部分54を構成する材料は、ゴム等の弾性部材を含んでいてもよく、ブレード側接触部分44を構成する材料は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を含んでいてもよい。この場合、ブレード40のブレード側接触部分44と異物回収台51の回収台側接触部分54とが接触したときに、
図8の中央図に示すように、回収台側接触部分54を撓ませることができる。これにより、ブレード40に張り付いた異物3を、撓んだ回収台側接触部分54の復元力により掻き取ることができ、
図8の右図に示すように、ブレード40から引き剥がすことができる。
【0056】
このように本実施の形態によれば、ビニール等の異物3がブレード40に張り付いている場合であっても、ブレード側接触部分44と回収台側接触部分54とが接触したときに撓んだ回収台側接触部分54の復元力により、ブレード40に張り付いた異物3を掻き取ることができる。このことにより、ブレード40に張り付いた異物3を、ブレード40から効果的に引き剥がすことができる。このため、ビニール等のブレード40に張り付き易い異物3も効果的に回収することができる。
【0057】
(第5の実施の形態)
次に、
図9を参照して、第5の実施の形態による異物除去装置について説明する。
【0058】
図9に示す第5の実施の形態においては、水流の流れの方向において、第1の回転体の上流側に、第1の回転体に向かって流れる水流の流速を低減する壁部が設けられている点が主に異なり、他の構成は、
図1~
図4に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図9において、
図1~
図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0059】
本実施の形態では、
図9に示すように、X方向において、第1の回転体10の上流側に、第1の回転体10に向かって流れる水流2の流速を低減する壁部63が設けられている。より具体的には、水流2が流れる河川や水路の底部60は、第1の底部61と、X方向において第1の底部61よりも下流側に設けられた、第1の底部61よりも下方に位置する第2の底部62と、を含んでいる。そして、第1の底部61と第2の底部62とを接続する壁部63(段差)が、X方向において第1の回転体10の上流側に設けられている。
【0060】
壁部63は、X方向において壁部63の下流側に、周囲の水流2よりも流速が低減した死水域64を形成する。第1の回転体10の少なくとも一部が、この死水域64に位置している。より具体的には、第1の回転体10周りで曲がるブレード40が死水域64に位置するように、第1の回転体10が配置されている。
【0061】
本実施の形態によれば、ブレード40が第1の回転体10周りで曲がる際に、ブレード40の負圧面43が受ける水流2の流れによる抵抗を低減することができる。すなわち、ブレード40が第1の回転体10周りで曲がる際、ブレード40の負圧面43はX方向の上流側を向き、水流2の流れによる大きな抵抗を受け得る。しかしながら、本実施の形態では、壁部63によって、ブレード40の負圧面43に流れる水流2の流速を低減することができる。このことにより、ブレード40の負圧面43が受ける水流2の流れによる抵抗を低減することができる。このため、ブレード40は、第1の回転体10周りで水流2の流れによる大きな抵抗を受けることなく、滑らかに走行することができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、壁部63は、第1の底部61と第2の底部62とを接続する段差であったが、このことに限定されない。例えば、壁部63は、河川や水路の底部から隆起した堰のようなものであってもよく、第1の回転体10に向かって流れる水流2の流速を低減するものであればよい。
【0063】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1:異物除去装置、2:水流、3:異物、10:第1の回転体、13:第1回転軸線、20:第2の回転体、23:第2回転軸線、30:ベルト、31:第1部分、32:第2部分、40:ブレード、42:圧力面、43:負圧面、44:ブレード側接触部分、50:異物回収部、51:異物回収台、52:基部、53:突出部、54:回収台側接触部分、63:壁部、R:走行領域、S:走行方向