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  • 特開-内燃機関の排気系装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104422
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】内燃機関の排気系装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/14 20100101AFI20230721BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20230721BHJP
【FI】
F01N13/14
F01N13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005397
(22)【出願日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】木谷 真知
(72)【発明者】
【氏名】籾田 直希
(72)【発明者】
【氏名】小川 茂
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004DA14
3G004EA05
3G004FA01
3G004FA02
(57)【要約】
【課題】ヒートインシュレータの位置ずれと耐熱マットの耐久性低下を抑制することを目的とする。
【解決手段】内燃機関の排気系装置は、排気管と、前記排気管の外周面から離れて前記外周面に沿って設けられたヒートインシュレータと、前記排気管と前記ヒートインシュレータとの間に圧縮した状態で設けられたマット材とを含む内燃機関の排気系装置であって、前記外周面に前記ヒートインシュレータ側に突出して前記マット材が備える開口部に収まる突出部と、前記開口部で前記突出部に接触して固定されたワイヤーメッシュと、が設けられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気管と、前記排気管の外周面から離れて前記外周面に沿って設けられたヒートインシュレータと、前記排気管と前記ヒートインシュレータとの間に圧縮した状態で設けられたマット材とを含む内燃機関の排気系装置であって、
前記外周面に前記ヒートインシュレータ側に突出して前記マット材が備える開口部に収まる突出部と、前記開口部で前記突出部に接触して固定されたワイヤーメッシュと、が設けられている、
ことを特徴とする内燃機関の排気系装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気系装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排気管と遮熱部材(以下、ヒートインシュレータという)を有する内燃機関の排気系装置が知られている。ヒートインシュレータは排気管の周方向の全周を覆い、排気管から放射された熱が周囲の装置へ伝わることを抑える機能を有する。
【0003】
ヒートインシュレータと排気管との間には所定の隙間が形成されている。この隙間には耐熱マットが配置されている。耐熱マットは例えばグラスウールなどの耐熱性を有する繊維状の素材から構成されている。耐熱マットは排気管の周方向における全周に亘って配置されている。耐熱マットがヒートインシュレータと排気管との間に挟まれることによって、ヒートインシュレータは排気管から離れた状態で保持されている(以上、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-074039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ヒートインシュレータは圧縮された状態の耐熱マットの面圧によって排気管から離れた状態で保持されている。しかしながら、排気管の形状によっては耐熱マットの面圧だけではヒートインシュレータを十分に保持することが難しい場合がある。この場合、ヒートインシュレータが排気管の軸方向に位置ずれする可能性もあれば、排気管の周方向に位置ずれする可能性もある。
【0006】
例えば、耐熱マットに食い込む突起を排気管の外周面に設けることも想定される。このような突起を排気管の外周面に設けると、ヒートインシュレータの位置ずれを抑制できる可能性がある。しかしながら、耐熱マットに外力が加わると、耐熱マットの耐久性が突起により低下する可能性がある。
【0007】
そこで、本発明では、ヒートインシュレータの位置ずれと耐熱マットの耐久性低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る内燃機関の排気系装置は、排気管と、前記排気管の外周面から離れて前記外周面に沿って設けられたヒートインシュレータと、前記排気管と前記ヒートインシュレータとの間に圧縮した状態で設けられたマット材とを含む内燃機関の排気系装置であって、前記外周面に前記ヒートインシュレータ側に突出して前記マット材が備える開口部に収まる突出部と、前記開口部で前記突出部に接触して固定されたワイヤーメッシュと、が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ヒートインシュレータの位置ずれと耐熱マットの耐久性低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は内燃機関の排気系装置を説明する図である。
図2図2はヒートインシュレータが装着された排気管の図である。
図3図3はヒートインシュレータが取り外された排気管の図である。
図4図4図2のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、内燃機関10には排気管20が連結されている。内燃機関10は過給機を備えていてもよいし、過給機を備えていなくてもよい。内燃機関10が過給機を備えている場合には、過給機のタービンハウジングに排気管20が連結される。内燃機関10が過給機を備えていない場合には、内燃機関10のシリンダヘッドに排気管20が連結される。
【0013】
排気管20は直管部21と第1湾曲管部22とを有している。直管部21の一端部は内燃機関10に連結されている。直管部21の一端部には第1フランジ21Aが設けられている。第1フランジ21Aは、例えばボルトによって締結されることで、内燃機関10の壁面に固定されている。直管部21の他端部は第1湾曲管部22に連結されている。第1湾曲管部22は図1に示す下方に湾曲して延びている。第1湾曲管部22には、第1湾曲管部22から下方に延びているコンバータ部23が連結されている。
【0014】
コンバータ部23は、拡径部23Aと格納部23Bと縮径部23Cとを含んでいる。拡径部23Aは第1湾曲管部22に連結されている。拡径部23Aは第1湾曲管部22から離れるほど拡径されたテーパ形状を含んでいる。格納部23Bは拡径部23Aに連結されている。格納部23Bは円筒状の形状を含んでいる。格納部23Bは内部に触媒25を格納している。縮径部23Cは格納部23Bに連結されている。縮径部23Cは格納部23Bから離れるほど縮径されたテーパ形状を含んでいる。
【0015】
コンバータ部23の縮径部23Cには、下方に延びている第2湾曲管部24の一端が連結されている。第2湾曲管部24の他端部には、第2フランジ24Aが形成されている。このように、排気管20は、直管部21、第1湾曲管部22、コンバータ部23、及び第2湾曲管部24を含んでいる。なお、第2湾曲管部24には、第2フランジ24Aを介して図示しない排気系部材が連結される。
【0016】
内燃機関10の燃焼室内の排気は内燃機関10の内部を通じて排気管20に排出される。排気管20に排出された排気は、図1に矢印で示すように、直管部21、第1湾曲管部22、コンバータ部23、及び第2湾曲管部24を順に流れる。すなわち、排気管20の内部は排気通路を構成する。
【0017】
図1及び図2に示すように、排気管20には円筒状の遮熱装置30が装着される。遮熱装置30は円筒状のヒートインシュレータ31を有している。ヒートインシュレータ31は例えばステンレス鋼によって構成されている。ヒートインシュレータ31は排気管20の外周面に沿って配置され、図1に示すように、排気管20の第1湾曲管部22及びコンバータ部23の外側に位置している。
【0018】
図1に示すように、ヒートインシュレータ31は排気管20の外周面に対して離れて(具体的には離隔して)設置されている。ヒートインシュレータ31と第1湾曲管部22及びコンバータ部23との間のそれぞれの距離はほぼ同じである。すなわち、ヒートインシュレータ31の断面形状は、排気管20の断面形状に対して相似形状となるように構成されている。
【0019】
図1に示すように、遮熱装置30はマット材32も有している。マット材32は排気管20の第1湾曲管部22及びコンバータ部23の外側に位置してこれらの外周面を覆っている。マット材32はマット材32の厚み方向に開口する開口部33を備えている。詳細は後述するが、開口部33にはワイヤーメッシュ34が配置される。マット材32はヒートインシュレータ31の内周面に接着剤で接着されている。マット材32は、例えばグラスウールやロックウールといった、空気よりも熱伝導率の低い素材を含んでいる。これにより、マット材32は断熱機能を有する。このように、排気管20、ヒートインシュレータ31、及びマット材32を含んで内燃機関10の排気系装置が構成されている。なお、マット材32がグラスウールやロックウールであれば、空気よりも吸音率が高いため、マット材32は吸音機能も有する。この場合、車外への騒音を抑制することもできる。
【0020】
排気管20に遮熱装置30が装着されると、マット材32は圧縮された状態でヒートインシュレータ31と排気管20との間に挟まれる。これにより、圧縮された状態のマット材32の面圧(又は反力)によりヒートインシュレータ31が排気管20に保持される。
【0021】
なお、図2に示すように、ヒートインシュレータ31は複数のかしめ部31Wを含んでいる。詳細は後述するが、ヒートインシュレータ31は半円筒状の第1遮熱片と半円筒状の第2遮熱片を含んでおり、このような第1遮熱片と第2遮熱片を、内周面を対向させた状態でかしめ結合することにより円筒状のヒートインシュレータ31が構成される。すなわち、第1遮熱片と第2遮熱片で排気管20を挟んでかしめ結合することにより、ヒートインシュレータ31が排気管20の外周面に対して離れて設置される。
【0022】
図3及び図4を参照して、排気管20とヒートインシュレータ31についてさらに詳しく説明する。図3に示すように、排気管20におけるコンバータ部23の外周面の円周上には複数の突出部26が所定の間隔で一列に設けられている。本実施形態では、コンバータ部23における格納部23Bの外周面に複数の突出部26が設けられているが、拡径部23Aや縮径部23Cに設けられていてもよい。また、コンバータ部23に代えて、またはコンバータ部23とともに、第1湾曲管部22に複数の突出部26が設けられていてもよい。例えば、複数の突出部26が排気の流通方向又は該流通方向を傾けた方向に所定の間隔で一列に設けられていてもよい。排気の流通方向はコンバータ部23の軸方向と言い換えてもよい。
【0023】
複数の突出部26は排気管20が鋳物であれば鋳造時に一体成型される。本実施形態では、3つの突出部26が設けられているが、突出部26の数は1つや2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。また、複数の突出部26が二列以上に設けられていてもよい。ここで、複数の突出部26の突出高さは同じであってもよいし、異なっていてもよいが、いずれの突出高さも排気管20の外周面の半径とヒートインシュレータ31の内周面の半径の差分より低い高さである。より具体的には、いずれの突出高さも圧縮した状態のマット材32の最小の厚みと比べて低い高さである。
【0024】
複数の突出部26にはワイヤーメッシュ34が接触して固定されている。ワイヤーメッシュ34は平行に配置された複数の金属製の横線材と、その横線材に対して略直交するように平行に配置された複数の金属製の縦線材とを編み込まずに各交点で溶接して接合することによって構成された面状材である。ワイヤーメッシュ34は接着剤や溶着、溶接などによって複数の突出部26に固定することができる。ワイヤーメッシュ34は複数の突出部26が設けられた部分の大きさより大きな部分には設けられず、複数の突出部26が設けられた部分とほぼ同じ部分に設けられる。
【0025】
また、図4に示すように、複数の突出部26が設けられた外周面と裏側の外周面にも複数の突出部26と同様に複数の突出部27が設けられている。複数の突出部26,27はいずれもヒートインシュレータ31側に突出している。上述したように、マット材32は開口部33を備えており、複数の突出部26,27はいずれも開口部33に収まっている。複数の突出部26,27の形状は円錐状であってもよいし、角錐状であってもよいし、ドーム状であってもよい。例えば、複数の突出部26,27の一部の形状が円錐状であって、複数の突出部26,27の残部の形状が角錐状などであってもよい。複数の突出部26,27の形状がテーパ面を含んでいてよい。複数の突出部26,27がコンバータ部23の外周面上に螺旋状に設けられていてもよい。
【0026】
さらに、図4に示すように、複数の突出部27にも、複数の突出部26と同様に、ワイヤーメッシュ34が接触して固定されている。ワイヤーメッシュ34はそれぞれ開口部33で複数の突出部26,27に接触して固定されている。ここで、上述したように、ヒートインシュレータ31は第1遮熱片31Aと第2遮熱片31Bを含んでおり、複数のかしめ部31Wでかしめ結合されている。このため、複数の突出部26は第1遮熱片31A側に突出し、複数の突出部27は第2遮熱片31B側に突出している。複数の突出部26,27はいずれもマット材32が開口部33に収まり、複数の突出部26,27にはそれぞれワイヤーメッシュ34が接触して固定されている。なお、マット材32における開口部33を除いた残りの非開口部は排気管20とヒートインシュレータ31との間に圧縮した状態で設けられている。
【0027】
複数の突出部26,27に固定されたワイヤーメッシュ34により、ヒートインシュレータ31がコンバータ部23の軸方向に位置ずれする可能性も周方向に位置ずれする可能性も抑制することができる。具体的に説明すると、内燃機関10や排気管20の振動に起因してマット材32の位置がずれそうになっても、ワイヤーメッシュ34が複数の突出部26,27に固定されていることにより、マット材32の位置ずれが抑制される。ヒートインシュレータ31はマット材32の面圧により保持されているため、マット材32の位置ずれが抑制されれば、ヒートインシュレータ31の位置ずれも抑制することができる。ヒートインシュレータ31の位置ずれも抑制することにより、例えばヒートインシュレータ31の周囲に配置された各種の部品(不図示)と複数のかしめ部31Wの少なくとも1つとの干渉を抑制することができる。そして、マット材32には複数の突出部26,27が食い込んでいないため、譬え、ヒートインシュレータ31が位置したとしても、マット材32の耐久性低下(例えば断裂やほつれなど)を抑制することができる。
【0028】
以上、本実施形態によれば、内燃機関10の排気系装置は、排気管20と、ヒートインシュレータ31と、マット材32とを含んでいる。ヒートインシュレータ31は排気管20の外周面から離れて該外周面に沿って設けられている。マット材32は排気管20とヒートインシュレータ31との間に圧縮した状態で設けられている。そして、排気管20の外周面にはヒートインシュレータ31側に突出してマット材32が備える開口部33に収まる突出部26,27が設けられている。この開口部33では突出部26,27に接触して固定されたワイヤーメッシュも設けられている。これにより、マット材32の耐久性低下を抑えつつ、ヒートインシュレータ31の位置ずれを抑制することができる。
【0029】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0030】
10 内燃機関
20 排気管
23 コンバータ部
26,27 突出部
30 遮熱装置
31 ヒートインシュレータ
32 マット材
33 開口部
34 ワイヤーメッシュ
図1
図2
図3
図4