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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104469
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】マーキング装置
(51)【国際特許分類】
   B25H 7/04 20060101AFI20230721BHJP
【FI】
B25H7/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005468
(22)【出願日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】390017891
【氏名又は名称】シヤチハタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】230117259
【弁護士】
【氏名又は名称】綿貫 敬典
(72)【発明者】
【氏名】安江 明哲
(72)【発明者】
【氏名】井上 孝太郎
(57)【要約】
【課題】マーク対象物に対して明瞭かつ直線的なマークを施すことが可能で作業性に優れたマーキング装置を提供すること。
【解決手段】角柱形状物を含むマーク対象物にマークを付すマーキング装置10であって、前記角柱形状物に被せられる筐体の内部に、マーク対象物にマークを付すマーキング体28と、マーキング体28を変位させる押印機構とが設けられ、前記押印機構は、前記角柱形状物に装着された前記筐体が回転させられることにより、マーキング体28が回転中心軸方向に変位して前記マーク対象物に接触するものである。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角柱形状物を含むマーク対象物にマークを付すマーキング装置であって、
前記角柱形状物に被せられる筐体の内部に、
マーク対象物にマークを付すマーキング体と、
前記マーキング体を変位させる押印機構とが設けられ、
前記押印機構は、前記角柱形状物に装着された前記筐体が回転させられることにより、前記マーキング体が回転中心軸方向に変位して前記マーク対象物に接触するものであるマーキング装置。
【請求項2】
前記押印機構は、
アームの一方に前記マーキング体が接続されたシーソー構造のマーキング部材と、
前記筐体の回動操作に伴って径方向外側へ変位可能な移動体とを備え、
前記移動体の径方向外側への変位によって、前記マーキング部材のアームの他方が外向きに押圧されるものである請求項1に記載のマーキング装置。
【請求項3】
前記筐体は、前記角柱形状物を内部に収める筒部を備え、
前記移動体が、前記筒部に形成された球受孔に係合して保持された球体であり、
前記マーキング体は、前記筒部に形成されたスリット状の切欠き部に面した位置に配置されている請求項2に記載のマーキング装置。
【請求項4】
前記マーキング部材は揺動中心となる軸を備え、前記軸は上側が前記筐体の回転中心軸に近くなる向きで傾斜している請求項3に記載のマーキング装置。
【請求項5】
前記マーク対象物が、ボルト及びナットを含む締結部材と、前記締結部材が締結された板状部材とを含むものである請求項1乃至4のいずれかに記載のマーキング装置。
【請求項6】
前記角柱形状物が六角ナットであり、前記移動体が前記六角ナットの側面形状に沿って変位する請求項2乃至5のいずれかに記載のマーキング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーク対象物に対してマークを付すことができるマーキング装置に関し、特に、ボルト、ナット等の締結部材と、前記締結部材によって締結された板状部材を対象とするマーキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁等の構造物の鉄骨工事における鋼材の接合には、ボルト、ナット及びワッシャー等の締結部材が用いられる。これらの締結部材の締め付けは、一次締め、マーキング、本締めの順序で行われる。
【0003】
具体的には、まず所定のトルク値でナットを回転させて一次締めを行う。次に、図12に示されるように、一次締めがなされたボルト30(この例ではトルシア形高力ボルト)、ナット40、ワッシャー50及び鋼板60等に対して、一連の線状のマークMを施してマーキングを行う。マーキングの後、ナット40を回転させて本締めを行う。図12の例における本締め工程では、専用の工具等によりピンテール31で反力を受け止めながらピンテール31が破断するまでナット40を回転させる。正常に本締めが行われると、図13に示されるように、ナット40に施されたマークMのみが位置ずれした状態になる。この位置ずれ角度を検査することにより、ボルト30の締め忘れや、ボルト30とナット40の共回りや軸回りの有無を判定することができる。
【0004】
従来、この検査は目視によって行われていたが、労力や時間がかかるうえに見落としなどのヒューマンエラーが発生するおそれがある。そこで、近年、マーキングがなされた本締め後のボルトをカメラにより撮影し、画像認識技術を用いて検査する方法が提案されている。
【0005】
ところで、一般的に、マーキングはペンなどを用いて手書きで行われることが多いが、多数の締結部材に対して一つずつ手書きする作業は負担が大きい。そこで、ボルト等に対してマーキングを行うことができるマーキング装置が提案されている。特許文献1には、ボルト等に対して塗料を付着させるエアゾール式のマーキング用具が記載されている。また、特許文献2には、操作部にリンク腕部を介して接続された可動マーカー部が、斜め下向きに押し下げられてボルト等に接触することによりマークを施すことができるマーキング装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-231131号公報
【特許文献2】特開2002-355777号公報
【0007】
しかし、上記した従来のマーキング方法では、付されたマークが歪んでいたり、輪郭がぼやけて鮮明な直線とはならなかったりすることがある。画像認識による検査では、付されたマークが鮮明な直線でないと高頻度で誤判定が生じやすくなる。よって、従来の方法によるマーキングでは画像認識のエラーが多いという問題があった。
【0008】
また、画像認識による検査では、図15に示されるように、撮影角度により一部のマークが写らない場合がある。マークが見えない検査対象Sは判定することができない。そこで、図14に示されるように、撮影漏れを防ぐ対策として1つの検査対象の異なる側面に複数のマークを付すことが考えられる。このとき、例えば特許文献2記載のマーキング装置では、1本目のマークを施したマーキング装置をボルトから一度引き抜き、再度ボルトに被せて2本目の捺印動作を行う必要があり、作業性に問題があった。また、作業性を向上させるために、例えば前記マーキング装置の内部に可動マーカー部を複数設ける構成とすれば、構造が複雑になって製造コストの増大やサイズの大型化を招くおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記した従来の問題点を解決し、マーク対象物に対して明瞭かつ直線的なマークを施すことが可能で作業性に優れたマーキング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、角柱形状物を含むマーク対象物にマークを付すマーキング装置であって、前記角柱形状物に被せられる筐体の内部に、マーク対象物にマークを付すマーキング体と、前記マーキング体を変位させる押印機構とが設けられ、前記押印機構は、前記角柱形状物に装着された前記筐体が回転させられることにより、前記マーキング体が回転中心軸方向に変位して前記マーク対象物に接触するものであるマーキング装置とする。
【0011】
また、前記押印機構は、アームの一方に前記マーキング体が接続されたシーソー構造のマーキング部材と、前記筐体の回動操作に伴って径方向外側へ変位可能な移動体とを備え、前記移動体の径方向外側への変位によって、前記マーキング部材のアームの他方が外向きに押圧される構成とすることが好ましい。
【0012】
また、前記筐体は、前記角柱形状物を内部に収める筒部を備え、前記移動体が、前記筒部に形成された球受孔に係合して保持された球体であり、前記マーキング体は、前記筒部に形成されたスリット状の切欠き部に面した位置に配置されている構成とすることが好ましい。さらに、前記マーキング部材は揺動中心となる軸を備え、前記軸は上側が前記筐体の回転中心軸に近くなる向きで傾斜している構成とすることが好ましい。
【0013】
また、前記マーク対象物が、ボルト及びナットを含む締結部材と、前記締結部材が締結された板状部材とを含むものであることが好ましい。さらに、前記角柱形状物が六角ナットであり、前記移動体が前記六角ナットの側面形状に沿って変位することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、マーク対象物に対して明瞭かつ直線的なマークを施すことが可能で作業性に優れたマーキング装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態のマーキング装置の斜視図である。
図2】蓋部を外した状態のマーキング装置の平面図である。
図3】実施形態のマーキング部材の斜視図である。
図4図2のA-A断面図である。
図5】実施形態のマーキング装置の断面図である。
図6】マーキング対象のボルトに装着されたマーキング装置を示す斜視図である。
図7図6に示すマーキング装置の、蓋部を外した状態を示す斜視図である。
図8図7に示すマーキング装置の平面図である。
図9図7に示すマーキング装置の断面図である。
図10】マーキング対象物にマーキング体が接触している状態を示す平面図である。
図11】マーキング対象物にマーキング体が接触している状態を示す断面図である。
図12】一次締めされた締結部材及び板状部材に対して1本のマーキングがなされた状態を示す斜視図である。
図13図12に示す締結部材及び板状部材において本締めがなされた状態を示す斜視図である。
図14】一次締めされた締結部材及び板状部材に対して2本のマーキングがなされた状態を示す斜視図である。
図15】本締め後の画像検査に用いられる画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に発明を実施するための形態を示す。実施形態のマーキング装置10は、図12に示されるように、ボルト30、ナット40及びワッシャー50などの締結部材と、これら締結部材によって締結された鋼板などの板状部材60とに対して、その表面に直線状のマークMを付すために用いられるマーキング装置である。本明細書では、マークMが付される対象をマーク対象物Tと総称する。
【0017】
本実施形態のマーキング装置10は、図1に示されるように、外形が平面視略扇形の筒状体であって、ボルト30に螺合したナット40などの角柱形状物に被せることが可能な筐体11と、筐体11が被せられた際にボルト30の上部を覆うことが可能な蓋部12とを備えている。実施形態の蓋部12は、筐体11の上部に載置され、ビス孔を備えた固定枠13及びビスBによって筐体11に固定されている。実施形態の筐体11及び蓋部12は樹脂製である。材質はこれに限定されず樹脂以外のものであってもよいが、樹脂製であれば、その防塵・防水・耐久性から屋外での使用に適し、かつ、軽量で壊れにくいマーキング装置10とすることができる。
【0018】
(筐体11の内部構造)
筐体11の内部構造について説明する。図2に示されるように、実施形態の筐体11の内部には、円筒形状の筒部14が設けられている。筒部14は、板状部材60に締結されたボルト30、ナット40及びワッシャー50をその内部に収めることが可能な大きさの中空構造をなす筒状部材である。筒部14は上下両端が開口しており、このうち下部開口141側からボルト30等を収める。また、実施形態の筒部14の壁面には、内外方向に貫通する円形の孔である球受孔143と、上下方向及び内外方向に貫通するスリットである切欠き部142が形成されている。実施形態では、3つの球受孔143が等間隔に設けられている。
【0019】
筐体11の外壁と筒部14との間に位置する空間には、図2に示されるように、マーク対象物Tにマークを付すことが可能なマーキング体28が、後述するマーキング部材20に支持されて配置されている。実施形態のマーキング体28は、マーキング用インキを含浸させることが可能なフェルト製の印字体であって、マーク対象物Tの表面形状に沿うように形成された押印面29を備え、マーク対象物Tに接触することにより略直線状のマークMを付着させることができるものである。マーキング体28に含浸させるインキは、屋外でのマーキングが可能なインキであれば特に限定されない。また、マーキング体28は、インキを供給可能なインキ吸蔵体を備えた構成としてもよい。
【0020】
マーキング体28を支持するマーキング部材20について説明する。図2に示されるように、実施形態のマーキング部材20は、その中間部に軸受孔21が形成されたアーム状の部材であり、軸受孔21に挿通された軸22を揺動支点とするシーソー構造をなす。軸22の基端側は筐体11に固定され、マーキング部材20は筒部14と筐体11との間に配置されている。
【0021】
より詳細には、マーキング部材20は、軸受孔21から一方側へ延びる第1アーム23と、軸受孔21から他方側へ延びる第2アーム24とを備えている。第1アーム23及び第2アーム24は、筒部14の外周形状に沿うように円弧状に湾曲している。第1アーム23は、その先端側に設けられたばね受け部231に当接するアームばね25によって、外向きに弾発されている。また、第2アーム24の先端側に設けられた球受部241と筒部14との間には押圧球26が配置されている。
【0022】
押圧球26は、内外方向に変位可能に保持される移動体である。実施形態の押圧球26は、球受孔143の径寸法より大きい径寸法を有する樹脂製の球体である。図2に示されるように、押圧球26は、球受孔143の一つに面する位置において、アームばね25からの付勢力を受けた第2アーム24によって径方向内側へ押圧されている。これにより、押圧球26は、その一部が筒部14の内側へ突出した状態で球受孔143に係合している。この突出部分が内側から押されると押圧球26が径方向外側へ変位して第2アーム24を径方向外側へ押し出し、内側からの押圧が解除されると元の位置に戻る。
【0023】
また、図2に示されるように、実施形態の第1アーム23の長手方向略中央の位置には、マーキング体28を支持可能なマーキング体挟持部27が設けられている。実施形態のマーキング体挟持部27は、図3に示されるように、筐体11に組付けられたときに筒部14に面する方の側面にマーキング体28を挟持した側面視略L字型の樹脂製の部材であり、第1アーム23から筒部14に向かって突出する向きで配置されている。
【0024】
マーキング体28は、図3及び図4に示されるように、マーキング体挟持部27の先端に形成された凹部に嵌め込まれ、マーク対象物Tと接する押印面29が露出した状態で挟持されている。マーキング体挟持部27によって挟持されたマーキング体28は、筒部14の切欠き部142に面する位置に配置され、マーキング部材20の揺動動作によって筐体11の回転中心軸方向に変位し、筒部14の内側のマーク対象物Tに接触可能となっている。押印面29は、マーク対象物Tの表面の凹凸形状に沿うように、マーク対象物Tの垂直面に接する押印面291と、マーク対象物Tの水平面に接する押印面292とを備えており、マーク対象物Tに密着することができる。なお、実施形態のマーキング体28は、各押印面291がボルト30の中心軸に対して平行となるように配置されている。これにより、各押印面291がマーク対象物Tに対してほぼ真横から接することが可能である。
【0025】
また、実施形態のマーキング装置10は、図5に示されるように、位置決め用のボールプランジャ15を備えている。実施形態のボールプランジャ15は、球体である位置決めボール16と、位置決めボール16を付勢するばね17とを備えている。位置決めボール16は押圧球26と同様に筒部14の球受孔143に係合し、筒部14の内外方向に摺動可能に保持されている。
【0026】
(マーキング装置10を用いたマーキング方法)
次に、マーキング装置10を用いたマーキング方法について説明する。ここでは、図12に示されるように、ボルト30、ナット40、ワッシャー50及び鋼板などの板状部材60に対してマーキングを施す場合の例を用いて説明する。実施形態のボルト30は高力ボルトであり、ナット40はボルト30に螺合可能な六角ナットである。
【0027】
図6及び図7に示されるように、一次締めがなされた状態のボルト30及びナット40に被せるようにしてマーキング装置10を装着する。このとき、板状部材60にも確実にマークMを付すために、マーキング装置10を、その底面が板状部材60に接触するまで押し込む。
【0028】
マーキング装置10がボルト30に装着されると、図8及び図9に示されるように、位置決めボール16、16及び押圧球26がナット40の側面の平面部41に当接する。実施形態では、ボールプランジャ15内部のばね17及びアームばね25の弾性力により、位置決めボール16、16及び押圧球26がナット40の平面部41を押圧した状態で固定され、マーキング装置10が安定的に装着される。これにより、ボルト30が下向きや横向きに締結されている場合でも脱落しにくいマーキング装置10とすることができる。なお、このときマーキング部材20は中立状態であり、図9に示されるように、マーキング体28がボルト30、ナット40、ワッシャー50及び板状部材60と接触していない。
【0029】
次に、筐体11を手で掴んで回動させる操作を行う。本明細書に示す例では筐体11を時計回りに回転させているが、反時計回りに回転させてもよい。筐体11の回転に伴い、平面部41に当接していた位置決めボール16、16及び押圧球26は、それぞれナット40の側面に沿って摺動し、角部42へ近付く。図10及び図11に示されるように、角部42の頂点に到達した押圧球26は、角部42により外向きに押し出されて径方向外側へ変位する。これに伴い、押圧球26と接している第2アーム24が外向きに押圧される。
【0030】
第2アーム24が外向きに押圧されると、第1アーム23側のアームばね25が圧縮され、第1アーム23が筒部14に近付く方向へ動く。これに伴い、マーキング体28も筐体11の回転中心軸方向へ移動する。なお、実施形態では、図11に示されるように、平面視においてボルト30の中心と押圧球26の中心とを結ぶ仮想線CL1と、ボルト30の中心とマーキング体28をと結ぶ仮想線CL2とのなす角度αがほぼ60度となるように配置されている。よって、押圧球26が角部42の頂点と接する位置に来たとき、マーキング体28もその隣の角部42の頂点と接する位置に来る。これらの構成が協働し、押印面29が角部42に押し付けられ、角部42にマークMを付すことができる。
【0031】
また、実施形態のマーキング部材20は、図3に示されるように、軸受孔21の中心軸線が、図中の上下方向に延びる押印面291に対してわずかに傾きを持つように形成されている。図3の例ではこの傾きは約9.5°である。このような軸受孔21に挿入された軸22は、その上側が筒部14に近くなる向きで傾きを持つように筐体11に組付けられる。軸22の上部が内側へ傾けられていると、マーキング体28が筐体11の回転中心軸方向へ変位する際に、図中の左右方向に延びる押印面292が、ナット40の天面、ワッシャー50の天面及び板状部材60の表面に対してわずかに上側から接触してマークMを確実に施すことができる。これにより、マーキング体28が、ボルト30、ナット40、板状部材60の天面と擦れることなくマークMを付すことができる為、マーキング体28の摩耗を極力防止できる。
【0032】
このような構成とすれば、マーク対象物Mに対して押印面291がほぼ真横から接触することに加え、マーキング体28のわずかな変位によってマーキングを施すことができ、荒い操作であってもぶれにくく輪郭のくっきりした直線的なマークMを施すことができる。なお、マークMは連続した直線形状に限定されず、点線であってもよい。
【0033】
また、前記した手順を繰り返すことにより、図14に示されるように複数のマークMを連続して付すことができる。本発明では、ボルト30に装着したマーキング装置10を引き抜くことなく回転させるだけで複数のマークMを付すことができるため、作業性に優れたマーキング装置10を提供することができる。
【0034】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 マーキング装置
11 筐体
12 蓋部
13 固定枠
14 筒部
16 位置決めボール
17 ばね
20 マーキング部材
23 第1アーム
24 第2アーム
25 アームばね
26 押圧球
27 マーキング体挟持部
28 マーキング体
30 ボルト
40 ナット
41 平面部
42 角部
50 ワッシャー
60 板状部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15