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特開2023-104486セット治具及びベースプレートの取付け方法
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  • 特開-セット治具及びベースプレートの取付け方法 図1A
  • 特開-セット治具及びベースプレートの取付け方法 図1B
  • 特開-セット治具及びベースプレートの取付け方法 図2
  • 特開-セット治具及びベースプレートの取付け方法 図3
  • 特開-セット治具及びベースプレートの取付け方法 図4A
  • 特開-セット治具及びベースプレートの取付け方法 図4B
  • 特開-セット治具及びベースプレートの取付け方法 図5
  • 特開-セット治具及びベースプレートの取付け方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104486
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】セット治具及びベースプレートの取付け方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 7/02 20060101AFI20230721BHJP
   G01C 9/00 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
E02B7/02 B
G01C9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005496
(22)【出願日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】竹村 嘉哲
(72)【発明者】
【氏名】後藤 政人
(72)【発明者】
【氏名】徳能 雄大
(57)【要約】
【課題】捕捉体を構成する支柱に対するベースプレートの取付けを容易にする。
【解決手段】堰堤に設置される捕捉体の、河川の流れ方向Fに対して傾斜して立設される支柱を横たえて支柱にベースプレートを取り付ける用に供されるセット治具1であって、ベースプレートに周方向において等間隔に形成された少なくとも2つの孔間と同じ間隔10Dをあけて設けられた一対の取付け部10と、一対の取付け部10をその一端10aにおいて間隔10Dを保持して互いに連結する連結部20と、連結部20に設けられた水準器30と、を備え、一対の取付け部10はそれぞれ2つの孔に挿通されるボルト11を他端10bに有し、水準器30は、ボルト11が2つの孔に挿通された状態において、2つの孔が互いに同一の水平面に含まれているか否かを測定することを特徴とする。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
堰堤に設置される捕捉体の、河川の流れ方向に対して傾斜して立設される支柱を横たえて該支柱にベースプレートを取り付ける用に供されるセット治具であって、
前記ベースプレートに周方向において等間隔に形成された少なくとも2つの孔間と同じ間隔をあけて設けられた一対の取付け部と、
前記一対の取付け部をその一端において前記間隔を保持して互いに連結する連結部と、
前記連結部に設けられた水準器と、
を備え、
前記一対の取付け部はそれぞれ2つの前記孔に挿通される挿通部を他端に有し、
前記水準器は、前記挿通部が前記2つの孔に挿通された状態において、前記2つの孔が互いに同一の水平面に含まれているか否かを測定する
ことを特徴とするセット治具。
【請求項2】
前記水準器が設けられた前記連結部の面と、2つの前記挿通部の軸線を含む仮想平面とは互いに平行であることを特徴とする請求項1に記載のセット治具。
【請求項3】
前記支柱の軸線に対して傾斜している接地側の前記支柱の端面に前記ベースプレートを取り付ける際に使用されることを特徴とする請求項1又は2に記載のセット治具。
【請求項4】
堰堤に設置される捕捉体の、河川の流れ方向に対して傾斜して立設される支柱を横たえて該支柱にベースプレートを取り付けるベースプレートの取付け方法であって、
横たえた状態の前記支柱に対して前記ベースプレートを接近させる接近工程と、
前記ベースプレートに周方向において等間隔に形成された少なくとも2つの孔が互いに同一の水平面上にあるか否かを測定する測定工程と、
前記2つの孔が同一の水平面上にある状態において前記ベースプレートを前記支柱に取り付ける取付け工程と、
を含み、
前記測定工程において、前記ベースプレートに周方向において等間隔に形成された少なくとも2つの孔と同じ間隔をあけて設けられた一対の取付け部と、該一対の取付け部をその一端において前記間隔を保持して連結する連結部と、該連結部に設けられた水準器と、を備えるセット治具を使用して、前記一対の取付け部をそれぞれの他端に設けられた挿通部を前記孔に挿通し、前記挿通部が前記孔に挿通された状態において、前記2つの孔が互いに同一の水平面に含まれているか否かを前記水準器により測定する
ことを特徴とするベースプレートの取付け方法。
【請求項5】
前記ベースプレートが取り付けられる支柱の端面が該支柱の軸線に対して斜めになっている支柱にベースプレートを取り付ける際に前記セット治具を使用することを特徴とする請求項4に記載のベースプレートの取付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セット治具及びベースプレートの取付け方法であって、特に、堰堤に設置される捕捉体の、河川の流れ方向に対して傾斜して立設される支柱を横たえて該支柱にベースプレートを取り付ける用に供されるセット治具及び当該セット治具を用いてベースプレートを取り付け取付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
河川の土石流対策工として、上流から流れてくる土石及び流木等を捕捉する捕捉体を備えた砂防堰堤が知られている。例えば、透過型の砂防堰堤は、河川の両岸からそれぞれ突き出た一対の袖部を備え、袖部の間には水を流す開口部が設けられている。
【0003】
捕捉体は、開口部に設けられて、土砂や水を通過させつつ土石及び流木等を捕捉する。捕捉体は、支柱及び梁により上流面側が格子状に組み合わされており、格子状のマス目において土石及び流木等を捕捉する。捕捉体は、河川の流れ方向において上流側に面する側に鋼管により形成された上流側支柱と、下流側に面する側に鋼管により形成された下流側支柱とを有する。上流側支柱及び下流側支柱の下端部にはベースプレートが取り付けられて、コンクリート基礎に埋め込まれている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-040081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図4Aは、捕捉体200を備えた透過型の砂防堰堤100を示す斜視図である。図4Bは、図4Aに示した捕捉体200の側面図である。捕捉体200が備える支柱210は、円形又は略円形の鋼管により形成されている。支柱は、上流側に立設された上流側支柱210と、下流側に立設された下流側支柱220とを有する。上流側支柱210及び下流側支柱220は互いに連結されている。
【0006】
例えば、捕捉体200においては、5本の上流側支柱210と、3本の下流側支柱220とが、砂防堰堤100の延在方向Wに沿って所定の間隔をあけてコンクリート基礎300に立設されている。上流側支柱210は、上流側から下流側へ向かって斜めに延在している。下流側支柱220は、下流側から上流側に向かって斜めに延在している。下流側支柱220は、上流側支柱210の上端部に連結されている。
【0007】
ところで、コンクリート基礎300の側において捕捉体の支柱210,220は、例えば、アンカーボルト400を介してコンクリート基礎300に強固に固定されている。コンクリート基礎300には捕捉体200のアンカーボルト400を設置する箇所が墨出し作業などにより予め罫書きされている。例えば、各支柱210,220に対して4本のアンカーボルト400が設置される。墨出し作業は、堰堤100の延在方向(流れ方向Fに交差する幅方向)Wに設置される支柱210,220におけるアンカーボルト400が2列をなすように2本の線(図5における破線)が引かれる。各線上で所定の位置に各支柱210,220に対するアンカーボルト400が設置される。
【0008】
一の支柱210,220に対する4本のアンカーボルト400に対して台座(図示せず)を設置し、各台座に対して後述する各ベースプレート500が取り付けられた各支柱210,220を設置する。この場合、台座から突き出たアンカーボルト400の先端部を、ベースプレート500に形成されたアンカーボルト孔510に挿通させる。その後、支柱210,220をベースプレート500及び台座を介してアンカーボルト400に連結して、この連結部分を埋めるようにコンクリートを打設する。
【0009】
例えば、上流側支柱210は、コンクリート基礎300に対する接地側から下流側に向かって傾斜するように立設している。そのため、支柱210に使用される鋼管の接地側の端面は、支柱210の中心を通る軸線210xに対して所定の角度をなす傾斜端面として形成されている。支柱210は、傾斜端面において軸線210xに沿って最も先端の側にある先端部211が上流側に面し、径方向において対向する後端部212が下流側に面するようにコンクリート基礎300に立設される。
【0010】
上述のように、コンクリート基礎300に対する上流側支柱210の設置方向(上流側から下流側に傾斜する方向)及びアンカーボルト400の設置位置は決まっている。コンクリート基礎300に設置されたアンカーボルト400にベースプレート500を介して一の上流側支柱210を連結する際、どのアンカーボルト400にベースプレート500のどのアンカーボルト孔510を挿通させるかは任意ではなく決まっている。
【0011】
図5は、上流側支柱210に取り付けられたベースプレート部分を示す平面図である。各上流側支柱210に取り付けられるベースプレート500は、平面視円形又は略円形に形成されており、中心を通る軸線500x周りに4つのアンカーボルト孔510を有する。4つのアンカーボルト孔510は、上流側支柱210に取り付けられた状態において、上流側支柱210の外周側でベースプレート500の軸線500x周りに等間隔(90°の等角度)に設けられている。
【0012】
ベースプレート500に形成された各アンカーボルト孔510は、コンクリート基礎300に設置されたアンカーボルト400と整合するようになっている。そのために、ベースプレート500は、上流側支柱210の先端部211及び後端部212を真ん中に挟んだ位置にアンカーボルト400が挿通されるアンカーボルト孔510があるように上流側支柱210に取り付けられる(図5の破線)。
【0013】
図6は、ベースプレート500を支柱210に取り付ける従来の方法を説明するための図であり、支柱210を接地側の端面側から見た図である。ベースプレート500を支柱210に取り付ける場合、支柱210を、先端部211及び後端部212が互いに同一又は略同一の水平面上にあるように定盤600に横たえる。この状態において、例えば、鉛直方向において上側の2つのアンカーボルト孔510を介してクレーンC等により吊り下げられたベースプレート500を、支柱210に接近させる。
【0014】
ベースプレート500を支柱210に接触させた状態において、例えば、上側の2つのアンカーボルト孔510と定盤600までの間隔600Dを、例えば、コンベックスを用いて測定する。上側の各アンカーボルト孔510と定盤600との間隔600Dが同じではない場合、クレーンCを操作してベースプレート500の下側のアンカーボルト孔510の高さ位置を調整する必要がある。調整後にはコンベックスにより再度、間隔600Dを測定する必要があり、また、コンベックスの目盛りの読み間違えや、測定する作業員によって測定する位置等の違いから、作業員に依存して支柱210にベースプレート500を取り付ける作業に時間を要することがある。
【0015】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、捕捉体を構成する支柱に対するベースプレートの取付けを容易にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するための本発明に係るセット治具は、堰堤に設置される捕捉体の、河川の流れ方向に対して傾斜して立設される支柱を横たえて該支柱にベースプレートを取り付ける用に供されるセット治具であって、前記ベースプレートに周方向において等間隔に形成された少なくとも2つの孔間と同じ間隔をあけて設けられた一対の取付け部と、前記一対の取付け部をその一端において前記間隔を保持して互いに連結する連結部と、前記連結部に設けられた水準器と、を備え、前記一対の取付け部はそれぞれ2つの前記孔に挿通される挿通部を他端に有し、前記水準器は、前記挿通部が前記2つの孔に挿通された状態において、前記2つの孔が互いに同一の水平面に含まれているか否かを測定することを特徴とする。
【0017】
本発明の一態様に係るセット治具において、前記水準器が設けられた前記連結部の面と、2つの前記挿通部の軸線を含む仮想平面とは互いに平行である。
【0018】
本発明の一態様に係るセット治具は、前記支柱の軸線に対して傾斜している接地側の前記支柱の端面に前記ベースプレートを取り付ける際に使用される。
【0019】
さらに、上記課題を解決するための本発明に係るベースプレートの取付け方法は、堰堤に設置される捕捉体の、河川の流れ方向に対して傾斜して立設される支柱を横たえて該支柱にベースプレートを取り付けるベースプレートの取付け方法であって、横たえた状態の前記支柱に対して前記ベースプレートを接近させる接近工程と、前記ベースプレートにおいて周方向に前記支柱を挟んで形成された少なくとも2つの孔が互いに同一の水平面上にあるか否かを測定する測定工程と、前記2つの孔が同一の水平面上にある状態において前記ベースプレートを前記支柱に取り付ける取付け工程と、を含み、前記測定工程において、前記ベースプレートに周方向において等間隔に形成された少なくとも2つの孔と同じ(同じには略同じも含む)間隔をあけて設けられた一対の取付け部と、該一対の取付け部を一端において前記間隔を保持して連結する連結部と、該連結部に設けられた水準器と、を備えるセット治具を使用し、前記一対の取付け部をそれぞれの他端に設けられた挿通部を前記孔に挿通し、前記挿通部が前記孔に挿通された状態において、前記2つの孔が互いに同一の水平面に含まれているか否かを前記水準器により測定することを特徴とする。
【0020】
本発明の一態様に係るベースプレートの取付け方法において、前記ベースプレートが取り付けられる支柱の端面が該支柱の軸線に対して斜めになっている支柱にベースプレートを取り付ける際に前記セット治具を使用する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、捕捉体を構成する支柱に対するベースプレートの取付けを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】本発明に係るセット治具の正面図である。
図1B】本発明に係るセット治具の側面図である。
図2】ベースプレートの取付け方法のフローチャートである。
図3】ベースプレートに本発明に係るセット治具をセットした状態を示す概略図である。
図4A】捕捉体を備えた透過型の砂防堰堤を示す斜視図である。
図4B図4Aに示した捕捉体の側面図である。
図5】支柱に取り付けられたベースプレート部分を示す平面図である。
図6】ベースプレートを上流側支柱に取り付ける従来の方法を説明するための図であり、支柱を接地側の端面側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率等が異なる部分が含まれている場合がある。
【0024】
本発明に係る治具は、透過型の砂防堰堤100における捕捉体200の支柱210,220にベースプレート500を取り付ける用に供されるセット治具1であり、捕捉体200において流れ方向F(図4A参照)に傾斜して立設されている支柱210,220へのベースプレート500の取付けに適用される。図1Aは、本発明に係るセット治具1の正面図である。図1Bは、本発明に係るセット治具1の側面図である。
【0025】
本発明に係る治具は、堰堤100に設置される捕捉体200の、河川の流れ方向Fに対して傾斜して立設される支柱210,220を横たえて該支柱210,220にベースプレートを取り付ける用に供されるセット治具1であって、ベースプレート500に周方向において等間隔に形成された少なくとも2つのアンカーボルト孔510間と同じ間隔10Dをあけて設けられた一対の取付け部10と、一対の取付け部10をその一端部10aにおいて間隔10Dを保持して互いに連結する連結部20と、連結部20に設けられた水準器30と、を備え、一対の取付け部10はそれぞれ2つのアンカーボルト孔510に挿通されるボルト(挿通部)11を他端部10bに有し、水準器30は、ボルト11が2つのアンカーボルト孔510に挿通された状態において、2つのアンカーボルト孔510が互いに同一の水平面に含まれているか否かを測定することを特徴とする。以下、セット治具1について具体的に説明する。
【0026】
セット治具1は、例えば、鋼材により形成されており、一対の取付け部材(取付け部)10と、連結部材(連結部)20と、水準器30と、補強部材40と、把持部材50と、を備える。
【0027】
取付け部材10は、平面視矩形の長尺の板材である。一対の取付け部材10は、長手方向において一方の一端部(一端)10aで、連結部材20により互いに連結されている。一対の取付け部材10と連結部材20とは互いに直角又は略直角をなしている。取付け部材10と連結部材20とは互いに、例えば、ボルト及びナット等の締結具により互いに連結されている。連結部材20は、セット治具1がベースプレートに取り付けられた状態(以下、「取付け状態」ともいう)において、ベースプレートとは反対の側に面する取付け部材10の面に連結されている。
【0028】
取付け部材10は、他方の他端部10bにボルト11を有する。ボルト11は、ベースプレート500に形成された4つのアンカーボルト孔510のうち、特にクレーンCにより吊り下げられた状態において下側の2つのアンカーボルト孔510に挿通される。取付け部材10は、他端部10bに貫通孔(図示せず)を有しており、この貫通孔それぞれにボルト11が相対回動不能に取り付けられている。ボルト11は、連結部材20が連結されている面の側から、取付け状態において、ベースプレート500に接触する面の側に向かって突出している。例えば、2つのボルト11の中心を通る軸線11xの間隔11Dは、周方向に隣接するベースプレート500の2つのアンカーボルト孔510の軸線510xの間隔510Dと同じ又は略同じである。
【0029】
なお、本実施の形態において、ベースプレート500のアンカーボルト孔510に挿通される部分としてボルト11が使用されているが、ベースプレート500のアンカーボルト孔510に挿通可能な棒状の部材であれば、特にボルトに限定されない。
【0030】
一対の取付け部材10は、互いに所定の間隔をあけて設けられていて、2つのボルト11の位置は、取付け部材10の他端部10b側の縁から互いに同じ位置に設けられている。一対の取付け部材10の間隔10Dは、連結部材20により保持されている。ここで「取付け部材10の間隔10D」は、例えば、各取付け部材10のボルト11の軸線11xの間隔11Dに一致するとともに、ベースプレート500の2つのアンカーボルト孔510の間隔510Dに一致する。
【0031】
連結部材20は、平面視矩形の長尺の板材である。連結部材20は、磁石板21を有する。磁石板21は、連結部材20の長手方向において中央又は略中央に設けられている。磁石板21には後述する水準器30が着脱自在に取り付けられる。磁石板21は、取付け部材10の他端部10bの側とは反対の側に面し、連結部材20の長手方向に延びる基準面20aに取り付けられている。
【0032】
基準面20aは、一対の取付け部材10を連結する方向にかつ連結部材20の厚さ方向に延びる面であり、取付け部材10の一端部10aが面する側に面する面である。基準面20aは、取付け部材10の2つのボルト11の軸線11xを含む仮想平面11fと平行である。ここで、「平行」には許容誤差を持った「略平行」も含む。
【0033】
水準器30は、連結部材20の磁石板21に着脱自在に取り付けられている。水準器30は、ベースプレート500が横たえられた支柱210,220の傾斜端面に取りつける際に、ベースプレート500の4つのアンカーボルト孔510のうち2つのアンカーボルト孔510に取り付けられたセット治具1の連結部材20の基準面20aが水平状態又は略水平状態にあるか否かを測定する。連結部材20の基準面20aは、ボルト11の仮想平面11fと平行であるので、基準面20aが水平状態又は略水平状態であるということは、ボルト11が挿入されたベースプレート500の2つのアンカーボルト孔510が同一の水平面に含まれている、ということになる。なお、水準器30は、公知の水準器であってよく、アナログ式の水準器又はデジタル式の水準器のいずれであってもよい。
【0034】
補強部材40は、連結部材20と同じ部材である。補強部材40は、連結部材20に対して取付け部材10の他端部10bの側に所定の間隔をあけて取付け部材10に連結されている。補強部材40により、一対の取付け部材10同士の接近及び離間がさらに防がれ、間隔10D,11Dを一定に保持することができる。
【0035】
把持部材50は、取付け状態において、ベースプレート500とは反対の側に面する、連結部材20及び補強部材40の面に取り付けられている。把持部材50は、連結部材20及び補強部材40の長手方向において中央又は略中央に設けられている。把持部材50を作業員が把持することにより、セット治具1を持つことができる。
【0036】
次に、支柱210,220にベースプレート500を取り付ける取付け方法について説明する。本発明に係る取付け方法は、堰堤100に設置される捕捉体200の、河川の流れ方向Fに対して傾斜して立設される支柱210,220を横たえて該支柱210,220にベースプレート500を取り付けるベースプレートの取付け方法であって、横たえた状態の支柱210,220に対してベースプレート500を接近させる接近工程S2と、ベースプレート500に周方向において等間隔に形成された少なくとも2つのアンカーボルト孔510が互いに同一の水平面上にあるか否かを測定する測定工程S4;S7と、2つのアンカーボルト孔510が同一の水平面上にある状態においてベースプレート500を支柱210,220に取り付ける取付け工程S5と、を含み、測定工程S4;S7において、ベースプレート500に周方向において等間隔に形成された少なくとも2つのアンカーボルト孔510と同じ間隔10Dをあけて設けられた一対の取付け部10と、該一対の取付け部10をその一端において間隔10Dを保持して連結する連結部20と、該連結部20に設けられた水準器30と、を備えるセット治具1を使用して、一対の取付け部10をそれぞれの他端部10bに設けられたボルト11をアンカーボルト孔510に挿通し、ボルト11がアンカーボルト孔510に挿通された状態において、2つのアンカーボルト孔510が互いに同一の水平面に含まれているか否かを水準器30により測定することを特徴とする。以下、ベースプレート500の取付け方法ついて具体的に説明する。
【0037】
図2は、ベースプレート500の取付け方法のフローチャートである。図3は、ベースプレート500に本発明に係るセット治具1をセットした状態を示す概略図である。以下では、上流側支柱210を例にして説明する。まず、定盤600に支柱210を設置する(設置工程:ステップS1)。例えば、定盤600上に設置してある2本のH鋼610(図6参照)の間に支柱210を載置する。定盤600上への支柱210の設置は、ベースプレート500が取り付けられる支柱210の傾斜端面の先端部211及び後端部212(図4B又は図5参照)が互いに同一の水平面上にあるように設置する。
【0038】
次いで、例えば、クレーンCにより吊り下げられた、支柱210に取り付けるベースプレート500を支柱210の傾斜端面に接近させる(接近工程:ステップS2)。ベースプレート500が支柱210に接触した状態において、支柱210に面するベースプレート500の面には予め支柱210が取り付けられる位置が罫書きされている。ベースプレート500の罫書きされた位置と支柱210とを位置合わせする。
【0039】
この状態において、例えば、スコヤを介して定盤600に対するベースプレート500の角度を測定する。つまり、ベースプレート500が定盤600に対して直角をなしているか否かを確認する。ベースプレート500が定盤600に対して直角をなし、かつ、支柱210の傾斜端面とベースプレート500が面接触しているようになっていることを確認する。
【0040】
次いで、吊下げ状態にあるベースプレート500の下側の2つのアンカーボルト孔510にセット治具1をセットする(セット工程:ステップS3)。具体的には、セット治具1の各取付け部材10のボルト11を、ベースプレート500の下側の2つのアンカーボルト孔510に挿通させる。
【0041】
セット治具1をベースプレート500にセットした後、水準器30によってセット治具1の連結部材20の基準面20aが水平状態又は略水平状態にあるか否かを測定する、ひいては、ベースプレートの4つのアンカーボルト孔510のうちボルト11が挿入されている2つのアンカーボルト孔510が同一の水平面に含まれているか否かを測定する(測定工程:ステップS4)。ここで「水平状態又は略水平状態」とは、例えば、完全な水平状態から所定の許容誤差を含んでいてよい。
【0042】
水準器30が水平状態又は略水平状態を示した場合(ステップS4:YES)、ベースプレート500を支柱210に所定の治具を用いて仮固定し、支柱210とベースプレート500とを溶接により互いに固定する(固定工程:ステップS5)。これにより、支柱210に対するベースプレート500の取付け作業は終了する。
【0043】
測定工程S4において、水準器30が示す測定結果が水平状態又は略水平状態であると認識できない場合、支柱210に対するベースプレート500の位置を調整する(調整工程:ステップS6)。具体的には、ベースプレート500の上側の2つのアンカーボルト孔510に掛けられているクレーンCによる吊上げ量を調整する。例えば、水準器30により、ベースプレート500に形成された4つのアンカーボルト孔510のうち、一方の側(例えば、図3において右側にある上側及び下側のアンカーボルト孔510)及び他方の側(例えば、図3において左側にある上側及び下側のアンカーボルト孔510)がいずれかの側のアンカーボルト孔510に対して傾いて下側の位置にあることが分かる。
【0044】
水準器30の測定結果に基づいて、クレーンCにより、セット治具1の連結部材20の基準面20aが水平状態又は略水平状態になるように調整する。この作業は、水準器30を確認しながら行い、つまり、水準器30によってセット治具1が水平状態又は略水平状態にあるか否かを測定(再測定工程:ステップS7)しながら実施される。
【0045】
調整工程S6及び再測定工程S7は、セット治具1が水平状態又は略水平状態になるまで実施される。つまり、セット治具1の連結部材20の基準面20aが水平状態又は略水平状態であると確認される(ステップS7:YES)と、固定工程S5を実施し、セット治具1が水平状態又は略水平状態にないと確認された場合(ステップS7:NO)、調整工程S6を実施する。
【0046】
なお、測定工程S4及び再測定工程S7において水平状態又は略水平状態であることが確認された後に、ベースプレート500の上側の2つのアンカーボルト孔510それぞれから定盤600までの間隔600Dを測定してもよい。
【0047】
捕捉体200において流れ方向Fに傾斜して立設されているいずれの支柱210に対しても、傾斜端面の先端部211及び後端部212に対するベースプレート500におけるアンカーボルト孔510の位置が同じ又は略同じになるようにベースプレート500を取りつける必要がある。例えば、各支柱210をコンクリート基礎300に固定する4本のアンカーボルト400は、2列に捕捉体200の幅方向に延びて設けられている(図5参照)。そのため、支柱210に対して単にベースプレート500を取りつけるのではなく、接地側の傾斜端面の先端部211及び後端部212に対する4つのアンカーボルト孔510の角度位置に留意する必要がある。以上のように、本発明に係るセット治具1により、堰堤における捕捉体の傾斜して立設する支柱210に対してベースプレート500を容易に取り付けることができる。
【0048】
セット治具1の一対の取付け部10は、ベースプレート500の2つのアンカーボルト孔510と同じ又は略同じ間隔をあけて連結部材20に対して直角又は略直をなしている。これにより、支柱210を横たえてベースプレート500を取り付ける際に、ベースプレート500の下側の2つのアンカーボルト孔510にボルト11が挿通された状態において、セット治具1の連結部材20の基準面20aが水平又は略水平方向に延びていることが確認できれば、ベースプレートの下側の2つのアンカーボルト孔510が互いに同一又は略同一の水平面に含まれていることとなる。ベースプレート500にセットされたセット治具1の水準器30において水平状態又は略水平状態を確認することができれば、支柱210の先端部211及び後端部212に対してベースプレート500のアンカーボルト孔510の位置が所望の位置にあることが容易に分かる。
【0049】
<その他>
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。例えば、上記実施の形態において、一対の取付け部材10は、連結部材20及び補強部材40に対して長手方向において位置固定されていたが、連結部材20及び補強部材40に対して長手方向に沿って可動であってもよい。これにより、サイズの種々異なるベースプレート500に形成された、互いの間隔が種々異なる孔に対しても同じセット治具を適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1・・・セット治具
10・・・取付け部材(取付け部)、10a・・・一端部(一端)、10b・・・他端部(他端)、10D・・・間隔、11・・・ボルト(挿通部)、20・・・連結部材(連結部)、30・・・水準器、40・・・補強部材、50・・・把持部材
100・・・砂防堰堤、200・・・捕捉体、210,220・・・支柱、300・・・コンクリート基礎、400・・・アンカーボルト、500・・・ベースプレート、510・・・アンカーボルト孔(孔)
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6