(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023104549
(43)【公開日】2023-07-28
(54)【発明の名称】足場用水平部材
(51)【国際特許分類】
E04G 7/32 20060101AFI20230721BHJP
【FI】
E04G7/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022005597
(22)【出願日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】391047499
【氏名又は名称】川上 由基人
(72)【発明者】
【氏名】川上 由基人
(57)【要約】
【課題】
本発明は、足場の解体作業が従来の作業方法で行うことができ、作業効率が良く、解体に伴う騒音を小さくできる足場部材を提供するものである。
【解決手段】
楔受けに挿入され嵌合状態となる楔1,2の嵌合状態を解除する梃4,5を有し、梃4,5は一端11,12がハンマー等で打たれる部分であり他端はハンマー等で打たれた場合に楔受けを蹴る状態となるように一端と他端の間に支点9,10を有するようにした。これによって、楔1,2が楔受けに固く結合されていても、梃4,5の他端をハンマーで軽く叩くことで、結合が解除され解体に伴う騒音を小さくする事ができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
楔受けに挿入され嵌合状態となる楔を端部に有する管状の仮設足場に用いられる手摺であって、前記嵌合状態を解除する梃を有し、前記梃は一端がハンマー等で打たれる部分であり他端はハンマー等で打たれた場合に楔受けを蹴る状態となるように一端と他端の間に支点を有することを特徴とする足場用水平部材。
【請求項2】
楔と梃との関係は、楔と楔受けとの何れか一方が複数の嵌合点を有し、梃の楔受けと当たる点は楔の嵌合点が1つの場合は複数としたことを特徴とする請求項1記載の足場用水平部材。
【請求項3】
楔の断面がU字状で凹部がある場合、梃は楔の凹部内に位置するようにしたことを特徴とする請求項1記載の足場用水平部材。
【請求項4】
楔は一枚の板状である場合、梃は楔を挟む状態であるようにしたことを特徴とする請求項1記載の足場用水平部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、解体が容易で解体時の作業を迅速に行うことができ、騒音の少ない足場用水平部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建設現場や建物の壁の補修の際に用いられる足場部材は主に水平部材と垂直部材とが結合されて使われる物であり、現場での組立及び解体の容易なものが開発され、実用に共されている。
さらに足場部材は、安全の観点から組み合わされた結合部材が強固に結合され容易に外れないように、結合部材は楔状になっており、しっかりと結合が維持されるように構成されている。このような構成によって、現場での組み立てが容易であるにもかかわらず、簡単には結合部材の結合状態が外れることがなく、安全も確保できるものである。
【0003】
しかし、このような足場部材が互いに強固に結合されているため、足場の解体即ち足場部材の結合を解除するのが容易ではない。しかも足場の解体はできるだけ短時間に行い、建設に掛かる時間や建築物の外壁の補修などに掛かる時間を短縮したいという要請がある。
【0004】
このため、足場部材相互の結合を解除して足場を解体するために、足場部材を強くハンマーで叩き、楔状の結合を解除するようにしている。このようなハンマーで叩く作業に伴い、大きな打撃音が発生する。このような大きな打撃音が発生すると、工事現場の近隣住民に迷惑となるだけでなく、場合によっては作業者の聴覚を痛めるなど、労働衛生上の問題も発生する。
【0005】
この改善策として、特許文献1に記載のような技術が開発された。この文献に記載のものは、楔の結合を強くせず、楔と受け金具との結合を維持する係合部材を設け、結合を解除する場合は、係合部材の係合を解除することによって行うようにしている。この技術のものは、結合を解除する場合にハンマーで叩く必要がなく、大きな音が発生することがない。しかし、実際の足場を解体する作業では、作業者が足場部材をハンマーで次々に叩いて楔の結合を解除しており、楔の結合の解除作業は1本の水平部材を数秒で結合解除している。これに対し、特許文献1に示されたものであると、結合の解除にその数倍の時間が掛かり、結果として解体作業に多くの時間が掛かるという問題がある。
また特許文献2に記載のものも、楔と受け金具との結合を維持する係合部材を設けている。この例のものも、結合が不用意に外れることがなく安全性が高く、また結合の解除に際して大きな音が発生しないのであるが、特許文献1に示されたものと同様に解除作業を迅速に行うことができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、楔と受け金具との結合を解除する作業に際し、大きな音の発生を制御しつつ、作業を迅速にできない点である。つまり従来のように作業者が片手で瞬間的な操作をすることで、結合の解除作業ができるようにする必要がある。特に近年のように作業者の人手が不足している状況では、時間当たりの作業単価のみならず、如何に少ない人手で作業ができるという点が大きな意味を持つ。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、足場の解体作業が従来の作業方法で行うことができ、作業効率が良く、解体に伴う騒音を小さくできる足場部材を提供することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の足場部材は、解体作業時に大きな騒音が出ず、作業方法は従来のものと同様であって作業の習熟を改めて訓練する必要がなく、解体作業に要する時間も短いという利点がある。
このため、足場の解体作業に伴う騒音で作業現場の近隣の住民から苦情が来ることがなく、騒音によって作業者が難聴になるという労働衛生上の問題もない。
しかも、作業方法が従来のものと、ほぼ同じであるため、作業者の習熟訓練を改めて行う必要がない。
さらに、解体に伴う作業が極めて単純で短時間に行えるため、作業時間が短く、作業者の人工が少なくて良いという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は足場部材の第1実施例を示した側面図である。
【
図2】
図2は足場部材の第1実施例を示した斜視図である。
【
図3】
図3は足場部材の第2実施例を示した側面図である。
【
図4】
図4は足場部材の第2実施例を示した斜視図である。
【
図5】
図5は足場部材の第2実施例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
楔受けに挿入され嵌合状態となる楔の嵌合状態を解除する梃を有し、梃は一端がハンマー等で打たれる部分であり他端はハンマー等で打たれた場合に楔受けを蹴る状態となるように一端と他端の間に支点を有するようにした。
【実施例0013】
図1は、本発明の足場部材の第1実施例の側面図である。1,2は本体3の両端に設けられた楔である。この楔1,2は断面がコの字状になっており、その空間に梃4,5の先端7,8が位置している。また梃4,5はそれぞれ支点9,10によって回動自在に本体3に支持されている。梃4,5の先端7,8から支点9,10までの距離に対して、末端11,12までの距離を数倍の長さとしている。
【0014】
図2は、本発明の足場部材の第1実施例の斜視図であり、垂直足場部材13と結合した状態を示している。垂直足場部材13は垂直に設置されるものであり、側面に楔1,2を受け入れる楔受14が設けられている。楔1が楔受14に挿入され互いに結合した状態で梃4の先端7は楔受14の上端に接する状態である。
【0015】
図2に示した状態では、垂直足場部材13の楔受14と楔1は互いに強固に結合した状態であり、垂直足場部材13に本体1がしっかりと結合し、容易に外れることが無いために足場としての安全が確保されている。
【0016】
足場を解体する場合に、強固に結合している楔1と楔受14との結合を解除する必要がある。ここで、梃4の先端7は楔受14と接触している。梃4の末端11をハンマー(一般的であるため、図示せず。)で軽くたたくと、梃の原理で先端7は強く楔受14を蹴ることになり、両者の結合は解除される。
【0017】
ここで、梃5の末端11を叩く力が弱くても良いため、叩く際に大きな音が発生しない。また、この叩く作業に使われるハンマーとして表面がゴムによって覆われたゴムハンマーを使うことができ、この場合にはさらに発生する打撃音が小さくなる。
足場を解体する場合に、強固に結合している平板楔16と楔受14との結合を解除する必要がある。ここで、梃18の解除部材20は楔受14と接触している。梃18の末端24をハンマー(一般的であるため、図示せず。)で軽くたたくと、梃の原理で解除部材20は強く楔受14を蹴ることになり、両者の結合は解除される。
ここで、梃18の末端24を叩く力が弱くても良いため、叩く際に大きな音が発生しない。また、この叩く作業に使われるハンマーとして表面がゴムによって覆われたゴムハンマーを使うことができ、この場合にはさらに発生する打撃音が小さくなる。