(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104321
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】回転駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02K 9/22 20060101AFI20230721BHJP
H02K 21/16 20060101ALI20230721BHJP
H02K 9/19 20060101ALI20230721BHJP
H02K 9/02 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
H02K9/22 Z
H02K21/16 M
H02K9/19 Z
H02K9/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005239
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000108627
【氏名又は名称】タカノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 欣郎
【テーマコード(参考)】
5H609
5H621
【Fターム(参考)】
5H609BB03
5H609BB18
5H609PP02
5H609QQ02
5H609QQ04
5H609QQ11
5H609QQ23
5H609RR06
5H609RR15
5H609RR26
5H609RR37
5H609RR58
5H621BB07
5H621BB10
5H621GA01
5H621GA04
5H621JK11
(57)【要約】
【課題】 発熱を低減することにより出力トルクの低下及び特性変動を防止し、寿命の低下やメンテナンスに対する支障を回避するとともに、更なる小型コンパクト化(薄化)に貢献する。
【解決手段】 リング形に形成したロータヨーク5,及び複数の磁極をロータヨーク5の周方向Ffに沿って配したロータマグネット4を有する可動体部Mmと、リング形に形成したステータ2に、可動体部Mmに対向する複数のステータコア部2c…を周方向Ffに沿って所定間隔置きに配した固定体部Mcと、ステータコア部2c…に巻回したステータコイル3…の少なくとも一部を熱伝導性を有する絶縁被覆材7により被覆し、かつ当該絶縁被覆材7を、ステータコア部2c…の少なくとも一部に接触させるとともに、絶縁被覆材7を、外部に臨むハウジング部8の内面8iに接触又は近接させた放熱用モールド部9とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のステータコア部を一体に設けたステータ及び前記ステータコア部に巻回したステータコイルを有する固定体部と、この固定体部に対向する複数の磁極を有するロータマグネット及びこのロータマグネットに付設したロータヨークを有する可動体部を備えてなる回転駆動装置であって、リング形に形成した前記ロータヨーク,及び複数の磁極を前記ロータヨークの周方向に沿って配したロータマグネットを有する前記可動体部と、リング形に形成した前記ステータに、前記可動体部に対向する複数のステータコア部を周方向に沿って所定間隔置きに配した前記固定体部と、前記ステータコア部に巻回したステータコイルの少なくとも一部を熱伝導性を有する絶縁被覆材により被覆し、かつ当該絶縁被覆材を、前記ステータコア部の少なくとも一部に接触させるとともに、前記絶縁被覆材を、外部に臨むハウジング部の内面に接触又は近接させた放熱用モールド部とを備えることを特徴とする回転駆動装置。
【請求項2】
前記ステータは、このステータに対して位置を固定し、かつローラ周面を前記可動体部に当接させることにより当該可動体部を旋回自在に支持する複数の支持ローラからなる可動体支持部を備えることを特徴とする請求項1記載の回転駆動装置。
【請求項3】
前記支持ローラは、前記複数のステータコア部における一部のステータコア部を除去して形成される収容空間に配設することを特徴とする請求項2記載の回転駆動装置。
【請求項4】
前記ハウジング部は、前記ステータの一端面側を固定するベース部と前記ステータの他端面側を覆うカバー部とを備えることを特徴とする請求項1記載の回転駆動装置。
【請求項5】
前記ベース部及び/又は前記カバー部は、前記絶縁被覆材の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料により形成することを特徴とする請求項4記載の回転駆動装置。
【請求項6】
前記絶縁被覆材は、前記ステータコア部のコーティング材及び前記ステータコイルのコーティング材の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料を用いることを特徴とする請求項1記載の回転駆動装置。
【請求項7】
前記絶縁被覆材は、前記ステータコイルにおける、各コイル単位又は複数のコイル単位で被覆することを特徴とする請求項1記載の回転駆動装置。
【請求項8】
前記ハウジング部は、前記ステータの少なくとも一部を通気空間を介して覆う形状に形成することを特徴とする請求項1記載の回転駆動装置。
【請求項9】
前記ハウジング部には、前記通気空間に送風する送風手段を付設することを特徴とする請求項8記載の回転駆動装置。
【請求項10】
前記ハウジング部には、前記通気空間に沿って配した熱交換用の通水管及びこの通水管に通水する通水手段を付設することを特徴とする請求項8記載の回転駆動装置。
【請求項11】
前記可動体部は、外面に、この可動体部の移動に伴って送風する複数の送風フィンを付設することを特徴とする請求項1記載の回転駆動装置。
【請求項12】
前記可動体部は、内周部よりも内方に中空部を設けて構成することを特徴とする請求項1記載の回転駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のステータコア部に巻回したステータコイルを有する固定体部及び複数の磁極を配したロータマグネットを有する可動体部を備える回転駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動織機等に使用される回転駆動装置(サーボモータ)は、回転開始,回転停止,回転速度切換,回転方向切換等の制御を、回転動作中において頻繁かつ高速応答で行う必要があるため、回転子(可動体部)の重量を軽量化することにより、できるだけ慣性モーメントを小さくすることが求められるとともに、糸を操る必要があることから固有の特殊構造も求められる。
【0003】
従来、このような用途に用いられる回転駆動装置としては、特許文献1-3に開示される織機用直接電磁駆動式回転耳組装置及び織機が知られている。特許文献1に開示される織機用直接電磁駆動式回転耳組装置は、耳組装置の比較的細幅な構造を可能にし、簡単な構造で安価に耳組装置に組み込むことができる適当な軸受装置をからみ織円板のために見出さなければならないとともに、その場合、駆動装置は、回転角測定系を装備し、さらに、電磁駆動装置、軸受装置及び回転角測定系を汚れに対して十分に遮蔽しなければならない課題の解決を目的としたものであり、具体的には、からみ織円板が電磁駆動装置の回転子である直接電磁駆動式回転耳組装置において、ころがり軸受の外レースがからみ織円抜に回転不能に固着され、回転子中心軸の周りに同軸に配設され、ころがり軸受の内レースを担持する1個のセンタリング装置が固定子ハウジングの中に設けたものである。
【0004】
また、特許文献2に開示される織機用直接電磁駆動式回転耳組装置は、からみ織円板が直接電磁駆動装置の回転子であり、回転子と固定子の間に半径方向磁束と異なる磁束が該駆動装置に現れる細幅型の回転耳組装置の提供を目的としたものであり、具体的には、中心軸の周囲に対称に配設された2個の糸口を有し、第1及び第2のからみ織ボビンから供給されるからみ織糸を各糸口により案内する回転支承されたからみ織円板を有し、からみ織円板が電磁駆動装置の回転子をなし、固定子が織機と連結可能なハウジングの中に収容されている織機用直接電磁駆動式回転耳組装置において、回転子と固定子との間に軸方向磁束が存在するように構成したものである。
【0005】
さらに、特許文献3に開示される織機は、幅が狭いことを特徴とするものであり、具体的には、ステータ、ロータ、及び回転軸線が持つ大小2台の回転耳レノ装置が互いに前後に配置され、これらの回転耳レノ装置の直径が織製される布の引出し方向と逆方向で増大し、かつレノ糸が、ロータの導糸アイレットを横切ることにより、レノ耳全体を形成し、二つの保持側部は、係止可能なスライドシートによって連結されるとともに、保持側部は、クランプブッシュによって定置の横方向軸線に変位自在に固定されるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-107129号公報
【特許文献2】特開平11-117147号公報
【特許文献3】特表2007-500804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した従来の回転駆動装置(織機用直接電磁駆動式回転耳組装置,織機)は、次のような問題点があった。
【0008】
第一に、回転子は、金属製部品として大径に構成された専用のころがり軸受により支持されるため、回転子と一体に回転するころがり軸受における外レース等の一部の部品も大型化及び重量化する。したがって、回転子の軽量化により慣性モーメントをより小さくし、十分な高速応答性を確保する観点からは限界があるとともに、大型化及び重量化ゆえに、低コスト性及び省エネルギ性の面からも不利になるなど、これらの課題を解決する観点からは更なる改善の余地があった。
【0009】
第二に、からみ織円板やマグネット等の構造要素を、ころがり軸受の外周面又は側面に配置する構造を採用するため、全体の構造が煩雑化するとともに、大型のころがり軸受を使用することから、装置全体の厚みが大きくなる。この結果、間隔が10〔mm〕程度の狭い空間等への設置要求に応えることができないなど、汎用性を高める観点からも更なる改善の余地があった。
【0010】
第三に、この種の回転駆動装置は、回転開始,回転停止,回転速度切換,回転方向切換等の制御を、回転動作中において頻繁かつ高速応答で行う必要があるため、コイルの発熱、更には回転駆動装置全体の発熱が大きくなり、出力トルクの低下及び特性変動を招くとともに、回転駆動装置の高温化による寿命の低下やメンテナンスに対する支障を招き、しかも、小型コンパクト化(薄型化)を実現する観点からも支障となる難点があった。
【0011】
第四に、回転駆動装置を特許文献3のような織機に使用する場合、大小二台の回転駆動装置を耳糸の送り方向の前後に並べて配置する必要があるため、織機全体の煩雑化及び大型化を招く。しかも、回転駆動装置の相互間における相対的な位置調整等が必要になるなど、組み付けが煩雑になる。結局、製作性に難があるとともに、織機全体のコストアップを招く難点があった。
【0012】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した回転駆動装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る回転駆動装置1は、上述した課題を解決するため、複数のステータコア部2c…を一体に設けたステータ2及びステータコア部2c…に巻回したステータコイル3…を有する固定体部Mcと、この固定体部Mcに対向する複数の磁極を有するロータマグネット4及びこのロータマグネット4に付設したロータヨーク5を有する可動体部Mmを備えてなる回転駆動装置を構成するに際して、リング形に形成したロータヨーク5,及び複数の磁極をロータヨーク5の周方向Ffに沿って配したロータマグネット4を有する可動体部Mmと、リング形に形成したステータ2に、可動体部Mmに対向する複数のステータコア部2c…を周方向Ffに沿って所定間隔置きに配した固定体部Mcと、ステータコア部2c…に巻回したステータコイル3…の少なくとも一部を熱伝導性を有する絶縁被覆材7により被覆し、かつ当該絶縁被覆材7を、ステータコア部2c…の少なくとも一部に接触させるとともに、絶縁被覆材7を、外部に臨むハウジング部8の内面8iに接触又は近接させた放熱用モールド部9とを備えることを特徴とする。
【0014】
この場合、発明の好適な態様により、ステータ2には、このステータ2に対して位置を固定し、かつローラ周面6f…を可動体部Mmに当接させることにより当該可動体部Mmを旋回自在に支持する複数の支持ローラ6…からなる可動体支持部Msを設けることができるとともに、この支持ローラ6…は、複数のステータコア部2c…における一部のステータコア部を除去して形成される収容空間Scに配設することができる。一方、ハウジング部8は、ステータ2の一端面2s側を固定するベース部8sとステータ2の他端面2t側を覆うカバー部8cとを備えて構成できる。この際、ベース部8s及び/又はカバー部8cは、絶縁被覆材7の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料により形成するとともに、絶縁被覆材7は、ステータコア部2c…のコーティング材2cc…及びステータコイル3…のコーティング材の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料により形成することが望ましい。また、絶縁被覆材7は、ステータコイル3…における、各コイル3単位,又は複数のコイル3,3…単位で被覆することができる。他方、ハウジング部8は、ステータ2の少なくとも一部を通気空間51を介して覆う形状に形成することができ、このハウジング部8には、通気空間51に送風する送風手段52を付設してもよいし、或いは通気空間51に沿って配した熱交換用の通水管53及びこの通水管53に通水する通水手段を付設してもよい。さらに、可動体部Mmの外面Mmoには、可動体部Mmの移動に伴って送風する複数の送風フィン55…を付設することもできる。なお、可動体部Mmは、内周部よりも内方に中空部Saを設けて構成することが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
このような構成を有する本発明に係る回転駆動装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0016】
(1) 可動体部Mmは、リング形に形成したロータヨーク5,及び複数の磁極をロータヨーク5の外周部の周方向Ffに沿って配したリング形のロータマグネット4を有するため、可動体部Mmを旋回させる従来の大型ころがり軸受を排除することができる。これにより、可動体部Mmの大幅な軽量化を実現可能となり、高トルクに対応しつつ、慣性モーメントをより小さくすることができ、回転駆動装置1における十分な高速応答性を確保できるとともに、低コスト性及び省エネルギ性をより高めることができる。
【0017】
(2) リング形に形成したステータ2の内周部に、可動体部Mmの外周部に対向する複数のステータコア部2c…を周方向Ffに沿って所定間隔置きに配した固定体部Mc,及びステータ2に対して位置を固定し、かつローラ周面6f…を可動体部Mmの外周部又は内周部に当接させることにより当該可動体部Mmを旋回自在に支持する複数の支持ローラ6…からなる可動体支持部Msを備えるため、全体の構造をより単純化できることに加え、特に、装置全体の薄型化を実現することができる。この結果、間隔が10〔mm〕程度、又はそれ以下となる狭い空間等への設置要求にも十分に応えることができるなど、汎用性及び発展性に優れた回転駆動装置1として提供することができる。
【0018】
(3) ステータコア部2c…に巻回したステータコイル3…の少なくとも一部を熱伝導性を有する絶縁被覆材7により被覆し、かつ当該絶縁被覆材7を、ステータコア部2c…の少なくとも一部に接触させるとともに、絶縁被覆材7を、外部に臨むハウジング部8の内面8iに接触又は近接させた放熱用モールド部9を設けたため、回転駆動装置1における放熱を有効かつ効率的に行うことができ、ステータコイル3…の発熱、更には回転駆動装置1全体の発熱を低減することができる。これにより、発熱による出力トルクの低下及び特性変動を防止できる。しかも、回転駆動装置1の高温化による寿命の低下やメンテナンスに対する支障を回避できるとともに、更なる小型コンパクト化(薄型化)の実現に貢献することができる。
【0019】
(4) 径方向における全体の長さに対して軸方向における全体の厚さを薄くした回転駆動装置1を構築できるため、例えば、二台の回転駆動装置1,1を組合わせて構成する中耳駆動装置を備える織機に使用する場合であっても、同一の回転駆動装置を軸方向に重ねて配設することができる。したがって、織機全体の小型化及びシンプル化を実現できるとともに、回転駆動装置1,1の相互間における相対的な位置調整等も不要又は極めて容易に行うことができる。しかも、組付けが容易になるなど、製作容易性及び低コスト性に優れる。
【0020】
(5) 好適な態様により、ステータ2に、このステータ2に対して位置を固定し、かつローラ周面6f…を可動体部Mmに当接させることにより当該可動体部Mmを旋回自在に支持する複数の支持ローラ6…からなる可動体支持部Msを設ければ、支持ローラ6…として、小型,軽量かつ様々なバリエーションを有するボールベアリング等の汎用部品を使用できるため、目的とする、より高性能な回転駆動装置1を容易かつ低コストに得ることができる。
【0021】
(6) 好適な態様により、支持ローラ6…を配設するに際し、複数のステータコア部2c…における一部のステータコア部を除去して形成される収容空間Sc…に配設すれば、各支持ローラ6…は、軸方向におけるステータコア部2c…と同位置に配することができるため、各支持ローラ6…による径方向及び軸方向Fsへの無用な突出を回避して、可動体部Mm、更には回転駆動装置1の合理的な薄型化を実現することができる。
【0022】
(7) 好適な態様により、ハウジング部8を構成するに際し、ステータ2の一端面2s側を固定するベース部8sとステータ2の他端面2t側を覆うカバー部8cとを備えて構成すれば、ベース部8sは、固定体部Mcの機械的構成要素の一部として機能させることができるため、回路基板等を配設したり、回転駆動装置1を設置する際の取付機能部等として利用できるとともに、カバー部8cは、粉塵の発生しやすい場所で使用する用途、例えば、自動織機等に用いる場合であっても、糸屑等に基づいて発生する粉塵が防塵カバー17側から回転駆動装置1の内部に侵入するのを防止できるため、回転駆動装置1の信頼性及び耐久性の向上に寄与することができる。
【0023】
(8) 好適な態様により、ハウジング部8を構成するベース部8s及び/又はカバー部8cを、絶縁被覆材7の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料により形成すれば、絶縁被覆材7に伝達された内部の発熱を確実に大気中へ放熱可能になるため、有効かつ効率的な冷却効果を確保できる。
【0024】
(9) 好適な態様により、絶縁被覆材7を、ステータコア部2c…のコーティング材2cc…及びステータコイル3…のコーティング材の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料を用いれば、ステータコイル3…の発熱を効率的に絶縁被覆材7に伝達できるため、有効な放熱効果を確保できる。
【0025】
(10) 好適な態様により、絶縁被覆材7を、ステータコイル3…における、各コイル3単位又は複数のコイル3,3…単位で被覆すれば、ステータコイル3…の全体の数量や大きさ、形状等により被覆態様を選択できるため、回転駆動装置1の設計自由度を高めることができるとともに、放熱効果の最適化を図ることができる。
【0026】
(11) 好適な態様により、ハウジング部8を構成するに際し、ステータ2の少なくとも一部を通気空間51を介して覆う形状に形成すれば、ハウジング部8自身の形状変更等により、容易に通気空間51を確保できるため、この通気空間51を利用した効果的な冷却機能を構築することができる。
【0027】
(12) 好適な態様により、ハウジング部8に対し、通気空間51に送風する送風手段52を付設すれば、通気空間51と送風手段52により空冷機能を構築できるため、有効な冷却機能を確保できる。
【0028】
(13) 好適な態様により、ハウジング部8に対し、通気空間51に沿って配した熱交換用の通水管53及びこの通水管53に通水する通水手段を付設すれば、通気空間51に、通水管53と通水手段を追加することにより水冷機能を構築できるため、より冷却効果の高い冷却機能を実現することができる。
【0029】
(14) 好適な態様により、可動体部Mmの外面Mmoに、可動体部Mmの移動に伴って送風する複数の送風フィン55…を付設すれば、例えば、放射方向外方へ送風可能になるため、放熱効果をより高めることができる。
【0030】
(15) 好適な態様により、可動体部Mmを構成するに際し、内周部よりも内方に中空部Saを設けて構成すれば、いわゆるインナロータタイプとして構成できるため、可動体部Mmの慣性モーメントを低減し、過減速における電流(電力)を低減できるとともに、ステータ2の放熱面積を拡大できる。特に、中空部(空間)Saを利用して糸等を供給する自動織機等に用いて最適となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の好適実施形態に係る回転駆動装置の一部抽出拡大断面図を含むカバー部を除いた正面図、
【
図2】同回転駆動装置の一部抽出拡大図を含む縦断面側面図、
【
図3】同回転駆動装置の放熱用モールド部の変更例を示す一部破断部分を含む正面方向から見た部分構成図、
【
図4】同回転駆動装置に付設した空冷機能を含む原理構成図、
【
図5】同回転駆動装置の一部抽出拡大図を含むセンサ基板部及び被検出部を示す縦断面側面図、
【
図6】同回転駆動装置のセンサ基板部及び被検出部の検出原理説明図、
【
図7】同回転駆動装置の使用例を示す織機用直接電磁駆動式回転耳組システムにおける中耳駆動装置の正面図、
【
図9】同中耳駆動装置における回転数の変化を示すタイムチャート、
【
図11】同回転駆動装置の変更例を示すアウタロータタイプの側面方向から見た部分構成図、
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0033】
まず、本実施形態に係る回転駆動装置1の構成について、
図1-
図6,
図10を参照して説明する。
【0034】
図1は回転駆動装置1の機構部における全体構成を示す。回転駆動装置1は、大別して固定体部Mc,可動体部Mm,及び可動体支持部Msにより構成する。
【0035】
固定体部Mcは、全体をリング形に一体形成した
図1に示すステータ2を備える。このステータ2にはケイ素鋼板等の無方向性電磁鋼板を複数枚積層した積層体を用いることができる。このようなステータ2を使用すれば、渦電流損を有効に低減できる。この場合、無方向性電磁鋼板は、圧延方向等の製造条件により磁気的には僅かな方向性を持つため、積層体の製作に際しては、転積方式により磁気的な方向性を無くすことができる。即ち、三相モータの場合、ステータ2は、120゜回転対称形状により後述するステータコア部2c…及び収容空間Sc…を有するため、積層時には120゜,240゜変位させればよい。なお、この際、転積マーク(小さい切欠等)をステータ2の外周部に1ケ所設け、確実に転積されていることを目視で確認することができる。また、積層してカシメ等により固定したステータ2は、加工歪を除去するため、磁気焼鈍を行うことが望ましい。
【0036】
ステータ2は、
図1の一点鎖線円Aで示す一部抽出拡大断面図のように、内周部に、周方向Ffに沿って所定間隔置きに配し、かつ中心方向に突出したT形状をなす複数のステータコア部2c…を一体に有する。ステータコア部2cにおける軸方向Fsの幅寸法は、後述するロータマグネット4の軸方向Fsの幅寸法に対して、概ね0.8倍、或いはそれ以下に選定することが望ましい。このように選定すれば、ロータマグネット4とステータコア部2c間の磁気吸引力を均等にできるため、後述する可動体部Mmを磁気中心位置で安定に保持することができる。
【0037】
各ステータコア部2c…は、可動体部Mmの外周部に対して僅かなギャップを介して対向する。例示の場合、各ステータコア部2c…の相互間は、間隔を一定に設定した際に、ステータコア部2c…の極数が二十四極になるピッチ(間隔)を選定するとともに、連続する三つのステータコア部2c…を残存させ、次のステータコア部2cを除去することにより収容空間Scとして形成する配置パターンを順次設ける。これにより、ステータコア部2c…の全体を十八極に設定し、かつ周方向Ffに一定間隔おきに配される六つの収容空間Sc…を設けている。また、各収容空間ScとSc…間には、三つのステータコア部2c…が存在することになり、各ステータコア部2c…は、U相,V相,W相からなる三相の磁極により、三相ブラシレスモータとして、パルス幅変調駆動制御(PWM駆動制御)により回転制御することができる(
図4参照)。
【0038】
特に、織機用直接電磁駆動式回転耳組システムにおける中耳駆動装置(
図8参照)のように、2台の回転駆動装置1(1x),1(1y)を並列に重ねて配置する場合には、回転駆動装置1x,1y間の電磁ノイズによるクロストークを低減するため、後述する軟磁性の鉄素材により形成することが望ましく、並置した2台の回転駆動装置1x,1yをそれぞれPWM駆動制御した場合には、発生した高周波の電磁ノイズ(クロストーク)をシールドして誤動作を防止することができる。
【0039】
さらに、ステータ2における少なくとも各ステータコア部2c…の巻線部位には、
図2に示すように、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等の電着塗装により、層厚が数十乃至数百〔μm〕となるコーティング材2cc…を絶縁被膜として施す。そして、ステータコア部2c…には、絶縁被覆導線を用いたコイルワイヤ(マグネットワイヤ)を巻回したステータコイル3…を付設する。コイルワイヤは、一般に、銅線の外周にコーティング材となるポリウレタン樹脂やポリエステル樹脂等の数十〔μm〕前後の絶縁被膜が施され、電気的短絡を防止している。
【0040】
一方、固定体部Mcの一端面2s(背面側)にはリング形のベース部8sを備える。このベース部8sは、熱伝導性(放熱性)が高く、かつ非磁性を有するアルミニウム素材により一体形成することが望ましい。このベース部8sは、
図2に示すように、ステータ2の一端面2sに重ね、不図示の固定ネジで固定することによりステータ2を支持するとともに、このベース部8sの内面側には、後述する可動体支持部Msを配設する。
【0041】
このように、固定体部Mcに、ステータ2の一端面2sを支持し、かつ可動体支持部Msを配設するリング形のベース部8sを設ければ、このベース部8sは、固定体部Mcの機械的構成要素の一部として機能させることができるため、後述する支持ローラ6…のみならず、回路基板等を配設するためのハウジング機能部や回転駆動装置1を設置する際の取付機能部等として利用することができる。
【0042】
また、固定体部Mcの他端面2t(正面側)には、当該他端面2t側を覆うカバー部8cを配設する。このカバー部8cは、熱伝導性(放熱性)が高く、かつ非磁性を有するアルミニウム素材により形成する。なお、自動織機における中耳駆動装置のように、二台の回転駆動装置1,1を軸方向Fsに重ねて配設する場合は、回転駆動装置1,1同士間の電磁ノイズによるクロストークを低減するため、軟磁性の鉄素材により形成することが望ましい。このようなカバー部8cを付設すれば、粉塵の発生しやすい場所で使用する用途、例えば、自動織機等に用いる場合であっても、糸屑等に基づいて発生する粉塵がカバー部8c側から回転駆動装置1の内部に侵入するのを防止できるため、回転駆動装置1の信頼性及び耐久性の向上に寄与することができる。
【0043】
ベース部8sとカバー部8cは、固定ネジ61…(
図7参照)により固定され、一体化されたハウジング部8が構成される。ハウジング部8は、回転駆動装置1のケーシングを兼ねており、ベース部8sの外面とカバー部8cの外面は外部に臨む部位、即ち、回転駆動装置1の最外郭に位置する。
【0044】
ところで、前述したステータコア部2c…のコーティング材2cc…やステータコイル3…のコーティング材は、通常、不純物による電気抵抗の低下を防止するため、熱伝導率が0.2〔W/(m・K)〕程度と低いため、通電により発熱が生じた際は、この発熱を如何に放熱させるかが課題となる。
【0045】
本発明では、この課題を解決するため、
図1に示すように、ステータコア部2c…に巻回したステータコイル3…の少なくとも一部、望ましくは全部を熱伝導性を有する絶縁被覆材7により被覆し、かつ当該絶縁被覆材7を、ステータコア部2c…の少なくとも一部に接触させるとともに、絶縁被覆材7を、外部に臨むハウジング部8の内面8iに接触又は近接させた放熱用モールド部9を設けた。
【0046】
絶縁被覆材7には、変成シリコン樹脂材や変成エポキシ樹脂材等の各種樹脂材をはじめ、特に、放熱を目的としたアルミナや金属を分散させた樹脂材が望ましく、熱伝導率を飛躍的に高めることができる。一例として、アルミナを分散させた樹脂材の場合には、熱伝導率を約一桁高めることができる。絶縁被覆材7による被覆は、射出成形によるインサート成形或いは塗布工程等により実施可能である。
【0047】
図1の一点鎖線円Aで示す一部抽出拡大断面図は、ステータコア部2c…に巻回したステータコイル3…の周面とステータ2の内面に被覆した放熱用モールド部9を示しており、例示の場合、放熱用モールド部9の層厚は、概ね1〔mm〕前後である。なお、
図1に示す放熱用モールド部9は、絶縁被覆材7を、ステータコイル3…における、各コイル3単位で被覆した例を示す。一方、
図3に示す変更例のように、複数のコイル3,3…単位で被覆することも可能である。
図3は、三つのコイル3,3,3単位で被覆した例であり、この場合には、各コイル3と3…間の隙間にも絶縁被覆材7が充填された状態となる。このように、絶縁被覆材7は、ステータコイル3…における、各コイル3単位又は複数のコイル3,3…単位で被覆することが可能であり、ステータコイル3…の全体の数量や大きさ、形状等により被覆態様を選択できる。この結果、回転駆動装置1の設計自由度を高めることができるとともに、放熱効果の最適化を図ることができる。
【0048】
また、絶縁被覆材7は、ステータコア部2c…のコーティング材2cc…及びステータコイル3…のコーティング材の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料を用いることが望ましい。これにより、ステータコイル3…の発熱を効率的に絶縁被覆材7に伝達できるため、有効な放熱効果を確保できる。
【0049】
さらに、
図2の一点鎖線円Bで示す一部抽出拡大図のように、放熱用モールド部9の絶縁被覆材7は、外部に臨むハウジング部8の内面8iに接触又は近接させる。
図2の形態例は、絶縁被覆材7をベース部8sの内面8iに接触させるとともに、カバー部8cの内面8iに接触させた場合を示している。なお、このように接触させる態様が望ましいが、絶対的条件ではなく、必要により僅かな隙間が存在させて近接させる態様であってもよい。この場合、隙間は0.5〔mm〕以下が望ましい。
【0050】
このため、ハウジング部8を構成するベース部8s及びカバー部8cは、絶縁被覆材7の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料により形成する。例示の場合、ベース部8s及びカバー部8cはいずれも放熱性(熱伝導率)の高いアルミニウム素材を用いている。このような素材条件により、絶縁被覆材7に伝達された内部の発熱は、確実に大気中へ放熱可能になるため、有効かつ効率的な冷却効果を確保できる。
【0051】
加えて、本実施形態では、
図2及び
図4に示すように、前述したハウジング部8を構成するに際しては、ステータ2の少なくとも一部を通気空間51を介して覆う形状に形成する。この場合、ハウジング部8は、ベース部8sとカバー部8cを組合わせて構成するため、例えば、
図2に示すように、ベース部8s(カバー部8c)の形状を変更することにより、周方向に沿った通気空間51を形成することができる。このように、ハウジング部8自身の形状変更等により、容易に通気空間51を確保できるため、この通気空間51を利用した効果的な冷却機能を構築することができる。
【0052】
図2は、ハウジング部8に対し、通気空間51に送風する送風手段52を付設したものであり、外部の送風装置から送風管52pを通して通気空間51に送風することができる(
図4参照)。このように、通気空間51と送風手段52により空冷機能を容易に構築できるため、有効な冷却機能を確保できる。
図4中、点線矢印は送風経路を示す。なお、この送風管52pに対して180〔゜〕反対側の位置には、
図11に示すように、通気空間51の排気を行う排気口51e…を設けることができる。
【0053】
また、
図2の一点鎖線円Cで示す一部抽出拡大図のように、通気空間51に沿って配した熱交換用の通水管53を配することができるとともに、この通水管53に通水する通水手段を付設することもできる。このように、通気空間51に沿って配した熱交換用の通水管53及びこの通水管53に通水する通水手段を付設すれば、通気空間51に、通水管53と通水手段を追加することにより水冷機能を構築できるため、より冷却効果の高い冷却機能を実現することもできる。
【0054】
他方、可動体部Mmは、リング形に形成したロータヨーク5,及び複数の磁極をロータヨーク5の外周部の周方向Ffに沿って配したリング形のロータマグネット4を備えて構成する。
【0055】
この場合、ロータマグネット4は、
図4に示すように、周方向Ffへ三十二極に分割着磁したリング形の一体成型マグネットを用いる。このようなロータマグネット4を用いれば、複数の個別のマグネットを組付ける必要がないため、組付の容易化,均質化,強度アップ及び低コスト化を図ることができることに加え、特に、ロータマグネット4の薄型化が可能になるため、可動体部Mmの軽量化による慣性モーメントの更なる低減に寄与することができる。
【0056】
また、ロータヨーク5は、鉄等の軟磁性材により全体をリング形に一体形成する。この場合、ロータヨーク5は、ロータマグネット4の厚みよりも薄く形成する。このように形成すれば、ロータマグネット4の薄型化と併せ、複数極の分割着磁により磁気回路の飽和を回避しつつ軽量化を可能にするため、特に、比重の大きいロータヨーク5及びロータマグネット4の軽量最小化を実現できるなど、可動体部Mmを構成する際における最適な形態として実施できる。そして、このロータヨーク5の外周部に対して、ロータマグネット4の内周部が当接するように組付けることができる。
【0057】
さらに、可動体部Mmは、ロータマグネット4及びロータヨーク5を保持する
図5(
図2)に示すロータ保持部13を備える。例示のロータ保持部13は、インナリング部13aとアウタリング部13bの組合わせにより構成する。各リング部13a,13bは、慣性モーメント及び摩耗負荷が小さく、かつ耐摩耗性に優れた潤滑性合成樹脂を用いてリング状となるようにそれぞれ一体成形したものである。なお、潤滑性合成樹脂としては、フッ素樹脂、キャストナイロン樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂等を用いることができる。また、潤滑性合成樹脂の代わりに、非磁性の金属であって比重の小さいもの、例えば、マグネシウム合金で形成すれば、樹脂素材に近い慣性モーメントが得られるため、マグネシウム合金固有の振動吸収性のメリットを享受できる。
【0058】
このように、ロータ保持部13(インナリング部13aとアウタリング部13b)を形成するに際し、全体を潤滑性合成樹脂素材により形成すれば、潤滑性合成樹脂素材の有する物性を利用できるため、可動体部Mmの円滑な回転(可動)を実現できるとともに、回転動作時(可動時)における振動及び騒音を効果的に吸収することができる。なお、例示の場合、ロータ保持部13の全部(全体)を潤滑性合成樹脂素材により一体形成した場合を示したが、一部を潤滑性合成樹脂素材により形成し、他の残部を他の素材(非磁性金属素材等)により形成することも可能である。
【0059】
インナリング部13aは、
図5に示すように、ロータヨーク5の内周面を保持するリング本体部14dと、このリング本体部14dの軸方向Fsにおける一方側の端縁に一体形成することにより、ロータマグネット4とロータヨーク5の一方の端面(正面側)を保持するリング形のサイド部14pにより構成する。また、アウタリング部13bは、ロータマグネット4の外周面を保持するリング形のリング本体部14uと、このリング本体部14uの軸方向Fsにおける他方側の端縁に一体形成することにより、ロータマグネット4とロータヨーク5の他方の端面(背面側)を保持するリング形のサイド部14qにより構成する。
【0060】
さらに、各サイド部14p,14qの上端位置には、それぞれ上方へ突出形成したレール部14pr,14qrを一体形成し、このレール部14pr,14qrとリング本体部14uの上面により凹形状のレール溝15を形成する。これにより、このレール溝15に、後述する各支持ローラ6…を係合させることができる。なお、実施形態の場合、ロータ保持部13の内周面における180〔゜〕離間した位置には、糸ガイド31U,31Lを設けている(
図7参照)。
【0061】
このように、可動体部Mmを構成するに際し、レール溝15を設ければ、固定体部Mcに対する可動体部Mmの軸方向Fsへの相対的変位は、磁気力により規制されるも、外乱等の作用による機械的な変位が生じた場合には、各レール部14pr,14qrにより規制されるため、固定体部Mcに対する、いわば可動体部Mmの抜脱を回避することができ、安定性及び信頼性をより高めることができる。
【0062】
他方、可動体支持部Msは、ステータ2に対して位置を固定した三つの支持ローラ6…により構成する。この場合、
図1に示すように、各支持ローラ6…の中心を回動自在に支持するローラ支軸部6s…をベース部8sに取付けるとともに、各支持ローラ6…を周方向Ffに、120〔゜〕間隔で位置する上述した三つの収容空間Sc…に収容可能となるように配設位置を選定し、さらに、支持ローラ6のローラ周面6fが可動体部Mmの外周部に当接するように支持ローラ6の外径等を選定する。
【0063】
なお、三つの支持ローラ6…は、各ローラ周面6f…を、前述した可動体部Mmの外周部に当接させることにより当該可動体部Mmを旋回自在に支持する機能を有するため、ステータコア部2c…の数量等を考慮することにより、一般的には、三つ以上となる複数の支持ローラ6…により構成することができる。支持ローラ6…を4ケ所以上に配設する際は、最小個数となる3ケ所の支持ローラ6…を基準にして、可動体部Mmに対する若干の隙間(数十〔μ〕程度)を介して配設すれば、組立が容易になるとともに、さらに、回転駆動装置1…を取付ける織機等の装置本体における振動の大きい方向や重力方向を勘案して配置すれば、より安定した回動動作を得ることができる。
【0064】
各支持ローラ6…には、ボールベアリング又はローラベアリング等のラジアル軸受を用いる。支持ローラ6としてラジアル軸受を用いれば、小型,軽量かつ様々なバリエーションを有するボールベアリング等の汎用部品を使用できるため、目的とする、より高性能な回転駆動装置1を容易かつ低コストに得ることができる。なお、支持ローラ6…はラジアル軸受を用いることが望ましいが、軟磁性の材質により構成されている場合には、超高分子量ポリエチレンやポリアセタール等の摺動性の良好な樹脂素材からなる非磁性の樹脂スリーブをラジアル軸受の外周に固着し、ロータマグネット4に対して発生する磁気吸引力によるコギングの発生を低減することができる。この場合、ロータマグネット4とラジアル軸受間の磁気空隙は、ロータマグネット4とステータコア2c…間の磁気空隙よりも大きく設定することが望ましい。
【0065】
また、コギングをより低減するには、ラジアル軸受をセラミック素材により構成するか、或いはラジアル軸受を省略し、上述した樹脂スリーブのみで支持ローラ6…を構成してもよい。これにより、強力な磁力を発生する焼結による異方性ネオジウム磁石を貼り合せたロータマグネット4を用いた場合でも支持ローラ6…によるコギングをほぼ皆無にすることができる。
【0066】
一方、支持ローラ6をベース部8sに取付けるに際しては、取付ネジ23とカラー24によりローラ支軸部6sを構成し、カラー24を支持ローラ6の内孔に挿入するとともに、このカラー24に取付ネジ23を挿通させることによりベース部8sに形成したネジ孔に螺着することができる。
【0067】
このように、ステータ2に、このステータ2に対して位置を固定し、かつローラ周面6f…を可動体部Mmに当接させることにより当該可動体部Mmを旋回自在に支持する複数の支持ローラ6…からなる可動体支持部Msを設ければ、支持ローラ6…として、小型,軽量かつ様々なバリエーションを有するボールベアリング等の汎用部品を使用できるため、目的とする、より高性能な回転駆動装置1を容易かつ低コストに得ることができる。
【0068】
支持ローラ6…を配設するに際し、複数のステータコア部2c…における一部のステータコア部を除去して形成される収容空間Sc…に配設すれば、各支持ローラ6…は、軸方向におけるステータコア部2c…と同位置に配することができるため、各支持ローラ6…による径方向及び軸方向Fsへの無用な突出を回避して、可動体部Mm、更には回転駆動装置1の合理的な薄型化を実現することができる。
【0069】
なお、六つの収容空間Sc…における三つ収容空間Sc…は、支持ローラ6…の収容空間Sc…として利用したが、残りの三つ収容空間Sc…は、検出系配設空間として利用し、
図5及び
図1に示すように、センサ基板部62,磁極センサ63,64を配設することができる。
図1に示す磁極センサ63,64は、本実施形態では使用しないが、ロータマグネット4の磁極の位置を検出することができる。
【0070】
センサ基板部62は、
図5に示すように、ベース部8sに対して位置が固定された支持部65と、この支持部65に固定したプリント基板66を備え、このプリント基板66には、二つの反射型光学センサ(67,68)が実装される。この場合、一方のセンサは原点センサ67として機能し、他方のセンサはエンコーダセンサ68として機能する。原点センサ67は発光部と受光部を一つずつ持ち、原点信号Zを出力する。エンコーダセンサ68は、一つの発光部と異なる位相で等ピッチで並べられた三つの受光部を持ち、受光部の信号を論理合成することにより、エンコーダ信号AB(信号Aと信号Bの位相差は90〔゜〕)を出力する。この論理合成は、二つの受光部よりも平均化により誤差を小さくするためのものであり、三つの受光部の出力をP,Q,Rとした場合、P-(P+R)/2をコンパレートして信号Aを得、Q-(P+R)/2をコンパレートして信号Bを得るとともに、回転方向も検出することができる。
【0071】
一方、前述したロータ保持部13の外周面には、各センサ67,68により検出される被検出部71を設ける。この場合、ロータ保持部13における一方のレール部14prの上面を、周方向に沿って平坦面に形成し、この周方向の一ケ所に
図6(b)に示す反射マーク72を設ける。これにより、原点センサ67によりZ相と呼ばれる絶対位置を反射マーク72により検出、即ち、一周に一回検出する。また、ロータ保持部13における他方のレール部14qrの上面を、周方向に沿って平坦面に形成し、この平坦面上に、
図6(a)に示す反射マーク73c…と非反射マーク73n…を交互に表示した繰り返しパターン73を設ける。この繰り返しパターン73は、周方向の360〔゜〕にわたって設けられ、その繰り返し回数は、例示の場合、360回となる。繰り返しパターン73は、各エンコーダセンサ68により検出される。
【0072】
なお、光学センサの発光部には、通常、赤外波長の発光素子が多く用いられるが、マグネシウム合金やアルミニウム合金のように極めて赤外分光反射率が高いものを反射面とする場合には、外周の凹凸形成や塗分けにより反射/非反射パターンを形成することが望ましく、また、合成樹脂素材のように極めて赤外分光反射率が低いものを反射面とする場合には、反射率の高い塗料による塗分けや凹凸を形成した上での金属メッキにより反射/非反射パターンを形成することが望ましい。このようなパターンを薄型の回転駆動装置1の内部に設けることによりABZのエンコーダ信号を検出することができる。
【0073】
次に、本実施例に係る回転駆動装置1の製造手順の一例について、各図を参照して説明する。
【0074】
まず、ロータヨーク5に、未着磁のロータマグネット4を固定する。この場合、ロータヨーク5とロータマグネット4を位置決めし、接着剤等を用いて固定する。そして、ロータヨーク5に固定した未着磁のロータマグネット4に対して着磁処理を行う。
【0075】
次いで、一体化されたロータヨーク5とロータマグネット4の一端側に対し、接着剤等を用いてインナリング部13aの取付けを行う。また、ロータヨーク5とロータマグネット4の他端側に対し、接着剤等を用いてアウタリング部13bの取付けを行う。これにより、可動体部Mm側における可動体中間アセンブリの組立が終了する。
【0076】
一方、ステータ2における各ステータコア部2c…に対してコイルワイヤを巻回する。これにより、各ステータコア部2c…にステータコイル3…が付設される。また、ベース部8sにプリント基板66等の取付けを行う。そして、ベース部8sに対してステータ2の取付けを行うとともに、ステータ2におけるステータコイル3…をプリント基板66等に対して半田付け等により接続する。これにより、固定体部Mc側における固定体中間アセンブリの組立が終了する。
【0077】
次いで、固定体中間アセンブリに対して可動体中間アセンブリを定位置にセッティングする。そして、この状態において、三つの支持ローラ6…を各収容空間Sc…に収容し、ベース部8sに対する支持ローラ6…の取付けを行う。支持ローラ6の取付けは、カラー24を支持ローラ6の内孔に挿入するとともに、このカラー24に取付ネジ23を挿通させることによりベース部8sに形成したネジ孔に螺着する。これにより、各支持ローラ6は、取付ネジ23とカラー24により構成されたローラ支軸部6sにより回動自在に支持される可動体支持部Msが構成される。この後、カバー部8c及びベース部8sを固定ネジ61…を用いて取付ければ、目的の回転駆動装置1を得ることができる。
【0078】
このように構成する回転駆動装置1は、各ステータコイル3…及び図示を省略したセンサ類を、回路基板22を介して不図示の駆動コントローラに接続すれば、三相DCブラシレスモータとして回転駆動させることができる。この場合、各相におけるステータコイル3…は、公知のスター結線やデルタ結線等の結線方法により結線することができるとともに、特に、バイポーラ駆動方式を採用することによりトルクリップルを低減することができる。なお、三相を例示したが、二相,四相,五相等の各種多相方式により実施可能である。また、実施形態で示した回転駆動装置1のディメンションは、外径は150〔mm〕,内径(中空部Saの経)は80〔mm〕,軸方向Fsの厚さ(幅寸法)は10〔mm〕である。
【0079】
図7及び
図8は、回転駆動装置1を、織機用直接電磁駆動式回転耳組システムにおける中耳駆動装置Muとして使用する場合の一例であり、一対の回転駆動装置1,1が取付部81に取付けられている。この中耳駆動装置Muは、
図8に示すように、軸方向Fsへ二台の回転駆動装置1,1が僅かな隙間を介して重なるように並べて設置される。なお、82は経糸を上下に開き分ける綜絖(ヘルド)を示す。
【0080】
中耳駆動装置Muは、織物が進行方向の両側へ解れるのを防止するため、耳糸を緯糸に絡ませる機能を備える。中耳とは、幅広の織物の送り方向の中央部位で緯糸と耳糸とを2ケ所絡ませるとともに、同時に2反の織物を形成可能にして生産性向上を図ったものであり、中耳駆動装置Muを経糸の間に配設して使用する。
【0081】
なお、織物や編物は、通常、経糸と緯糸で構成されるため、ヘルドにより経糸を交互に上下させ、ヘルドの上死点と下死点付近で緯糸を通しているが、端部で解れてしまう。このため、端部で耳糸を緯糸に絡ませることにより解れを防止している。したがって、回転駆動装置1…は、全体で20〔mm〕程度の幅寸法以内に抑えなければ設置できないため、従来は、前述した特許文献3のように織物の送り方向の前後に二台の回転駆動装置を直列的に配置している。
【0082】
本実施形態で示す中耳駆動装置Muは、幅寸法を10〔mm〕に構成した回転駆動装置1…を二台使用するとともに、
図8に示すように、軸方向Fsへ二台の回転駆動装置1,1を僅かな隙間を介して重なるように並べて設置する。即ち、同一となる二台の回転駆動装置1,1の一方を耳糸Ta,Tb用の回転駆動装置1xとして使用し、他方を耳糸Tc,Td用の回転駆動装置1yとして使用する。この場合、耳糸Ta,Tb,Tc,Tdは、図示しないボビンからそれぞれ供給され、耳糸Ta,Tbは一方の回転駆動装置1xの上流側から糸ガイド31U,31Lを通して下流側に供給されるとともに、耳糸Tc,Tdは、他方の回転駆動装置1yの上流側から糸ガイド31U,31Lを通して下流側に供給される。
【0083】
そして、各回転駆動装置1x,1yは、
図9に示すような回転数Rに駆動制御される。即ち、停止状態から急峻な加速により回転数ruが上昇し、この後、急峻な減速により回転数rdが下降し、この後、一定時間rsだけ停止する一周期tcを繰り返す。その間180〔゜〕単位(加速及び減速により180〔゜〕回転)で、耳糸Taと耳糸Tbの上下位置が反転し、緯糸に絡ませることができる。この動作を20〔回〕程度繰り返した後、回転方向を反転して同様な動作を行う。なお、停止する一定時間rsは、速度が0になる本来の停止状態のみならず僅かな速度(概ね最高速度の1/5以下)の低速状態も含む概念である。
【0084】
このように、実施形態で示した回転駆動装置1は、径方向における全体の長さに対して軸方向における全体の厚さを薄くした回転駆動装置1を構築できるため、例示のような二台の回転駆動装置1,1を組合わせて構成する中耳駆動装置Muを備える織機に使用する場合であっても、同一の回転駆動装置を軸方向に重ねて配設することができる。したがって、織機全体の小型化及びシンプル化を実現できるとともに、回転駆動装置1,1の相互間における相対的な位置調整等も不要又は極めて容易に行うことができる。しかも、組付けが容易になるなど、製作容易性及び低コスト性に優れる。さらに、固定体部Mcの内側に可動体部Mmを配したインナロータタイプとして構成したため、可動体部Mmの慣性モーメントを低減し、加減速における電流(電力)を低減できるとともに、ステータ2の放熱面積を拡大できる。したがって、特に、中空部(空間)Saを利用して糸等を供給する自動織機等に用いて最適となる。
【0085】
図10には、実施形態で示した回転駆動装置1の温度変化特性、即ち、経過時間〔s〕に対する上昇温度〔℃〕特性を示す(印加電圧16〔V〕,駆動電流2〔A〕)。
図10において、Pic,Pimは、モールド部9を設けた本実施形態に係る回転駆動装置1の温度変化特性を示すとともに、Prc,Prmは比較例となる放熱用モールド部9を設けない従来タイプの回転駆動装置の温度変化特性を示す。また、Pic,Prcは、ステータコイル3又はモールド部9の表面温度を示すとともに、Pim,Prmは、ベース部8sの外面温度を示す。
【0086】
図10から明らかなように、例えば、モールド部9を設けない場合、駆動後の60〔分〕経過時点では、ステータコイル3におけるモールド部9の表面温度が37.4〔℃〕に、ベース部8sの外面温度が、約22.7〔℃〕にそれぞれ上昇したが、モールド部9を設けた本実施形態の場合には、ステータコイル3におけるモールド部9の表面温度の上昇は、約15.1〔℃〕に、ベース部8sの外面温度の上昇は、約4.9〔℃〕にそれぞれ止まり、十分な放熱効果が得られることを確認できた。
【0087】
また、
図11には、冷却機能を追加する場合の変更例を示す。なお、
図1-
図10の実施形態は、固定体部Mcの内側に可動体部Mmを配したインナロータタイプとして構成したが、本発明に係る回転駆動装置1は、
図11に示す変更例のように、アウタロータタイプして構成することも可能である。
図11は、冷却機能として、可動体部Mmの移動(回転)を利用した空冷機能を設けたものであり、可動体部Mmの外面Mmoに、可動体部Mmの移動に伴って送風する複数の送風フィン55…を設けた。具体的には、ロータ保持部13におけるサイド部14p,14qの各外面に、複数の送風フィン55…を周方向へ所定間隔置きに一体形成した。これにより、可動体部Mmが回転した際には、放射方向外方へ送風が可能になり、より放熱効果を高める空冷機能を付加することができる。なお、
図11は、アウタロータタイプの場合について説明したが、
図1-
図10に示したインナロータタイプの場合であっても同様に設けることができる。
【0088】
よって、このような本実施形態に係る回転駆動装置1によれば、基本構成として、リング形に形成したロータヨーク5,及び複数の磁極をロータヨーク5の周方向Ffに沿って配したロータマグネット4を有する可動体部Mmと、リング形に形成したステータ2に、可動体部Mmに対向する複数のステータコア部2c…を周方向Ffに沿って所定間隔置きに配した固定体部Mcと、ステータコア部2c…に巻回したステータコイル3…の少なくとも一部を熱伝導性を有する絶縁被覆材7により被覆し、かつ当該絶縁被覆材7を、ステータコア部2c…の少なくとも一部に接触させるとともに、絶縁被覆材7を、外部に臨むハウジング部8の内面8iに接触又は近接させた放熱用モールド部9とを備えるため、可動体部Mmは、リング形に形成したロータヨーク5,及び複数の磁極をロータヨーク5の外周部の周方向Ffに沿って配したリング形のロータマグネット4を有するため、可動体部Mmを旋回させる従来の大型ころがり軸受を排除することができる。これにより、可動体部Mmの大幅な軽量化を実現可能となり、高トルクに対応しつつ、慣性モーメントをより小さくすることができ、回転駆動装置1における十分な高速応答性を確保できるとともに、低コスト性及び省エネルギ性をより高めることができる。
【0089】
また、リング形に形成したステータ2の内周部に、可動体部Mmの外周部に対向する複数のステータコア部2c…を周方向Ffに沿って所定間隔置きに配した固定体部Mc,及びステータ2に対して位置を固定し、かつローラ周面6f…を可動体部Mmの外周部又は内周部に当接させることにより当該可動体部Mmを旋回自在に支持する複数の支持ローラ6…からなる可動体支持部Msを備えるため、全体の構造をより単純化できることに加え、特に、装置全体の薄型化を実現することができる。この結果、間隔が10〔mm〕程度、又はそれ以下となる狭い空間等への設置要求にも十分に応えることができるなど、汎用性及び発展性に優れた回転駆動装置1として提供することができる。
【0090】
しかも、ステータコア部2c…に巻回したステータコイル3…の少なくとも一部を熱伝導性を有する絶縁被覆材7により被覆し、かつ当該絶縁被覆材7を、ステータコア部2c…の少なくとも一部に接触させるとともに、絶縁被覆材7を、外部に臨むハウジング部8の内面8iに接触又は近接させた放熱用モールド部9を設けたため、回転駆動装置1における放熱を有効かつ効率的に行うことができ、ステータコイル3…の発熱、更には回転駆動装置1全体の発熱を低減することができる。これにより、発熱による出力トルクの低下及び特性変動を防止できる。しかも、回転駆動装置1の高温化による寿命の低下やメンテナンスに対する支障を回避できるとともに、更なる小型コンパクト化(薄型化)の実現に貢献することができる。
【0091】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0092】
例えば、ステータコア部2c…の数量(極数)及びロータマグネット4の極数は、例示の数量(極数)に限定されるものではなく、一般的には任意の複数に基づいて実施可能である。また、支持ローラ6…としてラジアル軸受を用いることが望ましいが、単純構造となるコロ等を利用したローラ機能を排除するものではない。一方、絶縁被覆材7を、ハウジング部8の内面8iに接触させることが望ましいが、僅かな隙間を介して近接させる場合を排除するものではない。この際、ベース部8s及びカバー部8cの双方に接触又は近接させる場合が望ましいが、いずれか一方に接触又は近接させる場合を排除するものではない。ベース部8s及び/又はカバー部8cは、絶縁被覆材7の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料により形成するとともに、絶縁被覆材7は、ステータコア部2c…のコーティング材2cc…及びステータコイル3…のコーティング材の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料により形成することが望ましいが、必ずしも必須の構成要素ではなく、例えば、同一の熱伝導率に設定する場合を排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明に係る回転駆動装置は、内側に中空部を確保することにより、この中空部に各種の特定機能部を付加して使用する、例示の自動織機,RGBカラーフィルタ(光学装置),送風装置をはじめ、開口制御装置,シャッタ装置(光学制御装置),ロボットのハンド装置,インホイールモータ等の各種用途に利用することができる。
【符号の説明】
【0094】
1:回転駆動装置,2:ステータ,2c…:ステータコア部,2cc…:コーティング材,2s:ステータの一端面,2t:ステータの他端面,3…:ステータコイル,4:ロータマグネット,5:ロータヨーク,6…:支持ローラ,6f…:ローラ周面,7:絶縁被覆材,8:ハウジング部,8i:ハウジング部の内面,8s:ベース部,8c:カバー部,9:放熱用モールド部,51;通気空間,52:送風手段,53:通水管,55…:送風フィン,Mc:固定体部,Mm:可動体部,Mmo:可動体部の外面,Ms:可動体支持部,Ff:周方向,Sc:収容空間,Sa:中空部