(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010449
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】耐火目地構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/94 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
E04B1/94 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114591
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 清一
(72)【発明者】
【氏名】古河 春樹
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001FA04
2E001FA52
2E001GA12
2E001GA42
2E001HA11
2E001HA32
2E001HB01
2E001MA04
(57)【要約】
【課題】目地材の位置ずれを抑制することができて、耐火性能を確保しやすい耐火目地構造を提供することを、目的とする。
【解決手段】耐火目地構造1は、第一パネルP1と、第一パネルP1と隣接する第二パネルP2と、第一パネルP1と第二パネルP2の間に挟み込まれる縦目地材5と、を備える。第一パネルP1は、第二パネルP2に対向する側面に、縦目地材5の一部が収容される第一凹部20を有する。第二パネルP2は、第一パネルP1に対向する側面に、縦目地材5の他の一部が収容される第二凹部21を有する。縦目地材5は、第一凹部20及び第二凹部21に収容される耐火材6と、耐火材6を第一パネルP1に保持する保持部材7と、を有する。第一パネルP1は、第一パネルP1の内側に芯材2を有する。保持部材7は、芯材2に埋め込まれる埋め込み部70と、耐火材6を保持する保持部71と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一パネルと、
前記第一パネルと隣接する第二パネルと、
前記第一パネルと前記第二パネルの間に挟み込まれる縦目地材と、を備え、
前記第一パネルは、前記第二パネルに対向する側面に、前記縦目地材の一部が収容される第一凹部を有し、
前記第二パネルは、前記第一パネルに対向する側面に、前記縦目地材の他の一部が収容される第二凹部を有し、
前記縦目地材は、
前記第一凹部及び前記第二凹部に収容される耐火材と、
前記耐火材を前記第一パネルに保持する保持部材と、を有し、
前記第一パネルは、前記第一パネルの内側に芯材を有し、
前記保持部材は、
前記芯材に埋め込まれる埋め込み部と、
前記耐火材を保持する保持部と、を有する、
ことを特徴とする耐火目地構造。
【請求項2】
前記埋め込み部は、
前記芯材から前記埋め込み部が抜けることを抑える抜け止め構造を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の耐火目地構造。
【請求項3】
前記埋め込み部は、
前記保持部から突出した一対の挿入片を有し、
前記一対の挿入片は、互いに近づく方向に突出した突出部を含み、
前記突出部が、前記抜け止め構造を構成する、
ことを特徴とする請求項2に記載の耐火目地構造。
【請求項4】
前記縦目地材は、
前記保持部を前記芯材に固定する固定具を更に有する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の耐火目地構造。
【請求項5】
前記縦目地材は、
前記第一パネルの厚み方向において、前記耐火材と並んで位置する第二耐火材と、
前記第二耐火材を前記保持部に固定する留め具と、を更に有する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の耐火目地構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、耐火目地構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、耐火パネルの外側面に複合耐火目地材を接着し、この耐火パネルを複合耐火目地材を介して隣接する他の耐火パネルの外側面に圧接し、複合耐火目地材を二枚の耐火パネル間に挟着した耐火壁が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に記載の耐火壁では、複合耐火材が接着された耐火パネルを他の耐火パネルに対して建て込む際に、複合耐火目地材の位置が初期位置からずれて、二枚の耐火パネルの間から複合耐火目地材がはみ出す等の不具合が生じるおそれがあり、この場合、耐火性能が低下する。
【0005】
上記事情に鑑みて、本開示は、目地材の位置ずれを抑制することができて、耐火性能を確保しやすい耐火目地構造を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る一態様の耐火目地構造は、第一パネルと、前記第一パネルと隣接する第二パネルと、前記第一パネルと前記第二パネルの間に挟み込まれる縦目地材と、を備える。前記第一パネルは、前記第二パネルに対向する側面に、前記縦目地材の一部が収容される第一凹部を有する。前記第二パネルは、前記第一パネルに対向する側面に、前記縦目地材の他の一部が収容される第二凹部を有する。前記縦目地材は、前記第一凹部及び前記第二凹部に収容される耐火材と、前記耐火材を前記第一パネルに保持する保持部材と、を有する。前記第一パネルは、前記第一パネルの内側に芯材を有する。前記保持部材は、前記芯材に埋め込まれる埋め込み部と、前記耐火材を保持する保持部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る一態様の耐火目地構造によれば、目地材の位置ずれを抑制することができて、耐火性能を確保しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示に係る第一実施形態の耐火目地構造を示す概略的な平断面図である。
【
図2】
図2は、同上の耐火目地構造が備える第一パネルを示す斜視図である。
【
図4】
図4Aは、同上の耐火目地構造が備える保持部材を示す斜視図である。
図4Bは、同上の保持部材を示す平面図である。
図4Cは、同上の保持部材を示す背面図である。
図4Dは、同上の保持部材を示す正面図である。
【
図5】
図5Aから
図5Cは、同上の第一パネルを平置きにして、縦目地材を取り付ける工程を示す概略的な正面断面図である。
図5Dは、同上の第一パネルを建て起こして、縦目地材を第二パネルとの間に挟み込んだ状態を示す概略的な平断面図である。
【
図6】
図6は、本開示に係る第二実施形態の耐火目地構造を示す概略的な平断面図である。
【
図7】
図7Aは、同上の耐火目地構造が備える保持部材を示す斜視図である。
図7Bは、同上の保持部材を示す平面図である。
図7Cは、同上の保持部材を示す背面図である。
図7Dは、同上の保持部材を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第一実施形態)
1.概要
図1に示す第一実施形態の耐火目地構造1は、第一パネルP1と、第一パネルP1と隣接する第二パネルP2と、第一パネルP1と第二パネルP2の間に挟み込まれる縦目地材5と、を備える。第一パネルP1は、第二パネルP2に対向する側面に、縦目地材5の一部が収容される第一凹部20を有する。第二パネルP2は、第一パネルP1に対向する側面に、縦目地材5の他の一部が収容される第二凹部21を有する。縦目地材5は、第一凹部20及び第二凹部21に収容される耐火材6と、耐火材6を第一パネルP1に保持する保持部材7と、を有する。第一パネルP1は、第一パネルP1の内側に芯材2を有する。保持部材7は、芯材2に埋め込まれる埋め込み部70と、耐火材6を保持する保持部71と、を有する。
【0010】
上記構成を備えることで、本実施形態の耐火目地構造1では、第一パネルP1の側面に装着される耐火材6を、第一パネルP1の側面の第一凹部20に収容したうえで、保持部材7によって保持することができる。ここで、本実施形態の耐火目地構造1では、保持部材7の埋め込み部70を第一パネルP1の内側の芯材2に埋め込むことができるため、保持部材7及び保持部材7によって保持される耐火材6を位置決めしやすい。そのため、本実施形態の耐火目地構造1では、縦目地材5(耐火材6及び保持部材7)を装着した第一パネルP1と第二パネルP2とを建て込む際に、第二パネルP2の第二凹部21に縦目地材5を差し込みやすく、第二パネルP2との接触により縦目地材5が位置ずれを起こすことを抑制できる。これにより、本実施形態の耐火目地構造1では、縦目地材5の位置ずれを抑制できて、耐火性能を確保しやすい。
【0011】
2.詳細
続いて、
図1から
図5に示す本実施形態の耐火目地構造1の各構成について更に詳しく説明する。以下では、
図1に示す耐火目地構造1を基準として、第一パネルP1と第二パネルP2とが並ぶ方向を左右方向とし、第一パネルP1及び第二パネルP2の厚み方向を前後方向とし、この前後方向及び左右方向に対して直交する方向を上下方向として、耐火目地構造1の各構成について詳しく説明する。
【0012】
2-1.第一パネル及び第二パネル
本実施形態の耐火目地構造1では、第一パネルP1と第二パネルP2は、同じ構造のサンドイッチパネルで構成されている。そこで、以下では、第一パネルP1について詳しく説明する。
【0013】
図2及び
図3に示す第一パネルP1は、建築用のパネルであり、例えば、外壁材として用いられる。第一パネルP1は、芯材2と、芯材2を前側から覆う金属外皮3と、芯材2を後側から覆う金属外皮4と、を備える。第一パネルP1は、第一パネルP1の内側に芯材2を有している。第一パネルP1を外壁材として用いる場合、金属外皮3は第一パネルP1の屋外側の面を構成し、金属外皮4は、第一パネルP1の屋内側の面を構成する。
【0014】
第一パネルP1は、矩形板状である。第一パネルP1は、上下方向に対して平行な長手方向と、左右方向に対して平行な短手方向と、前後方向に対して平行な厚み方向とを有する。第一パネルP1は、例えば、上下方向の長さが、500~6000mmであり、左右方向の長さ(幅)が、200~1500mmであり、前後方向の長さ(厚み)が、50~150mmである。
【0015】
2-1-1.芯材
芯材2は、その全体形状が、矩形の板状である。全体形状が板状とは、1枚の板に限らず、複数の部材を1枚の板をなすように並べたものも含まれる。
【0016】
芯材2は、左の側面202、右の側面203、前面204、及び後面205を有する。芯材2は、右の側面203に上下方向に延びた第一凹部20を有し、左の側面202に上下方向に延びた第二凹部21を有する。凹部20,21は、芯材2の左右の側面202,203の前後方向のほぼ中央に位置し、かつ芯材2の左右の側面202,203の上下方向の全長にわたって位置する。
【0017】
芯材2は、ロックウールやグラスウールなどの繊維状無機材で形成される。芯材2は、断熱性を有する。芯材2は、左右方向に並んだ複数のブロック体で構成される。複数のブロック体のそれぞれは、繊維状無機材をバインダー等でブロック状に固めたものである。
【0018】
複数のブロック体のうち、右端に位置するブロック体の右の側面に、第一凹部20が設けられ、複数のブロック体のうち、左端に位置するブロック体の左の側面に、第二凹部21が設けられている。複数のブロック体のそれぞれは、繊維状無機材の長手方向が、前後方向に沿っている。第一凹部20と第二凹部21のそれぞれの前後方向の長さ(つまり幅)は、例えば、30~60mmであり、第一凹部20と第二凹部21のそれぞれの左右方向の長さ(つまり深さ)は、例えば、10~20mmである。
【0019】
2-1-2.金属外皮
金属外皮3,4のそれぞれは、金属板をロール加工やプレス加工などにより所望の形状に成形することによって得られる。金属板は、例えば、厚みが0.25~2.0mmである。金属板は、塗装鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、エスジーエル(登録商標)鋼板等であるが、これらに限定されない。
【0020】
金属外皮3は、後側に向けて開口した矩形の箱状である。金属外皮3は、芯材2の前面204を覆う矩形板状の本体部30と、芯材2の上面を覆う上の壁部31と、芯材2の下面を覆う下の壁部32と、芯材2の左の側面202のうち第二凹部21よりも前側の部分を覆う左の壁部33と、芯材2の右の側面203のうち第一凹部20よりも前側の部分を覆う右の壁部34と、を有する。
【0021】
本体部30に対して上下左右の壁部31,32,33,34のそれぞれは、直角又は略直角である。左右の壁部33,34は、矩形の平板部330,340と、平板部330,340の後端から左右方向外側に略直角に突出した矩形板状の突出部331,341とを有する。壁部31,32,33,34のうち、周方向に隣接する2つの壁部の間には、開口35(
図2参照)が形成される。
【0022】
金属外皮4は、芯材2の後面205を覆う矩形板状の本体部40と、芯材2の左の側面202のうち第二凹部21よりも後側の部分を覆う左の壁部41と、芯材2の右の側面203のうち第一凹部20よりも後側の部分を覆う右の壁部42と、を有する。左の壁部41は、本体部40の左縁から前側に突出し、右の壁部42は、本体部40の右縁から前側に突出している。
【0023】
左右の壁部41,42のそれぞれは、平面視U字状に湾曲した湾曲部410,420と、湾曲部410,420の前端部から前側に突出した矩形状の平板部411,421と、を有する。
【0024】
金属外皮3,4のそれぞれは、本体部30,40が芯材2の前後の面204,205に接着されて、芯材2と一体化することで、第一パネルP1を形成する。金属外皮3に形成される開口35は、シーリング材とシーリング材を受ける受け材等によって閉塞される。
【0025】
2-1-3.その他
第一パネルP1は、上下左右の壁部31,32,33,34のそれぞれに取り付けられる止水パッキン8を更に備える。止水パッキン8は、上の壁部31の上面の前後方向の中央部と、下の壁部32の下面の前後方向の中央部(図示略)と、左右の壁部33,34の平板部330,340の後端部のそれぞれに、取り付けられる直線状の複数のパッキン80と、上下左右の壁部31,32,33,34の各コーナーに取り付けられるL字状の複数のコーナーパッキン81と、を含む。複数のパッキン80のそれぞれは、長手方向に直交する断面が、中空の半円形状である。複数のコーナーパッキン81のそれぞれは、L字状の中実なブロックである。複数のパッキン80と複数のコーナーパッキン81は、第一パネルP1を全周にわたって囲むように正面視にて矩形枠状に設けられる。複数のパッキン80と複数のコーナーパッキン81とは、接着剤等で互いに接合される。複数のパッキン80と複数のコーナーパッキン81のそれぞれは、例えば合成ゴム製である。複数のパッキン80と複数のコーナーパッキン81のそれぞれは、内面側(壁部31,32,33,34側)に粘着面が設けられており、上下左右の壁部31,32,33,34に対して接着剤を用いずに取り付けることができる。
【0026】
2-2.縦目地材
本実施形態では、縦目地材5は、
図1に示すように、耐火材6、保持部材7、固定具9、第二耐火材10、留め具11、及びカバー材12を有する。
【0027】
2-2-1.耐火材
耐火材6は、第一パネルP1の第一凹部20と第二パネルP2の第二凹部21に対して上下方向の全長にわたって収容される。耐火材6は、上下方向に対して平行な長手方向を有する。
【0028】
耐火材6は、凹部20内の前側の部分に収容される。耐火材6は、第一パネルP1の芯材2よりも硬質でありかつ耐火性の高い部材である。耐火材6は、本実施形態では、強化石膏ボードである。なお、耐火材6は、強化石膏ボードに限らず、その他の、耐火性を有する部材であってもよく、例えば、石膏ボードや、珪酸カルシウムボードであってもよい。
【0029】
耐火材6は、本実施形態では、上下方向(第一パネルP1の長さ方向)に突き合わせて配置された複数の部材で構成される。耐火材6は、全体として、芯材2と同じ上下長さを有する。本実施形態では、耐火材6を構成する複数の部材のそれぞれは、角棒状である。耐火材6を構成する複数の部材のそれぞれは、長手方向にわたって断面形状が一定であり、断面形状は矩形状である。本実施形態では、耐火材6を構成する複数の部材のそれぞれは、二枚の強化石膏ボードを前後方向に重ね合わせて形成される。なお、耐火材6は、複数の部材ではなく、1つの部材で構成されてもよい。
【0030】
耐火材6の左右方向の長さは、第一パネルP1の第一凹部20、第一パネルP1の金属外皮3の突出部341、第二パネルP2の金属外皮3の突出部331、及び第二パネルP2の第二凹部21の左右方向の長さを足し合わせた長さよりも若干長い。耐火材6の前後方向の長さは、凹部20,21の前後方向の長さよりも短く、第二耐火材10の前後方向の長さよりも長い。耐火材6の左右方向の長さは、例えば50mmであり、耐火材6の前後方向の長さは、例えば30mmである。
【0031】
2-2-2.第二耐火材
第二耐火材10は、第一パネルP1の厚み方向において、耐火材6と並んで位置する。第二耐火材10は、耐火材6よりも後側に位置する。第二耐火材10は、本実施形態では、耐火フェルトである。耐火フェルトは、生体溶解性繊維で形成される。耐火フェルトは、例えば、アルカリ・アース・シリケート(AES)ブランケットである。なお、第二耐火材10は、耐火フェルトに限らず、その他の、耐火性を有するシート状の部材であってもよい。
【0032】
第二耐火材10は、前後方向(第一パネルP1の厚み方向)に重なるように折り曲げられた1枚の耐火フェルトを、複数、上下方向(第一パネルP1の長さ方向)に並べて構成される。複数の耐火フェルトは、例えば、上下方向の端部同士が前後方向に重なり合うように配置される。なお、複数の耐火フェルトは、上下方向に突き合わせて配置してもよい。第二耐火材10は、全体として芯材2と同じ上下長さを有する。第二耐火材10の左右方向の長さは、耐火材6の左右方向の長さと同じである。
【0033】
耐火材6を構成する複数の部材の、隣接する部材同士の突き合わせ部分は、第二耐火材10によって覆うことができ、これにより、この突き合わせ部分の耐火性の低下を抑えることができる。第二耐火材10の左右方向の長さは、例えば50mmであり、第二耐火材10の前後方向の長さは、例えば13mmである。なお、第二耐火材10は、1つの耐火フェルトで構成されてもよい。
【0034】
2-2-3.保持部材
図1及び
図4AからDに示す保持部材7は、第一パネルP1の芯材2に埋め込まれる埋め込み部70と、耐火材6を保持する保持部71と、保持部71の移動を規制する移動規制部72と、を有する。保持部材7は、耐火材6に比べて上下方向に短い部材である。耐火材6は、複数の保持部材7によって、耐火材6の長手方向の複数部分が保持される。複数の保持部材7は、構造が互いに同じである。
【0035】
保持部材7は、本実施形態では、金属板で形成されている。金属板の厚みは、第一パネルP1の芯材2に埋め込み部70が埋め込みやすく、かつ留め具11が貫通しやすい厚みであり、例えば、0.5~1.2mmである。
【0036】
保持部材7は、保持部71として、耐火材6の第一面(詳しくは前面)を保持する第一保持部710と、第一保持部710と連続し、耐火材6の第二面(詳しくは右面)を保持する第二保持部711と、第二保持部711と連続し、耐火材6の第三面(詳しくは後面)を保持する第三保持部712と、を有する。保持部71は、略U字状である。
【0037】
本実施形態では、第一保持部710、第二保持部711、及び第三保持部712のそれぞれは、矩形板状である。第一保持部710、第二保持部711、及び第三保持部712は、上下方向の長さが互いに同じである。第二保持部711は、前後方向に対して平行であり、第一保持部710及び第三保持部712は、左右方向に対して平行である。第一保持部710は、第二保持部711の前端から左方に突出し、第三保持部712は、第二保持部711の後端から左方に突出している。第一保持部710と第三保持部712は、互いに平行である。
【0038】
第三保持部712には、固定具9が通される挿通部73が設けられている。挿通部73は、本実施形態では、第三保持部712を厚み方向(前後方向)に貫通する孔である。挿通部73は、第三保持部712の上下方向の中央部に設けられている。
【0039】
第一保持部710には、固定具9が通される第二挿通部74が設けられている。第二挿通部74は、本実施形態では、第一保持部710の一端(左端)から切り欠かれた矩形状の切り欠き孔である。第二挿通部74は、第一保持部710の上下方向の中央部に位置し、かつ挿通部73よりも左側(埋め込み部70側)に位置している。そのため、挿通部73及び第二挿通部74には、埋め込み部70の突出方向に対して交差する方向に、固定具9が挿通される。
【0040】
保持部材7は、埋め込み部70として、第一保持部710と第三保持部712のそれぞれから第二保持部711とは反対側(つまり左側)に延びた複数の挿入片700を有する。複数の挿入片700のそれぞれは、抜き止め構造を有する。
【0041】
複数の挿入片700は、本実施形態では、第一保持部710から延びた2つの挿入片700と、第三保持部712から延びた2つの挿入片700とで構成される。第一保持部710から延びた2つの挿入片700は、第一保持部710と同一平面上に位置し、第一保持部710と前後方向の厚みが同じである。第三保持部712から延びた2つの挿入片700は、第三保持部712と同一平面上に位置し、第三保持部712と前後方向の厚みが同じである。
【0042】
複数の挿入片700のそれぞれは、突出方向の先端面(左端面)がテーパー状である。複数の挿入片700のそれぞれは、挿入片700の突出方向に対して交差する方向(本実施形態では直交する方向)に突出した複数の突出部701を含む。本実施形態では、複数の突出部701のそれぞれは、三角形状である。複数の挿入片700のそれぞれは、突出方向の先端側に位置する上下2つの突出部701と、突出方向の基端側に位置する上下2つの突出部701とを有する。4つの突出部701が、挿入片700の抜け止め構造を構成している。このように、本実施形態の挿入片700は、突出方向の先端面がテーパー状であり、複数の突出部701を有することで、第一パネルP1の芯材2に対して挿入しやすくて埋め込みやすく、かつ芯材2から抜け落ちにくい。
【0043】
移動規制部72は、本実施形態では、第三保持部712から第一保持部710とは反対側に突出した突出片720で構成されている。突出片720は、第三保持部712の先端(左端)から後方に突出している。突出片720は、第三保持部712の先端のうち、2つの挿入片700の間の部分から突出している。本実施形態では、突出片720は、矩形板状である。
【0044】
突出片720は、保持部材7の埋め込み部70を芯材2に差し込んで埋め込む際に、第一凹部20の底面に当たる(
図1参照)。これにより、移動規制部72は、保持部材7の差し込み方向への移動を規制することができる。
【0045】
2-2-4.固定具
図1に示すように、固定具9は、保持部71を第一パネルP1の芯材2に固定する。固定具9は、ビス、又は釘等である。固定具9は、例えば、金属製である。
【0046】
固定具9は、挿通部73と第二挿通部74とを挿通するように、保持部71に打ち込まれる。そのため、固定具9は、埋め込み部70の突出方向(言い換えると差込方向)に対して交差する方向に、保持部71及び耐火材6を貫通して、保持部71及び耐火材6を芯材2に固定する。これにより、固定具9は、保持部材7の抜け止め構造としても機能する。
【0047】
2-2-5.留め具
留め具11は、第二耐火材10を保持部71に固定する。留め具11は、例えば、ステープルである。なお、留め具11は、ステープルに限定されない。例えば、留め具11は、釘、ねじ等であってもよい。
【0048】
本実施形態では、留め具11は、第三保持部712の後面に重なるように配置された第二耐火材10に打ち込まれることで、第二耐火材10及び第三保持部712を貫通して、第二耐火材10を保持部71に固定する。留め具11は、第三保持部712のうち、挿通部73からずれた部分(例えば挿通部73と第二保持部711との間の部分)に、第二耐火材10を固定する。
【0049】
2-2-6.カバー材
カバー材12は、第一パネルP1の厚み方向において、第二耐火材10に対して耐火材6とは反対側に並ぶ。カバー材12は、第二耐火材10を覆って、第二耐火材10の露出を防ぐ。
【0050】
カバー材12は、耐火材6と同じ上下長さを有する。カバー材12は、上下方向に対して平行な長手方向を有する。カバー材12は、長手方向にわたって断面形状が一定である。なお、カバー材12は、耐火材6よりも短い複数の部材で構成されてもよい。この場合、複数の部材は、その長手方向の端面同士が突き合わさるように配置されるか、あるいは、その長手方向の端部同士が重なるように配置される。
【0051】
カバー材12は、本実施形態では、1枚の金属板を折り曲げて形成されている。金属板の厚みは、例えば、0.5mmである。金属板としては、例えば、塗装鋼板が用いられる。カバー材12は、耐火性を有する。本実施形態では、カバー材12の長手方向に直交する断面形状は、ハット型である。
【0052】
カバー材12は、第二耐火材10に当たる左右一対の当て部120,121と、左右一対の当て部120,121の間に介在し、第二耐火材10から離れる方向(つまり後方)に突出した突出部122と、を有する。
【0053】
左右一対の当て部120,121が、第一凹部20と第二凹部21にそれぞれを収納されることで、カバー材12はパネルP1,P2によって保持される。突出部122の左右の側壁のそれぞれは、平板部421,411と平行に位置する。
【0054】
2-3.耐火目地構造の施工方法
続いて、
図5Aから
図5Dに示す本実施形態の耐火目地構造1の施工方法の一例について説明する。この施工方法は、目地材装着工程と、パネル設置工程と、を備える。
【0055】
目地材装着工程は、金属外皮3が第一パネルP1の下面を構成するように、第一パネルP1を平置きにした状態で行われる。以下では、第一パネルP1を平置きにした状態を基準に、上下方向及び左右方向を設定して、目地材装着工程について説明する。目地材装着工程は、工場又は施工現場にて行われる。
【0056】
目地材装着工程では、まず、
図5Aに示すように、第一パネルP1の芯材2の第一凹部20に耐火材6を挿入した後、第一凹部20に保持部材7を挿入する。このとき、保持部材7の保持部71の内側に耐火材6が差し込まれ、第一パネルP1の芯材2に保持部材7の埋め込み部70が埋め込まれるように、第一凹部20に保持部材7を挿入する。保持部材7の移動規制部72が、第一凹部20の底面に当たることで、保持部材7の挿入方向への移動が規制される。なお、保持部材7に耐火材6を取付けた後に芯材2の第一凹部20に保持部材7を挿入しても良い。
【0057】
次いで、
図5Bに示すように、保持部71の挿通部73に、斜め上方から固定具9を打ち込む。固定具9は、保持部71の挿通部73と第二挿通部74とを通るように、保持部71に打ち込まれる。これにより、保持部71及び保持部71によって保持された耐火材6が、固定具9によって第一パネルP1の芯材2に固定される。
【0058】
上述した方法で、第一パネルP1に複数の保持部材7を装着する。複数の保持部材7は、第一パネルP1の長さ方向に間隔をおいて配置される。これにより、耐火材6は、長手方向の複数の部分が、複数の保持部材7によって保持される。なお、固定具9による保持部71の固定は、複数の保持部材7のうちの一部にだけ行ってもよい。
【0059】
次いで、
図5Cに示すように、第二耐火材10を耐火材6及び第三保持部712の上面に載せ、第二耐火材10の一部(左端部)を第一凹部20に収容する。次いで、第二耐火材10の上方から留め具11を打ち込んで、第二耐火材10を保持部材7に固定する。これにより、第二耐火材10が保持部材7によって保持される。
【0060】
本実施形態では、目地材装着工程のうち、
図5A、Bに示す工程は、工場で行われ、
図5Cに示す工程は、施工現場にて行われる。
【0061】
図5Cに示すように、第一パネルP1の第一凹部20に、耐火材6、保持部材7、及び第二耐火材10を装着したら、第一パネルP1を平置き姿勢から起立姿勢へと建て起こして、パネル設置工程を行う。パネル設置工程は、施工現場にて行われる。
【0062】
パネル設置工程では、
図5Dに示すように、起立姿勢の第一パネルP1を、起立姿勢の第二パネルP2の側方(左方)に配置する。このとき、カバー材12を第二耐火材10の後方に配置し、第二パネルP2の側面の第二凹部21に縦目地材5(耐火材6、保持部材7、第二耐火材10、及びカバー材12)が収まるように設置する。
【0063】
上述した方法で二枚のパネルP1,P2を設置することで、二枚のパネルP1,P2の間に縦目地材5(耐火材6、保持部材7、第二耐火材10及びカバー材12)が挟み込まれて、耐火目地構造1が形成される。耐火目地構造1では、二枚のパネルP1,P2は、止水パッキン8同士が突き合わさる。
【0064】
2-4.作用効果
以上説明した本実施形態の耐火目地構造1では、第一パネルP1の側面に装着される耐火材6を、第一パネルP1の側面の第一凹部20に収容したうえで、保持部材7によって保持することができる。ここで、本実施形態の耐火目地構造1では、保持部材7の埋め込み部70を第一パネルP1の内側の芯材2に埋め込むことができるため、保持部材7及び保持部材7によって保持される耐火材6を位置決めしやすい。そのため、本実施形態の耐火目地構造1では、縦目地材5(耐火材6及び保持部材7)を装着した第一パネルP1と第二パネルP2とを建て込む際に、第二パネルP2の第二凹部21に縦目地材5を差し込みやすく、第二パネルP2との接触により縦目地材5が位置ずれを起こすことを抑制できて、耐火性能を確保しやすい。
【0065】
また、本実施形態の耐火目地構造1では、埋め込み部70が抜け止め構造(複数の突出部701)を有しているため、芯材2から埋め込み部70が抜けにくくて、保持部材7のがたつきを抑えやすい。
【0066】
また、本実施形態の耐火目地構造1では、保持部材7の保持部71を固定具9で芯材2に固定するため、保持部材7のがたつきを更に抑えやすい。
【0067】
また、本実施形態の耐火目地構造1では、第一パネルP1の厚み方向において、耐火材6と並んで位置する第二耐火材10を有するため、耐火材6が複数の部材で構成され、互いに突き合わさる突き合わせ部が生じる場合には、この突き合わせ部を第二耐火材10で覆うことができ、突き合わせ部における耐火性の低下を抑制しやすい。
【0068】
また、本実施形態の耐火目地構造1では、第二耐火材10を保持部71に固定する留め具11を有するため、保持部材7によって耐火材6と第二耐火材10の両方を保持できる。
【0069】
また、本実施形態の耐火目地構造1では、保持部材7が移動規制部72を有するため、保持部材7の埋め込み部70を芯材2に対して埋め込む際に、移動規制部72が芯材2に当たって、芯材2に保持部材7が所定以上埋め込まれることを抑制できる。そのため、本実施形態の耐火目地構造1では、第一パネルP1の側面における保持部材7及び耐火材6の位置が安定しやすい。
【0070】
また、本実施形態の耐火目地構造1では、固定具9が保持部材7の埋め込み部70の突出方向(言い換えると挿入方向)に対して交差する方向に延びて、保持部71を芯材2に固定しているため、固定具9によっても保持部材7の抜け止めを行うことができる。
【0071】
また、本実施形態の耐火目地構造1では、保持部材7が金属板で形成されているため、火災時に保持部材7が燃えて変形、破損等しにくくて、保持部材7による耐火材6の保持を維持しやすい。
【0072】
また、本実施形態の耐火目地構造1では、縦目地材5が、耐火材6と第二耐火材10を含み、耐火材6及び第二耐火材10が第一パネルP1の芯材2よりも耐火性が高い。そのため、本実施形態の耐火目地構造1では、パネルP1,P2の間の目地における耐火性を耐火材6及び第二耐火材10によって確保しやすい。
【0073】
また、本実施形態の耐火目地構造1では、保持部材7の保持部71が耐火材6を3方から覆うように保持するため、保持部材7による耐火材6の保持が安定しやすい。
【0074】
また、本実施形態の耐火目地構造1では、カバー材12によって第二耐火材10を覆うことができるため、二枚のパネルP1,P2間から第二耐火材10が露出することを防ぐことができる。
【0075】
また、本実施形態の耐火目地構造1では、カバー材12の左右一対の当て部120,121を第一凹部20及び第二凹部21に収納して、パネルP1,P2でカバー材12を保持することができるため、カバー材12の位置ズレも防ぎやすい。
【0076】
また、本実施形態の耐火目地構造1では、縦目地材5が金属製のカバー材12を含むことで、縦目地材5自体の耐火性の向上を図りやすい。
【0077】
また、本実施形態の耐火目地構造1では、カバー材12がハット型であることで、カバー材12が持ち運びしやすく、第二耐火材10にカバー材12を重ねる施工が行いやすい。
【0078】
3.変形例
続いて、上述した耐火目地構造1の変形例について説明する。なお、以下に示す各変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0079】
保持部材7は、第一パネルP1の芯材2に埋め込まれる埋め込み部70と、耐火材6を保持する保持部71と、を有するものであればよく、
図4Aに示す構造に限定されない。
【0080】
埋め込み部70は、抜け止め構造を有さなくてもよい。また、保持部材7は、移動規制部72を有さなくてもよい。
【0081】
縦目地材5は、保持部材7の外側に位置する第二耐火材10を有さなくてもよく、この場合、留め具11及びカバー材12は不要である。
【0082】
また、縦目地材5は、留め具11を有さなくてもよく、第二耐火材10は耐火材6に接着等によって固定されてもよいし、第二耐火材10は第一パネルP1と第二パネルP2とで挟持することで耐火材6に対して固定してもよい。
【0083】
また、縦目地材5は、固定具9を有さなくてもよく、保持部材7は、埋め込み部70を芯材2に埋め込むことだけで芯材2に固定されてもよい。この場合、保持部材7は、挿通部73,74を有さなくてもよい。
【0084】
また、保持部材7は、耐火材6のみを囲んで保持するものに限らず、耐火材6と第二耐火材10の両方を囲んで保持するように構成されてもよい。また、保持部材7は、金属製に限らず、樹脂成型品であってもよい。
【0085】
また、カバー材12は、耐火材6を覆うことができる部材であればよく、上述した材質及び形状のものに限定されない。例えば、カバー材12は、断面ハット状に限らず、平板状であってもよい。また、カバー材12は、金属製に限らず、その他の耐火性を有する部材で形成されてもよいし、耐火性を有さない部材で形成されてもよい。
【0086】
また、縦目地材5にカバー材12を有さなくてもよい。
【0087】
また、
図5AからCに示す目地材装着工程は、全て工場で行われてもよく、
図5Dに示すパネル設置工程のみ施工現場で行われてもよい。
【0088】
(第二実施形態)
1.詳細
次に、第二実施形態の耐火目地構造1について、
図6及び
図7AからDに基づいて説明する。なお、本実施形態の耐火目地構造1の基本的な構成及び施工方法は、第一実施形態と共通であるから、第一実施形態と共通する構成については、図面に同じ符号を付して説明を省略する。
【0089】
1-1.保持部材
保持部材7は、埋め込み部70と、保持部71と、を有し、移動規制部72(
図4A参照)を有さない。
【0090】
保持部材7は、保持部71として、第一保持部710、第二保持部711、及び第三保持部712を有する。第二挿通部74は、本実施形態では、第一保持部710の一端(左端)のうち、2つの挿入片700の間の部分に上下方向に全長にわたって位置している。第一保持部710のうち第二挿通部74の上側に対向する面は、上側の挿入片700の下面と面一であり、第一保持部710のうち第二挿入部74の下側に対向する面は、下側の挿入片700の上面と面一である。
【0091】
保持部材7は、埋め込み部70として、第一保持部710から延びた上下2つの挿入片700と、第三保持部712から延びた上下2つの挿入片700とを有する。
【0092】
上側の挿入片700のそれぞれは、突出方向の先端面(左端面)が、下側の部分ほど突出方向と反対側(右側)に位置するように傾斜した先鋭状である。下側の挿入片700のそれぞれは、突出方向の先端面(左端面)が上側の部分ほど突出方向と反対側(右側)に位置するように傾斜した先鋭状である。上下2つの挿入片700のそれぞれは、互いに近づく方向に突出した1つの突出部701を含む。本実施形態では、各突出部701は、三角形状である。上下2つの挿入片700のそれぞれは、突出方向の先端部に突出部701を有する。突出部701が、挿入片700の抜け止め構造を構成している。
【0093】
上側の挿通片700は、保持部710,712の上端部から突出し、下側の挿入片700は、保持部710,712の下端部から突出している。第一保持部710の上面と、第一保持部710から突出する上側の挿入片700の上面とは面一に形成されている。また、第一保持部710の下面と、第一保持部710から突出する下側の挿入片700の下面とは面一に形成されている。第三保持部712と第三保持部712から突出する上下2つの挿入片700も、同様の関係に配置されている。
【0094】
1-2.作用効果
以上説明した本実施形態の耐火目地構造1では、保持部材7の上下2つの挿入片700が、互いに近づく方向に突出する突出部701を有するため、保持部材7を掴んで施工する際に、突出部701に手が当たり難くて、安全性が向上している。また、本実施形態の耐火目地構造1の保持部材7は、第一実施形態の保持部材7に比べて、各部分の形状が簡素化されており、製造しやすい。
【0095】
2.変形例
以上説明した第二実施形態の耐火目地構造1も、上述した第一実施形態の耐火目地構造1の変形例と、適宜組み合わせ可能である。
【0096】
また、保持部材7は、移動規制部72を有してもよい。この場合、移動規制部72は、例えば、第一実施形態の移動規制部72と同様の位置に設けられてもよい。
【0097】
また、各挿入片700には、挿入片700の突出した方向に間隔をおいて並ぶように複数の突出部701が設けられてもよい。
【0098】
(まとめ)
以上説明した第一、二実施形態及びその変形例の耐火目地構造(1)のように、第一態様の耐火目地構造(1)は、下記の構成を備える。
【0099】
すなわち、第一態様の耐火目地構造(1)は、第一パネル(P1)と、第一パネル(P1)と隣接する第二パネル(P2)と、第一パネル(P1)と第二パネル(P2)の間に挟み込まれる縦目地材(5)と、を備える。第一パネル(P1)は、第二パネル(P2)に対向する側面に、縦目地材(5)の一部が収容される第一凹部(20)を有する。第二パネル(P2)は、第一パネル(P1)に対向する側面に、縦目地材(5)の他の一部が収容される第二凹部(21)を有する。縦目地材(5)は、第一凹部(20)及び第二凹部(21)に収容される耐火材(6)と、耐火材(6)を第一パネル(P1)に保持する保持部材(7)と、を有する。第一パネル(P1)は、第一パネル(P1)の内側に芯材(2)を有する。保持部材(7)は、芯材(2)に埋め込まれる埋め込み部(70)と、耐火材(6)を保持する保持部(71)と、を有する。
【0100】
上記構成を備える第一態様の耐火目地構造(1)では、第一パネル(P1)の側面に装着される耐火材(6)を、第一パネル(P1)の側面の第一凹部(20)に収容したうえで、保持部材(7)によって保持することができる。ここで、第一態様の耐火目地構造(1)では、保持部材(7)の埋め込み部(70)を第一パネル(P1)の内側の芯材(2)に埋め込むことができるため、保持部材(7)及び保持部材(7)によって保持される耐火材(6)を位置決めしやすい。そのため、第一態様の耐火目地構造(1)では、縦目地材(5)(耐火材(6)及び保持部材(7))を装着した第一パネル(P1)と第二パネル(P2)とを建て込む際に、第二パネル(P2)の第二凹部(21)に縦目地材(5)を差し込みやすく、第二パネル(P2)との接触により縦目地材(5)が位置ずれを起こすことを抑制できる。これにより、第一態様の耐火目地構造(1)では、施工時の縦目地材(5)の位置ずれを抑制できる。
【0101】
また、上述した第一、二実施形態及びその変形例の耐火目地構造(1)のように、第二態様の耐火目地構造(1)は、第一態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0102】
すなわち、第二態様の耐火目地構造(1)では、埋め込み部(70)は、芯材(2)から埋め込み部(70)が抜けることを抑える抜け止め構造を有する。
【0103】
上記構成を備える第二態様の耐火目地構造(1)では、埋め込み部(70)が芯材(2)から抜けにくくて、保持部材(7)によって耐火材(6)を安定して保持しやすい。
【0104】
また、上述した第二実施形態及びその変形例の耐火目地構造(1)のように、第三態様の耐火目地構造(1)は、第二態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0105】
すなわち、第三態様の耐火目地構造(1)では、埋め込み部(70)は、保持部(71)から突出した一対の挿入片(700)を有する。一対の挿入片(700)は、互いに近づく方向に突出した突出部(701)を含む。突出部(701)が、前記抜け止め構造を構成する。
【0106】
上記構成を備える第三態様の耐火目地構造(1)では、突出部(701)が互いに近づく方向に突出することで、芯材(2)から埋め込み部(70)が抜けることを抑えることができ、加えて、使用者が保持部材(7)を掴んで施工するときに突出部(701)に接触しにくくて、安全性が向上している。
【0107】
また、上述した第一、二実施形態及びその変形例の耐火目地構造(1)のように、第四態様の耐火目地構造(1)は、第一から第三のいずれか1つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0108】
すなわち、第四態様の耐火目地構造(1)では、縦目地材(5)は、保持部(71)を芯材(2)に固定する固定具(9)を更に有する。
【0109】
上記構成を備える第四態様の耐火目地構造(1)では、固定具(9)によって保持部(71)を芯材(2)に固定することができるため、耐火材(6)の位置ズレを更に抑えやすい。
【0110】
また、上述した第一、二実施形態及びその変形例の耐火目地構造(1)のように、第五態様の耐火目地構造(1)は、第一から第四のいずれか一つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0111】
すなわち、第五態様の耐火目地構造(1)では、縦目地材(5)は、第一パネル(P1)の厚み方向において、耐火材(6)と並んで位置する第二耐火材(10)と、第二耐火材(10)を保持部(71)に固定する留め具(11)と、を更に有する。
【0112】
上記構成を備える第五態様の耐火目地構造(1)では、第二耐火材(10)を留め具(11)によって保持部(71)に固定することができるため、第二耐火材(10)も保持部材(7)によって保持することができて、第二耐火材(10)の位置ズレも抑えやすい。
【0113】
以上、本開示を添付図面に示す形態に基づいて説明したが、本開示は上記形態の一例にすぎず、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0114】
1 耐火目地構造
2 芯材
20 第一凹部
21 第二凹部
5 縦目地材
6 耐火材
7 保持部材
70 埋め込み部
700 挿入片
701 突出部
71 保持部
9 固定具
10 第二耐火材
11 留め具
P1 第一パネル
P2 第二パネル