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特開2023-104406コンテナ冷却システム及びコンテナ冷却方法
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  • 特開-コンテナ冷却システム及びコンテナ冷却方法 図1
  • 特開-コンテナ冷却システム及びコンテナ冷却方法 図2
  • 特開-コンテナ冷却システム及びコンテナ冷却方法 図3
  • 特開-コンテナ冷却システム及びコンテナ冷却方法 図4
  • 特開-コンテナ冷却システム及びコンテナ冷却方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104406
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】コンテナ冷却システム及びコンテナ冷却方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 63/00 20060101AFI20230721BHJP
   F25D 1/02 20060101ALN20230721BHJP
【FI】
B65G63/00 E
F25D1/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005371
(22)【出願日】2022-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】517015579
【氏名又は名称】徳永 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100120226
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 知浩
(72)【発明者】
【氏名】徳永 一雄
【テーマコード(参考)】
3L044
【Fターム(参考)】
3L044BA06
3L044CA18
3L044DB01
3L044FA09
3L044KA04
(57)【要約】
【課題】コンテナから倉庫内及び工場内への熱の流入を防ぎ、コンテナ内及び建屋内での熱中症を防止できるコンテナ冷却システム及びコンテナ冷却方法を提供する。
【解決手段】トラックTに積載されたコンテナ20が庇構造部16又はピロティ構造部18に隠れる部位には小型スプリンクラー14Bからの散水により水がかけられ、トラックTに積載されたコンテナ20が庇構造部16又はピロティ構造部18からはみ出る部位には大型スプリンクラー14Aからの散水により水がかけられる。これにより、コンテナ20の表面温度を約55℃(散水直前の表面温度)から約32.5℃(散水直後の表面温度)まで低下させる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックに積載可能なコンテナの外部表面に散水して前記コンテナを冷却する散水器を有する、コンテナ冷却システム。
【請求項2】
前記散水器は、トラックバース又はトラックヤードの建屋に設けられている、請求項1に記載のコンテナ冷却システム。
【請求項3】
前記散水器は、散水範囲の大きい第1のスプリンクラーと、前記第1のスプリンクラーの散水範囲よりも小さい第2のスプリンクラーと、を含む、請求項1又は2に記載のコンテナ冷却システム。
【請求項4】
散水器によりトラックに積載可能なコンテナの外部表面に散水して前記コンテナを冷却する、コンテナ冷却方法。
【請求項5】
トラックバース又はトラックヤードの建屋に設けられている散水器により、トラックに積載可能なコンテナの外部表面に散水して前記コンテナを冷却する、コンテナ冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ冷却システム及びコンテナ冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、熱中症の発生数が増加している。これに伴い、倉庫内及び工場内においても熱中症による緊急搬送の事例が目立ち、緊急の対策が求められている。倉庫内及び工場内においては、自動化で作動する機械類から発生する熱の他に、輸出入等で利用されているコンテナが持ち込む熱が原因のひとつに挙げられる。
【0003】
一般に使用されているコンテナは素材が鉄で形成されており蓄熱作用があることから、特に夏場で表面温度が約70℃、内部温度が約40℃を超える時があり、コンテナ内で作業する作業者の熱中症の原因になっている。また、コンテナ内の熱気が倉庫内及び工場内に入り込むことにより、建屋内の温度も上昇し広範囲において作業者の熱中症のリスクを高めている。その結果、空調設備等を導入して熱中症を回避するようにしているが、空調設備等の室外機から熱が発生するため、根本的な解決に至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3226837号公報
【特許文献2】実用新案登録第3209598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、コンテナはトラックに積載されて循環使用されている事情から、任意のコンテナを指定して断熱塗料を塗布することは現実問題として困難である。さらに、トラックが発着する場であるトラックバースやトラックヤードの建屋も様々な形状を有しており、冷却設備の設置において柔軟な対応が求められている。
【0006】
そこで、本発明においては、上記の様々な課題に鑑み、コンテナから倉庫内及び工場内への熱の流入を防ぎ、コンテナ内及び建屋内での熱中症を防止できるコンテナ冷却システム及びコンテナ冷却方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、トラックに積載可能なコンテナの外部表面に散水して前記コンテナを冷却する散水器を有する、コンテナ冷却システムである。
【0008】
この場合、前記散水器は、トラックバース又はトラックヤードの建屋に設けられていることが好ましい。
【0009】
この場合、前記散水器は、散水範囲の大きい第1のスプリンクラーと、前記第1のスプリンクラーの散水範囲よりも小さい第2のスプリンクラーと、を含むことが好ましい。
【0010】
第2の発明は、散水器によりトラックに積載可能なコンテナの外部表面に散水して前記コンテナを冷却するコンテナ冷却方法である。
【0011】
この場合、トラックバース又はトラックヤードの建屋に設けられている散水器により、トラックに積載可能なコンテナの外部表面に散水して前記コンテナを冷却することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、蓄熱したコンテナから倉庫内及び工場内への熱の流入を防ぎ、コンテナ内及び建屋内での熱中症を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るコンテナ冷却システムの斜視図である。
図2】本発明の庇構造を有する建屋に設置されたコンテナ冷却システムの側面図である。
図3】本発明のピロティ構造を有する建屋に設置されたコンテナ冷却システムの側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るコンテナ冷却システムの散水範囲を示した平面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るコンテナ冷却システムによるコンテナの冷却効果を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のコンテナ冷却システム及びコンテナ冷却方法について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
図1に示すように、コンテナ冷却システム10は、例えば、トラックTが発着する場であるトラックバース又はトラックヤードの建屋12に設置されている。コンテナ冷却システム10は、散水器14を有している。図2及び図3に示すように、庇構造部16又はピロティ構造部18等を備えた建屋12では、当該庇構造部16又はピロティ構造部18に散水器14が取り付けられていることが好ましい。
【0016】
なお、散水器14は、建屋12の当該庇構造部16又はピロティ構造部18に取り付けられた構成に限られるものではない。
【0017】
散水器14には、長距離及び広範囲に散水できる大型スプリンクラー14Aと、短距離及び狭範囲に散水できる小型スプリンクラー(マイクロスプリンクラー)14Bと、を有している。建屋12の庇構造部16又はピロティ構造部18のどちらの部位でも、大型スプリンクラー14A及び小型スプリンクラー14Bが設置可能となっている。
【0018】
本実施形態では、庇構造部16又はピロティ構造部18の先端部又は上面には大型スプリンクラー14Aが取り付けられ、庇構造部16又はピロティ構造部18の下面には小型スプリンクラー14Bが取り付けられている構成を例示する。
【0019】
なお、建屋12の庇構造部16又はピロティ構造部18の下面とは、コンテナ20の上面と対向する面をいう。
【0020】
このため、図4に示すように、トラックバース又はトラックヤードにトラックTが収容されたときに、トラックTに積載されたコンテナ20が庇構造部16又はピロティ構造部18に隠れる部位には小型スプリンクラー14Bからの散水により水がかけられ、トラックTに積載されたコンテナ20が庇構造部16又はピロティ構造部18からはみ出る部位には大型スプリンクラー14Aからの散水により水がかけられる。これにより、コンテナ20が急速に冷却され、その表面温度が急激に低下する。
【0021】
なお、建屋12の庇構造部16又はピロティ構造部18がトラックTに積載されたコンテナ20を覆い隠すような構造では、庇構造部16又はピロティ構造部18の下面部に小型スプリンクラー14Bのみが取り付けられてもよい。
【0022】
また、大型スプリンクラー14Aは、例えば、1バース毎の散水設定や、首振りによりコンテナ20の広範囲に散水する設定が可能である。
【0023】
また、建屋12に電源がある場合には、電磁弁を利用したスケジューラーにより散水時間を設定することが可能である。なお、建屋12に電源がない場合には、手動によるバルブ切替操作で散水時間を設定することが可能である。
【0024】
次に、本発明のコンテナ冷却システム及びコンテナ冷却方法の作用について説明する。
【0025】
図2乃至図4に示すように、トラックTに積載されたコンテナ20が建屋12の庇構造部16又はピロティ構造部18に隠れる部位には、小型スプリンクラー14Bからの散水により水がかけられる。また、トラックTに積載されたコンテナ20が庇構造部16又はピロティ構造部18からはみ出る部位には、大型スプリンクラー14Aからの散水により水がかけられる。
【0026】
これにより、コンテナ20のあらゆる部分に水がかけられ、コンテナ20が急激に冷やされる。例えば、図5に示すように、夏場において、コンテナ20の表面温度が約55℃(散水直前の表面温度)から約32.5℃(散水直後の表面温度)まで急速に低下することを確認できた。
【0027】
以上のように、本発明によれば、特に夏の暑い季節において、コンテナ20から倉庫内及び工場内への熱の流入を防止でき、コンテナ20内及び建屋12内での作業者の熱中症を防ぐことができる。
【0028】
なお、散水器14は、建屋12の庇構造部16又はピロティ構造部18に設置されている構成に限るものではない。例えば、ロボットや脚立などの構造物等を用意し、これらの構造物等に散水器14を設置してコンテナ20に対して散水してもよい。もちろん、作業者が散水器14を手で持ち、コンテナ20に向けて散水してもよい。
【0029】
散水器14によりコンテナ20の外表面に散水して表面温度を下げる技術思想は、これまでの従来技術には存在しなかった画期的かつ斬新な技術思想である。本発明により、コンテナという熱源に対する冷却対策が可能になり、作業者の熱中症の発生を大幅に抑制することができる。
【0030】
なお、上記説明したコンテナ冷却システム及びコンテナ冷却方法は、本発明の一形態を例示したものに過ぎず、当業者が容易に想到できる程度の変形等は、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0031】
10 コンテナ冷却システム
12 建屋
14 散水器
14A 大型スプリンクラー
14B 小型スプリンクラー
16 庇構造部
18 ピロティ構造部
20 コンテナ
図1
図2
図3
図4
図5