(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104493
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】電力計測装置、及び、分電盤
(51)【国際特許分類】
G01R 11/00 20060101AFI20230721BHJP
G01R 21/00 20060101ALI20230721BHJP
H02B 1/42 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
G01R11/00 B
G01R21/00 Z
H02B1/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005513
(22)【出願日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】榎本 大地
【テーマコード(参考)】
5G211
【Fターム(参考)】
5G211AA04
5G211AA07
5G211DD01
5G211DD04
5G211DD14
5G211DD15
5G211DD16
5G211DD26
5G211DD27
5G211DD35
5G211FF02
(57)【要約】
【課題】時計回路の時刻が初期化された場合に、記憶部に保存されている計測データが消去されることを防ぐことができる電力計測装置を提供する。
【解決手段】電力計測装置100は、施設50に設けられた分岐回路32における消費電力を計測する計測回路15と、時刻を計時する時計回路16と、計測回路15によって計測された消費電力に時計回路16によって計時された時刻が紐づけられた消費電力データを保存する記憶部13と、時計回路16への電力供給がオフされて時計回路16によって計時される時刻が初期化された後に時計回路16に設定された現在時刻に基づいて、記憶部13に保存された消費電力データを消去するか否かを判定する制御部12と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に設けられた分岐回路における消費電力を計測する計測回路と、
時刻を計時する時計回路と、
前記計測回路によって計測された消費電力に前記時計回路によって計時された時刻が紐づけられた消費電力データを保存する記憶部と、
前記時計回路への電力供給がオフされて前記時計回路によって計時される時刻が初期化された後に前記時計回路に設定された現在時刻に基づいて、前記記憶部に保存された前記消費電力データを消去するか否かを判定する制御部と、
を備える
電力計測装置。
【請求項2】
さらに、前記施設が停電したときに前記時計回路によって使用されるバックアップ電源を備え、
前記時計回路への電力供給は、前記バックアップ電源から前記時計回路への電力供給である
請求項1に記載の電力計測装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記記憶部に保存された前記消費電力データのうち、前記時計回路に設定された前記現在時刻よりも未来の時刻に紐づけられた消費電力を示す消費電力データを消去すると判定し、
前記記憶部に保存された前記消費電力データのうち、前記時計回路に設定された前記現在時刻よりも過去の時刻に紐づけられた消費電力を示す消費電力データを消去しないと判定する
請求項1または2に記載の電力計測装置。
【請求項4】
さらに、
前記時計回路によって計時される時刻を定期的に記憶する時刻記憶部と、
前記時刻記憶部に記憶された最新の時刻を含む、前記現在時刻を設定するための設定画面を表示する表示部と
を備え、
前記制御部は、前記設定画面に入力された時刻情報に基づいて前記現在時刻を設定する
請求項1~3のいずれか1項に記載の電力計測装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記設定画面に表示されている前記最新の時刻が正確な現在時刻ではないことを提示する
請求項4に記載の電力計測装置。
【請求項6】
さらに、外部装置が保持する時刻情報を前記外部装置から受信する通信部を備え、
前記制御部は、受信された前記時刻情報に基づいて前記現在時刻を設定する
請求項1~3のいずれか1項に記載の電力計測装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記現在時刻の設定において、ユーザに確認を促す通知を提示する
請求項1~6のいずれか1項に記載の電力計測装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の電力計測装置を備える、
分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力計測装置、及び、分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、複数の分岐回路に関する回路情報及び電力計測器により計測された各分岐回路の電力情報を外部装置へ出力する電力計測器及びそれを用いた分電盤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、電力計測器は、外付け電池及び内蔵電源を備えており、これらの電源が停電時にバックアップ電源として機能する。しかしながら、電池交換又は内部電源の故障の際に、電力計測器の時刻を計時する時計回路の時刻が初期化されると、記憶部に保存されている消費電力データのうち、初期化された時刻よりも後の、つまり、未来の時刻が付された消費電力データは消去される。
【0005】
そこで、本発明は、時計回路の時刻が初期化された場合に、記憶部に保存されている消費電力データが消去されることを防ぐことができる電力計測装置、及び、分電盤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電力計測装置は、施設に設けられた分岐回路における消費電力を計測する計測回路と、時刻を計時する時計回路と、前記計測回路によって計測された消費電力に前記時計回路によって計時された時刻が紐づけられた消費電力データを保存する記憶部と、前記時計回路への電力供給がオフされて前記時計回路によって計時される時刻が初期化された後に前記時計回路に設定された現在時刻に基づいて、前記記憶部に保存された前記消費電力データを消去するか否かを判定する制御部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る分電盤は、上記電力計測器を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、時計回路の時刻が初期化された場合に、記憶部に保存されている消費電力データが消去されることを防ぐことができる電力計測装置、及び、分電盤が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る電力計測装置を備える分電盤の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る電力計測装置の動作の第1例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る電力計測装置の動作の第2例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、分電盤における表示部の位置及び表示部に表示される設定画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、現在時刻の設定におけるユーザへの通知の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0012】
(実施の形態)
[1.構成]
図1は、実施の形態に係る電力計測装置及び分電盤の構成の一例を示すブロック図である。例えば、
図1に示されるように、実施の形態に係る電力計測装置10及び分電盤20は、外部装置60と通信可能に接続された電力計測システム100であってもよい。外部装置60は、時刻を計時する時計回路を備える装置であり、かつ、電力計測装置10と通信可能な装置であれば、特に限定されないが、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、パーソナルコンピュータである。
【0013】
[分電盤]
図1に示されるように、分電盤20は、主幹ブレーカ21と、複数の分岐ブレーカ22と、電力計測装置10とを備える。分電盤20は、施設50に設けられ、施設50内に配置されている。施設50は、例えば、戸建住宅である。施設50内には、壁又は扉などで仕切られた複数の部屋が含まれる。
【0014】
分電盤20は、系統電源30からの電力供給をオンまたはオフするための主幹ブレーカ21を有する。主幹ブレーカ21は、所定の電流(例えば、電力会社との契約で定められる電力に基づく電流)を超える電流が系統電源30から流れたときに、系統電源30からの電力の供給を停止するブレーカである。
【0015】
また、分電盤20は、主幹回路31から分岐した複数の分岐回路32のそれぞれに対して、複数の分岐ブレーカ22を有する。つまり、分電盤20は、分岐回路32毎に、分岐ブレーカ22を有する。分岐ブレーカ22は、当該分岐ブレーカ22に接続された分岐回路32に過電流が流れた場合に、当該分岐回路32への電力の供給を停止するブレーカである。各分岐回路32は、施設50内の所定の部屋に設置された複数の機器(例えば、負荷40a)又は所定の機器(例えば、負荷40b、負荷40c)へ電力を供給する。
【0016】
[電力計測装置]
電力計測装置10は、施設50に設けられた複数の分岐回路32のそれぞれにおける消費電力を計測する。電力計測装置10は、言い換えると、多回路電力計測器である。
【0017】
例えば、
図1に示されるように、電力計測装置10は、通信部11と、制御部12と、記憶部13と、時刻記憶部14と、計測回路15と、時計回路16と、バックアップ電源17と、表示部18と、受付部19とを備える。
【0018】
通信部11は、電力計測装置10が外部装置60と通信を行うための通信モジュール(通信回路)である。通信部11によって行われる通信は、例えば、無線通信であるが、有線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても特に限定されない。
【0019】
制御部12は、電力計測装置10の制御に関する各種情報処理を行う。制御部12は、具体的には、プロセッサ、マイクロコンピュータ又は専用回路によって実現される。制御部12の具体的な動作については後述される。
【0020】
記憶部13は、制御部12が実行するプログラム、収集データなどが記憶される記憶装置である。収集データは、例えば、計測回路15によって計測された各分岐回路32の消費電力に時計回路16によって計時された時刻が紐づけられた消費電力データである。記憶部13は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリによって実現される。
【0021】
時刻記憶部14は、時計回路16によって計測される時刻が定期的に記憶される記憶装置である。時刻記憶部14は、例えば、HDD又は半導体メモリによって実現される。
【0022】
計測回路15は、施設50に設けられた分岐回路32における消費電力を計測する。計測回路15は、複数の分岐回路32に設けられたCT(Current Transformer)を含み、当該CTにより分岐回路32ごとに消費電力を計測する。
【0023】
時計回路16は、時刻を時計する。
【0024】
バックアップ電源17は、施設50が停電したときに時計回路16によって使用される。
【0025】
表示部18は、画像を表示する。表示部18は、例えば、時刻記憶部14に記憶された最新の時刻を含む、現在時刻を設定するための設定画面を表示する。表示部18は、例えば、液晶(LC)パネル又は有機EL(Electro Luminescence)パネルなどの表示パネルによって実現される。
【0026】
受付部19は、ユーザの設定操作を受け付ける。受付部19は、例えば、タッチパネル又はハードウェアボタンなどによって実現される。
【0027】
[2.動作]
続いて、実施の形態に係る電力計測装置10の動作について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0028】
[第1例]
まず、動作の第1例について説明する。第1例では、施設50が停電して時計回路16へのバックアップ電源17からの電力供給がオフされたときに、時計回路16が計時する時刻が初期化され、初期化された時刻を現在時刻に設定する。
図2は、実施の形態に係る電力計測装置10の動作の第1例を示すフローチャートである。
【0029】
図2に示されるように、電力計測装置10の計測回路15は、複数の分岐回路32のそれぞれにおける消費電力を計測する(S01)。時計回路16は、時刻を計時する(S02)。ステップS01及びS02の処理は、どちらが先に行われてもよいし、同時に行われてもよい。
【0030】
次に、制御部12は、ステップS01で計測回路15によって計測された消費電力に、ステップS02で時計回路16によって計時された時刻を紐づけて記憶部13に保存する(S03)。
【0031】
施設50が停電しなければ(S04でNo)、電力計測装置10は、ステップS01~S03の処理を繰り返す。一方、施設50が停電すると(S04でYes)、バックアップ電源17から時計回路16へ電力供給が開始され(S05)、時計回路16は、時刻を計時する(S06)。
【0032】
バックアップ電源17から時計回路16への電力供給がオフされなければ(S07でNo)、時計回路16は時刻を計時する(S06)。一方、バックアップ電源17から時計回路16への電力供給がオフされると(S07でYes)、時計回路16によって計時される時刻が初期化される(S08)。施設50の停電が解消しない場合(S09でNo)、電力計測装置10は、動作を停止する。
【0033】
一方、施設50の停電が解消すると(S09でYes)、制御部12は、現在時刻を設定する(S10)。例えば、制御部12は、設定画面に入力された時刻情報に基づいて現在時刻を設定してもよいし、外部装置60が保持する時刻情報を外部装置60から受信し、受信された時刻情報に基づいて現在時刻を設定してもよい。
【0034】
次に、制御部12は、ステップS10で時計回路16に設定された現在時刻に基づいて、記憶部13に保存された消費電力データを消去するか否かを判定する(S11)。例えば、ステップS11において、制御部12は、記憶部13に保存された消費電力データが時計回路16に設定された現在時刻よりも過去の時間に紐づけられた消費電力を示す消費電力データである場合、記憶部13に保存された消費電力データを消去しないと判定する(S11でNo)。そして、制御部12は、記憶部13に保存された消費電力データを消去しない(不図示)。
【0035】
一方、ステップS11において、例えば、制御部12は、記憶部13に保存された消費電力データのうち、時計回路16に設定された現在時刻よりも未来の時刻に紐づけられた消費電力を示す消費電力データを消去すると判定し、記憶部13に保存された消費電力データのうち、時計回路16に設定された現在時刻よりも過去の時刻に紐づけられた消費電力を示す消費電力データを消去しないと判定する(S11でYes)。そして、制御部12は、記憶部13に保存された消費電力データのうち、現在時刻よりも未来の時刻の消費電力データを消去し、現在時刻よりも過去の時刻の消費電力データを消去しない(S12)。
【0036】
[第2例]
続いて、動作の第2例について説明する。第1例では、時刻が初期化された後に、ユーザにより設定画面に入力された時刻情報、又は、外部装置60から受信した時刻情報に基づいて現在時刻を設定する例を説明した。第2例では、時刻記憶部14が時計回路16によって計時された時刻を定期的に記憶し、記憶された時刻のうち最新の時刻を設定画面に表示する。
図3は、実施の形態に係る電力計測装置の動作の第2例を示すフローチャートである。
図3では、
図2と同じ処理には同じステップ番号を付している。以下、第1例と異なる点を中心に説明し、重複する内容については説明を省略又は簡略化する。
【0037】
図3に示されるように、電力計測装置10の計測回路15は、複数の分岐回路32のそれぞれにおける消費電力を計測し(S01)、時計回路16は、時刻を計時する(S02)。ステップS01及びS02の処理は、どちらが先に行われてもよいし、同時に行われてもよい。
【0038】
次に、制御部12は、時刻記憶部14に、ステップS02で時計回路16によって計時された時刻を定期的に記憶させる(S21)。例えば、制御部12は、時計回路16によって計時された時刻を1分毎に時刻記憶部14に記憶させてもよい。
【0039】
次に、制御部12は、ステップS01で計測回路15によって計測された消費電力に、ステップS02で時計回路16によって計時された時刻を紐づけて記憶部13に保存する(S03)。
【0040】
施設50が停電しなければ(S04でNo)、電力計測装置10は、ステップS01、S02、S21、及び、S03の処理を繰り返す。一方、施設50が停電すると(S04でYes)、バックアップ電源17から時計回路16へ電力供給が開始され(S05)、時計回路16は、時刻を計時する(S06)。制御部12は、時刻記憶部14に、ステップS06で時計回路16によって計時された時刻を定期的に記憶させる(S22)。
【0041】
バックアップ電源17から時計回路16への電力供給がオフされなければ(S07でNo)、時計回路16は時刻を計時し(S06)、制御部12は、時刻記憶部14に、計時された時刻を定期的に記憶させる(S22)。一方、バックアップ電源17から時計回路16への電力供給がオフされると(S07でYes)、時計回路16によって計時される時刻が初期化される(S08)。施設50の停電が解消しない場合(S09でNo)、電力計測装置10は、動作を停止する。
【0042】
一方、施設50の停電が解消すると(S09でYes)、制御部12は、表示部18に、時刻記憶部14に記憶された最新の時刻を含む、現在時刻を設定するための設定画面を表示させる(S23)。
図4は、分電盤20における表示部18の位置及び表示部18に表示される設定画面の一例を示す図である。
図4に示されるように、表示部18は、例えば、装置の現在時刻として、時刻記憶部14に記憶された最新の時刻を含む、設定画面を表示する。例えば、
図4中の「時刻合わせ(手入力)」にも最新の時刻が表示されてもよい。
【0043】
次に、制御部12は、表示部18に、設定画面に表示されている最新の時刻が正確な現在時刻ではないことを提示させる(S24)。例えば、
図4に示されるように、表示部18は、最新の時刻の表示と共に、「これは、正確な現在時刻ではありません」と表示してもよい。
【0044】
次に、制御部12は、現在時刻を設定する(S10)。例えば、制御部12は、設定画面に入力された時刻情報に基づいて現在時刻を設定してもよいし、外部装置60が保持する時刻情報を外部装置60から受信し、受信された時刻情報に基づいて現在時刻を設定してもよい。例えば、ユーザが「手入力」ボタンをタッチすると、
図4中の「時刻合わせ(手入力)」に最新の時刻が表示され、ユーザが手入力で現在時刻を入力し、「設定」ボタンをタッチする。これにより、受付部19は現在時刻の設定の入力を受け付け、制御部12は、受け付けられた入力に従って現在時刻を設定する。また、例えば、ユーザが「手入力」ボタンの隣の「受信」ボタンをタッチすると、ユーザのスマートフォンなどの外部装置60が保持する時刻情報を外部装置60から受信し、「時刻合わせ(手入力)」の代わりに「時刻合わせ(受信)」に受信された時刻情報が表示される。そして、ユーザが「設定」ボタンをタッチすると、受付部19は現在時刻の設定の入力を受け付け、制御部12は、受け付けられた入力に従って現在時刻を設定する。
【0045】
次に、制御部12は、ステップS10で時計回路16に設定された現在時刻に基づいて、記憶部13に保存された消費電力データを消去するか否かを判定する(S11)。例えば、ステップS11において、制御部12は、記憶部13に保存された消費電力データが時計回路16に設定された現在時刻よりも過去の時間に紐づけられた消費電力を示す消費電力データである場合、記憶部13に保存された消費電力データを消去しないと判定する(S11でNo)。そして、制御部12は、記憶部13に保存された消費電力データを消去しない(不図示)。
【0046】
なお、第1例及び第2例では、現在時刻の設定(S10)において、ユーザに確認を促す通知を提示してもよい。
図5は、現在時刻の設定におけるユーザへの通知の一例を示す図である。例えば、
図5の(a)に示されるように、ユーザが時刻記憶部14に記憶された最新の時刻よりも過去の時刻を現在時刻として設定しようとした場合、制御部12は、
図5の(b)に示されるようにユーザに確認を促す通知を提示してもよい。例えば、表示部18は、ユーザに設定時刻よりも後ろの時刻の消費電力データが削除されることを知らせる通知と、削除を実行してもいいか確認する通知とを表示してもよい。また、例えば、ユーザが時刻記憶部14に記憶された最新の時刻よりも未来の時刻を現在時刻として設定しようとした場合、表示部18は、設定時刻を現在時刻に設定することを知らせる通知と、設定を実行してもいいか確認する通知とを表示してもよい。
【0047】
[3.効果等]
以上説明したように、実施の形態に係る電力計測装置10は、施設50に設けられた分岐回路32における消費電力を計測する計測回路15と、時刻を計時する時計回路16と、計測回路15によって計測された消費電力に時計回路16によって計時された時刻が紐づけられた消費電力データを保存する記憶部13と、時計回路16への電力供給がオフされて時計回路16によって計時される時刻が初期化された後に時計回路16に設定された現在時刻に基づいて、記憶部13に保存された消費電力データを消去するか否かを判定する制御部12と、を備える。
【0048】
このような電力計測装置10は、時計回路16の時刻が初期化された場合に、初期化後に設定された現在時刻に基づいて記憶部13に保存されている消費電力データを消去するか否かを判定する。そのため、電力計測装置10は、時刻の初期化により初期化された時刻より未来の時刻に紐づけられた消費電力データが消去されない。したがって、電力計測装置10は、時計回路16の時刻が初期化された場合に、記憶部13に保存されている消費電力データが消去されることを防ぐことができる。
【0049】
また、例えば、実施の形態に係る電力計測装置10は、さらに、施設50が停電したときに時計回路16によって使用されるバックアップ電源17を備え、時計回路16への電力供給は、バックアップ電源17から時計回路16への電力供給である。
【0050】
このような電力計測装置10は、施設50が停電してもバックアップ電源17から時計回路16へ電力が供給され、その電力供給がオフされた場合に、時計回路16の時刻が初期化される。そのため、電力計測装置10は、施設50が停電した後でもバックアップ電源17からの電力供給が行われる間、時計回路16によって時刻を計時することができる。したがって、電力計測装置10は、施設50の停電により時計回路16の時刻が初期化されることを低減することができる。
【0051】
また、例えば、実施の形態に係る電力計測装置10では、制御部12は、記憶部13に保存された消費電力データのうち、時計回路16に設定された現在時刻よりも未来の時刻に紐づけられた消費電力を示す消費電力データを消去すると判定し、記憶部13に保存された消費電力データのうち、時計回路16に設定された現在時刻よりも過去の時刻に紐づけられた消費電力を示す消費電力データを消去しないと判定する。
【0052】
このような電力計測装置10は、現在時刻よりも過去の時刻に紐づけられた消費電力データを保持することができるため、時刻の初期化により記憶部13に保存された消費電力データが全て消去されることを防ぐことができる。
【0053】
また、例えば、実施の形態に係る電力計測装置10は、さらに、時計回路16によって計時される時刻を定期的に記憶する時刻記憶部14と、時刻記憶部14に記憶された最新の時刻を含む、現在時刻を設定するための設定画面を表示する表示部18とを備え、制御部12は、設定画面に入力された時刻情報に基づいて現在時刻を設定する。
【0054】
このような電力計測装置10は、時計回路16によって計時される時刻を定期的に(例えば、1分毎に)時刻記憶部14に記憶させるため、施設50が停電になっても時計回路16への電力供給がオフされるまで時刻を定期的に記憶することができる。そのため、時刻記憶部14に記憶された最新の時刻は、現在時刻により近い時刻となる。したがって、電力計測装置10は、現在時刻に近い時刻を設定画面に提示することができるため、ユーザによる現在時刻の設定ミスを低減することができる。
【0055】
また、例えば、実施の形態に係る電力計測装置10では、制御部12は、設定画面に表示されている最新の時刻が正確な現在時刻ではないことを提示する。
【0056】
このような電力計測装置10は、設定画面に表示される最新の時刻が正確な現在時刻ではないことをユーザに提示するため、ユーザは、より確実に、現在時刻を設定することができる。
【0057】
また、例えば、実施の形態に係る電力計測装置10は、さらに、外部装置60が保持する時刻情報を外部装置60から受信する通信部11を備え、制御部12は、受信された時刻情報に基づいて現在時刻を設定する。
【0058】
このような電力計測装置10は、外部装置60が保持する時刻情報を現在時刻の設定に使用するため、より正確に、かつ、簡便に、現在時刻を設定することができる。
【0059】
また、例えば、実施の形態に係る分電盤20は、上記のいずれかの電力計測装置10を備える。
【0060】
このような分電盤20は、時計回路16の時刻が初期化された場合に、電力計測装置10が初期化後に設定された現在時刻に基づいて記憶部13に保存されている消費電力データを消去するか否かを判定する。そのため、分電盤20は、時刻の初期化により初期化された時刻より未来の時刻に紐づけられた消費電力データが消去されない。したがって、分電盤20は、時計回路16の時刻が初期化された場合に、記憶部13に保存されている消費電力データが消去されることを防ぐことができる。
【0061】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0062】
例えば、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0063】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0064】
また、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0065】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0066】
また、上記実施の形態において説明された電力計測装置の動作における複数の処理の順序は一例である。複数の処理の順序は、変更されてもよいし、複数の処理は、並行して実行されてもよい。
【0067】
その他、実施の形態等に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
10 電力計測装置
11 通信部
12 制御部
13 記憶部
14 時刻記憶部
15 計測回路
16 時計回路
17 バックアップ電源
18 表示部
19 受付部
20 分電盤
32 分岐回路
50 施設
60 外部装置