(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104329
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】パネルユニット及びパネルの固定構造
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20230721BHJP
E04B 2/56 20060101ALI20230721BHJP
E04B 1/343 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
E04H1/12 A
E04B2/56 622C
E04B2/56 622L
E04B2/56 652L
E04B1/343 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005249
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】薄田 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 翔太
(72)【発明者】
【氏名】山田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】前嶋 美由紀
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 拓穂
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002FA03
2E002FB07
2E002HA03
2E002HB04
2E002MA01
(57)【要約】
【課題】パネルを簡単に固定できる技術を提供することにある。
【解決手段】パネルと、骨組構造体に設けられる受け部材302と協働して、骨組構造体にパネルを固定する固定部材304と、を備えるパネルユニット。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルと、
骨組構造体に設けられる受け部材と協働して、前記骨組構造体に前記パネルを固定する固定部材と、を備えるパネルユニット。
【請求項2】
前記固定部材及び前記受け部材の一方は弾性爪であり、
前記固定部材及び前記受け部材の他方は前記弾性爪を受けることができる爪受けである請求項1に記載のパネルユニット。
【請求項3】
前記固定部材は、前記受け部材と協働して、工具を使用することなく前記骨組構造体に前記パネルを固定可能である請求項1または2に記載のパネルユニット。
【請求項4】
前記パネルは、面材と、前記面材に固定される建具と、を備え、
前記パネルは、前記面材に前記建具を固定した状態で、前記固定部材及び前記受け部材を用いて、前記骨組構造体に固定可能である請求項1から3のいずれか1項に記載のパネルユニット。
【請求項5】
請求項2から4のいずれかに記載のパネルユニットと、
請求項2から4のいずれかに記載の受け部材と、を備えるパネルの固定構造であって、
前記固定部材及び前記受け部材は、前記パネルのパネル横方向に対向する前記パネルの外側面部と前記骨組構造体に設けられる開口部の内側面部との間に配置され、
前記爪受けは、前記パネルのパネル縦方向両側への前記弾性爪の移動を制限する一対のストッパ部を備えるパネルの固定構造。
【請求項6】
前記弾性爪は、前記パネルの厚み方向の一方側に向かう延び方向に延びており、
前記一対のストッパ部の前記パネル縦方向での内幅及び前記弾性爪の前記パネル縦方向での外幅の少なくとも一方は、前記延び方向に向かうに連れて徐々に小さくなるように形成される請求項5に記載のパネルの固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パネルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、釘を用いて、建物の躯体となる骨組構造体に取り外し不能に固定されるパネルを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物を組み立てる作業者は経験のない素人である場合がある。この場合、骨組構造体にパネルを簡単に固定するための工夫が望まれる。
【0005】
本開示の目的の1つは、パネルを簡単に固定できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のパネルユニットは、パネルと、骨組構造体に設けられる受け部材と協働して、前記骨組構造体に前記パネルを固定する固定部材と、を備えるパネルユニット。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図9】
図9(A)は、屋根パネルの部分的な側面断面図であり、
図9(B)は、その部分的な下面図である。
【
図10】第1外壁パネル及び第1内壁パネルの模式的な平面断面図である。
【
図11】第1外壁パネルを室内側から見た図である。
【
図12】第2外壁パネル及び第2内壁パネルの模式的な平面断面図であり、
【
図13】第2外壁パネルを室内側から見た図である。
【
図14】第3外壁パネル及び第3内壁パネルの模式的な平面断面図である。
【
図15】第3外壁パネルを室内側から見た図である。
【
図18】
図18(A)は、軸型接続機構のメス接続部材の斜視図であり、
図18(B)は、そのオス接続部材の斜視図である。
【
図20】接続軸が接続位置にある状態を示す断面図であり、
図20(A)は、
図19のA1-A1断面に対応し、
図20(B)は、その
図19のA2-A2断面に対応する。
【
図21】接続軸が接続解除位置にある状態を示す断面図であり、
図21(A)は、
図19のA1-A1断面に対応し、
図21(B)は、
図19のA2-A2断面に対応する。
【
図23】
図23(A)は、軸型接続機構を用いた接続手順の第1説明図であり、
図23(B)は、その第2説明図であり、
図23(C)は、その第3説明図であり、
図23(D)は、その第4説明図である。
【
図24】
図24(A)は、直交型接続機構のメス接続部材の斜視図であり、
図24(B)は、そのオス接続部材の斜視図である。
【
図26】接続軸が接続解除位置にある状態を示す断面図であり、
図26(A)は、
図25のB1-B1断面に対応し、
図26(B)は、
図25のB2-B2断面に対応する。
【
図27】
図27(A)は、直交型接続機構を用いた接続手順の第1説明図であり、
図27(B)は、その第2説明図であり、
図27(C)は、その第3説明図であり、
図27(D)は、その第4説明図である。
【
図28】骨組構造体の組み立て手順の第1説明図である。
【
図29】骨組構造体の組み立て手順の第2説明図である。
【
図30】骨組構造体の組み立て手順の第3説明図である。
【
図31】骨組構造体の組み立て手順の第4説明図である。
【
図33】
図32の矢視Cから見た外壁パネル固定機構の外面図である。
【
図35】
図35(A)は、骨組構造体の構面を模式的に示す図であり、
図35(B)は、
図35(A)に外力が付与された状態を模式的に示す図である。
【
図37】屋根材から被覆材を分解した状態を示す平面図である。
【
図39】
図7の視点から見た被覆材の設置方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。
【0009】
図1、
図2、
図3を参照する。建物10は、屋根体12と、屋根体12の下方に形成される室内空間14を取り囲む複数の壁体16A~16Cと、床面を形成する床体18と、を備える。建物10は、例えば、住宅と同じ敷地内に設置され、個人用ワークスペースとして利用される。
【0010】
本実施形態の複数の壁体16A~16Cは、建物10の前側に設けられる前側壁体16Aと、建物10の後側に設けられる後側壁体16Bと、建物10の左右両側に設けられる一対の横側壁体16Cと、を備える。一対の横側壁体16C、屋根体12及び床体18は、前側壁体16Aよりも前側に突き出ることで玄関ポーチ20を構成する。
【0011】
図4、
図5、
図6を参照する。建物10は、建物10の躯体となる骨組構造体40を備える。骨組構造体40は、小屋組42及び床組44のいずれかとなる複数の水平構面46と、複数の水平構面46間に配置され複数の水平構面46に接続される複数の柱フレーム48A、48Bとを有する。本実施形態の複数の水平構面46は、小屋組42と地上階分の床組44とからなる。この他にも、複数の水平構面46は、複数階分の床組44を含んでもよい。
【0012】
小屋組42は、格子状に組まれた複数の屋根フレーム50A~50Dを備える。複数の屋根フレーム50A~50Dは、桁行方向Da1に延びる複数(ここでは三つ)の横屋根フレーム50A、50Bと、梁間方向Da2に延びる複数(ここでは五つ)の縦屋根フレーム50C、50Dと、を含む。横屋根フレーム50A、50Bは、小屋組42の外周部に配置される一対の第1横屋根フレーム50Aと、一対の第1横屋根フレーム50A間に配置される第2横屋根フレーム50Bとを含む。縦屋根フレーム50C、50Dは、小屋組42の外周部に配置される一対の第1縦屋根フレーム50Cと、一対の第1縦屋根フレーム50C間に配置される第2縦屋根フレーム50Dとを含む。第2横屋根フレーム50Bは、他の屋根フレーム50A、50C、50Dよりも下方に配置され、複数の第2縦屋根フレーム50Dを下側から支持している。屋根フレーム50A、50C、50Dは同じ水平面上に配置される。
【0013】
床組44は、格子状に組まれた複数の床フレーム52を備える(後述する
図28も参照)。床組44は、地盤上に配置される複数の基礎ブロック56によって支持される。
【0014】
本実施形態において、複数の屋根フレーム50A~50D及び複数の床フレーム52のそれぞれは、格子状に組まれるとともに水平に延びる横架フレームを構成する。小屋組42は、横架フレームの他にも、垂木等の斜めフレーム、小屋束等の鉛直フレーム、火打梁等の補強フレームを含んでいてもよい。
【0015】
骨組構造体40は、上下の水平構面46を構成する横架フレーム(屋根フレーム50A~50D、床フレーム52)と複数の柱フレーム48A、48Bとがなす複数の壁架構58を備える。複数の壁架構58は、複数の壁体16A~16Cのそれぞれに対応し、その対応する壁体16A~16Cと同じ面上に配置される。横架フレーム及び柱フレーム48A、48Bは、金属、樹脂等を素材とする長尺体である。
【0016】
小屋組42には複数の屋根用開口部60が設けられる。屋根用開口部60は、小屋組42の外周部に配置される二つの横屋根フレーム50A、50Bと、隣り合う縦屋根フレーム50C、50Dとによって形成される。壁架構58には複数の壁用開口部62が設けられる。壁用開口部62は、上下の横架フレーム(屋根フレーム50A~50D、床フレーム52)と、隣り合う柱フレーム48A、48Bとによって形成される。
【0017】
図1~
図3を参照する。建物10は、屋根体12を構成する複数の屋根パネル72と、壁体16A~16Cを構成する複数の壁パネル74A~74C、76A~76Cと、床体18を構成する複数の床パネル78と、を備える。屋根パネル72は、小屋組42の屋根用開口部60(
図5参照)を覆うように設けられる。壁パネル74A~74C、76A~76Cは、壁架構58の壁用開口部62(
図6参照)を覆うように設けられる。複数の壁パネル74A~74C、76A~76Cは、壁体16A~16Cの外壁部分を構成する複数の外壁パネル74A~74Cと、壁体16A~16Cの内壁部分を構成する複数の内壁パネル76A~76Cと、を含む。
【0018】
複数の外壁パネル74A~74Cは、建具80を備えない第1外壁パネル74Aと、建具80を備える第2外壁パネル74B及び第3外壁パネル74Cとを含む。第2外壁パネル74Bは、建具80として窓を備え、第3外壁パネル74Cは、建具80としてドアを備える。以下、第2外壁パネル74B及び第3外壁パネル74Cを建具付きパネル74B、74Cともいう。複数の内壁パネル76A~76Cは、第1外壁パネル74Aに対応する第1内壁パネル76Aと、第2外壁パネル74Bに対応する第2内壁パネル76Bと、第3外壁パネル74Cに対応する第3内壁パネル76Cとを含む。内壁パネル76A~76Cは、自身に対応する外壁パネル74A~74Cに対して壁架構58を間に挟んだ箇所に配置される。
【0019】
建物10は、主に、(1)建物10の全体構造、(2)骨組構造体40を構成するフレーム(48A、48B、50A~50D、52)の接続機構、(3)外壁パネル74A~74Cを骨組構造体40に固定する外壁パネル固定機構、(4)建具付きパネル74B、74C、(5)屋根構造、のそれぞれにおいて特徴がある。以下、これらを順に説明する。
【0020】
(1:建物10の全体構造)
図7、
図8、
図9を参照する。屋根パネル72は、屋根面100を形成する屋根材102と、小屋組42の屋根用開口部60に嵌め込まれる板状の屋根用断熱材104と、屋根パネル72の下方にある室内空間14の天井面14aを形成する天井材106と、小屋組42との間に配置される屋根用気密材108と、を備える。この他に、屋根パネル72は、屋根体12の妻側端部、桁側端部及び棟側端部を構成する箇所に固定され屋根材102の側辺部を覆うカバー110を備える。屋根パネル72の各構成部材は、接着、ねじ等により互いに固定される。屋根パネル72は、屋根パネル72の厚み方向(ここでは鉛直方向)から見て、全体として、矩形状をなす。
【0021】
屋根材102は、金属、樹脂、スレート等を素材とする面材である。屋根材102によって形成される屋根面100は、梁間方向Da2の一方側に向かって下り傾斜となる片流れ屋根を形成する。この他にも、屋根面100は、平屋根、切妻屋根等を形成していてよい。本実施形態の屋根材102は、小屋組42上に載せられる平板状のベース部材114と、屋根面100を形成する屋根面形成部材116とを備える。屋根面形成部材116は、梁間方向Da2の一方側に向かって厚みが連続的に薄くなる板状をなす。
【0022】
屋根用断熱材104は、例えば、繊維系断熱材、発泡プラスチック系断熱材等である。複数の屋根用断熱材104によって小屋組42の各屋根用開口部60を塞ぐことで小屋組42において内断熱構造が構成される。
【0023】
天井材106は、金属、樹脂、木材等を素材とする面材である。天井材106は、室内空間14の意匠面を形成する内装材として機能する。これを実現するうえで、天井材106は、無垢材を使用してもよいし、クロス、塗材(漆喰等)、タイル、木材等の化粧材を芯材に取り付けたものを使用してもよい。天井材106の室内側側面は、屋根フレーム50Dの室内側側面と面一に設けられ、これらによって室内空間14の天井面14aが形成される。
【0024】
屋根パネル72は、屋根パネル72の四周の辺部において外向きに張り出す第1張出部118を備える。本実施形態の第1張出部118は屋根材102により構成され、屋根用断熱材104よりも外向きに張り出している。屋根パネル72の第1張出部118は、屋根用開口部60を構成する複数の屋根フレーム50A、50C、50Dの室外側側面に突き当てられる。
【0025】
屋根用気密材108は、例えば、発泡樹脂(例えば、軟質塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂等)等を素材とする弾性材によって構成される。屋根用気密材108は、屋根パネル72の他の箇所と小屋組42との間に弾性変形を伴い配置されることで、これらの間における外部空間112と室内空間14との間での空気の流れを遮断する。屋根用気密材108は、例えば、屋根用開口部60の周りに環状に連続するように配置される。本実施形態の屋根用気密材108は、屋根パネル72の厚み方向に対向する箇所において屋根パネル72と小屋組42との間に配置される。屋根用気密材108は、この他にも、屋根パネル72の厚み方向と直交する方向(桁行方向Da1及び梁間方向Da2)に対向する箇所において屋根パネル72と小屋組42との間に配置されてもよい。本実施形態の屋根用気密材108は、屋根パネル72の第1張出部118における室内側側面に接着等により固定される。
【0026】
図10~
図15を参照する。第1外壁パネル74A~第3外壁パネル74Cの共通点を説明する。外壁パネル74A~74Cは、外壁パネル74A~74Cの厚み方向(
図10、
図12、
図14では紙面上下方向)から見て、全体として、矩形状をなす。外壁パネル74A~74Cの各構成部材は、接着、ねじ等により互いに固定される。
【0027】
外壁パネル74A~74Cは、外壁材130を備える。外壁材130は、壁架構58の壁用開口部62を室外側から覆うように設けられる。外壁材130は、例えば、金属系サイディング、窯業系サイディング、樹脂系サイディング、木質系サイディング等の面材である。
【0028】
外壁パネル74A~74Cは、自身の四周の辺部において外向きに張り出す第2張出部132を備える。第1外壁パネル74A及び第2外壁パネル74Bの第2張出部132は、四周の辺部のそれぞれから張り出し、第3外壁パネル74Cの第2張出部132は、左右の両辺部のそれぞれから張り出す。本実施形態の第2張出部132は、外壁材130により構成される。外壁パネル74A~74Cの第2張出部132は、壁架構58の室外側側面に突き当てられる。
【0029】
外壁パネル74A~74Cは、壁架構58との間に配置される壁用気密材134を備える。壁用気密材134は、例えば、発泡樹脂(例えば、軟質塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂等)等を素材とする弾性材によって構成される。壁用気密材134は、外壁パネル74A~74Cの他の箇所と壁架構58との間に弾性変形を伴い配置されることで、これらの間における外部空間112と室内空間14との間での空気の流れを遮断する。第1外壁パネル74A及び第2外壁パネル74Bの壁用気密材134は、例えば、壁用開口部62の周りに環状に連続するように配置される。本実施形態の壁用気密材134は、外壁パネル74A~74Cの厚み方向(
図10で紙面上下方向)に対向する箇所において外壁パネル74A~74Cと壁架構58との間に配置される。壁用気密材134は、この他にも、外壁パネル74A~74Cの厚み方向と直交する方向(
図10で紙面左右方向)に対向する箇所において外壁パネル74A~74Cと壁架構58との間に配置されてもよい。本実施形態の壁用気密材134は、外壁パネル74A~74Cの第2張出部132における室内側側面に接着等により固定される。
【0030】
第1外壁パネル74A~第3外壁パネル74Cの個別の特徴を説明する。第1外壁パネル74A及び第2外壁パネル74Bは、壁架構58の壁用開口部62に嵌め込まれる板状の壁用断熱材136を備える。壁用断熱材136は、例えば、繊維系断熱材、発泡プラスチック系断熱材である。複数の壁用断熱材136によって壁架構58の各壁用開口部62を塞ぐことで壁架構58において内断熱構造が構成される。
【0031】
建具付きパネル74B、74Cは、面材400と、面材400に固定される建具80と、建具80を面材400に固定するための建具用下地材412とを備える。これらの詳細は後述する。
【0032】
本実施形態の外壁パネル74A~74Cの一部は壁用開口部62に嵌め込まれている。ここでの外壁パネル74A~74Cの一部とは、第1外壁パネル74Aは壁用断熱材136であり、第2外壁パネル74Bは壁用断熱材136及び建具用下地材412であり、第3外壁パネル74Cは建具用下地材412である。
【0033】
内壁パネル76A~76Cは、内壁材140を備える。内壁材140は、金属、樹脂、木材等の面材である。本実施形態の内壁材140は、室内空間14の意匠面を形成する内装材として機能する。これを実現するうえで、内壁材140は、無垢材を使用してもよいし、クロス、塗材(漆喰等)、タイル、木材等の化粧材を芯材に取り付けたものを使用してもよい。
【0034】
第1内壁パネル76Aの内壁材140は、壁用開口部62の全体を覆うように設けられる。第2内壁パネル76B及び第3内壁パネル76Cの内壁材140は、建具80を露出させる内壁開口部142を備え、壁用開口部62のうち建具80以外の範囲を覆うように設けられる(
図7も参照)。
【0035】
図1、
図16を参照する。建物10は、屋根パネル72に対応する屋根パネル固定機構150と、外壁パネル74A~74Cに対応する外壁パネル固定機構152と、内壁パネル76A~76Cに対応する内壁パネル固定機構154と、を備える。屋根パネル固定機構150は、小屋組42に屋根パネル72を取り外し可能に固定する。本実施形態において、複数の屋根パネル72の全ては、屋根パネル固定機構150を用いて、小屋組42に取り外し可能に固定される。外壁パネル固定機構152は、壁架構58に外壁パネル74A~74Cを取り外し可能に固定する。本実施形態において、複数の外壁パネル74A~74Cの全ては、外壁パネル固定機構152を用いて、壁架構58に取り外し可能に固定される。内壁パネル固定機構154は、壁架構58に内壁パネル76A~76Cを取り外し可能に固定する。本実施形態において、複数の内壁パネル76A~76Cの全ては、内壁パネル固定機構154を用いて、壁架構58に取り外し可能に固定される。
【0036】
ここでの「取り外し可能に固定」とは、釘等を用いて取り外し不能に固定するのではなく、同じ固定機構(後述する固定部材及び受け部材)を用いて、パネルを固定する作業と自身による固定を解除する作業とを繰り返しできることを意味する。パネル固定機構150、152、154は、釘を用いる場合のように、パネルに穴を形成することなく骨組構造体40にパネルを固定可能である。パネル固定機構150、152、154は、骨組構造体40にパネルを釘を使用することなく取り外し可能に固定するともいえる。
【0037】
本実施形態のパネル固定機構150、152、154は、工具を使用することなく、つまり、工具レスで骨組構造体40にパネルを固定可能である。また、本実施形態のパネル固定機構150、152、154は、工具レスで自身による固定を解除可能である。ここでの工具とは、例えば、締結具(ボルト、ねじ)をねじ込むためのドライバ及びレンチの他に、釘を打撃するためのハンマー等をいう。パネル固定機構150、152、154は、締結具、釘を使用することなく骨組構造体40にパネルを固定可能及び固定解除可能であるともいえる。パネルを固定する作業と固定を解除する作業以外の作業では当然に工具を使用してもよい。ここでの「他の作業」とは、例えば、パネルそのものの製造作業、パネル固定機構150、152、154の構成部品をパネル、骨組構造体40に固定する作業をいう。屋根パネル固定機構150、外壁パネル固定機構152の詳細は後述する。
【0038】
図16、
図17を参照する。内壁パネル固定機構154は、壁架構58に設けられる内壁用受け部材170と、内壁用受け部材170と協働して内壁パネル76A~76Cを取り外し可能に壁架構58に固定する内壁用固定部材172とを備える。ここでは第1内壁パネル76Aを図示のうえ説明するが、他の内壁パネル76B、76Cも共通の構成となる。本実施形態の内壁パネル固定機構154は、ボールキャッチ等のキャッチ機構であり、内壁用固定部材172及び内壁用受け部材170は互いに取り外し可能に固定できるオス部材及びメス部材の組み合わせとなる。本実施形態の内壁用固定部材172は、内壁パネル76A~76Cの室外側壁面に固定される。本実施形態の内壁用受け部材170は、ねじ等を用いて柱フレーム48A、48Bに下地材174を介して固定される。
【0039】
内壁パネル固定機構154は、内壁用固定部材172を内壁用受け部材170に固定することで、内壁パネル76A~76Cを壁架構58に固定した状態にすることができる。本実施形態の内壁パネル固定機構154は、壁架構58に内壁パネル76A~76Cを厚み方向の一方側Db1に移動させることで内壁パネル76A~76Cを壁架構58に固定できる。これに対して、内壁パネル固定機構154は、厚み方向の一方側Db1とは反対側Db2に強く移動させることで内壁パネル76A~76Cの固定を解除できる。つまり、パネル固定機構154は、工具レスで壁架構58に内壁パネル76A~76Cを固定でき、かつ、工具レスで自身による固定を解除できる。内壁パネル固定機構154は、ワンタッチで壁架構58に内壁パネル76A~76Cを固定可能かつ固定解除可能であるともいえる。ここでの「ワンタッチ」とは、一方向にのみ押す動作又は引く動作をいう。
【0040】
図4を参照する。建物10は、複数の横架フレーム(屋根フレーム50A~50D、床フレーム52)及び複数の柱フレーム48A、48Bのうちの隣り合うフレームを取り外し可能に接続する接続機構156A、156Bを備える。ここでの「取り外し可能に接続」とは、釘等を用いて取り外し不能に接続するのではなく、同じ接続機構156A、156Bを用いて、隣り合うフレームを接続する作業と、自身による接続を解除する作業とを繰り返しできることを意味する。接続機構156A、156Bは、釘を用いる場合のように、穴を形成することなく隣り合うフレームを接続可能である。接続機構156A、156Bは、隣り合うフレームを釘を使用することなく取り外し可能に接続するともいえる。
【0041】
本実施形態の接続機構156A、156Bは、工具レスで隣り合うフレームを接続可能である。また、本実施形態の接続機構156A、156Bは、工具レスで自身による接続を解除可能である。ここでの工具の定義は前述と同様である。接続機構156A、156Bは、隣り合うフレームを締結具、釘を使用することなく接続するともいえる。フレームを接続する作業と自身による接続を解除する作業以外の作業では当然に工具を使用してもよい。ここでの「他の作業」とは、例えば、フレームそのものの製造作業、接続機構156A、156Bの構成部品をフレームに固定する作業をいう。接続機構156A、156Bの説明は後述する。
【0042】
以上の建物10の全体に関する効果を説明する。
【0043】
建物10は、屋根パネル固定機構150によって小屋組42に固定される複数の屋根パネル72と、外壁パネル固定機構152によって壁架構58に固定される複数の外壁パネル74A~74Cとを備える。よって、パネル固定機構150、152を用いて屋根パネル72、外壁パネル74A~74Cを簡単に骨組構造体40に固定できるようになる。ひいては、建物10の組み立てを短時間で完了させることができる。
【0044】
建物10は、屋根パネル固定機構150によって小屋組42に取り外し可能に固定される複数の屋根パネル72と、外壁パネル固定機構152によって壁架構58に取り外し可能に固定される複数の外壁パネル74A~74Cとを備える。よって、屋根パネル固定機構150による屋根パネル72の固定を解除することで、屋根パネル72を容易に交換できるようになる。同様に、外壁パネル固定機構152による外壁パネル74A~74Cの固定を解除することで、外壁パネル74A~74Cを容易に交換できるようになる。これにより、例えば、建物10の組み立て後に、ユーザの要望に応じたデザインの屋根パネル72、外壁パネル74A~74Cに交換できるようになる。
【0045】
屋根パネル固定機構150は、工具レスで小屋組42に屋根パネル72を固定可能である。よって、骨組構造体40に屋根パネル72を簡単に固定できるようになる。
【0046】
外壁パネル固定機構152は、工具レスで壁架構58に外壁パネル74A~74Cを固定可能である。よって、骨組構造体40に外壁パネル74A~74Cを簡単に固定できるようになる。
【0047】
建物10は、隣り合うフレームを取り外し可能に接続する接続機構156A、156Bを備える。よって、骨組構造体40を容易に分解できるようになる。また、建物10の保全のために骨組構造体40の一部のフレームのみを交換できるようになる。
【0048】
接続機構156A、156Bは、工具レスで隣り合うフレームを接続可能である。よって、複数のフレームを簡単に接続できるようになる。
【0049】
屋根パネル72は、屋根材102と屋根用断熱材104を備える。よって、小屋組42に屋根パネル72を固定することで、屋根材102によって屋根面100を形成しつつ、屋根用断熱材104によって室内空間14の断熱性を確保することができる。
【0050】
屋根パネル72は、屋根材102と天井材106を備える。よって、小屋組42に屋根パネル72を固定することで、屋根材102によって屋根面100を形成しつつ、天井材106によって室内空間14の天井面14aを形成することができる。
【0051】
外壁パネル74A~74Cは、外壁材130と壁用断熱材136を備える。よって、壁架構58に外壁パネル74A~74Cを固定することで、外壁材130によって外壁面を形成しつつ、壁用断熱材136によって室内空間14の断熱性を確保することができる。
【0052】
建物10は、内壁パネル固定機構154によって、骨組構造体40に取り外し可能に固定される内壁パネル76A~76Cを備える。よって、内壁パネル固定機構154による内壁パネル76A~76Cの固定を解除することで、内壁パネル76A~76Cを容易に交換できるようになる。
【0053】
内壁パネル固定機構154は、工具レスで壁架構58に内壁パネル76A~76Cを固定可能である。よって、骨組構造体40に内壁パネル76A~76Cを簡単に固定できるようになる。
【0054】
建物10の他の特徴を説明する。
図16を参照する。隣り合う外壁パネル74A~74Cの間には外部見切材180が配置される。外部見切材180は上下方向に延びる長尺状をなし、隣り合う外壁パネル74A~74Cの間の隙間を塞いでいる。外部見切材180は弾性体であり、隣り合う外壁パネル74A~74Cの間の隙間に押し込むことで、その外壁パネル74A~74C間に取り付けられる。外部見切材180を隣り合う外壁パネル74A~74C間に取り付けることで、隣り合う外壁パネル74A~74Cの間が外部見切材180によりシールされる。
【0055】
隣り合う内壁パネル76A~76Cの間には内部見切材182が配置される。内部見切材182は上下方向に延びる長尺状をなし、隣り合う内壁パネル76A~76Cの間の隙間を塞いでいる。内部見切材182は、隣り合う内壁パネル76A~76C間の隙間に押し込むことで、その内壁パネル76A~76C間に取り付けられる。
【0056】
(2:フレームの接続機構)
図4、
図5、
図6を参照する。複数の柱フレーム48A、48Bは、複数の主柱フレーム48Aと、複数の主柱フレーム48A間に配置される間柱フレーム48Bとを含む。本実施形態の主柱フレーム48Aは、骨組構造体40の四隅の角部の他に、横側壁体16Cと前側壁体16A(
図1参照)の交差箇所に配置される。
【0057】
複数の屋根フレーム50A~50Dは、交差フレーム200A、200B及び辺フレーム202の少なくとも一方を用いて構成される。交差フレーム200A、200Bは、屋根フレーム50A~50Dと主柱フレーム48Aとの交差箇所に用いられる。辺フレーム202は、複数の交差フレーム200A、200Bの間、及び、複数の辺フレーム202の間のいずれかに用いられる。例えば、二つの第1縦屋根フレーム50Cは、複数(ここでは三つ)の交差フレーム200A、200Bと複数(ここでは二つ)の辺フレーム202とによって構成される。三つの横屋根フレーム50A、50Bと三つの第2縦屋根フレーム50Dとは、辺フレーム202によって構成される。
【0058】
交差フレーム200A、200Bは、骨組構造体40の角部に配置される第1交差フレーム200Aと、横側壁体16Cと前側壁体16Aの交差箇所(
図1参照))に用いられる第2交差フレーム200Bを含む。第1交差フレーム200Aは、平面視において、二つの辺フレーム202に接続されるL字状をなす。第2交差フレーム200Bは、平面視において、三つの辺フレーム202に接続されるT字状をなす。
【0059】
複数の横架フレーム(屋根フレーム50A~50D、床フレーム52)及び複数の柱フレーム48A、48Bは、骨組構造体40を構成する他の二つのフレームの間に配置される中間フレーム204A~204Cを含む。中間フレーム204A~204Cは、中間フレーム204A~204Cの長手方向両側に配置される他の二つのフレームと自身の長手方向に重なる位置に配置される。中間フレーム204A~204Cは、辺フレーム202によって構成される第1中間フレーム204A及び第2中間フレーム204Bと、間柱フレーム48Bによって構成される第3中間フレーム204Cとを含む。中間フレーム204A、204Bは、二つの辺フレーム202間に配置される第1中間フレーム204Aと、二つの交差フレーム200A、200B間に配置される第2中間フレーム204Bとを含む。本実施形態において、第1中間フレーム204Aは、三つの第2縦屋根フレーム50Dである。本実施形態において、第2中間フレーム204Bは、二つの第1縦屋根フレーム50Cと、三つの横屋根フレーム50A、50Bである。
【0060】
複数の横架フレーム(屋根フレーム50A~50D、床フレーム52)及び複数の柱フレーム48A、48Bのうち少なくとも一部の隣り合うフレームは、前述した接続機構156A、156Bを用いて接続される。本実施形態では、小屋組42を構成する全ての屋根フレーム50A~50D同士の組み合わせと、全ての屋根フレーム50A~50Dと柱フレーム48A、48Bとの組み合わせと、全ての床フレーム52と柱フレームとの組み合わせは、接続機構156A、156Bを用いて接続される。
【0061】
接続機構156A、156Bは、隣り合うフレームを軸方向Dc(後述する)に相対移動させる軸移動操作を経て接続する軸型接続機構156Aと、隣り合うフレームを軸方向Dcと直交する方向に相対移動させる直交移動操作を経て接続する直交型接続機構156Bとを含む。主柱フレーム48Aは、床フレーム52に軸型接続機構156Aを用いて接続される。また、主柱フレーム48Aは、屋根フレーム50C、50Dとなる交差フレーム200A、200Bに直交型接続機構156Bを用いて接続される。
【0062】
中間フレーム204A~204Cは、他の二つのフレームのそれぞれに直交型接続機構156Bを用いて接続される。第1中間フレーム204A(辺フレーム202)は、他の二つの辺フレーム202のそれぞれに直交型接続機構156Bを用いて接続される。第2中間フレーム204B(辺フレーム202)は、二つの交差フレーム200A、200Bに直交型接続機構156Bを用いて接続される。第3中間フレーム204C(間柱フレーム48B)は、上下の横架フレーム(屋根フレーム50A~50D、床フレーム52)に直交型接続機構156Bを用いて接続される。
【0063】
図18、
図19を参照する。軸型接続機構156Aと直交型接続機構156Bの共通点を先に説明してから、個別の特徴を説明する。ここでは、接続機構156A、156Bとして軸型接続機構156Aを例とし、接続機構156A、156Bによって接続される二つのフレームを第1フレーム210、第2フレーム212という。ここでは、第1フレーム210が床フレーム52であり、第2フレーム212が主柱フレーム48Aである例を示す。
【0064】
接続機構156A、156Bは、第1フレーム210に設けられるメス接続部材214と、第2フレーム212に設けられるオス接続部材216とを備える。メス接続部材214とオス接続部材216は、第1フレーム210と第2フレーム212との突き合わせ箇所に設けられる。第1フレーム210と第2フレーム212の一方(この例では第2フレーム212)は長尺材となり、その長尺材の長手方向の延長上にメス接続部材214とオス接続部材216が設けられる。メス接続部材214は、差込孔218を備え、オス接続部材216は、差込孔218に軸方向Dcに差し込まれる接続軸220を備える。以下、接続機構156A、156Bに関する説明において、オス接続部材216の接続軸220の軸心Laに沿った方向を単に軸方向Dcといい、その軸心Laを円中心とする半径方向及び円周方向を、単に径方向及び周方向という。
【0065】
本実施形態のメス接続部材214は、第1フレーム210とは別体に構成され、ねじ部材等によって第1フレーム210に固定される。差込孔218は、差込孔218の入口側に設けられる入口側孔部222と、入口側孔部222よりも差込孔218の奥側に設けられる奥側孔部224とを備える。奥側孔部224は、入口側孔部222よりも径方向に広がるように形成され、その入口側に内側段部226を形成する。
【0066】
本実施形態のオス接続部材216は、第2フレーム212とは別体に構成され、ねじ部材等によって第2フレーム212に固定される。接続軸220は、接続軸220の根本側に設けられる根本側軸部228と、根本側軸部228よりも接続軸220の先端側に設けられる先端側軸部230とを備える。先端側軸部230は、根本側軸部228よりも径方向に突き出るように形成される突出部232を備え、突出部232の根本側に外側段部234を形成する。本実施形態の先端側軸部230は、接続軸220の軸心Laを間に挟んだ別々の方向に突き出るように形成される一対の突出部232を備える。
【0067】
図20、
図21を参照する。メス接続部材214及び第1フレーム210と、オス接続部材216及び第2フレーム212とは、接続軸220を差込孔218に差し込んだ状態で、接続軸220の軸心La周りに相対回転させることができる。接続軸220は、各接続部材214、216を相対回転させることで接続位置Pa(
図20参照)と接続解除位置Pb(
図21参照)との間を移動可能である。
【0068】
接続位置Paにあるとき、接続軸220の外側段部234が差込孔218の内側段部226に軸方向Dcに引っ掛け可能となる。
図20(A)では、接続軸220の外側段部234が差込孔218の内側段部226に引っ掛かる箇所に破線のハッチングを付す。これにより、接続軸220は、差込孔218に対して軸方向Dcに引き抜き不能となる。ひいては、接続位置Paにあるとき、接続機構156A、156Bにより第1フレーム210と第2フレーム212とが接続される。
【0069】
接続解除位置Pbにあるとき、接続軸220の先端側軸部230(外側段部234)が差込孔218の内側段部226に引っ掛かることなく入口側孔部222を通過可能となる。これにより、接続軸220は、差込孔218に対して軸方向Dcに引き抜き可能となる。ひいては、接続解除位置Pbにあるとき、接続機構156A、156Bによる第1フレーム210と第2フレーム212の接続が解除される。
【0070】
差込孔218は、差込孔218に対する接続軸220の相対回転可能範囲を制限範囲Raに制限する回転制限機構240を備える。回転制限機構240は、制限範囲Raの一端位置(
図20(B)参照)を定める第1回転制限部242Aと、制限範囲Raの他端位置(
図21(B)参照))を定める第2回転制限部242Bと、を備える。回転制限部242A、242Bは、接続軸220の一対の突出部232のそれぞれに対応して個別に設けられる。本実施形態の回転制限部242A,242Bは、差込孔218の奥側孔部224に設けられ径方向内側に突き出る凸部によって構成される。回転制限部242A、242Bは、接続軸220の突出部232との接触により、制限範囲Raの末端位置で接続軸220を停止させる。これにより、回転制限部242A、242Bは、接続軸220の相対回転できる範囲を制限範囲Raに制限できる。本実施形態の制限範囲Ra(相対回転可能範囲)は、1/4周分の周方向範囲となる。接続軸220は、制限範囲Raの一端位置(
図20(B)参照)にあるときに接続位置Paにあり、制限範囲Raの他端位置(
図20(B)参照)にあるときに接続解除位置Pbにある。
【0071】
次に、軸型接続機構156Aの特徴を説明する。
図18、
図19、
図22を参照する。軸型接続機構156Aの差込孔218及び接続軸220は、軸方向Dcに直交する全ての方向での荷重を伝達可能に嵌合する嵌合構造250を備える。嵌合構造250は、差込孔218に設けられる第1嵌合部252Aと、接続軸220に設けられる第2嵌合部252Bとを備える。嵌合構造250は、軸方向Dcに直交するとともに互いに直交する二方向で荷重を伝達可能に嵌合することにもなる。嵌合構造250は、第1嵌合部252Aと第2嵌合部252Bが互いに面接触することで、全ての方向での荷重を伝達可能となる。
【0072】
第1嵌合部252A及び第2嵌合部252Bの一方(ここでは第1嵌合部252A)は軸方向Dcに凹む凹部であり、他方(ここでは第2嵌合部252B)は、その凹部に嵌まり込む軸方向Dcに突き出る凸部である。第1嵌合部252A(凹部)は、差込孔218の奥側孔部224よりも更に奥側(
図19の紙面下側)に設けられる。第2嵌合部252B(凸部)は、接続軸220の先端側軸部230よりも更に先端側(
図19の紙面下側)に設けられる。接続軸220及び差込孔218の相対回転を許容できるように、第1嵌合部252A及び第2嵌合部252Bの軸方向Dcに直交する断面形状は円形状をなす。第1嵌合部252Aは、差込孔218の入口側孔部222よりも更に入口側(
図19の紙面上側)に設け、第2嵌合部252Bは、接続軸220の根本側軸部228よりも更に根本側に設けてもよい。また、差込孔218の第1嵌合部252Aを凸部とし、接続軸220の第2嵌合部252Bを凹部としてもよい。
【0073】
以上の軸型接続機構156Aを用いて第1フレーム210と第2フレーム212を接続する手順を説明する。
図23を参照する。まず、メス接続部材214の差込孔218に対してオス接続部材216の接続軸220を軸方向Dcの差込方向De1(接続軸220を差込孔218に差し込む方向)に相対移動させることで差込孔218に接続軸220を差し込む差込操作(軸移動操作)を行う(
図23(A)を参照)。この差込操作は、接続軸220と差込孔218の周方向での相対位置を接続解除位置Pbとした状態で行う。この差込操作を行うことで、嵌合構造250を構成する差込孔218の第1嵌合部252Aと接続軸220の第2嵌合部252Bとが嵌合する。次に、オス接続部材216及びメス接続部材214を相対回転させることで、接続軸220を接続解除位置Pbから接続位置Paに移動させる正回転操作を行う(
図23(B)参照)。これにより、軸型接続機構156Aを用いて第1フレーム210と第2フレーム212が接続される。
【0074】
軸型接続機構156Aによる接続を解除する手順を説明する。まず、オス接続部材216及びメス接続部材214を相対回転させることで、接続軸220を接続位置Paから接続解除位置Pbに移動させる逆回転操作を行う(
図23(C)参照)。次に、メス接続部材214の差込孔218に対してオス接続部材216の接続軸220を軸方向Dcの反差込方向De2(差込方向とは反対方向)に相対移動させることで引き抜く引抜操作(軸移動操作)を行う(
図23(D)参照))。これにより、軸型接続機構156Aを用いた第1フレーム210と第2フレーム212の接続が解除される。
【0075】
次に、直交型接続機構156Bの特徴を説明する。
図24、
図25、
図26を参照する。ここでは、第1フレーム210が床フレーム52であり、第2フレーム212が間柱フレーム48Bである例を示す。
【0076】
直交型接続機構156Bのメス接続部材214は、接続軸220の軸方向Dcに直交する一方向Dfにおける差込孔218に対する接続軸220の出し入れを許容する切欠260を備える。切欠260は、差込孔218の入口側孔部222及び奥側孔部224のそれぞれを一方向Dfの一方側(
図25の紙面右側)に向かって開放する。メス接続部材214は、差込孔218に対する接続軸220の周方向での相対位置が接続解除位置Pbにあるときに、切欠260を通して差込孔218に対する接続軸220の出し入れを許容する。このとき、接続軸220は、切欠260に対するスライドを伴い差込孔218に対して出し入れ可能となる。これに対して、メス接続部材214は、差込孔218に差し込まれた状態にある接続軸220が接続位置Paにあるとき、切欠260を通る差込孔218に対する接続軸220の出し入れを制限する(後述の
図27(C)参照)。このとき、接続軸220は、差込孔218との接触によって切欠260を通る差込孔218に対する出し入れが制限される。
【0077】
以上の直交型接続機構156Bを用いて第1フレーム210と第2フレーム212を接続する手順を説明する。
図27を参照する。まず、接続軸220を一方向Dfに相対移動させることで、切欠260を通して差込孔218内に接続軸220を入れる横入れ操作(直交移動操作)を行う(
図27(A)参照))。この横入れ操作は、接続軸220と差込孔218の周方向での相対位置を接続解除位置Pbとした状態で行う。この横入れ操作を行うことで、接続軸220を差込孔218に差し込んだ状態となる。次に、軸型接続機構156Aと同様に正回転操作を行う(
図27(B)参照))。これにより、直交型接続機構156Bを用いて第1フレーム210と第2フレーム212が接続される。
【0078】
次に、直交型接続機構156Bを用いた接続を解除する手順を説明する。まず、軸型接続機構156Aと同様に逆回転操作を行う(
図27(C)参照)。次に、オス接続部材216の接続軸220を一方向Dfに相対移動させることで、切欠260を通して差込孔218から接続軸220を出す横出し操作(直交移動操作)を行う(
図27(D)参照)。これにより、直交型接続機構156Bを用いた接続が解除される。
【0079】
なお、直交型接続機構156Bを用いる場合も、軸型接続機構156Aと同様、差込操作を行うことで、接続軸220を差込孔218に差し込んだ状態にしてもよい。また、直交型接続機構156Bを用いる場合も、軸型接続機構156Aと同様、逆回転操作後に引抜操作を行うことで差込孔218から接続軸220を引き抜いてもよい。
【0080】
次に、骨組構造体40の組み立て方法を説明する。
図28を参照する。まず、複数の床フレーム52を組み合わせて床組44を組み立てる(S10)。床組44の組み立ては、建物の組立現場とは別の製造場所において先立って行われていてもよいし、建物の組み立て現場で行われてもよい。床組44は基礎ブロック56上に固定する。
【0081】
図29を参照する。次に、軸型接続機構156Aを用いて、予め定位置に配置された床組44を構成する床フレーム52(横架フレーム)に主柱フレーム48Aを接続する(S12)。ここでの「定位置」とは、骨組構造体40において言及している対象(ここでは床フレーム52)が配置されるべき位置をいう。ここでは、軸型接続機構156Aのメス接続部材214が床フレーム52に設けられ、そのオス接続部材216が主柱フレーム48Aに設けられる例を示す。S12、S14において、軸型接続機構156Aを用いた接続手順は
図23で説明した通りとなる。
【0082】
図30を参照する。次に、直交型接続機構156Bを用いて、予め定位置に配置された主柱フレーム48Aに対して屋根フレーム50C、50Dの交差フレーム200A、200Bを接続する(S14)。ここでは、直交型接続機構156Bのメス接続部材214が交差フレーム200A、200Bに設けられ、そのオス接続部材216が主柱フレーム48Aに設けられる例を示す。
【0083】
図31を参照する。次に、直交型接続機構156Bを用いて、予め定位置に配置された二つの交差フレーム200A、200B間に屋根フレーム50A~50Dの辺フレーム202(第2中間フレーム204B)を接続する(S16)。ここでは、直交型接続機構156Bのメス接続部材214が二つの交差フレーム200A、200Bに設けられ、そのオス接続部材216が辺フレーム202(第2中間フレーム204B)に設けられる例を示す。この二つの交差フレーム200A、200Bにあるメス接続部材214の切欠260は上方に向かって開放している。
【0084】
次に、直交型接続機構156Bを用いて、予め定位置に配置された二つの辺フレーム202間に他の辺フレーム202(第1中間フレーム204A)を接続する(S18)。ここでは、直交型接続機構156Bのメス接続部材214が二つの辺フレーム202(第2中間フレーム204B)に設けられ、そのオス接続部材216が他の辺フレーム202(第1中間フレーム204A)に設けられる例を示す。この二つの辺フレーム202にあるメス接続部材214の切欠260は上方に向かって開放している。
【0085】
次に、図示しないものの、直交型接続機構156Bを用いて、予め定位置に配置された屋根フレーム50A~50Dと床フレーム52の間に間柱フレーム48B(第3中間フレーム204C)を接続する(S20)。S14、S16、S18、S20において、直交型接続機構156Bを用いた接続手順は
図27で説明した通りとなる。これにより、
図4のように骨組構造体40の組み立てが完了する。
【0086】
ステップS16、S18、S20は、次の第1作業、第2作業を順に経ることで、中間フレーム204A~204Cを二つのフレームに接続しているといえる。第1作業とは、予め定位置に配置された二つのフレーム間に中間フレーム204A~204Cを軸方向Dcと直交する方向に移動させることで、前述した横入れ操作を行うことである(
図27(A)も参照)。このとき、前述した第1中間フレーム204A、第2中間フレーム204B(
図31参照)は、上方に向かって開放している切欠260を通るように、下向きに移動させることで横入れ操作を行う。第2作業とは、中間フレーム204A~204Cの回転により接続軸220を接続解除位置Pbから接続位置Paに移動させる正回転操作を行うことである(
図27(B)も参照)。
【0087】
以上の接続機構156A、156Bに関する効果を説明する。
【0088】
接続軸220は、メス接続部材214及びオス接続部材216を相対回転させることで、接続位置Paと接続解除位置Pbとの間を移動可能である。よって、接続軸220を差込孔218に差し込んだ状態にしたうえで、接続解除位置Pbから接続位置Paとなるまでメス接続部材214及びオス接続部材216を相対回転させるだけで、接続機構156A、156Bによって複数のフレーム(後述の被接続部材)を接続できる。このため、ボルトを用いる場合と比べ、複数のフレーム(被接続部材)を簡単に接続できる。また、接続機構156A、156Bが接続位置Paにあるとき、差込孔218に対して接続軸220を引き抜き不能とすることで、接続軸220の軸方向Dcでの強度を確保できる。
【0089】
また、メス接続部材214及びオス接続部材216を接続解除位置Pbとなるまで相対回転させたうえで差込孔218から接続軸220を出すだけで、接続機構156A、156Bによる接続を解除できる。よって、ボルトを用いる場合と比べ、接続機構156A,156Bによる接続を簡単に解除できる。
【0090】
接続機構156A、156Bは、接続位置Paにあるとき、外側段部234が内側段部226に引っ掛け可能となり、接続解除位置Pbにあるとき、接続軸220の先端側軸部230が差込孔218の入口側孔部222を通過可能となる。これにより、入口側孔部222及び奥側孔部224を備える差込孔218と、根本側軸部228及び先端側軸部230を備える接続軸220とを用いた簡単な構成によって接続機構156A、156Bを実現できる。
【0091】
軸型接続機構156Aの差込孔218及び接続軸220は、接続軸220の軸方向Dcに直交する全ての方向での荷重を伝達可能に嵌合する嵌合構造250を備える。よって、メス接続部材214に対してオス接続部材216の接続軸220を倒すような倒し荷重が作用したとき、嵌合構造250によって複数のフレームの間で倒し荷重を効果的に伝達できる。ひいては、倒し荷重が作用したときに軸型接続機構156A周りでの変形の抑制を図ることができる。
【0092】
直交型接続機構156Bは、接続軸220の軸方向Dcに直交する一方向Dfにおける差込孔218に対する接続軸220の出し入れを許容する切欠260を備える。二つのフレームの間に配置されるフレームを二つのフレームに接続するにあたり、接続軸220の軸方向Dcに各フレームを相対移動させるスペースがない場合を想定する。この場合でも、切欠260を用いて差込孔218に対して接続軸220を出し入れできる。
【0093】
接続軸220は、制限範囲Raの一端位置にあるときに接続位置Paにあり、制限範囲Raの他端位置にあるときに接続解除位置Pbにある。よって、回転制限機構240により相対回転が制限される末端位置(一端位置、他端位置)に位置するまで、差込孔218に対して接続軸220を相対回転させるだけで、接続軸220を接続位置Paか接続解除位置Pbのいずれかに位置させることが可能となる。
【0094】
水平構面46を構成する複数の横架フレーム及び複数の柱フレーム48A、48Bのうち隣り合うフレームは、接続機構156A、156Bを用いて接続される。よって、接続機構156A、156Bを用いてフレームを工具レスで簡単に接続できる。
【0095】
中間フレーム204A~204Cは、他の二つのフレームのそれぞれに直交型接続機構156Bを用いて接続される。よって、予め定位置に他の二つのフレームを配置してから、直交型接続機構156Bを用いて中間フレーム204A~204Cを他の二つのフレームに工具レスで簡単に接続できる。
【0096】
中間フレーム204A、204Bは、辺フレーム202である。よって、辺フレーム202の軸方向両側に横架フレームを構成する他の二つのフレーム(交差フレーム200A、200B又は辺フレーム202)を予め配置してから、直交型接続機構156Bを用いて辺フレーム202を他の二つのフレームに工具レスで簡単に接続できる。
【0097】
中間フレーム204Cは、間柱フレーム48Bである。よって、間柱フレーム48Bの軸方向両側に二つの横架フレームを予め配置してから、直交型接続機構156Bを用いて間柱フレーム48Bを二つの横架フレームに工具レスで簡単に接続できる。
【0098】
主柱フレーム48Aと横架フレームは、嵌合構造250を備える軸型接続機構156Aを用いて接続される。よって、嵌合構造250を用いて主柱フレーム48Aを倒すような倒し荷重を主柱フレーム48Aと横架フレームとの間で効果的に伝達できる。
【0099】
(3:外壁パネル固定機構)
図11、
図13、
図15、
図16、
図17を参照する。パネルを厚み方向から見た、パネルのなす矩形の一辺に沿った方向をパネル縦方向Dg1といい、その一方に隣り合う他の辺に沿った方向をパネル横方向Dg2という。ここでは外壁パネル74A~74Cのパネル縦方向Dg1は上下方向となり、パネル横方向Dg2は水平方向となる例を説明する。
【0100】
外壁パネル固定機構152は、外壁パネル74A~74Cに設けられる外壁用固定部材300と、壁架構58に設けられる外壁用受け部材302とを備える。ここでは外壁パネル74A~74Cと外壁用固定部材300をまとめてパネルユニット301として捉える。また、パネルユニット301と外壁用受け部材302とをまとめてパネルの固定構造303として捉える。本実施形態の外壁パネル固定機構152はスナップフィット機構である。この外壁パネル固定機構152は、外壁用固定部材300及び外壁用受け部材302の一方(ここでは外壁用固定部材300)が弾性爪304となり、それらの他方(ここでは外壁用受け部材302)が爪受け306となる。
【0101】
外壁用固定部材300及び外壁用受け部材302の組は、パネル横方向Dg2に対向する外壁パネル74A~74Cの外側面部74aと壁架構58の壁用開口部62の内側面部62aとの間に配置される。本実施形態の外壁用固定部材300及び外壁用受け部材302の組は、外壁パネル74A~74Cに対してパネル横方向Dg2両側において、外壁パネル74A~74Cと壁用開口部62との間に配置される。外壁用固定部材300及び外壁用受け部材302の組は、外壁パネル74A~74Cと壁用開口部62との間にパネル縦方向Dg1に間隔を空けて配置される。本実施形態では、合計6組の外壁用固定部材300及び外壁用受け部材302の組が配置される。外壁用固定部材300は、好ましくは、外壁パネル74A~74Cの上下の外側面部から上下方向内側に間を空いた箇所に設けられるとよい。この条件は、第1外壁パネル74A、第2外壁パネル74Bに設けられる外壁用固定部材300が満たす例を示すが、第3外壁パネル74Cに設けられる外壁用固定部材300も同様の条件を満たしていてもよい。
【0102】
図32、
図33を参照する。弾性爪304は、全体として、外壁パネル74A~74Cの厚み方向の一方側に向かう延び方向Dh1に延びている。弾性爪304は、板状の第1ベース部304aと、第1ベース部304aから突き出る腕部304bと、腕部304bの先端部に設けられる爪部304cと、を備える。第1ベース部304aは、外壁パネル74A~74C及び壁架構58のうちの弾性爪304の固定相手(ここでは外壁パネル74A~74C)にねじ等により固定される。本実施形態では、外壁パネル74A~74Cの外壁材130の室内側側面に固定される。腕部304bは、パネル横方向Dg2に弾性的に撓み変形可能である。外壁パネル74A~74Cの壁用断熱材136には、弾性爪304の腕部304bの撓み変形を許容するための切欠部74b(
図11参照)が形成され、その切欠部74b内に弾性爪304の腕部304b及び爪部304cの一部が配置される。
【0103】
爪受け306は、板状の第2ベース部306aと、第2ベース部306aに設けられ爪部304cを受けることができる受け部306bとを備える。第2ベース部306aは、外壁パネル74A~74C及び壁架構58のうちの爪受け306の固定相手(ここでは壁架構58)にねじ等により固定される。
【0104】
弾性爪304及び爪受け306のそれぞれは、壁架構58に外壁パネル74A~74Cを固定するときに、弾性爪304の腕部304bをパネル横方向Dg2に撓み変形させるようにガイドするガイド面304d、306dを備える。弾性爪304のガイド面304dは、弾性爪304の爪部304cに設けられ、弾性爪304の先端側に向かうに連れてパネル横方向Dg2で爪受け306から離れるように傾斜する。爪受け306のガイド面306dは、爪受け306の第2ベース部306aに設けられ、弾性爪304の先端側に向かうに連れてパネル横方向Dg2で弾性爪304に近づくように傾斜する。
【0105】
図17、
図32を参照する。以上の外壁パネル固定機構152を用いて外壁パネル74A~74Cを骨組構造体40に固定する場合、外壁パネル74A~74Cを延び方向Dh1に移動させる。外壁パネル74A~74Cを延び方向Dh1に移動させたとき、爪受け306との接触によって、弾性爪304の腕部304bがパネル横方向Dg2に撓み変形した後に復元する。このとき、弾性爪304のガイド面304dと爪受け306のガイド面306dが接触することによって、外壁パネル74A~74Cの移動に伴い弾性爪304が撓み変形するようにガイドされる。これにより、弾性爪304の爪部304cを爪受け306の受け部306bに引っ掛け可能となる。この引っ掛けによって外壁パネル74A~74Cの厚み方向における延び方向Dh1とは反対方向Dh2での外壁パネル74A~74Cの移動が制限され、外壁パネル74A~74Cが骨組構造体40に固定される。
【0106】
外壁パネル固定機構152による外壁パネル74A~74Cの固定を解除する場合、弾性爪304の腕部304bをパネル横方向Dg2に撓み変形させることで、爪受け306に対する弾性爪304の引っ掛けを解除する引掛解除操作を行う。弾性爪304の引っ掛けを解除した状態で、爪受け306の受け部306bよりも反対方向Dh2に弾性爪304の爪部304cが位置するまで、外壁パネル74A~74Cの少なくとも一部を反対方向Dh2に移動させるパネル移動操作を行う。この引掛解除操作とパネル移動操作を順々に行うことで、一組の弾性爪304と爪受け306による外壁パネル74A~74Cの固定を解除することができる。この外壁パネル74A~74Cの固定を解除するための固定解除操作は、内壁パネル76A~76Cを取り外したうえで、外壁パネル74A~74Cの外壁パネル固定機構152を室内空間14側に露出させた状態で、室内空間14にいる作業員によって行う。外壁パネル固定機構152は、室内空間14にいる作業員によって固定解除操作を行うことができ、外部空間112にいる作業者によって固定解除操作を行うことができないように構成されるともいえる。これにより、外部空間112にいる第三者によって外壁パネル74A~74Cが勝手に取り外し不能となり、セキュリティ性の向上を図ることができる。
【0107】
複数組のうちの一部の組の弾性爪304と爪受け306による外壁パネル74A~74Cの固定を解除すると、その弾性爪304と爪受け306周りにある外壁パネル74A~74Cの一部だけが反対方向Dh2に移動する。このとき、残りの弾性爪304と爪受け306周りにある外壁パネル74A~74Cの一部は、その弾性爪304と爪受け306によって元の位置に固定されたままの状態となる。複数組のうちのすべての組の弾性爪304と爪受け306による外壁パネル74A~74Cの固定を解除することで、外壁パネル74A~74C全体を骨組構造体40から分離できる。
【0108】
ここでは、外壁パネル固定機構152は、引掛解除操作とパネル移動操作を順々に行うことで、外壁パネル74A~74Cの固定を解除する例を説明した。この他にも、外壁パネル固定機構152は、パネル移動操作を行うだけで、弾性爪304の撓み変形による弾性爪304の引っ掛けの解除を伴い、外壁パネル74A~74Cの固定を解除してもよい。
【0109】
以上のように、外壁パネル固定機構152は、骨組構造体40に外壁パネル74A~74Cを取り外し可能に固定することができる。外壁用固定部材300は、外壁用受け部材302と協働して、骨組構造体40に外壁パネル74A~74Cを取り外し可能に固定するともいえる。また、外壁パネル固定機構152は、工具レスで骨組構造体40に外壁パネル74A~74Cを固定できるとともに、工具レスで自身による固定を解除できる。
【0110】
図33、
図34を参照する。爪受け306は、弾性爪304に対してパネル縦方向Dg1両側に配置される一対のストッパ部306eを備える。本実施形態の一対のストッパ部306eは、爪受け306の第2ベース部306aからパネル横方向Dg2に突き出て外壁パネル74A~74Cの厚み方向に延びる突条によって構成される。一対のストッパ部306eは、弾性爪304と接触することによって、外壁パネル74A~74Cのパネル縦方向Dg1両側への弾性爪304の移動を制限する。これにより、壁用開口部62を形成するパネル縦方向Dg1に延びるフレーム(ここでは柱フレーム48A)から外壁パネル74A~74Cにパネル縦方向Dg1での力を伝達できるようになる。
【0111】
一対のストッパ部306eのパネル縦方向Dg1での内幅W1と、弾性爪304のパネル縦方向Dg1での外幅W2を想定する。この内幅W1及び外幅W2の少なくとも一方は、弾性爪304の延び方向Dh1に向かうに連れて徐々に小さくなるように形成される。本実施形態では、内幅W1及び外幅W2の両方がこの条件を満たしている。この条件は、内幅W1及び外幅W2に関して、外壁パネル74A~74Cの厚み方向範囲の少なくとも一部において満たされていればよい。一対のストッパ部306eの内幅W1が徐々に小さくなるパネル厚み方向(
図33の紙面左右方向)の領域を第1幅変化領域306gとし、弾性爪304の外幅W2が徐々に小さくなるパネル厚み方向の領域を第2幅変化領域304gという。本実施形態では、一対のストッパ部306eにおいて、外壁パネル74A~74Cの厚み方向範囲の一部において第1幅変化領域306gが設けられる。また、本実施計阿智では、弾性爪304において、外壁パネル74A~74Cの厚み方向範囲の全域において第2幅変化領域304gが設けられる。
【0112】
以上の外壁パネル固定機構152の効果を説明する。
【0113】
パネルユニット301は、外壁用受け部材302と協働して、骨組構造体40に外壁パネル74A~74Cを固定する外壁用固定部材300を備える。よって、外壁用受け部材302と外壁用固定部材300を用いて外壁パネル74A~74Cを簡単に骨組構造体40に固定できるようになる。
【0114】
パネルユニット301は、外壁用受け部材302と協働して、骨組構造体40に外壁パネル74A~74Cを取り外し可能に固定する外壁用固定部材300を備える。よって、外壁用固定部材300による固定を解除することで、外壁パネル74A~74Cを容易に交換できるようになる。これにより、例えば、建物10の組み立て後に、ユーザの要望に応じたデザインの外壁パネル74A~74Cに交換できるようになる。
【0115】
外壁用受け部材302と外壁用固定部材300は、弾性爪304と爪受け306を用いたスナップフィット機構である。よって、弾性爪304と爪受け306を用いた簡単な構成によって、骨組構造体40に対してパネルを取り外し可能に固定できるようになる。
【0116】
外壁用固定部材300は、外壁用受け部材302と協働して、工具レスで骨組構造体40に外壁パネル74A~74Cを固定可能である。よって、骨組構造体40に外壁パネル74A~74Cを簡単に固定できるようになる。
【0117】
爪受け306は、外壁パネル74A~74Cの縦方向両側への弾性爪304の移動を制限する一対のストッパ部306eを備える。この利点を説明する。
【0118】
図35を参照する。外壁パネル74A~74Cの覆う壁用開口部62を形成する骨組構造体40の構面62b(ここでは一対の柱フレーム48Aと上下の横架フレームのなす構面62b)を想定する。地震等に起因して骨組構造体40にパネル横方向Dg2での外力F1が付与されることで、骨組構造体40の構面62bがせん断変形する場合を想定する。この場合、前述のように、爪受け306の一対のストッパ部306eによって、構面62bにおいてパネル縦方向Dg1に延びるフレーム(ここでは柱フレーム48A)から外壁パネル74A~74Cにパネル縦方向Dg1での力F2を伝達できるようになる。これにより、骨組構造体40に付与される外力F1を外壁パネル74A~74Cでも負担できるようになり、建物10全体の強度を向上させることができる。本実施形態では、外壁パネル74A~74Cに対してパネル横方向Dg2両側において爪受け306及び弾性爪304が設けられている。よって、構面62bがせん断変形したとき、爪受け306と弾性爪304との接触によって、パネル横方向Dg2の両側にあるフレーム(ここでは柱フレーム48A)から外壁パネル74A~74Cにパネル縦方向Dg1の逆向きの力をせん断力F2として伝達できる。外壁パネル74A~74Cは、せん断力F2に抵抗することで、骨組構造体40に付与される外力F1を負担できるようになる。
【0119】
なお、本実施形態では、外壁パネル74A~74Cの壁用断熱材136が壁用開口部62に嵌め込まれている。この壁用断熱材136は、四周の四辺において壁用開口部62に接触するように嵌め込まれる。これにより、せん断変形しようとする骨組構造体40の構面62bから壁用断熱材136に荷重を伝達でき、壁用断熱材136よっても骨組構造体40に付与される外力F1を負担できる。
【0120】
爪受け306と弾性爪304との間でパネル縦方向Dg1での力F2を伝達し易くするうえでは、一対のストッパ部306eの内幅W1を狭くできるとよい。しかしながら、この内幅W1を狭くし過ぎると、弾性爪304及び爪受け306の取り付け誤差等によって、弾性爪304及び爪受け306のパネル縦方向Dg1での相対位置がずれたときに、一対のストッパ部306e間に弾性爪304を差し込み難くなる。この点、前述の幅変化領域304g、306gを設けるようにすれば、一対のストッパ部306e間に弾性爪304を差し込む場合に、その幅変化領域304g、306gによってパネル縦方向Dg1に外壁パネル74A~74Cをガイドできる。よって、弾性爪304及び爪受け306のパネル縦方向Dg1での相対位置がずれたときでも、外壁パネル74A~74Cをパネル縦方向Dg1にガイドすることで、一対のストッパ部306e間において弾性爪304を奥側までしっかり差し込むことができる。ひいては、一対のストッパ部306eの内幅W1を狭くしつつも、弾性爪304と爪受け306を用いて外壁パネル74A~74Cを骨組構造体40に容易に固定できるようになる。
【0121】
(4:建具付きパネル)次に、建具付きパネル74B、74Cの特徴を説明する。
図12~
図14を参照する。建具付きパネル74B、74Cは、面材400と、面材400に固定される建具80と、を備える。本実施形態での面材400は、外壁材130である。建具80は、面材400の室内側側面に固定される。面材400には、面材400を建具付きパネル74B、74Cの厚み方向(
図12の紙面上下方向)に貫通する面材開口部402が形成される。第2外壁パネル74Bは、この他に、面材400とは異なる箇所(ここでは面材400の下方)に設けられる壁用断熱材136を更に備える。
【0122】
建具80は、窓及びドアのいずれかである。第2外壁パネル74Bの建具80は窓であり、第3外壁パネル74Cの建具80はドアである。窓は、開閉不能なFIX窓の例を示す。窓の具体例は特に限定されず、引き違い窓、上げ下げ窓、すべり出し窓、倒し窓等の開閉窓であってもよい。ドアは、開き戸の例を示す。ドアの具体例は特に限定されず、引き戸、折れ戸等であってもよい。
【0123】
本実施形態の建具80は、面材400の面材開口部402を覆い塞ぐように配置される。建具80は、外壁パネル74A~74Cの厚み方向に貫通する建具開口部404を形成する建具枠406と、建具開口部404を閉じるように建具枠406内に納められる建具パネル408と、を備える。本実施形態の建具枠406は、建具枠406の外周部において外周側に突き出るフランジ部410を備える。
【0124】
本実施形態の建具枠406は、一対の縦枠と一対の横枠を組んだ矩形状をなす例を示すが、筒状をなしていてもよい。建具パネル408は、建具80が窓となる場合、透光性を持つガラスパネル、樹脂パネル等の透光性パネルによって構成される。建具パネル408は、建具80がドアとなる場合、建具枠406に開閉可能に支持される戸体によって構成される。
【0125】
建具付きパネル74B、74Cは、建具枠406を面材400に固定するための建具用下地材412を備える。第2外壁パネル74Bは、第2外壁パネル74Bの厚み方向に重ね合わせられる複数の建具用下地材412を備える。本実施形態において、第2外壁パネル74Bの建具用下地材412は、建具枠406のなす矩形状の各辺に沿って延びる複数の長尺材である。第2外壁パネル74Bの複数の建具用下地材412は、面材400とともに貫通する釘、ねじ等によって面材400に固定される。第2外壁パネル74Bの複数の建具用下地材412の間には建具枠406のフランジ部410が挟み込まれる。これにより、複数の建具用下地材412を用いて、第2外壁パネル74Bの建具80が面材400に固定される。
【0126】
第3外壁パネル74Cの建具用下地材412は、建具80を内側に納める貫通孔が形成された面材である。第3外壁パネル74Cの建具用下地材412は、面材400とともに貫通する釘、ねじ等によって面材400に固定される。第3外壁パネル74Cの建具用下地材412と面材400との間には建具枠406のフランジ部410が挟み込まれる。これにより、建具用下地材412を用いて、第3外壁パネル74Cの建具80が面材400に固定される。
【0127】
以上の建具付きパネル74B、74Cは、面材400に建具80を固定した状態で、前述の外壁用固定部材300及び外壁用受け部材302(外壁パネル固定機構152)を用いて、骨組構造体40に固定可能である。よって、骨組構造体40にパネル74B、74Cを固定するだけで建具80の設置作業も済ませることができる。ひいては、パネル74B、74Cの固定作業と別に建具80の設置作業をする場合と比べ、建物10の組み立てを簡単にすることができる。
【0128】
(5:屋根構造)
図7、
図36、
図37を参照する。屋根構造500は、小屋組42と、屋根横方向Dj1に並べられる複数の屋根パネル72と、複数の屋根パネル72のそれぞれに用いられる複数の屋根材102と、複数の屋根材102間に形成される屋根縦方向Dj2に延びる隙間502を被覆する被覆材504と、を備える。ここでの屋根横方向Dj1及び屋根縦方向Dj2は、複数の屋根材102の形成する屋根面100を法線方向から見て互いに直交する方向となる。
【0129】
被覆材504によって被覆されるべき隙間502は、隣り合う屋根材102の屋根横方向Dj1での突き合わせ箇所102c間に形成される。被覆材504は、この隙間502を被覆するように隣り合う屋根材102上に設置される。本実施形態の被覆材504は、屋根縦方向Dj2での屋根材102の一端部102aから他端部102bまでの範囲で隙間502を被覆している。被覆材504は、複数の屋根材102間の隙間502を被覆することで、その隙間502を通して室外側から室内側に向かう雨水等の水の流れを遮断するシール材として用いられる。被覆材504は、金属、樹脂等を素材とし、屋根縦方向Dj2に沿って延びる長尺材である。
【0130】
図37、
図38を参照する。屋根材102は、屋根面100を形成する主面部510と、他の屋根材102との屋根横方向Dj1での突き合わせ箇所102cに設けられるガイド部512と、を備える。ガイド部512は、複数の屋根材102上に被覆材504を設置するとき、他の屋根材102のガイド部512と協働して、被覆材504の屋根縦方向Dj2でのスライドを伴い被覆材504をガイド可能である。ガイド部512は、屋根材102の突き合わせ箇所102cにおける屋根縦方向Dj2の一端部102aから他端部102bまでの範囲に設けられる。
【0131】
本実施形態のガイド部512は、主面部510に対して立ち上がる立ち上がり部514と、立ち上がり部514の上端部から上下方向に折り返して立ち上がり部514に対して屋根横方向Dj1の内側に設けられる第1折り返し部516と、を備える。本実施形態のガイド部512は、屋根材102の主面部510に対して折り曲げる折り曲げ形状を設けることで形成される立はぜ部の一部によって構成される。
【0132】
被覆材504は、隣り合う屋根材102のガイド部512を上方から被覆する上方被覆部518と、隣り合う屋根材102のガイド部512を屋根横方向Dj1から被覆する一対の側方被覆部520と、を備える。被覆材504の上方被覆部518及び側方被覆部520は、隣り合う屋根材102の個別のガイド部512の組を屋根横方向Dj1両側及び上方から覆うように被覆する。これにより、被覆材504は、屋根材102のガイド部512によって屋根横方向Dj1での動きを拘束されつつガイドされる。被覆材504は、この他に、側方被覆部520の下端部から折り返して側方被覆部520に対して屋根横方向Dj1の外側に設けられる第2折り返し部522を備える。屋根材102の第1折り返し部516のなす第1凹部524内には被覆材504の第2折り返し部522の先端部が配置される。被覆材504の第2折り返し部522のなす第2凹部526内には屋根材102の第1折り返し部516の先端部が配置される。
【0133】
本実施形態のガイド部512には、ガイド部512によって被覆材504をガイドするときに、被覆材504の上向きの動きを拘束可能な第1拘束部530が設けられる。また、被覆材504には、屋根材102の第1拘束部530との接触によって、その上向きの動きが拘束される第1被拘束部532が設けられる。本実施形態の第1拘束部530は、屋根材102のガイド部512の第1折り返し部516によって構成される。第1拘束部530の具体例はこれに限定されず、屋根材102のガイド部512等に設けた凸部、凹部等によって構成してもよい。本実施形態の第1被拘束部532は、被覆材504の第2折り返し部522によって構成される。第1被拘束部532の具体例はこれに限定されず、被覆材504に設けた凸部、凹部等によって構成してもよい。ここでは、第1拘束部530は、屋根材102と同じ部材により一体に設けられる例を示すが、屋根材102とは別体に設けられてもよい。
【0134】
屋根材102のガイド部512と被覆材504との間にはラビリンス通路540が形成される。ラビリンス通路540は、屋根縦方向Dj2に直交する断面(ここでは屋根フレーム50Dの長手方向に直交する断面)において、被覆材504と屋根材102との間において外部空間112側から隙間502側に向かう途中で蛇行する蛇行形状を有する。本実施形態のラビリンス通路540は、外部空間112側から隙間502側に向かって、上下方向での折り返しを伴い屋根横方向Dj1内側に進行するように蛇行する蛇行形状を有する。このようなラビリンス通路540は、被覆材504の側方被覆部520及び第2折り返し部522と、屋根材102の立ち上がり部514及び第1折り返し部516との間に形成される。本実施形態のラビリンス通路540は、屋根材102の主面部510と被覆材504との間に形成される下側通路542を通して外部空間112に連通する。また、本実施形態のラビリンス通路540は、被覆材504の上方被覆部518と屋根材102のガイド部512との間に形成される上側通路544を通して隙間502に連通する。
【0135】
縦屋根フレーム50Dには、被覆材504の上向きの動きを拘束する第2拘束部546が設けられる。本実施形態の第2拘束部546は、縦屋根フレーム50Dに設けられる屋根用受け部材548に設けられる。この他にも、縦屋根フレーム50Dそのものに第2拘束部546を設けてもよい。屋根用受け部材548は、ボルト、ねじ等によって縦屋根フレーム50Dに固定される。
【0136】
被覆材504には、第2拘束部546との接触によって、その上向きの動きが拘束される第2被拘束部550が設けられる。本実施形態において、第2拘束部546及び第2被拘束部550の一方(ここでは第2拘束部546)は屋根縦方向Dj2に延びる溝部552であり、他方(ここでは第2被拘束部550)は屋根縦方向Dj2に延びる突条部554である。溝部552は、溝部552の奥側において溝部の入口側よりも幅広に設けることで形成される段部552aを備える。突条部554は、突条部554の先端側に設けられ屋根横方向Dj1に突き出る突部554aを備える。突条部554の突部554aが溝部552の段部552aに接触することで、第2拘束部546(屋根用受け部材548)に対して被覆材504が上下方向に固定される。本実施形態の第2拘束部546は、被覆材504を設置した状態にあるときの他に、被覆材504を屋根材102のガイド部512に沿ってスライドするときにも、被覆材504の動きを拘束可能である。
【0137】
図37を参照する。被覆材504の端部には被覆材の端部を覆うキャップ560が固定される。キャップ560は、隣り合う屋根材102間の隙間502及び被覆材504の内部に対する屋根縦方向Dj2からの水の流れを遮断する機能を持つ。キャップ560は、圧入、スナップフィット機構、キャッチ機構等を用いて、取り外し可能に被覆材504に固定される。キャップ560は、工具レスで被覆材504に固定でき、かつ、工具レスで自身による固定を解除できるともいえる。キャップ560は、屋根縦方向Dj2の外側から屋根材102に接触することで、被覆材504の屋根縦方向Dj2での移動を拘束する。
【0138】
以上の被覆材504の第2被拘束部550は、屋根材102のガイド部512に沿って被覆材504をスライドさせるときに、縦屋根フレーム50Dの第2拘束部546内に配置される。縦屋根フレーム50Dの第2拘束部546によって被覆材504の上向きの動きを拘束することで、屋根パネル72の屋根材102の上向きの動きも拘束でき、被覆材504によって屋根パネル72を固定できる。被覆材504は、屋根パネル72上に設置された状態にあるとき、一方のキャップ560を取り外すことで、屋根材102のガイド部512に対するスライドを伴い屋根パネル72から取り外し可能となる。このように被覆材504を屋根用受け部材548から取り外すことで、屋根パネル72を小屋組42から取り外し可能となる。
【0139】
被覆材504は、屋根用受け部材548と協働して、小屋組42に屋根パネル72を取り外し可能に固定する屋根用固定部材562を構成する。本実施形態の屋根用固定部材562は、屋根パネル72を押さえることで固定する押さえ部材として機能する。これら屋根用受け部材548と屋根用固定部材562の組み合わせは、小屋組42に屋根パネル72を取り外し可能に固定する屋根パネル固定機構150を構成する。この屋根パネル固定機構150は、屋根用固定部材562(被覆材504)をスライドさせたうえでキャップ560を固定するだけで、工具レスで屋根パネル72を小屋組42に固定できる。また、屋根パネル固定機構150は、キャップ560を取り外したうえで屋根用固定部材562をスライドさせるだけで、工具レスで固定を解除できる。
【0140】
以上の屋根構造500の組み立て方法を説明する。
図37、
図39を参照する。まず、小屋組42を組み立てたうえで、小屋組42上に屋根材102を設置しておく。本実施形態では、屋根パネル72の屋根用断熱材104を小屋組42の屋根用開口部60に嵌め込むことで小屋組42上に屋根パネル72(屋根材102)を設置する。
【0141】
この後、屋根材102のガイド部512に沿って被覆材504をスライドさせることで屋根材102上の定位置に被覆材504を設置する。このとき、作業員は、屋根材102上に登らずに、小屋組42及び屋根材102に対して屋根縦方向Dj2の側方を作業空間として作業する。ここでは、被覆材504をスライドさせるスライド方向Dkは、屋根面100が上り勾配となる方向(
図39の左方向)である例を示す。この他にも、スライド方向Dkは、屋根面100が下り勾配となる方向であってもよい。このとき、被覆材504のスライド方向Dkとは反対側端部には予めキャップ560を固定しておいてもよい。この場合、被覆材504を定位置に設置した後、被覆材504のスライド方向Dk側の端部にキャップ560を固定する。これにより、屋根構造500の組み立てが完了する。
【0142】
以上の屋根構造500の効果を説明する。
【0143】
複数の屋根材102の突き合わせ箇所102cには被覆材504のスライドを伴い被覆材504をガイド可能なガイド部512が設けられる。よって、屋根材102に対して屋根縦方向Dj2の側方にいる作業員によって、屋根材102のガイド部512に沿って被覆材504をスライドさせるだけで、隣り合う屋根材102上に被覆材504を設置できる。ひいては、屋根材102上に登らずとも屋根材102上に被覆材504を簡単に設置できるようになる。
【0144】
屋根材102のガイド部512は、複数の屋根材102の突き合わせ箇所102cに設けられる立ち上がり部514を有する。よって、複数の屋根材102の間にある隙間502に向かう水を立ち上がり部514によって容易に堰き止めることができる。
【0145】
屋根材102のガイド部512と被覆材504との間にはラビリンス通路540が形成される。これにより、屋根材102のガイド部512と被覆材504との間に水が浸入したとしてもラビリンス通路540によって、その奥側への浸入を容易に防止できる。
【0146】
屋根材102には、屋根材102のガイド部512によって被覆材504をガイドするときに、被覆材504の上向きの動きを拘束可能な第1拘束部530が設けられる。よって、第1拘束部530によって被覆材504の上向きの動きを拘束しつつ、被覆材504をスムーズにスライドさせることができる。
【0147】
屋根フレーム50Dには、被覆材504の上向きの動きを拘束する第2拘束部546が設けられる。よって、屋根材102が上向きに動こうとしたときに、屋根フレーム50D及び被覆材504によって屋根材102の動きを拘束できるようになる。ひいては、隣り合う屋根材102上に被覆材504を設置することで、屋根フレーム50Dに対して屋根材102を上下方向に容易に固定できる。
【0148】
屋根パネル72は、屋根材102の他に天井材106を備える。よって、屋根パネル72を小屋組42上に設置することで、屋根材102によって屋根面100を形成しつつ、天井材106によって天井面を形成することができる。
【0149】
屋根パネル72は、屋根材102の他に屋根用断熱材104を備える。よって、屋根パネル72を小屋組42に設置することで、屋根材102によって屋根面100を形成しつつ、屋根用断熱材104によって室内空間の断熱性も確保できる。
【0150】
ここまで説明した建物10の組み立て方法を説明する。まず、前述した要領で骨組構造体40を組み立てる。この後、骨組構造体40の床組44上に床パネル78を配置する。これと前後して、組み立てた骨組構造体40の壁架構58にパネル固定機構150、152、154を用いて外壁パネル74A~74C及び内壁パネル76A~76Cを固定する。これと前後して、組み立てた骨組構造体40の小屋組42に屋根パネル固定機構150を用いて屋根パネル72を固定する。
【0151】
次に、ここまで説明した各構成要素の変形形態を説明する。以下、符号の末尾に「A、B、C・・・」を付した構成要素(外壁パネル等)を総称するときは、これを省略する。
【0152】
ここまで説明した(1)~(5)の項目で説明した個々の特徴は、他の項目で説明した事項と組み合わせることは必須ではない。例えば、(2)のフレームの接続機構156は、(3)~(5)で説明した外壁パネル74、内壁パネル76、屋根パネル72と組み合わせなくともよい。(3)、(4)の外壁パネル74は、(1)等の接続機構156を用いない骨組構造体40と組み合わせてもよい。(5)の屋根構造500は、(1)等の接続機構156を用いない骨組構造体40と組み合わせてもよい。
【0153】
実施形態で説明する屋根体12、壁体16A~16C、床体18、骨組構造体40のレイアウトは一例であり、その具体例は特に限定されない。例えば、建物10は、屋根体12、壁体16A~16C、床体18によって構成される玄関ポーチ20を備えずともよい。実施形態では第1縦屋根フレーム50Cが複数のフレーム部材(交差フレーム200及び辺フレーム202)によって構成される例を説明した。これに限定されず、第1縦屋根フレーム50Cが単数のフレーム部材によって構成されてもよい。この他にも、屋根フレーム50A~50Dを構成する辺フレーム202は、交差フレーム200A、200Bに替えて、直交型接続機構156Bを用いて主柱フレーム48Aに接続されてもよい。
【0154】
(1:建物の全体構造)パネル固定機構150、152、154は、骨組構造体40にパネル72、74、76を取り外し不能に固定していてもよい。パネル固定機構150、152、154は、骨組構造体40にパネル72、74、76を取り外し可能に固定できるものである場合、その具体例は特に限定されない。これを実現するうえで、パネル固定機構150、152、154は、例えば、ボルト、ねじ等の締結具を備えてもよい。この場合、パネル固定機構150、152、154は、工具(ドライバ、レンチ等)を用いて骨組構造体40にパネル72、74、76を取り外し可能に固定することになる。
【0155】
パネル固定機構150、152、154によって工具レスで骨組構造体40にパネル72、74、76を固定可能とする場合、その具体例は特に限定されない。工具レスを実現する屋根パネル固定機構150は、外壁パネル固定機構152と同様のスナップフィット機構の他、キャッチ機構等を用いてもよい。屋根用固定部材562及び屋根用受け部材548も同様である。工具レスを実現する外壁パネル固定機構152は、内壁パネル固定機構154と同様のキャッチ機構の他、屋根パネル固定機構150と同様、押さえ部材を用いて構成されてもよい。外壁パネル固定機構152にキャッチ機構を用いる場合も、外壁パネル固定機構152は、室内空間14にいる作業員によって固定解除操作を行うことができ、外部空間112にいる作業者によって固定解除操作を行うことができないように構成されてもよい。これは、例えば、室内空間14にいる作業員によってロック解除ボタンを操作したときだけに、外壁パネル固定機構152による固定解除操作を可能とするロック機構を外壁パネル機構152に組み込む場合を想定している。外壁用固定部材300及び外壁用受け部材302も同様である。工具レスを実現する内壁パネル固定機構154は、外壁パネル固定機構152と同様のスナップフィット機構の他、屋根パネル固定機構150と同様、押さえ部材を用いて構成されてもよい。内壁用固定部材172、内壁用受け部材170も同様である。工具レスを実現するパネル固定機構150、152、154をキャッチ機構とする場合、ボールキャッチの他に、例えば、マグネットキャッチ、プッシュキャッチ、ローラーキャッチ、プッシュラッチ等でもよい。
【0156】
接続機構156は、複数のフレーム48、50、52を取り外し可能に接続できるものであればよく、その具体例は特に限定されない。これを実現するうえで、接続機構156は、例えば、ボルト、ねじ等の締結具を備えてもよい。この場合、接続機構156は、工具(ドライバ、レンチ等)を用いて複数のフレーム48、50、52を取り外し可能に固定することになる。
【0157】
接続機構156によって工具レスで複数のフレーム48、50、52を取り外し可能に接続する場合、その具体例は特に限定されない。これを実現する接続機構156は、例えば、スナップフィット機構、フレームそのものに設けた雄ネジ部と雌ネジ部の組み合わせ等でもよい。
【0158】
外壁パネル74は、外壁材130のみを備えて、壁用断熱材136を備えなくともよい。屋根パネル72は、天井材106及び屋根用断熱材104のいずれかを備えなくともよい。屋根用断熱材104及び壁用断熱材136は、骨組構造体40を室外側から覆うことで外断熱構造を構成していてもよい。内壁パネル76は、骨組構造体40に釘を用いて固定されていてもよい。
【0159】
(2:接続機構156)接続機構156によって接続される第1被接続部材及び第2被接続部材は、骨組構造体40の第1フレーム210及び第2フレーム212である例を説明した。この接続機構156によって接続される複数の被接続部材の具体例は特に限定されない。例えば、複数の被接続部材を住宅設備の構成部品としてもよい。ここでの住宅設備とは、例えば、キッチン、浴室、トイレ、洗面化粧室、リビング、寝室、窓まわり、玄関まわり、門まわり、カースペース、ガーデンスペース、ベランダ、バルコニー、屋根、外壁等に備え付けられる設備機器(什器を含む)をいう。ここでの什器とは、家具、インテリア等である。什器の具体例は特に限定されないものの、例えば、棚、テーブル、ベッド、テレビ台、カラーボックス等をいう。この場合、接続機構156によって接続される複数の被接続部材は、例えば、什器を構成する柱材と柱材に接続される部材(天板等)とによって構成されてもよい。
【0160】
メス接続部材214は、実施形態のように第1フレーム210(第1被接続部材)と別体に構成される場合の他に、第1フレーム210と同じ部材によって一体に構成されていてもよい。オス接続部材216は、実施形態のように第2フレーム212(第2被接続部材)と別体に構成される場合の他に、第2フレーム212と同じ部材によって一体に構成されていてもよい。
【0161】
接続軸220は、オス接続部材216及びメス接続部材214の相対回転により、差込孔218に対して引き抜き不能となる接続位置Paと、差込孔218に対して接続解除位置Pbとの間を移動可能であればよい。この実現のための具体例はこれに限定されない。例えば、オス接続部材216の回転に伴い径方向に進退可能なロック片を組み込み、接続位置Paにあるときは差込孔218に対してロック片を引っ掛け、接続解除位置Pbにあるときは差込孔218に対するロック片の引っ掛けを解除してもよい。この他にも、接続軸220及び差込孔218のいずれかにくさび片を設け、接続解除位置Pbから接続位置Paへの回転によりくさび片を接続軸220と差込孔218の間に圧入させることで引き抜き不能とし、接続位置Paから接続解除位置Pbへの回転によりくさび片の圧入を解除して引き抜き可能としてもよい。差込孔218は回転制限機構240を備えていなくともよい。
【0162】
軸型接続機構156Aにより接続される第1フレーム210及び第2フレーム212の組み合わせは特に限定されない。例えば、第1フレーム210及び第2フレーム212は、柱フレーム48と横架フレームの組み合わせ、二つの床フレーム52の組み合わせ、二つの屋根フレーム50の組み合わせ等でもよい。
【0163】
直交型接続機構156Bにより接続される中間フレーム204と二つのフレームの組み合わせも特に限定されない。例えば、中間フレーム204と二つのフレームは、主柱フレーム48Aと上下の横架フレームとしてもよい。
【0164】
(3:外壁パネル固定機構152)パネルユニット301を構成するパネルは、外壁パネル74A~74Cに限定されず、屋根パネル72及び内壁パネル76、床パネル78等でもよい。パネルユニット301の固定部材は、骨組構造体40に設けられる受け部材と協働して、これらパネルを骨組構造体40の水平構面46及び壁架構58のいずれかに取り外し可能に固定してもよい。パネルユニット301の固定部材は、受け部材と協働して、工具レスで骨組構造体40にパネルを固定することを必須とするものではない。例えば、固定部材は、工具としてレンチ等を用いてボルトによって受け部材に固定されることで、骨組構造体40にパネルを固定してもよい。
【0165】
爪受け306は一対のストッパ部306eを備えていなくともよい。一対のストッパ部306eの内幅W1及び弾性爪304の外幅W2は延び方向Dh1に向かって一定でもよい。
【0166】
(4:建具付きパネル)建具付きパネル(パネルユニット301)のパネルは、外壁パネル74A~74Cに限定されず、屋根パネル72でもよい。
【0167】
(5:屋根構造)屋根構造500の屋根材102は、屋根パネル72を構成しなくともよい。
【0168】
屋根材102のガイド部512は、屋根材102の突き合わせ箇所に設けられる立ち上がり部514を有する例を説明したが、その具体例は特に限定されない。ガイド部512は、例えば、被覆材504の一部を差し込む溝部によって構成されてもよい。
【0169】
ラビリンス通路540は、上下方向での折り返しを伴いパネル横方向Dg2外側に進行するように蛇行する蛇行形状を有していてもよいし、パネル横方向Dg2での折り返しを伴い上下方向に進行するように蛇行する蛇行形状を有していてもよい。
【0170】
屋根材102に設けられる第1拘束部530と屋根フレーム50Dに設けられる第2拘束部546とは必須ではない。また、第1拘束部530及び第2拘束部546の一方のみが設けられていてもよい。
【0171】
また、被覆材504の上向きの動きを拘束するうえでは、被覆材504を屋根材102上に設置した後に、被覆材504の上向きの動きを拘束する拘束部材を屋根材102又は屋根フレーム50Dに取り付けてもよい。
【0172】
屋根パネル72は、天井材106及び屋根用断熱材104のいずれかを備えなくともよい。
【0173】
以上の実施形態及び変形形態は例示である。これらを抽象化した技術的思想は、実施形態及び変形形態の内容に限定的に解釈されるべきではない。実施形態及び変形形態の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。実施形態及び変形形態において言及している構造/数値には、寸法誤差、組立誤差等を考慮すると同一とみなすことができるものも当然に含まれる。
【符号の説明】
【0174】
10…建物、40…骨組構造体、42…小屋組、44…床組、46…水平構面、48A…主柱フレーム(柱フレーム)、48B…間柱フレーム(柱フレーム)、50A~D…屋根フレーム、58…壁架構、60…屋根用開口部、62…壁用開口部、72…屋根パネル(パネル)、74A~74C…外壁パネル(パネル)、76A~76C…内壁パネル(パネル)、80…建具、100…屋根面、102…屋根材、104…屋根用断熱材、106…天井材、130…外壁材、136…壁用断熱材、150…屋根パネル固定機構、152…外壁パネル固定機構、154…内壁パネル固定機構、156A、156B…接続機構、200A、200B…交差フレーム、202…辺フレーム、204A~20C…中間フレーム、210…第1フレーム、212…第2フレーム、214…メス接続部材、216…オス接続部材、218…差込孔、220…接続軸、222…入口側孔部、224…奥側孔部、226…内側段部、228…根本側軸部、230…先端側軸部、234…外側段部、240…回転制限機構、250…嵌合構造、260…切欠、300…固定部材、301…パネルユニット、302…受け部材、303…固定構造、304…弾性爪、306…爪受け、306e…ストッパ部、400…面材、500…屋根構造、502…隙間、504…被覆材、512…ガイド部、514…立ち上がり部、530…第1拘束部、540…ラビリンス通路、546…第2拘束部。