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特開2023-104347撮像装置、カメラモジュール、及び撮像装置の制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104347
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】撮像装置、カメラモジュール、及び撮像装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20230721BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20230721BHJP
   G02B 7/08 20210101ALI20230721BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20230721BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20230721BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20230721BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G03B5/00 J
G02B7/08 B
H04N5/225 700
H04N5/225 100
G03B30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005274
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】奥野 東一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 清人
(72)【発明者】
【氏名】長田 寛志
【テーマコード(参考)】
2H044
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2H044BE04
2H044BE09
2H044DA01
2H044DB04
2K005AA04
2K005CA04
2K005CA23
2K005CA45
2K005CA57
5C122GE05
5C122GE11
5C122HA82
5C122HB02
(57)【要約】
【課題】形状記憶合金ワイヤの長さをより正確に推定できる撮像装置を提供すること。
【解決手段】撮像装置101は、固定側部材FBと、固定側部材FBに対して移動可能に設けられる可動側部材MBと、一端が固定側部材FBに固定され且つ他端が可動側部材MBに固定されて可動側部材MBを移動可能な複数の形状記憶合金ワイヤSAと、複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれに駆動用電流を供給して複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれを駆動可能な駆動装置10と、複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれの抵抗値を取得して駆動装置10を制御可能な制御装置20とを備える。制御装置20は、駆動用電流が供給されるタイミングとは異なるタイミングで、複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれに計測用電流が供給されるように駆動装置10を制御して複数の形状記憶合金ワイヤSAの抵抗値を取得する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定基台を含む固定側部材と、
レンズ体を保持可能なレンズホルダを含み、前記固定側部材に対して移動可能に設けられる可動側部材と、
一端が前記固定側部材に固定されるとともに他端が前記可動側部材に固定されて前記可動側部材を移動させることができる複数の形状記憶合金ワイヤと、
複数の前記形状記憶合金ワイヤのそれぞれに駆動用電流を供給して複数の前記形状記憶合金ワイヤのそれぞれを駆動可能な駆動装置と、
複数の前記形状記憶合金ワイヤのそれぞれの抵抗値を取得して前記駆動装置を制御可能な制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記駆動用電流が供給されるタイミングとは異なるタイミングで、複数の前記形状記憶合金ワイヤのそれぞれに計測用電流が供給されるように前記駆動装置を制御して複数の前記形状記憶合金ワイヤの抵抗値を取得する、
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
複数の前記形状記憶合金ワイヤのそれぞれに対して前記計測用電流を継続的に供給する時間は、複数の前記形状記憶合金ワイヤのそれぞれに対して前記駆動用電流を継続的に供給する時間の最小値よりも長い、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御装置は、複数の前記形状記憶合金ワイヤのそれぞれに互いに異なるタイミングで前記駆動用電流を供給する、
請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御装置は、複数の前記形状記憶合金ワイヤのそれぞれに互いに異なるタイミングで前記計測用電流を供給する、
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記計測用電流の大きさは、前記駆動用電流の大きさよりも小さい、
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記制御装置は、
一回の駆動サイクルにおいて、複数の前記形状記憶合金ワイヤのそれぞれに一回ずつ前記駆動用電流を供給し、且つ、複数の前記形状記憶合金ワイヤの何れか一つに前記計測用電流を供給し、
前記駆動サイクルを複数回繰り返すことによって複数の前記形状記憶合金ワイヤのそれぞれに前記計測用電流を供給する、
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の撮像装置。
【請求項7】
前記駆動装置は、四本の前記形状記憶合金ワイヤのそれぞれに前記駆動用電流を供給して四本の前記形状記憶合金ワイヤのそれぞれを駆動可能な第1駆動装置と、別の四本の前記形状記憶合金ワイヤのそれぞれに前記駆動用電流を供給して別の四本の前記形状記憶合金ワイヤのそれぞれを駆動可能な第2駆動装置と、を含む、
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の撮像装置。
【請求項8】
前記レンズ体と、
請求項1乃至請求項7の何れかに記載の撮像装置と、
を含む、カメラモジュール。
【請求項9】
固定基台を含む固定側部材と、レンズ体を保持可能なレンズホルダを含み、前記固定側部材に対して移動可能に設けられる可動側部材と、一端が前記固定側部材に固定されるとともに他端が前記可動側部材に固定されて前記可動側部材を移動させることができる複数の形状記憶合金ワイヤと、複数の前記形状記憶合金ワイヤのそれぞれに駆動用電流を供給して複数の前記形状記憶合金ワイヤのそれぞれを駆動可能な駆動装置と、複数の前記形状記憶合金ワイヤのそれぞれの抵抗値を取得して前記駆動装置を制御可能な制御装置と、を備える撮像装置の制御方法であって、
前記制御装置が、前記駆動用電流が供給されるタイミングとは異なるタイミングで、複数の前記形状記憶合金ワイヤのそれぞれに計測用電流が供給されるように前記駆動装置を制御して複数の前記形状記憶合金ワイヤの抵抗値を取得するステップを有する、
ことを特徴とする撮像装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置、カメラモジュール、及び撮像装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、八本の形状記憶合金ワイヤを用いた撮像装置が知られている(特許文献1参照)。この撮像装置では、制御回路は、PWM信号を利用して八本の形状記憶合金ワイヤのそれぞれに個別に電流を供給して加熱収縮させ、八本の形状記憶合金ワイヤに接続されたレンズホルダを移動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2013-546023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の撮像装置では、制御回路は、形状記憶合金ワイヤを加熱収縮させるための電流(駆動用電流)をその形状記憶合金ワイヤに供給しているときに、その形状記憶合金ワイヤの抵抗の大きさを導き出すことによってその形状記憶合金ワイヤの長さを推定している。
【0005】
しかしながら、上述の撮像装置では、形状記憶合金ワイヤへの駆動用電流の供給を継続している時間が短いと、その形状記憶合金ワイヤの抵抗の大きさを正確に導き出すことができず、その形状記憶合金ワイヤの長さを正確に推定できないおそれがある。
【0006】
そこで、形状記憶合金ワイヤの長さをより正確に推定できる撮像装置を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る撮像装置は、固定基台を含む固定側部材と、レンズ体を保持可能なレンズホルダを含み、前記固定側部材に対して移動可能に設けられる可動側部材と、一端が前記固定側部材に固定されるとともに他端が前記可動側部材に固定されて前記可動側部材を移動させることができる複数の形状記憶合金ワイヤと、複数の前記形状記憶合金ワイヤのそれぞれに駆動用電流を供給して複数の前記形状記憶合金ワイヤのそれぞれを駆動可能な駆動装置と、複数の前記形状記憶合金ワイヤのそれぞれの抵抗値を取得して前記駆動装置を制御可能な制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記駆動用電流が供給されるタイミングとは異なるタイミングで、複数の前記形状記憶合金ワイヤのそれぞれに計測用電流が供給されるように前記駆動装置を制御して複数の前記形状記憶合金ワイヤの抵抗値を取得する。
【発明の効果】
【0008】
上述の撮像装置は、形状記憶合金ワイヤの長さをより正確に推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】撮像装置の斜視図である。
図2】撮像装置の分解斜視図である。
図3A】可動側金属部材及び板ばねが取り付けられたレンズホルダの斜視図である。
図3B】固定側金属部材が取り付けられたベース部材の斜視図である。
図4A】形状記憶合金ワイヤが取り付けられた金属部材の側面図である。
図4B】形状記憶合金ワイヤが取り付けられた金属部材の上面図である。
図5】ベース部材の斜視図である。
図6A】板ばね、形状記憶合金ワイヤ、金属部材、及び導電部材の位置関係を示す図である。
図6B】板ばねと金属部材の位置関係を示す図である。
図7A】形状記憶合金ワイヤを流れる電流の経路の一例を示す図である。
図7B】形状記憶合金ワイヤを流れる電流の経路の別の一例を示す図である。
図7C】形状記憶合金ワイヤを流れる電流の経路の更に別の一例を示す図である。
図7D】形状記憶合金ワイヤを流れる電流の経路の更に別の一例を示す図である。
図7E】形状記憶合金ワイヤを流れる電流の経路の更に別の一例を示す図である。
図7F】形状記憶合金ワイヤを流れる電流の経路の更に別の一例を示す図である。
図8A】固定側金属部材と導電部材とを接続する接続構造の一例を示す図である。
図8B】固定側金属部材と導電部材とを接続する接続構造の一例を示す図である。
図9】駆動装置及び制御装置の構成例を示す図である。
図10A】駆動装置における電流の経路の一例を示す図である。
図10B】駆動装置における電流の経路の別の一例を示す図である。
図10C】駆動装置における電流の経路の更に別の一例を示す図である。
図10D】駆動装置における電流の経路の更に別の一例を示す図である。
図11】形状記憶合金ワイヤを流れる駆動用電流及び計測用電流のタイミングチャートの一例である。
図12A】第1導電部材及び第2導電部材の斜視図である。
図12B】形状記憶合金ワイヤを流れる駆動用電流及び計測用電流のタイミングチャートの別の一例である。
図13】駆動装置の別の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る撮像装置101(レンズアクチュエータ)について図面を参照して説明する。図1は、撮像装置101の斜視図である。図2は、撮像装置101の分解斜視図である。
【0011】
図1及び図2において、X1は、三次元直交座標系を構成するX軸の一方向を表し、X2は、X軸の他方向を表す。また、Y1は、三次元直交座標系を構成するY軸の一方向を表し、Y2は、Y軸の他方向を表す。同様に、Z1は、三次元直交座標系を構成するZ軸の一方向を表し、Z2は、Z軸の他方向を表す。図1及び図2では、撮像装置101のX1側は、撮像装置101の前側(正面側)に相当し、撮像装置101のX2側は、撮像装置101の後側(背面側)に相当する。また、撮像装置101のY1側は、撮像装置101の左側に相当し、撮像装置101のY2側は、撮像装置101の右側に相当する。また、撮像装置101のZ1側は、撮像装置101の上側(被写体側)に相当し、撮像装置101のZ2側は、撮像装置101の下側(撮像素子側)に相当する。他の図においても同様である。
【0012】
撮像装置101は、図1及び図2に示すように、固定側部材FBの一部であるカバー部材4を含む。
【0013】
カバー部材4は、他の部材を覆う筐体として機能するように構成されている。本実施形態では、カバー部材4は、非磁性金属で形成されている。但し、カバー部材4は、磁性金属で形成されていてもよい。また、カバー部材4は、図1に示すように、収納部4Sを定める。
【0014】
カバー部材4は、矩形筒状の外周壁部4Aと、外周壁部4Aの上端(Z1側の端)と連続するように設けられた矩形環状且つ平板状の天板部4Bとを有する。天板部4Bの中央には、円形の開口4Kが形成されている。外周壁部4Aは、第1側板部4A1~第4側板部4A4を含む。第1側板部4A1と第3側板部4A3とは互いに対向し、第2側板部4A2と第4側板部4A4とは互いに対向している。そして、第1側板部4A1及び第3側板部4A3は、第2側板部4A2及び第4側板部4A4に対して垂直に延びている。
【0015】
カバー部材4内には、図2に示すように、レンズホルダ2、金属部材5、板ばね6、ベース部材18、及び形状記憶合金ワイヤSA等が収容されている。
【0016】
可動側部材MBは、レンズ体(図示せず)を保持可能なレンズホルダ2と、レンズホルダ2を光軸OAに沿って移動可能に支持する板ばね6と、を含む。レンズ体は、例えば、少なくとも1枚のレンズを備えた筒状のレンズバレルであり、その中心軸線が光軸OAに沿うように構成されている。
【0017】
レンズホルダ2は、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂を射出成形することで形成されている。具体的には、レンズホルダ2は、図2に示すように、光軸OAに沿って延びるように形成された筒状部2Pと、筒状部2Pから径方向外側に突出するように形成された可動側台座部2D及び突設部2Sと、を含む。本実施形態では、レンズ体は、筒状部2Pの内周面に接着剤で固定されるように構成されている。
【0018】
可動側台座部2Dは、第1可動側台座部2D1及び第2可動側台座部2D2を含む。第1可動側台座部2D1及び第2可動側台座部2D2は、光軸OAを挟んで互いに反対方向に突出するように配置されている。同様に、突設部2Sは、第1突設部2S1及び第2突設部2S2を含む。第1突設部2S1及び第2突設部2S2は、光軸OAを挟んで互いに反対方向に突出するように配置されている。具体的には、可動側台座部2D及び突設部2Sは、上面視で略矩形状の外形を有するレンズホルダ2の四つの角部に対応するように配置され、且つ、交互に並ぶように配置されている。そして、二つの可動側台座部2Dのそれぞれには、板ばね6の一部が載置される。
【0019】
形状記憶合金ワイヤSAは、形状記憶アクチュエータの一例である。本実施形態では、形状記憶合金ワイヤSAは、第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8を含む。形状記憶合金ワイヤSAは、電流が流れると温度が上昇し、その温度の上昇に応じて収縮する。撮像装置101は、形状記憶合金ワイヤSAの収縮を利用してレンズホルダ2を光軸OAに沿って上下に移動させることができる。なお、本実施形態では、形状記憶合金ワイヤSAは、第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8のうちの一つ又は複数が収縮するとレンズホルダ2が移動し、その移動によって別の一つ又は複数が引き延ばされるように構成されている。
【0020】
板ばね6は、金属部材5を通じて形状記憶合金ワイヤSAに電気的に接続されるように構成されている。本実施形態では、板ばね6は、例えば、銅合金、チタン銅系合金(チタン銅)、又は銅ニッケル合金(ニッケルすず銅)等を主な材料とした金属板から作製されている。具体的には、板ばね6は、第1板ばね6A及び第2板ばね6Bを含む。
【0021】
ベース部材18(固定基台)は、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂を用いた射出成形によって形成される。本実施形態では、ベース部材18は、上面視で略矩形状の輪郭を有し、中央に開口18Kを有する。具体的には、ベース部材18は、開口18Kを囲むように配置される四つの辺部18E(第1辺部18E1~第4辺部18E4)を有する。
【0022】
板ばね6は、レンズホルダ2に形成された可動側台座部2Dと、ベース部材18に形成された固定側台座部18Dとを繋ぐように構成されている。なお、固定側台座部18Dは、第1固定側台座部18D1及び第2固定側台座部18D2を含む。
【0023】
より具体的には、第1板ばね6Aは、レンズホルダ2に形成された第1可動側台座部2D1と、ベース部材18に形成された第1固定側台座部18D1及び第2固定側台座部18D2のそれぞれとを繋ぐように構成されている。同様に、第2板ばね6Bは、レンズホルダ2に形成された第2可動側台座部2D2と、ベース部材18に形成された第1固定側台座部18D1及び第2固定側台座部18D2のそれぞれとを繋ぐように構成されている。
【0024】
金属部材5は、形状記憶合金ワイヤSAの端部が固定されるように構成されている。本実施形態では、金属部材5は、固定側金属部材5F及び可動側金属部材5Mを含む。固定側金属部材5Fは、固定側部材FBの一部を構成し、且つ、ベース部材18の固定側台座部18Dに固定されるように構成されている。可動側金属部材5Mは、可動側部材MBの一部を構成し、且つ、レンズホルダ2の可動側台座部2Dに固定されるように構成されている。
【0025】
より具体的には、固定側金属部材5Fは、固定側ターミナルプレートとも称され、第1固定側ターミナルプレート5F1~第8固定側ターミナルプレート5F8を含む。可動側金属部材5Mは、可動側ターミナルプレートとも称され、第1可動側ターミナルプレート5M1~第4可動側ターミナルプレート5M4を含む。
【0026】
次に、図3A及び図3Bを参照し、レンズホルダ2及びベース部材18のそれぞれと金属部材5との間の位置関係について説明する。図3Aは、可動側金属部材5M(可動側ターミナルプレート)及び板ばね6が取り付けられたレンズホルダ2の斜視図である。図3Bは、固定側金属部材5F(固定側ターミナルプレート)が取り付けられたベース部材18の斜視図である。なお、明瞭化のため、図3Aでは、可動側金属部材5M及び板ばね6にドットパターンが付され、図3Bでは、固定側金属部材5Fにドットパターンが付されている。
【0027】
図3Aに示す例では、第1可動側ターミナルプレート5M1は、第1可動側台座部2D1のY2側の側壁(右側取付面)に固定されている。具体的には、第1可動側台座部2D1に形成された外側(Y2側)に突出する角形の突起部2Vと第1可動側ターミナルプレート5M1に形成された矩形孔AH(図4A参照)とがかみ合った状態で、第1可動側ターミナルプレート5M1は、接着剤により第1可動側台座部2D1に固定されている。接着剤は、例えば、光硬化型接着剤である。光硬化型接着剤は、例えば、紫外線硬化型接着剤又は可視光硬化型接着剤等である。同様に、第2可動側ターミナルプレート5M2は、第1可動側台座部2D1のX2側の側壁(後側取付面)に固定され、第3可動側ターミナルプレート5M3は、第2可動側台座部2D2のX1側の側壁(前側取付面)に固定され、第4可動側ターミナルプレート5M4は、第2可動側台座部2D2のY1側の側壁(左側取付面)に固定されている。
【0028】
図3Bに示す例では、第1固定側ターミナルプレート5F1及び第2固定側ターミナルプレート5F2は、ベース部材18の第2辺部18E2に沿って配置された第1固定側台座部18D1のY2側の側壁(右側取付面)に固定されている。具体的には、第1固定側ターミナルプレート5F1及び第2固定側ターミナルプレート5F2は、接着剤により第1固定側台座部18D1に固定されている。より具体的には、第2固定側ターミナルプレート5F2は、第1固定側台座部18D1に形成された外側(Y2側)に突出する角形の突起部18Vと第2固定側ターミナルプレート5F2に形成された貫通孔RH(図4A参照)とがかみ合った状態で、接着剤により第1固定側台座部18D1に固定されている。接着剤は、例えば、光硬化型接着剤である。光硬化型接着剤は、例えば、紫外線硬化型接着剤又は可視光硬化型接着剤等である。同様に、第3固定側ターミナルプレート5F3及び第4固定側ターミナルプレート5F4(図3Bでは不可視)は、ベース部材18の第3辺部18E3に沿って配置された第2固定側台座部18D2のX2側の側壁(後側取付面)に固定されている。また、第5固定側ターミナルプレート5F5及び第6固定側ターミナルプレート5F6は、ベース部材18の第1辺部18E1に沿って配置された第1固定側台座部18D1のX1側の側壁(前側取付面)に固定されている。そして、第7固定側ターミナルプレート5F7及び第8固定側ターミナルプレート5F8(図3Bでは不可視)は、ベース部材18の第4辺部18E4に沿って配置された第2固定側台座部18D2のY1側の側壁(左側取付面)に固定されている。
【0029】
形状記憶合金ワイヤSAは、カバー部材4の外周壁部4Aの内面に沿うように延びており、固定側部材FBに対して可動側部材MBを移動可能に支持できるように構成されている。本実施形態では、形状記憶合金ワイヤSAは、第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8を含み、固定側部材FBとしてのベース部材18に対して、可動側部材MBとしてのレンズホルダ2を移動可能に支持できるように構成されている。第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8のそれぞれは、図2に示すように、一端が圧着又は溶接等により固定側金属部材5Fに固着され、且つ、他端が圧着又は溶接等により可動側金属部材5Mに固着されている。
【0030】
次に、図4A及び図4Bを参照し、形状記憶合金ワイヤSAが取り付けられる金属部材5について説明する。図4Aは、第1可動側ターミナルプレート5M1及び第1固定側ターミナルプレート5F1のそれぞれに取り付けられた第1ワイヤSA1、並びに、第1可動側ターミナルプレート5M1及び第2固定側ターミナルプレート5F2のそれぞれに取り付けられた第2ワイヤSA2をY2側から見たときの図である。図4Bは、第1可動側ターミナルプレート5M1及び第1固定側ターミナルプレート5F1のそれぞれに取り付けられた第1ワイヤSA1、並びに、第1可動側ターミナルプレート5M1及び第2固定側ターミナルプレート5F2のそれぞれに取り付けられた第2ワイヤSA2をZ1側から見たときの図である。なお、図4A及び図4Bに示す各部材の位置関係は、撮像装置101が組み立てられたときの位置関係に対応している。そして、図4A及び図4Bでは、明瞭化のため、他の部材の図示が省略されている。また、図4A及び図4Bを参照する以下の説明は、第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2の組み合わせに関するが、第3ワイヤSA3及び第4ワイヤSA4の組み合わせ、第5ワイヤSA5及び第6ワイヤSA6の組み合わせ、並びに、第7ワイヤSA7及び第8ワイヤSA8の組み合わせについても同様に適用される。
【0031】
具体的には、第1ワイヤSA1の一端は、第1可動側ターミナルプレート5M1の下側の保持部J3のところで第1可動側ターミナルプレート5M1に固定され、第1ワイヤSA1の他端は、第1固定側ターミナルプレート5F1の保持部J2のところで第1固定側ターミナルプレート5F1に固定されている。同様に、第2ワイヤSA2の一端は、第1可動側ターミナルプレート5M1の上側の保持部J1のところで第1可動側ターミナルプレート5M1に固定され、第2ワイヤSA2の他端は、第2固定側ターミナルプレート5F2の保持部J4のところで第2固定側ターミナルプレート5F2に固定されている。
【0032】
保持部J1は、第1可動側ターミナルプレート5M1の一部を折り曲げることによって形成されている。具体的には、第1可動側ターミナルプレート5M1の一部は、第2ワイヤSA2の一端を挟み込んだ状態で折り曲げられることにより保持部J1を形成している。そして、第2ワイヤSA2の一端は、溶接によって保持部J1に固定されている。保持部J2~保持部J4についても同様である。
【0033】
第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2は、図4A及び図4Bに示すように、互いにねじれの位置となるように配置されている。すなわち、第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2は、互いに接触しない(非接触となる)ように配置されている。
【0034】
次に、図5を参照し、固定側部材FBの一部であるベース部材18の詳細について説明する。図5は、ベース部材18の斜視図である。具体的には、図5の上図は、導電部材CMが取り除かれた状態のベース部材18の斜視図であり、図5の中央図は、ベース部材18内に埋設されている導電部材CMの斜視図であり、図5の下図は、導電部材CMが埋設された状態のベース部材18の斜視図である。なお、図5の中央図及び下図では、明瞭化のため、導電部材CMにドットパターンが付されている。
【0035】
ベース部材18は、第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8のそれぞれの一端を支持するワイヤ支持部材として機能するように構成されている。この構成により、可動側部材MBは、第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8によって、光軸OAに平行な方向であるZ軸方向に移動可能な状態で支持されている。
【0036】
ベース部材18の被写体側の面(Z1側の面)である上面には、固定側台座部18Dが形成されている。固定側台座部18Dは、第1固定側台座部18D1及び第2固定側台座部18D2を含む。第1固定側台座部18D1及び第2固定側台座部18D2は、光軸OAを挟んで対向するように配置されている。
【0037】
ベース部材18には、図5の中央図に示すような、銅、鉄、又はそれらを主成分とする合金等の材料を含む金属板から形成された導電部材CMがインサート成形によって埋め込まれている。本実施形態では、導電部材CMは、ベース部材18の前面(X1側の面)及び後面(X2側の面)から露出して下方(Z2方向)に延びる第1端子部TM1~第6端子部TM6と、ベース部材18の上面(Z1側の面)に露出する第5接合面部CP5及び第6接合面部CP6と、を有するように構成されている。
【0038】
具体的には、導電部材CMは、第1導電部材CM1~第6導電部材CM6を含む。そして、第1導電部材CM1は、第1端子部TM1及び第1接続部ED1を含む。第2導電部材CM2は、第2端子部TM2及び第2接続部ED2を含む。第3導電部材CM3は、第3端子部TM3及び第3接続部ED3を含む。第4導電部材CM4は、第4端子部TM4及び第4接続部ED4を含む。第5導電部材CM5は、第5端子部TM5及び第5接合面部CP5を含む。第6導電部材CM6は、第6端子部TM6及び第6接合面部CP6を含む。
【0039】
第1端子部TM1、第2端子部TM2、及び第6端子部TM6は、ベース部材18の第3辺部18E3に沿って配置されている。第3端子部TM3~第5端子部TM5は、ベース部材18の第1辺部18E1に沿って配置されている。
【0040】
そして、第1導電部材CM1の第1接続部ED1は、ベース部材18の第2辺部18E2に沿って配置され、第1導電部材CM1の第1端子部TM1は、ベース部材18の第2辺部18E2ではなく第3辺部18E3に沿って配置されている。同様に、第2導電部材CM2の第2接続部ED2は、ベース部材18の第2辺部18E2に沿って配置され、第2導電部材CM2の第2端子部TM2は、ベース部材18の第2辺部18E2ではなく第3辺部18E3に沿って配置されている。
【0041】
また、第3導電部材CM3の第3接続部ED3は、ベース部材18の第4辺部18E4に沿って配置され、第3導電部材CM3の第3端子部TM3は、ベース部材18の第4辺部18E4ではなく第1辺部18E1に沿って配置されている。同様に、第4導電部材CM4の第4接続部ED4は、ベース部材18の第4辺部18E4に沿って配置され、第4導電部材CM4の第4端子部TM4は、ベース部材18の第4辺部18E4ではなく第1辺部18E1に沿って配置されている。
【0042】
このように、第1端子部TM1~第6端子部TM6は、ベース部材18の第1辺部18E1又は第3辺部18E3に沿って配置され、ベース部材18の第2辺部18E2及び第4辺部18E4に沿って配置されることはない。撮像素子の実装を容易にするためである。具体的には、撮像素子に接続されるフレキシブルプリント基板等がベース部材18の第2辺部18E2及び第4辺部18E4の少なくとも一方の下を通過して配置されるようにするためである。
【0043】
次に、図6A及び図6Bを参照し、板ばね6、形状記憶合金ワイヤSA、金属部材5、及び導電部材CMの位置関係について説明する。図6は、板ばね6、形状記憶合金ワイヤSA、金属部材5、及び導電部材CMの位置関係を示す図である。具体的には、図6Aは、金属部材5、板ばね6、形状記憶合金ワイヤSA、及び導電部材CMの斜視図であり、図6Bは、金属部材5及び板ばね6の上面図である。なお、図6Bでは、明瞭化のため、形状記憶合金ワイヤSA及び導電部材CMの図示が省略されている。また、図6A及び図6Bでは、明瞭化のため、板ばね6にドットパターンが付されている。
【0044】
板ばね6は、図6Bに示すように、第1板ばね6A及び第2板ばね6Bを含む。そして、第1板ばね6Aは、ベース部材18の第1固定側台座部18D1(図2参照)に固定される第1部分6A1と、ベース部材18の第2固定側台座部18D2(図2参照)に固定される第2部分6A2と、レンズホルダ2の第1可動側台座部2D1(図2参照)に固定される第3部分6A3と、第1部分6A1と第3部分6A3を繋ぐ第4部分6A4と、第2部分6A2と第3部分6A3を繋ぐ第5部分6A5と、を有する。
【0045】
第1部分6A1には、第1固定側台座部18D1に形成された上側に突出する丸形の突出部18T(図3B参照)が挿通される第1貫通孔6AH1及び第2貫通孔6AH2が形成されている。本実施形態では、板ばね6と突出部18Tとの固定は、突出部18Tに熱かしめ又は冷間かしめを施すことによって実現される。但し、板ばね6と突出部18Tとの固定は、接着剤によって実現されてもよい。
【0046】
第2部分6A2には、第2固定側台座部18D2に形成された上側に突出する丸形の突出部18T(図3B参照)が挿通される第3貫通孔6AH3と、第6導電部材CM6の第6接合面部CP6(図5の下図参照)との接合に用いられる第4貫通孔6AH4とが形成されている。本実施形態では、板ばね6と導電部材CMとの接合は、レーザ溶接等の溶接によって実現される。但し、板ばね6と導電部材CMとの接合は、半田又は導電性接着剤等によって実現されてもよい。
【0047】
第3部分6A3には、第1可動側台座部2D1に形成された上側に突出する丸形の突出部2T(図3A参照)が挿通される第5貫通孔6AH5及び第6貫通孔6AH6が形成されている。本実施形態では、板ばね6と突出部2Tの固定は、突出部2Tに熱かしめ又は冷間かしめを施すことによって実現される。但し、板ばね6と突出部2Tとの固定は、接着剤によって実現されてもよい。
【0048】
同様に、第2板ばね6Bは、ベース部材18の第1固定側台座部18D1(図2参照)に固定される第1部分6B1と、ベース部材18の第2固定側台座部18D2(図2参照)に固定される第2部分6B2と、レンズホルダ2の第2可動側台座部2D2(図2参照)に固定される第3部分6B3と、第1部分6B1と第3部分6B3を繋ぐ第4部分6B4と、第2部分6B2と第3部分6B3を繋ぐ第5部分6B5と、を有する。
【0049】
第1部分6B1には、第1固定側台座部18D1に形成された上側に突出する丸形の突出部18T(図3B参照)が挿通される第1貫通孔6BH1と、第5導電部材CM5の第5接合面部CP5(図5の下図参照)との接合に用いられる第2貫通孔6BH2とが形成されている。
【0050】
第2部分6B2には、第2固定側台座部18D2に形成された上側に突出する丸形の突出部18T(図3B参照)が挿通される第3貫通孔6BH3及び第4貫通孔6BH4が形成されている。
【0051】
第3部分6B3には、第2可動側台座部2D2に形成された上側に突出する丸形の突出部2T(図3A参照)が挿通される第5貫通孔6BH5及び第6貫通孔6BH6が形成されている。
【0052】
第1板ばね6Aの第4部分6A4及び第5部分6A5と第2板ばね6Bの第4部分6B4及び第5部分6B5とは、複数の屈曲部を有する弾性変形可能な腕部である。そのため、レンズホルダ2は、ベース部材18(固定側部材FB)に対して、光軸OAに平行な方向のみならず、光軸OAと交差する方向にも移動可能となっている。
【0053】
図6Bに示すように、第1板ばね6A及び第2板ばね6Bは、略同じ形状を有する。具体的には、第1板ばね6A及び第2板ばね6Bは、光軸OAに関して二回回転対称となるように構成されている。そのため、この構成は、撮像装置101の部品点数を減らすことができる。また、第1板ばね6A及び第2板ばね6Bは、レンズホルダ2をバランス良く空中で支持できる。また、板ばね6は、8本の形状記憶合金ワイヤSA(第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8)によって支持される可動側部材MBの重量バランスに悪影響を及ぼすこともない。
【0054】
第1導電部材CM1の第1接続部ED1は、図6Aに示すように、隣接する第1固定側ターミナルプレート5F1の第1接触部CT1に接合材SDによって接合される。接合材SDは、例えば、半田又は導電性接着剤等である。具体的には、第1接続部ED1と第1接触部CT1とは互いの表面が略平行な状態で隣接して接合される。同様に、第2導電部材CM2の第2接続部ED2は、隣接する第2固定側ターミナルプレート5F2の第2接触部CT2に接合材SDによって接合され、第3導電部材CM3の第3接続部ED3は、隣接する第7固定側ターミナルプレート5F7の第7接触部CT7に接合材SDによって接合され、第4導電部材CM4の第4接続部ED4は、隣接する第8固定側ターミナルプレート5F8の第8接触部CT8に接合材SDによって接合される。なお、図6A及び図6Bでは、明瞭化のため、接合材SDは破線円で表されている。
【0055】
第1可動側ターミナルプレート5M1の第9接触部CT9は、図6A及び図6Bに示すように、接合材SDによって第1板ばね6Aの第3部分6A3に垂直に接合される。すなわち、第9接触部CT9と第3部分6A3とは互いの表面が略垂直な状態で接合される。同様に、第2可動側ターミナルプレート5M2の第10接触部CT10は、接合材SDによって第1板ばね6Aの第3部分6A3に垂直に接合され、第3可動側ターミナルプレート5M3の第11接触部CT11は、接合材SDによって第2板ばね6Bの第3部分6B3に垂直に接合され、第4可動側ターミナルプレート5M4の第12接触部CT12は、接合材SDによって第2板ばね6Bの第3部分6B3に垂直に接合される。
【0056】
一方で、第1固定側ターミナルプレート5F1は、図6Bに示すように、第1板ばね6Aの第1部分6A1から離間して配置されており、第1板ばね6Aの第1部分6A1には接触していない。同様に、第3固定側ターミナルプレート5F3は、第1板ばね6Aの第2部分6A2には接触しておらず、第5固定側ターミナルプレート5F5は、第2板ばね6Bの第1部分6B1には接触しておらず、第7固定側ターミナルプレート5F7は、第2板ばね6Bの第2部分6B2には接触していない。
【0057】
第5導電部材CM5の第5接合面部CP5(図5の中央図参照)は、第2板ばね6Bの第1部分6B1に形成された第2貫通孔6BH2のところで、レーザ溶接等の溶接により、第2板ばね6Bの第1部分6B1に平行に接合される。すなわち、第5接合面部CP5と第1部分6B1とは互いの表面が略平行な状態で接合される。同様に、第6導電部材CM6の第6接合面部CP6(図5の中央図参照)は、第1板ばね6Aの第2部分6A2に形成された第4貫通孔6AH4のところで、レーザ溶接等の溶接により、第1板ばね6Aの第2部分6A2に平行に接合される。
【0058】
次に、図7A図7Fを参照し、形状記憶合金ワイヤSAを流れる電流の経路について説明する。図7A図7Fは、図6Aに示す構成の一部の図である。なお、図7A図7Fでは、明瞭化のため、電流が流れる部材にはドットパターンが付されている。具体的には、図7Aでは、第1導電部材CM1及び第2導電部材CM2には粗いドットパターンが付され、第1可動側ターミナルプレート5M1、第1固定側ターミナルプレート5F1、及び第2固定側ターミナルプレート5F2には細かいドットパターンが付されている。また、図7Bでは、第1導電部材CM1及び第6導電部材CM6には粗いドットパターンが付され、第1板ばね6Aには細かいドットパターンが付され、第1可動側ターミナルプレート5M1及び第1固定側ターミナルプレート5F1には更に細かいドットパターンが付されている。また、図7Cでは、第2導電部材CM2及び第6導電部材CM6には粗いドットパターンが付され、第1板ばね6Aには細かいドットパターンが付され、第1可動側ターミナルプレート5M1及び第2固定側ターミナルプレート5F2には更に細かいドットパターンが付されている。また、図7Dでは、第2可動側ターミナルプレート5M2、第3固定側ターミナルプレート5F3、及び第4固定側ターミナルプレート5F4には細かいドットパターンが付されている。また、図7Eでは、第6導電部材CM6には粗いドットパターンが付され、第1板ばね6Aには細かいドットパターンが付され、第2可動側ターミナルプレート5M2及び第3固定側ターミナルプレート5F3には更に細かいドットパターンが付されている。また、図7Fでは、第6導電部材CM6には粗いドットパターンが付され、第1板ばね6Aには細かいドットパターンが付され、第2可動側ターミナルプレート5M2及び第4固定側ターミナルプレート5F4には更に細かいドットパターンが付されている。
【0059】
具体的には、図7Aは、第1導電部材CM1の第1端子部TM1が高電位に接続され、第2導電部材CM2の第2端子部TM2が低電位に接続されたときの電流の経路を示す。図7Bは、第1導電部材CM1の第1端子部TM1が高電位に接続され、第6導電部材CM6の第6端子部TM6が低電位に接続されたときの電流の経路を示す。図7Cは、第2導電部材CM2の第2端子部TM2が高電位に接続され、第6導電部材CM6の第6端子部TM6が低電位に接続されたときの電流の経路を示す。図7A図7Cを参照する以下の説明は、第1ワイヤSA1又は第2ワイヤSA2を流れる電流の経路に関するが、第7ワイヤSA7又は第8ワイヤSA8を流れる電流の経路についても同様に適用される。
【0060】
第1導電部材CM1の第1端子部TM1が高電位に接続され、第2導電部材CM2の第2端子部TM2が低電位に接続されると、電流は、図7Aの矢印AR1で示すように第1導電部材CM1を通って第1端子部TM1から第1固定側ターミナルプレート5F1に流れる。その後、電流は、矢印AR2で示すように第1固定側ターミナルプレート5F1を通り、矢印AR3で示すように第1ワイヤSA1を通り、更に、矢印AR4で示すように第1可動側ターミナルプレート5M1を通る。その後、電流は、矢印AR5で示すように第2ワイヤSA2を通り、矢印AR6で示すように第2固定側ターミナルプレート5F2を通り、そして、矢印AR7で示すように第2導電部材CM2を通って第2端子部TM2に流れる。
【0061】
第1導電部材CM1の第1端子部TM1が高電位に接続され、第6導電部材CM6の第6端子部TM6が低電位に接続されると、電流は、図7Bの矢印AR11で示すように第1導電部材CM1を通って第1端子部TM1から第1固定側ターミナルプレート5F1に流れる。その後、電流は、矢印AR12で示すように第1固定側ターミナルプレート5F1を通り、矢印AR13で示すように第1ワイヤSA1を通り、更に、矢印AR14で示すように第1可動側ターミナルプレート5M1を通る。その後、電流は、矢印AR15で示すように第1板ばね6Aの第3部分6A3、第5部分6A5、及び第2部分6A2を通り、そして、矢印AR16及び矢印AR17で示すように第6導電部材CM6を通って第6端子部TM6に流れる。
【0062】
第2導電部材CM2の第2端子部TM2が高電位に接続され、第6導電部材CM6の第6端子部TM6が低電位に接続されると、電流は、図7Cの矢印AR21で示すように第2導電部材CM2を通って第2端子部TM2から第2固定側ターミナルプレート5F2に流れる。その後、電流は、矢印AR22で示すように第2固定側ターミナルプレート5F2を通り、矢印AR23で示すように第2ワイヤSA2を通り、更に、矢印AR24で示すように第1可動側ターミナルプレート5M1を通る。その後、電流は、矢印AR25で示すように第1板ばね6Aの第3部分6A3、第5部分6A5、及び第2部分6A2を通り、そして、矢印AR26及び矢印AR27で示すように第6導電部材CM6を通って第6端子部TM6に流れる。
【0063】
また、図7Dは、第3固定側ターミナルプレート5F3の第3接触部CT3が高電位に接続され、第4固定側ターミナルプレート5F4の第4接触部CT4が低電位に接続されたときの電流の経路を示す。図7Eは、第3固定側ターミナルプレート5F3の第3接触部CT3が高電位に接続され、第6導電部材CM6の第6端子部TM6が低電位に接続されたときの電流の経路を示す。図7Fは、第4固定側ターミナルプレート5F4の第4接触部CT4が高電位に接続され、第6導電部材CM6の第6端子部TM6が低電位に接続されたときの電流の経路を示す。図7D図7Fを参照する以下の説明は、第3ワイヤSA3又は第4ワイヤSA4を流れる電流の経路に関するが、第5ワイヤSA5又は第6ワイヤSA6を流れる電流の経路についても同様に適用される。
【0064】
第3固定側ターミナルプレート5F3の第3接触部CT3が高電位に接続され、第4固定側ターミナルプレート5F4の第4接触部CT4が低電位に接続されると、電流は、図7Dの矢印AR31で示すように第3固定側ターミナルプレート5F3を通って第3接触部CT3から第3ワイヤSA3に流れる。その後、電流は、矢印AR32で示すように第3ワイヤSA3を通り、矢印AR33で示すように第2可動側ターミナルプレート5M2を通り、更に、矢印AR34で示すように第4ワイヤSA4を通る。その後、電流は、矢印AR35で示すように第4固定側ターミナルプレート5F4を通って第4接触部CT4に流れる。
【0065】
第3固定側ターミナルプレート5F3の第3接触部CT3が高電位に接続され、第6導電部材CM6の第6端子部TM6が低電位に接続されると、電流は、図7Eの矢印AR41で示すように第3固定側ターミナルプレート5F3を通って第3接触部CT3から第3ワイヤSA3に流れる。その後、電流は、矢印AR42で示すように第3ワイヤSA3を通り、矢印AR43で示すように第2可動側ターミナルプレート5M2を通り、更に、矢印AR44で示すように第1板ばね6Aの第3部分6A3、第5部分6A5、及び第2部分6A2を通る。その後、電流は、矢印AR45で示すように第6導電部材CM6を通って第6接合面部CP6から第6端子部TM6に流れる。
【0066】
第4固定側ターミナルプレート5F4の第4接触部CT4が高電位に接続され、第6導電部材CM6の第6端子部TM6が低電位に接続されると、電流は、図7Fの矢印AR51で示すように第4固定側ターミナルプレート5F4を通って第4接触部CT4から第4ワイヤSA4に流れる。その後、電流は、矢印AR52で示すように第4ワイヤSA4を通り、矢印AR53で示すように第2可動側ターミナルプレート5M2を通り、更に、矢印AR54で示すように第1板ばね6Aの第3部分6A3、第5部分6A5、及び第2部分6A2を通る。その後、電流は、矢印AR55で示すように第6導電部材CM6を通って第6接合面部CP6から第6端子部TM6に流れる。
【0067】
次に、図8A及び図8Bを参照し、固定側金属部材5Fと導電部材CMとを接続する接続構造の一例について説明する。図8A及び図8Bは、固定側金属部材5Fと導電部材CMとを接続する接続構造の一例を示す図である。具体的には、図8Aは、図3Bに示す破線で囲まれた範囲R1の拡大図(斜視図)である。図8Bは、図3Bに示す破線で囲まれた範囲R1の右側面図である。なお、図8A及び図8Bでは、明瞭化のため、ベース部材18には細かいドットパターンが付されている。
【0068】
図8A及び図8Bに示すように、第1固定側ターミナルプレート5F1は、ベース部材18の第1固定側台座部18D1のY2側の側壁(右側取付面)に光硬化型接着剤によって取り付けられている。そして、第1固定側ターミナルプレート5F1の第1接触部CT1は、接合材SDを介して第1導電部材CM1の第1接続部ED1に接合されている。なお、図8A及び図8Bでは、明瞭化のため、接合材SDにはクロスパターンが付されている。
【0069】
同様に、第2固定側ターミナルプレート5F2は、ベース部材18における第1固定側台座部18D1のY2側の側壁(右側取付面)に光硬化型接着剤によって取り付けられている。そして、第2固定側ターミナルプレート5F2の第2接触部CT2は、接合材SDを介して第2導電部材CM2の第2接続部ED2に接合されている。
【0070】
第1接続部ED1は、図8Bに示すように、X軸方向において、X1側(前側)の端面が第1接触部CT1のX2側(後側)の端面と対向するように配置されている。同様に、第2接続部ED2は、X軸方向において、X1側(前側)の端面が第2接触部CT2のX2側(後側)の端面と対向するように配置されている。
【0071】
この配置は、少なくとも第1接続部ED1の前面(X1側の面)と第1接触部CT1の後面(X2側の面)及び上面(Z1側の面)とに接合材SDが付着できるようにするため、第1接触部CT1と第1接続部ED1との間の接合材SDによる接続強度を高めることができる。第2接触部CT2と第2接続部ED2との間の接合材SDによる接続強度についても同様である。
【0072】
また、この配置は、メッキが施されていない第1接続部ED1の右端面(Y2側の面)のみと第1接触部CT1とが接合材SDによって接合されてしまうのを防止できる。第2接続部ED2と第2接触部CT2との間の接合についても同様である。なお、第1接続部ED1の右端面(Y2側の面)は、不図示の切捨連結部を切り離す際に形成される切断面であるため、メッキが施されていない。切捨連結部は、複数の導電部材を連結するための部分であり、複数の導電部材がインサート成形によってベース部材18に埋め込まれる際に利用されるが最終的には切り捨てられる。
【0073】
次に、図9を参照し、上述のような撮像装置101の構成要素である駆動装置10及び制御装置20について説明する。図9は、駆動装置10及び制御装置20の構成例を示す図である。図9では、明瞭化のため、駆動装置10を構成する部分が実線で表され、制御装置20を構成する部分が破線で表されている。
【0074】
駆動装置10は、複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれに駆動用電流を供給して複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれを駆動できるように構成されている。駆動用電流は、形状記憶合金ワイヤSAを駆動する(加熱収縮させる)ための電流であり、例えば、パルス電流である。本実施形態では、駆動装置10は、スイッチング素子、オペアンプ、又はIC等の能動素子AEで構成された電子回路であり、制御装置20からの制御信号に応じて動作するように構成されている。
【0075】
図示例では、駆動装置10は、第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4のそれぞれを駆動できるように構成された第1駆動装置10Aと、第5ワイヤSA5~第8ワイヤSA8のそれぞれを駆動できるように構成された第2駆動装置10B(詳細は図示せず。)と、を含む。第2駆動装置10Bは、第1駆動装置10Aと同様の構成を有する。
【0076】
制御装置20は、駆動装置10を制御できるように構成されている。本実施形態では、制御装置20は、CPU、揮発性記憶装置、及び不揮発性記憶装置等を備えるマイクロコンピュータである。
【0077】
図示例では、制御装置20は、形状記憶合金ワイヤSAの収縮による光軸OAに平行な方向に沿った駆動力を利用し、撮像素子のZ1側(被写体側)において、光軸OAに平行な方向に沿ってレンズホルダ2を移動させるように駆動装置10を制御できる。そして、このようにレンズホルダ2を移動させることにより、制御装置20は、レンズ調整機能の一つである自動焦点調整機能を実現できる。具体的には、制御装置20は、撮像素子から離れる方向にレンズホルダ2を移動させてマクロ撮影を実現でき、撮像素子に近づく方向にレンズホルダ2を移動させて無限遠撮影を実現できる。
【0078】
また制御装置20は、複数の形状記憶合金ワイヤSAに流れる電流を制御することによって、光軸OAと交差する方向にレンズホルダ2を移動させるように駆動装置10を制御できる。これにより、制御装置20は、手振れ補正機能を実現できる。
【0079】
なお、図示例では、略直方体形状を有する撮像装置101は、撮像素子(図示せず)を実装した外部基板(図示せず)の上に取り付けられている。そして、カメラモジュールは、例えば、外部基板と、撮像装置101と、レンズホルダ2に装着されたレンズ体と、レンズ体に対向するように配置された撮像素子とで構成されている。また、駆動装置10及び制御装置20は、外部基板に実装されている。但し、駆動装置10及び制御装置20の少なくとも一方は、撮像装置101の内部に配置されていてもよい。また、撮像素子は、撮像装置101に実装されていてもよい。
【0080】
また、図示例では、制御装置20は、駆動用電流が供給されるタイミングとは異なるタイミングで、八本の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれに計測用電流が供給されるように駆動装置10を制御できる。
【0081】
計測用電流は、形状記憶合金ワイヤSAの両端間の抵抗を計測するための電流である。計測用電流は、望ましくは、形状記憶合金ワイヤSAの長さに影響を与えない微弱な電流であり、例えば、パルス電流である。図示例では、制御装置20は、既知の大きさを有する計測用電流を形状記憶合金ワイヤSAに流したときの形状記憶合金ワイヤSAの両端間の電圧を測定することによって形状記憶合金ワイヤSAの両端間の抵抗の大きさ(計測抵抗値)を導き出すことができる。そして、八本の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれの計測抵抗値は、レンズホルダ2(レンズ体)の所望の姿勢を実現するために利用される。例えば、制御装置20は、レンズホルダ2(レンズ体)の所望の姿勢に対応する八本の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれの目標長さを設定することができ、更に、それら八つの目標長さのそれぞれに対応する八本の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれの目標抵抗値を設定できる。その上で、制御装置20は、八本の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれの計測抵抗値と目標抵抗値との差がゼロに近づくように駆動装置10を制御することにより、レンズホルダ2(レンズ体)の所望の姿勢を実現できる。なお、計測用電流は、形状記憶合金ワイヤSAの長さに影響を与えない微弱な電流であるため、その大きさは駆動用電流の大きさよりも顕著に小さい。
【0082】
図示例では、制御装置20は、レンズホルダ2(レンズ体)の所望の姿勢を実現するための目標抵抗値を八本の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれに対して設定する。そして、制御装置20は、八本の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれの計測抵抗値が目標抵抗値と同じになるように駆動装置10を制御する。すなわち、制御装置20は、八本の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれの抵抗値のフィードバック制御を実行する。
【0083】
具体的には、制御装置20は、八本の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれに関し、目標抵抗値と計測抵抗値との差がゼロに近づくように駆動装置10を制御し、八本の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれに供給される駆動用電流の大きさ及び供給時間(継続時間)の少なくとも一つを調整する。図示例では、制御装置20は、特定の形状記憶合金ワイヤSAの目標抵抗値が計測抵抗値よりも小さい場合に、その特定の形状記憶合金ワイヤSAを収縮させるべく、その特定の形状記憶合金ワイヤSAに供給される電力量を増大させる。例えば、制御装置20は、駆動用電流の供給時間、すなわち、その特定の形状記憶合金ワイヤSAの両端間に所定の電圧が印加される時間を長くする。反対に、制御装置20は、特定の形状記憶合金ワイヤSAの目標抵抗値が計測抵抗値よりも大きい場合には、その特定の形状記憶合金ワイヤSAを伸張させるべく、その特定の形状記憶合金ワイヤSAに供給される電力量を低減させた上で、その特定の形状記憶合金ワイヤSA以外の別の形状記憶合金ワイヤSAに供給される電力量を増大させる。例えば、制御装置20は、その特定の形状記憶合金ワイヤSA以外の別の形状記憶合金ワイヤSAの両端間に所定の電圧が印加される時間を長くする。
【0084】
具体的には、第1駆動装置10Aは、図9に示すように、高電位源11、低電位源12、定電流源13、及び能動素子AEを含む。図9を参照する以下の説明は、第1駆動装置10Aに関するが、第2駆動装置10Bにも同様に適用される。
【0085】
高電位源11は、グラウンド(GND)及び低電位源12のそれぞれの電位よりも高い電位を有するように構成される電位源である。
【0086】
低電位源12は、グラウンド(GND)の電位よりも高く且つ高電位源11よりも低い電位を有するように構成される電位源である。
【0087】
なお、高電位源11及び低電位源12は何れも電位が固定されているが、高電位源11及び低電位源12の少なくとも一方は、制御装置20からの制御信号に応じて電位が動的に変化するように構成されていてもよい。
【0088】
定電流源13は、負荷の抵抗値が変化しても一定の大きさを有する電流を流すことができる電気回路である。図示例では、定電流源13は、第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4のそれぞれに一定の大きさを有する計測用電流を流すことができるように構成されている。計測用電流の大きさは、例えば、制御装置20によって設定される。この場合、計測用電流の大きさは、制御装置20における不揮発性記憶装置に記憶されていてもよい。例えば、計測用電流の大きさは、第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4のそれぞれに適合するように、製品(撮像装置101)の出荷時に実施される工場での検査の結果等に基づいて設定されていてもよい。この場合、形状記憶合金ワイヤの個体差による特性のバラつきが抑制される。
【0089】
能動素子AEは、供給された電力で増幅又は整流等の能動動作を行う素子である。図示例では、能動素子AEは、第1能動素子AE1~第6能動素子AE6を含む。
【0090】
第1能動素子AE1は、三つの入力を一つの出力に統合するマルチプレクサである。図示例では、第1能動素子AE1の三つの入力は、高電位源11、低電位源12、及び定電流源13に接続され、第1能動素子AE1の一つの出力は、第2能動素子AE2に接続されている。
【0091】
第2能動素子AE2は、一つの入力を四つの出力に分配するデマルチプレクサである。図示例では、第2能動素子AE2の一つの入力は、第1能動素子AE1に接続され、第2能動素子AE2の四つの出力は、第1ワイヤSA1、第3ワイヤSA3、第3能動素子AE3、及び第4能動素子AE4に接続されている。
【0092】
第3能動素子AE3は、二つの入力を一つの出力に統合するマルチプレクサである。図示例では、第3能動素子AE3の二つの入力は、第2能動素子AE2及びグラウンド(GND)に接続され、第3能動素子AE3の一つの出力は、第2ワイヤSA2に接続されている。
【0093】
第4能動素子AE4は、二つの入力を一つの出力に統合するマルチプレクサである。図示例では、第4能動素子AE4の二つの入力は、第2能動素子AE2及びグラウンド(GND)に接続され、第4能動素子AE4の一つの出力は、第4ワイヤSA4に接続されている。
【0094】
第5能動素子AE5は、入力と出力との接続を制御するスイッチング素子である。図示例では、第5能動素子AE5の入力は、第1ワイヤSA1、第2ワイヤSA2、第3ワイヤSA3、及び第4ワイヤSA4のそれぞれに接続された導電路である共通導電路CD0に接続され、第5能動素子AE5の一つの出力は、グラウンド(GND)に接続されている。
【0095】
第6能動素子AE6は、二つの入力と一つの出力とを有するオペアンプ(演算増幅器)である。図示例では、第6能動素子AE6の一方の入力は、第1能動素子AE1と第2能動素子AE2との間の導電路上の第1計測点MP1に接続され、第6能動素子AE6の他方の入力は、共通導電路CD0上の第2計測点MP2に接続され、第6能動素子AE6の一つの出力は、制御装置20に接続されている。
【0096】
なお、図示例では、第1ワイヤSA1は、その一端が第1導電路CD1を通じて第2能動素子AE2に接続され、その他端が共通導電路CD0に接続されている。また、第2ワイヤSA2は、その一端が第2導電路CD2を通じて第3能動素子AE3に接続され、その他端が共通導電路CD0に接続されている。また、第3ワイヤSA3は、その一端が第3導電路CD3を通じて第2能動素子AE2に接続され、その他端が共通導電路CD0に接続されている。また、第4ワイヤSA4は、その一端が第4導電路CD4を通じて第4能動素子AE4に接続され、その他端が共通導電路CD0に接続されている。
【0097】
具体的には、図7Aに示すように、第1導電路CD1は、第1固定側ターミナルプレート5F1を含み、第2導電路CD2は、第2固定側ターミナルプレート5F2を含む。また、図7Dに示すように、第3導電路CD3は、第3固定側ターミナルプレート5F3を含み、第4導電路CD4は、第4固定側ターミナルプレート5F4を含む。また、図7B図7C図7E、及び図7Fに示すように、共通導電路CD0は、第1可動側ターミナルプレート5M1、第2可動側ターミナルプレート5M2、第1板ばね6A(第3部分6A3、第5部分6A5、及び第2部分6A2)、並びに、第6導電部材CM6を含む。
【0098】
すなわち、第1駆動装置10Aは、図7A図7Fに示すように、第1端子部TM1、第2端子部TM2、第6端子部TM6、第3接触部CT3、及び第4接触部CT4のそれぞれに印加される電圧を制御することにより、第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4のそれぞれの収縮を制御できる。第2駆動装置10Bについても同様である。
【0099】
また、図示例では、第1駆動装置10Aは、第3ワイヤSA3及び第4ワイヤSA4のそれぞれに電流を流す場合には、第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2のそれぞれに電流を流す際に使用されるような長い導電路(ベース部材18の開口18Kに沿って延びる第1導電部材CM1及び第2導電部材CM2)を使用しない。そのため、この構成は、第3ワイヤSA3及び第4ワイヤSA4のそれぞれに電流を流す場合には、撮像素子の画質に悪影響を及ぼし得る、導電路の周囲に形成される磁場(誘導磁場)を低減できるという効果をもたらす。換言すれば、この構成は、第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2のそれぞれを流れる電流の大きさに対する制限に比べ、第3ワイヤSA3及び第4ワイヤSA4のそれぞれを流れる電流の大きさに対する制限を緩和できるという効果をもたらす。
【0100】
また、図示例では、第1駆動装置10A及び第2駆動装置10Bは、高電位源11、低電位源12、及び定電流源13のそれぞれを共用するように構成されているが、高電位源11、低電位源12、及び定電流源13の少なくとも一つを個別に備えるように構成されていてもよい。例えば、定電流源13は、第1駆動装置10Aの第1能動素子AE1に接続される第1定電流源と、第2駆動装置10Bの第1能動素子(図示せず)に接続される第2定電流源と、を含んでいてもよい。
【0101】
また、図示例では、駆動装置10は、高電位源11及び低電位源12のそれぞれに接続されるように構成されているが、高電位源11及び低電位源12の一方に接続されるように構成されていてもよい。この場合、高電位源11及び低電位源12の他方は省略されてもよい。
【0102】
また、図示例では、駆動装置10は、定電流源13を有し、形状記憶合金ワイヤSAに計測用電流を流すときに定電流源13と形状記憶合金ワイヤSAとを電気的に接続するように構成されている。しかしながら、定電流源13は省略されてもよい。この場合、駆動装置10は、形状記憶合金ワイヤSAを流れる計測用電流の大きさを電圧値として検出するためのADコンバータを備えていてもよい。或いは、駆動装置10は、形状記憶合金ワイヤSAを流れる計測用電流の大きさを計測するためのシャント抵抗器を備えていてもよい。
【0103】
また、図示例では、共通導電路CD0は、第5能動素子AE5を介してグラウンド(GND)に接続されるように構成されているが、能動素子を介して高電位源11及び低電位源12のうちの一方に接続されるように構成されていてもよい。この場合、第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4のそれぞれは、一端がNチャネル型トランジスタ等の能動素子を介してグラウンド(GND)に接続され、他端が共通導電路CD0に接続されるように構成されていてもよい。
【0104】
次に、図10A図10Dを参照し、形状記憶合金ワイヤSAを流れる電流の経路の例について説明する。図10A図10Dは、駆動装置10における電流の経路の例を示す図であり、図9に対応している。図10A図10Dでは、明瞭化のため、電流が流れている導電路は太い実線で表され、電流が流れていない導電路は破線で表されている。
【0105】
図10Aは、電気的に直列に接続された二本の形状記憶合金ワイヤSA(第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2)を通じて流れる駆動用電流の経路の一例を示す。図7Aに示す駆動用電流の経路は、図10Aに示す駆動用電流の経路の具体例の一つである。具体的には、図10Aは、高電位源11、第1導電路CD1、第1ワイヤSA1、共通導電路CD0、第2ワイヤSA2、第2導電路CD2、及びグラウンド(GND)が電気的に直列に接続されたときの、高電位源11からグラウンド(GND)に流れる駆動用電流の経路を示している。この場合、第1導電路CD1は、図7Aにおける第1固定側ターミナルプレート5F1によって実現され、第2導電路CD2は、図7Aにおける第2固定側ターミナルプレート5F2によって実現され、共通導電路CD0は、第1可動側ターミナルプレート5M1によって実現される。
【0106】
図10Bは、一本の形状記憶合金ワイヤSA(第1ワイヤSA1)を通じて流れる駆動用電流の経路の一例を示す。図7Bに示す駆動用電流の経路は、図10Bに示す駆動用電流の経路の具体例の一つである。具体的には、図10Bは、低電位源12、第1導電路CD1、第1ワイヤSA1、共通導電路CD0、及びグラウンド(GND)が電気的に直列に接続されたときの、低電位源12からグラウンド(GND)に流れる駆動用電流の経路を示している。この場合、第1導電路CD1は、図7Bにおける第1固定側ターミナルプレート5F1によって実現され、共通導電路CD0は、図7Bにおける第1可動側ターミナルプレート5M1、第1板ばね6A(第3部分6A3、第5部分6A5、及び第2部分6A2)、及び第6導電部材CM6によって実現される。
【0107】
図10Cは、一本の形状記憶合金ワイヤSA(第2ワイヤSA2)を通じて流れる駆動用電流の経路の別の一例を示す。図7Cに示す駆動用電流の経路は、図10Cに示す駆動用電流の経路の具体例の一つである。具体的には、図10Cは、低電位源12、第2導電路CD2、第2ワイヤSA2、共通導電路CD0、及びグラウンド(GND)が電気的に直列に接続されたときの、低電位源12からグラウンド(GND)に流れる駆動用電流の経路を示している。この場合、第2導電路CD2は、図7Cにおける第2導電部材CM2及び第2固定側ターミナルプレート5F2によって実現され、共通導電路CD0は、図7Cにおける第1可動側ターミナルプレート5M1、第1板ばね6A(第3部分6A3、第5部分6A5、及び第2部分6A2)、及び第6導電部材CM6によって実現される。
【0108】
図10Dは、一本の形状記憶合金ワイヤSA(第1ワイヤSA1)を通じて流れる計測用電流の経路の一例を示す。図7Bに示す電流の経路は、図10Dに示す電流の経路の具体例の一つである。具体的には、図10Dは、定電流源13、第1導電路CD1、第1ワイヤSA1、共通導電路CD0、及びグラウンド(GND)が電気的に直列に接続されたときの、定電流源13からグラウンド(GND)に流れる計測用電流の経路を示している。この場合、第1導電路CD1は、図7Bにおける第1固定側ターミナルプレート5F1によって実現され、共通導電路CD0は、図7Bにおける第1可動側ターミナルプレート5M1、第1板ばね6A(第3部分6A3、第5部分6A5、及び第2部分6A2)、及び第6導電部材CM6によって実現される。
【0109】
この状態において、第6能動素子AE6の一方の入力は、第1能動素子AE1と第2能動素子AE2との間の導電路上の第1計測点MP1に接続され、第6能動素子AE6の他方の入力は、共通導電路CD0上の第2計測点MP2に接続されている。そのため、オペアンプとしての第6能動素子AE6は、第1計測点MP1における電位と第2計測点MP2における電位との間の電位差(電圧)を制御装置20に出力する。制御装置20は、電圧の大きさと定電流源13が出力する電流の大きさとに基づいて第1ワイヤSA1の抵抗の大きさを算出できる。制御装置20は、第2ワイヤSA2~第4ワイヤSA4のそれぞれの抵抗の大きさを同じように算出できる。
【0110】
次に、図11を参照し、形状記憶合金ワイヤSAを流れる駆動用電流及び計測用電流のタイミング関係の一例について説明する。図11は、第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4のそれぞれを流れる駆動用電流及び計測用電流のタイミングチャートの一例である。具体的には、図11は、第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4のそれぞれに印加される電圧の時間的推移を示すことによって第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4のそれぞれを流れる駆動用電流及び計測用電流のタイミング関係を示している。なお、図11を参照する以下の説明は、第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4のそれぞれを流れる駆動用電流及び計測用電流のタイミング関係に関するが、第5ワイヤSA5~第8ワイヤSA8のそれぞれを流れる駆動用電流及び計測用電流のタイミング関係にも同様に適用される。
【0111】
図11に示す例では、制御装置20による駆動装置10の制御は、パルス幅変調方式によって実現される。なお、制御装置20による駆動装置10の制御は、パルス振幅変調方式等の他の方式によって実現されてもよい。
【0112】
具体的には、制御装置20は、第1駆動用タイムスロットD1の期間中に第1ワイヤSA1に駆動用電流が流れ、第2駆動用タイムスロットD2の期間中に第2ワイヤSA2に駆動用電流が流れ、第3駆動用タイムスロットD3の期間中に第3ワイヤSA3に駆動用電流が流れ、且つ、第4駆動用タイムスロットD4の期間中に第4ワイヤSA4に駆動用電流が流れるように駆動装置10を制御する。
【0113】
第1駆動用タイムスロットD1は、第1ワイヤSA1に駆動用電流を流すことができる期間として予め設定されたタイムスロットである。第2駆動用タイムスロットD2~第4駆動用タイムスロットD4についても同様である。図示例では、駆動装置10は、第1駆動用タイムスロットD1~第4駆動用タイムスロットD4のそれぞれの大きさ(継続時間)が同じとなるように構成されている。但し、駆動装置10は、第1駆動用タイムスロットD1~第4駆動用タイムスロットD4のそれぞれの大きさ(継続時間)が互いに異なるように構成されていてもよい。
【0114】
また、制御装置20は、第1計測用タイムスロットM1の期間中に第1ワイヤSA1に計測用電流が流れ、第2計測用タイムスロットM2の期間中に第2ワイヤSA2に計測用電流が流れ、第3計測用タイムスロットM3の期間中に第3ワイヤSA3に計測用電流が流れ、第4計測用タイムスロットM4の期間中に第4ワイヤSA4に計測用電流が流れるように駆動装置10を制御する。
【0115】
第1計測用タイムスロットM1は、第1ワイヤSA1に計測用電流を流すことができる期間として予め設定されたタイムスロットである。第1計測用タイムスロットM1の期間中に第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4のそれぞれに駆動用電流が供給されることはない。そのため、第1計測用タイムスロットM1の期間中は、パルス幅変調方式が採用されている場合には、「PWM OFF期間」とも称される。第2計測用タイムスロットM2~第4計測用タイムスロットM4についても同様である。図示例では、駆動装置10は、第1計測用タイムスロットM1~第4計測用タイムスロットM4のそれぞれの大きさ(継続時間)が同じとなるように構成されている。但し、駆動装置10は、第1計測用タイムスロットM1~第4計測用タイムスロットM4のそれぞれの大きさ(継続時間)が互いに異なるように構成されていてもよい。また、図示例では、計測用電流の継続時間は、計測用タイムスロットの継続時間と同じであるが、計測用タイムスロットの継続時間より短くてもよい。
【0116】
また、図示例では、制御装置20は、第1駆動用タイムスロットD1~第4駆動用タイムスロットD4と第1計測用タイムスロットM1との組み合わせが第1駆動サイクルを構成し、第1駆動用タイムスロットD1~第4駆動用タイムスロットD4と第2計測用タイムスロットM2との組み合わせが第2駆動サイクルを構成し、第1駆動用タイムスロットD1~第4駆動用タイムスロットD4と第3計測用タイムスロットM3との組み合わせが第3駆動サイクルを構成し、且つ、第1駆動用タイムスロットD1~第4駆動用タイムスロットD4と第4計測用タイムスロットM4との組み合わせが第4駆動サイクルを構成するように駆動装置10を制御する。
【0117】
なお、図示例では、制御装置20は、第1駆動サイクルにおいて第1駆動用タイムスロットD1~第4駆動用タイムスロットD4の後に第1計測用タイムスロットM1が設定されるように駆動装置10を制御しているが、二つの駆動用タイムスロットの間に第1計測用タイムスロットが設定されるように駆動装置10を制御してもよい。例えば、制御装置20は、第1駆動用タイムスロットD1と第2駆動用タイムスロットD2との間に第1計測用タイムスロットM1が設定されるように駆動装置10を制御してもよい。第2駆動サイクル~第4駆動サイクルにおいても同様である。
【0118】
また、図示例では、制御装置20は、第1駆動サイクル、第2駆動サイクル、第3駆動サイクル、及び第4駆動サイクルの組み合わせが一回の計測サイクルを構成するように駆動装置10を制御する。すなわち、制御装置20は、一回の計測サイクルを実行することによって、四本の形状記憶合金ワイヤSA(第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4)のそれぞれの抵抗の大きさを取得できるように駆動装置10を制御する。
【0119】
なお、図示例では、制御装置20は、第1駆動サイクル、第2駆動サイクル、第3駆動サイクル、及び第4駆動サイクルの順序で四つの駆動サイクルが実行されるように駆動装置10を制御しているが、他の順序で四つの駆動サイクルが実行されるように駆動装置10を制御してもよい。
【0120】
また、図示例では、制御装置20は、一回の駆動サイクルを実行する際に一本の形状記憶合金ワイヤSAの抵抗の大きさを取得できるように駆動装置10を制御しているが、一回の駆動サイクルを実行する際に二本以上の形状記憶合金ワイヤSAの抵抗の大きさを取得できるように駆動装置10を制御してもよい。例えば、第1駆動サイクルは、第1駆動用タイムスロットD1~第4駆動用タイムスロットD4と第1計測用タイムスロットM1と第2計測用タイムスロットM2との組み合わせで構成されていてもよい。
【0121】
図11に示す例では、時刻t1において第1駆動サイクルの第1駆動用タイムスロットD1が始まり、時刻t2において第1駆動用タイムスロットD1が終わり且つ第2駆動用タイムスロットD2が始まり、時刻t3において第2駆動用タイムスロットD2が終わり且つ第3駆動用タイムスロットD3が始まり、時刻t4において第3駆動用タイムスロットD3が終わり且つ第4駆動用タイムスロットD4が始まり、時刻t5において第4駆動用タイムスロットD4が終わり且つ第1計測用タイムスロットM1が始まり、時刻t6において第1計測用タイムスロットM1が終わり且つ第2駆動サイクルの第1駆動用タイムスロットD1が始まる。
【0122】
そして、第1駆動サイクルの第1駆動用タイムスロットD1では、制御装置20は、第1駆動用タイムスロットD1の継続時間と同じ継続時間E1にわたって第1ワイヤSA1に駆動用電流が流れるように駆動装置10を制御する。また、第1駆動サイクルの第2駆動用タイムスロットD2では、制御装置20は、第2駆動用タイムスロットD2の継続時間よりも短い継続時間E2にわたって第2ワイヤSA2に駆動用電流が流れるように駆動装置10を制御する。また、第1駆動サイクルの第3駆動用タイムスロットD3では、制御装置20は、第3駆動用タイムスロットD3の継続時間よりも短い継続時間E3にわたって第3ワイヤSA3に駆動用電流が流れるように駆動装置10を制御する。また、第1駆動サイクルの第4駆動用タイムスロットD4では、制御装置20は、第4駆動用タイムスロットD4の継続時間よりも短い継続時間E4にわたって第4ワイヤSA4に駆動用電流が流れるように駆動装置10を制御する。また、第1駆動サイクルの第1計測用タイムスロットM1では、制御装置20は、第1計測用タイムスロットM1の継続時間と同じ継続時間E5にわたって第1ワイヤSA1に計測用電流が流れるように駆動装置10を制御する。
【0123】
第1ワイヤSA1に計測用電流が流れる継続時間E5は、例えば、オペアンプとしての第6能動素子AE6が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換するためのADコンバータの変換速度に応じて設定される。ADコンバータの変換速度が速いほど、継続時間E5は短めに設定され得る。換言すれば、制御装置20は、継続時間E5を長めに設定すれば、すなわち、計測時間を長めに設定すれば、変換速度が遅いADコンバータを利用したとしても、四本の形状記憶合金ワイヤSAの抵抗を正確に取得できる。
【0124】
また、第1ワイヤSA1に駆動用電流が流れている間に第1ワイヤSA1の抵抗を計測する構成では、第1ワイヤSA1に駆動用電流が流れる継続時間E1は、ADコンバータの変換速度によって決まる最小継続時間よりも長くなるように設定される必要がある。しかしながら、本実施形態に係る構成では、第1駆動用タイムスロットD1と第1計測用タイムスロットM1とが別々に設定されるため、必ずしも継続時間E1が継続時間E5以上である必要はない。すなわち、制御装置20は、第1ワイヤSA1に計測用電流が流れる継続時間E5よりも短い継続時間を継続時間E1として採用できる。第2ワイヤSA2~第4ワイヤSA4についても同様である。
【0125】
また、図示例では、駆動装置10は、第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4のそれぞれを駆動できるように構成された第1駆動装置10Aと、第5ワイヤSA5~第8ワイヤSA8のそれぞれを駆動できるように構成された第2駆動装置10Bと、を含む。すなわち、撮像装置101は、四本の形状記憶合金ワイヤSAを駆動可能な駆動装置を二つ備えるように構成されている。この構成は、八本の形状記憶合金ワイヤSAを駆動可能な駆動装置を一つだけ備える構成に比べ、一本の形状記憶合金ワイヤSAに割り当て可能な駆動用タイムスロットを大きくし、一本の形状記憶合金ワイヤSAに所望の電力量を供給する際の電流の大きさを小さくでき、ひいては、導電路の周囲に形成される磁場を低減できる。しかしながら、撮像装置101は、八本の形状記憶合金ワイヤSAを駆動可能な駆動装置を一つだけ備えるように構成されていてもよい。この場合、制御装置20は、例えば、一つの計測サイクルが八つの駆動サイクルで構成され、且つ、一つの駆動サイクルが八つの駆動用タイムスロットと一つの計測用タイムスロットとの組み合わせで構成されるようにその一つの駆動装置を制御してもよい。或いは、撮像装置101は、二本の形状記憶合金ワイヤSAを駆動可能な駆動装置を四つ備えるように構成されていてもよく、一本の形状記憶合金ワイヤSAを駆動可能な駆動装置を八つ備えるように構成されていてもよい。
【0126】
また、図示例では、制御装置20は、一つの駆動用タイムスロットにおいて一本の形状記憶合金ワイヤSAに駆動用電流が供給されるように駆動装置10を制御しているが、一つの駆動用タイムスロットにおいて複数本の形状記憶合金ワイヤSAに同時に駆動用電流が供給されるように駆動装置10を制御してもよい。一つの駆動用タイムスロットにおいて複数本の形状記憶合金ワイヤSAに同時に駆動用電流が供給されたとしても、駆動用タイムスロットと計測用タイムスロットとが分離されているため、制御装置20は、複数本の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれの抵抗値を正確に計測できるためである。具体的には、形状記憶合金ワイヤに駆動用電流を供給している間にその形状記憶合金ワイヤの抵抗値を計測する構成では、複数本の形状記憶合金ワイヤに同時に駆動用電流(計測用電流)を供給してしまうと、それら複数本の形状記憶合金ワイヤのそれぞれの抵抗値を正確に計測することができなくなってしまう。複数本の形状記憶合金ワイヤのそれぞれを流れる駆動用電流(計測用電流)の大きさが互いに影響を及ぼし合って不安定になってしまうためである。これに対し、駆動用タイムスロットと計測用タイムスロットとが分離されている構成では、このような問題が生じないためである。
【0127】
次に、図12A及び図12Bを参照し、形状記憶合金ワイヤSAを流れる駆動用電流及び計測用電流のタイミング関係の別の一例について説明する。図12Aは、第1導電路CD1(図9参照)の一部を構成する第1導電部材CM1、及び、第2導電路CD2(図9参照)の一部を構成する第2導電部材CM2の斜視図である。図12Bは、第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4のそれぞれを流れる駆動用電流及び計測用電流のタイミングチャートの別の一例であり、図11に対応している。具体的には、図12Bは、第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4のそれぞれに印加される電圧の時間的推移を示すことによって第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4のそれぞれを流れる駆動用電流及び計測用電流のタイミング関係を示している。なお、図12Aを参照する以下の説明は、第1導電部材CM1及び第2導電部材CM2のそれぞれを流れる電流に関するが、第3導電部材CM3及び第4導電部材CM4のそれぞれを流れる電流にも同様に適用される。また、図12A及び図12Bを参照する以下の説明は、第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4のそれぞれを流れる駆動用電流及び計測用電流のタイミング関係に関するが、第5ワイヤSA5~第8ワイヤSA8のそれぞれを流れる駆動用電流及び計測用電流のタイミング関係にも同様に適用される。
【0128】
図12Bに示す例では、制御装置20は、第1駆動用タイムスロットD1と第2駆動用タイムスロットD2とを組み合わせた期間中に第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2のそれぞれに駆動用電流が流れ、第3駆動用タイムスロットD3と第4駆動用タイムスロットD4とを組み合わせた期間中に第3ワイヤSA3及び第4ワイヤSA4のそれぞれに駆動用電流が流れるように駆動装置10を制御する。
【0129】
具体的には、制御装置20は、時刻t1から時刻tdまでの期間、すなわち、第1駆動用タイムスロットD1の継続時間よりも短い継続時間E11にわたって第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2のそれぞれに同時に駆動用電流が流れるように駆動装置10を制御している。
【0130】
より具体的には、制御装置20は、図10Aに示すように、高電位源11と第1導電路CD1と第1ワイヤSA1と共通導電路CD0と第2ワイヤSA2と第2導電路CD2とグラウンド(GND)とを電気的に直列に接続させて第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2に比較的大きな電流が同時に供給されるように駆動装置10を制御している。すなわち、制御装置20は、図12Aの矢印AR61で示すように、第1導電路CD1(第1導電部材CM1)の第1点PT1から第2点PT2に電流が流れ、同時に、図12Aの矢印AR62で示すように、第2導電路CD2(第2導電部材CM2)の第2点PT12から第1点PT11に電流が流れるように駆動装置10を制御している。以下では、このときの駆動装置10の動作モードは「第1モード」と称され、このときの撮像装置101の状態は「強駆動状態」と称される。また、この状態は、第1ワイヤSA1と第2ワイヤSA2とが同時に駆動されることから、「共通駆動状態」とも称される。
【0131】
この「強駆動状態」では、第1導電路CD1(第1導電部材CM1)を流れる電流の向き(矢印AR61で表される向き)と、第2導電路CD2(第2導電部材CM2)を流れる電流の向き(矢印AR62で表される向き)とが互いに逆向きとなる。そのため、第1導電路CD1(第1導電部材CM1)の周囲に形成される磁場と第2導電路CD2(第2導電部材CM2)の周囲に形成される磁場とは互いに相殺される。その結果、撮像素子の画質に悪影響を及ぼし得る正味の磁場(誘導磁場)は低減され或いは消失する。
【0132】
また、制御装置20は、「共通駆動状態」を実現する「第1モード」を駆動装置10に実行させることにより、「第1モード」を実行させない場合に比べ、パルス幅変調方式が採用されている場合の「PWM OFF期間」を長くできるという効果をもたらす。
【0133】
その後、制御装置20は、第1駆動用タイムスロットD1と第2駆動用タイムスロットD2とを組み合わせた期間の残りの期間中に第1ワイヤSA1又は第2ワイヤSA2の何れか一方のみに駆動用電流が流れ、第3駆動用タイムスロットD3と第4駆動用タイムスロットD4とを組み合わせた期間の残りの期間中に第3ワイヤSA3又は第4ワイヤSA4の何れか一方のみに駆動用電流が流れるように駆動装置10を制御する。
【0134】
図12Bに示す例では、制御装置20は、時刻tdから時刻teまでの期間、すなわち、第1駆動用タイムスロットD1の継続時間よりも短い継続時間E12にわたって第1ワイヤSA1のみに駆動用電流が流れるように駆動装置10を制御している。
【0135】
より具体的には、制御装置20は、図10Bに示すように、低電位源12と第1導電路CD1と第1ワイヤSA1と共通導電路CD0とグラウンド(GND)とを電気的に直列に接続させて第1ワイヤSA1に比較的小さな電流が供給されるように駆動装置10を制御している。すなわち、制御装置20は、図12Aの矢印AR61で示すように、第1導電路CD1(第1導電部材CM1)の第1点PT1から第2点PT2に電流が流れ、且つ、第2導電路CD2(第2導電部材CM2)には電流が流れないように駆動装置10を制御している。以下では、このときの駆動装置10の動作モードは「第2モード」と称され、このときの撮像装置101の状態は「弱駆動状態」又は「第1弱駆動状態」と称される。
【0136】
図12Bに示す例では、第1駆動サイクルの「強駆動状態」において第1ワイヤSA1に供給される電力量と第1駆動サイクルの「第1弱駆動状態」において第1ワイヤSA1に供給される電力量との合計は、第1駆動用タイムスロットD1の継続時間にわたって高電位源11と第1ワイヤSA1とが接続された場合に第1ワイヤSA1に供給される電力量に相当する。なお、図12Bは、仮に第1駆動用タイムスロットD1の継続時間にわたって高電位源11と第1ワイヤSA1とが接続されていた場合の電圧波形を点線で示している。
【0137】
また、「第1弱駆動状態」では、「強駆動状態」のときに比べ、第1導電路CD1(第1導電部材CM1)を流れる電流の大きさが小さくなるため、第1導電路CD1(第1導電部材CM1)の周囲に形成される磁場の大きさも低減される。その結果、第2導電路CD2(第2導電部材CM2)に電流が供給されておらず、第1導電路CD1(第1導電部材CM1)の周囲に形成される磁場を相殺するような磁場が形成されていない場合であっても、第1導電路CD1(第1導電部材CM1)を流れる電流の大きさが小さくなった分だけ、撮像素子の画質に悪影響を及ぼし得る磁場(誘導磁場)は低減される。
【0138】
また、制御装置20は、第1駆動用タイムスロットD1と第2駆動用タイムスロットD2とを組み合わせた期間の残りの期間中に、すなわち、第1駆動用タイムスロットD1と第2駆動用タイムスロットD2とを組み合わせた期間中において駆動装置10に「第1モード」を実行させた後で、第2ワイヤSA2のみに駆動用電流が流れるように駆動装置10を制御してもよい。
【0139】
より具体的には、制御装置20は、図10Cに示すように、低電位源12と第2導電路CD2と第2ワイヤSA2と共通導電路CD0とグラウンド(GND)とを電気的に直列に接続させて第2ワイヤSA2に比較的小さな電流が供給されるように駆動装置10を制御してもよい。すなわち、制御装置20は、第2導電路CD2(第2導電部材CM2)の第1点PT11から第2点PT12に電流が流れ、且つ、第1導電路CD1(第1導電部材CM1)に電流が流れないように駆動装置10を制御してもよい。以下では、このときの駆動装置10の動作モードは「第3モード」と称され、このときの撮像装置101の状態は「弱駆動状態」又は「第2弱駆動状態」と称される。
【0140】
また、制御装置20は、第1駆動用タイムスロットD1と第2駆動用タイムスロットD2とを組み合わせた期間中において、「第1モード」と「第2モード」とを駆動装置10に実行させた後で、「第3モード」を実行させるように駆動装置10を制御してもよい。例えば、制御装置20は、時刻tfから時刻tgまでの期間、すなわち、第2駆動用タイムスロットD2の継続時間よりも短い継続時間E13にわたって第2ワイヤSA2のみに駆動用電流が流れるように駆動装置10を制御してもよい。例えば、第2ワイヤSA2に供給される電力量の微調整のためである。なお、図12Bは、仮に時刻tfから時刻tgまでの期間にわたって低電位源12と第2ワイヤSA2とが接続されていた場合の電圧波形を点線で示している。
【0141】
なお、駆動装置10に「第2モード」又は「第3モード」を実行させるときの撮像装置101の状態は、第1ワイヤSA1又は第2ワイヤSA2が個別に駆動されることから、「個別駆動状態」とも称される。
【0142】
制御装置20は、「第1モード」と「第2モード」又は「第3モード」とを組み合わせた複合モードを駆動装置10に実行させることにより、四本の形状記憶合金ワイヤSA(第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4)のそれぞれに所望の電力量を供給できる。第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2に関する「第1モード」は、第1ワイヤSA1に供給すべき電力量と第2ワイヤSA2に供給すべき電力量とが大きいほど且つそれらの差が小さいほど有効となり得る。撮像素子の画質に対する悪影響を抑えながらも短時間で大きな電力量を第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2のそれぞれに供給できるためである。また、第1ワイヤSA1に供給すべき電力量と第2ワイヤSA2に供給すべき電力量との差が大きい程、「第2モード」又は「第3モード」が時間軸においてより支配的となるが、制御装置20は、「第2モード」又は「第3モード」の継続時間をできるだけ大きくすることにより、撮像素子の画質に対する悪影響を低減させることができる。第1導電路CD1(第1導電部材CM1)又は第2導電路CD2(第2導電部材CM2)を流れる電流を小さくでき、第1導電路CD1(第1導電部材CM1)又は第2導電路CD2(第2導電部材CM2)の周囲に形成される磁場を低減させることができるためである。
【0143】
なお、図示例では、制御装置20は、「第2モード」を駆動装置10に実行させる際には、図10Bに示すように、固定された電位を有する低電位源12と第1ワイヤSA1とが接続されるように駆動装置10を制御している。しかしながら、制御装置20は、「第2モード」を駆動装置10に実行させる際に、調整可能な電位を有する可変電位源と第1ワイヤSA1とが接続されるように構成されていてもよい。この場合、制御装置20は、可変電位源の電位を低電位源12の電位よりも小さくしながら継続時間E12を継続時間E12aまで長くすることにより、低電位源12と第1ワイヤSA1とが接続されたときに第1ワイヤSA1に供給される電力量と同じ大きさの電力量が第1ワイヤSA1に供給されるように駆動装置10を制御してもよい。すなわち、制御装置20は、可変電位源の電位をできるだけ低くするために、継続時間E12aをできるだけ長くしてもよい。なお、図12Bは、仮に継続時間E12aにわたって可変電位源と第1ワイヤSA1とが接続されていた場合の電圧波形を点線で示している。このときの撮像装置101の状態は「可変弱駆動状態」と称される。この「可変弱駆動状態」では、「第1弱駆動状態」のときに比べ、第1導電路CD1(第1導電部材CM1)を流れる電流の大きさが小さくなるため、第1導電路CD1(第1導電部材CM1)の周囲に形成される磁場の大きさが更に低減される。「第3モード」を駆動装置10に実行させる場合においても同様である。
【0144】
なお、可変電位源の電位の大きさの変更は、望ましくは、計測サイクルの周期に対して十分に長い変更周期となるように行われる。図12Bに示す例では、その変更は、計測サイクルに同期して行われる。例えば、その変更は、第1駆動サイクル、第2駆動サイクル、第3駆動サイクル、及び第4駆動サイクルで構成される一回の計測サイクルが実行されて四本の形状記憶合金ワイヤSA(第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4)のそれぞれの抵抗値が取得される度に行われてもよい。この場合、その変更は、第4計測用タイムスロットM4の期間中に行われてもよい。
【0145】
次に、図13を参照し、駆動装置10の別の構成例について説明する。図13は、駆動装置10の別の構成例を示す図である。なお、図13を参照する以下の説明は、第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4のそれぞれを駆動できるように構成された第1駆動装置10Aに関するが、第5ワイヤSA5~第8ワイヤSA8のそれぞれを駆動できるように構成された第2駆動装置10Bにも同様に適用される。また、図13では、明瞭化のため、第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4のそれぞれの抵抗値を推定するための能動素子等の構成の図示が省略されているが、実際にはそのような構成が接続されている。
【0146】
図13に示す第1駆動装置10Aは、五つの能動素子AE(第10能動素子AE10~第14能動素子AE14)を含む点で、図9に示す第1駆動装置10Aと異なる。
【0147】
第10能動素子AE10は、第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4のそれぞれの他端に接続される共通導電路CD0と低電位源(LOW)及びグラウンド(GND)の何れか一方との接続を制御するスイッチング素子である。
【0148】
第11能動素子AE11は、第1ワイヤSA1の一端に接続される第1導電路CD1と高電位源(HIGH)及び低電位源(LOW)の何れか一方との接続を制御するスイッチング素子である。
【0149】
第12能動素子AE12は、第2ワイヤSA2の一端に接続される第2導電路CD2とグラウンド(GND)との接続を制御するスイッチング素子である。
【0150】
第13能動素子AE13は、第3ワイヤSA3の一端に接続される第3導電路CD3と高電位源(HIGH)及び低電位源(LOW)の何れか一方との接続を制御するスイッチング素子である。
【0151】
第14能動素子AE14は、第4ワイヤSA4の一端に接続される第4導電路CD4とグラウンド(GND)との接続を制御するスイッチング素子である。
【0152】
制御装置20は、高電位源(HIGH)、第1導電路CD1、第1ワイヤSA1、共通導電路CD0、第2ワイヤSA2、及びグラウンド(GND)が電気的に直列に接続されるように第11能動素子AE11及び第12能動素子AE12を制御することにより、第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2に同時に比較的大きい電流を供給できる。また、制御装置20は、低電位源(LOW)、第1導電路CD1、第1ワイヤSA1、共通導電路CD0、及びグラウンド(GND)が電気的に直列に接続されるように第10能動素子AE10及び第11能動素子AE11を制御することにより、第1ワイヤSA1のみに比較的小さい電流を供給できる。また、制御装置20は、低電位源(LOW)、共通導電路CD0、第2ワイヤSA2、第2導電路CD2、及びグラウンド(GND)が電気的に直列に接続されるように第10能動素子AE10及び第12能動素子AE12を制御することにより、第2ワイヤSA2のみに比較的小さい電流を供給できる。
【0153】
同様に、制御装置20は、高電位源(HIGH)、第3導電路CD3、第3ワイヤSA3、共通導電路CD0、第4ワイヤSA4、及びグラウンド(GND)が電気的に直列に接続されるように第13能動素子AE13及び第14能動素子AE14を制御することにより、第3ワイヤSA3及び第4ワイヤSA4に同時に比較的大きい電流を供給できる。また、制御装置20は、低電位源(LOW)、第3導電路CD3、第3ワイヤSA3、共通導電路CD0、及びグラウンド(GND)が電気的に直列に接続されるように第10能動素子AE10及び第13能動素子AE13を制御することにより、第3ワイヤSA3のみに比較的小さい電流を供給できる。また、制御装置20は、低電位源(LOW)、共通導電路CD0、第4ワイヤSA4、第4導電路CD4、及びグラウンド(GND)が電気的に直列に接続されるように第10能動素子AE10及び第14能動素子AE14を制御することにより、第4ワイヤSA4のみに比較的小さい電流を供給できる。
【0154】
また、図13に示す例では、高電位源(HIGH)は、電位が固定されているが、制御装置20からの制御信号に応じて電位が動的に変化するように構成されていてもよい。反対に、低電位源(LOW)は、制御装置20からの制御信号に応じて電位が動的に変化するように構成されているが、電位が固定されていてもよい。
【0155】
或いは、図13に示す駆動装置10は、第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4のそれぞれの他端が接続されている共通導電路CD0を3V等の電位を有する電位源に接続した状態で第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4のそれぞれの一端をNチャネル型トランジスタ等の能動素子を介してグラウンド(GND)に選択的に接続できるように構成されていてもよい。
【0156】
これらのような構成を有する場合であっても、駆動装置10は、「第1モード」と「第2モード」又は「第3モード」とを組み合わせた複合モードを実行できる。また、駆動装置10は、駆動用電流が供給されるタイミングとは異なるタイミングで、八本の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれに計測用電流を供給できる。
【0157】
上述のように、本発明の実施形態に係る撮像装置101は、図2に示すように、固定基台としてのベース部材18を含む固定側部材FBと、レンズ体を保持可能なレンズホルダ2を含み、固定側部材FBに対して移動可能に設けられる可動側部材MBと、一端が固定側部材FBに固定されるとともに他端が可動側部材MBに固定されて可動側部材MBを移動させることができる複数の形状記憶合金ワイヤSAと、複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれに駆動用電流を供給して複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれを駆動可能な駆動装置10(図9参照)と、複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれの抵抗値を取得して駆動装置10を制御可能な制御装置20(図9参照)と、を備えている。そして、制御装置20は、駆動用電流が供給されるタイミングとは異なるタイミングで、複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれに計測用電流が供給されるように駆動装置10を制御して複数の形状記憶合金ワイヤSAの抵抗値(計測抵抗値)を取得するように構成されている。
【0158】
なお、制御装置20は、レンズホルダ2(レンズ体)の所望の姿勢に対応する八本の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれの目標長さ(目標抵抗値)を設定できるように構成されている。そして、制御装置20は、八本の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれの計測抵抗値と目標抵抗値との差がゼロに近づくように駆動装置10を制御することにより、レンズホルダ2(レンズ体)の所望の姿勢を実現できるように構成されている。また、制御装置20は、特定の一本の形状記憶合金ワイヤSAに供給される電力量を増大させることによってその特定の一本の形状記憶合金ワイヤSAを収縮させてその計測抵抗値を低減させることができる。
【0159】
この構成は、形状記憶合金ワイヤSAの長さをより正確に推定できるという効果をもたらす。この構成では、駆動用電流の供給が継続される時間とは無関係に計測用電流の供給が継続される時間が設定されるためである。すなわち、この構成では、計測用電流の供給が継続される時間が必要十分な長さに設定されるためである。
【0160】
また、この構成は、形状記憶合金ワイヤSAの抵抗値を導き出すために形状記憶合金ワイヤSAの両端の電圧を検出するためのADコンバータを備える場合、そのADコンバータの動作速度を低めに設定できる、すなわち、比較的安価なADコンバータを利用できるようにするという効果をもたらす。この構成では、駆動用電流を供給するタイミングとは異なるタイミングで計測用電流が形状記憶合金ワイヤSAに供給されるため、すなわち、計測用電流の供給が継続される時間が比較的自由に設定されるためである。
【0161】
また、制御装置20は、複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれに互いに異なるタイミングで駆動用電流を供給するように駆動装置10を制御してもよい。
【0162】
この構成は、複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれの伸縮をより正確に制御できるという効果をもたらす。この構成は、特定の形状記憶合金ワイヤSAに供給されるべき駆動用電流の一部が別の形状記憶合金ワイヤSAに供給されてしまうのを防止できるためである。
【0163】
また、制御装置20は、複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれに互いに異なるタイミングで計測用電流を供給するように駆動装置10を制御してもよい。
【0164】
この構成は、複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれの抵抗値をより正確に取得できるようになるという効果をもたらす。この構成は、特定の形状記憶合金ワイヤSAに供給されるべき計測用電流の一部が別の形状記憶合金ワイヤSAに供給されてしまうのを防止できるためである。
【0165】
また、制御装置20は、複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれに対して駆動用電流を継続的に供給する時間の最小値が、複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれに対して計測用電流を継続的に供給する時間よりも短くなるように駆動装置10を制御してもよい。換言すれば、制御装置20は、複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれに対して計測用電流を継続的に供給する時間が、複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれに対して駆動用電流を継続的に供給する時間よりも長くなるように駆動装置10を制御してもよい。
【0166】
この構成は、駆動用電流の供給が継続される時間をより柔軟に調整できるようになるという効果をもたらす。この構成は、駆動用電流の供給が継続される時間を、計測用電流の供給が継続される時間よりも短くできるためである。なお、駆動用電流の供給が継続される時間を短くできることは、一回の駆動サイクル(駆動用タイムスロット)において特定の一本の形状記憶合金ワイヤSAに供給される電力量を小さくできること、すなわち、形状記憶合金ワイヤSAを僅かに加熱して形状記憶合金ワイヤSAを僅かに収縮させることができるようになることを意味する。
【0167】
また、制御装置20は、計測用電流の大きさが駆動用電流の大きさよりも小さくなるように駆動装置10を制御してもよい。
【0168】
この構成は、計測用電流による形状記憶合金ワイヤSAの駆動に対する影響を軽減できるという効果をもたらす。
【0169】
また、制御装置20は、一回の駆動サイクルにおいて、複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれに一回ずつ駆動用電流を供給し、且つ、複数の形状記憶合金ワイヤSAの何れか一つに計測用電流を供給するように駆動装置10を制御してもよい。そして、制御装置20は、駆動サイクルを複数回繰り返すことによって複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれに計測用電流を供給するように駆動装置10を制御してもよい。
【0170】
この構成は、レンズホルダ2(レンズ体)をより滑らかに駆動できるようになるという効果をもたらす。比較的短い間隔で複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれに駆動用電流を供給できるためである。また、複数の形状記憶合金ワイヤSAのうちの一つに駆動用電流を供給できない期間が過度に長くなってしまうのを抑制できるためである。
【0171】
また、制御装置20は、複数の形状記憶合金ワイヤSAの本数と同じ回数だけ駆動サイクルを繰り返すことによって複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれに計測用電流を供給するように駆動装置10を制御してもよい。
【0172】
この構成は、制御応答速度の低下を抑制し、レンズホルダ2(レンズ体)をより滑らかに駆動できるようになるという効果をもたらす。比較的短い間隔で複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれに計測用電流を供給できるためである。また、複数の形状記憶合金ワイヤSAのうちの一つに計測用電流を供給できない期間が過度に長くなってしまうのを抑制できるためである。
【0173】
また、駆動装置10は、四本の前記形状記憶合金ワイヤ(第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4)のそれぞれに駆動用電流を供給して四本の形状記憶合金ワイヤ(第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4)のそれぞれを駆動可能な第1駆動装置10Aと、別の四本の形状記憶合金ワイヤ(第5ワイヤSA5~第8ワイヤSA8)のそれぞれに駆動用電流を供給して別の四本の形状記憶合金ワイヤ(第5ワイヤSA5~第8ワイヤSA8)のそれぞれを駆動可能な第2駆動装置10Bと、を含んでいてもよい。
【0174】
この構成は、一回の駆動サイクルに要する時間を短縮できるという効果をもたらす。すなわち、この構成は、制御応答速度の低下を抑制できるという効果をもたらす。また、この構成は、八本の形状記憶合金ワイヤ(第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8)のそれぞれに駆動用電流を供給して八本の形状記憶合金ワイヤ(第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8)のそれぞれを駆動する一つの駆動装置を備える場合に比べ、一回の駆動サイクルに要する時間を増大させることなく、計測用タイムスロットの継続時間を長くすることができるという効果をもたらす。そのため、この構成は、計測用タイムスロットの継続時間を長くするために、形状記憶合金ワイヤSAに駆動用電流を供給する際の印加電圧を高くする必要はない。その結果、この構成は、印加電圧を高くすることによって引き起こされるノイズによる画像への影響を抑制できる。
【0175】
また、本発明の実施形態に係る撮像装置101は、図2に示すように、固定基台としてのベース部材18を含む固定側部材FBと、撮像素子に対向するようにレンズ体を保持可能なレンズホルダ2を含む、固定側部材FBに対して移動可能な可動側部材MBと、一端が固定側部材FBに固定されるとともに他端が可動側部材MBに固定される第1形状記憶合金ワイヤとしての第1ワイヤSA1と、一端が固定側部材FBに固定されるとともに他端が可動側部材MBに固定される第2形状記憶合金ワイヤとしての第2ワイヤSA2と、ベース部材18に設けられて第1ワイヤSA1の一端に接続される第1導電路CD1(図9参照)と、ベース部材18に設けられて第2ワイヤSA2の一端に接続される第2導電路CD2(図9参照)と、第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2のそれぞれの他端に接続される共通導電路CD0(図9参照)と、第1導電路CD1、第2導電路CD2、及び共通導電路CD0のそれぞれに電気的に接続できるように構成され、第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2のそれぞれに電流を供給して第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2のそれぞれを駆動可能な駆動装置10(図9参照)と、を備えている。そして、図12Aに示すように、第1導電路CD1(第1導電部材CM1)上の第1点PT1と第2点PT2とを繋ぐ部分、及び、第2導電路CD2(第2導電部材CM2)上の第1点PT11と第2点PT12とを繋ぐ部分は、ベース部材18において互いに並行するように設置されている。また、第1導電路CD1(第1導電部材CM1)上の第1点PT1は、第2導電路CD2(第2導電部材CM2)上の第1点PT11に並設されており、第1導電路CD1(第1導電部材CM1)上の第2点PT2は、第2導電路CD2(第2導電部材CM2)上の第2点PT12に並設されている。そして、駆動装置10は、図10Aに示すように、第1導電路CD1と第1ワイヤSA1と共通導電路CD0と第2ワイヤSA2と第2導電路CD2とを電気的に直列に接続させて第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2に電流を供給して、図12Aの矢印AR61で示すように、第1導電路CD1(第1導電部材CM1)の第1点PT1から第2点PT2に電流が流れ、且つ、図12Aの矢印AR62で示すように、第2導電路CD2(第2導電部材CM2)の第2点PT12から第1点PT11に電流が流れるようにする第1モードと、図10Bに示すように、第1導電路CD1と第1ワイヤSA1と共通導電路CD0とを電気的に直列に接続させて第1ワイヤSA1に電流を供給して第1導電路CD1(第1導電部材CM1)に電流が流れるようにする第2モードと、図10Cに示すように、第2導電路CD2と第2ワイヤSA2と共通導電路CD0とを電気的に直列に接続させて第2ワイヤSA2に電流を供給して第2導電路CD2(第2導電部材CM2)に電流が流れるようにする第3モードと、を切り換えできるように構成されている。そして、撮像装置101は、第1モードと第2モード又は第3モードとを組み合わせて実行できるように構成されている。
【0176】
この構成は、形状記憶合金ワイヤSAに電流を供給するための導電路の周囲に形成される磁場の大きさを低減できるという効果をもたらす。そのため、この構成は、導電路の周囲に形成される磁場に起因する撮像素子に対するノイズを低減できるという効果をもたらす。
【0177】
第1導電路CD1を流れる電流によって形成される磁場は、第2導電路CD2を流れる電流によって形成される磁場によって相殺されるためである。具体的には、駆動装置10は、第1モードにおいて、図12Aに示すように互いに並行するように設置された第1導電路CD1(第1導電部材CM1)及び第2導電路CD2(第2導電部材CM2)のそれぞれで互いに逆向きに電流が流れるように構成されているためであり、第1導電路CD1(第1導電部材CM1)を流れる電流の大きさは、第2導電路CD2(第2導電部材CM2)を流れる電流の大きさと同じであるためである。
【0178】
また、駆動装置10は、第1モードと第2モード又は第3モードとを組み合わせた複合モードを実行するように構成されているため、第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2のそれぞれに所望の電力量を正確に供給することができる。なお、第1モードと第2モード又は第3モードとの組み合わせは、第1モードと第2モードとの組み合わせ、第1モードと第3モードとの組み合わせ、又は、第1モードと第2モードと第3モードとの組み合わせである。また、第1モードと第2モード又は第3モードとを組み合わせた複合モードでは、何れの動作モードが最初に実行されてもよく、各動作モードが連続的に実行されてもよく、各動作モードの間に計測用タイムスロット又はPWM OFF期間が挿入されてもよい。また、第1モードと第2モード又は第3モードとを組み合わせた複合モードは、一回又は複数回の駆動サイクルの期間中に実行されてもよく、一回又は複数回の計測サイクルの期間中に実行されてもよい。
【0179】
また、駆動装置10は、第1モードで流れる電流の大きさが、第2モード及び第3モードのそれぞれで流れる電流の大きさよりも大きくなるように構成されていてもよい。
【0180】
この構成は、撮像素子の画質に悪影響を及ぼし得る磁場(誘導磁場)を更に低減させることができるという効果をもたらす。第1モードでは、第1導電路CD1(第1導電部材CM1)を流れる電流によって形成される磁場と第2導電路CD2(第2導電部材CM2)を流れる電流によって形成される磁場とが互いに相殺し合うためである。また、第1ワイヤSA1に所望の電力量を供給する際には、第1モードで流れる電流の大きさを大きくするほど、第1モードの後に実行される第2モードで流れる電流の大きさを小さくできるためであり、第2モードで流れる電流の大きさが小さいほど、第2モードにおいて第1導電路CD1(第1導電部材CM1)を流れる電流によって形成される磁場も小さくなるためである。同様に、第2ワイヤSA2に所望の電力量を供給する際には、第1モードで流れる電流の大きさを大きくするほど、第1モードの後に実行される第3モードで流れる電流の大きさを小さくできるためであり、第3モードで流れる電流の大きさが小さいほど、第3モードにおいて第2導電路CD2(第2導電部材CM2)を流れる電流によって形成される磁場も小さくなるためである。
【0181】
また、第1導電路CD1(第1導電部材CM1)上の第1点PT1と第2点PT2とを繋ぐ部分と第2導電路CD2(第2導電部材CM2)上の第1点PT11と第2点PT12とを繋ぐ部分とはベース部材18に埋設されていてもよい。
【0182】
この構成は、撮像素子の画質に悪影響を及ぼし得る磁場(誘導磁場)を更に低減させることができるという効果をもたらす。第1導電部材CM1のうちのベース部材18に埋設された部分の周囲に形成される磁場、及び、第2導電部材CM2のうちのベース部材18に埋設された部分の周囲に形成される磁場のそれぞれの撮像素子への伝播は、少なくとも部分的にはベース部材18によって抑えられるためである。
【0183】
また、第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2は、図4Bに示すように、光軸方向(Z軸方向)に沿って見た平面視において並ぶように配置されていてもよい。また、第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2は、図4Aに示すように、第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2のそれぞれの延在方向(X軸方向)に垂直で且つ光軸方向(Z軸方向)に垂直な方向(Y軸方向)に沿って見た側面視において、互いに交差するように配置されていてもよい。
【0184】
この構成は、撮像素子の画質に悪影響を及ぼし得る正味の磁場(誘導磁場)を更に低減させることができるという効果をもたらす。第1モードにおいて第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2のそれぞれに同時に電流が供給される状態(図7Aに示す状態)では、第1ワイヤSA1の周囲に形成される誘導磁場と第2ワイヤSA2の周囲に形成される誘導磁場とが互いに相殺し合うためである。
【0185】
また、ベース部材18は、図5に示すように、光軸方向(Z軸方向)に沿って見た平面視において、第1辺部18E1、第2辺部18E2、第3辺部18E3、及び第4辺部18E4を有する矩形枠の形状を有していてもよい。そして、図12Aに示すように、第1導電路CD1(図9参照)は、第1端子部TM1を含んでいてもよく、第2導電路CD2(図9参照)は、第2端子部TM2を含んでいてもよい。また、第1端子部TM1と第2端子部TM2とは、第1辺部18E1、第2辺部18E2、第3辺部18E3、及び第4辺部18E4のうちの一つである第3辺部18E3に配設されていてもよい。この場合、第1導電路CD1(第1導電部材CM1)上の第1点PT1と第2点PT2とを繋ぐ部分、及び、第2導電路CD2(第2導電部材CM2)上の第1点PT11と第2点PT12とを繋ぐ部分は、第1辺部18E1、第2辺部18E2、第3辺部18E3、及び第4辺部18E4のうちの別の一つである第2辺部18E2に沿って並行するように配置されていてもよい。
【0186】
この構成は、撮像素子の実装が容易になるという効果をもたらす。撮像素子に接続されるフレキシブルプリント基板等をベース部材18の第2辺部18E2の下に配置できるようになるためである。
【0187】
また、本発明の実施形態に係る撮像装置101の制御方法は、駆動用電流が供給されるタイミングとは異なるタイミングで、複数の形状記憶合金ワイヤSAのそれぞれに計測用電流が供給されるように制御装置20が駆動装置10を制御して複数の形状記憶合金ワイヤSAの抵抗値を制御装置20が取得するステップを有する。
【0188】
この制御方法により、撮像装置101は、形状記憶合金ワイヤSAの長さをより正確に推定できる。この制御方法では、駆動用電流の供給が継続される時間とは無関係に計測用電流の供給が継続される時間が設定されるためである。すなわち、この制御方法では、計測用電流の供給が継続される時間が必要十分な長さに設定されるためである。
【0189】
また、本発明の実施形態に係る撮像装置101の制御方法は、図10Aに示すように、第1導電路CD1と第1ワイヤSA1と共通導電路CD0と第2ワイヤSA2と第2導電路CD2とを電気的に直列に接続させて第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2に電流を供給し、図12Aに示すように、第1導電路CD1(第1導電部材CM1)の第1点PT1から第2点PT2に電流が流れ且つ第2導電路CD2(第2導電部材CM2)の第2点PT12から第1点PT11に電流が流れるようにする第1モードと、図10Bに示すように、第1導電路CD1と第1ワイヤSA1と共通導電路CD0とを電気的に直列に接続させて第1ワイヤSA1に電流を供給して第1導電路CD1に電流が流れるようにする第2モード、又は、図10Cに示すように、第2導電路CD2と第2ワイヤSA2と共通導電路CD0とを電気的に直列に接続させて第2ワイヤSA2に電流を供給して第2導電路CD2に電流が流れるようにする第3モードと、を組み合わせた複合モードを駆動装置10に実行させるステップを有する。
【0190】
この制御方法により、撮像装置101は、形状記憶合金ワイヤSAに電流を供給するための導電路の周囲に形成される磁場の大きさを低減できる。そのため、撮像装置101は、導電路の周囲に形成される磁場に起因する撮像素子に対するノイズを低減できる。
【0191】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形及び置換等が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0192】
2・・・レンズホルダ 2D・・・可動側台座部 2D1・・・第1可動側台座部 2D2・・・第2可動側台座部 2P・・・筒状部 2S・・・突設部 2S1・・・第1突設部 2S2・・・第2突設部 2T・・・突出部 2V・・・突起部 4・・・カバー部材 4A・・・外周壁部 4A1・・・第1側板部 4A2・・・第2側板部 4A3・・・第3側板部 4A4・・・第4側板部 4B・・・天板部 4K・・・開口 4S・・・収納部 5・・・金属部材 5F・・・固定側金属部材 5F1・・・第1固定側ターミナルプレート 5F2・・・第2固定側ターミナルプレート 5F3・・・第3固定側ターミナルプレート 5F4・・・第4固定側ターミナルプレート 5F5・・・第5固定側ターミナルプレート 5F6・・・第6固定側ターミナルプレート 5F7・・・第7固定側ターミナルプレート 5F8・・・第8固定側ターミナルプレート 5M・・・可動側金属部材 5M1・・・第1可動側ターミナルプレート 5M2・・・第2可動側ターミナルプレート 5M3・・・第3可動側ターミナルプレート 5M4・・・第4可動側ターミナルプレート 6・・・板ばね 6A・・・第1板ばね 6A1・・・第1部分 6A2・・・第2部分 6A3・・・第3部分 6A4・・・第4部分 6A5・・・第5部分 6AH1・・・第1貫通孔 6AH2・・・第2貫通孔 6AH3・・・第3貫通孔 6AH4・・・第4貫通孔 6AH5・・・第5貫通孔 6AH6・・・第6貫通孔 6B・・・第2板ばね 6B1・・・第1部分 6B2・・・第2部分 6B3・・・第3部分 6B4・・・第4部分 6B5・・・第5部分 6BH1・・・第1貫通孔 6BH2・・・第2貫通孔 6BH3・・・第3貫通孔 6BH4・・・第4貫通孔 6BH5・・・第5貫通孔 6BH6・・・第6貫通孔 10・・・駆動装置 10A・・・第1駆動装置10A 10B・・・第2駆動装置 11・・・高電位源 12・・・低電位源 13・・・定電流源 18・・・ベース部材 18D・・・固定側台座部 18D1・・・第1固定側台座部 18D2・・・第2固定側台座部 18E・・・辺部 18E1・・・第1辺部 18E2・・・第2辺部 18E3・・・第3辺部 18E4・・・第4辺部 18K・・・開口 18T・・・突出部 18V・・・突起部 101・・・撮像装置 AE・・・能動素子 AE1・・・第1能動素子 AE2・・・第2能動素子 AE3・・・第3能動素子 AE4・・・第4能動素子 AE5・・・第5能動素子 AE6・・・第6能動素子 AE10・・・第10能動素子 AE11・・・第11能動素子 AE12・・・第12能動素子 AE13・・・第13能動素子 AE14・・・第14能動素子 AH・・・矩形孔 CD0・・・共通導電路 CD1・・・第1導電路 CD2・・・第2導電路 CD3・・・第3導電路 CD4・・・第4導電路 CM・・・導電部材 CM1・・・第1導電部材 CM2・・・第2導電部材 CM3・・・第3導電部材 CM4・・・第4導電部材 CM5・・・第5導電部材 CM6・・・第6導電部材 CP5・・・第5接合面部 CP6・・・第6接合面部 CT1・・・第1接触部 CT2・・・第2接触部 CT3・・・第3接触部 CT4・・・第4接触部 CT5・・・第5接触部 CT6・・・第6接触部 CT7・・・第7接触部 CT8・・・第8接触部 CT9・・・第9接触部 CT10・・・第10接触部 CT11・・・第11接触部 CT12・・・第12接触部 ED1・・・第1接続部 ED2・・・第2接続部 ED3・・・第3接続部 ED4・・・第4接続部 FB・・・固定側部材 J1~J4・・・保持部 OA・・・光軸 MB・・・可動側部材 FB・・・固定側部材 MP1・・・第1計測点 MP2・・・第2計測点 PT1、PT11・・・第1点 PT2、PT12・・・第2点 RH・・・貫通孔 SA・・・形状記憶合金ワイヤ SA1・・・第1ワイヤ SA2・・・第2ワイヤ SA3・・・第3ワイヤ SA4・・・第4ワイヤ SA5・・・第5ワイヤ SA6・・・第6ワイヤ SA7・・・第7ワイヤ SA8・・・第8ワイヤ SD・・・接合材 TM1・・・第1端子部 TM2・・・第2端子部 TM3・・・第3端子部 TM4・・・第4端子部 TM5・・・第5端子部 TM6・・・第6端子部
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12A
図12B
図13