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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104506
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】バインダ式本
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/38 20060101AFI20230721BHJP
   B42D 1/00 20060101ALI20230721BHJP
   A63H 5/00 20060101ALI20230721BHJP
【FI】
A63H33/38 C
B42D1/00 B
A63H5/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005529
(22)【出願日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 好重
(72)【発明者】
【氏名】堀切 正司
(72)【発明者】
【氏名】大金 新
(72)【発明者】
【氏名】海江田 司
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA06
2C150AA12
2C150BA49
2C150DF03
2C150DF33
(57)【要約】
【課題】ものが強く挟み込まれるのを防止することができるバインダ式本を提供すること。
【手段】本の内容が表示され、且つ、喉縁の延在方向に沿って複数の綴じ孔が所定の間隔を隔てて形成された複数のルーズリーフと、前記綴じ孔に通されて前記ルーズリーフを捲り案内可能に係止する係止案内部を有する綴じ具と、を備えたバインダ式本において、前記ルーズリーフの喉縁には、隣り合う前記綴じ孔の間に互いの前記綴じ孔の近くまでに亘る切欠きが形成されている、ことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本の内容が表示され、且つ、喉縁の延在方向に沿って複数の綴じ孔が所定の間隔を隔てて形成された複数のルーズリーフと、
前記綴じ孔に通されて前記ルーズリーフを捲り案内可能に係止する係止案内部を有する綴じ具と、
を備えたバインダ式本において、
前記ルーズリーフの喉縁には、隣り合う前記綴じ孔の間に互いの前記綴じ孔の近くまでに亘る切欠きが形成されている、
ことを特徴とするバインダ式本。
【請求項2】
前記綴じ孔には、前記延在方向の幅が前記綴じ孔よりも小さく且つ一端が前記綴じ孔に連なる切れ目が喉縁に向けて形成され、前記切れ目は、前記ルーズリーフに前記係止案内部から離間させる力が作用したときに前記係止案内部の摺接によって拡開可能に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のバインダ式本。
【請求項3】
前記切れ目は他端が喉縁に開口し、前記ルーズリーフは、前記切れ目の拡開によって前記係止案内部から取外し可能となっている、ことを特徴とする請求項2に記載のバインダ式本。
【請求項4】
前記切れ目は、前記綴じ孔における前記延在方向の中央に形成され、前記綴じ具における前記係止案内部によって囲まれる領域には、前記領域への指の挿入を阻止する閉塞板が設けられ、前記閉塞板は、前記延在方向の厚さが前記係止案内部よりも小さく且つ前記係止案内部における前記延在方向の中央に設けられ、前記ルーズリーフを前記綴じ具に綴じたときに前記切れ目の縁によって挟持される、ことを特徴とする請求項3に記載のバインダ式本。
【請求項5】
前記閉塞板の両面には、前記ルーズリーフの捲りの際に前記ルーズリーフの喉縁と摺接可能な弧状面を持つ突起が形成されている、ことを特徴とする特徴とする請求項4に記載のバインダ式本。
【請求項6】
前記綴じ孔は、前記ルーズリーフの喉縁に直交する方向に長尺である長孔となっている、ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のバインダ式本。
【請求項7】
前記ルーズリーフは、ポリプロピレンで形成されている、ことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項に記載のバインダ式本。
【請求項8】
綴じられた状態の複数のルーズリーフを支持するための基台を備え、
前記基台の上面には、当該上面から前記係止案内部が逆U字状に突出している、
ことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか一項に記載のバインダ式本。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バインダ式本に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絵柄が表示され、且つ、喉部に綴じ孔が間隔を隔てて2つ形成された複数のルーズリーフと、綴じ孔に通されてルーズリーフを捲り案内可能に係止する係止案内部を有する綴じ具と、を備えたバインダ式本が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09-009362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなバインダ式本では、ルーズリーフを捲る際、ルーズリーフが係止案内部に沿って捲れるため、捲りの中心とルーズリーフの喉との間に隙間が形成される。そのため、指が挟まれ易いという問題があった。特に、色々なことに興味を示す子供の場合、指を当該隙間に差し込んだりするので、その傾向が強い。
また、シャープペンシル等の小物をその隙間に挟んでしまい、ルーズリーフの喉縁が破損してしまう場合もある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、ものが強く挟み込まれるのを防止することができるバインダ式本を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段は、
本の内容が表示され、且つ、喉縁の延在方向に沿って複数の綴じ孔が所定の間隔を隔てて形成された複数のルーズリーフと、
前記綴じ孔に通されて前記ルーズリーフを捲り案内可能に係止する係止案内部を有する綴じ具と、
を備えたバインダ式本において、
前記ルーズリーフの喉縁には、隣り合う前記綴じ孔の間に互いの前記綴じ孔の近くまでに亘る切欠きが形成されている、
ことを特徴とする。
【0006】
第2の手段は、第1の手段であって、
前記綴じ孔には、前記延在方向の幅が前記綴じ孔よりも小さく且つ一端が前記綴じ孔に連なる切れ目が喉縁に向けて形成され、前記切れ目は、前記ルーズリーフに前記係止案内部から離間させる力が作用したときに前記係止案内部の摺接によって拡開可能に形成されている、ことを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、第2の手段であって、前記切れ目は他端が喉縁に開口し、前記ルーズリーフは、前記切れ目の拡開によって前記係止案内部から取外し可能となっている、ことを特徴とする。
【0008】
第4の手段は、第3の手段であって、前記切れ目は、前記綴じ孔における前記延在方向の中央に形成され、前記綴じ具における前記係止案内部によって囲まれる領域には、前記領域への指の挿入を阻止する閉塞板が設けられ、前記閉塞板は、前記延在方向の厚さが前記係止案内部よりも小さく且つ前記係止案内部における前記延在方向の中央に設けられ、前記ルーズリーフを前記綴じ具に綴じたときに前記切れ目の縁によって挟持される、ことを特徴とする。
【0009】
第5の手段は、第4の手段であって、前記閉塞板の両面には、前記ルーズリーフの捲りの際に前記ルーズリーフの喉縁と摺接可能な弧状面を持つ突起が形成されている、ことを特徴とする特徴とする。
【0010】
第6の手段は、第1~第5の手段のいずれかであって、前記綴じ孔は、前記ルーズリーフの喉縁に直交する方向に長尺である長孔となっている、ことを特徴とする。
【0011】
第7の手段は、第1~第6の手段のいずれかであって、前記ルーズリーフは、ポリプロピレンで形成されている、ことを特徴とする。
【0012】
第8の手段は、第1~第6の手段のいずれかであって、
綴じられた状態の複数のルーズリーフを支持するための基台を備え、
前記基台の上面には、当該上面から前記係止案内部が逆U字状に突出している、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の手段によれば、前記ルーズリーフの喉縁には切欠きが形成されているので、切欠きの下に大きな隙間ができるため、例えば、指が挟みこまれたとしても強く挟み込まれることが防止される。
【0014】
第2の手段によれば、ルーズリーフに係止案内部から離間させる力が作用したとき係止案内部の摺接によって切れ目が拡開するので、例えば、指が奥まで挿入され挟まれたとき、又は比較的大きな指が挟まれたときにも切れ目が拡開しルーズリーフ自体が逃げることから強く挟み込まれることが少なくなる。
【0015】
第3の手段によれば、切れ目の拡開によってルーズリーフが係止案内部から取外し可能となっているので、例えば、指が隙間に巻き込まれてしまった場合でも、ルーズリーフを簡単に外せることから、指の脱出が簡単に行えることになる。また、指の挿入によりルーズリーフに過度の力が作用した場合には、ルーズリーフが外れることから、挟まれた指やルーズリーフに過度の力が加わったり、ルーズリーフが破れたりすることが防止される。
【0016】
第4の手段によれば、係止案内部によって囲まれる領域には閉塞板が設けられているので、係止案内部によって囲まれる領域に、例えば指の挿入が阻止されることによって、挟込みの機会が少なくなる。また、係止案内部よりも厚さが小さい閉塞板が係止案内部の中央に設けられ、切れ目の縁によって挟持されるので、ルーズリーフの綴じ孔と係止案内部とが常に適切な位置に保持されるとともに、捲りの際のルーズリーフの抜けを効果的に防止できる。
【0017】
第5の手段によれば、ルーズリーフの捲りの際にルーズリーフの喉縁と当接可能な弧状面を持つ突起が形成されているので、突起を軸にルーズリーフが捲られることになり、ルーズリーフの捲りが円滑に行えるとともに、ルーズリーフの喉縁で例えば指が挟み込まれることを防止することができる。
【0018】
第6の手段によれば、綴じ孔が長孔となっているので、ルーズリーフの動きに余裕が生まれ、ルーズリーフの捲りが容易となる。
【0019】
第7の手段によれば、ルーズリーフは、破れにくいポリプロピレンで形成されているので、上記効果がより有効に発揮されることになるとともに、絵本の汚れを防止することができる。
【0020】
第8の手段によれば、基台とルーズリーフの喉縁との指等の挟み込みを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係るバインダ式絵本の斜視図である。
図2】バインダ式絵本を下面側から見た斜視図である。
図3】見開きページの一例を示す図である。
図4】綴じ具の斜視図である。
図5】捲り摘みを下面側から見た斜視図である。
図6】捲り摘みの分解斜視図である。
図7】基台の斜視図である。
図8】バインダ式絵本の機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
≪全体の概要≫
図1は、実施形態に係るバインダ式絵本の斜視図、図2は、バインダ式絵本を下面側から見た斜視図である。
このバインダ式絵本100は、ここでは3枚のルーズリーフ10が基台30の上に重畳されて綴じ具50によって綴じられた構造となっている。勿論、ルーズリーフ10の枚数は3枚に限定されるものではない。
このバインダ式絵本100では、電源摘み31を操作して電源を投入する。すると、絵本のページを捲ることを促す等の音声ガイダンスがなされる。その後、ルーズリーフ10に繋がった捲り摘み11の1つを摘んでルーズリーフ10を捲ると、どのルーズリーフ10が捲られたかが検出され、所望のページが開かれる。
【0023】
図3は、見開きページの一例を示している。
この見開きページには各種の動物の絵柄が付されている。そして、各動物の絵柄の近くには番号と英語で動物名が付されている。番号は、左ページの左上の動物から右下の動物まで、引き続き右ページの左上の動物から右下の動物まで昇順に付されている。各見開きページは同様の構成となっている。また、最後のページ左面は、前の各ページに付された各動物の絵柄がページ全体に付されている。右面は動物の近くに動物に関連のある文面が表示された構成になっている。
例えば、見開きページが開かれると、最初にSE音(効果音)が音声出力され、1番目の数字音声を出力し、動物の名前が英語で音声出力された後、その動物の擬声が英語で音声出力される。そうして、1番目の動物に関する紹介が終わると、その後は、番号順に動物の紹介が英語で行われる。英語音声で数字番号が入ることにより、聴覚で遊ぶ人にも順番で動物紹介が把握できる。右ページの右下の最後の動物の紹介が終了すると、動物の特徴に関する質問がランダムに日本語にて出力される。なお、最終のページ(裏表紙に相当するページ)が開かれると、先のページに登場した動物の擬声が英語で次々に音声出力され、鳴き声当てのゲームなどができる。
途中で、基台30の手前側右の早送りボタン32を押すと今行っている動物の紹介がスキップされ、早送りボタン32を押した回数分だけ進んだ動物の紹介が開始される。また、基台30の手前側左の戻しボタン33を長押しすると見開きページの左面最初にもどり行っていた動物の紹介が始めから再生される、戻しボタン33は押した回数分だけ遡った動物の紹介が開始される。また、見開きが開かれると動物紹介の前にSE音が流れる。また、開く前に最初のページは電源が入りページの音声が流れ終わるとOpen the bookという音声ガイダンスがありそのページが終了したことを告げる。
なお、ここでは、動物の紹介を行ったが、それに限定されず、例えば、「乗り物」、「楽器」、「挨拶」、「生活」、「食べ物」、「キャラクタ」、「音楽」等の紹介にも適用できる。言語も英語に限定されず、例えば日本語であってもよい。
【0024】
≪細部の説明≫
〈ルーズリーフ10〉
ルーズリーフ10は、特に限定はされないが、ポリプロピレンシートから形成されている。ルーズリーフ10は厚手の紙によって形成されていてもよい。例えば、ルーズリーフ10の厚さは0.6mm程度となっている。
表紙となる上から1枚目のルーズリーフ10の表面(重畳したときに上となる面)には、絵本のタイトルである「どうぶつ英語絵本」の文字と、絵本の中に登場する複数の動物の一部の絵柄が表示されている。1枚目のルーズリーフ10の裏面と2枚目のルーズリーフ10の表面には、図3の左右のページに示した絵柄(文字を含む)が表示されている。2枚目のルーズリーフ10の裏面、3枚目のルーズリーフ10の表面には、同様に、小動物の絵柄、番号及び動物名が英語で表示されている。また、裏表紙に当たる面には、今まで登場した動物の絵柄が表示されている。
【0025】
ルーズリーフ10の喉(背)側には、手前側端部及び奥側端部近くに綴じ孔12が1つずつ形成されている。綴じ孔12は横長の長孔となっている。勿論、綴じ孔12は円孔であってもよい。ただし、綴じ孔12が円形の場合には後述の係止案内部53に沿って綴じ孔12が動くように厳格にルーズリーフ10を捲らなければならないが、綴じ孔12を長孔とすることで余裕が生じルーズリーフ10の捲りが容易となる。
また、ルーズリーフ10の喉側には、一端が綴じ孔12に連なり他端が喉縁に開口するスリット(切れ目)12aが形成されている。スリット12aの幅は、綴じ孔12の短軸方向(短手方向)の幅よりも小さく設定されている。これによって、係止案内部53からのルーズリーフ10の抜けが防止される。このスリット12aは、綴じ孔12の奥行き方向(短軸方向)の中央に形成されることが好ましい。
【0026】
さらに、ルーズリーフ10の喉側には、2つの綴じ孔12,12の近くまで延びる切欠き13が形成されている。この切欠き13は、本来ある綴じ代(余白)部分を帯状に切り取った形をしている。この切欠き13の両端には喉の外方に向けて拡開するようなテーパが付けられている。このテーパを付けることにより、綴じ孔12を避けた形で切欠き13を綴じ具50近くまで延伸させることができる。また、この切欠き13の深さは一定で、その深さは綴じ孔12に少し掛かる程度となっている。このルーズリーフ10の切欠き13の深さは、例えば、指の挟込みを考慮した場合には、切欠き13の下に形成される隙間が13mm以上となるように設定されていることが好ましい。小物の挟込みの場合には切欠き13の深さをそれより小さくすることが可能である。
【0027】
また、ルーズリーフ10の小口側の縁には、各ルーズリーフ10に対応した位置で且つ3枚のルーズリーフ10を重畳したとき互いに重ならないような位置に、インデックス14が形成されている。ここでは、特に限定はされないが、最上のルーズリーフ10には手前側に、真中のインデックス14にはルーズリーフ10の奥行き方向中間部に、最下のルーズリーフ10には奥側に、それぞれインデックス14が形成されている。
また、各インデックス14には2つの孔14aが形成されている。2つの孔14aは捲り摘み11を取り付ける際に使用される。
【0028】
(ルーズリーフ10の基台30への取付け構造)
ルーズリーフ10の基台30への取付けは綴じ具50を介して行われる。
図4は綴じ具50の斜視図である。
綴じ具50は台座51を備えている。台座51は平面視で長円状に形成されている。この台座51は、略長円柱状の大きさが互いに異なるブロックを階段状に3段に積み上げた形状を有し、その外郭の内部は中空となっている。
そして、下段の側壁には例えば6つの突起52が形成され、各突起52には、ねじ挿通孔52aが形成されている。ねじ挿通孔52aは綴じ具50を基台30へ取り付けるために使用される。
【0029】
また、台座51の上段の天井壁には半円弧状の係止案内部53がアーチ状に形成されている。この係止案内部53は逆U字状であればよく半円弧状でなくてもよい。この係止案内部53の延在方向に直交する外形断面は円形状であり、その径は綴じ孔12の短軸方向の幅と略同じとなっている。この係止案内部53は、綴じ孔12に通されてルーズリーフ10を捲り案内可能に係止する。
【0030】
係止案内部53と台座51の上段の天井壁とによって区画される部分には、係止案内部53だけの場合に形成されるであろう半月形の孔を塞ぐ閉塞板54が係止案内部53及び台座51と一体に形成されている。この閉塞板54は係止案内部53の奥行き方向の中間に位置している。この閉塞板54を設けることによって、係止案内部53と台座51の上段の天井壁とによって区画される部分への指の挿入が防止される。
閉塞板54の厚さはスリット12aの幅と略同じに設定されている。その結果、閉塞板54は、ルーズリーフ10を係止案内部53に取り付けた際、スリット12aの縁同士の間で挟持され、ルーズリーフ10を捲る際に、スリット12aの縁が閉塞板54に摺接する。これによって、ルーズリーフ10を捲る際の係止案内部53とルーズリーフ10の綴じ孔12とにズレが生じることが防止され、円滑に捲ることができる。
【0031】
また、閉塞板54の両面には、捲りの中心となる部分に半柱状の突起55が立設されている。この突起55を設けることで、突起55を軸にルーズリーフ10が捲られることになり、ルーズリーフ10の捲りが円滑に行えるとともに、ルーズリーフ10を捲る際にルーズリーフ10の喉下に形成される隙間を指等が入らない程度に小さくすることができる。また、突起55は、ルーズリーフ10の喉に当たることでそれ以上のルーズリーフ10の移動(寄り)が途中で阻止され、指等の挟込みが防止される。
【0032】
この綴じ具50は、図2に示すように、基台30に孔(図示せず)に下方から嵌め込まれ、台座51の上段部が当該孔に嵌合された状態で、ねじ挿通孔52aを通した雄ねじ(図示せず)によって基台30に螺着される。
【0033】
(捲り摘み11)
図5は、捲り摘み11を下面側から見た斜視図、図6は捲り摘み11の分解斜視図である。
捲り摘み11は、箱状に構成され、底部となる台板15を備えている。台板15には、柱状の4つのボス16が4隅に立設されている。
基端側(ルーズリーフ10側)の2つのボス16は、捲り摘み11をインデックス14に取り付ける際に、インデックス14の2つの孔14aに嵌合される。
また、4つのボス16にはそれぞれねじ挿通孔16aが形成されている。そして、台板15は、捲り摘み11をインデックス14に取り付ける際に、ねじ挿通孔16aを通した雄ねじ16bによってカバー17のボス(図示せず)に螺着される。
【0034】
台板15の下面には楕円状の突起部15aが形成されている。この突起部15aは、後述の受け部34に捲り摘み11が着座した際、後述の押しボタン36を下方に押圧する。
また、台板15の基端側の面には、インデックス14を後述のカバー17との間で挟み込む切欠き15bが形成されている。
【0035】
また、捲り摘み11は、台板15の上方を覆うカバー17を備えている。カバー17は、台板15の上面との間に空間を形成するように台板15の上面を被覆する。
【0036】
さらに、捲り摘み11の内部には、L字状の磁石ホルダ18が雄ねじ18aによって台板15のボス15cに螺着されている。この磁石ホルダ18の先端部には磁石19が嵌着されている。この磁石19は、後述の磁石35と対応する位置にあり、後述の受け部34に捲り摘み11が着座した際、磁石35に磁気着される。
【0037】
(基台30)
図7は基台30の斜視図である。
基台30には、捲り摘み11が着座する3個の受け部34が右側縁に沿って所定間隔で設けられている。受け部34には、上記磁石19に磁気着される磁石35と、上記突起部15aによって下方に押圧される押しボタン36と、が設置されている。磁石35と押しボタン36とは互いに独立に上方の初期位置に向けて付勢されている。
また、基台30の裏側には、電池、各種電気機器及び電子機器等を収めた筐体37が設けられている(図2参照)。
【0038】
(機能構成)
図8は、バインダ式絵本100の機能構成の一例を示すブロック図である。
同図に示すように、バインダ式絵本100は、制御装置81と、記憶部82と、スイッチ部83と、音出力部84と、を備える。
【0039】
制御装置81は、バインダ式絵本100の各部を制御する。制御装置81は、記憶部82に記憶されているプログラムに従って各種処理を実行する。
【0040】
記憶部82は、各種のプログラムやデータ等を記憶する。記憶部82に記憶されるプログラム及びデータとしては、例えば、バインダ式絵本100を統合的に制御させるためのシステムプログラムや、ゲームを実行させるために必要なゲームプログラム及びデータなどがある。
【0041】
スイッチ部83は、各押しボタン36の下方に配置された3個のスイッチから構成され、押しボタン36の押圧によって操作される当該スイッチからの信号を制御装置81に出力する。これによって、制御装置81は開かれているページを検出して、それに応じた制御を行う。
【0042】
音出力部84は、DAコンバータ、アンプ、スピーカ等を有して構成され、音出力時にデジタルの音信号をアナログの音信号に変換してスピーカから出力する。
【0043】
(変形例)
上記実施形態では、切れ目に一例として、一端が綴じ孔12に連なり他端が喉縁に開口するスリット12aを示したが、一端が綴じ孔12に連なっていて係止案内部53の押付けによって拡開するものであればよい。
【0044】
また、上記実施形態では、基台30に綴じ具50を固定したバインダ式絵本100について説明したが、2つの綴じ具50を単に連結したバインダ式本や、2つの綴じ具50が互いに独立した絵本にも適用できる。
【0045】
また、上記実施形態では、綴じ具50を2つとしたが、数個の綴じ具50を持つものであっても、隣り合う綴じ具50の間に指が挟まれる可能性があるものであれば、本願発明を適用することが好ましい。例えば、指の挟込みを考慮した場合には、綴じ具50同士の距離が13mm以上のものに適用することが好ましい。なお、小物の挟込みの場合には切欠き13の深さをそれより小さくすることが可能である。
【0046】
さらに、上記実施形態では、ページの検出を、押しボタン36の押圧によって操作されるスイッチによって行っているが、光センサ、RFID(Radio Frequency Identification)によって検出するなど、その他の方法によってもよい。その場合、磁石19,35を設けても設けなくてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、絵本の交換について言及をしなかったが、スリット12aを利用してルーズリーフ10を交換し、異なる内容の絵本としてもよい。この場合、絵本の内容によって音声を変えるために、例えば、ルーズリーフ10のインデックス14や、捲り摘み11にRFIDその他の読取り可能な識別子を組み込んでおくことができる。
【0048】
また、上記実施形態では、音声を発するものについて説明したが、音声を発しない絵本にも適用できる。また、絵柄が表示された絵本だけでなく、絵柄に加えて文字が表示されている本や、文字だけが表示される本にも適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 ルーズリーフ
11 捲り摘み
12 綴じ孔
12a スリット(切れ目)
13 切欠き
15b 切欠き
36 押しボタン
37 筐体
50 綴じ具
53 係止案内部
54 閉塞板
55 突起
100 バインダ式絵本
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8