(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104412
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】開口部建材、開口部建材の製造方法
(51)【国際特許分類】
E06B 3/96 20060101AFI20230721BHJP
E06B 1/56 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
E06B3/96 B
E06B1/56 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005379
(22)【出願日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】松浦 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 寿志
【テーマコード(参考)】
2E011
2E035
【Fターム(参考)】
2E011JA01
2E011JA02
2E011KB03
2E011KC01
2E011KD14
2E035AA01
2E035AA02
2E035BA01
2E035CA01
2E035CB03
2E035DA07
2E035DB04
2E035DB08
2E035DC04
(57)【要約】
【課題】 開口部建材の施工性の改善。
【解決手段】 縦枠1a,1bと横枠2,3とを備え、横枠2,3は、長手方向端面にシーラー4を介して平板5を取付けて接合面6を形成してあり、縦枠1a,1bは、内周側面に平坦な接合面7を形成してあり、縦枠1a,1bと横枠2,3の接合面6,7同士を接着することで縦枠1a,1bと横枠2,3を連結してある。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦枠と横枠とを備え、横枠は、長手方向端面にシーラーを介して平板を取付けて接合面を形成してあり、縦枠は、内周側面に平坦な接合面を形成してあり、縦枠と横枠の接合面同士を接着することで縦枠と横枠を連結してあることを特徴とする開口部建材。
【請求項2】
横枠の長手方向端面にシーラーを介して平板を取付けて接合面を形成し、縦枠の内周側面に平坦な接合面を形成し、縦枠と横枠の接合面同士を接着して縦枠と横枠を連結することを特徴とする開口部建材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部建材と、開口部建材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、縦枠と横枠とを矩形に枠組みし、それを躯体開口部に取付けてなる開口部建材が知られている。かかる開口部建材においては、施工性の改善が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、開口部建材の施工性の改善を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による開口部建材は、縦枠と横枠とを備え、横枠は、長手方向端面にシーラーを介して平板を取付けて接合面を形成してあり、縦枠は、内周側面に平坦な接合面を形成してあり、縦枠と横枠の接合面同士を接着することで縦枠と横枠を連結してあることを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明による開口部建材の製造方法は、横枠の長手方向端面にシーラーを介して平板を取付けて接合面を形成し、縦枠の内周側面に平坦な接合面を形成し、縦枠と横枠の接合面同士を接着して縦枠と横枠を連結することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明による開口部建材は、縦枠と横枠とを備え、横枠は、長手方向端面にシーラーを介して平板を取付けて接合面を形成してあり、縦枠は、内周側面に平坦な接合面を形成してあり、縦枠と横枠の接合面同士を接着することで縦枠と横枠を連結することで、枠を簡単に組み上げることができるので、施工性が改善する。
【0007】
請求項2記載の発明による開口部建材の製造方法は、横枠の長手方向端面にシーラーを介して平板を取付けて接合面を形成し、縦枠の内周側面に平坦な接合面を形成し、縦枠と横枠の接合面同士を接着して縦枠と横枠を連結することで、枠を簡単に組み上げることができるので、施工性が改善する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の開口部建材の一実施形態を示す縦断面図である。
【
図3】同開口部建材の縦断面図であって、躯体開口部に納まった状態を示す。
【
図4】同開口部建材の横断面図であって、躯体開口部に納まった状態を示す。
【
図5】同開口部建材の室外側から見た正面図と、縦枠と横枠との各接合部の斜視図である。
【
図6】左縦枠と上枠との接合部の分解斜視図である。
【
図7】(a)は左縦枠と上枠とを接合する前の状態を示す斜視図であり、(b)は左縦枠と上枠とを接合した後の状態を示す斜視図である。
【
図8】右縦枠と上枠との接合部の分解斜視図である。
【
図9】(a)は右縦枠と上枠とを接合する前の状態を示す斜視図であり、(b)は右縦枠と上枠とを接合した後の状態を示す斜視図である。
【
図10】左縦枠と下枠との接合部の分解斜視図である。
【
図11】(a)は左縦枠と下枠とを接合する前の状態を示す斜視図であり、(b)は左縦枠と下枠とを接合した後の状態を示す斜視図である。
【
図12】右縦枠と下枠との接合部の分解斜視図である。
【
図13】(a)は右縦枠と下枠とを接合する前の状態を示す斜視図であり、(b)は右縦枠と下枠とを接合した後の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~13は、本発明の開口部建材の一実施形態を示している。本開口部建材は、住宅用の引違い窓に適用したものであり、
図1~4に示すように、躯体開口部8に取付けられる枠9と、枠9内に引き違い状に開閉自在に納めた外障子10a及び内障子10bを備える。
枠9は、上枠(横枠)2と下枠(横枠)3と左右の縦枠1a,1bとを矩形に枠組みして構成してある。外障子10a及び内障子10bは、上框11と下框12と戸先框13と召合せ框14を框組みし、その内側にガラス(複層ガラス)15を嵌め込んで構成してある。
【0010】
上枠2は、
図1に示すように、アルミニウム合金の押出形材よりなる室外側形材16及び室内側形材17と、室外側形材16と室内側形材17とを繋ぐ樹脂製のブリッジ材18とからなる断熱形材となっている。室外側形材16と室内側形材17には、それぞれタッピングホール19が設けてある。上枠2は、室外側端部に網戸(図示省略)の上部を案内する網戸レール20を有し、網戸レール20の室内側に外障子10aの上部を案内する外レール21を有し、外レール21の室内側に内障子10bの上部を案内する内レール22を有している。外レール21と内レール22の間と、内レール22の室内側には、樹脂製のカバー材23,24が取付けてある。室内側のカバー材24には、額縁等の造作材に固定するためのアングル部25が一体に設けてある。さらに上枠2は、室内外方向の中間部に躯体取付片26が外周側に突出して設けてある。
【0011】
下枠3は、
図1に示すように、上枠2と同様に、アルミニウム合金の押出形材よりなる室外側形材16及び室内側形材17と、室外側形材16と室内側形材17とを繋ぐ樹脂製のブリッジ材18とからなる断熱形材となっている。室外側形材16と室内側形材17には、それぞれタッピングホール19が設けてある。下枠3は、室外側端部に網戸(図示省略)の下部を案内する網戸レール20を有し、網戸レール20の室内側に外障子10aの下部を案内する外レール21を有し、外レール21の室内側に内障子10bの下部を案内する内レール22を有している。外レール21と内レール22の間と、内レール22の室内側には、樹脂製のカバー材23,24が取付けてある。室内側のカバー材24には、アングル部25が一体に設けてある。さらに下枠3は、室内外方向の中間部に躯体取付片26が外周側に突出して設けてある。
【0012】
左右の縦枠1a,1bは、
図2に示すように、アルミニウム合金の押出形材で形成してあり、室内側の部分は内周側から樹脂製のカバー材27を取付けて覆ってある。カバー材27には、アングル部25が一体に設けてある。左右の縦枠1a,1bは、見込壁28と、見込壁28から内周側に突出する複数のフィン29a,29b,29c,29dと、見込壁28から外周側に突出する躯体取付片26とを有している。室外側から見て左側に位置する左縦枠1aのフィン29cは、内障子10bの戸先部との間の水密性を確保するために内障子10bの戸先部に呑み込まれるものである。また、室外側から見て右側に位置する右縦枠1bのフィン29dは、外障子10aの戸先部との間の水密性を確保するために外障子10aの戸先部に呑み込まれるものである。
【0013】
上述した上枠2、下枠3及び左右の縦枠1a,1bは、従来のサッシに使用されているものと変わらないものである。本開口部建材は、縦枠1a,1bと上枠2及び下枠3との連結の仕方に特徴がある。
図6,7は、左縦枠1aと上枠2との接合部を示している。上枠2は、
図6と
図7(a)に示すように、長手方向端面に平板5を取付けて平坦な接合面6を形成してある。平板5は、例えばアルミで形成してあり、上枠2側の面にゴム質のシート状のシーラー4が貼り付けてある。また、平板5の上枠2側の面には、左縦枠1aのフィン29b,29cと連続するようにフィン30a,30bが形成してある。このうち室内側のフィン30bは、内障子10bの戸先部に呑み込まれるものであって、該フィン30bは内レール22の室外側に当接して配置される(
図1参照)。また平板5には、上枠2のタッピングホール19に螺入するビス31が挿通される孔32が形成してあり、該孔32に挿入したビス31を上枠2のタッピングホール19に螺入して締め込むことで、平板5が上枠2の長手方向端面に固定して取付けられ、シーラー4は上枠2の長手方向端面に押されて潰れた状態になっている。ビス31の頭31aは皿型になっており、平板5の孔32にはビス31の頭31aが納まる座ぐりが形成してあり、ビス31の頭31aが平板5の接合面6から飛び出さないようになっている。
【0014】
左縦枠1aは、
図6と
図7(a)に示すように、平板5と対向する範囲において見込壁28の内周側に突出するフィン29a,29b,29cとカバー材27を切欠き、平坦な接合面7を形成してあり、該接合面7に両面テープ33を貼り付けてある。両面テープ33は、屋外での使用が可能な構造用の強力な両面テープを使用している。
【0015】
こうして、上枠2の長手方向端面に平板5を取付けて接合面6を形成し、左縦枠1aに接合面7を形成して両面テープ33を貼り付けた上で、
図7(a),(b)に示すように、左縦枠1aと上枠2の接合面6,7同士を両面テープ33により接着して左縦枠1aと上枠2を連結している。左縦枠1aと上枠2の接合面6,7同士を接着する際、左縦枠1aの室外側のフィン29a及びカバー材27の小口を上枠2の網戸レール20の先端とアングル部25の内周側面にそれぞれ突き当てることで、上枠2を傾きの無い状態で左縦枠1aと連結できる。なお両面テープ33は、縦枠1a側に貼り付けておくのではなく、上枠2側(平板5)に貼り付けておいてもよい。
【0016】
右縦枠1bと上枠2との連結も、左縦枠1aと上枠2との連結と同様、
図8と
図9(a)に示すように、上枠2の長手方向端面にシーラー4を介して平板5を取付けて接合面6を形成し、右縦枠1bの平板5と対向する範囲においてフィン29a,29dとカバー材27を切り欠いて平坦な接合面7を形成し、上枠2の接合面6と右縦枠1bの接合面7の何れか一方に両面テープ33を貼り付け、
図9(b)に示すように、右縦枠1bと上枠2の接合面6,7同士を両面テープ33により接着して右縦枠1bと上枠2を連結している。平板5には、右縦枠1bのフィン29dと連続するフィン30cが形成してあり、当該フィン30cは外レール21の室外側に当接して配置され、外障子10aの戸先部に呑み込まれる。
【0017】
左縦枠1aと下枠3との連結も、左縦枠1aと上枠2との連結と同様、
図10と
図11(a)に示すように、下枠3の長手方向端面にシーラー4を介して平板5を取付けて接合面6を形成し、左縦枠1aの平板5と対向する範囲においてフィン29a,29b,29cとカバー材27を切り欠いて平坦な接合面7を形成し、下枠3の接合面6と左縦枠1aの接合面7の何れか一方に両面テープ33を貼り付け、
図11(b)に示すように、左縦枠1aと下枠3の接合面6,7同士を両面テープ33により接着して左縦枠1aと下枠3を連結している。
【0018】
右縦枠1bと下枠3との連結も、左縦枠1aと上枠2との連結と同様、
図12と
図13(a)に示すように、下枠3の長手方向端面にシーラー4を介して平板5を取付けて接合面6を形成し、右縦枠1bの平板5と対向する範囲においてフィン29a,29dとカバー材27を切り欠いて平坦な接合面7を形成し、下枠3の接合面6と右縦枠1bの接合面7の何れか一方に両面テープ33を貼り付け、
図13(b)に示すように、右縦枠1bと下枠3の接合面6,7同士を両面テープ33により接着して右縦枠1bと下枠3を連結している。
【0019】
次に、本開口部建材の施工手順を説明する。従来のサッシの場合は、サッシメーカーから上枠、下枠、縦枠等に分離した状態で段ボール箱に詰めて出荷され、サッシの販売店において枠を組立て、組立てた状態の枠を施工現場に搬入しているが、本開口部建材は施工現場において枠9を組み立てることが可能であり、以下、施工現場において組み立てる場合を例に説明する。
上枠2と下枠3は、サッシメーカーから出荷する時点で長手方向の両端面に平板5を取付けて接合面6を形成しておく。また、左縦枠1aと右縦枠1bは、サッシメーカーから出荷する時点で上端部と下端部の内周側面に接合面7を形成すると共に、接合面7に予め両面テープ33を貼り付けておき、施工現場では両面テープ33の剥離紙を剥がすだけにしておく。
そして施工現場において、
図7に示すように左縦枠1aの接合面7と上枠2の接合面6とを両面テープ33により接着し、
図9に示すように右縦枠1bの接合面7と上枠2の接合面6とを両面テープ33により接着し、
図11に示すように左縦枠1aの接合面7と下枠3の接合面6とを両面テープ33により接着し、
図13に示すように右縦枠1bの接合面7と下枠3の接合面6とを両面テープ33により接着することにより、枠9を組み立てる。こうすることで、施工現場において、ドライバー等の工具を使用することなく簡単に枠9を組み立てることができる。
【0020】
建物の2階部分に取付く大開口のサッシの場合、従来の施工方法では組立てた枠を屋外の足場と躯体との間から持ち上げる必要があり、そのときに枠が変形したり傷が付いたりするおそれがあるが、本開口部建材は2階部分で枠9を組み立てることで、そうした問題を解消することができる。
その後、組立てた枠9を従来のサッシと同様に躯体開口部8に室外側から納め、枠9の四周に形成された躯体取付片26をビス(図示省略)で躯体34に固定する(
図3,4参照)。そうして枠9を躯体開口部8に納め、躯体取付片26を躯体34に固定することで、縦枠1a,1bと横枠(上枠2、下枠3)の接合面6,7の接着が離れることが規制されるので、枠組みがより強固に保持され、縦枠と横枠をビス止めして枠組みした従来の枠と同様に、枠9の形態を維持できる。
【0021】
以上に述べたように本開口部建材は、縦枠1a,1bと横枠(上枠2、下枠3)とを備え、横枠2,3は、長手方向端面にシーラー4を介して平板5を取付けて接合面6を形成してあり、縦枠1a,1bは、内周側面に平坦な接合面7を形成してあり、縦枠1a,1bと横枠2,3の接合面6,7同士を接着することで縦枠1a,1bと横枠2,3を連結することで、枠9を簡単に組み上げることができるので、施工性が改善する。
また本開口部建材は、枠組みするのにネジ止めが不要なので、施工現場で簡単に枠組みすることができる。
本開口部建材は、横枠2,3の長手方向端面に平板5を取付けることで接着面積を広くしたので、接着強度を確保することができる。
さらに本開口部建材は、縦枠1a,1bと横枠2,3を枠組みした枠9を躯体開口部8に納めることで、縦枠1a,1bと横枠2,3の接合面6,7の接着が離れるのを規制しているので、枠組みがより強固に保持され、枠9がばらけたり変形したりすることがない。
また本開口部建材は、縦枠1a,1bと横枠2,3に躯体34に取付けられる躯体取付片26を有し、躯体取付片26を躯体34に固定することで、縦枠1a,1bと横枠2,3の接合面6,7の接着が離れるのを規制しているので、枠組みがより強固に保持され、枠9がばらけたり変形したりすることがない。
しかも本開口部建材は、横枠2,3の長手方向端面と平板5との間にシーラー4を押し潰した状態で介在させてあり、平板5と縦枠1a,1bの接合面7とを両面テープ33で接着することで、縦枠1a,1bと横枠2,3との接合部からの漏水を防止できる。
【0022】
本開口部建材の製造方法は、横枠2,3の長手方向端面にシーラー4を介して平板5を取付けて接合面6を形成し、縦枠1a,1bの内周側面に平坦な接合面7を形成し、縦枠1a,1bと横枠2,3の接合面6,7同士を接着して縦枠1a,1bと横枠2,3を連結することで、枠9を簡単に組み上げることができるので、施工性が改善する。
本開口部建材の製造方法によれば、枠組みするのにネジ止めが不要なので、施工現場でドライバー等の工具を使用することなく簡単に枠組みすることができる。
【0023】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。縦枠及び下枠の断面形状は、適宜変更することができる。平板の形状、材質は、適宜変更することができる。縦枠と横枠の接合面を、接着剤で接着することもできる。縦枠は方立であってもよいし、横枠は無目であってもよい。本発明は、引違い窓に限らず、嵌め殺し窓やすべり出し窓、玄関や勝手口の戸、カーテンウォールなど、あらゆる開口部建材に適用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1a 左縦枠(縦枠)
1b 右縦枠(縦枠)
2 上枠(横枠)
3 下枠(横枠)
4 シーラー
5 平板
6 接合面(横枠側)
7 接合面(縦枠側)