(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104478
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】リセット回路、半導体装置
(51)【国際特許分類】
H03K 17/22 20060101AFI20230721BHJP
H03K 17/00 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
H03K17/22 Z
H03K17/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005481
(22)【出願日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長尾 圭
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX36
5J055AX58
5J055BX42
5J055CX23
5J055EY03
5J055EZ10
5J055EZ11
5J055EZ25
5J055EZ31
5J055EZ50
5J055GX01
5J055GX04
(57)【要約】
【課題】リセット回路の信頼性及び安全性を高める。
【解決手段】リセット回路10は、監視対象電圧VREG(例えば内部電源電圧)と第1閾値電圧VHとを比較して第1検出信号UVLO1を生成するように構成された第1検出部11と、監視対象電圧VREGと第1閾値電圧VH以下の第2閾値電圧VLとを比較して第2検出信号UVLO2を生成するように構成された第2検出部12と、第1検出信号UVLO1及び第2検出信号UVLO2に基づいてリセット信号RSTを生成するように構成された論理ゲート13と、第2検出信号UVLO2の論理レベルが切り替わった後に第1検出信号UVLO1の論理レベルが切り替わるか否かを検出して故障検出信号LATを生成するように構成された第3検出部14と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象電圧と第1閾値電圧とを比較して第1検出信号を生成するように構成された第1検出部と、
前記監視対象電圧と前記第1閾値電圧以下の第2閾値電圧とを比較して第2検出信号を生成するように構成された第2検出部と、
前記第1検出信号及び前記第2検出信号に基づいてリセット信号を生成するように構成された論理ゲートと、
前記第2検出信号の論理レベルが切り替わった後に前記第1検出信号の論理レベルが切り替わるか否かを検出して故障検出信号を生成するように構成された第3検出部と、
を備える、リセット回路。
【請求項2】
前記第3検出部は、前記第2検出信号によるリセット解除後に前記第1検出信号をラッチして前記故障検出信号を出力するように構成されたフリップフロップを含む、請求項1に記載のリセット回路。
【請求項3】
前記第3検出部は、前記フリップフロップに入力される前記第1検出信号に遅延を与えるように構成された遅延段をさらに含む、請求項2に記載のリセット回路。
【請求項4】
所定の参照電圧から前記第1閾値電圧及び前記第2閾値電圧を生成するように構成された閾値電圧生成部をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のリセット回路。
【請求項5】
前記閾値電圧生成部は、前記参照電圧の印加端と基準電圧の印加端との間に直列接続された複数の抵抗を含み、各抵抗間の接続ノードから前記第1閾値電圧及び前記第2閾値電圧を出力する、請求項4に記載のリセット回路。
【請求項6】
前記第1検出部及び前記第2検出部は、それぞれ、ヒステリシスコンパレータである、請求項1~5のいずれか一項に記載のリセット回路。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のリセット回路と、
前記監視対象電圧の供給を受けて動作するように構成されたロジック回路と、
を備える、半導体装置。
【請求項8】
前記ロジック回路は、前記リセット回路から出力される前記リセット信号に応じて動作状態が初期化される、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記ロジック回路は、前記リセット信号によるリセット解除後に前記半導体装置が故障しているか否かを示すエラーフラグを出力する、請求項7又は8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ロジック回路は、ホストからの要求に応じて前記エラーフラグを出力する、請求項9に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、リセット回路及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の多くは、リセット回路(POR[power ON reset]回路とも呼ばれる)を備える。
【0003】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献1を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のリセット回路は、その機能安全について改善の余地があった。
【0006】
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者により見出された上記課題に鑑み、信頼性及び安全性の高いリセット回路及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例えば、本明細書中に開示されているリセット回路は、監視対象電圧と第1閾値電圧とを比較して第1検出信号を生成するように構成された第1検出部と、前記監視対象電圧と前記第1閾値電圧以下の第2閾値電圧とを比較して第2検出信号を生成するように構成された第2検出部と、前記第1検出信号及び前記第2検出信号に基づいてリセット信号を生成するように構成された論理ゲートと、前記第2検出信号の論理レベルが切り替わった後に前記第1検出信号の論理レベルが切り替わるか否かを検出して故障検出信号を生成するように構成された第3検出部と、を備える。
【0008】
なお、その他の特徴、要素、ステップ、利点、及び、特性については、以下に続く発明を実施するための形態及びこれに関する添付の図面によって、さらに明らかとなる。
【発明の効果】
【0009】
本明細書中に開示されている発明によれば、信頼性及び安全性の高いリセット回路及び半導体装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、リセット回路を備えた半導体装置の比較例を示す図である。
【
図2】
図2は、比較例に係るリセット回路の正常動作を示す図である。
【
図3】
図3は、比較例に係るリセット回路の異常動作を示す図である。
【
図4】
図4は、リセット回路を備えた半導体装置の実施形態を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るリセット回路の正常動作を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るリセット回路の異常動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<比較例>
図1は、リセット回路を備えた半導体装置の比較例(=後出の実施形態と対比される一般的な構成)を示す図である。本比較例の半導体装置1は、リセット回路10と、ロジック回路20と、を備える。
【0012】
リセット回路10は、内部電源電圧VREG(=監視対象電圧に相当)が低電圧異常状態であるか否かを監視してロジック回路20にリセット信号RSTを出力する。本図に即して述べると、リセット回路10は、第1検出部11と、第2検出部12と、論理ゲート13と、を備える。
【0013】
第1検出部11は、非反転入力端(+)に入力される内部電源電圧VREGと、反転入力端(-)に入力される閾値電圧VTHとを比較して第1検出信号UVLO1を生成するヒステリシスコンパレータである。第1検出信号UVLO1は、内部電源電圧VREGが閾値電圧VTHよりも低いときにローレベル(=リセット状態の論理レベル)となり、内部電源電圧VREGが閾値電圧VTHよりも高いときにハイレベル(=リセット解除状態の論理レベル)となる。
【0014】
第2検出部12は、非反転入力端(+)に入力される内部電源電圧VREGと、反転入力端(-)に入力される閾値電圧VTHとを比較して第2検出信号UVLO2を生成するヒステリシスコンパレータである。第2検出信号UVLO2は、内部電源電圧VREGが閾値電圧VTHよりも低いときにローレベル(=リセット状態の論理レベル)となり、内部電源電圧VREGが閾値電圧VTHよりも高いときにハイレベル(=リセット解除状態の論理レベル)となる。
【0015】
このように、本比較例のリセット回路10には、第1検出部11だけでなく、安全機構(いわゆるSM[safety mechanism])として第2検出部12が並列に設けられている。
【0016】
論理ゲート13は、第1検出信号UVLO1と第2検出信号UVLO2の論理積信号を生成し、これをリセット信号RSTとして出力する。リセット信号RSTは、第1検出信号UVLO1及び第2検出信号UVLO2の少なくとも一方がローレベル(=リセット状態の論理レベル)であるときにローレベル(=リセット状態の論理レベル)となり、第1検出信号UVLO1及び第2検出信号UVLO2の双方がハイレベル(=リセット解除状態の論理レベル)であるときにハイレベル(=リセット解除状態の論理レベル)となる。
【0017】
ロジック回路20は、内部電源電圧VREGの供給を受けて動作する。なお、ロジック回路20は、リセット回路10から出力されるリセット信号RSTに応じて動作状態が初期化される。例えば、内部電源電圧VREGが閾値電圧VTHよりも低いときには、リセット信号RSTがローレベルとなるので、ロジック回路20がリセット状態(=動作停止状態)となる。一方、内部電源電圧VREGが閾値電圧VTHよりも高いときには、リセット信号RSTがハイレベルとなるので、ロジック回路20がリセット解除状態(=通常動作状態)となる。
【0018】
また、ロジック回路20は、リセット信号RSTによるリセット解除後に半導体装置1が故障しているか否かを示すエラーフラグERRを出力する。例えば、エラーフラグERRは、半導体装置1の故障が検出されていないときにハイレベルとなり、半導体装置1の故障が検出されているときにローレベルとなる。
【0019】
なお、ロジック回路20は、能動的(自発的)にエラーフラグERRを出力してもよいし、ホスト(MCU[micro controller unit]など)からの要求に応じてエラーフラグERRを出力してもよい。
【0020】
図2は、本比較例に係るリセット回路10の正常動作(=第1検出部11及び第2検出部12がいずれも故障していない状態)を示す図であり、上から順に、内部電源電圧VREG、第1検出信号UVLO1、第2検出信号UVLO2、リセット信号RST、及び、エラーフラグERRが描写されている。
【0021】
半導体装置1が起動して内部電源電圧VREGが閾値電圧VTHよりも高くなると、第1検出信号UVLO1及び第2検出信号UVLO2がいずれもローレベルからハイレベルに立ち上がる。その結果、リセット信号RSTがハイレベルに立ち上がるので、ロジック回路20がリセット解除状態(=通常動作状態)となる。従って、ロジック回路20は、エラーフラグERRを出力可能な状態となる。
【0022】
なお、本図では、半導体装置1に何ら故障が生じていないので、エラーフラグERRがハイレベル(=故障未検出時の論理レベル)に維持されている。
【0023】
図3は、本比較例に係るリセット回路10の異常動作(=第1検出部11が故障して第1検出信号UVLO1がハイレベルに固定された状態)を示す図であり、上から順に、内部電源電圧VREG、第1検出信号UVLO1、第2検出信号UVLO2、リセット信号RST、ロジック回路20の動作状態、及び、エラーフラグERRが描写されている。
【0024】
半導体装置1が起動して内部電源電圧VREGが閾値電圧VTHよりも高くなると、第2検出信号UVLO2がローレベルからハイレベルに立ち上がる。一方、第1検出信号UVLO1は、第1検出部11の故障により内部電源電圧VREGに依ることなく常にハイレベルに固定されている。その結果、リセット信号RSTとして第2検出信号UVLO2がスルー出力される状態となる。すなわち、第2検出信号UVLO2がハイレベルに立ち上がると、リセット信号RSTもハイレベルに立ち上がるので、ロジック回路20がリセット解除状態(=通常動作状態)となる。従って、ロジック回路20は、エラーフラグERRを出力可能な状態となる。
【0025】
なお、本図では、半導体装置1(特にリセット回路10の第1検出部11)に故障が生じているものの、ロジック回路20でこれを知る術がないので、エラーフラグERRがハイレベル(=故障未検出時の論理レベル)に維持されている。
【0026】
以下では、上記の考察に鑑み、第1検出部11の故障を検出することのできる新規な実施形態を提案する。
【0027】
<実施形態>
図4は、リセット回路を備えた半導体装置の新規な実施形態を示す図である。本実施形態の半導体装置1に搭載されるリセット回路10は、先出の第1実施形態(
図1)を基本としつつ、第3検出部14及び閾値電圧生成部15を含む。そこで、既出の構成要素については、
図1と同一の符号を付すことにより重複した説明を省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について重点的に説明する。
【0028】
第3検出部14は、第2検出信号UVLO2の論理レベルがローレベルからハイレベルに切り替わった後に、第1検出信号UVLO1の論理レベルがローレベルからハイレベルに切り替わるか否かを検出して故障検出信号LATを生成する。本図に即して述べると、第3検出部14は、Dフリップフロップ14aと、遅延段14bと、を含む。
【0029】
Dフリップフロップ14aのデータ入力端(D)には、ハイレベル信号が入力される。Dフリップフロップ14aのクロック入力端(>)には、遅延段14bにより遅延を与えられた第1検出信号UVLO1が入力される。Dフリップフロップ14aのリセット入力端(R)には、第2検出信号UVLO2が入力される。Dフリップフロップ14aの出力端(Q)からは、故障検出信号LATが出力される。
【0030】
上記のように接続されたDフリップフロップ14aは、第2検出信号UVLO2によるリセット解除後に第1検出信号UVLO1をラッチして故障検出信号LATを出力する。
【0031】
本図に即して述べると、第2検出信号UVLO2がローレベルであるときには、Dフリップフロップ14aがリセット状態(=動作停止状態)となり、故障検出信号LATがローレベルに維持される。
【0032】
一方、第2検出信号UVLO2がハイレベルであるときには、Dフリップフロップ14aがリセット解除状態(=通常動作状態)となり、故障検出信号LATとして第1検出信号UVLO1のラッチ出力が行われる。具体的に述べると、故障検出信号LATは、第1検出信号UVLO1(正確には第1検出信号UVLO1の遅延信号)がローレベルからハイレベルに立ち上がったことをトリガとしてローレベルからハイレベルに立ち上がり、その論理レベルがラッチされる。
【0033】
遅延段14bは、Dフリップフロップ14aに入力される第1検出信号UVLO1に遅延を与える。このような遅延段14bを設ければ、第1検出信号UVLO1及び第2検出信号UVLO2の双方に同時(又はほぼ同時)にパルスエッジが生じたとしても、Dフリップフロップ14aのラッチ動作に支障を来しにくくなる。すなわち、Dフリップフロップ14aは、第2検出信号UVLO2によってリセット状態が解除されてから、第1検出信号UVLO1のラッチ動作を実施することができる。
【0034】
なお、後出の第1閾値電圧VH及び第2閾値電圧VLに差を付ければ、第1検出信号UVLO1及び第2検出信号UVLO2それぞれのパルスエッジタイミングをずらすことができる。従って、この場合には遅延段14bを省略することも可能である。一方、第1閾値電圧VH及び第2閾値電圧VLが同値(又はほぼ同値)であるときには、第1検出信号UVLO1及び第2検出信号UVLO2それぞれのパルスエッジタイミングが近くなる。従って、この場合には遅延段14bを設けることが有効である。
【0035】
閾値電圧生成部15は、所定の参照電圧VREFから第1閾値電圧VH及び第2閾値電圧VL(ただしVH≧VL)を生成し、第1閾値電圧VH及び第2閾値電圧VLをそれぞれ第1検出部11及び第2検出部12に出力する。
【0036】
本図に即して述べると、閾値電圧生成部15は、参照電圧VREFの印加端と基準電圧の印加端(例えば接地端)との間に直列接続された複数の抵抗15a、15b及び15cを含み、各抵抗間の接続ノードから第1閾値電圧VH及び第2閾値電圧VLを出力する。
【0037】
上記した閾値電圧生成部15の追加に伴い、第1検出部11及び第2検出部12の入力信号にも変更が加えられている。
【0038】
具体的に述べると、第1検出部11は、非反転入力端(+)に入力される内部電源電圧VREGと、反転入力端(-)に入力される第1閾値電圧VHとを比較して第1検出信号UVLO1を生成する。従って、第1検出信号UVLO1は、内部電源電圧VREGが第1閾値電圧VHよりも低いときにローレベル(=リセット状態の論理レベル)となり、内部電源電圧VREGが第1閾値電圧VHよりも高いときにハイレベル(=リセット解除状態の論理レベル)となる。
【0039】
また、第2検出部12は、非反転入力端(+)に入力される内部電源電圧VREGと、反転入力端(-)に入力される第2閾値電圧VLとを比較して第2検出信号UVLO2を生成する。従って、第2検出信号UVLO2は、内部電源電圧VREGが第2閾値電圧VLよりも低いときにローレベル(=リセット状態の論理レベル)となり、内部電源電圧VREGが第2閾値電圧VLよりも高いときにハイレベル(=リセット解除状態の論理レベル)となる。
【0040】
図5は、本実施形態に係るリセット回路10の正常動作(=第1検出部11及び第2検出部12がいずれも故障していない状態)を示す図であり、上から順に、内部電源電圧VREG、第1検出信号UVLO1、第2検出信号UVLO2、リセット信号RST、故障検出信号LAT、及び、エラーフラグERRが描写されている。
【0041】
半導体装置1が起動して内部電源電圧VREGが第2閾値電圧VLよりも高くなると、第2検出信号UVLO2がローレベルからハイレベルに立ち上がる。さらに内部電源電圧VREGが上昇して第1閾値電圧VHよりも高くなると、第1検出信号UVLO1がローレベルからハイレベルに立ち上がる。その結果、リセット信号RSTがハイレベルに立ち上がるので、ロジック回路20がリセット解除状態(=通常動作状態)となる。従って、ロジック回路20は、エラーフラグERRを出力可能な状態となる。
【0042】
ここで、第3検出部14の動作に着目すると、第2検出信号UVLO2がローレベルからハイレベルに立ち上がった時点で、Dフリップフロップ14aがリセット解除状態(=通常動作状態)となり、その後、第1検出信号UVLO1(正確には第1検出信号UVLO1の遅延信号)がローレベルからハイレベルに立ち上がったことをトリガとして、故障検出信号LATがハイレベルにラッチされる。
【0043】
なお、本図では、説明の便宜上、遅延段14bで第1検出信号UVLO1に与えられる遅延が無視されており、第1検出信号UVLO1がローレベルからハイレベルに立ち上がるのと同時(又はほぼ同時)に故障検出信号LATがハイレベルにラッチされている。
【0044】
ロジック回路20は、リセット信号RSTによるリセット解除後に故障検出信号LATを確認し、半導体装置1が故障しているか否かを示すエラーフラグERRを出力する。本図では、故障検出信号LATが正しくハイレベルに立ち上がっており、半導体装置1にその他の故障も生じていないので、エラーフラグERRがハイレベル(=故障未検出時の論理レベル)に維持されている。
【0045】
図6は、実施形態に係るリセット回路の異常動作(=第1検出部11が故障して第1検出信号UVLO1がハイレベルに固定された状態)を示す図であり、上から順に、内部電源電圧VREG、第1検出信号UVLO1、第2検出信号UVLO2、リセット信号RST、故障検出信号LAT、及び、エラーフラグERRが描写されている。
【0046】
半導体装置1が起動して内部電源電圧VREGが第2閾値電圧VLよりも高くなると、第2検出信号UVLO2がローレベルからハイレベルに立ち上がる。一方、第1検出信号UVLO1は、第1検出部11の故障により内部電源電圧VREGに依ることなく常にハイレベルに固定されている。その結果、リセット信号RSTとして第2検出信号UVLO2がスルー出力される状態となる。すなわち、第2検出信号UVLO2がハイレベルに立ち上がると、リセット信号RSTもハイレベルに立ち上がるので、ロジック回路20がリセット解除状態(=通常動作状態)となる。従って、ロジック回路20は、エラーフラグERRを出力可能な状態となる。
【0047】
ここで、第3検出部14の動作に着目すると、第2検出信号UVLO2がローレベルからハイレベルに立ち上がった時点で、Dフリップフロップ14aがリセット解除状態(=通常動作状態)となり、第1検出信号UVLO1をラッチ出力する準備が整う。ただし、先述のように、第1検出信号UVLO1は、常にハイレベルに固定されている。従って、故障検出信号LATがハイレベルにラッチされることはなく、ローレベルに維持される。
【0048】
ロジック回路20は、リセット信号RSTによるリセット解除後に故障検出信号LATを確認し、半導体装置1が故障しているか否かを示すエラーフラグERRを出力する。本図では、故障検出信号LATがローレベルに維持されていることから、ロジック回路20は、リセット回路10(特に第1検出部11)に何らかの故障が生じていることを知らせるべく、エラーフラグERRをローレベル(=故障検出時の論理レベル)に切り替える。
【0049】
なお、先にも述べたように、ロジック回路20は、能動的(自発的)にエラーフラグERRを出力してもよいし、ホスト(MCUなど)からの要求に応じてエラーフラグERRを出力してもよい。
【0050】
このように、本実施形態のリセット回路10であれば、自身の故障をロジック回路20に報知することができる。従って、リセット回路10(延いてはこれを実装する半導体装置1)の信頼性及び安全性を高めることが可能となる。
【0051】
<総括>
以下では、上記で説明した種々の実施形態について総括的に述べる。
【0052】
例えば、本明細書中に開示されているリセット回路は、監視対象電圧と第1閾値電圧とを比較して第1検出信号を生成するように構成された第1検出部と、前記監視対象電圧と前記第1閾値電圧以下の第2閾値電圧とを比較して第2検出信号を生成するように構成された第2検出部と、前記第1検出信号及び前記第2検出信号に基づいてリセット信号を生成するように構成された論理ゲートと、前記第2検出信号の論理レベルが切り替わった後に前記第1検出信号の論理レベルが切り替わるか否かを検出して故障検出信号を生成するように構成された第3検出部と、を備える構成(第1の構成)とされている。
【0053】
なお、上記第1の構成によるリセット回路において、前記第3検出部は、前記第2検出信号によるリセット解除後に前記第1検出信号をラッチして前記故障検出信号を出力するように構成されたフリップフロップを含む構成(第2の構成)にしてもよい。
【0054】
また、上記第2の構成によるリセット回路において、前記第3検出部は、前記フリップフロップに入力される前記第1検出信号に遅延を与えるように構成された遅延段をさらに含む構成(第3の構成)にしてもよい。
【0055】
また、上記第1~第3いずれかの構成によるリセット回路は、所定の参照電圧から前記第1閾値電圧及び前記第2閾値電圧を生成するように構成された閾値電圧生成部をさらに備える構成(第4の構成)にしてもよい。
【0056】
また、上記第4の構成によるリセット回路において、前記閾値電圧生成部は、前記参照電圧の印加端と基準電圧の印加端との間に直列接続された複数の抵抗を含み、各抵抗間の接続ノードから前記第1閾値電圧及び前記第2閾値電圧を出力する構成(第5の構成)にしてもよい。
【0057】
また、上記第1~第5いずれかの構成によるリセット回路において、前記第1検出部及び前記第2検出部は、それぞれ、ヒステリシスコンパレータである構成(第6の構成)にしてもよい。
【0058】
また、例えば、本明細書中に開示されている半導体装置は、上記第1~第6いずれかの構成によるリセット回路と、前記監視対象電圧の供給を受けて動作するように構成されたロジック回路と、を備える構成(第7の構成)とされている。
【0059】
上記第7の構成による半導体装置において、前記ロジック回路は、前記リセット回路から出力される前記リセット信号に応じて動作状態が初期化される構成(第8の構成)にしてもよい。
【0060】
また、上記第7又は第8の構成による半導体装置において、前記ロジック回路は、前記リセット信号によるリセット解除後に前記故障検出信号を監視して前記リセット回路に故障が生じているか否かを示すエラーフラグを出力する構成(第9の構成)にしてもよい。
【0061】
また、上記第9の構成による半導体装置において、前記ロジック回路は、ホストからの要求に応じて前記エラーフラグを出力する構成(第10の構成)にしてもよい。
【0062】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲により規定されるものであって、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0063】
1 半導体装置
10 リセット回路
11 第1検出部
12 第2検出部
13 論理ゲート
14 第3検出部
14a Dフリップフロップ
14b 遅延段
15 閾値電圧生成部
15a、15b、15c 抵抗
20 ロジック回路