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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104323
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】撮像装置およびカメラシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20230721BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20230721BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20230721BHJP
   H04N 25/76 20230101ALI20230721BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 E
H01L27/04 C
H01L27/06 102A
H01L27/04 H
H04N5/374
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005242
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小林 努
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 好弘
(72)【発明者】
【氏名】西谷 貴幸
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
5F038
5F048
【Fターム(参考)】
4M118AA05
4M118AB01
4M118BA07
4M118BA14
4M118CA02
4M118CA14
4M118CA20
4M118CA24
4M118CB06
4M118CB14
4M118CB20
4M118DD04
4M118DD09
4M118DD12
4M118FA06
4M118FB16
5C024CX03
5C024CY47
5C024GX02
5C024GX07
5C024GX16
5C024GX18
5C024GY31
5C024GY39
5C024HX17
5F038AC04
5F038AC05
5F038AC07
5F038AC09
5F038AC10
5F038AC15
5F038AC16
5F038BH10
5F038BH19
5F038CD02
5F038CD12
5F038CD13
5F038EZ01
5F038EZ14
5F038EZ20
5F048AB10
5F048AC10
5F048BA01
5F048BF02
5F048BF03
5F048BF07
5F048BF15
5F048BF16
5F048BG13
(57)【要約】
【課題】ノイズを低減する。
【解決手段】撮像装置は、複数の画素10を備える。複数の画素10のそれぞれは、光を信号電荷に変換する光電変換部100と、第1電極160および第2電極180を含み、第1電極160が光電変換部100に電気的に接続されるように構成された容量素子150と、を含む。複数の画素10は、第1画素10Aおよび第2画素10Bを含む。第1画素10Aの容量素子150Aの第2電極180Aと、第2画素10Bの容量素子150Bの第2電極180Bとは、連続する単一の電極である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を備え、
前記複数の画素のそれぞれは、
光を信号電荷に変換する光電変換部と、
第1電極および第2電極を含み、前記第1電極が前記光電変換部に電気的に接続されるように構成された容量素子と、
を含み、
前記複数の画素は、第1画素および第2画素を含み、
前記第1画素の前記容量素子の前記第2電極と、前記第2画素の前記容量素子の前記第2電極とは、連続する単一の電極である、
撮像装置。
【請求項2】
前記連続する単一の電極は、平面視において、前記第1画素の前記光電変換部と前記第2画素の前記光電変換部との間の領域と少なくとも一部で重なる、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記光電変換部は、画素電極と、対向電極と、前記画素電極および前記対向電極との間の光電変換層と、を含み、
前記容量素子は、前記画素電極と電気的に接続するように構成され、
前記連続する単一の電極は、平面視において、前記第1画素の前記画素電極と前記第2画素の前記画素電極との間の領域と少なくとも一部で重なる、
請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記複数の画素は、第3画素を含み、
前記第2画素は、第1方向において前記第1画素に隣接し、
前記第3画素は、前記第1方向とは異なる第2方向において前記第1画素に隣接し、
前記連続する単一の電極は、前記第3画素の前記容量素子の前記第2電極を含む単一の電極である、
請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記複数の画素の各々の前記容量素子の前記第2電極は、連続する単一の電極である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記複数の画素は、第3画素を含み、
前記第2画素は、第1方向において前記第1画素に隣接し、
前記第3画素は、前記第1方向とは異なる第2方向において前記第1画素に隣接し、
前記第3画素の前記容量素子の前記第2電極は、前記連続する単一の電極から離間しており、
前記連続する単一の電極は、平面視において、前記第1画素の前記画素電極と前記第3画素の前記画素電極との間の領域と少なくとも一部で重なる、
請求項3に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記連続する単一の電極は、平面視において、前記第3画素の前記画素電極と少なくとも一部で重なる、
請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記複数の画素は、前記第1方向に配列された複数の画素毎に画素群を複数構成し、
複数の前記画素群は、第1画素群と、前記第1画素群と前記第2方向において隣接する第2画素群と、を含み、
前記第1画素群に含まれる複数の画素の各々の前記容量素子の前記第2電極は、連続する単一の電極であり、
前記第2画素群に含まれる複数の画素の各々の前記容量素子の前記第2電極は、連続する単一の電極であり、
前記第1画素群の前記連続する単一の電極は、前記第2画素群の前記連続する単一の電極から離間している、
請求項6または7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第1画素群に含まれる複数の画素の各々の前記容量素子の前記第2電極に電位を供給するための配線をさらに備え、
前記配線は、前記第1方向に沿って延びている、
請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第2電極は、金属を含む、
請求項1から9のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第1画素および前記第2画素の前記連続する単一の電極は、第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を有し、
前記第1画素の前記容量素子の前記第1電極は、前記第1面に対向しており、
前記第2画素の前記容量素子の前記第1電極は、前記第2面に対向している、
請求項1から10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記第1画素の前記容量素子の前記第1電極は、平面視において、前記第2画素の前記光電変換部と少なくとも一部で重なっている、
請求項1から11のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の撮像装置と、
前記撮像装置に結像させる光学系と、
前記撮像装置から出力される信号を処理する信号処理部と、を備える、
カメラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置およびカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
MOS(Metal Oxide Semiconductor)型の撮像装置として積層型の撮像装置が提案されている。積層型の撮像装置では、半導体基板の最表面に光電変換膜が積層される。撮像装置は、光電変換膜内において光電変換によって発生した電荷を電荷蓄積領域(「フローティングディフュージョン」と呼ばれる)に蓄積する。撮像装置は、半導体基板内でCCD(Charge Coupled Device)回路またはCMOS(Complementary MOS)回路を用いてその蓄積された電荷を読み出す。
【0003】
撮像装置の分野においては、ノイズ低減の要求がある。特に、電荷蓄積領域への光の入射を抑制して偽信号の発生を抑制したいという要求がある。特許文献1は、MIM(Metal-Insulator-Metal)キャパシタを持つ画素が設けられた撮像装置を開示している。特許文献1は、MIMキャパシタの少なくとも一方の電極を遮光性とし、電荷蓄積領域の一部を構成する不純物領域を覆った構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-106534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
撮像装置の分野においては、ノイズの低減の要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の限定的ではないある例示的な実施形態によれば、以下が提供される。
【0007】
本開示の一態様に係る撮像装置は、複数の画素を備える。前記複数の画素のそれぞれは、光を信号電荷に変換する光電変換部と、第1電極および第2電極を含み、前記第1電極が前記光電変換部に電気的に接続されるように構成された容量素子と、を含む。前記複数の画素は、第1画素および第2画素を含む。前記第1画素の前記容量素子の前記第2電極と、前記第2画素の前記容量素子の前記第2電極とは、連続する単一の電極である。
【0008】
本開示の一態様に係るカメラシステムは、上記一態様に係る撮像装置と、前記撮像装置に結像させる光学系と、前記撮像装置から出力される信号を処理する信号処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ノイズを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態1に係る撮像装置の例示的な回路構成を模式的に示す図である。
図2図2は、実施の形態1に係る撮像装置の画素の例示的な回路構成を示す図である。
図3図3は、実施の形態1に係る画素に含まれる一部の素子および一部の配線のレイアウトの一例を模式的に示す平面図である。
図4図4は、図3のIV-IV線における断面を模式的に示す断面図である。
図5A図5Aは、実施の形態1に係る複数の画素の各々の容量素子の第1電極および第2電極を模式的に示す平面図である。
図5B図5Bは、実施の形態1に係る複数の画素の各々の画素電極を模式的に示す平面図である。
図6A図6Aは、実施の形態1の変形例1に係る複数の画素の各々の容量素子の第1電極および第2電極を模式的に示す平面図である。
図6B図6Bは、実施の形態1の変形例1に係る複数の画素の各々の画素電極を模式的に示す平面図である。
図7A図7Aは、実施の形態1の変形例2に係る複数の画素の各々の容量素子の第1電極および第2電極を模式的に示す平面図である。
図7B図7Bは、実施の形態1の変形例2に係る複数の画素の各々の画素電極を模式的に示す平面図である。
図8A図8Aは、実施の形態2に係る複数の画素の各々の容量素子の第1電極および第2電極を模式的に示す平面図である。
図8B図8Bは、実施の形態2に係る複数の画素の各々の画素電極を模式的に示す平面図である。
図9A図9Aは、実施の形態2の変形例1に係る複数の画素の各々の容量素子の第1電極および第2電極を模式的に示す平面図である。
図9B図9Bは、実施の形態2の変形例1に係る複数の画素の各々の画素電極を模式的に示す平面図である。
図10A図10Aは、実施の形態2の変形例2に係る複数の画素の各々の容量素子の第1電極および第2電極を模式的に示す平面図である。
図10B図10Bは、実施の形態2の変形例2に係る複数の画素の各々の画素電極を模式的に示す平面図である。
図11A図11Aは、実施の形態3に係る複数の画素の各々の容量素子の第1電極および第2電極を模式的に示す平面図である。
図11B図11Bは、実施の形態3に係る複数の画素の各々の画素電極を模式的に示す平面図である。
図12図12は、実施の形態4に係る複数の画素の断面を模式的に示す断面図である。
図13図13は、実施の形態4の変形例に係る複数の画素の断面を模式的に示す断面図である。
図14図14は、実施の形態5に係る複数の画素の断面を模式的に示す断面図である。
図15図15は、実施の形態6に係る撮像装置の画素の例示的な回路構成を示す図である。
図16A図16Aは、実施の形態6に係る複数の画素の各々の容量素子の第1電極および第2電極を模式的に示す平面図である。
図16B図16Bは、実施の形態6に係る複数の画素の各々の画素電極を模式的に示す平面図である。
図17図17は、実施の形態6の変形例に係る撮像装置の画素の例示的な回路構成を示す図である。
図18図18は、実施の形態7に係る複数の画素の断面を模式的に示す断面図である。
図19A図19Aは、実施の形態7に係る複数の画素の各々の容量素子の第1電極および第2電極を模式的に示す平面図である。
図19B図19Bは、実施の形態7に係る複数の画素の各々の画素電極を模式的に示す平面図である。
図20図20は、実施の形態8に係るカメラシステムの構成例を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の一態様に至った経緯)
本発明者らは、従来の撮像装置に関し、以下の問題が生じることを見出した。
【0012】
特許文献1では、互いに隣接する画素間で、MIMキャパシタの上部電極間の距離を十分に小さくすることを開示している。しかしながら、上部電極間の距離を十分に小さくしたとしても依然として上部電極間に隙間が形成されるため、撮像条件によっては迷光によるノイズの影響が問題となり得る。また、隣接する画素間において、一方の画素の信号線と他方の画素の電荷蓄積領域との間のクロストークもノイズの原因となり得る。隣接する画素間のクロストークによるノイズは、画素面積の縮小や信号線の本数増加によって顕著となり得る。本発明者らは、ノイズを低減することを目的に検討を行い、本開示に係る構成に至った。
【0013】
本開示の一態様に係る撮像装置は、複数の画素を備える。前記複数の画素のそれぞれは、光を信号電荷に変換する光電変換部と、第1電極および第2電極を含み、前記第1電極が前記光電変換部に電気的に接続されるように構成された容量素子と、を含む。前記複数の画素は、第1画素および第2画素を含む。前記第1画素の前記容量素子の前記第2電極と、前記第2画素の前記容量素子の前記第2電極とは、連続する単一の電極である。
【0014】
これにより、2つの画素に跨る単一の電極が設けられるので、画素間の迷光を低減することができる。また、電磁遮蔽(シールド)機能を単一の電極に持たせることもでき、クロストークを低減することができる。よって、本態様に係る撮像装置によれば、ノイズを低減することができる。
【0015】
また、例えば、前記連続する単一の電極は、平面視において、前記第1画素の前記光電変換部と前記第2画素の前記光電変換部との間の領域と少なくとも一部で重なってもよい。
【0016】
これにより、単一の電極が光電変換部間の迷光を低減することができる。また、シールド機能を単一の電極に持たせることもでき、クロストークを低減することができる。よって、本態様に係る撮像装置によれば、ノイズを低減することができる。
【0017】
また、例えば、前記光電変換部は、画素電極と、対向電極と、前記画素電極および前記対向電極との間の光電変換層と、を含んでもよい。前記容量素子は、前記画素電極と電気的に接続するように構成される。前記連続する単一の電極は、平面視において、前記第1画素の前記画素電極と前記第2画素の前記画素電極との間の領域と少なくとも一部で重なってもよい。
【0018】
これにより、単一の電極が画素電極間の隙間を通る迷光を低減することができる。また、シールド機能を単一の電極に持たせることもでき、クロストークを低減することができる。よって、本態様に係る撮像装置によれば、ノイズを低減することができる。
【0019】
また、例えば、前記複数の画素は、第3画素を含んでもよい。前記第2画素は、第1方向において前記第1画素に隣接する。前記第3画素は、前記第1方向とは異なる第2方向において前記第1画素に隣接する。前記連続する単一の電極は、前記第3画素の前記容量素子の前記第2電極を含む単一の電極であってもよい。
【0020】
これにより、少なくとも3画素に跨る単一の電極が設けられるので、迷光およびクロストークの低減効果を高めることができる。よって、本態様に係る撮像装置によれば、ノイズをさらに低減することができる。
【0021】
また、例えば、前記複数の画素の各々の前記容量素子の前記第2電極は、連続する単一の電極であってもよい。
【0022】
これにより、撮像装置が備える複数の画素全てに跨る単一の電極が設けられるので、迷光およびクロストークの低減効果をさらに高めることができる。また、ストリーキングなどの、単一の電極を介して行方向に伝搬するノイズを列方向に分散させることもできるので、ノイズの影響を低減することができる。また、単一の電極が大面積化することによって配線抵抗を低くすることができるので、単一の電極に供給される基準電位を安定させることができる。これにより、例えばシールド機能などを高めることができる。よって、本態様に係る撮像装置によれば、ノイズをさらに低減することができる。
【0023】
また、例えば、前記複数の画素は、第3画素を含んでもよい。前記第2画素は、第1方向において前記第1画素に隣接する。前記第3画素は、前記第1方向とは異なる第2方向において前記第1画素に隣接する。前記第3画素の前記容量素子の前記第2電極は、前記連続する単一の電極から離間していてもよい。前記連続する単一の電極は、平面視において、前記第1画素の前記画素電極と前記第3画素の前記画素電極との間の領域と少なくとも一部で重なってもよい。
【0024】
これにより、単一の電極が隙間を塞ぐ面積を大きくすることができるので、迷光およびクロストークの低減効果を高めることができる。また、単一の電極を他の画素の第2電極と離間させることにより、ストリーキングなどの、単一の電極を介して行方向に伝搬するノイズの発生を抑制することができる。よって、本態様に係る撮像装置によれば、ノイズをさらに低減することができる。
【0025】
また、例えば、前記連続する単一の電極は、平面視において、前記第3画素の前記画素電極と少なくとも一部で重なってもよい。
【0026】
これにより、単一の電極が隙間を塞ぐ面積をより大きくすることができるので、迷光およびクロストークの低減効果をさらに高めることができる。よって、本態様に係る撮像装置によれば、ノイズをさらに低減することができる。
【0027】
また、例えば、前記複数の画素は、前記第1方向に配列された複数の画素毎に画素群を複数構成してもよい。複数の前記画素群は、第1画素群と、前記第1画素群と前記第2方向において隣接する第2画素群と、を含む。前記第1画素群に含まれる複数の画素の各々の前記容量素子の前記第2電極は、連続する単一の電極であってもよい。前記第2画素群に含まれる複数の画素の各々の前記容量素子の前記第2電極は、連続する単一の電極であってもよい。前記第1画素群の前記連続する単一の電極は、前記第2画素群の前記連続する単一の電極から離間していてもよい。
【0028】
これにより、撮像装置の行毎または列毎に単一の電極を設けることができ、迷光およびクロストークの低減効果をさらに高めることができる。よって、本態様に係る撮像装置によれば、ノイズをさらに低減することができる。
【0029】
また、例えば、本開示の一態様に係る撮像装置は、前記第1画素群に含まれる複数の画素の各々の前記容量素子の前記第2電極に電位を供給するための配線をさらに備えてもよい。前記配線は、前記第1方向に沿って延びていてもよい。
【0030】
これにより、単一の電極に電位を供給する配線が、当該単一の電極に含まれる第2電極以外の第2電極に平面視で重ならないようにすることができ、配線を介したノイズの伝搬を抑制することができる。
【0031】
また、例えば、前記第2電極は、金属を含んでもよい。
【0032】
これにより、単一の電極の導電性および遮光性を高めることができる。よって、単一の電極の低抵抗化によるシールド機能の強化、および、迷光の遮光性能を高めることができ、ノイズを低減することができる。
【0033】
また、例えば、前記第1画素および前記第2画素の前記連続する単一の電極は、第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を有してもよい。前記第1画素の前記容量素子の前記第1電極は、前記第1面に対向しており、前記第2画素の前記容量素子の前記第1電極は、前記第2面に対向していてもよい。
【0034】
これにより、容量素子の第1電極と第2電極とが重なる面積を大きくすることができ、容量素子の容量を大きくすることができる。
【0035】
また、例えば、前記第1画素の前記容量素子の前記第1電極は、平面視において、前記第2画素の前記光電変換部と少なくとも一部で重なっていてもよい。
【0036】
これにより、容量素子の第1電極と第2電極とが重なる面積を大きくすることができ、容量素子の容量を大きくすることができる。
【0037】
また、本開示の一態様に係るカメラシステムは、上記一態様に係る撮像装置と、前記撮像装置に結像させる光学系と、前記撮像装置から出力される信号を処理する信号処理部と、を備える。
【0038】
これにより、上述した各撮像装置と同様に、ノイズを低減することができる。
【0039】
以下では、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0040】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0041】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0042】
また、本明細書において、平行または垂直などの要素間の関係性を示す用語、および、長方形などの要素の形状を示す用語、ならびに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0043】
また、本明細書において、「上方」および「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)および下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。また、「上方」および「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔を空けて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに密着して配置されて2つの構成要素が接する場合にも適用される。
【0044】
また、本明細書において、「第1」、「第2」などの序数詞は、特に断りのない限り、構成要素の数または順序を意味するものではなく、同種の構成要素の混同を避け、構成要素を区別する目的で用いられている。
【0045】
(実施の形態1)
[回路構成]
まず、実施の形態1に係る撮像装置の回路について、図1を用いて説明する。
【0046】
図1は、本実施の形態に係る撮像装置1の例示的な回路構成を模式的に示す図である。同図に示す撮像装置1は、複数の画素10と周辺回路とを備える。
【0047】
複数の画素10は、半導体基板上に2次元に配列されることにより、画素領域を形成している。半導体基板は、その全体が半導体である基板に限定されない。半導体基板は、画素領域が形成される側の表面に半導体層が設けられた絶縁性基板などであってもよい。
【0048】
図示する例では、複数の画素10は、行方向および列方向に配列されている。本明細書において、行方向および列方向とは、行および列がそれぞれ延びる方向をいう。つまり、垂直方向が列方向であり、水平方向が行方向である。
【0049】
なお、複数の画素10は、1次元に配列されていてもよい。言い換えれば、撮像装置1は、ラインセンサであり得る。
【0050】
複数の画素10の各々は、電源配線22に接続されている。電源配線22は、ソースフォロア電源の電力供給配線である。各画素10には、電源配線22を介して所定の電源電圧が供給される。複数の画素10の各々は、半導体基板に積層された光電変換膜を有する光電変換部を含んでいる。光電変換部は、半導体基板の上に配線層を介して設けられる。また、図示するように、撮像装置1は、すべての光電変換部に同一の一定電圧を印加するための蓄積制御線17を有する。
【0051】
周辺回路は、垂直走査回路16と、負荷回路19と、カラム信号処理回路20と、水平信号読み出し回路21と、を含む。図示する構成において、カラム信号処理回路20および負荷回路19は、2次元に配列された画素10の列毎に配置されている。つまり、この例では、周辺回路は、複数のカラム信号処理回路20と、複数の負荷回路19と、を含む。
【0052】
垂直走査回路16は、アドレス信号線30およびリセット信号線26に接続されている。垂直走査回路16は、行走査回路とも呼ばれる。垂直走査回路16は、アドレス信号線30またはリセット信号線26に所定の電圧を印加することにより、各行に配置された複数の画素10を行単位で選択する。これにより、選択された画素10の信号電圧の読み出し、または画素10のリセットが実行される。
【0053】
図示する例では、垂直走査回路16は、感度調整線32にも接続されている。垂直走査回路16は、感度調整線32を介して複数の画素10に所定の電圧を供給することができる。後に詳しく説明するように、本開示では、複数の画素10の各々は、画素内に1以上の容量素子を有する。本明細書において、「容量素子(capacitor)」は、電極の間に絶縁膜などの誘電体が挟まれた構造を意味する。本明細書における「電極」は、金属から形成された電極に限定されず、ポリシリコン層などを広く含むように解釈される。
【0054】
各列に配置された画素10は、各列に対応した垂直信号線18を介してカラム信号処理回路20に電気的に接続されている。垂直信号線18には、負荷回路19が電気的に接続されている。カラム信号処理回路20は、相関二重サンプリングに代表される雑音抑圧信号処理およびアナログ-デジタル変換(AD変換)などを行う。カラム信号処理回路20は、行信号蓄積回路とも呼ばれる。画素10の列に対応して設けられた複数のカラム信号処理回路20には、水平信号読み出し回路21が電気的に接続されている。水平信号読み出し回路21は、複数のカラム信号処理回路20から水平共通信号線23に信号を順次読み出す。水平信号読み出し回路21は、列走査回路とも呼ばれる。
【0055】
図2は、本実施の形態に係る撮像装置1の画素10の例示的な回路構成を示す図である。画素10は、入射光を光電変換する光電変換部100と、光電変換部100によって生成された信号を検出する信号検出回路SCと、を含む。光電変換部100は、典型的には、対向電極110と画素電極130との間に光電変換膜120が挟まれた構造を有する。後に図面を参照して説明するように、光電変換膜120は、画素10が形成される半導体基板に積層されている。光電変換膜120は、有機材料またはアモルファスシリコンなどの無機材料から形成される。
【0056】
光電変換膜120の受光面側に、対向電極110が設けられる。対向電極110は、透明な導電性材料から形成される。透明な導電性材料の例としては、ITO(Indium Tin Oxide)が挙げられる。光電変換膜120を介して対向電極110に対向する側に画素電極130が設けられる。画素電極130は、光電変換膜120において光電変換によって発生した電荷を収集する。画素電極130は、アルミニウム、銅などの金属、または、不純物がドープされることにより導電性が付与されたポリシリコンなどから形成される。
【0057】
図示するように、対向電極110は、蓄積制御線17に接続されている。画素電極130は、電荷蓄積領域44に接続されている。電荷蓄積領域44は、フローティングディフュージョンノードとも呼ばれる。蓄積制御線17を介して対向電極110の電位を制御することにより、光電変換によって生じた正孔-電子対のうち、正孔および電子のいずれか一方を画素電極130によって収集することができる。信号電荷として正孔を利用する場合、画素電極130よりも対向電極110の電位を高くすればよい。以下では、信号電荷として正孔を利用する場合を例示する。例えば10V程度の電圧が、蓄積制御線17を介して対向電極110に印加される。これにより、信号電荷が電荷蓄積領域44に蓄積される。もちろん、信号電荷として電子を利用してもよい。
【0058】
画素10が有する信号検出回路SCは、増幅トランジスタ34と、リセットトランジスタ36と、第1容量素子41と、第2容量素子42と、を含む。図示する構成において、第2容量素子42は、第1容量素子41よりも大きな容量値を有する。本実施の形態では、第2容量素子42が、後述する容量素子150である。
【0059】
図2に例示する構成において、リセットトランジスタ36のゲートは、リセット信号線26に接続されている。また、リセットトランジスタ36のソースおよびドレインのうちの一方、および、第1容量素子41の一方の電極は、電荷蓄積領域44に接続されている。つまり、これらは、画素電極130との電気的な接続を有する。リセットトランジスタ36のソースおよびドレインのうちの他方、および、第1容量素子41の他方の電極は、第2容量素子42の一方の電極に接続されている。別の言い方をすれば、第1容量素子41は、リセットトランジスタ36のソースおよびドレインの間に接続されている。以下では、第1容量素子41と第2容量素子42との接続点を含むノードをリセットドレインノード46と呼ぶことがある。
【0060】
第2容量素子42の電極のうち、リセットドレインノード46に接続されていない方の電極は、感度調整線32に接続されている。感度調整線32の電位は、例えば0Vに設定される。感度調整線32の電位は、撮像装置1の動作時において固定されている必要はない。例えば、垂直走査回路16(図1を参照)からパルス電圧が供給されてもよい。
【0061】
図示するように、増幅トランジスタ34のゲートは、電荷蓄積領域44に接続されている。言い換えれば、増幅トランジスタ34のゲートは、画素電極130との電気的な接続を有する。増幅トランジスタ34のソースおよびドレインの一方(例えば、増幅トランジスタ34がNチャンネルMOSFETであればドレイン)は、電源配線22に接続されている。増幅トランジスタ34のソースおよびドレインの他方は、増幅トランジスタ34から出力される電気信号を伝送する信号線である垂直信号線18に接続されている。増幅トランジスタ34と、負荷回路19(図1を参照)とによって、ソースフォロア回路が形成される。増幅トランジスタ34は、光電変換部100によって生成された信号を増幅する。
【0062】
図示するように、画素10は、アドレストランジスタ40を含む。アドレストランジスタ40は、行選択トランジスタとも呼ばれる。アドレストランジスタ40のソースまたはドレインは、増幅トランジスタ34のソースおよびドレインのうち、電源配線22に接続されない側に接続されている。アドレストランジスタ40のゲートは、アドレス信号線30に接続されている。
【0063】
電荷蓄積領域44に蓄積された信号電荷の量に応じた電圧が増幅トランジスタ34のゲートに印加される。増幅トランジスタ34は、この電圧を増幅する。増幅トランジスタ34によって増幅された電圧が、電気信号としてアドレストランジスタ40によって選択的に読み出される。
【0064】
図2に示すように、信号検出回路SCは、帰還経路fblを含んでいる。信号検出回路SCは、帰還経路fbl上に配置された、フィードバックトランジスタ38を含む。フィードバックトランジスタ38のソースおよびドレインの一方と、増幅トランジスタ34のソースおよびドレインのうちの垂直信号線18に接続されている側とが接続されている。フィードバックトランジスタ38のソースおよびドレインの他方は、リセットドレインノード46に接続されている。フィードバックトランジスタ38のゲートは、フィードバック制御線28に接続されている。
【0065】
帰還経路fblは、増幅トランジスタ34の出力をフィードバックトランジスタ38に負帰還させる経路である。言い換えれば、光電変換部100によって生成された信号が増幅トランジスタ34を介してフィードバックトランジスタ38に負帰還される。図2に示す例では、帰還経路fblは、複数の画素10間に跨がらずに、画素10毎に設けられている。なお、図2に例示する構成では、増幅トランジスタ34の出力が電荷蓄積領域44のリセットにおける基準電圧として利用される。帰還経路fblとは、電荷蓄積領域44から、増幅トランジスタ34と、フィードバックトランジスタ38と、第1容量素子41またはリセットトランジスタ36とを介して、電荷蓄積領域44に至る経路を意味する。
【0066】
本実施の形態では、ノイズキャンセルのためのフィードバックを、各画素10内で実行可能である。これにより、垂直信号線18の時定数の影響を受けることなく、ノイズキャンセルを高速に実行し得る。なお、図2に例示する回路構成では、増幅トランジスタ34の出力電圧をリセットトランジスタ36に印加している。このような構成により、リセットトランジスタ36をオフする前後における電荷蓄積領域44の電圧の変化を小さくできるので、より高速なノイズ抑制を実現し得る。
【0067】
図2に示す構成において、電源配線22には、電圧切り替え回路54が接続されている。電圧切り替え回路54は、第1スイッチ51および第2スイッチ52の組を有する。電圧切り替え回路54は、電源配線22に対して第1の電圧Va1および第2の電圧Va2のいずれを供給するかを切り替える。第1の電圧Va1は、例えば0V(接地電圧)であり、第2の電圧Va2は、例えば電源電圧である。電圧切り替え回路54は、画素毎に設けられてもよいし、複数の画素10間で共有されてもよい。このような回路構成によって、kTCノイズの影響を縮小し得る。
【0068】
具体的には、垂直信号線18には、定電流源8が接続されている。アドレストランジスタ40がオンのとき、アドレストランジスタ40、増幅トランジスタ34および定電流源8によって、ソースフォロア回路が形成される。電荷蓄積領域44に蓄積された信号電荷に応じた信号は、垂直信号線18に出力され、外部に読み出される。なお、定電流源8は、画素10毎に設けられていてもよい。定電流源8は、1画素あたりの素子数を削減するために、複数の画素10により共有されていてもよい。
【0069】
電荷蓄積領域44をリセットする場合、アドレストランジスタ40をオフにし、増幅トランジスタ34と垂直信号線18とを電気的に分離する。また、フィードバックトランジスタ38をオンにする。また、電圧切り替え回路54の第1スイッチ51はオンにする。つまり、増幅トランジスタ34のソースおよびドレインのうち、垂直信号線18に接続されていない方には第1の電圧Va1が印加されている。さらに、リセットトランジスタ36をオンにすることにより、電荷蓄積領域44はリセットされ、電荷蓄積領域44の電圧は、基準電圧となる。
【0070】
次に、リセットトランジスタ36をオフにする。このとき、信号検出回路SCは、増幅率が-A×B倍の帰還回路を形成している。そのため、リセットトランジスタ36をオフしたときに発生する、電荷蓄積領域44におけるkTCノイズは、1/(1+A×B)倍に抑制される。このようにすることにより、kTCノイズを抑制できる。
【0071】
また、ノイズ抑制期間において、フィードバック制御線28の電圧をハイレベルとローレベルとの間、例えば中間の電圧に設定する。その場合、フィードバックトランジスタ38の動作帯域は第1の帯域よりも狭い第2の帯域となる。
【0072】
第2の帯域が、増幅トランジスタ34の動作帯域よりも狭い状態においては、フィードバックトランジスタ38で発生する熱ノイズは、帰還経路fblにより、1/(1+A×B)1/2倍に抑制される。この状態で、フィードバック制御線28の電圧をローレベルにし、フィードバックトランジスタ38をオフする。すると、この時に電荷蓄積領域44に残存するkTCノイズは、リセットトランジスタ36に起因したkTCノイズと、フィードバックトランジスタ38に起因したkTCノイズとを二乗和した値となる。
【0073】
第1容量素子41の容量をCsとし、電荷蓄積領域44の容量をCFDとする。この場合、帰還による抑制がない状態において発生するフィードバックトランジスタ38のkTCノイズは、帰還による抑制がない状態で発生するリセットトランジスタ36のkTCノイズに比べて(CFD/Cs)1/2倍になる。この点を考慮し、帰還がない場合と比較すると、帰還がある場合のkTCノイズは、{1+(1+A×B)×CFD/Cs}1/2/(1+A×B)倍に抑制される。
【0074】
露光/読み出し期間において、アドレス信号線30の電圧をハイレベルにして、アドレストランジスタ40をオンにし、増幅トランジスタ34のソースおよびドレインの他方の電圧が第2の電圧Va2になるように電圧切り替え回路54を制御する。この状態においては、増幅トランジスタ34と定電流源8とがソースフォロア回路を形成する。垂直信号線18は、電荷蓄積領域44に蓄積された信号電荷に応じた電圧となる。そのとき、ソースフォロア回路の増幅率は1倍程度である。
【0075】
電荷蓄積領域44の電圧は、光電変換部100において生成された電気信号に応じた分だけ基準電圧から変化している。電荷蓄積領域44の電圧は、1倍程度の増幅率で垂直信号線18に出力される。
【0076】
ランダムノイズは光電変換部100において生成された信号電荷が0である時の出力の揺らぎ、すなわち、kTCノイズを意味する。kTCノイズは、ノイズ抑制期間に{1+(1+A×B)×CFD/Cs}1/2/(1+A×B)倍に抑制され、さらに、露光/読み出し期間において、1倍程度の増幅率で垂直信号線18に出力される。その結果、ランダムノイズが抑制された良好な画像データを取得することができる。
【0077】
なお、増幅トランジスタ34、リセットトランジスタ36、フィードバックトランジスタ38およびアドレストランジスタ40の各々は、NチャンネルMOSFETであってもよいし、PチャンネルMOSFETであってもよい。これらの全てがNチャンネルMOSFETまたはPチャンネルMOSFETのいずれかに統一されている必要はない。以下では、増幅トランジスタ34、リセットトランジスタ36、フィードバックトランジスタ38およびアドレストランジスタ40の各々がNチャンネルMOSFETである場合を例示する。
【0078】
[デバイス構造]
次に、本実施の形態に係る撮像装置1の複数の画素10のデバイス構造について、図3および図4を用いて説明する。
【0079】
図3は、本実施の形態に係る画素10に含まれる一部の素子および一部の配線のレイアウトの一例を模式的に示す平面図である。図4は、図3のIV-IV線における断面を模式的に示す断面図である。
【0080】
図3および図4では、2つの画素10Aおよび10Bを示している。2つの画素10Aおよび10Bは、図1および図2に示される複数の画素10のうち、隣り合う2つの画素である。画素10Aは、第1画素の一例である。画素10Bは、第2画素の一例である。なお、図4では、画素10Aおよび10Bの境界を破線で表している。境界は、例えば、画素電極130Aおよび130B間の中心線とみなすことができる。
【0081】
図1および図2で説明したように、画素10Aおよび10Bはそれぞれ、光電変換部100および容量素子150を含んでいる。図4に示すように、画素10Aが含む光電変換部100および容量素子150をそれぞれ、光電変換部100Aおよび容量素子150Aとして図示および説明を行う。画素10Bが含む光電変換部100および容量素子150をそれぞれ、光電変換部100Bおよび容量素子150Bとして図示および説明を行う。説明で区別する必要がない場合には、画素10、光電変換部100、容量素子150として説明を行う。
【0082】
光電変換部100に含まれる対向電極110、光電変換膜120および画素電極130、ならびに、容量素子150に含まれる第1電極160、絶縁膜170および第2電極180についても同様である。例えば、図4では、画素10Aの光電変換部100Aに含まれる対向電極110、光電変換膜120および画素電極130はそれぞれ、対向電極110A、光電変換膜120Aおよび画素電極130Aとして図示されている。画素10Bの光電変換部100Bに含まれる対向電極110、光電変換膜120および画素電極130はそれぞれ、対向電極110B、光電変換膜120Bおよび画素電極130Bとして図示されている。また、画素10Aの容量素子150Aに含まれる第1電極160、絶縁膜170および第2電極180はそれぞれ、第1電極160A、絶縁膜170Aおよび第2電極180Aとして図示されている。画素10Bの容量素子150Bに含まれる第1電極160、絶縁膜170および第2電極180はそれぞれ、第1電極160B、絶縁膜170Bおよび第2電極180Bとして図示されている。
【0083】
画素10は、半導体基板上に配列されている。ここでは、半導体基板2としてp型シリコン(Si)基板を用いる例を説明する。
【0084】
本実施の形態の場合、図3に示すように、画素10内に4つのトランジスタ、すなわち、増幅トランジスタ34、リセットトランジスタ36、フィードバックトランジスタ38、および、アドレストランジスタ40が配置されている。画素10の各素子は、半導体基板2に形成された素子分離領域2sによって分離されている。この例では、リセットトランジスタ36およびフィードバックトランジスタ38の組と、増幅トランジスタ34とアドレストランジスタ40とが、素子分離領域2sによって分離されている。
【0085】
ここでは、増幅トランジスタ34、リセットトランジスタ36、フィードバックトランジスタ38およびアドレストランジスタ40は半導体基板2上に形成されている。なお、この半導体基板2上には、第1容量素子41および第2容量素子42も形成されている。つまり、ここでは、半導体基板2に信号検出回路SCが形成されている。
【0086】
図3に示すように、リセットトランジスタ36とフィードバックトランジスタ38との間には、リセットドレインノード46が形成されている。リセットドレインノード46は、半導体基板2内に形成された拡散層36dを含んでいる。拡散層36dは、フィードバックトランジスタ38のソースおよびドレインの一方である。フィードバックトランジスタ38のソースおよびドレインの他方である拡散層38dは、ポリシリコンプラグ(図示せず)、ポリシリコン層s2およびコンタクトプラグ(図示せず)などを介して、増幅トランジスタ34のソースおよびドレインの一方である拡散層34sに接続される。図3に示す例では、リセットトランジスタ36およびフィードバックトランジスタ38は、ソースおよびドレインの一方として拡散層36dを共有している。
【0087】
図4に示すように、増幅トランジスタ34のゲート電極34eと、リセットトランジスタ36のソースおよびドレインのうちの一方である拡散層36sとは、ポリシリコン層s1を介して電気的に接続されている。ポリシリコン層s1は、配線を介して光電変換部100に接続されている。この例では、電荷蓄積領域44は、配線と、ポリシリコン層s1と、拡散層36sとを含んでいる。拡散層36sは、光電変換部100において生成された電荷(信号電荷)を蓄積する機能を有する。
【0088】
図4に例示する構成において、半導体基板2は、支持基板2aと、ウェル2wと、不純物層2gwと、拡散層36sとを有している。ウェル2wは比較的高いアクセプタ濃度を有している。ここでは、ウェル2wはP型領域である。不純物層2gwは、ウェル2wとは逆の導電型の領域である。ここでは、不純物層2gwはN型領域である。拡散層36sは、ここではN型領域である。支持基板2aとウェル2wとは、不純物層2gwに形成された接続領域(図示せず)によって電気的に接続されている。接続領域は、ウェル2wと同じ導電型の不純物領域である。拡散層36sとのコンタクトとして、ポリシリコンから形成されたプラグを用いることにより、暗電流を抑制できるという利点が得られる。金属プラグを用いたときのような金属/半導体界面に起因する結晶欠陥の影響を回避し得るためである。図4に例示する構成では、ポリシリコンプラグsp1を介して、ポリシリコン層s1と増幅トランジスタ34のゲート電極34eとが電気的に接続されている。
【0089】
図4では、増幅トランジスタ34は、ソースおよびドレインをそれぞれ形成する拡散層34sおよび拡散層34dと、半導体基板2上に形成されたゲート絶縁膜34gと、ゲート絶縁膜34g上に形成されたゲート電極34eとを含む。ゲート絶縁膜34gは、典型的には二酸化シリコン膜である。ここでは、ゲート電極34eは、ポリシリコンから形成された電極である。ゲート絶縁膜34g、ゲート電極34e、および、拡散層34sと拡散層34dとの間に形成されるチャネル領域34cが示されている。チャネル領域34cは、所定の注入条件のもとでアクセプタまたはドナーがイオン注入された領域であり得る。イオン注入を用いることにより、増幅トランジスタ34において所望の閾値電圧を実現し得る。図示されていないが、リセットトランジスタ36、フィードバックトランジスタ38およびアドレストランジスタ40も、増幅トランジスタ34とほぼ同様の構成を有し得る。
【0090】
画素10は、半導体基板2の上方に光電変換部100を有する。図4に示すように、半導体基板2上には、層間絶縁層4が積層されている。図4に例示する構成では、層間絶縁層4は、第1絶縁層4a、第2絶縁層4b、第3絶縁層4c、第4絶縁層4dおよび第5絶縁層4eをこの順で含んでいる。第1絶縁層4aから第5絶縁層4eは、例えば二酸化シリコン(SiO)から形成される。
【0091】
また、半導体基板2と光電変換部100との間に、複数の配線層が配置されている。図4に例示する構成では、複数の配線層は、第1配線層61、第1配線層61よりも光電変換部100側に位置する第2配線層62、および、第2配線層62よりも光電変換部100側に位置する第3配線層63を含む。第1配線層61は、第2絶縁層4b内に形成されている。第2配線層62は、第3絶縁層4c内に形成されている。第3配線層63は、第4絶縁層4d内に形成されている。
【0092】
例えば、上述のリセット信号線26、フィードバック制御線28、およびアドレス信号線30など、行方向に延びる配線は、第1配線層61と同層であり得る。垂直信号線18は、電荷蓄積領域44に蓄積された電荷の量に対応して増幅トランジスタ34から出力される電気信号が流れる信号線である。2つの配線層の間は、図4に示すように、ビアvc、ビアvdまたはビアveによって電気的に接続されている。配線層および絶縁層の数は、任意に設定可能であり、図示する例に限定されない。
【0093】
第5絶縁層4e上に光電変換部100の光電変換膜120が積層されている。光電変換膜120において、被写体からの光が入射する側の受光面上に、対向電極110が配置されている。光電変換膜120の、受光面の反対側の面には、画素電極130が配置されている。画素電極130は、複数の画素10の間において電気的に分離されている。
【0094】
[容量素子の構成]
続いて、容量素子150の具体的な構成について、図4を参照しながら図5Aおよび図5Bを用いて説明する。図5Aは、本実施の形態に係る複数の画素10Aおよび10Bの各々の容量素子の第1電極160Aおよび160Bならびに第2電極180Aおよび180Bを模式的に示す平面図である。図5Bは、本実施の形態に係る複数の画素10Aおよび10Bの各々の画素電極130Aおよび130Bを模式的に示す平面図である。
【0095】
図4に示すように、容量素子150は、光電変換部100と半導体基板2との間に配置されている。容量素子150は、いわゆるMIM(Metal-Insulator-Metal)キャパシタである。容量素子150は、第1電極160と、第1電極160上に設けられた絶縁膜170と、絶縁膜170上に設けられた第2電極180と、を含む。本実施の形態では、容量素子150は、図2に示す回路構成における第2容量素子42である。容量素子150は、第1電極160が光電変換部100に電気的に接続されるように構成されている。具体的には、第1電極160は、リセットトランジスタ36を介して光電変換部100の画素電極130に電気的に接続される。図4には示されていないが、第1電極160は、図3に示す拡散層36dと電気的に接続されている。
【0096】
第1電極160は、容量素子150が有する2つの電極の一方である。第1電極160は、第2電極180よりも半導体基板2に近い電極であり、下部電極と呼ぶこともできる。
【0097】
第1電極160は、金属を含む。具体的には、第1電極160は、金属単体または金属化合物などの導電性の材料を用いて形成されている。導電性の材料としては、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、金(Au)もしくはプラチナ(Pt)などの金属単体、または、これらの2つ以上の金属の合金が用いられる。あるいは、導電性の材料としては、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)または窒化ハフニウム(HfN)などの導電性の金属の窒化物が用いられてもよい。
【0098】
本実施の形態では、第1電極160は、遮光性を有する。ここで、遮光とは、少なくとも光の一部を遮ることを意味し、光の透過率が0%の場合だけでなく、透過率が所定の値より低いことを意味する。所定の値は、例えば10%であるが、これに限らない。なお、第1電極160は、透光性を有してもよく、例えば、酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)または酸化亜鉛(ZnO)などの導電性の酸化物が用いて形成されてもよい。
【0099】
第1電極160は、例えば、MOCVD法、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)またはスパッタリング法などを用いて形成される。第1電極160は、例えば半導体基板2の上方に、導電性の材料を薄膜状に成膜することで形成される。本実施の形態では、第1電極160は、第1絶縁層4aの上面に配置されているが、これに限らない。第1電極160の膜厚は、例えば15nmであるが、これに限らない。
【0100】
絶縁膜170は、例えば、酸化シリコン(SiO)よりも誘電率が高い、いわゆるhigh-k材料を用いて形成されている。具体的には、絶縁膜170は、ハフニウム(Hf)またはジルコニウム(Zr)の酸化物を主成分として含有している。絶縁膜170は、ハフニウムまたはジルコニウムの酸化物を50%以上含有している。絶縁膜170は、ALD法、MOCVD法またはEB(Electron Beam)蒸着法などを用いて形成される。なお、絶縁膜170は、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜、アルミニウム酸化膜などであってもよい。絶縁膜170は、複数の絶縁膜の積層構造を有してもよい。
【0101】
絶縁膜170は、第1電極160と第2電極180との間に設けられている。具体的には、絶縁膜170は、第1電極160の上面および第2電極180の下面の各々に接触し、略均一な膜厚で形成されている。絶縁膜170の膜厚は、例えば10nm以上であり、一例として20nmであるが、これに限らない。
【0102】
第2電極180は、容量素子150が有する2つの電極の他方である。第2電極180は、第1電極160よりも半導体基板2から遠い電極であり、上部電極と呼ぶこともできる。
【0103】
第2電極180は、金属を含む。具体的には、第2電極180は、金属単体または金属化合物などの導電性の材料を用いて形成されている。第2電極180は、例えば、第1電極160と同じ材料を用いて形成される。このため、第2電極180も、遮光性を有する。なお、第2電極180は、第1電極160と異なる材料を用いて形成されていてもよい。第2電極180は、第1電極160と同様に、MOCVD法、ALD法またはスパッタリング法などを用いて形成される。
【0104】
本実施の形態では、図4および図5Aに示すように、第2電極180は、隣り合う2つの画素10Aおよび10B間で連続している。すなわち、画素10Aの容量素子150Aの第2電極180Aと、画素10Bの容量素子150Bの第2電極180Bとは、連続する単一の電極181である。
【0105】
図5Aに示すように、単一の電極181は、画素10Aおよび10Bに跨って配置されている。具体的には、単一の電極181は、平面視において、画素10Aおよび10Bの境界の少なくとも一部に重なっている。なお、平面視とは、半導体基板2の主面に対して直交する方向から見ることを意味する。
【0106】
単一の電極181は、画素10Aの容量素子150Aの第1電極160Aと画素10Bの容量素子150Bの第1電極160Bとを覆っている。第1電極160Aおよび160Bのいずれとも、単一の電極181によって完全に覆われており、平面視において単一の電極181の外側にははみ出していない。
【0107】
単一の電極181には、開口191A、192Aおよび193Aが画素10A内に設けられ、開口191B、192Bおよび193Bが画素10B内に設けられている。これらの開口191A、192Aおよび193Aならびに191B、192Bおよび193Bは、ビア、コンタクトプラグまたは配線と単一の電極181との接触を避けるために設けられている。例えば、開口191Aおよび191Bはそれぞれ、図4に示すように、画素電極130と半導体基板2の拡散層36sとを電気的に接続するための配線の一部であるコンタクトプラグcp1と単一の電極181との接触を避けるために設けられている。開口の個数および配置は、一例にすぎず、特に限定されない。
【0108】
単一の電極181は、平面視において、画素10Aの光電変換部100Aと画素10Bの光電変換部100Bとの間の領域と少なくとも一部で重なっている。光電変換部100Aの平面視形状は、画素電極130Aの平面視形状に一致する。光電変換部100Bの平面視形状は、画素電極130Bの平面視形状に一致する。つまり、単一の電極181は、平面視において、画素10Aの光電変換部100Aの画素電極130Aと画素10Bの光電変換部100Bの画素電極130Bとの間の領域と少なくとも一部で重なっている。図5Bに示す領域131は、画素電極130Aおよび130B間の領域のうち、単一の電極181が平面視で重なる領域である。
【0109】
画素電極130Aおよび130Bは、遮光性を有する。このため、画素電極130Aおよび130Bは、光電変換膜120で光電変換されなかった光、すなわち、迷光が半導体基板2の拡散層36sまたはトランジスタのチャネルに入射し、暗電流などのノイズの発生を抑制することができる。しかしながら、画素電極130Aと画素電極130Bとの間の領域131を通過する迷光が半導体基板2の拡散層36sまたはトランジスタのチャネルに入射する可能性がある。
【0110】
これに対して、上述したとおり、撮像装置1では、画素電極130Aおよび130B間の領域131に重なるように、単一の電極181が設けられている。単一の電極181は遮光性を有するので、領域131を通過する迷光の少なくとも一部を遮光し、半導体基板2の拡散層36sおよびトランジスタのチャネルに到達するのを抑制することができる。これにより、ノイズを低減することができる。
【0111】
また、ノイズの発生要因としては、半導体基板2と光電変換部100との間に配置される配線が拡散層36sとのカップリングに起因するクロストークがある。これに対しても、単一の電極181が領域131に重なるように配置されていることで、カップリングの抑制効果が高くなる。つまり、カップリングに起因するクロストークを低減することができるので、ノイズをより低減することができる。
【0112】
なお、単一の電極181、すなわち、第2電極180は、感度調整線32(図2を参照)と電気的に接続される。単一の電極181には、感度調整線32を介して、電圧源から所定の電位が印加される。ここでは電圧源は垂直走査回路16である。例えば、単一の電極181に一定の電位を供給することにより、単一の電極181の電位を一定の電位に保持し得る。これにより、比較的大きな容量値を有する容量素子150の単一の電極181をシールド電極として機能させることが可能である。また、単一の電極181の電位を制御することにより、電荷蓄積領域44の電位を制御し得る。言い換えれば、感度調整線32を介して単一の電極181に供給される電圧を調整することにより、撮像装置1の感度を調整し得る。
【0113】
本実施の形態において、単一の電極181は、透光性を有する導電材料を用いて形成されていてもよい。この場合であっても、配線と拡散層36sとのカップリングに起因するクロストークを抑制することができるので、ノイズを低減することができる。
【0114】
また、隣接する2つの画素10Aおよび10Bの容量素子150のみが接続されることで、他の容量素子を分離できるため、ストリーキングなどの行方向に伝搬するノイズの影響を受け難くすることができる。
【0115】
なお、図4には、図2に示される第1容量素子41が図示されていない。第1容量素子41は、第2容量素子42、すなわち、容量素子150と同様に、光電変換部100と半導体基板2との間に配置されている。例えば、第1容量素子41は、増幅トランジスタ34のゲート電極34eを一方の電極とし、層間絶縁層4内に形成された電極(図示せず)を他方の電極として有してもよい。この場合、図3に破線で示されるように、第1容量素子41は、平面視でゲート電極34eに重なるように設けられる。
【0116】
[変形例1]
次に、本実施の形態の変形例1について、図6Aおよび図6Bを用いて説明する。
【0117】
図6Aは、本実施の形態に係る複数の画素10Aから10Dの各々の容量素子の第1電極160から160Dおよび第2電極180Aから180Dを模式的に示す平面図である。図6Bは、本実施の形態に係る複数の画素10Aから10Dの各々の画素電極130Aから130Dを模式的に示す平面図である。
【0118】
画素10A、10B、10Cおよび10Dはそれぞれ、第1画素、第2画素、第3画素および第4画素の一例である。画素10Bは、第1方向において画素10Aに隣接している。画素10Cは、第2方向において画素10Aに隣接している。画素10Dは、第1方向において画素10Cに隣接し、かつ、第2方向において画素10Bに隣接している。なお、第1方向は、例えば、行方向である。第2方向は、第1方向とは異なる方向であり、例えば、列方向である。
【0119】
本変形例では、実施の形態1と同様に、第1方向において隣接する2つの画素10毎に、容量素子150の第2電極180が、連続する単一の電極を構成している。図6Aに例示する構成では、画素10Aの第2電極180Aと画素10Bの第2電極180Bとは、連続する単一の電極181aである。画素10Cの第2電極180Cと画素10Dの第2電極180Dとは、連続する単一の電極181bである。画素10Aから10Dの各々の容量素子150の第1電極160Aから160Dはそれぞれ、互いに離間して設けられている。
【0120】
本変形例では、第2電極180Aおよび180Bである単一の電極181aは、第2電極180Cおよび180Dである単一の電極181bから離間している。また、単一の電極181aは、対応する画素10Aおよび10Bの各々の中心からずれて配置されている。簡単に言えば、単一の電極181aは、図5Aに示される単一の電極181を平面視における斜め上方にシフトさせて配置したものである。
【0121】
具体的には、単一の電極181aは、平面視において、画素10Aの画素電極130Aと画素10Cの画素電極130Cとの間の領域、および、画素10Bの画素電極130Bと画素10Dの画素電極130Dとの間の領域と少なくとも一部で重なっている。図6Aに示す例では、単一の電極181aは、平面視において、画素10Cおよび10Dの各々の一部に重なっている。具体的には、単一の電極181aは、平面視において、画素10Cの画素電極130Cおよび画素10Dの画素電極130Dの各々の一部に重なっている。
【0122】
これにより、図6Bに示されるように、単一の電極181aは、平面視で画素電極130Aから130Dには重ならない格子状の領域のうち、T字状の領域132aを覆うことができる。実施の形態1の場合に比較して、単一の電極181aによって覆われる領域を増やすことができるので、迷光の遮光機能およびクロストークの抑制機能を高めることができ、ノイズをより低減することができる。なお、単一の電極181bも同様に、T字状の領域132bを覆うことができる。
【0123】
本変形例では、単一の電極181aおよび181bのずれた配置に合わせるように、各画素10Aから10Dの各々の容量素子150の第1電極160Aから160Dもずれて配置されている。例えば、第1電極160Aは、平面視において、画素10B、10Cおよび10Dの各々に重なっている。第1電極160B、160Cおよび160Dについても同様である。なお、第1電極160Aから160Dはそれぞれ、対応する画素内にのみ設けられていてもよい。
【0124】
本変形例において、単一の電極181aおよび181bがシフトする方向は、平面視において、斜め上方には限定されず、斜め下方、直上方向または直下方向であってもよい。
【0125】
[変形例2]
次に、本実施の形態の変形例2について、図7Aおよび図7Bを用いて説明する。
【0126】
図7Aは、本変形例に係る複数の画素10Aから10Dの各々の容量素子の第1電極160Aから160Dおよび第2電極180Aから180Dを模式的に示す平面図である。図7Bは、本変形例に係る複数の画素10Aから10Dの各々の画素電極130Aから130Dを模式的に示す平面図である。
【0127】
本変形例では、2行2列で配置された4つの画素10毎に、容量素子150の第2電極180が、連続する単一の電極を構成している。図7Aに示すように、画素10Aの第2電極180Aと、画素10Bの第2電極180Bと、画素10Cの第2電極180Cと、画素10Dの第2電極180Dとは、連続する単一の電極182である。
【0128】
これにより、図7Bに示されるように、単一の電極182は、平面視で画素電極130Aから130Dには重ならない格子状の領域のうち、十字状(クロス状)の領域133を覆うことができる。実施の形態1の場合に比較して、単一の電極182によって覆われる領域を増やすことができるので、ノイズをより低減することができる。
【0129】
本変形例において、変形例1と同様に、単一の電極182はシフトしていてもよい。シフトする方向は、平面視において、斜め上方、斜め下方、直上方向、直下方向、左方向または右方向であってもよい。
【0130】
以上のように、本実施の形態および各変形例では、複数の画素10の容量素子150の第2電極180が、隣り合う2個または4個毎に、連続する単一の電極を構成している。これにより、単一の電極が、隣り合う2個または4個の画素10間の領域に平面視で重なるので、単一の電極の遮光機能およびシールド機能を利用して、ノイズを低減することができる。
【0131】
なお、本実施の形態および各変形例において、単一の電極を構成する第2電極180を含む画素10の個数は、2個または4個に限定されず、3個または5個以上であってもよい。例えば、単一の電極を構成する画素10は、3行3列の9個の画素10であってもよく、1行5列または5行1列の5個の画素10であってもよい。
【0132】
また、単一の電極の平面視の外形は、矩形でなくてもよい。例えば、単一の電極を構成する第2電極180を含む複数の画素10の平面視形状は、矩形でなくてもよく、例えば、L字状であってもよい。例えば、単一の電極を構成する第2電極180を含む3個の画素10が、1つの画素10を中心に第1方向および第2方向の各々に並んでいてもよい。単一の電極を構成する第2電極180の個数を所定数以下に少なくすることによって、単一の電極を介してノイズが他の画素へ伝搬するのを抑制することができる。
【0133】
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2について説明する。
【0134】
実施の形態2に係る撮像装置では、行毎または列毎に、各画素の容量素子の第2電極が単一の電極を構成している。以下では、実施の形態1およびその変形例との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略または簡略化する。
【0135】
図8Aは、本変形例に係る複数の画素10Aから10Fの各々の容量素子の第1電極160Aから160Fおよび第2電極180Aから180Fを模式的に示す平面図である。図8Bは、本変形例に係る複数の画素10Aから10Fの各々の画素電極130Aから130Fを模式的に示す平面図である。
【0136】
本実施の形態に係る複数の画素10は、第1方向に配列された複数の画素10毎に画素群を複数構成している。具体的には、図8Aおよび図8Bに示すように、画素10A、10Bおよび10Eは、第1方向に配列されており、画素群10aを構成している。画素10C、10Dおよび10Fは、第1方向に配列されており、画素群10bを構成している。画素群10aは、第1画素群の一例である。画素群10bは、第2画素群の一例であり、画素群10aと第2方向において隣接している。第1方向は、例えば、行方向である。第2方向は、第1方向とは異なる方向であり、例えば、列方向である。
【0137】
なお、図8Aおよび図8Bでは、画素群10aおよび10bの各々が3個の画素10を含む例を示しているが、画素群10aおよび10bはそれぞれ、第1方向に配列された全ての画素10を含んでいる。すなわち、画素群10aおよび10bはそれぞれ、1行分の画素10から構成されている。
【0138】
本実施の形態では、画素群毎に、連続する単一の電極が設けられている。具体的には、図8Aに示すように、画素群10aに含まれる複数の画素10A、10Bおよび10Eの各々の第2電極180A、180Bおよび180Eは、連続する単一の電極183aである。単一の電極183aは、複数の画素10が配置された画素領域のうち、第1方向に沿って一方端から他方端まで延びている。
【0139】
同様に、画素群10bに含まれる複数の画素10C、10Dおよび10Fの各々の第2電極180C、180Dおよび180Fは、連続する単一の電極183bである。単一の電極183bは、複数の画素10が配置された画素領域のうち、第1方向に沿って一方端から他方端まで延びている。単一の電極183aおよび183bは、互いに離間して配置されている。
【0140】
これにより、図8Bに示されるように、単一の電極183aは、平面視において、画素群10aに含まれる画素10A、10Bおよび10Eの各々の画素電極130A、130Bおよび130E間の領域134aと少なくとも一部で重なっている。単一の電極183bも同様に、平面視において、画素群10bに含まれる画素10C、10Dおよび10Fの各々の画素電極130C、130Dおよび130F間の領域134bと少なくとも一部で重なっている。実施の形態1の場合に比較して、単一の電極183aまたは183bによって覆われる領域を増やすことができるので、ノイズをより低減することができる。
【0141】
また、容量素子150の第2電極180に供給する基準電位を行毎に変えることにより感度を変化させることができる。また、行方向の配線抵抗を低減できるため、行方向の基準電位を安定化させることができる。
【0142】
なお、第2電極180に基準電位を供給する配線は、図2に示す感度調整線32である。図1に示すように、感度調整線32は、行方向、すなわち、第1方向に沿って延びている。感度調整線32が他の行の第2電極180に平面視で重ならないようにすることができるので、感度調整線32を介したノイズの伝搬を抑制することができる。
【0143】
[変形例1]
次に、本実施の形態の変形例1について、図9Aおよび図9Bを用いて説明する。
【0144】
図9Aは、本変形例に係る複数の画素10Aから10Fの各々の容量素子の第1電極160Aから160Fおよび第2電極180Aから180Fを模式的に示す平面図である。図9Bは、本変形例に係る複数の画素10Aから10Fの各々の画素電極130Aから130Fを模式的に示す平面図である。
【0145】
本変形例では、第2電極180A、180Bおよび180Eを含む単一の電極183aは、画素群10aの中心からずれて配置されている。簡単に言えば、単一の電極183aは、図8Aに示される単一の電極181aを平面視における上方にシフトさせて配置したものである。なお、シフトさせる方向は、平面視における下方であってもよい。
【0146】
具体的には、図9Aに示す例では、単一の電極183aは、平面視において、画素群10bに含まれる画素10C、10Dおよび10Fの各々の一部に重なっている。具体的には、単一の電極183aは、平面視において、画素10Cの画素電極130C、画素10Dの画素電極130Dおよび画素10Fの画素電極130Fの各々の一部に重なっている。
【0147】
これにより、図9Bに示すように、単一の電極183aは、平面視で画素電極130には重ならない格子状の領域のうち、櫛歯状の領域135aを覆うことができる。実施の形態2の場合に比較して、単一の電極183aによって覆われる領域を増やすことができるので、ノイズをより低減することができる。なお、単一の電極183bも同様に、櫛歯状の領域135bを覆うことができる。
【0148】
[変形例2]
次に、本実施の形態の変形例2について、図10Aおよび図10Bを用いて説明する。
【0149】
図10Aは、本変形例に係る複数の画素10Aから10Fの各々の容量素子の第1電極160Aから160Fおよび第2電極180Aから180Fを模式的に示す平面図である。図10Bは、本変形例に係る複数の画素10Aから10Fの各々の画素電極130Aから130Fを模式的に示す平面図である。
【0150】
本変形例では、第1方向が列方向であり、第2方向が行方向である。つまり、列方向に配列された複数の画素10毎に画素群が構成されている。具体的には、図10Aおよび図10Bに示すように、画素10Aおよび10Cは、列方向に配列されており、画素群10cを構成している。画素10Bおよび10Dは、列方向に配列されており、画素群10dを構成している。画素10Eおよび10Fは、列方向に配列されており、画素群10eを構成している。画素群10cは、第1画素群の一例である。画素群10dは、第2画素群の一例であり、画素群10cと行方向において隣接している。画素群10eは、第3画素群の一例であり、画素群10dと行方向において隣接している。
【0151】
単一の電極は、画素群毎に設けられる。例えば、図10Aに示すように、単一の電極183cは、画素群10cの画素10Aおよび10Cの第2電極180Aおよび180Cを含んでいる。単一の電極183dは、画素群10dの画素10Bおよび10Dの第2電極180Bおよび180Dを含んでいる。単一の電極183eは、画素群10eの画素10Eおよび10Fの第2電極180Eおよび180Fを含んでいる。
【0152】
この場合においても、図10Bに示すように、単一の電極183cは、平面視において、画素群10cに含まれる画素10Aおよび10Cの各々の画素電極130Aおよび130C間の領域136cと少なくとも一部で重なっている。単一の電極183dおよび183eも同様に、図10Bに示す領域136dおよび136eの各々と少なくとも一部で重なっている。実施の形態1の場合に比較して、単一の電極183cから183eによって覆われる領域を増やすことができるので、ノイズをより低減することができる。
【0153】
また、列方向に配列された画素10の容量素子150のみが接続されることで、行方向に配列された容量素子150を分離できるため、ストリーキングなどの行方向に伝搬するノイズの影響を受け難くすることができる。
【0154】
なお、図10Aおよび図10Bでは、画素群10c、10dおよび10eの各々が2個の画素10を含む例を示しているが、画素群10c、10dおよび10eはそれぞれ、第1方向に配列された全ての画素10を含んでいてもよい。すなわち、画素群10c、10dおよび10eはそれぞれ、1列分の画素10から構成されていてもよい。
【0155】
(実施の形態3)
続いて、実施の形態3について説明する。
【0156】
実施の形態3に係る撮像装置では、全ての画素の容量素子の第2電極が単一の電極を構成している。以下では、実施の形態1および2ならびにこれらの変形例との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略または簡略化する。
【0157】
図11Aは、本実施の形態に係る複数の画素10Aから10Fの各々の容量素子の第1電極160Aから160Fおよび第2電極180Aから180Fを模式的に示す平面図である。図11Bは、本実施の形態に係る複数の画素10Aから10Fの各々の画素電極130Aから130Fを模式的に示す平面図である。
【0158】
本実施の形態では、図11Aに示すように、複数の画素10Aから10Fの各々の容量素子150の第2電極180Aから180Fが、連続する単一の電極184である。図11Aでは、6つの画素10Aから10Fのみを図示しているが、撮像装置が備える全ての画素10の容量素子150の第2電極180が、連続する単一の電極184である。
【0159】
これにより、図11Bに示すように、平面視で画素電極130には重ならない格子状の領域137を覆うことができる。実施の形態1の場合に比較して、単一の電極184によって覆われる領域を増やすことができるので、ノイズをより低減することができる。
【0160】
また、容量素子150の第2電極180が行方向および列方向に互いに接続されているため、単一の電極184を低抵抗化できる。よって、単一の電極184に供給される基準電位を安定化できる。また、行方向に発生するノイズが列方向にも分散されるため、ノイズの影響が見え難くなる。
【0161】
(実施の形態4)
続いて、実施の形態4について説明する。
【0162】
実施の形態4に係る撮像装置では、容量素子の第2電極だけでなく、第1電極も画素間の領域の少なくとも一部と重なっている。以下では、実施の形態1から3およびこれらの変形例との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略または簡略化する。
【0163】
図12は、本実施の形態に係る撮像装置の複数の画素10Aおよび10Bの断面を模式的に示す断面図である。図12に示す画素10Aおよび10Bは、図4に示す構成と比較して、容量素子150の代わりに容量素子250を備える。容量素子250は、第1電極260と、絶縁膜170と、第2電極180と、を含む。絶縁膜170および第2電極180は、実施の形態1と同じである。
【0164】
第1電極260は、第2電極180と同様に、隣接する画素10まで延びている。例えば、画素10Aの容量素子250Aが画素10Aと画素10Bとに跨って配置されている。具体的には、画素10Aの容量素子250Aの第1電極260Aは、平面視において、画素10Bの光電変換部100Bと少なくとも一部で重なっている。具体的には、第1電極260Aは、画素10Bの光電変換部100Bの画素電極130Bと少なくとも一部で重なっている。画素10Bの容量素子250Bの第1電極260Bについても同様に、画素10Bが隣接する画素(図示せず)まで延びている。
【0165】
以上の構成により、第1電極260と第2電極180とが平面視で重なる面積が大きくなるので、容量素子250の容量を大きくすることができる。また、画素10毎に、容量素子250の容量値を変更することもできるので、容量値の設計の自由度を高めることができる。
【0166】
[変形例]
次に、実施の形態4の変形例について、図13を用いて説明する。
【0167】
図13は、本変形例に係る撮像装置の複数の画素10Aおよび10Bの断面を模式的に示す断面図である。図13に示す画素10Aおよび10Bは、図12に示す構成と比較して、容量素子250の代わりに容量素子350を備える。容量素子350は、第1電極360と、絶縁膜170と、第2電極180と、を含む。絶縁膜170および第2電極180は、実施の形態4と同じである。
【0168】
第1電極360は、第2電極180に対する配置が画素10毎に異なっている。具体的には、画素10Aの容量素子350Aの第1電極360Aは、第2電極180Aおよび180Bを含む単一の電極の下面に対向している。なお、単一の電極の下面は、第1面の一例であり、半導体基板2側の主面である。
【0169】
画素10Bの容量素子350Bの第1電極360Bは、第2電極180Aおよび180Bを含む単一の電極の上面に対向している。なお、単一の電極の上面は、第1面と反対側の第2面の一例であり、光電変換部100側の主面である。
【0170】
以上の構成により、隣接する画素10間において、2つの第1電極360が異なる高さに位置するので、レイアウト、形状および面積の自由度を高めることができる。例えば、図13に示すように、第1電極360Aと第1電極360Bとは、平面視において、少なくとも一部が重なっていてもよい。これにより、第1電極360Aおよび360Bの各々の大面積化が可能になるので、容量素子350Aおよび350Bの容量を大きくすることができる。例えば、容量素子350Aおよび350Bを、飽和電荷量を拡大させるために利用することで、各画素10のダイナミックレンジを大きくすることができる。
【0171】
なお、本実施の形態では、1つの画素10内で単一の電極の上側および下側の両方に第1電極360が配置されてもよい。この場合、上側および下側の両方の第1電極360は、互いに電気的に接続され、同電位となる。これにより、容量素子350の容量値を大きくすることができ、画素10のダイナミックレンジを大きくすることができる。なお、上側の第1電極360および下側の第1電極360は、互いに電気的に接続されなくてもよい。これにより、単一の電極を共通電極とする2つの容量素子として利用することもできる。
【0172】
(実施の形態5)
続いて、実施の形態5について説明する。
【0173】
実施の形態5に係る撮像装置では、容量素子がトレンチ形状を有する。以下では、実施の形態1から4およびこれらの変形例との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略または簡略化する。
【0174】
図14は、本実施の形態に係る撮像装置の画素10Aおよび10Bの断面を模式的に示す断面図である。図14に示す画素10Aおよび10Bは、図4に示す構成と比較して、容量素子150の代わりに容量素子450を備える。画素10Aの容量素子450Aは、トレンチ部490Aを有する。画素10Bの容量素子450Bは、トレンチ部490Bを有する。
【0175】
トレンチ部490Aおよび490Bはそれぞれ、第1絶縁層4aに設けられた凹部内に設けられている。凹部の内面に沿って、第1電極160と、絶縁膜170と、第2電極180とがこの順で積層されることによって、トレンチ部490Aおよび490Bが形成されている。トレンチ部490Aおよび490Bが設けられていることにより、容量素子450は、半導体基板2の主面に平行な方向だけでなく、主面に垂直な方向にも立体的に構成される。これにより、第1電極160と第2電極180とが対向する領域の面積が増加するので、容量素子450の容量を大きくすることができ、画素のダイナミックレンジを大きくすることができる。
【0176】
図14では、容量素子450が1つのトレンチ部を有する例を示しているが、複数個のトレンチ部が設けられていてもよい。また、容量素子450Aおよび450Bの一方のみにトレンチ部が設けられていてもよい。すなわち、トレンチ部490Aおよび490Bの一方は、設けられていなくてもよい。
【0177】
(実施の形態6)
続いて、実施の形態6について説明する。
【0178】
実施の形態6に係る撮像装置では、隣接する2つの画素の感度が異なる。以下では、実施の形態1から5およびこれらの変形例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略または簡略化する。
【0179】
図15は、本実施の形態に係る撮像装置の画素の例示的な回路構成を示す図である。図15では、隣接する2つの画素10Aおよび10Bを示している。画素10Bは、画素10Aと回路構成が異なる。具体的には、画素10Bは、リセットトランジスタ36、第1容量素子41を有さない。また、画素10Bの電源配線22には、第1の電圧Va1は印加されず、第2の電圧Va2が常に印加される。
【0180】
画素10Aは、低輝度の被写体用の高感度画素である。画素10Bは、高輝度の被写体用の低感度かつ高飽和画素である。画素10Aの画素電極130Aの面積は、画素10Bの画素電極130Bの面積よりも大きい。これにより、画素10Aの感度は、画素10Bの感度よりも高くなる。また、画素10Bの容量素子150Bの容量を大きくすることにより、画素10Bは、高輝度の被写体であっても飽和せずに撮像することができる。これらの画素10Aによって得られる画像と画素10Bによって得られる画像とを合成することにより、ダイナミックレンジの広い画像を得ることができる。また、画素10Bは、kTCノイズの影響が小さいため、ノイズキャンセルのためのフィードバックを行わない。
【0181】
図16Aは、本実施の形態に係る複数の画素10Aおよび10Bの各々の容量素子の第1電極160Aおよび160Bならびに第2電極180Aおよび180Bを模式的に示す平面図である。図16Bは、本実施の形態に係る複数の画素10Aおよび10Bの各々の画素電極130Aおよび130Bを模式的に示す平面図である。
【0182】
本実施の形態では、画素10Bの容量素子150Bは、画素10Bの画素電極130Aと重なる領域に配置されている。また、画素10Aの容量素子150Aの第2電極180Aおよび画素10Bの容量素子150Bの第2電極180Bは、矩形状の単一の電極である。
【0183】
本実施の形態に係る撮像装置のように、隣接する2つの画素10Aおよび10Bの構成が異なっていても、画素10Aの容量素子150Aの第2電極180Aと、画素10Bの容量素子150Bの第2電極180Bとを一体化させることにより、上記した各実施の形態と同様の効果を得ることができる。具体的には、第2電極180Aおよび180Bが一体化した単一の電極は、図16Bの網掛けで示される領域を覆うので、迷光およびクロストークを低減することができ、ノイズを低減することができる。
【0184】
[変形例]
次に、実施の形態6の変形例について、図17を用いて説明する。
【0185】
図17は、本変形例に係る撮像装置の画素の例示的な回路構成を示す図である。図17では、隣接する2つの画素10Aおよび10Bを示している。画素10Aおよび10Bは、増幅トランジスタ34およびアドレストランジスタ40を共有している。画素10Aの回路構成は、図2に示す画素10の回路構成と実質的に同じである。図17では、垂直信号線18とフィードバック経路との分岐点が、アドレストランジスタ40のソースおよびドレインのうち、増幅トランジスタ34に接続されていない方に設けられている点が相違する。なお、図17の画素10Aの回路構成は、図2に示す画素10の回路構成と全く同じであってもよい。
【0186】
図17の画素10Bは、光電変換部100Bと、リセットトランジスタ36Bと、容量素子150Bと、電荷蓄積領域44Bと、を含む。リセットトランジスタ36Bと、容量素子150Bと、電荷蓄積領域44Bとはそれぞれ、画素10Aのリセットトランジスタ36と、容量素子150Aと、電荷蓄積領域44とに相当する。
【0187】
例えば、画素10Aの光電変換部100Aの画素電極130Aの面積は、画素10Bの光電変換部100Bの画素電極130Bの面積よりも大きい。これにより、画素10Aの光電変換部100Aの感度は、画素10Bの光電変換部100Bの感度よりも高くなる。また、画素10Bの光電変換部100Bに接続される容量素子150Bの容量を大きくすることにより、画素10Bの光電変換部100Bは、高輝度の被写体であっても飽和せずに撮像することができる。
【0188】
画素10Aの光電変換部100Aによって得られる信号と、画素10Bの光電変換部100Bによって得られる信号とは、共通の増幅トランジスタ34によって順次に出力される。画素10Aの光電変換部100Aによって得られる画像と画素10Bの光電変換部100Bによって得られる画像とを合成することにより、ダイナミックレンジの広い画像を得ることができる。
【0189】
本変形例の構成であっても、画素10Aの容量素子150Aの第2電極180Aを、隣接する他の画素10Bの容量素子150Bの第2電極180Bと一体化してもよい。あるいは、第2電極180Aまたは180Bを、増幅トランジスタ34を共通化していない他の画素10Aの容量素子150Aの第2電極180Aまたは他の画素10Bの容量素子150Bの第2電極180と一体化してもよい。
【0190】
(実施の形態7)
続いて、実施の形態7について説明する。
【0191】
実施の形態7に係る撮像装置では、光電変換部が半導体基板内に設けられている。以下では、実施の形態1から6およびこれらの変形例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略または簡略化する。
【0192】
図18は、本実施の形態に係る撮像装置の複数の画素10Aおよび10Bの模式的な断面図である。
【0193】
図18に示されるように、画素10Aおよび10Bはそれぞれ、光電変換部100の代わりに、フォトダイオードPDを備える。フォトダイオードPDは、光電変換部の一例であり、例えば、PN接合を有するフォトダイオードである。フォトダイオードPDは、半導体基板2内に形成された不純物領域などによって形成されている。
【0194】
本実施の形態に係る撮像装置は、裏面照射型のCMOSイメージセンサである。なお、裏面とは、半導体基板2が有する2つの主面の一方であり、層間絶縁層4が設けられる主面とは反対側の面である。本実施の形態に係る撮像装置では、半導体基板2の裏面側から、すなわち、図18において紙面上方から光が入射する。
【0195】
また、本実施の形態に係る撮像装置は、チップスタック構造を有する。具体的には、撮像装置は、第1チップ510aと、第2チップ510bとを備える。第1チップ510aと第2チップ510bとは、縦方向に重ねて配置、すなわち、スタックされている。
【0196】
図18に示されるように、第1チップ510aは、半導体基板2と、層間絶縁層4とを備える。第2チップ510bは、半導体基板502と、層間絶縁層504とを備える。第1チップ510aおよび第2チップ510bがそれぞれ製造された後、重ねて配置されることで、画素10Aおよび10Bを備える撮像装置が形成される。具体的には、半導体基板2の主面上に形成された層間絶縁層4と、半導体基板502の主面上に形成された層間絶縁層504とが貼り合わされている。なお、図18では、貼り合わせ面を一点鎖線で模式的に示している。本実施の形態では、層間絶縁層504は、2つの絶縁層504aおよび504bを備える。層間絶縁層4および504の各々の層数は、これらに限定されない。
【0197】
図18に示される例では、第1チップ510aには、リセットトランジスタ36、フィードバックトランジスタ38および容量素子550Aおよび550B設けられている。第2チップ510bには、増幅トランジスタ34およびアドレストランジスタ40が設けられている。画素10の信号検出回路SCに含まれる各素子は、第1チップ510aおよび第2チップ510bのいずれに設けられていてもよい。
【0198】
図18に示されるように、層間絶縁層4の最上層(紙面上の下側の層)である第5絶縁層4eには、導電性の端子部60が設けられている。同様に、層間絶縁層504の最上層である絶縁層504bには、導電性の端子部560が設けられている。端子部60および端子部560が接触して接続されることにより、半導体基板2に設けられた各素子と、半導体基板502に設けられた各素子との電気的な接続を行うことができる。
【0199】
容量素子550Aおよび550Bはそれぞれ、トレンチ部を有する。図18に示す例では、容量素子550Aはそれぞれ、3つのトレンチ部591A、592Aおよび593Aを有する。容量素子550Bも同様に、3つのトレンチ部591B、592Bおよび593Bを有する。トレンチ部591Aおよび591Bがそれぞれ、対応する画素のリセットトランジスタ36の拡散層36dに接続されている。拡散層36dは、リセットドレインノード46(図2を参照)に相当する。
【0200】
また、本実施の形態では、上述した各実施の形態と同様に、容量素子550Aの第2電極180Aと、容量素子550Bの第2電極180Bとが、連続する単一の電極である。これにより、迷光の発生およびクロストークを抑制することができる。
【0201】
図19Aは、本実施の形態に係る複数の画素10Aおよび10Bの各々の容量素子の第1電極160Aおよび160Bならびに第2電極180Aおよび180Bを模式的に示す平面図である。図19Bは、本実施の形態に係る複数の画素10Aおよび10Bの各々のフォトダイオードPDを模式的に示す平面図である。
【0202】
本実施の形態では、画素10AのフォトダイオードPDおよび画素10BのフォトダイオードPD間の領域に重なるように、第2電極180Aおよび180Bが設けられている。第2電極180Aおよび180Bは、単一の電極を構成しており、遮光性を有する。このため、フォトダイオードPD間の領域を通過する迷光の少なくとも一部を遮光し、半導体基板502の拡散層およびトランジスタのチャネルに到達するのを抑制することができる。これにより、ノイズを低減することができる。
【0203】
なお、図19Bでは、平面視においてフォトダイオードPDが設けられていない領域のうち、第2電極180Aおよび180Bに重なる領域に網掛けが付されている。図19Aおよび図19Bを比較して分かるように、容量素子550Aおよび550Bはそれぞれ、フォトダイオードPDと少なくとも一部で重なっていてもよい。これにより、フォトダイオードPDを透過した光があったとしても容量素子550Aおよび550Bにより遮光されるため、ノイズを低減できる。
【0204】
(実施の形態8)
続いて、実施の形態8について説明する。
【0205】
実施の形態8に係るカメラシステムは、上述した各実施の形態または変形例に係る撮像装置を備える。以下では、各実施の形態およびこれらの変形例との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略または簡略化する。
【0206】
図20は、本実施の形態によるカメラシステムの構成例を模式的に示す。カメラシステム600は、レンズ光学系601と、撮像装置1と、システムコントローラ603と、カメラ信号処理部604と、を備える。
【0207】
レンズ光学系601は、例えばオートフォーカス用レンズ、ズーム用レンズおよび絞りを含んでいる。レンズ光学系601は、撮像装置1の撮像面に光を集光する。
【0208】
撮像装置1として、上述の各実施の形態または変形例に係る撮像装置1が用いられる。システムコントローラ603は、カメラシステム600全体を制御する。システムコントローラ603は、例えばマイクロコンピュータによって実現され得る。
【0209】
カメラ信号処理部604は、撮像装置1からの出力信号を処理する信号処理回路として機能する。カメラ信号処理部604は、例えばガンマ補正、色補間処理、空間補間処理、およびオートホワイトバランスなどの処理を行う。カメラ信号処理部604は、例えばDSP(Digital Signal Processor)などによって実現され得る。
【0210】
本実施の形態によるカメラシステム600によれば、上述の実施の形態による撮像装置1を利用することによって、ノイズを低減することができ、良好な画像を取得できる。
【0211】
(他の実施の形態)
以上、1つまたは複数の態様に係る撮像装置およびカメラシステムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、および、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0212】
例えば、各実施の形態および変形例では、複数の配線層のうち半導体基板に比較的近い位置に、単一の電極を有する容量素子を配置したが、より上層の配線層に配置してもよい。容量素子を配線層の上層に配置することにより、隣接する画素間を通過する光は、配線層内の配線によって散乱される前に単一の電極で遮光される。よって、散乱光によるノイズを低減できる。
【0213】
また、例えば、第1画素および第2画素は、互いに隣接しない画素であってもよい。すなわち、連続する単一の電極は、隣接しない2つの画素を繋ぐように設けられていてもよい。
【0214】
また、上記の各実施の形態は、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0215】
本開示の撮像装置は、例えばイメージセンサに適用可能である。本開示の撮像装置は、デジタルカメラ、医療用カメラ、ロボット用カメラなどに用いることができる。
【符号の説明】
【0216】
1 撮像装置
2、502 半導体基板
2a 支持基板
2gw 不純物層
2s 素子分離領域
2w ウェル
4、504 層間絶縁層
4a 第1絶縁層
4b 第2絶縁層
4c 第3絶縁層
4d 第4絶縁層
4e 第5絶縁層
8 定電流源
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F 画素
10a、10b、10c、10d、10e 画素群
16 垂直走査回路
17 蓄積制御線
18 垂直信号線
19 負荷回路
20 カラム信号処理回路
21 水平信号読み出し回路
22 電源配線
23 水平共通信号線
26 リセット信号線
28 フィードバック制御線
30 アドレス信号線
32 感度調整線
34 増幅トランジスタ
34c チャネル領域
34d、34s、36d、36s、38d 拡散層
34e ゲート電極
36、36B リセットトランジスタ
38 フィードバックトランジスタ
40 アドレストランジスタ
41 第1容量素子
42 第2容量素子
44、44B 電荷蓄積領域
46 リセットドレインノード
51 第1スイッチ
52 第2スイッチ
54 電圧切り替え回路
60、560 端子部
61 第1配線層
62 第2配線層
63 第3配線層
100、100A、100B 光電変換部
110、110A、110B 対向電極
120、120A、120B 光電変換膜
130、130A、130B、130C、130D、130E、130F 画素電極
131、132a、132b、133、134a、134b、135a、135b、136c、136d、136e、137 領域
150、150A、150B、250、250A、250B、350、350A、350B、450、450A、450B、550A、550B 容量素子
160、160A、160B、160C、160D、160E、160F、260、260A、260B、360、360A、360B 第1電極
170、170A、170B 絶縁膜
180、180A、180B、180C、180D、180E、180F 第2電極
181、181a、181b、182、183a、183b、183c、183d、183e、184 単一の電極
191A、191B、192A、192B、193A、193B 開口
490A、490B、591A、591B、592A、592B、593A、593B トレンチ部
504a、504b 絶縁層
510a 第1チップ
510b 第2チップ
600 カメラシステム
601 レンズ光学系
603 システムコントローラ
604 カメラ信号処理部
PD フォトダイオード
cp1 コンタクトプラグ
s1、s2 ポリシリコン層
sp1 ポリシリコンプラグ
vc、vd、ve ビア
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17
図18
図19A
図19B
図20